JP2011105676A - 有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 - Google Patents
有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 Download PDFInfo
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Abstract
Description
また、有機電界発光素子の各層の形成方法としては、蒸着成膜法や湿式成膜法がある。蒸着成膜法では、テレビやモニタ用の中・大型フルカラーパネルなどを製作する場合、歩留まりの観点で課題を有する。そのため、中でもこれら大面積の用途には湿式成膜法が好適である。
piq)3は、有機溶剤に対する溶解度が低く、また特許文献2に記載のIr(nHexpiq)3は、湿式成膜後の化合物の安定性が悪く、湿式成膜法に用いることが難しかった
。
見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記式(1)で表されることを特徴する、有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機EL表示装置及び有機EL照明に存する。
但し、R1〜R8のいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR1〜R8のいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、一分子中に複数個存在するR1〜R8は、各々同一でも異なっていてもよい。)
尚、本発明において、芳香環とは、「芳香族炭化水素基」と「芳香族複素環基」の両方を意味するものとする。
<有機金属錯体>
本発明の有機金属錯体は、下記式(1)で表されることを特徴とする有機金属錯体である。
但し、R1〜R8のいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR1〜R8のいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、一分子中に複数個存在するR1〜R8は、各々同一でも異なっていてもよい。)
本発明の有機金属錯体は、フッ素原子を有するため、中心金属であるIrとの配位結合が強固となる。また、炭素数3以上のアルキル基を有することで、有機溶剤に対する溶解性が向上し、かつ分子が良好に分散するようになる。その為、経時的な結晶化が起き難いため、本発明の有機金属錯体を用いて形成された膜は、膜均一性に優れる。これより、素子とした場合の駆動寿命や、溶液中あるいは成膜中での環境の影響および熱処理に対しての耐久性が向上するものと推測される。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱安定性も良好である点で好ましい。
炭素数3以上のアルキル基の具体例としては、直鎖のアルキル基および分岐のアルキル基、環状のアルキル基などであり、より具体的には、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
<R1〜R8>
R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子を含む基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
特にR3は芳香族炭化水素基であることが好ましく、R3は炭素数3以上のアルキル基
を置換基として有する芳香族炭化水素基であることが好ましい。R3が芳香族炭化水素基であると、Irと炭素原子との結合が強固となり、金属錯体がより安定化される。
また、芳香族炭化水素基に炭素数3以上のアルキル基を有することで、有機溶剤に対する溶解性が向上し、また金属錯体の外周部に劣化を受けやすいアルキル基を配することで、錯体の分解安定性が向上する。
上記アルキル基、アルコキシ基、又は芳香族環基が、フッ素原子を置換基として有する場合、部分的にフッ素化されていてもよく、水素原子の全てがフッ素化されていてもよい。
該炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。
該飽和炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
直鎖のアルキル基であっても、分岐したアルキル基であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基などのアルキル基が挙げられる。
該アルケニル基としては、通常炭素数2以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、通常12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
該アルキニル基としては、通常炭素数2以上、好ましくは3以上、通常8以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
該芳香族炭化水素基としては、通常炭素数6以上、通常16以下、好ましくは14以下、さらに好ましくは10以下である。
上記範囲内であると、化合物の安定性が良好であり、また金属錯体が形成し易い点で好ましい。
基)であることが好ましい。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの芳香族複素環由来の基が挙げられる。
R1〜R8が、アルキル基、アルコキシ基または芳香族環基である場合、これらは置換基を有していてもよい。
該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシ基、(ヘテロ)アリールオキシ基、アルキルチオ基、(ヘテロ)アリールチオ基、シアノ基、アミノ基などの有機基が挙げられる。
尚、上記(ヘテロ)アリールとは、アリール及びヘテロアリールの両方を示す。
該アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられる。中でも、n−ペンチル基などのペンチル基、n−ヘキシル基および2−エチルヘキシル基などのヘキシル基は非極性溶剤に高い溶解性を持つため好ましい。
ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの芳香族炭化水素由来の基が挙げられる。
ル環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの芳香族複素環由来の基が挙げられる。
該(ヘテロ)アリールオキシ基としては、炭素数3〜20の(ヘテロ)アリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、9−アントラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基等が挙げられる。
該(ヘテロ)アリールチオ基としては、炭素数3〜20のが(ヘテロ)アリールチオ基好ましく、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、9−アントラニルチオ基、2−チエニルチオ基等が挙げられる。
尚、上記式(1)において、R1〜R8のいずれか1つは、置換基を有していてもよいアルキル基であるが、特に、R7が置換基を有していてもよいアルキル基であることが、錯体の安定性のため好ましく、R7が置換基を有していてもよい炭素数5以上のアルキル基であることがより好ましい。
尚、上記式(1)において、1分子中に複数個存在するR1〜R8は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明の上記式(1)で表される有機金属錯体の分子量は、通常850以上、好ましくは900以上、通常3000以下、好ましくは2000以下である。上記範囲内であると、錯体の安定性が良好である。
本発明の有機金属錯体は、有用な赤色発光を得られる点で、式(1)中のR5とR6とが結合してベンゼン環を形成していることが好ましい。
より具体的には、式(1)中のR5とR6とが結合してベンゼン環を形成している化合物は、下記式(2)で表される。
但し、R1〜R4、R7、及びR8のいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR1〜R4、R7、及びR8のいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、一分子中に複数個存在するR1〜R4、R7、及びR8は、各々同一でも異なっていてもよい。)
式中の、R1〜R4、R7、及びR8は、式(1)におけるものと同義である。具体例及び好ましい態様も同様である。
以下に、本発明の有機金属錯体の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の金属錯体化合物は、既知の方法の組み合わせなどにより合成され得る、配位子を用い、配位子とIr化合物により合成することができる。
金属錯体の合成方法について下記に図示し説明する。おおまかには式1)に示すように一段階でトリス錯体を形成する方法と、式2)のようにIr2核錯体のような中間体を形成させたのちにトリス体を形成させる方法があるが、これに限定されるものではない。
この際、配位子を過剰量もちいて反応を促進することもできるし、少量用いて選択性を高めても良い。また、配位子を複数種類用い、逐次的に添加し、混合配位子錯体を形成し
てもよい。
式1)同様に反応の効率および選択性を考慮し、実際の配位子とIr化合物の仕込み比
は適当に調整することができる。式2)の場合、最後に添加する配位子を最初の配位子と異なるものを用いることにより、簡便に混合配位子錯体を形成できる。
本発明の有機金属錯体は、有機電界発光素子に用いられる材料、すなわち有機電界発光素子材料として好適に使用可能であり、有機電界発光素子やその他の発光素子等の発光材料としても好適に使用可能である。
<有機金属錯体含有組成物>
本発明の有機金属錯体は、溶解性に優れることから、溶剤とともに使用されることが好
ましい。以下、本発明の有機金属錯体と溶剤とを含有する組成物(有機金属錯体含有組成物)について説明する。
つまり、有機金属錯体含有組成物は、有機電界発光素子用組成物であることが好ましく、更に発光層形成用組成物として用いられることが特に好ましい。
該溶剤は、溶質である本発明の有機金属錯体や後述の電荷輸送性化合物が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、好ましい溶剤としては以下のものが挙げられる。
例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
溶剤の沸点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上である。通常沸点270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。この範囲を下回ると、湿式成膜時において、組成物からの溶剤蒸発により、成膜安定性が低下する可能性がある。
厚みが稼げなくなるため、成膜が困難となる傾向がある。
本発明の有機金属錯体含有組成物を用いて、有機電界発光素子の発光層を形成する場合には、本発明の有機金属錯体をドーパント材料とし、他の電荷輸送性化合物をホスト材料として含むことが好ましい。
本発明の有機金属錯体含有組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、該組成物を100重量部とすると、通常1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
の有機金属錯体含有組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に、更に他の化合物を含有していてもよい。例えば、上記の溶剤の他に、別の溶剤を含有していてもよい。そのような溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
アシストドーパントとは、電荷輸送能の補助や、発光特性(発光色の調整、発光効率の向上)の補助のために用いられるものである。
アシストドーパントとしては、電荷輸送性化合物と類似の骨格を分子内に含み、同程度の電荷輸送能を有する化合物と、発光材料と同程度の発光機能を有する化合物が挙げられる。
上記燐光発光性金属錯体としては、以下の二通りの機能が考えられる。
該燐光発光性金属錯体が、本発明の有機金属錯体よりも短波長で発光する場合、該燐光発光性金属錯体の励起エネルギーの一部を、本発明の有機金属錯体に受け渡し、発光を効率的に行うことができる。これより、素子とした場合に、発光効率や駆動寿命を向上させることができる。
つまり、素子とした場合に、色純度をより向上させることができる。
構造面では、電荷輸送性化合物と類似の構造を含む化合物としては、カルバゾール環を含むイリジウム錯体などが好ましく、また本発明の式(I)で表される骨格で、ハロゲン原子を含む基を有さない錯体などが挙げられる。
<アシストドーパントの具体例>
更に、上記アシストドーパントは、1種又は2種以上を併用して用いてもよく、2種以上を併用して用いる場合は、合計含有量が本発明の有機金属錯体の含有量より少ない方が好ましい。
<有機電界発光素子>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極および該陽極と該陰極の間に、有機層を有し、該有機層が上記本発明の有機金属錯体を含有することを特徴とする。該有機層としては、以下詳述の通り、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層などいずれでもよいが、本発明の有機金属錯体を含有する有機層は発光層であることが好ましい。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、
陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極から発光層へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極上に形成される。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
く、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Ar1〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン
環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
R9及びR10が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
モニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常1
00モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるた
めには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層は、正孔注入層がある場合には正孔注入層の上に、正孔注入層が無い場合には陽極の上に形成することができる。 また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層
を省いた構成であってもよい。
アジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ara又はArbが異なっているものであってもよい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
Ara及びArbにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR2―、―PR―、―SR―、―CR2―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
し単位を有することが好ましい。
Arc〜Arjの具体例としては、前記式(II)における、Ara及びArbと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008-98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であることが、上に形成される層(特に、発光層)の膜が、より均一に成膜できる点で好ましい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性
化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
このようにして形成される正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[発光層]
正孔注入層の上、または正孔輸送層を設けた場合には正孔輸送層の上には発光層が設けられる。発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入された正孔と、陰極
から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよいが、本発明の有機金属錯体を用いることが好ましい。
更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、低分子量の材料(分子量通常10000以下、好ましくは5000以下)を使用することが好ましい。
湿式成膜法により発光層を形成する場合は、発光層に用いる材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物(本発明の有機金属錯体を含む場合は有機金属錯体含有組成物)を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、上記本発明の有機金属錯体含有組成物に含有される溶剤として説明したものと同様である。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
[電子注入層]
電子注入層5は陰極から注入された電子を効率よく発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属が用いられる。
また、陰極と発光層又は後述の電子輸送層8との界面にLiF、MgF2、Li2O、Cs2CO3等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−7458
6号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest ,154頁)。
なお、電子注入層5は、これを省略してもよい。
[陰極]
陰極は、発光層側の層(電子注入層5又は発光層など)に電子を注入する役割を果たす。陰極として用いられる材料は、前記陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
[その他の構成層]
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極及び陰極と発光層との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層以外の任意の層を省略してもよい。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層は、正孔注入層と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
また、特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、図3に示す如く、正孔阻止層を設けることも効果的である。正孔阻止層は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層は、発光層から移動してくる正孔が電子輸送層に到達するのを阻止することで、発光層内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、電子輸送層8から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
正孔阻止層の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層も正孔注入層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
正孔阻止層と同様の目的で、正孔注入層と発光層の間に電子阻止層を設けることも効果的である。電子阻止層は、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止
することで、発光層内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割がある。
このため、電子阻止層も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層に用いられる材料としては、本発明の有機化合物の他、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV2O5等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
[化合物D−1の合成]
ン酸(5.0g, 16.6mmol)、トルエン(180ml)、エタノール(90ml)の混合物にリン酸カ
リウム(21.2g, 100mmol)水溶液(H2O 45ml)を加え、撹拌しながら30分窒素バブリングを行った。そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.576g, 0.5mmol
)を加え、110℃で3.5時間撹拌した。TLCで原料の消失を確認後1N塩酸水溶液を加えpH=7.0にした後、トルエンで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄、硫酸ナトリウムで乾
燥後、減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体2(4.82g,収率95%)を得た。
し15分撹拌後ト゛ライアイスバスを外して室温中4時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム
溶液を加え撹拌後酢酸エチルで抽出し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体3(2.75 g, 収率59 %)を得た。
を50ml加え生じた沈殿をろ過しメタノールで洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノールで再沈殿を行い化合物D−1(341 mg, 収率7.6 %)を得た。
[化合物D−2の合成]
ライト濾過した。ロエキを減圧濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、中間体4(25.7 g, 収率87%)を得た。
ルエン(150 ml)の混合物にリン酸カリウム(10.35 g,49 mmol)、2-ジシクロヘキシル
フォスフィノ-2,6-ジメトキシビフェニル(1.468g、3.6mmol)を加え、撹拌しながら1時
間窒素バブリングを行った そこに酢酸パラジウム(0.365g、1.6mmol)を加え、3.5時間加熱還流した。反応液に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を減圧濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、中間体6(12.9 g、収率98%)を得た。
気を行った。放冷した後、Ir(acac)3(5.22g、10.6mmol)を添加し、そのまま200℃に昇温して反応した。(acetylacetoneの留出を確認。)約60℃まで降温し、MeOHと水を加えて
、塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、DME/MeOHにて再沈殿を行い、濃赤色結晶の目的物である化合物D−2(2.5g)を得た。
電荷輸送性の化合物と混合した状態での安定性を調べるため、下記のような測定にて混合薄膜の大気下放置状態における性能の保持状況を確認した。
<測定例1>
下記構造式に示す電荷輸送性化合物E−1および本発明の有機金属錯体D−1([化合物D−1の合成]で合成した、化合物D−1)をモル比で10:0.0062に測り、ト
ルエン(純正化学社製、特級)に溶解して1wt%(E−1とD−1の合計濃度)溶液を調製した。得られた溶液を大気中にて2cm×3cm各の石英板上に均一にスピンコーターで1500rpmで成膜し、165℃のホットプレート上に置き、真空下5分間乾燥させて有機金属錯体含有膜を得た。
R(%) = (1時間後の量子収率)/(成膜直後の量子収率)を求めた。
<測定例2>
測定例1において、化合物D−1に変えて、本発明の有機金属錯体D−2([化合物D−2の合成]で合成した、化合物D−2)を用いた以外は、上記測定例1と同様にしてR値(%)を求めた。結果を表1に示す。
測定例1において、化合物D−1に変えて、下記構造式の有機金属錯体D−3を用いた以外は、上記測定例1と同様にしてR値(%)を求めた。結果を表1に示す。
[LDI−MS]
錯体の安定性を確認するため、下記方法により、レーザー照射操作時の金属錯体の分解の程度について測定を行った。
D−1をトルエン(純正化学、特級)に溶かし、0.05wt%の濃度とし、(MALDI−MS)専用試料プレート上に均一に塗布、風乾させて試料スポットを作製した。このようにして得られた試料プレートを装置内にセットし、減圧下にLDI−MS分析した。レーザー強度はドーパントイオン(主ピーク)強度が検出器飽和しない程度(<106シグナルカウント)になるように設定した。またレーザー照射位置についてはスペクトルが均質となるよう、試料スポットの全領域をまんべんなく照射した。
・レーザー : 窒素レーザー(337nm)
・検出イオン: 正イオン検出
結果を表2に示す。
<測定例5>
測定例4において、化合物D−1を、化合物D−2に変更した外は、測定例4と同様にして、R値を測定した。
<測定例6>
測定例4において、化合物D−1を、化合物D−3に変更した外は、測定例4と同様にして、R値を測定した。
結果を表2に纏める。
(実施例1)
[有機電界発光素子の作成]
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
溶剤 安息香酸エチル
塗布液濃度 PB−1 2.0重量%
A−2 0.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数 2250rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気下 25℃
乾燥条件 230℃×60分
上記のスピンコートにより膜厚40nmの均一な薄膜が形成された。
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 PB−2 1.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 乾燥窒素中 25℃
乾燥条件 230℃×60分 (乾燥窒素下)
上記のスピンコートにより膜厚20nmの均一な薄膜が形成された。
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
組成物中濃度 HO−1: 1.25重量%
HO−2: 3.75重量%
D−5: 0.25重量%
D−1: 0.35重量%
<スピンコート条件>
スピナ回転数 2000rpm
スピナ回転時間 120秒
乾燥条件 130℃×60分(減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚60nmの均一な薄膜が形成された。
ここで、電子輸送層までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.3×10−6Torr(約3.0×10−4Pa)以下になるまで排気した。
次に、電子注入層の上に、陰極として、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜3.0nm/秒、真空度3.3〜7.5×10−6Torr(約4.4〜10.0×10−4Pa)で成膜して膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰
極を完成させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
素子の発光スペクトルの極大波長は603nmであり、イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
実施例1において、発光層を形成する際に用いた化合物D−1を、化合物D−2に変更した以外は、実施例1と同様にして素子を作成した。
(比較例1)
実施例1において、発光層を形成する際に用いた化合物D−1を、下記式で表される化合物D−4に変更した以外は、実施例1と同様にして素子を作成した。
(参考比較例)
下記構造式で表される化合物D−6の、トルエン及びシクロヘキシルベンゼンに対する、室温(25℃)での溶解性試験を行った。いずれにも0.1wt%未満であった。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
Claims (12)
- 下記式(1)で表されることを特徴とする、有機金属錯体。
(式中、R1〜R8は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
但し、R1〜R8のいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR1〜R8のいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有するアルコキシ基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、R1〜R8は、各々隣接するR1〜R8と結合して環を形成してもよい。
また、一分子中に複数個存在するR1〜R8は、各々同一でも異なっていてもよい。) - 下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の有機金属錯体。
(式中、R1〜R4、R7、及びR8は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
但し、R1〜R4、R7、及びR8のいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR1〜R4、R7、及びR8のいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、R1〜R4、R7、及びR8は、各々隣接するR1〜R4、R7、及びR8と結
合して環を形成してもよい。
また、一分子中に複数個存在するR1〜R4、R7、及びR8は、各々同一でも異なっていてもよい。) - 前記式(1)において、R2が、ハロゲン原子を含む基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機金属錯体。
- 前記式(1)において、R3が、置換基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなることを特徴とする、発光材料。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなることを特徴とする、有機電界発光素子材料。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機金属錯体及び溶剤を含有することを特徴とする、有機金属錯体含有組成物。
- 陽極および陰極の間に発光層を有する有機電界発光素子において、
該発光層が、請求項7に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層であることを特徴とする、有機電界発光素子。 - 前記発光層に隣接して、正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が湿式成膜法で形成された層であることを特徴とする、請求項8に記載の有機電界発光素子。
- 前記正孔輸送層が架橋性化合物を架橋させて形成された層であることを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光素子。
- 請求項8〜10いずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL表示装置。
- 請求項8〜10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL照明。
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