JP2011194517A - 両面研磨装置および加工方法 - Google Patents

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稔 津久井
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Abstract

【課題】大型構造でもスパークアウト加工を可能とする上定盤の支持構造および下定盤の支持構造を採用し、ワークの研磨精度を向上させた両面研磨装置およびこの両面研磨装置を用いる加工方法を提供する。
【解決手段】上定盤9と下定盤15との間に挟み込んだワーク200をラッピングまたはポリッシングする両面研磨装置100において、上定盤9を上下方向に昇降させる上定盤昇降シリンダ3と、上定盤9を上下方向の所定位置に固定するための固定動作を行う上定盤位置固定装置6と、流体軸受皿17と下定盤支持部16とにより構成され、垂直軸周りに回転駆動される下定盤15の垂直荷重を支持する流体軸受けと、を備えた両面研磨装置100とした。また、この両面研磨装置100を用いる加工方法とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、水晶、ガラス、セラミック、金属、シリコンウエハその他種々の材料により形成されたワークの両面を研磨する両面研磨装置、および、この両面研磨装置を用いる加工方法に関する。
研磨・研削の分野では、仕上げ加工の一種としてスパークアウト加工が知られている。スパークアウト加工とは、例えば、研削盤等を操作する作業者の技術であり、加工具の切り込み量を無くした状態で研削する加工である。このようなスパークアウト加工により被加工物の寸法精度・面粗度・平坦度などを改善する。
両面研磨装置においても、ワーク加工の最終段階でワークへ作用させる面圧を小さくして、ワークの仕上げ加工を行なう方法などが一般には採られていた。両面研磨装置は、半導体集積回路用基板に用いられる単結晶シリコンウエハ、ハードディスク用基板等のワーク(以下、単にワークという)の両面を上定盤および下定盤で挟み、両面に対して研磨加工を行う装置である。そして、中心軸上に配置した昇降用シリンダで上定盤を昇降させる方式が採られていることが多い。
両面研磨装置の通常加工時は、ワークへ所定の面圧を掛けるため上定盤の自重より若干小さい荷重が作用するようにしており、昇降用シリンダが上定盤を若干引き上げる状態となるように昇降用シリンダ内へ流体を供給して使用している。
両面研磨装置の仕上げ加工時は、昇降用シリンダが上定盤をさらに引き上げてワークへの面圧を徐々に低下させたり、または、一旦低い面圧を維持して加工を行なっている。
しかしながら、上定盤をワークに追従させながら下降させても機械や上定盤の剛性不足によって設定値通りの厚みが得られないことがあったり、大型で重量の大きな定盤を使用する場合には、高精度で安定的な低荷重の設定が難しいのが一般的であった。また、先に述べたように、研削加工において加工具の切込みを停止した状態で加工を続けるという本来のスパークアウト加工方法は、両面研摩装置においては構造上の問題があり、採用されてこなかった。そこで、このような両面研磨装置においても加工の最終段階において上定盤の位置を固定して仕上げ加工を行なうスパークアウト加工を適用すれば、ワークの表面をなめらかに仕上げることが可能になると考えられる。
このような両面研磨装置の基本的構造に関連する従来技術として、例えば、特許文献1(特開2001−138222号公報)に記載の両面研磨装置が知られている。
この両面研磨装置は、中心軸上に配置したシリンダで上定盤を昇降させる方式を採用するものである。
また、スパークアウト加工に関する参考技術として特許文献2(特開平5−177533号公報)に記載の半導体ウェーハの研磨方法と装置が知られている。
この参考技術は両面研磨ではなく片面研磨に関するものであるが、研磨精度を上げるため、スパークアウト加工を行うものである。しかしながら、本文献ではトップリングの位置を固定して仕上げ加工を行なっているわけではない。
特開2001−138222号公報(段落番号[0018]、図7) 特開平5−177533号公報(段落番号[0013]、図3)
従来技術の両面研磨装置では、大型装置になると上定盤荷重が数百kgから数トンに達する。このような大型装置の両面研磨装置では、ワーク全体に付与する荷重を数十kgレベルの低荷重に正確かつ安定的に設定して仕上げ研磨することは困難であり、さらに従来技術の両面研磨装置では、先に説明したような“スパークアウト加工”を行なうことは構造上不可能であった。
特許文献1に記載の両面研磨装置でも、昇降用シリンダのみで上定盤を支持する構成であり、低荷重設定を任意に行う構造とはなっておらず、スパークアウト加工を行うことが容易ではなかった。
また、特許文献2のような片面用の研磨装置では上定盤が小さいため、作用荷重を低減した仕上げ加工としてのスパークアウト加工は比較的容易であるが、実際にワークへ作用する荷重を精度よく計測する手段および実際に荷重を精度よく制御する手段などが必要である。また、トップリングの位置を固定して仕上げ加工を行なっているわけではないので、本来の意味でのスパークアウト加工を実現しているわけではない。先に説明したように大型の両面研磨装置においては、作用荷重を低荷重から極低荷重に設定した仕上げ加工も実施が困難であったと同時に、加工具である上定盤の位置を固定して仕上げ研磨するスパークアウト加工を実現することはできなかった。
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型構造でもスパークアウト加工を可能とする上定盤の支持構造および下定盤の支持構造を採用し、ワークの研磨精度を向上させた両面研磨装置およびこの両面研磨装置を用いる加工方法を提供することにある。
本発明の請求項1に係る両面研磨装置は、
上定盤と下定盤との間に挟み込んだワークをラッピングまたはポリッシングする両面研磨装置において、
上定盤を上下方向に昇降させる上定盤昇降手段と、
上定盤を上下方向の所定位置に固定するための固定動作を行う上定盤位置固定手段と、
垂直軸周りに回転駆動される下定盤を支持する流体軸受けと、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る両面研磨装置は、
請求項1に記載の両面研磨装置において、
前記上定盤昇降手段は、
上定盤とともにシリンダロッドを昇降する上定盤昇降シリンダと、
を備え、
前記上定盤位置固定手段は、
上定盤昇降シリンダの下部に配置され、シリンダロッドをロックするロック機構であって、
回転体を円周方向に分割した分割体であり、外周面にテーパ部を有する分割弾性体と、
この分割弾性体の上方に、通常はバネにより上方へ押し上げられており、作動時は下方へ移動して前記各分割弾性体のテーパ面へ摺接して、前記各分割弾性体をシリンダロッドの外周面へ押付ける機能を有する可動式ロック装置と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る両面研磨装置は、
請求項1に記載の両面研磨装置において、
前記上定盤昇降手段は、
上定盤とともにシリンダロッドを昇降する上定盤昇降シリンダと、
を備え、
前記上定盤位置固定手段は、
上定盤昇降シリンダ下部に配置されるロック機構であって、
シリンダロッドの下方に設けられ、シリンダロッドと一体で昇降動作する張り出し部材と、
前記張り出し部材のシリンダロッド中心軸に対して対角位置に設けた一対のロック用ロッドと、
上定盤加工時の任意の位置で、前記ロック用ロッドにそれぞれクランプ用ロッドを当接させて位置を固定する一対のクランプ用シリンダと、
を備えることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る加工方法は、
請求項2または請求項3に記載の両面研磨装置を用いる加工方法であって、
通常の加工時は前記上定盤位置固定手段を開放して上定盤昇降シリンダの動作を自由に行えるようにし、
定常加工の最終段階において、それぞれ前記上定盤位置固定手段を作動させて上定盤位置を固定した後、所定の時間加工を継続した後加工を終了するか、必要に応じて下定盤の回転速度を増減させて、任意のパターンにてスパークアウト加工を行ない、
スパークアウト加工が終了した時、前記上定盤昇降シリンダに上定盤支持荷重より若干大きな引上げ荷重を作用させ、前記上定盤位置固定手段を解放することにより前記上定盤を上昇させることを特徴とする。
本発明によれば、大型構造でもスパークアウト加工を可能とする上定盤の支持構造および下定盤の支持構造を採用し、ワークの研磨精度を向上させた両面研磨装置およびこの両面研磨装置を用いる加工方法を提供することができる。
本発明を実施するための形態の両面研磨装置の説明図であり、図1(a)は断面構成図、図1(b)はA−A線断面図である。 本発明を実施するための他の形態の両面研磨装置の断面構成図である。 時間に対するワーク面圧の挙動を説明する特性図である。 下定盤の回転数に対する下定盤の浮上量を説明する特性図である。
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。まず、両面研磨装置100について図1を参照しつつ説明する。両面研磨装置100は、ワーク200を平面加工する装置である。両面研磨装置100の機械駆動系の構成は、図1で示すように、基台1、構造体2、上定盤昇降シリンダ3、ピストン4、シリンダロッド5、上定盤位置固定装置6、自在継手7、上定盤吊板8、上定盤9、回動式駆動ツメ10、上定盤駆動ドラム11、中心ギア12、ワークキャリア13、インターナルギア14、下定盤15、下定盤支持部16、流体軸受皿17、下側ベース部18、インターナルギア支持部19、インターナルギア駆動軸20、下定盤駆動軸21、中心ギア駆動軸22、上定盤駆動軸23を備えている。
続いて各構成について説明する。
基台1は、床面に載置され、全構造を支持できるような堅牢な台である。
構造体2は、基台1の上側に取り付けられて装置の上側を覆い、上定盤昇降シリンダ3や上定盤9を支持できるような堅牢な機械構造物である。
上定盤昇降シリンダ3は、構造体2の上側であって上定盤位置固定装置6の直上に設けられる。
ピストン4は、上定盤昇降シリンダ3の内部に設けられる。上定盤昇降シリンダ3内にはピストン4により仕切られる第1室、第2室が設けられる。
シリンダロッド5は、ピストン4に連結されており、ピストン4の移動とともに矢印a方向に昇降駆動される。
これら上定盤昇降シリンダ3、ピストン4およびシリンダロッド5は、本発明の上定盤昇降手段を構成する。
上定盤昇降シリンダ3の第1室、第2室には図示しない流路が接続されており、流体制御部から流路を介して上側の第1室にエアが送られるとピストン4の下降とともにシリンダロッド5は下降し、また、図示しない他の流路を介して下側の第2室にエアが送られるとピストン4の上昇とともにシリンダロッド5は上昇する。
上定盤位置固定装置(本発明の上定盤位置固定手段の具体例である)6は、上定盤昇降シリンダ3の下部に配置され、シリンダロッド5をロックするロック機構であって、図1(a),(b)に示すように、筒体61、クランプピストン62、分割コマ63、分割コマ戻し用部材64を備える。
筒体61は、内部空間を有し、この内部空間内にてクランプピストン62、分割コマ63、分割コマ戻し用部材64が収容されている。
クランプピストン(可動式ロック装置)62は筒体61内を摺動するようになされている。
分割コマ63は、回転体に対して円周方向に分割したものであり、外周面にテーパ部を有する。本形態では図1(a)で示すように六分割されているが、この分割数は事情に応じて適宜最適な分割数を選択することができる。また、中心にはシリンダロッド5が挿通されている。
分割コマ戻し部材64(弾性体)は、クランプピストンが上昇してクランプを解除したときにシリンダロッド内周側に押付けられた分割コマ63を円周方向へ押し広げてロックを解除する役割をもつ。
続いて上定盤位置固定装置6の動作について説明する。
クランプピストン(可動式ロック装置)62は、分割コマ63の上方に配置されており、通常はバネ(図示せず)により上方へ押し上げられている。
作動時はクランプシリンダ上室へ圧力流体を供給してクランプピストン(可動式ロック装置)62を下方へ移動させ、分割コマ63の各テーパ面へ摺接させて分割コマ63の各コマをシリンダロッド5の外周面へ押付ける機能を有する。シリンダロッド5には押しつけ力が加わり、位置が固定される。
自在継手7は、シリンダロッド4に対して上定盤吊板8が回転したり、また、揺動したりするように支持する。
上定盤吊板8は、円板状であって、支柱81により上定盤9を支持する。
上定盤9は、環状円板であり、下面にワーク200を研磨するラップ面/ポリッシュ面を有する。上定盤9を下降させると中央の孔部に上定盤駆動ドラム11が貫通する構造となっている。
回動式駆動ツメ10は、上定盤9に設けられた軸支部に対して回動するように構成されている。回動式駆動ツメ10は、例えば、180度ピッチで配置されている。
上定盤駆動ドラム11は、円柱体であり、側面に複数の嵌合溝が設けられている。図1(a)で示すように、上定盤9の中央孔を上定盤駆動ドラム11が貫通し、上定盤駆動ドラム11が上定盤9から突出するように設けられている。
中心ギア12は、外周側に歯が形成されており、下定盤15の内周側に配置されている。
ワークキャリア13は、遊星ギアが外周に形成されており、中心ギア12およびインターナルギア14に噛合するようになされている。ワークキャリア13においてワーク200を保持するワーク保持孔が形成されている。ワークキャリア13はワークに応じて各種用意されており、1個のワークキャリア13に1個のワーク保持孔が形成されるものであったり、または、複数個のワーク保持孔が形成されるものであったりする。このようなワークキャリア13は、複数個配置されている。
インターナルギア14は、内周側に歯が形成されており、下定盤15の外周側に配置されている。
下定盤15は、図1で示すように、環状円板であり、上面にワーク200を研磨するラップ面/ポリッシュ面を有する。ここに上定盤9および下定盤15は、共通回転軸の回りを回転するものであり、下定盤15は共通回転軸を回転中心として回転するように支持される。
下定盤支持部16は、回転体であって、下定盤支持部16の上面には下定盤15が固定されており、下定盤支持部16は、下定盤15とともに図示しない下定盤駆動軸21により回転駆動される。
流体軸受皿17は、円環状で断面凹型の溝部を含むとともにこの溝部内底面に下側軸受面が形成されており、この断面凹部へ潤滑油を供給する流体供給孔が適宜設けられている。通常は断面凹部に潤滑油を充填した状態で使用する動圧流体軸受として用いることが多いが、大型装置などにおいては、前記下側軸受面から潤滑油を供給しつつ運用する静圧流体軸受として用いてもよい。下定盤支持部16は、円環状で断面角型の受け部を含む構造であり、この受け部下面に上側軸受面が形成されている。そして、流体軸受皿17の溝部内の下側軸受面と受け部の上側軸受面とが対向して、流体軸受けを形成している。
下側ベース部18は、基台1上に配置されており、中央に軸受けが設けられ、また、上側には流体軸受皿17が配置固定されている。
インターナルギア支持部19は、概略筒状部材を含む構成であり、上側にインターナルギア14が固定されている。
インターナルギア駆動軸20は、インターナルギア支持部19の下側に形成された歯車部と噛み合っている。インターナルギア駆動軸20は、図示しないインターナルギア回転駆動部により回転力が付与され、インターナルギア支持部19とともにインターナルギア14が回転駆動される。
下定盤駆動軸21は、下側ベース部18に対して軸受けを介して回転自在に支持されており、下側支持部16と一体に設けられている。図示しない下定盤回転駆動部により下定盤駆動軸21に回転力が付与され、下定盤駆動軸21および下定盤支持部16とともに下定盤15が回転駆動される。
中心ギア駆動軸22は、中心ギア12が一体に設けられている。中心ギア駆動軸22は、下定盤駆動軸21の中心孔内に配置されており、それぞれ独立して回転する。中心ギア駆動軸22は、図示しない中心ギア回転駆動部により回転力が付与され、中心ギア駆動軸22とともに中心ギア12が回転駆動される。
上定盤駆動軸23は、上側に上定盤駆動ドラム11が固定される。上定盤駆動軸23は中心ギア駆動軸22の中心孔内に配置されており、それぞれ独立して回転する。中心ギア駆動軸22は下定盤支持部15の中心孔内に配置されており、それぞれ独立して回転する。従って、上定盤駆動軸23、中心ギア駆動軸22および下定盤駆動軸21の三軸は何れも独立して回転可能であり、上定盤9、下定盤15および中心ギア12はそれぞれが独立して回転する。
これら構成のうち、上定盤吊板8、上定盤9、上定盤駆動ドラム11、中心ギア12、インターナルギア14、下定盤15、下定盤支持部16、下定盤駆動軸21、中心ギア駆動軸22、上定盤駆動軸23の中心軸は共通軸となっている。両面研磨装置100はこのようなものである。
続いて、本形態の両面研磨装置100の具体的な加工動作について加工方法とともに説明する。両面研磨装置100は、各ワークキャリア13のワーク保持孔に保持されたワーク200を上定盤9と下定盤15との間に挟み込み、各ワークキャリア13を遊星運動させながら上定盤9および下定盤15を互いに逆方向に回転させてワーク200の両面の研磨加工を行い、研磨終了後、上定盤9を上昇させてワーク200を取り出す、というものである。
(1)まず、ワークキャリア13にワーク200を設置する設置工程が行われる。この設置工程では、例えば、図示しない制御装置の制御により、流体制御部を介して、上定盤昇降シリンダ3がシリンダロッド5を上昇させて上定盤9が持ち上げられた状態になされ、ワークキャリア13に設けられたワーク保持孔内に、複数枚のワーク200が装着される。この装着は、手作業による装着や、ワークハンドリングロボットを用いるなどしてワークキャリア13へのワーク200の装着とワークキャリア13からのワークの取り出しとを自動化した装着など、を採用しても良い。ワークキャリア13に設けられたワーク保持穴にラッピングまたはポリッシングされる複数のワーク200が保持された状態となる。
この上定盤9が上昇した状態にある時、上定盤位置固定装置6では、クランプピストン62は上昇した状態であり、シリンダロッド5は自由に移動できるような状態である。
(2)続いて、図示しない制御装置の制御により、流体制御部を介して上定盤昇降シリンダ3を制御し、下降速度を定常速度に設定して上定盤9の下降を行う。
(3)上定盤9の下降が引き続き行われ、上定盤駆動ドラム11の嵌合溝に回動式駆動ツメ10を嵌合する。嵌合は自動的または作業者の補助により行われる。この嵌合により上定盤9が上定盤駆動ドラム11により回転駆動されることとなる。
(4)上定盤9の下降が引き続き行われ、上定盤9がワーク200と接触した状態となり、図示しない計測部がシリンダロッド5に加わる支持荷重を計測し、この支持荷重が所定レベルに達したら計測部からの信号を受けて制御装置が上定盤9の下降を停止する。
シリンダロッド5に支持される環状の上定盤9は、ワーク200に対して適正圧力で接するような位置に決定される。
(5)上定盤9および下定盤15を回転させ、加工開始する。
上定盤9に設けられたスラリー供給穴からリンスやスラリーの供給を開始しつつ、図示しない上定盤回転駆動部が上定盤駆動軸23および上定盤駆動ドラム11を回転させると、回動式駆動ツメ10を介して上定盤9の回転が開始される。上定盤駆動ドラム11の嵌合溝に対して回動式駆動ツメ10は移動可能なため、上定盤9は上下方向に移動可能となり、ワーク200に倣うようになされている。
同様に、下定盤15、中心ギア12およびインターナルギア14も所定速度にて回転させる。下定盤15は、下定盤回転駆動部から下定盤駆動軸21を通じて駆動力が伝達され、所定の回転速度にて回転する。
また、中心ギア12は、中心ギア回転駆動部から中心ギア駆動軸22を通じて駆動力が伝達され、所定の回転速度にて回転する。
また、インターナルギア14は、インターナルギア回転駆動部からインターナルギア駆動軸20を通じて駆動力が伝達され、所定の回転速度にて回転する。
ワークキャリア13の外周の歯面は中心ギア12およびインターナルギア14と噛合っており、ワークキャリア13は遊星運動を開始する。中心ギア12およびインターナルギア14を回転させることにより上定盤9と下定盤15とにより挟持されるワーク200が装着されたワークキャリア13が自転しつつ公転し、ワーク200の両面が研磨される。
これら上定盤9、下定盤15、中心ギア12、インターナルギア14は、それぞれ、上定盤回転駆動部、下定盤回転駆動部、中心ギア回転駆動部、内歯歯車回転駆動部により回転が制御されており、例えばこれら各駆動部に接続される制御装置により回転速度を調節して最適なラッピング・ポリッシングを行う。この両面研磨装置100の通常加工時は、ワーク200へ所定の面圧を掛けるため上定盤9の自重より若干小さい荷重が作用するように装置を構成しており、上定盤昇降シリンダ3が上定盤9を若干引き上げる状態となるように上定盤昇降シリンダ3内へ流体を循環させて使用している。
(6)ワークが所定厚みとなったとき、スパークアウト加工を開始する。
ワーク200が目標とする厚みになったら上定盤9、下定盤15、中心ギア12、インターナルギア14を所定の回転数としてスパークアウト加工を開始する。ワーク面圧は、図3で示すように、低域荷重から順次下降して極低域荷重へ移行していく。
また、スパークアウト加工開始時、上定盤位置固定装置6では、図示しない制御装置の制御により、流体制御部を介して、クランプピストン62を下降させて、分割コマ63をシリンダロッド5に当接させて固定する。そしてシリンダロッド5の下降が拘束されるため、上定盤9の上下方向の位置が固定される。
このように上定盤9が下降せず、スパークアウト加工が行われることとなる。スパークアウト加工は、例えば、各軸の運転条件を保持したまま所定時間が経過するまで行われる。この際、特に下定盤9の回転数を適宜制御すると、流体軸受けの浮上量及び浮上力が微調整されて両面に係る圧力が制御されるため、この点でも仕上げ精度を向上させることが可能となる。図4に下定盤回転数と下定盤浮上量との関係を説明する特性図を示す。このように回転数が増加するにつれて浮上量が増加するため、面圧を調整することができる。
(7)加工を停止する。この時、上定盤昇降シリンダ3において、上定盤等の吊下げ荷重より若干大きな吊り上げ力を設定しておく。
スパークアウト加工終了後、制御装置は、上定盤9、下定盤15、中心ギア12、インターナルギア14を停止させて加工を終了する。なお、上定盤回転駆動部に回転位置検出センサがあれば回転止めが作動する適当な位置まで上定盤9を回転させることも可能である。
また、スパークアウト加工が終了したとき、上定盤位置固定装置6では、図示しない制御装置の制御により、流体制御部を介して、クランプシリンダ上室65の圧力流体を開放することによりクランプピストンが上昇して分割コマ63への押付け力が開放される。この時、分割コマ戻し部材64の弾性反発力により分割コマ63は円周方向へ押し広げられ、シリンダロッド5への固定が解除される。その後、上定盤昇降シリンダ3により上定盤9を徐々に上昇させ、上昇端まで引き上げる。
(8)最後に、研磨が終了したワーク200を取り出す。
加工動作はこのようなものである。
このような上定盤位置固定装置6は、上定盤9を任意の位置で固定し、上下方向へ移動しないようにする機構である。上定盤9や下定盤15は研磨面の磨耗が進行すると同時に、ワーク加工のどの時点で仕上げ加工を開始するかも変動するため、任意の位置で上定盤9を固定する機能が必要となる。上定盤位置固定装置6はシリンダロッド5の上下の位置に影響されることなく、任意位置に当接するため変動に影響されないようにすることができる。
続いて本発明の他の形態について説明する。先に説明した両面研磨装置100では上定盤位置固定装置6を採用するものであったが、圧接のみでは固定力が十分でないことも想定される。本形態では固定力を増大させて大型機でも対応できるようにした上定盤位置固定装置30を備えるものである。第2の上定盤位置固定装置30は、図2に示すように、筒体31、支持ベース32、ロック用ロッド33、クランプ用シリンダ34、張り出し部材35を備える。
なお、本形態では上定盤位置固定装置30以外は図1を用いて説明した形態と同じ構成であり、同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
筒体31は、中央に孔部が形成されており、シリンダロッド5が孔部内を移動自在に挿通されている。
支持ベース32は、筒体31の両側側面に配置される。貫通孔内をロック用ロッド33が移動自在に挿通されている。
ロック用ロッド33には、側面に傾斜切り欠き部33aが形成されている。傾斜切り欠き部33aは、図2でも明らかなように上下二箇所に形成されている。下側はワーク交換時に誤って上定盤が落下しないように固定される。上側はスパークアウト加工時に固定される。
クランプ用シリンダ34は、内部がピストンにより仕切られて第1室、第2室が形成されており、図示しない流体制御部から流路を介して前側の第1室にエアが送られるとピストンの後退とともにクランプ用ロッド34aはロック用ロッド33を解放し、また、図示しない流体制御部から他の流路を介して後側の第2室にエアが送られるとピストンの前進とともにクランプ用ロッド34aはロック用ロッド33を固定する。
張り出し部材35は、シリンダロッド5の下側に取り付けられており、シリンダロッド5とともに昇降する。また、張り出し部材35のシリンダロッド中心軸に対して対角位置には一対のロック用ロッド33が取り付けられている。これら一対のロック用ロッド33は張り出し部材35の昇降とともに昇降する。この際、ロック用ロッド33の昇降とともに傾斜切り欠き部33aがクランプ用シリンダ34のクランプ用ロッド34aの先端前面まで移動する。この傾斜切り欠き部33aにクランプ用ロッド34aの先端を当接させれば、ワーク交換やスパークアウト加工で固定される。
この上定盤9が下降した状態にある時、上定盤位置固定装置6では、張り出し部材35とともに、ロック用ロッド33も下降する。そして上側の傾斜切り欠き部33aがクランプ用ロッド34aの先端に当接する任意の位置で固定され、スパークアウト加工が行われる。
この際、ロック用ロッド33の傾斜切り欠き部33aの傾斜面に、クランプ用ロッド34aの傾斜端面部が当接して確実に固定され、上定盤9がスパークアウト加工位置に維持される。
上定盤9の昇降ストロークは長い訳であるが、スパークアウト加工を行うための上定盤の位置はある限定された領域となるので、その対象となる領域でのみストッパ機構が作動するようにすれば良く、上定盤位置固定装置30はその構造を簡略にすることができる。本形態ではワーク交換位置やスパークアウト加工位置以外では、上定盤位置固定装置30を作動することがないことから、ワーク交換位置やスパークアウト加工位置においてのみ、ロック用ロッド33の傾斜切り欠き部33aの傾斜面に、クランプ用ロッド34の傾斜端面部が当接するという簡略な構造を可能とした。
以上本形態の両面研磨装置について説明した。このように本形態の両面研磨装置は、外周に歯面を形成するとともにワーク保持孔を穿設したワークキャリアを、水平面内に配置された中心ギアとインターナルギアとの間に複数個噛合わせておき、このワーク保持孔にワークを挿入したワークキャリアの表裏両面を、下定盤と、上定盤と、の間に挟み込んだ状態にして、中心ギアとインターナルギアとを回転させることでワークキャリアを遊星運動させ、同時に下定盤および上定盤をワークキャリアに対して相対的に回転させてワークをラッピングまたはポリッシングする遊星歯車方式の両面研磨装置において、
上定盤を上下方向に昇降させる上定盤昇降手段と、
上定盤を上下方向の所定位置に固定するための固定動作を行う上定盤位置固定手段と、
垂直軸周りに回転駆動される下定盤を支持する流体軸受けと、
を備えた両面研磨装置である。
このような両面研磨装置は、図1,図2で示すように、遊離砥粒を用いた両面研磨盤を示しているが、上下定盤に砥石などを配置した平面研削盤でも同様の構造および加工方法を実現することができる。
また、1のワークキャリアに搭載できるワークは1枚(枚葉式)から多数(バッチ式)に対応することができる。
このような本発明の両面研磨装置は、流体軸受の挙動特性(下定盤の回転数にほぼ比例した浮上量が得られる;数十μm〜百μmレベル)を利用するため、この効果により、今まで設定のできなかった低荷重〜極低荷重を付与した仕上げ研磨加工(スパークアウト加工)を行なうことができるので、ワークの仕上げ精度(厚み、平坦度、面粗さなど)を著しく向上させることができる。
以上のような本発明に係る両面研磨装置および加工方法は、ワークに対して、ラッピング、ポリッシング等の精度の高い平面加工を行う装置に適している。
100:両面研磨装置
1:基台
2:構造体
3:上定盤昇降シリンダ
4:ピストン
5:シリンダロッド
6:上定盤位置固定装置
61:筒体
62:クランプピストン
63:分割コマ
64:分割コマ戻し部材(弾性体)
65:クランプシリンダ上室
7:自在継手
8:上定盤吊板
81:支柱
9:上定盤
10:回転式駆動ツメ
11:上定盤駆動ドラム
12:中心ギア
13:ワークキャリア
14:インターナルギア
15:下定盤
16:下定盤支持部
17:流体軸受皿
18:下側ベース部
19:インターナルギア支持部
20:インターナルギア駆動軸
21:下定盤駆動軸
22:中心ギア駆動軸
23:上定盤駆動軸
30:上定盤位置固定装置
31:筒体
32:支持ベース
33:ロック用ロッド
33a:傾斜切り欠き部
34:クランプ用シリンダ
34a:クランプ用ロッド
35:張り出し部材
200:ワーク

Claims (4)

  1. 上定盤と下定盤との間に挟み込んだワークをラッピングまたはポリッシングする両面研磨装置において、
    上定盤を上下方向に昇降させる上定盤昇降手段と、
    上定盤を上下方向の所定位置に固定するための固定動作を行う上定盤位置固定手段と、
    垂直軸周りに回転駆動される下定盤を支持する流体軸受けと、
    を備えたことを特徴とする両面研磨装置。
  2. 請求項1に記載の両面研磨装置において、
    前記上定盤昇降手段は、
    上定盤とともにシリンダロットを昇降する上定盤昇降シリンダと、
    を備え、
    前記上定盤位置固定手段は、
    上定盤昇降シリンダの下部に配置され、シリンダロットをロックするロック機構であって、
    回転体を円周方向に分割した分割体であり、外周面にテーパ部を有する分割弾性体と、
    この分割弾性体の上方に、通常はバネにより上方へ押し上げられており、作動時は下方へ移動して前記各分割弾性体のテーパ面へ摺接して、前記各分割弾性体をシリンダロットの外周面へ押付ける機能を有する可動式ロック装置と、
    を備えることを特徴とする両面研磨装置。
  3. 請求項1に記載の両面研磨装置において、
    前記上定盤昇降手段は、
    上定盤とともにシリンダロットを昇降する上定盤昇降シリンダと、
    を備え、
    前記上定盤位置固定手段は、
    上定盤昇降シリンダ下部に配置されるロック機構であって、
    シリンダロットの下方に設けられ、シリンダロットと一体で昇降動作する張り出し部材と、
    前記張り出し部材のシリンダロット中心軸に対して対角位置に設けた一対のロック用ロットと、
    上定盤加工時の任意の位置で、前記ロック用ロットにそれぞれクランプ用ロットを当接させて位置を固定する一対のクランプ用シリンダと、
    を備えることを特徴とする両面研磨装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の両面研磨装置を用いる加工方法であって、
    通常の加工時は前記上定盤位置固定手段を開放して上定盤昇降シリンダの動作を自由に行えるようにし、
    定常加工の最終段階において、それぞれ前記上定盤位置固定手段を作動させて上定盤位置を固定した後、所定の時間加工を継続した後加工を終了するか、必要に応じて下定盤の回転速度を増減させて、任意のパターンにてスパークアウト加工を行ない、
    スパークアウト加工が終了した時、前記上定盤昇降シリンダに上定盤支持荷重より若干大きな引上げ荷重を作用させ、前記上定盤位置固定手段を解放することにより前記上定盤を上昇させることを特徴とする加工方法。
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