JP2011140902A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の吸気通路内と気筒内との燃料噴射量の比率を最適化することによりノッキングの発生を抑制する。
【解決手段】吸気通路に燃料を噴射する通路内噴射弁と、気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、EGR装置と、EGRガス量が目標量に対して不足する過渡運転時においては、定常運転時よりも全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を高め、且つ、高めた後の全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率及びEGR率に基づいて点火時期を設定する過渡時制御手段と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射用インジェクタと、燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射用インジェクタと、を備え、ポート噴射用インジェクタから吸気ポート内に燃料を噴射させて均質燃焼運転を実行する際に、筒内噴射用インジェクタから所定量の燃料を噴射させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、均質燃焼運転の実行中に何らかの理由によって排気還流手段による排気還流量が目標量から外れたとしても、筒内噴射用インジェクタから噴射された燃料が燃焼室内で点火されて燃焼するので、燃焼室内の燃焼状態を安定化させて失火を抑制することができる。
ところで、高負荷側に内燃機関の動作線を設定して熱効率の高い領域で運転を行なうシステムにおいては、主に冷却損失とノッキングの発生による排気損失とにより熱効率が低下し得る。この熱効率の低下を抑制するために、比較的多くの冷却されたEGRガスを供給して気筒内の熱容量を上げることが行われている。このEGRガスにより、気筒内の温度が低くなるので、冷却損失及びノッキングの発生を抑制できるため、燃費を向上させることができる。
しかし、EGRガスを多く供給すると、EGRガス自体は不活性ガスであるため、燃焼状態が悪化する虞があるので、例えばタンブル比を高くして気筒内の乱れを大きくしたり、圧縮比を高くしたりして燃焼状態の悪化を抑制している。このようなシステムでは、EGRガスを多く供給するときには燃焼状態の悪化を抑制できるが、何らかの原因によりEGRガスを多く供給することができなくなったときには、EGRガスによるノッキング抑制の効果を得ることができないため、ノッキングが発生し易くなる。そうすると、車両サージを起こす虞がある。特に、加速運転時には、EGRガスが遅れて供給されるため、すぐには目標量を確保することができないので、ノッキングが発生し易くなる。
特開2006−046118号公報 特開2006−046084号公報
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の吸気通路内と気筒内との燃料噴射量の比率を最適化することによりノッキングの発生を抑制することにある。
上記課題を達成するために本発明による内燃機関の制御装置は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による内燃機関の制御装置は、
内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する通路内噴射弁と、
前記内燃機関の気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、
前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ供給するEGR装置と、
EGRガス量が目標量に対して不足する過渡運転時においては、定常運転時よりも全燃
料噴射量に対する前記筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を高め、且つ、高めた後の全燃料噴射量に対する前記筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率及び気筒内の全ガス量に対するEGRガス量の比率に基づいて点火時期を設定する過渡時制御手段と、
を備えることを特徴とする。
全燃料噴射量とは、通路内噴射弁からの燃料噴射量と筒内噴射弁からの燃料噴射量とを合わせた燃料噴射量である。そして定常運転時の全燃料噴射量、通路内噴射弁からの燃料噴射量、筒内噴射弁からの燃料噴射量は、例えば内燃機関の運転状態により決定される。この関係は、予め記憶しておくことができる。一方、EGRガス量が目標量に対して不足する過渡運転時においては、定常運転時よりも、全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を高くする。この場合、全燃料噴射量は定常運転時と同じにすることができる。つまり、定常運転時よりも、全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を高くし、通路内噴射弁からの燃料噴射量の比率を低くする。なお、全燃料噴射量は変更しても良い。例えばタンブル比及び圧縮比が共に高い内燃機関において、加速運転時等でEGRガスが遅れて供給される場合であっても、筒内噴射弁からの燃料噴射量の割合を高くするために、気筒内の温度上昇を燃料の気化潜熱により抑制することができる。これにより、ノッキングの発生を抑制することができる。
また、EGRガス量が目標量に対して不足する過渡運転時における点火時期を、高めた後の全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率及び気筒内の全ガス量に対するEGRガス量の比率に基づいて設定することにより、車両サージの限界を超えないように点火時期を設定することができる。ここで、EGR率は、気筒内の全ガス量に対するEGRガス量の比率である。過渡運転時において、全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を高くすることで、ノッキングが発生し難くなるため、その分は点火時期を進角させることができる。しかし、EGRガス量が目標量に対して不足しているため、ノッキングが発生し易くなるので、その分は点火時期を遅角させなくてはならない。すなわち、全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量及びEGR率はノッキングの発生に対して影響を与えるため、これらの値に基づいて点火時期を設定すれば、ノッキングの発生を抑制する点火時期を設定することができる。
また、上記課題を達成するために本発明による内燃機関の制御装置は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による内燃機関の制御装置は、
内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する通路内噴射弁と、
前記内燃機関の気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、
前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ供給するEGR装置と、
前記内燃機関の温度を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知される内燃機関の温度が所定値以下のときに、前記EGR装置によるEGRガスの供給を停止させる停止手段と、
前記停止手段によりEGRガスの供給が停止されている間は、前記通路内噴射弁からの燃料の噴射を停止させて前記筒内噴射弁のみから燃料を噴射させるEGR停止時制御手段と、
を備えることを特徴とする。
内燃機関の温度とは、例えば冷却水温度、潤滑油温度としても良い。この内燃機関の温度は、気筒内の燃焼状態に影響を与える箇所、部材、または熱媒体の温度とすることができる。そして、内燃機関の温度の所定値とは、EGRガスを供給したときに燃焼状態が悪化する虞のある温度(例えば、燃焼変動が許容範囲を超える温度)であり、例えば内燃機関の暖機が完了する前の温度である。つまり、内燃機関の温度が所定値以下のときにEGRガスを供給すると、燃焼状態が悪化し得る。すなわち、内燃機関の温度が所定値以下の
ときにEGRガスの供給を停止させることにより、燃焼状態の悪化を抑制できる。
そして、内燃機関の温度が所定値以下のときに筒内噴射弁のみから燃料を噴射させると、気筒内の温度を燃料の気化潜熱により低減することができる。つまり、EGRガスの供給を停止させることによりノッキングが発生し易くなるが、筒内噴射弁のみから燃料を供給することで気筒内の温度を低下させてノッキングの発生を抑制することができる。
なお、本発明においては、前記過渡時制御手段は、前記過渡運転時における目標EGR率と実際のEGR率とを比較した値に基づいて、全燃料噴射量に対する前記筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を設定することができる。
ここで、比較値は、比であっても良く、差であっても良い。この比較値は、目標EGR率に対して実際のEGR率がどの程度不足しているのかを示す値である。目標EGR率に対して実際のEGR率が小さい場合には、EGRガスが不足しているために、ノッキングが発生し易くなる。これに対し、過渡運転時における目標EGR率と実際のEGR率とを比較した値に基づいて筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を設定すれば、ノッキングの発生のし易さに応じた設定が可能となる。なお、目標EGR率は、例えば内燃機関の運転状態に応じて予め記憶されている値とし、実際のEGR率は、例えば内燃機関の運転状態から推定しても、また実際に測定しても良い。また、EGR率に代えて、EGRガス量、またはEGRガス量を調節するEGR弁の開度の比較値によっても、全燃料噴射量に対する筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を設定することができる。
また、本発明においては、前記EGR装置は、前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路と、該EGR通路の通路面積を調節することによりEGRガスの流量を調節するEGR弁と、を備え、
前記内燃機関の温度が前記所定値以下から上昇して該所定値よりも高くなったときに、前記EGR弁の開度と、全燃料噴射量に対する前記通路内噴射弁からの燃料噴射量の比率と、を前記検知手段により検知される温度に応じて設定するEGR供給開始時制御手段を備えることができる。
ここで、温度が低い場合には燃焼状態が悪化し易くなる(例えば、燃焼変動が大きくなる)ため、供給するEGRガス量が制限される。すなわち、内燃機関の温度に応じて供給可能なEGRガス量が異なるため、この温度に応じてEGRガスを供給すれば燃料状態を悪化させずに可及的多くのEGRガスを導入することができる。そして、内燃機関の温度が所定値以下のときには、EGRガスの供給が停止される。しかし、EGRガスの供給が停止されることで、ノッキングが発生し易くなる。このため、筒内噴射弁のみから燃料を噴射している。つまり、筒内噴射弁のみから燃料を噴射することで、気化潜熱により気筒内の温度をより低くすることができるため、ノッキングの発生を抑制できる。
そして、内燃機関の温度が所定値以下から上昇して該所定値よりも高くなったときには、燃焼状態の悪化を抑制するために、内燃機関の温度に応じてEGRガス量を徐々に増加する。しかし、EGRガス量を徐々に増加している間は、EGRガス量はノッキングを抑制するために必要な量よりも少ないので、ノッキングが発生する虞がある。すなわち、EGR弁が開かれてEGRガスが供給されるものの、EGRガス量が不足しているためにノッキングが発生し易くなる。このときに、全燃料噴射量に対する通路内噴射弁からの燃料噴射量の比率を急激に高めると、ノッキングが発生する虞がある。これに対し、EGR弁の開度に応じて、通路内噴射弁からの燃料噴射量の比率を設定すれば、そのときのノッキングのし易さに応じて筒内噴射弁から燃料を噴射させることができるため、ノッキングの発生を抑制できる。そして、EGR弁の開度は内燃機関の温度に応じて決定されるため、通路内噴射弁からの燃料噴射量の比率も内燃機関の温度に応じて決定されることになる。
また、本発明においては、前記EGR停止時制御手段は、前記内燃機関の温度が前記所定値よりも更に低い第2所定値以下の場合には、前記筒内噴射弁からの燃料の噴射を停止させて、前記通路内噴射弁のみから燃料を噴射させることができる。
ここで、内燃機関の温度が低いときに筒内噴射弁から燃料を噴射させると、気筒壁面に付着した燃料によるオイルの希釈が顕著となる。また、PM等の排出量が多くなる虞もある。これに対し、オイルの希釈が顕著となる低温度には、筒内噴射弁による燃料噴射を禁止することでオイルが希釈されるのを抑制できる。すなわち、第2所定値とは、例えばオイルの希釈が顕著となる温度とすることができ、例えば常温とすることができる。
本発明によれば、内燃機関の吸気通路内と気筒内との燃料噴射量の比率を最適化することによりノッキングの発生を抑制することができる。
実施例に係る内燃機関の概略構成を表す図である。 EGR装置により供給されるEGRガスのEGR率(外部EGR率)と燃焼変動との関係を示した図である。 タンブル比及び圧縮比が高い場合の外部EGR率と燃焼変動との関係を示した図である。 実施例1に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。 実施例1に係る過渡時の燃料供給のフローを示したフローチャートである。 吹き分け比率と、点火進角補正値と、EGR率との関係を示した図である。 EGR弁の開度とEGR通路におけるEGRガスの流量との関係を示した図である。 EGR弁の開度と目標吹き分け比率との関係を示した図である。 実施例2に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。 実施例3に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。 内燃機関の冷却水温度と吹き分け比率との関係を示した図である。 実施例4に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。
以下、本発明に係る内燃機関の制御装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。なお、下記の実施例は、可能な限り組み合わせることができる。
図1は、本実施例に係る内燃機関1の概略構成を表す図である。なお、本実施例においては、内燃機関1を簡潔に表示するため、一部の構成要素の表示を省略している。内燃機関1は、4サイクルガソリン機関である。
気筒2内の燃焼室には、シリンダヘッド10に設けられた吸気ポート3を介して吸気管4が接続されている。気筒2への吸気の流入は吸気弁5によって制御される。吸気弁5の開閉は、吸気側カム6の回転駆動によって制御される。また、シリンダヘッド10に設けられた排気ポート7を介して、排気管8が接続されている。気筒2外への排気の排出は排気弁9によって制御される。排気弁9の開閉は排気側カム11の回転駆動によって制御される。なお、本実施例では吸気ポート3または吸気管4が、本発明における吸気通路に相当する。また、本実施例では排気管8が、本発明における排気通路に相当する。
そして、内燃機関1のクランクシャフト13にコンロッド14を介して連結されたピス
トン15が、気筒2内で往復運動を行う。
また、吸気管4の途中には、該吸気管4を流れる吸気の量を調整する吸気絞り弁16が備えられている。吸気絞り弁16よりも上流の吸気管4には、該吸気管内を流れる空気の量に応じた信号を出力するエアフローメータ93が取り付けられている。このエアフローメータ93により内燃機関1の吸入空気量が検出される。
また、内燃機関1には、排気管8内を流通する排気の一部(以下、EGRガスという。)を吸気管4へ再循環させるEGR装置30が備えられている。このEGR装置30は、EGR通路31、EGR弁32、EGRクーラ33を備えて構成されている。EGR通路31は、排気管8と、吸気絞り弁16よりも下流の吸気管4と、を接続している。このEGR通路31を通って、EGRガスが再循環される。また、EGR弁32は、EGR通路31の通路断面積を調整することにより、該EGR通路31を流れるEGRガスの量を調整する。EGRクーラ33は、EGR弁32よりも排気管8側に備えられ、該EGRクーラ33を通過するEGRガスと、内燃機関1の冷却水とで熱交換をして、該EGRガスの温度を低下させる。そして、EGR弁32には、該EGR弁32の開度を測定する開度センサ34が取り付けられている。
また、内燃機関1の近傍の吸気管4には、燃料を吸気ポート3へ向けて噴射する通路内噴射弁81が取り付けられている。また、内燃機関1には、気筒2内へ燃料を噴射する筒内噴射弁82が取り付けられている。さらに、内燃機関1には、気筒2内に電気火花を発生させる点火プラグ83が取り付けられている。また、内燃機関1には、該内燃機関1の冷却水の温度を測定する温度センサ94が取り付けられている。なお、本実施例においては温度センサ94が、本発明における検知手段に相当する。
そして、内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御装置であるECU90が併設されている。このECU90は、CPUの他、各種のプログラム及びマップを記憶するROM、RAM等を備えており、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態等を制御する装置である。
ここで、上記各種センサの他、アクセル開度センサ91およびクランクポジションセンサ92がECU90と電気的に接続されている。ECU90はアクセル開度センサ91からアクセル開度に応じた信号を受け取り、この信号に応じて内燃機関1に要求される機関負荷等を算出する。また、ECU90はクランクポジションセンサ92から内燃機関1の出力軸の回転角に応じた信号を受け取り、内燃機関1の機関回転数を算出する。
一方、ECU90には、EGR弁32、通路内噴射弁81、筒内噴射弁82、点火プラグ83が電気配線を介して接続されており、該ECU90によりこれらの機器が制御される。
そして、本実施例に係る内燃機関1は、大量のEGRガスを供給できるように、タンブル比及び圧縮比が比較的高く設定されているか、又は燃料にレギュラーガソリンが使用可能である。この内燃機関1によれば、大量のEGRガスを供給することにより、気筒2内の熱容量を大きくすることができるため、気筒2内の温度を低くすることができる。そうすると、冷却損失及びノッキングの発生を抑制できる。また、内燃機関1の動作線を高負荷側に設定することができるため、熱効率を高くすることができる。
ここで、大量のEGRガスを供給すると燃焼状態が悪化し得る(燃焼変動が大きくなり得る)が、例えばタンブル比及び圧縮比を比較的高く設定することで燃焼状態の悪化を抑制できる。しかし、EGRガスは常に供給しているわけではないため、EGRガスを供給
していないときには、タンブル比及び圧縮比が比較的高いことによりノッキングが発生し易くなる。例えば圧縮比が高いと、圧縮端の温度及び圧力が上昇するため、燃焼時の温度及び圧力も上昇してしまうので、ノッキングが発生し易くなる。また、タンブル比が高いと、吸気が絞られることにより吸気温度が高くなるために燃焼時の温度も高くなるのでノッキングが発生し易くなる。そして、ノッキングにより点火時期を進角することができなくなると、車両サージを引き起こす虞がある。
図2は、EGR装置30により供給されるEGRガスのEGR率(外部EGR率)と燃焼変動との関係を示した図である。燃焼変動が大きくなるほど、燃焼状態が悪化しているといえる。また、燃焼変動が大きくなるほど、車両サージが起こり易くなる。燃焼変動が閾値よりも小さいときには、燃焼変動が許容範囲内となり、閾値以上のときには、燃焼変動が許容範囲外となる。
図2において、実線は、低RON燃料で且つタンブル比及び圧縮比が高い場合、破線は、高RON燃料で且つタンブル比及び圧縮比が高い場合、一点鎖線は、低RON燃料で且つタンブル比及び圧縮比が低い場合、二点鎖線は、高RON燃料で且つタンブル比及び圧縮比が低い場合を示している。なお、図2は、通路内噴射弁81及び筒内噴射弁82の両方から燃料を噴射した場合、又は通路内噴射弁81のみから燃料を噴射した場合を示している。
図2を見れば分かるように、タンブル比及び圧縮比が高い場合であって低RON燃料を用いた場合(実線)には、EGR率が低いときに燃焼変動が大きくなる。すなわち、ノッキングが発生するため、点火時期を進角させることができなくなり、車両サージが起こる。しかし、タンブル比及び圧縮比が低い場合よりも、タンブル比及び圧縮比が高い場合は、外部EGR率がより高くても燃焼変動を抑制することができる(燃焼限界が拡大する)。
また、図3は、タンブル比及び圧縮比が高い場合の外部EGR率と燃焼変動との関係を示した図である。実線は通路内噴射弁81及び筒内噴射弁82の両方から燃料を供給した場合を示し、一点鎖線は筒内噴射弁82のみから燃料を供給した場合を示している。実線は、通路内噴射弁81のみから燃料を供給した場合も含む。
図3を見れば分かるように、外部EGR率が低い場合には、筒内噴射弁82のみから燃料を供給したほうが燃焼変動を抑制できる。そして、筒内噴射弁82のみから燃料を供給すれば、外部EGR率が0の場合であっても点火時期を進角させることができるので、EGRガスを供給しなくても燃焼変動を閾値よりも小さくすることができる。しかし、筒内噴射弁82のみから燃料を供給すると、より低い外部EGR率で、燃焼変動が閾値以上となる。すなわち、外部EGR率が高い場合に筒内噴射弁82のみから燃料を供給すると、燃料の霧化及び空気との混合が促進されないため、燃焼限界が低下してしまい、燃焼状態が悪化し易い。
このように、EGR率によって、燃料変動を抑制し得る燃料の供給態様が異なる。
そこで本実施例では、EGR装置30からEGRガスを供給していないとき、すなわちEGR弁32が全閉となっているときに、筒内噴射弁82のみから燃料を供給している。EGRガスを供給していない場合には、図3に示すように、筒内噴射弁82のみから燃料を供給したほうが、通路内噴射弁81を併用するよりも、燃焼変動を小さくすることができる。
すなわち、EGRガスの供給が停止されていることにより、EGRガスによるノッキン
グ抑制効果が得られなくなるが、このときに筒内噴射弁82のみから燃料を供給することで、燃料の気化潜熱により気筒2内の温度を低下させることができるので、ノッキングの発生を抑制できる。また、ノッキングの発生を抑制できるため、点火時期を進角させることができる。これらにより、車両サージを抑制できる。なお、EGRガスの供給は、内燃機関1の温度が所定値以下のときに停止される。この所定値は、EGRガスを供給すると内燃機関1の燃焼状態が悪化し得る温度として実験等により求めておく。なお、本実施例においては内燃機関1の温度が所定値以下のときにEGRガスの供給を停止させるECU90が、本発明における停止手段に相当する。
また、EGRガスが供給されている場合には、通路内噴射弁81及び筒内噴射弁82の両方から燃料を供給する。これにより、燃料の霧化を促進させて燃焼限界を拡大することができる。
図4は、本実施例に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは所定の時間毎にECU90により実行される。
ステップS101では、機関回転数及び機関負荷が取得される。すなわち、内燃機関1の運転状態が取得される。具体的には、アクセル開度センサ91およびクランクポジションセンサ92の出力値が読み込まれる。
ステップS102では、内燃機関1の運転領域が、ノッキングが発生する運転領域であるか否か判定される。例えば予め規定されている中負荷以上であるか否か判定する。ステップS102で肯定判定がなされた場合にはステップS103へ進み、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。なお、本ステップは無くても良く、その場合にはステップS101の後にステップS103を実行する。
ステップS103では、EGR弁32の開度が0であるか否か判定される。すなわち、EGR装置30からのEGRガスの供給が停止されているか否か判定される。なお、ECU90にて算出されるEGR率が0であるか否か判定しても良い。また、EGR弁32が全閉となっても吸気管4内に残留しているEGRガスが気筒2内に供給されたり、また、EGR弁32が開かれてもEGRガスが気筒2内に導入されるまで時間がかかったりする。すなわち、EGR弁32の開度の変化に対して気筒2内に導入されるEGRガスの変化には遅れがある。この遅れを考慮して、気筒2内にEGRガスが存在していないのか否か判定しても良い。この遅れは、吸気の流速等によって変わるため、例えば内燃機関1の運転状態と関連付けて予め求めてECU90に記憶させておいても良い。そして、ステップS103で肯定判定がなされた場合にはステップS104へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS105へ進む。
ステップS104では、筒内噴射弁82のみから燃料を供給する。ステップS105では、通路内噴射弁81及び筒内噴射弁82の両方から燃料を供給するか、または通路内噴射弁81のみから燃料を供給する。すなわちステップS105では、少なくとも通路内噴射弁81から燃料を供給する。なお、本実施例においてはステップS104を処理するECU90が、本発明におけるEGR停止時制御手段に相当する。
このようにEGRガスの供給が停止されているか否かに応じて、噴射弁を使い分けることにより、燃焼変動を抑制しつつ燃費を向上させることができる。
ところで、機関回転数または機関負荷が変化している最中の過渡運転時においては、これらの変化に合わせてEGR弁32の開度も変化する。すなわち、内燃機関1の運転状態(例えば機関回転数及び機関負荷)に応じてEGR弁32の目標開度が設定される場合に
は、目標開度が絶えず変化するため、EGR弁32の目標開度(以下、目標EGR弁開度ともいう。)と実際の開度(以下、実EGR弁開度ともいう。)とに差が生じる。また、EGR弁32の開度は瞬時に変化するわけではないので、実EGR弁開度が目標EGR弁開度に合うまでに時間がかかる。EGR弁32の目標EGR弁開度と実EGR弁開度とに差が有る場合には、EGR率も目標値に到達していないため、所望の燃焼状態を得ることが困難となる。
そこで、本実施例では、過渡運転時において、目標EGR弁開度と実EGR弁開度とに応じて全燃料噴射量に対する通路内噴射弁81からの燃料噴射量の比率(以下、吹き分け比率という。)を設定する。なお、吹き分け比率は0から1までの値であり、吹き分け比率が0のときには、筒内噴射弁82のみから燃料が供給され、吹き分け比率が1のときには、通路内噴射弁81のみから燃料が供給されるものとする。
吹き分け比率は、内燃機関1の運転状態に応じて設定される基準値がECU90に予め記憶されている。なお、基準値は、EGR弁32の開度に応じて決定しても良い。そして、過渡運転時においては、吹き分け比率の基準値をそのまま用いるのではなく、目標EGR弁開度に対する実EGR弁開度の比率に応じて変更した吹き分け比率を用いる。目標EGR弁開度に対する実EGR弁開度の比率は、目標EGR弁開度に対する実EGR弁開度の不足の度合いを表す値である。なお、ECU90により実際のEGR率を推定し、目標EGR率に対する実際のEGR率の比率に応じて吹き分け比率の基準値を変更しても良い。
図5は、本実施例に係る過渡時の燃料供給のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは所定の時間毎にECU90により実行される。なお、図4に示したフローと同じ処理がなされるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
ステップS201では、EGR弁32の目標開度(目標EGR弁開度)が取得される。目標EGR弁開度は、内燃機関1の運転状態(例えば機関回転数及び機関負荷)に応じて予め設定されており、ECU90に記憶されている。
ステップS202では、EGR弁32の実開度(実EGR弁開度)が取得される。すなわち、開度センサ34による測定値が読み込まれる。
次にステップS102へ進み、肯定判定がなされた場合(ノッキングが発生する運転領域であると判定された場合)にはステップS203へ進み、否定判定がなされた場合(ノッキングが発生する領域でないと判定された場合)には吹き分け比率を変更する必要はないため、ステップS207へ進んで初期設定のままの吹き分け比率にて燃料の供給が行なわれる。初期設定の吹き分け比率は、吹き分け比率の基準値であり、内燃機関1の運転状態(例えば機関回転数及び機関負荷)に応じて設定される値である。
ステップS203では、ステップS202で取得される実EGR弁開度が、ステップS201で取得される目標EGR弁開度よりも小さいか否か判定される。すなわち、EGRガスが不足しているか否か判定される。ステップS203で肯定判定がなされた場合にはステップS204へ進み、否定判定がなされた場合には吹き分け比率を変更する必要はないため、ステップS207へ進んで初期設定のままの吹き分け比率にて燃料の供給が行なわれる。
ステップS204では、吹き分け比率を変更するために用いる吹き分け比率係数を算出する。吹き分け比率係数とは、吹き分け比率の基準値に乗じる係数であり、実EGR弁開度を目標EGR弁開度で除した値である。すなわち、目標EGR弁開度に対する実EGR
弁開度の比率を吹き分け比率係数として算出する。なお、目標となるEGR率を実際のEGR率で除した値を吹き分け比率係数としても良い。また、目標となるEGRガス量を実際のEGRガス量で除した値を吹き分け比率係数としても良い。
ステップS205では、吹き分け比率を再設定して燃料を供給する。新たな吹き分け比率は、吹き分け比率の基準値にステップS204で算出された吹き分け比率係数を乗じて算出される。
ステップS206では、点火時期を再設定する。本ステップでは、ステップS204で算出される吹き分け比率係数またはステップS205で再設定される吹き分け比率に応じて点火時期を再設定する。ここで、吹き分け比率が0に近づくほど、すなわち、筒内噴射弁82により気筒2内に噴射される燃料の比率が高くなるほど、気化潜熱による温度低下が大きくなるため、点火時期を進角させることができる。一方、EGRガス量が不足することによりノッキングが発生し易くなるので、この点では点火時期を遅角させなくてはならない。これらを考慮して、点火時期を再設定する。
例えば、ノッキングのし易さは実際のEGR率(実EGR弁開度としても良い。)及び吹き分け比率に応じて変化するため、実際のEGR率(または実EGR弁開度)、吹き分け比率、及び点火時期の関係を予め求めてマップ化しておいても良い。図6は、吹き分け比率と、点火進角補正値と、EGR率との関係を示した図である。横軸は吹き分け比率であり、横軸の左端は吹き分け比率が1のとき(すなわち、通路内噴射弁81のみから燃料を供給したとき)を示し、右端は吹き分け比率が0のとき(すなわち、筒内噴射弁82のみから燃料を供給したとき)を示している。また、縦軸は、点火時期進角補正値(点火時期の進角量の補正値)であり、数値が大きいほど(図6の上側ほど)進角量が大きくなる。点火時期進角補正値は、内燃機関1の運転状態に応じて決定される点火時期に対しての進角量である。図6に示すように、吹き分け比率が0に近づくほど、すなわち、筒内噴射弁82により気筒2内に噴射される燃料の比率が高くなるほど、点火時期の進角量を大きくしている(点火進角補正値を大きくしている)。また、EGR率が高くなるほど、点火時期の進角量を大きくしている(点火進角補正値を大きくしている)。このマップに新たな吹き分け比率及び実際のEGR率(または実EGR弁開度)を代入することにより、新たな点火時期を得ることができる。
また、吹き分け比率が基準値のときの点火時期と、筒内噴射弁82のみから燃料を供給したときの点火時期と、の差に吹き分け比率係数を乗じた値を、筒内噴射弁82のみから燃料を供給したときの点火時期に加えることによっても、新たな吹き分け比率に応じた点火時期を算出することができる。
このように、目標EGR弁開度に対する実EGR弁開度の比率に応じて吹き分け比率を設定することにより、燃焼状態に応じた設定が可能となる。なお、本実施例においてはステップS203から206を処理するECU90が、本発明における過渡時制御手段に相当する。
以上説明したように本実施例によれば、EGR弁32の開度またはEGR率に応じてノッキングの発生のし易さを把握し、これに対し気筒2内への燃料供給量と吸気ポート3内への燃料供給量との比率を変化させることで、ノッキングの発生を抑制できる。また、このようにノッキングの発生を抑制すると点火時期を進角させることができるため、車両サージを抑制できる。
本実施例では、実施例1とは異なり、機関回転数または機関負荷が変化している最中の
過渡運転時において、目標EGR弁開度が全開または全開近傍の場合には、EGR弁開度が例えば70%のときの吹き分け比率を基準として、吹き分け比率を再設定する。
ここで、図7は、EGR弁32の開度とEGR通路31におけるEGRガスの流量との関係を示した図である。また、図8は、EGR弁32の開度と目標吹き分け比率との関係を示した図である。図7及び図8において、Aは目標開度(全開であり開度100%)、Bは例えば全開に対して70%となる開度である。
図7を見れば分かるように、EGR弁32の開度が大きくなるほど、EGRガスの流量は増加するが、EGRガスの流量の増加度合いは次第に小さくなる。例えば、EGR弁32が全開近くで開度が30%異なる場合と、全閉近くで開度が30%異なる場合とでは、全開近くのほうがEGRガスの流量の変化が少ない。
すなわち、目標EGR弁開度が全開近傍の場合には、実EGR弁開度が目標EGR弁開度となっていなくても、EGRガスの流量は目標EGR弁開度のときと殆ど変わらないこともある。そこで、EGR弁32の開度の変化に対してEGRガスの流量の変化が小さい領域では、実施例1とは異なり、ある程度の開度(例えば70%)を基準として吹き分け比率を再設定する。そして、この基準となる開度よりも大きな開度のときには、基準となる開度のときに設定された吹き分け比率を用いる。
ここで、図8において、実線は本実施例により設定される吹き分け比率を示し、一点鎖線は実施例1により設定される吹き分け比率を示している。このように、本実施例により設定される吹き分け比率は、実施例1で設定される吹き分け比率よりも全体的に高くなる。本実施例では、EGRガスの実際の流量に即した吹き分け比率を設定している。
図9は、本実施例に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは所定の時間毎にECU90により実行される。なお、前記フローと同じ処理がなされるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
ステップS102で肯定判定がなされた場合、すなわち、内燃機関1の運転領域が、ノッキングが発生する運転領域であると判定された場合には、ステップS301へ進む。
ステップS301では、目標EGR弁開度が全開領域であるか否か判定される。全開領域は、全開のみとしても良く、全開と同じに扱っても良い領域を含んでいても良い。本ステップでは、EGR弁32の開度が変化してもEGRガスの流量が殆ど変化しない領域に目標EGR弁開度が設定されているか否か判定している。ステップS301で肯定判定がなされた場合にはステップS302へ進む。一方、否定判定がなされた場合にはステップS203へ進み、それ以降は実施例1と同じ処理がなされる。
ステップS302では、仮目標EGR弁開度が取得される。仮目標EGR弁開度は、吹き分け比率を算出するために設定されるEGR弁32の開度であり図7,8のBの開度に相当する。この仮目標EGR弁開度は、最終的な目標EGR弁開度のときと比較してEGRガス流量の差が小さい開度であり、例えば全開の70%の開度である。なお、EGRガスの流量は、最終的な目標EGR弁開度、機関負荷(吸気管4内の負圧)によって変化するため、仮目標EGR弁開度、最終的な目標EGR弁開度、及び機関負荷の関係をマップ化しておき、該マップから仮目標EGR弁開度を得ても良い。また、現時点での負圧、及びEGR弁32の開度とEGRガスの流量との関係から仮目標EGR弁開度を得ても良い。
ステップS303では、ステップS202で取得される実EGR弁開度が、ステップS
302で取得される仮目標EGR弁開度よりも小さいか否か判定される。すなわち、EGRガスが不足しているか否か判定される。ステップS303で肯定判定がなされた場合にはステップS304へ進み、否定判定がなされた場合には吹き分け比率を変更する必要はないため、ステップS207へ進んで初期設定のままの吹き分け比率にて燃料の供給が行なわれる。
ステップS304では、吹き分け比率係数を算出する。吹き分け比率係数は、実EGR弁開度を仮目標EGR弁開度で除した値である。すなわち、仮目標EGR弁開度に対する実EGR弁開度の比率を吹き分け比率係数として算出する。その後、ステップS205へ進む。
このように、EGR弁32の開度が最終的な目標EGR弁開度である全開ではなく、EGRガスの流量の差が小さいある程度の開度を基準とすることにより、EGR流量が殆ど変化することのないEGR弁32の開度のときに吹き分け比率を変化させる必要がなくなるため、制御を簡略化することができる。
本実施例では、実施例1とは異なり、EGRガスの導入が開始される温度域において、EGR弁32の開度を内燃機関1の温度に応じて除変させつつ、EGR弁32の開度に基づいて吹き分け比率を決定する。
ここで、導入できるEGRガス量には内燃機関1の温度による制約があり、機関温度が低いときには燃焼状態の悪化を抑制するためにEGRガスの供給が停止される。EGRガスの供給が開始される温度域では、ノッキングの発生を抑制するために必要なEGRガス量に対して、それよりも少ない量しかEGRガスを供給することができない。そして、内燃機関1の温度上昇と共にEGRガスの供給量を増加するため、EGRガス量の増加は緩慢である。そうすると、EGRガス量が十分となるまでは、ノッキングが発生する虞がある。これに対し本実施例では、このような温度域において、吹き分け比率をEGR弁32の開度に基づいて設定している。
図10は、本実施例に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは所定の時間毎にECU90により実行される。なお、前記フローと同じ処理がなされるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
ステップS401では、機関回転数及び機関負荷、さらには内燃機関1の冷却水温度が取得される。内燃機関1の冷却水温度は温度センサ94により得る。
ステップS402では、EGR弁開度補正係数が算出される。EGR弁開度補正係数とは、目標EGR弁開度に対して乗じることで新たな目標EGR弁開度を得るための係数であり、EGR弁32の開度を冷却水温度に応じて補正するための係数である。冷却水温度が閾値よりも低い場合には、EGR弁32の開度は0となるが、冷却水温度が閾値となるとEGR弁32が開き始める。そして、冷却水温度が高くなるほど、実EGR弁開度を目標EGR弁開度に近づけるようにEGR弁開度補正係数が設定される。冷却水温度の閾値や、EGR弁開度補正係数は、内燃機関1の種類等により変わるため、予め最適値を実験等により求めてマップ化しておく。
ステップS403では、目標EGR弁開度が算出される。目標EGR弁開度は、例えば機関回転数及び機関負荷により設定される目標EGR弁開度にEGR弁開度補正係数を乗じて新たな目標EGR弁開度として算出される。内燃機関1の冷却水温度が閾値よりも低い場合には、目標EGR弁開度は0となる。なお、本実施例では、目標EGR弁開度と実
EGR弁開度は等しいものとする。
ステップS103では、EGR弁32の開度が0であるか否か判定され、肯定判定がなされた場合にはステップS104へ進んで筒内噴射弁82のみから燃料が供給される。ステップS103で否定判定がなされた場合、すなわち、EGR弁32が開かれている場合にはステップS102へ進む。
ステップS102では、内燃機関1の運転領域が、ノッキングが発生する運転領域であるか否か判定される。ステップS102で肯定判定がなされた場合にはステップS404へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS207へ進んで、初期設定のままの吹き分け比率にて燃料の供給が行なわれる。
ステップS404では、吹き分け比率が算出される。吹き分け比率は、吹き分け比率の基準値にEGR弁開度補正係数を乗じることにより得る。すなわち、目標EGR弁開度が小さくされている分、ノッキングが発生し易いため、筒内噴射弁82からの燃料供給量の比率を高くする。このように、EGR弁32の開度に応じて吹き分け比率を設定している。なお、EGR弁32の開度は、冷却水温度に応じて決定されているため、冷却水温度に応じて吹き分け比率を設定しても良い。その後ステップS405へ進んで、ステップS404で算出される吹き分け比率にて燃料が供給される。
なお、本実施例においては、ステップS402,403,404,405を処理するECU90が、本発明におけるEGR供給開始時制御手段に相当する。
このように、冷却水温度に応じて設定されるEGR弁32の開度に応じて吹き分け比率を設定することにより、そのときのEGRガス量に応じた吹き分け比率を設定することが可能となるため、ノッキングの発生を抑制できる。
本実施例では、冷間時に筒内噴射弁82からの燃料噴射量が多いためにオイルの希釈が顕著となる温度域(例えば、常温以下)において、筒内噴射弁82からの燃料の供給を停止させ、通路内噴射弁81のみから燃料を供給する。内燃機関1の温度がこの温度域よりも高い場合には、EGRガスが供給されていない場合にのみ、筒内噴射弁82のみから燃料を供給する。
図11は、内燃機関1の冷却水温度と吹き分け比率との関係を示した図である。常温以下の場合には、吹き分け比率を1とし、通路内噴射弁81のみから燃料を供給する。常温よりも高い場合であって、EGRガスが供給されていないとき(EGR弁32の開度が0のとき)には、吹き分け比率を0とし、筒内噴射弁82のみから燃料を供給する。常温よりも高い場合であって、EGRガスが供給されているとき(EGR弁32が開かれているとき)には、上記実施例に従って吹き分け比率を設定する。
図12は、本実施例に係る燃料供給のフローを示したフローチャートである。本ルーチンは所定の時間毎にECU90により実行される。なお、前記フローと同じ処理がなされるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
ステップS501では、内燃機関1の温度が、オイル希釈が発生する温度であるか否か判定される。ここでは、内燃機関1の温度が、オイル希釈が許容範囲を超える温度であるか否か判定しても良い。また、PM・PNが発生する温度であるか否か判定しても良い。これらの温度は、例えば常温(例えば15℃から20℃)としても良く、予め実験等により求めておいても良い。
ステップS501で肯定判定がなされた場合には、ステップS502へ進んで、通路内噴射弁81のみから燃料を供給する。ステップS502で否定判定がなされた場合にはステップS103へ進み、以降は実施例3と同じ処理がなされる。
このようにして、内燃機関1の温度が常温よりも低い場合には、通路内噴射弁81のみから燃料を供給することにより、オイルが燃料で希釈されることを抑制したり、PM・PNの発生を抑制したりすることができる。
1 内燃機関
2 気筒
3 吸気ポート
4 吸気管
5 吸気弁
6 吸気側カム
7 排気ポート
8 排気管
9 排気弁
10 シリンダヘッド
11 排気側カム
13 クランクシャフト
14 コンロッド
15 ピストン
16 吸気絞り弁
30 EGR装置
31 EGR通路
32 EGR弁
33 EGRクーラ
34 開度センサ
81 通路内噴射弁
82 筒内噴射弁
83 点火プラグ
90 ECU
91 アクセル開度センサ
92 クランクポジションセンサ
93 エアフローメータ
94 温度センサ

Claims (5)

  1. 内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する通路内噴射弁と、
    前記内燃機関の気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、
    前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ供給するEGR装置と、
    EGRガス量が目標量に対して不足する過渡運転時においては、定常運転時よりも全燃料噴射量に対する前記筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を高め、且つ、高めた後の全燃料噴射量に対する前記筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率及びEGR率に基づいて点火時期を設定する過渡時制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する通路内噴射弁と、
    前記内燃機関の気筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、
    前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続し排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ供給するEGR装置と、
    前記内燃機関の温度を検知する検知手段と、
    前記検知手段により検知される内燃機関の温度が所定値以下のときに、前記EGR装置によるEGRガスの供給を停止させる停止手段と、
    前記停止手段によりEGRガスの供給が停止されている間は、前記通路内噴射弁からの燃料の噴射を停止させて前記筒内噴射弁のみから燃料を噴射させるEGR停止時制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 前記過渡時制御手段は、前記過渡運転時における目標EGR率と実際のEGR率とを比較した値に基づいて、全燃料噴射量に対する前記筒内噴射弁からの燃料噴射量の比率を設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記EGR装置は、前記内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路と、該EGR通路の通路面積を調節することによりEGRガスの流量を調節するEGR弁と、を備え、
    前記内燃機関の温度が前記所定値以下から上昇して該所定値よりも高くなったときに、前記EGR弁の開度と、全燃料噴射量に対する前記通路内噴射弁からの燃料噴射量の比率と、を前記検知手段により検知される温度に応じて設定するEGR供給開始時制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記EGR停止時制御手段は、前記内燃機関の温度が前記所定値よりも更に低い第2所定値以下の場合には、前記筒内噴射弁からの燃料の噴射を停止させて、前記通路内噴射弁のみから燃料を噴射させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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