JP2011105676A - 有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 - Google Patents

有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機el表示装置及び有機el照明 Download PDF

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Toshiaki Yokoo
敏明 横尾
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拓也 鳩崎
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敬史 大谷
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Abstract

【課題】溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適した有機金属錯体を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されることを特徴とする、有機金属錯体。
Figure 2011105676

(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、芳香族環基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子の発光層等に用いられる有機金属錯体に関する。
近年、薄膜型の電界発光素子としては、無機材料を使用したものに代わり、有機薄膜を用いた有機電界発光素子の開発が行われるようになっている。有機電界発光素子は、通常、陽極と陰極との間に、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層などを有し、この各層に適した赤、緑、青などの発光素子の開発が進んでいる。
また、有機電界発光素子の各層の形成方法としては、蒸着成膜法や湿式成膜法がある。蒸着成膜法では、テレビやモニタ用の中・大型フルカラーパネルなどを製作する場合、歩留まりの観点で課題を有する。そのため、中でもこれら大面積の用途には湿式成膜法が好適である。
しかしながら、湿式成膜法で有機電界発光素子の各層を形成するためには、各層を形成する材料が溶剤に溶解し、かつ湿式成膜後にも素子として高い性能を有することが望まれていた。しかし、従来開発されている蒸着成膜法に使用されてきた材料、例えば特許文献1に記載の化合物Ir(piq)やIr(pq)及び特許文献2に記載のIr(FM
piq)は、有機溶剤に対する溶解度が低く、また特許文献2に記載のIr(nHexpiq)は、湿式成膜後の化合物の安定性が悪く、湿式成膜法に用いることが難しかった
Figure 2011105676
米国特許第2004−241459号明細書 国際公開第2002/044189号パンフレット
本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、有機溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適した有機金属錯体を提供することを課題とする。また、湿式成膜法で形成される有機層に用いても、得られる有機電界発光素子が寿命や耐久性などの点で高い性能を保つことができる有機金属錯体を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の有機金属錯体が、上記課題を解決できることを
見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記式(1)で表されることを特徴する、有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機EL表示装置及び有機EL照明に存する。
Figure 2011105676
(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
但し、R〜Rのいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR〜Rのいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、R〜Rは、各々隣接するR〜Rと結合して環を形成してもよい。
また、一分子中に複数個存在するR〜Rは、各々同一でも異なっていてもよい。)
尚、本発明において、芳香環とは、「芳香族炭化水素基」と「芳香族複素環基」の両方を意味するものとする。
本発明によれば、溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適した有機金属錯体を提供できる。また、この有機金属錯体を用いた有機電界発光素子は、湿式成膜法で形成される有機層であっても、得られる有機電界発光素子が寿命や耐久性などの点で高い性能を保つことができる。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
<有機金属錯体>
本発明の有機金属錯体は、下記式(1)で表されることを特徴とする有機金属錯体である。
Figure 2011105676
(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
但し、R〜Rのいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR〜Rのいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、R〜Rは、各々隣接するR〜Rと結合して環を形成してもよい。
また、一分子中に複数個存在するR〜Rは、各々同一でも異なっていてもよい。)
本発明の有機金属錯体は、フッ素原子を有するため、中心金属であるIrとの配位結合が強固となる。また、炭素数3以上のアルキル基を有することで、有機溶剤に対する溶解性が向上し、かつ分子が良好に分散するようになる。その為、経時的な結晶化が起き難いため、本発明の有機金属錯体を用いて形成された膜は、膜均一性に優れる。これより、素子とした場合の駆動寿命や、溶液中あるいは成膜中での環境の影響および熱処理に対しての耐久性が向上するものと推測される。
含まれるアルキル基の炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、また好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱安定性も良好である点で好ましい。
炭素数3以上のアルキル基の具体例としては、直鎖のアルキル基および分岐のアルキル基、環状のアルキル基などであり、より具体的には、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
該アルキル基の置換基の具体例は、後述の<R〜Rの置換基>の項で記載したものが挙げられるが、溶解性の観点から、無置換であることが好ましい。
<R〜R
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子を含む基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
中でも、以下に詳述するアルキル基または芳香族炭化水素基が好ましい。
特にRは芳香族炭化水素基であることが好ましく、Rは炭素数3以上のアルキル基
を置換基として有する芳香族炭化水素基であることが好ましい。Rが芳香族炭化水素基であると、Irと炭素原子との結合が強固となり、金属錯体がより安定化される。
また、芳香族炭化水素基に炭素数3以上のアルキル基を有することで、有機溶剤に対する溶解性が向上し、また金属錯体の外周部に劣化を受けやすいアルキル基を配することで、錯体の分解安定性が向上する。
また、R〜Rの少なくとも一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基である。
上記アルキル基、アルコキシ基、又は芳香族環基が、フッ素原子を置換基として有する場合、部分的にフッ素化されていてもよく、水素原子の全てがフッ素化されていてもよい。
中でも、好ましくはフッ素原子、パーフルオロロアルキル基、さらに好ましくは、フッ素原子、トリフルオロメチル基である。
該炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。
該飽和炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。
該アルキル基としては、通常炭素数1以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、通常15以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
直鎖のアルキル基であっても、分岐したアルキル基であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基などのアルキル基が挙げられる。
該不飽和炭化水素基としては、アルケニル基およびアルキニル基が挙げられる。
該アルケニル基としては、通常炭素数2以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、通常12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
具体的には、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などが挙げられる。
該アルキニル基としては、通常炭素数2以上、好ましくは3以上、通常8以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
具体的には、アセチレニル基、プロピニル基などが挙げられる。
該芳香族炭化水素基としては、通常炭素数6以上、通常16以下、好ましくは14以下、さらに好ましくは10以下である。
上記範囲内であると、化合物の安定性が良好であり、また金属錯体が形成し易い点で好ましい。
中でも、6員環の単環、又は2〜5縮合環由来の芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの芳香族炭化水素由来の基が挙げられる。特に、ベンゼン環由来の基(フェニル
基)であることが好ましい。
該アルコキシ基としては、通常炭素数1以上、好ましくは2以上、通常12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
該芳香族複素環基としては、通常炭素数3以上、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上、通常15以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。
上記範囲内であると、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、また熱処理時に酸化劣化し難いため好ましい。
具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの芳香族複素環由来の基が挙げられる。
<R〜Rの置換基>
〜Rが、アルキル基、アルコキシ基または芳香族環基である場合、これらは置換基を有していてもよい。
該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシ基、(ヘテロ)アリールオキシ基、アルキルチオ基、(ヘテロ)アリールチオ基、シアノ基、アミノ基などの有機基が挙げられる。
中でも、アルキル基及びハロゲン原子が、化合物の安定性の面から特に好ましい。
尚、上記(ヘテロ)アリールとは、アリール及びヘテロアリールの両方を示す。
該アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられる。中でも、n−ペンチル基などのペンチル基、n−ヘキシル基および2−エチルヘキシル基などのヘキシル基は非極性溶剤に高い溶解性を持つため好ましい。
該芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜25の芳香族炭化水素基が好ましく、6員環の単環、又は2〜5縮合環由来の芳香族炭化水素基が好ましい。 例えば、ベンゼン環、
ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの芳香族炭化水素由来の基が挙げられる。
該芳香族複素環基としては、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾー
ル環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの芳香族複素環由来の基が挙げられる。
該アルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
該(ヘテロ)アリールオキシ基としては、炭素数3〜20の(ヘテロ)アリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、9−アントラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基等が挙げられる。
該アルキルチオ基としては、炭素数1〜20のアルキルチオ基が好ましく、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
該(ヘテロ)アリールチオ基としては、炭素数3〜20のが(ヘテロ)アリールチオ基好ましく、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、9−アントラニルチオ基、2−チエニルチオ基等が挙げられる。
〜Rは、それぞれ隣接するR〜Rと結合して環を形成していてもよい。該環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環などが挙げられる。
尚、上記式(1)において、R〜Rのいずれか1つは、置換基を有していてもよいアルキル基であるが、特に、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であることが、錯体の安定性のため好ましく、Rが置換基を有していてもよい炭素数5以上のアルキル基であることがより好ましい。
また、Rが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが錯体の安定性のため好ましく、芳香族炭化水素基の中でもベンゼン環由来の基(フェニル基)が好ましい。
尚、上記式(1)において、1分子中に複数個存在するR〜Rは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
[分子量]
本発明の上記式(1)で表される有機金属錯体の分子量は、通常850以上、好ましくは900以上、通常3000以下、好ましくは2000以下である。上記範囲内であると、錯体の安定性が良好である。
[式(2)について]
本発明の有機金属錯体は、有用な赤色発光を得られる点で、式(1)中のRとRとが結合してベンゼン環を形成していることが好ましい。
より具体的には、式(1)中のRとRとが結合してベンゼン環を形成している化合物は、下記式(2)で表される。
Figure 2011105676
(式中、R〜R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
但し、R〜R、R、及びRのいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR〜R、R、及びRのいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
また、R〜R、R、及びRは、各々隣接するR〜R、R、及びRと結合して環を形成してもよい。
また、一分子中に複数個存在するR〜R、R、及びRは、各々同一でも異なっていてもよい。)
式中の、R〜R、R、及びRは、式(1)におけるものと同義である。具体例及び好ましい態様も同様である。
[具体例]
以下に、本発明の有機金属錯体の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011105676
Figure 2011105676
Figure 2011105676
Figure 2011105676
Figure 2011105676
Figure 2011105676
Figure 2011105676
Figure 2011105676
[有機金属錯体の合成方法]
本発明の金属錯体化合物は、既知の方法の組み合わせなどにより合成され得る、配位子を用い、配位子とIr化合物により合成することができる。
金属錯体の合成方法について下記に図示し説明する。おおまかには式1)に示すように一段階でトリス錯体を形成する方法と、式2)のようにIr2核錯体のような中間体を形成させたのちにトリス体を形成させる方法があるが、これに限定されるものではない。
例えば、式1)で表される典型的な反応としては、配位子 3当量とIr(acac)(イリジウムアセチルアセトナート錯体)1当量の反応により金属錯体を得る方法があげられる。
この際、配位子を過剰量もちいて反応を促進することもできるし、少量用いて選択性を高めても良い。また、配位子を複数種類用い、逐次的に添加し、混合配位子錯体を形成し
てもよい。
また、式2)で表される典型的な反応としては、例えば配位子2当量とIrCl・xHO(イリジウムクロライド・x水和物)1当量の反応によりIr原子2個からなる2核金属錯体などの中間対を得たのち、さらに配位子をIrに対し1当量反応させて金属錯体を得る方法が挙げられる。
式1)同様に反応の効率および選択性を考慮し、実際の配位子とIr化合物の仕込み比
は適当に調整することができる。式2)の場合、最後に添加する配位子を最初の配位子と異なるものを用いることにより、簡便に混合配位子錯体を形成できる。
Figure 2011105676
Ir化合物としては上記のIr(acac)3錯体やIrCl・xHO錯体の他に、Irシクロオクタジエニル錯体など、適当なIr化合物を用いても良い。炭酸塩などの塩基化合物、Ag塩などのハロゲントラップ剤、などを併用して反応を促進させてもよい。反応温度は50℃〜400℃くらいの温度が好ましく用いられる。一般的に150℃以上の高温が用いられる。反応は無溶剤で行っても良いし、既知の溶剤をもいいてもよい。高温反応で行う場合、グリセリン等の高沸点溶剤が好ましい。
<有機金属錯体の用途>
本発明の有機金属錯体は、有機電界発光素子に用いられる材料、すなわち有機電界発光素子材料として好適に使用可能であり、有機電界発光素子やその他の発光素子等の発光材料としても好適に使用可能である。
<有機金属錯体含有組成物>
本発明の有機金属錯体は、溶解性に優れることから、溶剤とともに使用されることが好
ましい。以下、本発明の有機金属錯体と溶剤とを含有する組成物(有機金属錯体含有組成物)について説明する。
本発明の有機金属錯体含有組成物は、上述の本発明の有機金属錯体および溶剤を含有する。本発明の有機金属錯体含有組成物は通常湿式成膜法で層や膜を形成するために用いられ、特に有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられることが好ましい。該有機層は、特に発光層であることが好ましい。
つまり、有機金属錯体含有組成物は、有機電界発光素子用組成物であることが好ましく、更に発光層形成用組成物として用いられることが特に好ましい。
該有機金属錯体含有組成物における本発明の有機金属錯体の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、通常99.99重量%以下、好ましくは99.9重量%以下である。組成物の有機金属錯体の含有量をこの範囲とすることにより、隣接する層(例えば、正孔輸送層や正孔阻止層)から発光層へ効率よく、正孔や電子の注入が行われ、駆動電圧を低減することができる。尚、本発明の有機金属錯体は本発明の有機金属錯体含有組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
本発明の有機金属錯体含有組成物に含有される溶剤は、湿式成膜により有機金属錯体を含む層を形成するために用いる、揮発性を有する液体成分である。
該溶剤は、溶質である本発明の有機金属錯体や後述の電荷輸送性化合物が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、好ましい溶剤としては以下のものが挙げられる。
例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類である。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
溶剤の沸点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上である。通常沸点270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。この範囲を下回ると、湿式成膜時において、組成物からの溶剤蒸発により、成膜安定性が低下する可能性がある。
溶剤の含有量は、組成物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、より好ましくは50重量部以上、特に好ましくは80重量部以上、また、好ましくは99.95重量部以下、より好ましくは99.9重量部以下、特に好ましくは99.8重量部以下である。溶剤の含有量がこの下限を下回ると、組成物の粘性が高くなりすぎ、成膜作業性が低下する可能性がある。一方、この上限を上回ると、成膜後、溶剤を除去して得られる膜の
厚みが稼げなくなるため、成膜が困難となる傾向がある。
本発明の有機金属錯体含有組成物を例えば有機電界発光素子用に用いる場合には、上述の有機金属錯体や溶剤の他、有機電界発光素子、特に発光層に用いられる電荷輸送性化合物を含有することができる。
本発明の有機金属錯体含有組成物を用いて、有機電界発光素子の発光層を形成する場合には、本発明の有機金属錯体をドーパント材料とし、他の電荷輸送性化合物をホスト材料として含むことが好ましい。
本発明の有機金属錯体含有組成物が含有し得る他の電荷輸送性化合物としては、従来有機電界発光素子用材料として用いられているものを使用することができる。例えば、ピリジン、カルバゾール、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クリセン、ナフタセン、フェナントレン、コロネン、フルオランテン、ベンゾフェナントレン、フルオレン、アセトナフトフルオランテン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体、キナクリドン誘導体、DCM(4-(dicyanomethylene)-2-methyl-6-(p-dimethylaminostyryl)-4H-pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン、アリールアミノ基が置換された縮合芳香族環化合物、アリールアミノ基が置換されたスチリル誘導体等が挙げられる。
これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
本発明の有機金属錯体含有組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、該組成物を100重量部とすると、通常1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
また、有機金属錯体含有組成物中の他の電荷輸送性化合物の含有量は、有機金属錯体含有組成物中の本発明の有機金属錯体に対して、通常50重量%以下、特に30重量%以下で、通常0.01重量%以上、特に0.1重量%以上であることが好ましい。 本発明
の有機金属錯体含有組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に、更に他の化合物を含有していてもよい。例えば、上記の溶剤の他に、別の溶剤を含有していてもよい。そのような溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
また、本発明の有機金属錯体含有組成物は、特性の向上のために、更にアシストドーパントを含んでいてもよい。
アシストドーパントとは、電荷輸送能の補助や、発光特性(発光色の調整、発光効率の向上)の補助のために用いられるものである。
アシストドーパントとしては、電荷輸送性化合物と類似の骨格を分子内に含み、同程度の電荷輸送能を有する化合物と、発光材料と同程度の発光機能を有する化合物が挙げられる。
本発明の有機金属錯体含有組成物には、燐光発光性金属錯体を用いることが好ましい。
上記燐光発光性金属錯体としては、以下の二通りの機能が考えられる。
該燐光発光性金属錯体が、本発明の有機金属錯体よりも短波長で発光する場合、該燐光発光性金属錯体の励起エネルギーの一部を、本発明の有機金属錯体に受け渡し、発光を効率的に行うことができる。これより、素子とした場合に、発光効率や駆動寿命を向上させることができる。
一方、燐光発光性金属錯体が、本発明の有機金属錯体よりも長波長で発光する場合、本発明の有機金属錯体の励起エネルギーの一部を受け取り、発光を調整することができる。
つまり、素子とした場合に、色純度をより向上させることができる。
構造面では、電荷輸送性化合物と類似の構造を含む化合物としては、カルバゾール環を含むイリジウム錯体などが好ましく、また本発明の式(I)で表される骨格で、ハロゲン原子を含む基を有さない錯体などが挙げられる。
以下に、本発明におけるアシストドーパントの好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<アシストドーパントの具体例>
Figure 2011105676
尚、本発明の有機金属錯体含有組成物に、上記アシストドーパントを含む場合、アシストドーパントの含有量は、前記有機金属錯体の含有量と同様であるが、本発明の有機金属錯体の含有量よりも少ない方が好ましい。
更に、上記アシストドーパントは、1種又は2種以上を併用して用いてもよく、2種以上を併用して用いる場合は、合計含有量が本発明の有機金属錯体の含有量より少ない方が好ましい。
また、本発明の有機金属錯体含有組成物は成膜性の向上を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
<有機電界発光素子>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極および該陽極と該陰極の間に、有機層を有し、該有機層が上記本発明の有機金属錯体を含有することを特徴とする。該有機層としては、以下詳述の通り、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層などいずれでもよいが、本発明の有機金属錯体を含有する有機層は発光層であることが好ましい。
以下に、本発明の有機電界発光素子の層構成およびその一般的形成方法等について、図1を参照にして説明する。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
尚、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる塗布用の組成物特有の液性に合うためである。
(基板)
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、
陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極から発光層へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極上に形成される。
本発明に係る正孔注入層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好まし
く、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2011105676
(式(I)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2011105676
(上記各式中、Ar〜Ar16は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R及びR10は、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン
環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
及びR10が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
さらに、正孔輸送性化合物としては、後述の[正孔輸送層]の項に記載の架橋性化合物を用いてもよい。架橋性化合物を用いる場合、成膜方法なども同様である。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アン
モニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常1
00モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
塗布工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるた
めには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。 蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない
限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
[正孔輸送層]
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層は、正孔注入層がある場合には正孔注入層の上に、正孔注入層が無い場合には陽極の上に形成することができる。 また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層
を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層に接するため、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリ
アジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異なっているものであってもよい。
Figure 2011105676
(式(II)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
有機溶剤に対して溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基(ビフェニレン基)やターフェニル基(ターフェニレン基))が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2011105676
(式(III−1)中、Ra、Rb、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。t及びsは、各々独立に、0〜3の整数を表す。t又はsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRa又はRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRa又はRb同士で環を形成していてもよい。)
Figure 2011105676
(式(III−2)中、R及びRは、各々独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、R又はRと同義である。r及びuは、各々独立に、0〜3の整数を表す。r又はuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR及びRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環又は6員環を構成する原子又は原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、前記式(III−1)及び/又は前記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返
し単位を有することが好ましい。
Figure 2011105676
(式(III−3)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。v及びwは、各々独立に0又は1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008-98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、上記正孔注入層の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であることが、上に形成される層(特に、発光層)の膜が、より均一に成膜できる点で好ましい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性
化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖又は側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接又は連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解又は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層)上に成膜後、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、塗布膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[発光層]
正孔注入層の上、または正孔輸送層を設けた場合には正孔輸送層の上には発光層が設けられる。発光層は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入された正孔と、陰極
から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
<発光層の材料>
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよいが、本発明の有機金属錯体を用いることが好ましい。
特に、本発明の有機電界発光素子は、その発光層が、本発明の有機金属錯体含有組成物を用いて湿式成膜法で形成されることが好ましい。
更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、低分子量の材料(分子量通常10000以下、好ましくは5000以下)を使用することが好ましい。
<発光層の形成>
湿式成膜法により発光層を形成する場合は、発光層に用いる材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物(本発明の有機金属錯体を含む場合は有機金属錯体含有組成物)を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、上記本発明の有機金属錯体含有組成物に含有される溶剤として説明したものと同様である。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、電荷輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
[電子注入層]
電子注入層5は陰極から注入された電子を効率よく発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層5の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極と発光層又は後述の電子輸送層8との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−7458
6号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest ,154頁)。
さらに、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層5は、発光層と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼ及びディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼ及びディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層5の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
なお、電子注入層5は、これを省略してもよい。
[陰極]
陰極は、発光層側の層(電子注入層5又は発光層など)に電子を注入する役割を果たす。陰極として用いられる材料は、前記陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[その他の構成層]
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極及び陰極と発光層との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層以外の任意の層を省略してもよい。
有してもよい層としては例えば、電子輸送層が挙げられる。電子輸送層は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層5との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層は、正孔注入層と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
また、特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、図3に示す如く、正孔阻止層を設けることも効果的である。正孔阻止層は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層は、発光層から移動してくる正孔が電子輸送層に到達するのを阻止することで、発光層内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、電子輸送層8から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を率よく発光層の方向に輸送することができる化合物により、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。
さらに、国際公開第2005/022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層も正孔注入層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
電子輸送層及び正孔阻止層は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない、等、用法がある。
正孔阻止層と同様の目的で、正孔注入層と発光層の間に電子阻止層を設けることも効果的である。電子阻止層は、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止
することで、発光層内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。また、発光層を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層も湿式成膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層に用いられる材料としては、本発明の有機化合物の他、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極、電子注入層5、発光層、正孔注入層、陽極の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。
[化合物D−1の合成]
Figure 2011105676
4-ブロモ-1-フルオロ-2-ヨードベンゼン(3.11g, 17.5mmol)、4-ブチルフェニルボロ
ン酸(5.0g, 16.6mmol)、トルエン(180ml)、エタノール(90ml)の混合物にリン酸カ
リウム(21.2g, 100mmol)水溶液(H2O 45ml)を加え、撹拌しながら30分窒素バブリングを行った。そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.576g, 0.5mmol
)を加え、110℃で3.5時間撹拌した。TLCで原料の消失を確認後1N塩酸水溶液を加えpH=7.0にした後、トルエンで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄、硫酸ナトリウムで乾
燥後、減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体2(4.82g,収率95%)を得た。
この中間体2(4.82 g, 15.69 mmol)と無水ジエチルエーテル(25 ml)の混合物に窒素雰囲気下でnBuLi(f=1.54, 12.22 ml, 18.82 mmol)を滴下し2.5時間撹拌した。そこに1-クロロイソキノリン(2.16 g, 13.18 mmol)-無水ジエチルエーテル(5 ml)溶液を滴下
し15分撹拌後ト゛ライアイスバスを外して室温中4時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム
溶液を加え撹拌後酢酸エチルで抽出し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体3(2.75 g, 収率59 %)を得た。
次に、中間体3(2.75 g, 7.74 mmol)、Ir(acac)3(1.26 g, 2.58 mmol)、グリセリン(10ml)の混合物を窒素雰囲気下210℃で36時間撹拌した。反応溶液を冷却しメタノール
を50ml加え生じた沈殿をろ過しメタノールで洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノールで再沈殿を行い化合物D−1(341 mg, 収率7.6 %)を得た。
[化合物D−2の合成]
Figure 2011105676
酢酸カリウム(32.2g、0.3mol)、4-ブロモー2-クロロベンゾトリフルオライド(25g、96mmol)、ビス(ピナコラート)ジボラン(29.4g、116mmol)、乾燥ジメチルスルホキシド(200ml)を仕込み、60℃にて脱気し、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(1.45g、1.8mmol)を加え、80℃にて3時間反応を行った。反応液に水を加え、塩化メチレンで抽出し、有機層を水洗し、セ
ライト濾過した。ロエキを減圧濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、中間体4(25.7 g, 収率87%)を得た。
得られた中間体4(25.7g、84mmol)、1-クロロイソキノリン(12.3g、75mmol)、トルエン(160 ml)、エタノール(160 ml)の混合物にNa2CO3(17.7g、167 mmol)水溶液(H2O 80 ml)を加え、撹拌しながら1時間窒素バブリングを行った そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.9g, 2.5 mmol)を加え、2.5時間加熱還流した。反応液に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を減圧濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、中間体5(22.0 g, 収率85 %)を得た。
得られた中間体5(10g、32mmol)、4-ブチルフェニルボロン酸(6.37g、36mmol)、ト
ルエン(150 ml)の混合物にリン酸カリウム(10.35 g,49 mmol)、2-ジシクロヘキシル
フォスフィノ-2,6-ジメトキシビフェニル(1.468g、3.6mmol)を加え、撹拌しながら1時
間窒素バブリングを行った そこに酢酸パラジウム(0.365g、1.6mmol)を加え、3.5時間加熱還流した。反応液に水を加え、トルエンで抽出し、有機層を減圧濃縮を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、中間体6(12.9 g、収率98%)を得た。
この中間体6(12.9g、31.8mmol)とGlycelin 40mlを仕込み、120℃で約30min脱水、脱
気を行った。放冷した後、Ir(acac)3(5.22g、10.6mmol)を添加し、そのまま200℃に昇温して反応した。(acetylacetoneの留出を確認。)約60℃まで降温し、MeOHと水を加えて
、塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、DME/MeOHにて再沈殿を行い、濃赤色結晶の目的物である化合物D−2(2.5g)を得た。
[大気下放置量子収率測定]
電荷輸送性の化合物と混合した状態での安定性を調べるため、下記のような測定にて混合薄膜の大気下放置状態における性能の保持状況を確認した。
<測定例1>
下記構造式に示す電荷輸送性化合物E−1および本発明の有機金属錯体D−1([化合物D−1の合成]で合成した、化合物D−1)をモル比で10:0.0062に測り、ト
ルエン(純正化学社製、特級)に溶解して1wt%(E−1とD−1の合計濃度)溶液を調製した。得られた溶液を大気中にて2cm×3cm各の石英板上に均一にスピンコーターで1500rpmで成膜し、165℃のホットプレート上に置き、真空下5分間乾燥させて有機金属錯体含有膜を得た。
得られた薄膜を試料プレートとして、成膜直後、および1時間大気下放置後に、絶対量子収率測定器C9920-02(浜松フォトニクス社製)を用いて量子収率を測定した。
Figure 2011105676
得られた量子収率の値から
R(%) = (1時間後の量子収率)/(成膜直後の量子収率)を求めた。
<測定例2>
測定例1において、化合物D−1に変えて、本発明の有機金属錯体D−2([化合物D−2の合成]で合成した、化合物D−2)を用いた以外は、上記測定例1と同様にしてR値(%)を求めた。結果を表1に示す。
<測定例3>
測定例1において、化合物D−1に変えて、下記構造式の有機金属錯体D−3を用いた以外は、上記測定例1と同様にしてR値(%)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2011105676
Figure 2011105676
表1に示すが如く、本発明の有機金属錯体(即ち、化合物D−1及びD−2)は、大気下で保持した場合でも、量子効率が下がらないため、本発明の有機金属錯体は、大気中で成膜をしても素子性能に影響が出ないものと推測される。
[LDI−MS]
錯体の安定性を確認するため、下記方法により、レーザー照射操作時の金属錯体の分解の程度について測定を行った。
<測定例4>
D−1をトルエン(純正化学、特級)に溶かし、0.05wt%の濃度とし、(MALDI−MS)専用試料プレート上に均一に塗布、風乾させて試料スポットを作製した。このようにして得られた試料プレートを装置内にセットし、減圧下にLDI−MS分析した。レーザー強度はドーパントイオン(主ピーク)強度が検出器飽和しない程度(<10シグナルカウント)になるように設定した。またレーザー照射位置についてはスペクトルが均質となるよう、試料スポットの全領域をまんべんなく照射した。
・分析装置 : アプライドバイオシステムズ社製、Voyager−DE STR
・レーザー : 窒素レーザー(337nm)
・検出イオン: 正イオン検出
結果を表2に示す。
<測定例5>
測定例4において、化合物D−1を、化合物D−2に変更した外は、測定例4と同様にして、R値を測定した。
結果を表2に纏める。
<測定例6>
測定例4において、化合物D−1を、化合物D−3に変更した外は、測定例4と同様にして、R値を測定した。
結果を表2に纏める。
Figure 2011105676
表2に示すが如く、本発明の有機金属錯体は、高エネルギー状態になっても、分解する割合が少ない。この為、本発明の有機金属錯体を用いて作製した素子は、駆動寿命が長いものと推測される。
(実施例1)
[有機電界発光素子の作成]
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、正孔注入層を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔注入層の材料として、下記式(PB−1)の芳香族アミノ基を有する高分子化合物(重量平均分子量:52000,数平均分子量:32500))と下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−2)とを用い、下記の条件でスピンコートした。
Figure 2011105676
<正孔注入層用組成物>
溶剤 安息香酸エチル
塗布液濃度 PB−1 2.0重量%
A−2 0.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数 2250rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気下 25℃
乾燥条件 230℃×60分
上記のスピンコートにより膜厚40nmの均一な薄膜が形成された。
続いて、正孔輸送層を以下のように湿式製膜法によって形成した。正孔輸送層の材料として、下記に示す構造式の電荷輸送材料(PB−2)を、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンを用いた有機電界発光素子用組成物を調製し、この有機電界発光素子用組成物を用いて下記の条件でスピンコートした。
Figure 2011105676
<正孔輸送層用組成物>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 PB−2 1.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 乾燥窒素中 25℃
乾燥条件 230℃×60分 (乾燥窒素下)
上記のスピンコートにより膜厚20nmの均一な薄膜が形成された。
次に、発光層を形成するにあたり、電荷輸送材料として、以下に示す、有機化合物(HO−1)、及び本発明の有機化合物(HO−2)、並びに、発光材料として、以下に示す、有機化合物(D−5)、有機化合物(D−1)を用いて下記に示す有機電界発光素子組成物を調製し、以下に示す条件で正孔輸送層上にスピンコートして膜厚60nmで発光層を得た。
Figure 2011105676
<発光層用組成物>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
組成物中濃度 HO−1: 1.25重量%
HO−2: 3.75重量%
D−5: 0.25重量%
D−1: 0.35重量%
<スピンコート条件>
スピナ回転数 2000rpm
スピナ回転時間 120秒
乾燥条件 130℃×60分(減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚60nmの均一な薄膜が形成された。
次に、正孔阻止層として下記に示すピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度251〜252℃として、蒸着速度0.08〜0.12nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は2.1〜2.4×10−4Pa(約1.6〜1.8×10−6Torr)であった。
Figure 2011105676
次に、正孔阻止層の上に、電子輸送層として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は222〜239℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は1.7〜2.0×10−4Pa(約1.3〜1.5×10−6Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 2011105676
上記の正孔阻止層及び電子輸送層を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.3×10−6Torr(約3.0×10−4Pa)以下になるまで排気した。
次に、電子輸送層の上に、電子注入層として、フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.015nm/秒、真空度2.5×10−6Torr(約3.3×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜した。
次に、電子注入層の上に、陰極として、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜3.0nm/秒、真空度3.3〜7.5×10−6Torr(約4.4〜10.0×10−4Pa)で成膜して膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰
極を完成させた。
以上の電子注入層、陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
素子の発光スペクトルの極大波長は603nmであり、イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
(実施例2)
実施例1において、発光層を形成する際に用いた化合物D−1を、化合物D−2に変更した以外は、実施例1と同様にして素子を作成した。
(比較例1)
実施例1において、発光層を形成する際に用いた化合物D−1を、下記式で表される化合物D−4に変更した以外は、実施例1と同様にして素子を作成した。
Figure 2011105676
実施例1、2及び比較例1において作製した有機電界発光素子の特性、及び初期輝度を3000cd/mとして直流駆動試験を行い、輝度が90%まで減少するまでの時間(輝度90%減衰寿命)を表2にまとめる。
Figure 2011105676
表2に示すが如く、本発明の有機金属錯体を含む層を有する有機電界発光素子は、駆動寿命が長いことが分かる。
(参考比較例)
下記構造式で表される化合物D−6の、トルエン及びシクロヘキシルベンゼンに対する、室温(25℃)での溶解性試験を行った。いずれにも0.1wt%未満であった。
これより、湿式成膜法での層の形成ができず、素子特性等の試験ができなかった。
Figure 2011105676
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表されることを特徴とする、有機金属錯体。
    Figure 2011105676
    (式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
    但し、R〜Rのいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR〜Rのいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有するアルコキシ基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
    また、R〜Rは、各々隣接するR〜Rと結合して環を形成してもよい。
    また、一分子中に複数個存在するR〜Rは、各々同一でも異なっていてもよい。)
  2. 下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の有機金属錯体。
    Figure 2011105676
    (式中、R〜R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
    但し、R〜R、R、及びRのいずれか一つは、フッ素原子、フッ素原子を置換基として有するアルキル基、フッ素原子を置換基として有するアルコキシ基、又はフッ素原子を置換基として有する芳香族環基であり、かつR〜R、R、及びRのいずれか一つは、炭素数3以上のアルキル基、又は置換基として炭素数3以上のアルキル基を有する芳香族環基である。
    また、R〜R、R、及びRは、各々隣接するR〜R、R、及びRと結
    合して環を形成してもよい。
    また、一分子中に複数個存在するR〜R、R、及びRは、各々同一でも異なっていてもよい。)
  3. 前記式(1)において、Rが、ハロゲン原子を含む基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機金属錯体。
  4. 前記式(1)において、Rが、置換基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなることを特徴とする、発光材料。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなることを特徴とする、有機電界発光素子材料。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機金属錯体及び溶剤を含有することを特徴とする、有機金属錯体含有組成物。
  8. 陽極および陰極の間に発光層を有する有機電界発光素子において、
    該発光層が、請求項7に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された層であることを特徴とする、有機電界発光素子。
  9. 前記発光層に隣接して、正孔輸送層を有し、該正孔輸送層が湿式成膜法で形成された層であることを特徴とする、請求項8に記載の有機電界発光素子。
  10. 前記正孔輸送層が架橋性化合物を架橋させて形成された層であることを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光素子。
  11. 請求項8〜10いずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL表示装置。
  12. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL照明。
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