JP2010247209A - アルミニウム材のフラックスレスろう付け方法およびフラックスレスろう付け用アルミニウムクラッド材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%含有するAl−Si系ろう材が最表面に位置するアルミニウムクラッド材を用いて、減圧を伴わない非酸化性雰囲気で加熱温度559〜620℃において、前記Al−Si系ろう材によりろう付け対象部材との接触密着部を接合する。フラックスや真空設備を必要とせずに大気圧下でのフラックスレスろう付けが可能になり、ろう材以外の被ろう付け構成部材へMgを添加した場合にもろう付け阻害要因とはならない。減圧を伴わない雰囲気での加熱となるため、MgやZnの蒸発による炉内壁等の汚染も殆ど生じない。
【選択図】なし
Description
上記フラックスを用いる場合、多くがろう付け対象部材をプレス成形等で加工後、所望の組み付け状態とし、フラックス粉末を溶媒に溶いた混濁液を組み付け体に塗着・乾燥させ、高純度窒素ガス雰囲気等の非酸化性雰囲気中で加熱ろう付けしている。この場合、フラックスを使用すること自体、或いは、その塗布工程の設置や管理にコストを要するという問題がある。また、フラックスは、その一部がろう付け加熱過程で蒸発し、炉内壁に付着、堆積することが知られており、堆積物の除去を目的とした定期的な炉のメンテナンスも必要コストとして生じる。そして昨今、自動車の軽量化促進に伴い、自動車用熱交換器でも材料の薄肉高強度化が求められ、アルミニウム材料の高強度化には、アルミニウム合金へのMg添加が有効であることは一般的に知られているが、フラックスを用いたろう付けではMgとフラックスが反応して高融点のMgF2を生成することから、これがろう付け阻害要因となったり、材料中のMgを消費してしまうため、折角添加したMgが高強度化にあまり役立たないという問題がある。すなわち、フラックスろう付けでは製品中のMg添加部位や量に制限があり、積極的に材料高強度化手法として用いることができていないのが現状である。
特許文献3で提案されている方法では、チューブ外面とフィンの接合はフラックスを使用しており、フラックスを使用することによるデメリットは完全に解消されていないという問題がある。
また、特許文献4で提案されている技術では、従来の真空ろう付けやノコロックろう付けに用いる材料に対し、ろう材表面に酸化防止層を設けたクラッド材を準備する必要があり、材料コストが高くなるという問題があり、更に、コアとしては積層構造に限定されるという汎用性の問題がある。
さらに、特許文献5に示される方法では、酸洗浄の工程管理が煩雑となる問題や、酸洗浄工程分のコストが増加するという問題がある。
本発明で用いるアルミニウムクラッド材では、ろう材としてAl−Si系合金をベースに、Mgを添加したものを用いる。
Biの含有量は0.01〜1.0%がよい。0.01%未満では効果が十分でなく、1.0%を越えると効果の飽和、材料コストの増大を招くため好ましくない。
本発明に用いるアルミニウムクラッド材の芯材組成は、接合を得るにあたって特に限定されるものではないが、フラックスレスろう付けを実現したことにより、高強度化を狙ったMg添加が積極的に行える。
芯材成分としては、質量比でSi:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるものが示される。
また、質量比で、Mn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、を含有し、残部Alと不可避不純物とからなるものが示される。
また、芯材成分としては、Mn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、さらに所望によりZr:0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%、Cr:0.01〜0.5%、Bi:0.01〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるものが示される。各元素の作用及び限定理由は以下の通りである。
Si単体でマトリックスに固溶して材料強度を向上させる他、本発明においては、Mgの積極添加との相乗効果によって得られるMg2Siの析出により、材料強度を向上させる。このMg2Si析出による硬化は、ろう付け熱処理後の時効析出により、飛躍的な材料強度向上に寄与する。従来のA3003合金等をベースとした合金設計においては、Al−Mn−Si化合物として分散して、材料強度を向上させる。下限未満では効果が不十分であり、上限を越えると、融点が低下し、芯材が溶融するので、上記範囲が望ましい。なお、Si含有量の一層好ましい範囲は0.3〜1.0%である。Mn等の含有によりSiの積極的な含有を要しない場合、0.1%未満のSiを不純物として含有することは許容される。
Mgは、Siと同時に添加されることでろう付後に微細な金属間化合物Mg2Siとして析出し、時効硬化により著しく強度が向上する効果を有する。また、ろう付加熱中にろう材から拡散してきたSiとも反応し、同様の強度効果を有する。さらに一部はろう材中に拡散し、ろう材表面の酸化膜破壊、酸化膜成長抑制作用に寄与する。下限未満では効果不十分であり、上限を超えると融点が低下し、芯材が溶融する。このため、Mg含有量は上記範囲が望ましい。
Mnは、金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。また、芯材の電位を貴にして耐食性も向上させる。下限未満では効果が不十分であり、上限を超えると、圧延などの加工性が低下する。また、一層の効果は得られない。これら理由によりMn含有量は上記範囲が望ましい。なお、Mn含有量の一層好ましい範囲は0.5〜1.5%である。
Cuは、固溶してろう付後の強度を向上させると共に、芯材の電位を貴にして耐食性を向上させる。下限未満では効果が不十分であり、上限を超えると、融点が低下し、芯材が溶融する。このため、Cu含有量は上記範囲が望ましい。なお、Cu含有量の一層好ましい範囲は0.1〜0.7%である。
Feは金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。また、最終焼鈍時とろう付時の再結晶を促進する。下限未満では効果が不十分であり、上限を超えると、腐食速度が速くなりすぎる。また、最終焼鈍後の結晶粒径が細かくなりすぎて成形時に加工の導入されない部分でろうの侵食が著しく大きくなる。これら理由によりFe含有量が上記範囲が望ましい。なお、Fe含有量の一層好ましい範囲は0.2〜0.5%である。
Zr、TiまたはCrは、ろう付後に微細な金属間化合物として分散し、強度を向上させる。下限未満では効果不十分であり、上限を超えると加工性が低下する。このため、これら成分の含有量は上記範囲が望ましい。
Biは、材料表面の再酸化を抑制し、ろう材の濡れ拡がり性を向上させる。下限未満では効果が不十分であり、上限を超えても一層の効果は得られない。このため、Biの含有量は、上記範囲が望ましい。
本発明に使用する上記クラッド材においては、少なくとも片面に上記Al−Si系ろう材がクラッドされていればよく、適宜、片面と両面クラッド材を使い分けることができる。両面クラッド材では、芯材の両面にろう材がクラッドされているものであってもよく、また片面に上記ろう材がクラッドされ、他の片面に犠牲材等のその他の材料がクラッドされているものであってもよい。
ろう材以外の被ろう付け構成部材としては、一般的に用いられているアルミニウム合金であれば何れも問題なく使用可能である。
本発明を実施するに当たっては、接合部の接触密着状態を高めることで、接合部である接触密着部への外部からの酸素供給がされにくくなり、ろう付け昇温過程での材料表面の酸化抑制力が高まる。ここで言う酸素供給とは、大気雰囲気中での酸素を意味するのではなく、非酸化性雰囲気中に僅かに含まれる酸素によるものを示す。本発明者らが調べた結果、接合部における接合部材両者の表面粗さがRa0.3μm以下であれば、より良好な接合が得られることが判り、さらに好ましくは、Ra0.25μm以下で安定して良好な接合状態が得られることも判った。表面粗さがRa0.3μmを超える場合は加圧密着力を高めても十分な機密性が得られないためろう付け性が低下する。
本発明の実施に当たっては、特に材料表面の初期酸化皮膜を抑制するような材料製作は必要としない為、通常、アルミニウムの量産コイル材として作製され得る、初期酸化膜厚20〜500Å程度のアルミニウム材料を使用できる。20Å未満では、従来技術に示したような酸洗浄等が必要となり、500Åを越えるものはMgによる酸化膜破壊作用が十分に得られず、良好な接合状態が得られにくくなる。
本発明の実施にあたっては、炉内雰囲気を不活性ガス、或いは還元性ガス等の非酸化性ガスとすることで、雰囲気中の酸素濃度や露点を低下させ、被ろう付け物の再酸化を抑制する必要がある。使用する置換ガスの種類としては、接合を得るにあたり特に限定されるものではないが、コストの観点で、不活性ガスとしては窒素、アルゴン、還元性ガスとしては水素、アンモニア、一酸化炭素を用いることが好適である。雰囲気中の酸素濃度管理範囲としては、5〜500ppmがよい。5ppm未満の場合は、接合に不具合は生じないが、雰囲気の管理に多量のガスを使用する等、製造コストの増大懸念が生じるためである。500ppm超では被ろう付け部材の再酸化が進みやすくなり、特にろう材が表面にないベア構成部材とろう材間の接合が十分に得られない為である。
本発明においては、ろう材Al−Si−Mg合金の最も低い固相線温度の559℃以上でろう付けができ、当然、従来からのAl−Siろう材によるろう付け温度範囲も使用可能である。具体的には559〜620℃が良い。559℃未満ではろうの溶融が得られずろう付けが得られない。620℃超ではろう浸食が顕著となり、製品形状の維持等に問題が生じるため好ましくない。但し、この温度範囲においても、ろうの合金組成によって固相線温度が低い場合には、ろう侵食が顕著になる場合もあり、その際は、この温度範囲の中で合金組成にあったろう付け温度を選択するのが好ましい。
質量%で、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%含有するAl−Si系ろう材と、芯材とは常法により製造することができ、両者またはこれに犠牲材などの他の材料とを重ねてクラッド圧延する。該クラッド圧延での製造条件は本発明としては特に限定されるものではない。また、各層のクラッド率も本発明としては特定されるものではない。
なお、上記のように芯材の組成は、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有するもの、Mn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%を含有するもの、あるいはSi:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有し、さらにMn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、さらに所望によりZr:0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%、Cr:0.01〜0.5%、Bi:0.01〜1.0%の内1種または2種以上を含有などが望ましい。
本発明では、前記Al−Si系ろう材に含まれるSi粒子で、円相当径で0.8μm以上の径をもつものの数の内、1.75μm以上の径のものの数が25%以上とするのが望ましい。本材料を得るには、ろう材の鋳造スラブを製造するにあたり、その冷却速度を10℃/secよりも遅い範囲とし、凝固冷却で生じるSi粒子サイズを粗大にすることで、その後の圧延工程でのSi粒子破砕を経ても、上記条件を満たすことが可能となる。但し、この冷却速度が10℃/secより速くなった場合においても、鋳造後に均質化処理として、例えば500℃以上の条件で数時間の熱処理を加えれば、Si粒子の粗大化が図れ、上記同様に、圧延後には本発明条件のSi粒子サイズを得ることが可能である。
また、本発明では前記アルミニウムクラッド材、及び、前記ろう付け対象部材の少なくとも接触密着部表面の表面粗さを、Ra0.3μm以下とするのが望ましい。この表面粗さは、材料の最終圧延時のロール表面粗度に依存し、そのロール表面粗度を、Raで0.45μm以下とすることで得られる。尚、ろう付け接合部がプレス等の熱交換器部材加工表面となる場合には、そのプレス等金型表面粗度を同様に管理することで目的の表面粗度が得られる。
上記アルミニウムクラッド材は、ベアフィン、無垢材コネクタなどのろう付け対象部材と組み付けられて、好適には熱交換器組立体などを構成する。なお、ろう付け対象部材としては種々の組成のアルミニウム材料を用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
上記雰囲気下で559〜620℃で加熱をしてろう付けを行う。ろう付けにおいては、ろう付け対象部材との接触密着部がフラックスレスで良好に接合される。
また、ろう付け対象部材としてJISA3003合金、H14のアルミニウムベア材(0.1mm厚)のフィン材を用意した。
本発明の上記アルミニウムクラッド材を用いて幅20mmの扁平電縫管を製作し、JIS A3003ベア材のコルゲートフィンと組合せてコア形状とした。コアサイズは、チューブ15段、長さ300mmのコアである。
コアを窒素雰囲気中(酸素含有量15ppm)のろう付け炉にて、560〜600℃まで加熱し、そのろう付け状態でろう付性を評価した。ろう付性は、以下式にて接合率を求め、その接合率の優劣で評価した。
ろう付け性判定は、ろう付け後のフィン接合率(◎:95%以上、○:85%以上、△:80%以上、×:80%未満)によって行い、その結果を表1〜表3に示した。
製作したクラッド材(0.5mm厚)をJIS5号試験片とし、ろう付け熱処理後、90℃×7日間時効処理後に引張試験に供した。得られた材料強度測定値を評価し、その結果を表1〜表3に示した。
また、芯材の成分が好適範囲を外れる参考例では、種々の不具合が認められた。
第5の本発明のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記Al−Si系ろう材に質量%で、0.1〜5.0%のZnを含有することを特徴とする。
第4の本発明のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記Al−Si系ろう材に質量%で、0.1〜5.0%のZnを含有することを特徴とする。
Claims (10)
- 質量%で、Mgを0.1〜5.0%、Siを3〜13%含有するAl−Si系ろう材が最表面に位置するアルミニウムクラッド材を用いるろう付け方法であって、減圧を伴わない非酸化性雰囲気で加熱温度559〜620℃において、前記Al−Si系ろう材によりろう付け対象部材との接触密着部を接合することを特徴とするアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記Al−Si系ろう材に含まれるSi粒子は、表層面方向の観察において、円相当径で0.8μm以上の径をもつものの数の内、1.75μm以上の径のものの数が25%以上であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記アルミニウムクラッド材、及び、前記ろう付け対象部材の少なくとも接触密着部表面の表面粗さが、Ra0.3μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記Al−Si系ろう材に質量%で、0.01〜1.0%のBiを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記Al−Si系ろう材がクラッドされている芯材が、質量%で、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有し、残部Alと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記Al−Si系ろう材がクラッドされている芯材が、質量%で、Mn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、を含有し、残部Alと不可避不純物とからなる組成を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記Al−Si系ろう材がクラッドされている芯材が、質量%で、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有し、さらにMn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避不純物とからなる組成を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 前記Al−Si系ろう材がクラッドされている芯材が、質量%で、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.01〜2.0%を含有し、さらにMn:0.2〜2.5%、Cu:0.05〜1.0%、Fe:0.1〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、さらにZr:0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%、Cr:0.01〜0.5%、Bi:0.01〜1.0%の内1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避不純物とからなる組成を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム材のフラックスレスろう付け方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のAl−Si系ろう材が芯材にクラッドされて前記Al−Si系ろう材が最表面に位置しており、減圧を伴わない非酸化性雰囲気でフラックスレスのろう付けに供されることを特徴とするフラックスレスろう付け用アルミニウムクラッド材。
- 前記芯材が請求項5〜8のいずれかに記載された組成を有することを特徴とする請求項9記載のフラックスレスろう付け用アルミニウムクラッド材。
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