JP5401558B2 - 生菌数の測定方法及び培地 - Google Patents
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Description
本願は、2010年3月26日に、日本に出願された特願2010−72368号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
そのため、従来、種々のビフィズス菌生菌製剤が提案されている(非特許文献1)。また、ビフィズス菌を摂取することにより健康を維持することを目的として、ビフィズス菌を含有する種々の食品、たとえばヨ−グルトなどの発酵乳、菓子、飲料、健康食品等が開発されている。また、乳幼児期において、母乳を接種する乳幼児はビフィズス菌が優勢になることから、日本外ではビフィズス菌・乳酸菌を含んだ育児用粉乳なども開発されている。現在、世界市場において食品に主に添加されているビフィズス菌種としてロンガム種が挙げられ、ブレーベ種を併用した製品も存在する(非特許文献2)。
現在のところ、ビフィズス菌と乳酸菌を両方含む製品からいずれかの菌の生菌数を測定する方法として、ビフィズス菌のみが生育する培地を用いる方法や、好気培養により乳酸菌のみを培養する方法が既に確立されている。
また、ビフィズス菌もしくは乳酸菌を複数種含む製品中のビフィズス菌の菌種、及びその生菌数を測定する方法としては、BL寒天培地に無菌脱繊血液を加えた培地上に塗抹し、嫌気培養により培地上に生育させて形成したコロニーの形態(色、形状等)、又はグラム染色法による菌の形態などから判定する方法がある(非特許文献3)。
現在、上述したようにロンガム種とブレーベ種とが配合されている製品が存在すること、ロンガム種とアニマリス種(ラクティス種を含む)は一部糖の資化性が近似していることなどから、ロンガム種と、その他のビフィズス菌種(ブレーベ種、アニマリス種等)が混在する製品中から、培養法によってロンガム種のみの生菌数を容易に測定することができる技術が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ビフィズス菌を含有する被検菌から、ロンガム種のみの生菌数を特定の培養法を用いることにより容易に測定できる測定方法、及び前記測定方法用の選択培地として有用で、且つ調製も容易な培地を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の測定方法、及び培地は、以下の様態を有する。
[1]培地を用いてビフィドバクテリウム属に属する微生物を含有する被検菌からビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(Bifidobacterium longum subsp. longum)に属する微生物のみの生菌数を測定する方法であって、
前記培地が以下の1)〜5)を満たすこと、
前記被検菌が、前記ビフィドバクテリウム属に属する微生物として、前記ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムに属する微生物と、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)に属する微生物、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)に属する微生物、及びビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis)に属する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物と、を含有すること、及び
前記生菌数の測定が、前記被検菌を前記培地にて嫌気条件下、37℃で48時間培養した後に、前記培地に形成される直径0.7mm以上のコロニーを計測することを特徴とする方法:
1)糖源としてL−アラビノースのみを含有する、
2)前記培地中の前記L−アラビノースの濃度が、培地の総質量に対して2〜3質量%である、
3)窒素源としてペプトン、肉エキス、及び酵母エキスを含有する、
4)前記ペプトンの含有量が6.0〜14.0g/1000mL、前記肉エキスの含有量が6.0〜14.0g/1000mL、及び前記酵母エキスの含有量が1.8〜4.2g/1000mLである、
5)硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンのいずれも含有しない。
[2]前記ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムに属する微生物が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム・BB536株である[1]に記載の方法。
[3]前記ビフィドバクテリウム・ブレーベに属する微生物が、ビフィドバクテリウム・ブレーベ・M−16V株である[1]又は[2]に記載の方法。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載された方法に用いられるビフィドバクテリウム属に属する微生物を含有する被検菌からビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムに属する微生物のみの生菌数を測定するための培地であって、
糖源としてL−アラビノースのみを含有し、
前記L−アラビノースの濃度が、培地の総質量に対して2〜3質量%であり、
酵母エキスを1.8〜4.2g/1000mL、肉エキスを6.0〜14.0g/1000mL、及びペプトンを6.0〜14.0g/1000mL含有し、
硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンのいずれも含有しない培地。
ビフィズス菌はビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する微生物を示す。
また、本明細書中、ロンガム種はビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(Bifidobacterium longum subsp. longum)に属する微生物を示し、ブレーベ種はビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)に属する微生物を示し、アニマリス種はビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)に属する微生物を示し、ラクティス種はビフィドバクテリウム アニマリス サブスピーシーズ ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp.lactis)に属する微生物を示し、インファンティス種はビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis)に属する微生物を示す。
「菌末」は、菌を粉末化したものを示す。
培地については詳しくは後述する。
ロンガム種の菌株としては特に制約はなく、これまで、ロンガム種に属するものとして公的な微生物保存機関(ATCC、NTCC、JCM、DSMZ、BCCM、LMG等)に寄託されている公的機関寄託株であってもよく、公知の方法により自然界から分離した分離株であってもよい。公的機関寄託株としては、たとえば、ATCC15707T株、BB536株(受託番号:ATCC BAA−999にて寄託。BB536菌末として森永乳業(株)から市販)等が挙げられる。上付文字Tは基準株を意味する。
被検菌が含有するビフィズス菌は、ロンガム種のみであってもよいが、本発明の有用性の点では、ロンガム種に加えて、ロンガム種以外の他のビフィズス菌を少なくとも1種含有することが好ましい。
前記ロンガム種以外の他のビフィズス菌としては、特に限定されず、たとえば一般的にプロバイオティクスとして広く用いられているようなビフィズス菌が挙げられる。これらの中でも、前記培地に形成されるコロニーの大きさが小さく、ロンガム種のコロニーと区別しやすいことから、ブレーベ種、ラクティス種、インファンティス種から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、ブレーベ種・ATCC 15700T株、ブレーベ種・M−16V株(受託番号:BCCM/LMG23729にて寄託)、ラクティス種・DSM 10140T株、インファンティス種・ATCC 15697T株から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ブレーベ種・M−16V株を含むことが特に好ましい。
前記検体の培養は、培地として本発明の培地を用いる以外は、従来、培養法による微生物の生菌数の測定に用いられている公知の培養法が利用できる。前記培養法としては固体培養法(寒天培地にて培養を行う培養法)が挙げられる。
固体培養法として具体的には、混釈法、平板塗沫法、スパイラル法等が挙げられる。混釈法は、試験試料(検体又は検体を希釈液で希釈した希釈物)を、加温溶解した寒天培地と混和し、冷却固形化して培養する方法である。平板塗沫法は、試験試料を、寒天培地上に塗抹して培養する方法である。スパイラル法は、試験試料を、機器等を使用して濃度勾配を付けて培地上にプレーティングする方法である。
希釈液としては、特に限定されず、生理食塩水、上述した非特許文献3に記載の希釈液(A)(食品衛生検査指針に記載された嫌気性検体希釈液)等の公知の希釈液が利用できる。
本発明における培養条件は、ロンガム種の培養条件として公知の培養条件を利用できる。
コロニー数のカウントは、通常、嫌気条件下、37℃で48時間程度培養した後に、目視にて行う。
前記培地において、L−アラビノースの濃度は、培地の総質量に対し、2〜3質量%であることが好ましい。2〜2.5質量%がさらに好ましい。
なお、本発明の培地に含まれない、前記L−アラビノース以外の糖源としては、例えばグルコース、デンプン、スクロース、ラフィノース、ガラクトース、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
前記培地は、L−アラビノース以外の成分を含有してもよい。以下、前記培地を構成する、糖源として唯一含まれるL−アラビノース以外の成分を基礎培地成分と記載する。
基礎培地成分としては、酵母エキス、肉エキス、ペプトン等の窒素源;塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のナトリウム塩、L−システイン塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の塩類;を例示することができる。これらのうち、前記本発明の測定方法に用いられる培地は、窒素源として酵母エキス、肉エキス、及びペプトンを含有する。
酵母エキスは、酵母を原料として自己消化酵素などによって適度に分解された栄養源であり、具体的には、Yeast Extract(BD社製)等を例示することができる。肉エキスは、肉の浸出液から得られる栄養源であり、ペプトンに備わっていないミネラル、リン酸、エネルギー源等の必須な要素を付与することにより、ペプトンの栄養素の特性を補完する栄養源である。具体的には、'LAB-MEMCO' powder(OXOID社製)等を例示することができる。ペプトンは、牛乳カゼイン、獣肉、大豆タンパク質等をタンパク質分解酵素又は酸で部分的に加水分解したものである。具体的には、BactoTM peptone(BD社製)等を例示することができる。
培地1000mL中、酵母エキスの含有量は、1.8〜4.2g/1000mLが好ましい。より好ましくは2.7〜4.2g/1000mLである。
肉エキスの含有量は、6.0〜14.0g/1000mLが好ましい。より好ましくは9.0〜14.0g/1000mLである。
ペプトンの含有量は、6.0〜14.0g/1000mLが好ましい。より好ましくは9.0〜14.0g/1000mLである。
上記酵母エキス、肉エキス、ペプトンそれぞれの含有量(g/1000mL)は、培地1000mL中に含まれる固形分量(g)を示す。
培地中、前記塩類の含有量は、培地1000mL中、5〜15g/1000mLが好ましい。
ただし、本発明の測定方法に用いられる培地は、培地中に、硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンのいずれも含有しない。すなわち、硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンをいずれも含有されていないことが、ロンガム種のコロニーを判別可能な大きさ(たとえば直径0.7mm以上)に生育させるために好ましい。
前記他の成分としては、特に限定されず、一般的に培地に添加されている成分を含有できる。たとえば生菌数測定の際に培養法として固体培養法を用いる場合は、寒天が配合される。寒天は、通常、最終的に得られる培地中の濃度が1.5%程度となるように配合される。
なお、ロンガム種のコロニー生育と生菌数への影響を及ぼさない範囲で、任意の抗生物質を添加することが可能である。
たとえば、同じくL−アラビノースの資化性を有するアニマリス種(ラクティス種)であっても、本発明の培地において形成されるコロニーの大きさは、ロンガム種よりも小さいものとなる。
L−アラビノースの資化性を有さないビフィズス菌種(たとえばブレーベ種、インファンティス種等)の場合、前記コロニーの大きさはさらに小さいものとなる。コロニーの大きさに違いが生じる理由としては、上記培地組成が、ロンガム種以外のビフィズス菌種のコロニー形成能を低下させることが考えられる。
そのため、ロンガム種を含む複数種のビフィズス菌が混在する製品を本発明の培地を用いて培養すると、コロニーや菌の形態を判別しなくても、大きく生育したコロニー数を計測することで、ロンガム種のみを識別して、その生菌数を測定でき、簡便である。また、その測定値は、前記BL寒天培地に無菌脱繊血液を加えた培地のような既存の培地と同程度正確なものである。
したがって、本発明の培地は、ロンガム種を含む複数種のビフィズス菌が混在する製品中のロンガム種の生菌数を培養法により測定するための選択培地として有用である。
さらに本発明の培地は、無菌脱繊血液のように入手困難な材料を必要としないため、調製も容易である。
上記効果を得るうえでは、窒素源として、ペプトン、肉エキス、酵母エキスの各成分が所定濃度で組み合わされることが重要である。
なお、硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンは、本発明の培地中に含有されないことが、コロニーの生育を良好にさせるために好ましい。
具体例を挙げると、まず、酵母エキス、肉エキス及びペプトンに、寒天、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、L−システイン塩酸塩等の任意成分と共に水を加えて溶解して基礎培地を調製する。この時点の基礎培地中の各成分濃度は、最終濃度から計算して1.25倍程度とする。次に前記基礎培地に対し、オートクレーブにより121℃15分間の滅菌処理を行う。
別途、糖(L−アラビノース)を水で溶解させることにより糖溶液を調製する。この時点の糖溶液中の糖濃度は、最終濃度から計算して5倍程度とする。次にフィルター滅菌により前記糖溶液の滅菌処理を行う。
そして、前記基礎培地と糖溶液とを4:1の割合(体積比)にて混合することにより、各成分を所望の濃度で含む培地が得られる。本明細書中、培地1000mLとは、基礎培地成分及び糖を、水で希釈して全量が1000mLとしたものを表す。
<試験例1:L−アラビノース濃度についての検討>
基礎培地として、1.8gの酵母エキス(Yeast Extract、BD社製)、6.0gの肉エキス('LAB-LEMCO' powder、OXOID社製)、6.0gのペプトン(Bacto peptone、BD社製)、3.0gの塩化ナトリウム、1.8gの酢酸ナトリウム、0.3gのL−システイン塩酸塩、15gの寒天を秤量し、これに水を加えたものを基礎培地として使用した。
L−アラビノースを、培地中の最終濃度が表1に示す糖濃度となるように、水で溶解させて糖溶液を調整した。そして前記基礎培地と糖溶液を混合することにより、培地1−1〜1−4を調製した。表1中、「%」は「質量%」を表す。
試験試料として、BB536菌末(森永乳業社製、1.2×1011/g含有品)を使用した。
生菌数測定の際に試験試料を希釈する希釈液としては、0.85%生理食塩水を用いた。
試験試料(BB536菌末)を希釈液(0.85%生理食塩水)で希釈して測定試料を調製した。
前記測定試料を、予め45℃に加熱して溶解させた培地(1−1〜1−4)とともに混釈法によりプレートに撒き、寒天が固まり培地を形成した後、嫌気条件下にて37℃、48時間の培養を行った。培養後、培地に生育したコロニー数を目視により測定し、前記測定値から、試験試料中の生菌数値を算出した。
その結果を表3に示す。また、前記コロニーの直径(mm)を0.1mm目盛のスケールにより測定し、その平均値を求めた。前記平均値を「コロニー直径」として表3に示す。
表2に示す各基礎培地成分を含む基礎培地A、B、B−1、又はB−2であって、各基礎培地中の各成分の濃度(1.0倍の濃度)を表3に示す倍率の濃度としたものを用いることにより、基礎培地における有効成分濃度の検討を行った。表3に示す濃度の倍率は、基礎培地1000mL中、表2に示す各基礎培地成分の濃度を基準(1.0倍)とした場合に、基礎培地1000mL中、表2の配合比を維持しながら各基礎培地成分の濃度を変更した割合を示す。
一般的に、ビフィズス菌の生菌数測定には、RCA培地(Reinforced Clostridial Medium Agar)、MRS培地(de Man Rogosa and Sharpe)にL−システイン塩酸塩を添加したmMRS培地(modified MRS培地)などが使用されている。そこで、RCA培地、mMRS培地の培地組成を参考に、表2に示す基礎培地成分をそれぞれ含む基礎培地を調製した。
上記の各基礎培地に、寒天を最終濃度(L−アラビノース添加後の濃度)が、培地の総質量に対し、1.5質量%になるように添加し、さらにL−アラビノースを最終濃度が、培地の総質量に対し、2質量%になるように添加して各培地2−1〜2−11を調製した。
得られた培地を用いて、試験例1と同様にして、培養法による生菌数の測定を行った。
その結果を表3に示す。
一方、濃度が1.6〜1.8倍の培地2−5〜2−6では、コロニーが5.0×109未満であり、生菌数値も実菌数に比べて大幅に低い値となっていた。よって、基礎培地として、基礎培地Aの各成分の濃度が0.6倍〜1.4倍の範囲内である基礎培地が有効であることが確認された。
この結果から、1000mL中に1.8〜4.2gの酵母エキス、6.0〜14.0gの肉エキス、6.0〜14.0gのペプトンを含む基礎培地が本発明における基礎培地として有効であると判断された。
また、基礎培地Bと同じ組成を用いた培地2−7〜2−9では、形成されたコロニーの直径が小さく、目視で計測することが比較的困難なものであり、生菌数値も7.5×1010/g以下であった。
よって、基礎培地Bの組成は、糖の資化性を利用した生菌数測定の基礎培地としては不適であることが分かった。
また、基礎培地Bからポルソルベート、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、クエン酸アンモニウム、L−システイン塩酸塩を除去した基礎培地B−1では、コロニー直径が0.9mmであったのに対し、基礎培地B−1に硫酸マグネシウム、硫酸マンガンを添加した基礎培地B−2では、コロニー直径が0.6mmであった。
このことから、ロンガム種は、主に硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンを添加しないことがコロニー直径を判別可能な大きさに生育させる要因であると考えられた。
これらの結果から、公知の組成の培地における糖源を単にL−アラビノースに変換すれば、ロンガム種の生菌数測定を容易かつ精度よく行うことができるという訳ではなく、窒素源として、ペプトン、肉エキス、酵母エキスの各成分が所定濃度で組み合わされることが必須であること、硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンを添加しないことが有効であること、がそれぞれ示された。
ビフィズス菌として、ブレーベ種 ATCC 15700T株、ブレーベ種 M−16V株、ロンガム種 ATCC 15707T株、ロンガム種 BB536株、ラクティス種 DSM 10140T株を用いた。上付き文字Tは基準株であることを示す。
上記のうち、ブレーベ種 M−16V株は受託番号:BCCM/LMG23729にて寄託されており、ロンガム種 BB536株は受託番号:ATCC BAA−999にて寄託されている。
表4にブレーベ種、インファンティス種、ロンガム種、ラクティス種のL−アラビノースの資化性を示す。
上記の各基礎培地に、寒天を最終濃度(L−アラビノース添加後の濃度)が、培地の総質量に対し、1.5質量%になるように添加し、さらに、糖としてD−グルコース、又はL−アラビノースを添加して、各培地3−1〜3−14を調製した。このとき、D−グルコースは最終濃度が、培地の総質量に対し、1質量%になるように添加し、L−アラビノースは最終濃度が2質量%になるように添加した。
希釈した培養液を、予め45℃に加熱して溶解させた培地(3−1〜3−14)とともに混釈法によりプレートに撒き、寒天が固まった後、嫌気条件下にて37℃、48±2時間の培養を行った。培養後、培地に生育したコロニーの直径(mm)を試験例1と同様に測定した。その結果を表5に示す。
表5中、N.T.は試験(培養、及びコロニー直径の測定)を行っていないことを示す。また、表5中、「%」は「質量%」を表す。
1質量%のD−グルコースを添加した培地(3−5〜3−7)の場合、培地成分濃度に比例して、形成されるコロニー直径が大きくなっており、培地成分濃度が0.6倍以上の培地ではいずれの菌種でも直径0.7mm以上のコロニーが形成されたが、菌種間の差は見られなかった。
2質量%のL−アラビノースを添加した培地(3−8〜3−14)の場合、培地濃度が0.45倍以上の時に、2株のロンガム種がいずれも直径0.8mm以上のコロニーを形成した。一方、他の菌種ではいずれの菌株でも小さなコロニーしか形成されなかった。たとえばL−アラビノースの資化性を有するラクティス種のDSM10140T株でも最大0.6mmであり、他の菌株では0.3mm以下であった。
これらの結果から、特定の基礎培地に所定量のL−アラビノースを添加した培地を用いることによって、ラクティス種のようなL−アラビノースの資化性を有する他のビフィズス菌種が混在していても、ロンガム種のみを識別して、その生菌数を容易に測定できることが示された。
つまり、上記培地を用いることにより、ロンガム種のコロニーのみを大きく形成させ、その生菌数を容易に測定できることが示された。
試験試料として、試験例3で調製したロンガム種 ATCC 15707T株の培養液を用い、培地として、試験例3で調製した培地3−8〜3−14、及びRCA培地を用いて、試験例1と同様にして、培養法による生菌数の測定を行った。その結果を表6に示す。表6中、「%」は「質量%」を表す。
よって、表2に示した基礎培地成分Aの0.6〜1.4倍の濃度で窒素源(タンパク質、ペプチド等)を含む培地、つまり、培地1000mL中、1.8〜4.2gの酵母エキス、6.0〜14.0gの肉エキス、及び6.0〜14.0gのペプトンを含有する基礎培地に、L−アラビノースを特定量添加した培地を用いることで、公知の培地と同程度正確に、ロンガム種の生菌数を測定することが可能であることが示された。
ロンガム種BB536株の菌末及びブレーベ種M−16V株の菌末の両方を配合していることが分かっている粉ミルク製品を用意した。
培地として、馬脱繊血液入りのBL寒天培地(従来、コロニー形状による区別が可能な培地とされている培地)、RCA培地(2株のビフィズス菌のコロニーが形成することが知られている培地)、下記の基礎培地にL−アラビノースを2%添加した培地(本発明培地)、の3種を用いて、前記粉ミルク製品中の各菌種の生菌数を、試験例1と同様に測定した。ただしBL培地のみ、混釈法ではなく塗沫法により培養を行った。
基礎培地:培地1000mL中に、2.5gの酵母エキス、8.2gの肉エキス、8.2gのペプトン、4.1gの塩化ナトリウム、4.1gの酢酸ナトリウム、0.41gのL−システイン塩酸塩、及び15gの寒天を含む基礎培地。
BL培地を用いた例では、前記BL培地上に生育させたコロニーの形状、検鏡により、ロンガム種とブレーベ種を分離して計測した。その合算値を2種合計の生菌数値として表示した。
RCA培地、及び本発明培地を用いた例では、生育して得られたコロニー数から生菌数を計測した。
なお、表7中、「−」は、コロニーの大きさが0.2mm未満であったためカウントしなかったものを示す。また、表7中、「%」は「質量%」を表す。
一方、RCA培地を用いて測定された生菌数値は、馬脱繊血液入りのBL培地を用いて測定されたロンガム種及びブレーベ種の合計の生菌数値と同等であった。よって、RCA培地を用いた場合、ロンガム種、及びブレーベ種の生菌数を区別することができなかった。
Claims (4)
- 培地を用いてビフィドバクテリウム属に属する微生物を含有する被検菌からビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(Bifidobacterium longum subsp. longum)に属する微生物のみの生菌数を測定する方法であって、
前記培地が以下の1)〜5)を満たすこと、
前記被検菌が、前記ビフィドバクテリウム属に属する微生物として、前記ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムに属する微生物と、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)に属する微生物、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)に属する微生物、及びビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis)に属する微生物からなる群から選択される少なくとも1種の微生物と、を含有すること、及び
前記生菌数の測定が、前記被検菌を前記培地にて嫌気条件下、37℃で48時間培養した後に、前記培地に形成される直径0.7mm以上のコロニーを計測することを特徴とする方法:
1)糖源としてL−アラビノースのみを含有する、
2)前記培地中の前記L−アラビノースの濃度が、培地の総質量に対して2〜3質量%である、
3)窒素源としてペプトン、肉エキス、及び酵母エキスを含有する、
4)前記ペプトンの含有量が6.0〜14.0g/1000mL、前記肉エキスの含有量が6.0〜14.0g/1000mL、及び前記酵母エキスの含有量が1.8〜4.2g/1000mLである、
5)硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンのいずれも含有しない。 - 前記ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムに属する微生物が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム・BB536株である請求項1に記載の方法。
- 前記ビフィドバクテリウム・ブレーベに属する微生物が、ビフィドバクテリウム・ブレーベ・M−16V株である請求項1または2に記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載された方法に用いられるビフィドバクテリウム属に属する微生物を含有する被検菌からビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムに属する微生物のみの生菌数を測定するための培地であって、
糖源としてL−アラビノースのみを含有し、
前記L−アラビノースの濃度が、培地の総質量に対して2〜3質量%であり、
酵母エキスを1.8〜4.2g/1000mL、肉エキスを6.0〜14.0g/1000mL、及びペプトンを6.0〜14.0g/1000mL含有し、
硫酸マグネシウム、及び硫酸マンガンのいずれも含有しない培地。
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