JP2011000045A - 乳酸菌検出用培地及び検出法 - Google Patents

乳酸菌検出用培地及び検出法 Download PDF

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Abstract

【課題】検査試料中の乳酸菌の有無を、的確に効率よく、しかも、一般的な食品や飲料、水などの検査や製造工程検査にも幅広く利用できる乳酸菌検出用培地及びこの培地を用いた乳酸菌検出方法を提供すること。
【解決手段】β-ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質、乳酸菌以外の微生物発育阻止物質、及びpH5.0〜6.5にするpH調整剤を含有する乳酸菌検出用培地及びこの培地を用いた乳酸菌の検出方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、検査用試料中の乳酸菌の有無を目視又は蛍光下で判定することができる乳酸菌検出用培地及びそれを用いた乳酸菌の検出方法に関する。
乳酸菌は、古くから味噌、醤油、清酒、ワイン、ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料、漬物、発酵ソーセージ、発酵茶、馴れずしなどの多くの食品加工に利用されている。また、乳酸菌の保健的機能も解明され、プロバイオティック乳酸菌を利用した特定保健用食品は新たな食品市場を築きつつある。
ところが、食品加工分野を中心に、有用細菌として活用されている乳酸菌は、一方では酸味、酸臭、ネトの生成など、さまざまな変敗の原因となる。例えば、清酒製造での諸味が酸敗する腐造諸味や瓶詰製品が変敗する火落ち、また非加熱ビールの異味や濁り、あるいは水産練り製品や低塩化された漬物での酸敗などは、主に乳酸菌が原因となっている。ハム、ウインナーソーセージなどの食肉製品や惣菜、ハンバーグ、揚げ物などの加工食品などでも、加工段階や製品の品質異常に乳酸菌が関与している。
また、健康食品ブームを反映して、乳酸菌を用いる食品や飲料が多く製造されているため、製造ライン中にこのような乳酸菌が他の食品やアルコール飲料等に混入するおそれもある。
乳酸菌が健康危害を起こすことはほとんどないが、乳酸菌による食品等の変敗等の発生は品質管理上好ましいものではなく早期に発見しないと経済的損失が大きく、その制御は食品加工メーカーにとっても重要な課題である。食肉製品に限らずさまざまな食品での乳酸菌による食品の品質異常を防ぐために、乳酸菌の排除を優先的に行うことは、結果として、多くの病原菌やその他有害細菌、また目的以外の細菌の排除にもつながる。また、このような場合の乳酸菌の検査は、メーカーにおける大量生産品の品質管理の一環であることから、操作が簡便であるだけでなく、結果が迅速に得られ、判定が容易である、ということが必要である。
これらのことから、従来以下の乳酸菌用検出培地が知られている。
(a)BCP加プレートカウント寒天培地
菌数測定用として公定法に記載されている(非特許文献1参照)。乳酸生成により酸性になるとBCPが紫から黄色に変化することを利用して、寒天培地に生育したコロニー周辺が黄色くなったコロニーを乳酸菌として測定する。
(b)MRS寒天培地、BL寒天培地
この2つの培地は、いずれも菌数測定法として公定法に記載されている(非特許文献1参照)。乳酸菌の生育に有効であるが、選択性はなく、乳酸菌以外の微生物も活発に生育する。
(c)APT寒天
乳酸菌用に開発された培地(非特許文献2参照)であり、グルコース10g/Lを含有する。
(d)APT寒天+BCP
APT寒天にpH指示薬であるBCPを添加した培地(非特許文献3参照)である。
(e)LBS寒天培地
乳酸桿菌の選択培地として開発され、以前から用いられていたトマトジュース培地より乳酸桿菌の選択性が高いと報告されている(非特許文献4参照)。寒天平板を二酸化炭素加環境において35℃で培養する。
更に、乳酸菌用検出培地及びこれを用いた乳酸菌の検出方法として、例えば、pH6.2±0.2の乳酸菌用検出液体培地で培養し、培養液を除去して菌体を得、菌体を蛍光物質(アクリジンオレンジ−10−ドデシルブロミド)を添加し、蛍光強度により生菌数を測定する方法(特許文献1参照)や、Modified NBB培地等の既存培地にウイスキー蒸留残渣を含有させることによって、乳酸菌を迅速に増殖させる菌数計測用の培地(特許文献2参照)や、乳酸菌の増殖促進物質として、シチジン及びチミジン、麦芽汁発酵物が添加された、ビール醸造に有害なビール乳酸菌の検出・菌数測定用培地(特許文献3参照)が提案されている。
また、特定の乳酸菌を選択的に検出する培地及びこれを用いた乳酸菌の選択的な検出方法として、例えば、オリゴ糖に加えてプロピオン酸またはその塩を使用し、ビフィドバクテリウム菌と乳酸菌とを含有する物の中からビフィドバクテリウム菌を優先的に発育させ、その菌数を測定するための選択・生菌数測定用培地(特許文献4参照)や、寒天培地に生育促進剤として塩化リチウムおよびガラクトースを含有するビフィドバクテリア属に属する乳酸菌の選択的な検出および菌数計測用培地(特許文献5参照)や、オリゴ糖を含有するビフィドバクテリア属に属する乳酸菌を培養するための選択・生菌数測定用の寒天培地(特許文献6参照)や、pH指示薬を使用したビフィドバクテリア属に属する乳酸菌を培養するための液体の選択培地(特許文献7参照)が提案されている。
しかしながら、更なる、幅広い食品や飲料等の検査試料中の乳酸菌を的確に効率よく簡便に検出できる培地やこれを用いた検出方法が求められている。
食品衛生検査指針微生物編、厚生労働省監修、2004年 Shaepe,M.E.and Fryer,T.F.,Laboratory Practice,June,1965 Compendium of methods for the microbiological examination of foods, Second editon, Marvin L.Speck, Editor, 1984 Rogosa,Mitchell and Wiseman,J.Bacteriol,62;132, 1951
特開平6−113887号公報 特開平03−91493号公報 特開平03−130071号公報 特開平11−28098号公報 特開平6−343491号公報 特開平4−20283号公報 特開平7−99995号公報
本発明は、検査試料中の乳酸菌の有無を、的確に効率よく、しかも、一般的な食品や飲料、水などの検査や製造工程検査にも幅広く利用できる乳酸菌検出用培地及びこの培地を用いた乳酸菌検出方法を提供することに関する。
本発明者は、斯かる実情に鑑み、種々乳酸菌検出用培地を検討した結果、従来の培地では、乳酸菌以外の菌が生育したり、目視等での乳酸菌の判別が困難なことが多かったが、培地に、β-ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質、乳酸菌以外の微生物発育阻止物質(特にアミノグリコシド系抗生物質)、及びpH5.0〜6.5にするpH調整剤の3成分を含有させることによって、食品や飲料等の被検体中に存在する乳酸菌が発育する段階で特異的に酵素(β-ガラクトシダーゼ)を産生し、これと酵素基質が反応して集落及びその周辺が着色するので乳酸菌の存在を迅速に簡便に確認することができ、かつ、アミノグリコシド系抗生物質等により、β-ガラクトシダーゼを産生する大腸菌群等の乳酸菌以外の微生物の発育を抑制することができるので、的確に効率よく乳酸菌を検出することができ、しかも、一般的な食品や飲料、水などの検査や製造工程検査にも幅広く利用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、β-ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質、乳酸菌以外の微生物発育阻止物質、及びpH5.0〜6.5にするpH調整剤を含有する乳酸菌検出用培地を提供するものである。
また、本発明は、前記乳酸検出用培地に被検体を接種した後、培養し、集落の色を目視又は蛍光下で判定することを特徴とする乳酸菌の検出方法を提供するものである。
本発明の乳酸菌検出培地及びこれを用いた乳酸菌の検出方法によれば、被検体中に乳酸菌が存在すると、乳酸菌を選択的に生育させ、目視又は蛍光下で認識できるように乳酸菌の集落が着色するので、乳酸菌の存在を的確に効率よく簡便に確認することができる。しかも、本発明は、種々の微生物が存在する一般的な食品や飲料、水などの検査や製造工程検査にも幅広く利用することができる。
本発明にて検出する対象の乳酸菌は、糖を発酵し、多量の乳酸を生産する細菌の総称である。この乳酸菌は、Lactobacillus属、Pediococcus属、Tetragenococcus属、Carnobacterium属、Vagococcus属、Leuconostoc属、Weissella属、Oenococcus属、Atopobium属、Streptococcus属、Enterococcus属、Lactococcus属、Enterococcus属、Bifidobacterium属等に分類され、約二百数十種の乳酸菌が報告されている。
このうち、Lactobacillus属(例えばLactobacillus acidophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis、Lactobacillus brevis、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus amylophilus、Lactobacillus animalis、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus sakei、Lactobacillus fructivorans等);Streptococcus属(例えばStreptococcus thermophilus);Lactococcus属(例えば、Lactococcus lactis subsp. cremoris等);Enterococcus属(例えば、Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium等);Pediococcus属(例えば、Pediococcus acidilactici, Pediococcus pentosaceus, Pediococcus damnosus等)、Leuconostoc属(例えば、Leuconostoc mesenteroides subsp. mesentedoides、Leuconostoc citreum、Leuconostoc mesenteroide subsp. dextranicum等);Bifidobacterium属(例えば、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium pseudolongum, Bifidobacterium animalis, Bifidobacterium lactis, Bifidobacterium dentium等)が好ましい。このうち、Lactobacillus属及びLeuconostoc属がより好ましく、特にLactobacillus属が好ましい。
本発明の培地に用いるβ-ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質は、乳酸菌が発育する段階で特異的に産生する酵素(β-ガラクトシダーゼ)と反応して目視又は蛍光存在下で認識できる発色物質(色原体化合物及び蛍光性化合物等)が生成される発色酵素基質であれば特に限定されるものではない。この発色酵素基質としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(「X−β−Gal」又は「X−β−gal」とも云う、青)、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシル−β−D−ガラクトピラノシド(MAGENTA−β−ガラクトピラノシド、赤紫)、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(赤紫)、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(ピンク)及びオルトニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(「ONPG」とも云う、黄)等から選ばれる1種以上のものが挙げられ、特に発色した集落を簡単に認識することができるX−β−Galが好ましい。
培地中の酵素基質の含有量は、特に限定されないが、培地中、0.015〜1.5質量%であるのが好ましい。
本発明の培地に用いる乳酸菌以外の微生物(以下、「他の微生物」とも云う)発育阻止物質は、乳酸菌に対する発育阻害作用は弱く、他の微生物に対する発育阻害作用があるものが好ましく、培地中の発育阻止物質の含有量を調整することによってこれら微生物の発育を調整できるものが望ましい。
この発育阻止物質としては、例えば、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、カナマイシン、ベカナマイシン等のカナマイシン系;ストレプトマイシン;ゲンタマイシン;トブラマイシン;アミカシン;ジベカシン;アルベカシン)等が挙げられる。
アミノグリコシド系抗生物質の中でも、特にカナマイシン系抗生物質が、X−β−Gal等を分解する大腸菌群の生育を阻害しつつ、乳酸菌の生育を阻害し難い点から、好ましい。
乳酸菌以外の微生物発育阻止物質の含有量は、培地中、0.001〜0.2質量%、より0.001〜0.04質量%、更に0.003〜0.02質量%、より更に0.004〜0.0095質量%、殊更に0.0045〜0.009質量%であるのが好ましく、特に、0.005〜0.009質量%であるのが、他の微生物の生育を阻害しつつ、乳酸菌が生育できるので、好ましい。Lactobacillus属を選択的に検出する場合には、Lactobacillus属はカナマイシン系抗生物質による発育阻害作用が少ないので、培地中、0.0045〜0.04質量%であるのが好ましい。
本発明の培地に用いられるpH調整剤は、乳酸菌を接種する際の培地のpHを5.0〜6.5、より5.0〜6.2になるように調整できるものが好ましく、特に、5.0〜5.9とするもののが、上記発育阻害物質との併用によって、乳酸菌が良好に生育すると共に、多くの他の微生物(特に大腸菌群)の発育を阻害することができ、乳酸菌の検出が容易となるので、好ましい。このpH調整剤に用いる成分としては、例えば、しゅう酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸等の有機酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、リン酸、塩酸、硫酸等の無機塩、水酸化ナトリウム等の水酸化物、アンモニア又はアンモニア水、クエン酸アミン類、低級アルカノールアミン類、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等から選ばれる1種以上のものが挙げられる。
本発明の培地は、上記必須成分の他、炭素源、窒素源、ミネラル、ビタミン類等の任意成分を配合し、一般的な製造方法によって得ることができる。
例えば、炭素源としては、フルクトース、ラクトース、サッカロース等から選ばれる1種以上のもの;窒素源としては、タンパク質分解物、酵母エキス、魚肉エキス等から選ばれる1種以上のもの:このミネラル源としては、銅、亜鉛、マグネシウム、コバルト等から選ばれる1種以上のもの:ビタミン類としては、ニコチン酸、パントテネート、ビオチン、リボフラビン、葉酸等から選ばれる1種以上のものが挙げられる。
これら炭素源等を含有する基礎培地としては、公知の乳酸菌検出用基礎培地でもよく、例えば特許文献1〜5に記載のようなMRS培地、BL培地、APT培地、APT+BCP培地及びLBS培地等が挙げられ、これらの培地組成を適宜変更してもよい。
また、上記基礎培地に、乳酸菌増殖促進成分を含有させることが好ましい。
この乳酸菌増殖促進成分としては、大麦焼酎蒸留残液(特許第3527661号公報参照)、カルシウム塩(特許第2673333号公報参照)、バターミルク(特開2000−102380号公報参照)、ウイスキー蒸留残渣(特開平03−91493号公報参照)、シチジン及びチミジン、麦芽汁発酵物(特開平03−130071号公報参照)、酒かす抽出物(特開平3−172171号公報参照)、クエン酸塩又はリンゴ酸塩(特開昭57−102184号公報参照)、L-システイン(特開昭54−143585号公報参照)、遊離塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル及びイノシン)、リボヌクレオシド(アデノシン、シチジン、グアノシン、ウリジン)及びデオキシリボヌクレオシド(2′−デオキシアデノシン、2′−デオキシシチジン、2′−デオキシグアノシン、2′−デオキシウリジン及びチミジン)(特開2000−279166号公報参照)や、Gal−(Gal)n−Glc(n=1〜4)のオリゴ糖、プロピオン酸又はその塩(特開平11−28098号公報、特開平4−20283号公報参照)、塩化リチウム及びガラクトース(特開平6−343491号公報参照)等から選ばれる1種以上のものが挙げられる。
更に、本発明の培地に、固体又は半固体培地にするため、ゼラチン、寒天、カラギーナン等の固体化成分を含有させてもよい。
また、本発明の培地に、液体培地を吸収させる、繊維質吸水性シート等の繊維質液体吸収素材を使用してもよい。繊維としては、例えば、植物、動物等由来の天然繊維、化学合成、ガラス繊維等由来の化学繊維等が挙げられ、また繊維をシート状にした不織布が好ましい。
本発明の培地の作製方法としては、例えば、上記各培地組成成分に精製水等を添加し混合攪拌した後、オートクレーブ等で滅菌し、これを滅菌シャーレ等に分注し、冷却又は放冷する方法;上記各培地成分にエタノールや精製水等を添加し混合攪拌した後、繊維質液体吸収素材を収納した容器に分注し、ガンマ線照射滅菌する方法等が挙げられる。
本発明の乳酸菌の検出方法は、上記で得られた乳酸菌検出用培地に、被検体を接種した後、所定の条件にて培養し、形成された集落の色を、目視又は蛍光存在下で確認し、乳酸菌の存在の有無を判定する。
被検体としては、特に限定されないが、食品、飲料、河川、海水等の検査用試料が挙げられる。この検査用試料は、そのまま又はこれを濃縮或いは希釈して本発明の培地に接種して培養してもよい。このとき、接種の際、検査用試料を、10-2〜10-10倍程度の希釈するのが、集落数測定の点から好ましい。
また、接種法は、特に限定されないが、平板塗抹法、画線塗抹法が、好ましい。
培養条件は、嫌気培養、好気培養又は炭酸ガス培養の何れでもよく、このときの雰囲気は、空気、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガスの何れでもよい。このうち、乳酸菌発育の点から、特に、炭酸ガスの雰囲気下による炭酸ガス培養が好ましい。
また、培養温度は、特に限定されないが、乳酸菌の生育に適した温度である25〜42℃、特に30〜40℃が好ましい。
また、培養日数は、特に限定されないが、24〜96時間、特に40〜72時間であるのが好ましい。
培地中に形成された乳酸菌の集落(その周辺も含む)の色は、用いる発色酵素基質によって異なるが、X−β−Galの場合には、薄青〜青、青緑の色調であり、ONPGの場合には、黄の色調であり、斯かる色調の存在によって乳酸菌の集落であると判別する一方で、斯かる色調の存在が認められない場合には、乳酸菌の集落ではないと判別する。このようにして、検体中の乳酸菌の存在の有無や集落数を判定する。
ここで、蛍光下とは、蛍光灯の照射下での目視を含む意味であるが、例えばX−β−Galの場合の特定の波長(380〜570nm)で検出(吸光度測定)を行なってもよい。吸光度測定の場合には、菌体数と吸光度が比例するので、吸光度が高いほど乳酸菌は多く存在すると判定したり、標準物と比較して、乳酸菌の存在量を定量してもよい。一方、吸光度がコントロール(被検体無添加)と比較してほとんど同じ場合には乳酸菌が存在しないと判定してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
MRS寒天培地(Difco)(pH6.5)を調製後、これに、X-β‐gal(Biosynth)を培地中0.15質量%になるように添加し、試験培地とした。
血液寒天培地(トリプトソーヤ寒天培地(日水製薬)を基礎培地とし、馬脱繊維血液(コージンバイオ)を5%添加)を調製後、X-β‐galを添加しないものを、「血液寒天」として用いた。
これに表1に示すような20種の乳酸菌を接種し、37℃又は25℃で48時間、好気培養(酸素約21%、窒素約78%の雰囲気下)又は嫌気培養(水素5%、二酸化炭素10%及び窒素85%の雰囲気下)を行い、このとき形成されたコロニーの色及びコロニー径(mm)を測定した。その結果を表1に示した。
表1に示すように、試験培地において、多くの乳酸菌で青色の集落を形成することが認められ、β−ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質を用いることで、種々の乳酸菌を検出することができることが認められた。
Figure 2011000045
実施例2
MRS寒天培地(Difco)(pH6.5)を調製後、これに、X-β‐gal(Biosynth)を培地中 0.15質量%になるように添加し、またカナマイシン0-100mg/mlを、培地中、0〜0.15質量%(0.15、0.075、0.0375、0.0188、0.0094、0.0047、0質量%)になるように添加し、試験培地とした。
血液寒天培地(トリプトソーヤ寒天培地(日水製薬)を基礎培地とし、馬脱繊維血液を5%添加)を調製後、X-β‐gal及びカナマイシンを添加しないものを、「血液寒天」として用いた。
これに表2に示すような11種の乳酸菌および、6種の乳酸菌以外の菌株をミクロプランター(小高秀正ら、日本臨床微生物学雑誌 J. Jpn. Soc. Clin. Microbiol., 10(1), 6-17, 2000)で接種し、48時間、好気培養(酸素約21%、窒素約78%の雰囲気下)を行い、その発育を判定した。その結果を表2に示した。
表2に示すように、培地中で一定濃度(特に0.0047質量%)以上のカナマイシン濃度にすると、乳酸菌は生育するものの、乳酸菌以外の菌(特に大腸菌群であるE.coliおよびEnterobacter sp.)の発育を抑制することができ、特にLactobacillus属では、培地中のカナマイシンが高濃度でも発育が認められた。
Figure 2011000045
実施例3
MRS寒天培地(Difco)(pH6.5)を調製後、これに、X-β‐gal(Biosynth)を培地中 0.15質量%になるように添加し、またカナマイシンを培地中、0.0086質量%になるように添加し、「本培地」とした。
MRS寒天培地に、上述と同様にX-β−gal添加し、カナマイシンを添加しなかったものを「参考培地」とし、血液寒天培地(トリプトソーヤ寒天培地(日水製薬)を基礎培地とし、馬脱繊維血液を5%添加)を調製後、X-β‐galを添加しないものを、「血液寒天」として用いた。
これに表3に示す4種の乳酸菌及び4種の大腸菌群をミスラ法(文献;MILESA, . A,et al., 1938. J. Hyg., C u d. , 38, p732.)で接種し、35℃にて48時間、炭酸ガス培養を行い、コロニー数、色およびコロニー径(mm)を測定した。その結果を表3に示した。
表3に示すように、培地中、カナマイシン濃度0.0086質量%を添加することによって、乳酸菌の発育は抑制されず、大腸菌群等の乳酸菌以外の菌の発育が抑制されることが認められた。
Figure 2011000045
実施例4
培地組成成分としてペプトン 10g、肉エキス 10g、酵母エキス 5g、ブドウ糖20gクエン酸アンモニウム 2g、酢酸ナトリウム 5g、硫酸マグネシウム七水和物 0.1g、硫酸マンガン 0.05g、リン酸水素二カリウム 2g、キサンタンガム 30g、及びX-β-gal 0.1g、カナマイシン 6mgをヒドロキシプロピルセルロース1gを含有するエタノール 1000mlに加え、懸濁液とした。このエタノール懸濁液を1mlずつ綿状のシート(50φmm)を収納した容器(50φmm)に分注した後、乾燥させ、蓋をして簡易培地を作製した。本培地を乾燥剤とともにアルミ包材に密封包装した後、表面線量10〜20kGyのガンマ線照射を行って滅菌した。実施例3と同様の4種の乳酸菌及び4種の大腸菌群の菌液を作製し、1mlずつをこの簡易培地(pH6.5、当該培地中、X-β−Gal 0.15質量%、カナマイシン0.0086質量%)に接種し、37℃にて48時間炭酸ガス培養(5%二酸化炭素、15%酸素、窒素80%雰囲気下)を行い、菌数および色を測定した。その結果を表4に示した。
表4に示すように、簡易培地においても、X-β-galにより、多くの乳酸菌が青色の集落を形成すること、およびカナマイシンにより乳酸菌の発育に影響はなく、大腸菌群等の乳酸菌以外の菌の発育が抑制されることが認められた。
Figure 2011000045
実施例5
MRS寒天培地(Difco)を調製後、これに、X-β‐gal(biosynth)を培地中0.01質量%(0.1g/L)になるように添加し、またカナマイシンを培地中、6×10-3質量%になるように添加し、さらにしゅう酸および炭酸ナトリウムを培地中pHが5.0、5.7、6.4、6.8、7.0、7.2になるように添加し、試験培地とした。
MRS寒天培地(Difco)(pH6.5)を調整後、X-β‐gal及びカナマイシンを添加しないものを、「参考培地」として用いた。
血液寒天培地(トリプトソーヤ寒天培地(日水製薬)を基礎培地とし、馬脱繊維血液(コージンバイオ)を5%添加 )を調製後、X-β‐gal及びカナマイシンを添加しないものを、「血液寒天」として用いた。
これに19種の乳酸菌及び80種の乳酸菌以外の菌株をミクロプランターで接種し、37℃にて48時間、炭酸ガス培養(5%二酸化炭素、15%酸素、窒素80%)を行い、その発育を測定した。その結果を表5に示した。
表5に示すように、微生物発育阻害物質(培地中、0.006質量%)を含有している、pH5.0〜6.4の培地において、乳酸菌以外の菌(特に大腸菌群)に対する選択性が強くなることが認められた。
Figure 2011000045
Figure 2011000045
Figure 2011000045
実施例6
「pH6.4」とした以外は、上記実施例5と同様にして、Leuconostoc dextranicum JCM9700、Streptococcus thermophilus ATCC14485、Bifidobacterium pseudolongum JCM1205について、発育を測定した。それぞれ、「+」「+」「W」と生育が認められた。
実施例7
「pH」を「pH6.4」と、および、「カナマイシン」を「ゲンタマイシン」とした以外は、上記実施例5と同様にして、乳酸菌Lactobacillus acidophilus ATCC19992、Lactobacillus bulgaricus ATCC11842および大腸菌群Escherichia coli ATCC8739、Enterobacter sp.CCJC13024について発育を測定した。乳酸菌に関してはそれぞれ「+」、「+」と発育が認められ、大腸菌群に関してはそれぞれ「−」、「−」と発育が認められなかった。
従って、本発明の乳酸菌検出方法および乳酸菌検出用培地を使用すると、多くの乳酸菌において、乳酸菌の産生した酵素(β-ガラクトシダーゼ)が存在する範囲が全て着色し、乳酸菌のコロニーが明瞭になり、また同様に着色する大腸菌群の発育を抗生物質により抑制することができ、的確に効率よく検査用試料中の乳酸菌の有無を目視又は蛍光下で判定することが可能であることを明らかにした。

Claims (6)

  1. β-ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質、乳酸菌以外の微生物発育阻止物質、及びpH5.0〜6.5にするpH調整剤を含有する乳酸菌検出用培地。
  2. β-ガラクトシダーゼにより分解される酵素基質が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド又はオルトニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシドである請求項1記載の乳酸菌検出用培地。
  3. 微生物発育阻止物質が、アミノグリコシド系抗生物質である請求項1又は2記載の乳酸菌検出用培地。
  4. アミノグリコシド系抗生物質が、カナマイシン系抗生物質である請求項3項記載の乳酸菌検出用培地。
  5. 更に乳酸菌増殖促進成分を含有する請求項1〜4の何れか1項記載の乳酸菌検出用培地。
  6. 請求項1〜5記載の乳酸検出用培地に被検体を接種した後、培養し、集落の色を目視又は蛍光下で判定することを特徴とする乳酸菌の検出方法。
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