JP2011237333A - 衛星測位受信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】測位信号の受信において、擬似距離生成が開始されるまでの時間を短縮して、TTFFをより短縮する。
【解決手段】SPS用受信アンテナで受信されたRF信号にフロントエンド処理を行うフロントエンド手段と、フロントエンド処理により得られたデジタル信号に対して信号捕捉および追尾処理を行って信号伝播時間を得るベースバンド処理手段と、当該信号伝播時間に基づき疑似距離計算および測位計算を行う航法計算手段とを備え、ベースバンド処理手段が、複数の衛星のうち、一番最初に航法データをデコードして信号が送信されたSPSシステム時刻を得た基準衛星については、従来手法どおりにそのシステム時刻を使って信号伝播時間を算出し、それ以外の衛星については、その衛星と基準衛星とのコード位相差を求め、コード位相差から信号伝播時間を算出する。
【選択図】図6

Description

本発明は、衛星測位システム(Satellite Positioning System、以下、SPSと略す。)で用いられる衛星測位受信機(以下、SPS用受信機とする。)に関し、特に、SPS用受信機内の測位計算に使う擬似距離の生成処理方法に関する。
GPS(Global Positioning System)をはじめとするSPSを使う測位装置は、カーナビや携帯電話など多くのデバイスに採用されて自己位置計算に使われている(例えば、特許文献1参照)。携帯電話などでは、ユーザーからの求めに応じて即座に自己位置計算を行う必要があることから、アシスト情報を携帯電話の基地局経由で携帯電話に与えて測位計算時間を大幅に短縮するアシスト型GPS(Assisted GPS)と呼ばれる処理が行われる。
しかし、そのようなアシスト情報を測位端末に伝送する手段が無い場合には、測位計算開始までにかかる時間が通常30秒〜数分程度あり、この時間を理論的限界まで短縮する努力が受信機メーカー各社によって行われている。
測位開始所要時間(Time To First Fix、以下、TTFFと略す。受信機の電源を入れてから最初の位置座標を得るまでにかかる時間。)が長くなる主な要因は2つあり、一つは測位信号の捕捉処理に時間がかかること、もう一つは衛星軌道パラメータの取得に時間がかかることである。前者については、相関器(Correlator)を多数搭載することで信号捕捉に要する時間を短縮可能であり、市販製品の中には数秒でほとんどの可視衛星の信号を捕捉できるものもある。後者については、測位信号の捕捉後に航法メッセージをデコードして得られるエフェメリス(Ephemeris)と呼ばれる衛星軌道パラメータの取得に要する時間であり、これは、現在、信号捕捉後18秒から30秒程度かかっている。通常のやり方では、このエフェメリス取得にかかる時間を短縮することはできないが、近年、古いエフェメリスデータから将来の軌道パラメータを推定する技術が進歩し、衛星から放送されているエフェメリス(以下、“放送エフェメリス”と称す)の精度と大差なく1週間程度先までは予測できるため、これを利用すればTTFFを大幅に短縮することが可能となる。この予測されたエフェメリスを拡張エフェメリス(Extended Ephemeris)と呼ぶ。
インフラ整備が進み、携帯電話以外でもワイヤレスネットワークから情報を取得しやすい環境が整いつつあるため、アシスト型GPSのように、時刻、位置、エフェメリス情報の全てを事前に取得できなくても、このうちのエフェメリスだけは事前に取得しておくことができる状況が増えていくと考えられる。
このように、従来はTTFFが長くなる主要な要因であった信号捕捉所要時間とエフェメリス取得所要時間とが短縮あるいはゼロになっていくことで、その他の処理にかかる時間の短縮が次の重要課題となりつつある。
特表2007−504731号公報
European GNSS (Galileo) Open Service Signal In Space Interface Control Document, Issue 1
上述したように、インフラ整備が進み、従来はTTFFが長くなる主要な要因であった信号捕捉所要時間とエフェメリス取得所要時間とが短縮あるいはゼロになっていくことで、その他の処理にかかる時間の短縮が次の重要課題となりつつある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、測位信号の受信において、擬似距離生成が開始されるまでの時間を短縮して、TTFFをより短縮することを図る衛星測位受信機(SPS用受信機)を得ることを目的としている。
この発明は、複数の衛星からRF信号を受信するSPS用受信アンテナと、受信された上記RF信号に対して、増幅処理、フィルタ処理、および、A/D変換処理を含むフロントエンド処理を行うフロントエンド手段と、上記フロントエンド処理により得られたデジタル信号に対して、信号捕捉および追尾処理を行って、信号伝播時間を得るベースバンド処理手段と、上記信号伝播時間に基づき、疑似距離計算および測位計算を行う航法計算手段とを備え、上記ベースバンド処理手段は、上記複数の衛星のうち、一番最初に航法メッセージからSPSのシステム時間を得た基準衛星については、上記RF信号に含まれる航法メッセージから時刻を取得して信号伝播時間を算出し、それ以外の衛星については、その衛星と上記基準衛星とのコード位相差を求め、上記コード位相差から信号伝播時間を算出することを特徴とする衛星測位受信機(SPS用受信機)である。
この発明は、複数の衛星からRF信号を受信するSPS用受信アンテナと、受信された上記RF信号に対して、増幅処理、フィルタ処理、および、A/D変換処理を含むフロントエンド処理を行うフロントエンド手段と、上記フロントエンド処理により得られたデジタル信号に対して、信号捕捉および追尾処理を行って、信号伝播時間を得るベースバンド処理手段と、上記信号伝播時間に基づき、疑似距離計算および測位計算を行う航法計算手段とを備え、上記ベースバンド処理手段は、上記複数の衛星のうち、一番最初に航法メッセージからSPSのシステム時間を得た基準衛星については、上記RF信号に含まれる航法メッセージから時刻を取得して信号伝播時間を算出し、それ以外の衛星については、その衛星と上記基準衛星とのコード位相差を求め、上記コード位相差から信号伝播時間を算出することを特徴とする衛星測位受信機(SPS用受信機)であるので、測位信号の受信において、擬似距離生成が開始されるまでの時間を短縮して、TTFFをより短縮するという効果を得る。
本発明に係るSPS用受信機の基本的な構成を示した構成図である。 外部ネットワークからエフェメリスを得る形態の、本発明に係るSPS用受信機の基本的な構成を示した構成図である。 拡張エフェメリス計算部からエフェメリスを得る形態の、本発明に係るSPS用受信機の基本的な構成を示した構成図である。 図1〜図3に示すSPS用受信機に設けられたベースバンド処理部の構成を示した構成図である。 図1〜図3に示すSPS用受信機に設けられたベースバンド処理部における従来手法による衛星信号追尾チャンネルの動作を示した流れ図である。 図1〜図3に示すSPS用受信機に設けられたベースバンド処理部における本発明における擬似距離生成開始までの衛星信号追尾チャンネルの動作を示した流れ図である。 コード位相と信号伝播時間の関係の一例を示した説明図である。 コード位相と信号伝播時間の関係の他の一例を示した説明図である。
図1は、本発明に係るSPS用受信機の基本的な構成を示した構成図である。本発明に係るSPS用受信機の基本的な構成は、図1に示すとおりで、一般的なSPS用受信機と特に変わるところはない。まず、SPS用受信アンテナ1で衛星から受信したRF信号に対して、RFフロントエンド部2において、フロントエンド処理が行われる。このフロントエンド処理には、増幅処理、フィルタ処理、ダウンコンバート処理(ダウンコンバートしない手法もある)、A/D(Analog to Digital)変換処理などが含まれるが、必ずしも、これら全部が含まれる必要はなく、適宜、変更可能である。RFフロントエンド部2によるフロントエンド処理の終了後、ベースバンド処理部3において、信号の捕捉および追尾処理が行われ、エフェメリスデータを含む航法データや、信号伝播時間が得られる。その結果を元に、航法計算部4で、擬似距離やドップラ、搬送波位相などの観測生データ生成が行われるとともに、測位計算処理が行われて、自己位置や速度などが計算される。
ただし、本発明の有効性が特にSPS用受信機のユーザーに実感できるのは、通信ネットワークからエフェメリスを事前に取得できる場合や、拡張エフェメリスを利用できる場合であり、そのような場合の本発明の実施の形態は、それぞれ、図2および図3のような構成になる。
図2では、測位開始直前あるいは開始時に、外部通信ネットワークから通信装置5を介して放送エフェメリスあるいは拡張エフェメリスを航法計算部4が取得する場合の構成である。他の構成は図1と同じである。
また、図3では、過去の受信処理時にベースバンド処理部3で得た航法データに含まれるエフェメリスデータに基づいて現在時刻のエフェメリスデータを予測する拡張エフェメリス計算部6が設けられている。航法計算部4においては、拡張エフェメリス計算部6によって予測された拡張エフェメリスを用いる構成である。他の構成は図1と同じである。
図1〜図3のいずれの構成であっても、ベースバンド処理部3には、図4に示すように、受信したい最大衛星数に相当する個数の複数の信号受信チャンネル31が組み込まれている。各信号受信チャンネル31によってSPS衛星とSPS用受信機間の信号伝播時間が計算されるには、コード位相の計算だけでなく、航法メッセージへのビット同期とそのビットに対応する時刻の取得が必要となる。図5に、ベースバンド処理部3における従来手法による衛星信号追尾チャンネルの動作を示した流れ図を示す。
図5の手法について簡単に説明する。図1〜図3で示したRFフロントエンド部2からのデジタルサンプリングデータがベースバンド処理部3に入力されると、まず、ステップS1において、ベースバンド処理部3は、それらのデジタルサンプリングデータの信号捕捉処理を行い、どの衛星の信号を受信しているかを特定する。次に、ステップS2において、ベースバンド処理部3は、それらのデジタルサンプリングデータの信号捕捉処理が完了したか否かを判定し、捕捉処理が完了していない場合はステップS1の処理を引き続き行い、捕捉処理が完了した場合にはステップS3に進む。ステップS3においては、ベースバンド処理部3は、引き込み処理を行って、捕捉した信号の周波数と信号追尾処理に使うローカル生成信号の周波数をほぼ一致させる。引き込み処理終了後、ステップS4において、ベースバンド処理部3は、追尾処理を行う。当該追尾処理では、まず、ステップS11でビット同期処理を行って、受信波に含まれる航法データのビット位置を認識し、受信データのビットを取り出せるようにする。ビット同期処理を行った後、ステップS12で、各信号受信チャネル31において、信号に含まれる航法メッセージをデコードし、航法データを出力する。次に、ステップS13において、ステップS12で得られた航法データから、その信号に対応するSPSシステム時刻を取得する。また、ステップS14で、コード位相を計算する。次に、ステップS15において、ステップS13で取得した時刻とステップS14で計算したコード位相とSPS用受信機に適宜設定した受信機時間とを使って、受信波の信号伝播時間を計算し、出力する。
このとき、ステップS14のコード位相の取得は、ステップS3の引き込み処理後に即座に行えるが、ステップS13の時刻の取得には、例えばGALILEOのE1やE5−Bの航法メッセージ(I/NAV)の場合、その仕様上、最大で22秒程度必要となる。ステップS13の時刻の取得は、各信号受信チャンネル31で個別に行わなくてはならない処理であり、4衛星以上の観測値を用いて行う一般的な測位計算処理を行うにあたって、この時刻取得にかかる時間が問題となる。
そこで、以下の本発明の実施の形態1〜3においては、4衛星以上の観測値を用いて行う一般的な測位計算処理を行う際の時刻取得にかかる時間を短縮するための疑似距離の生成処理方法、および、それを用いたSPS用受信機について示す。
SPSを使って擬似距離によるコード測位を行う場合、GALILEOのTiered Codeのようなコード長が長いコードを使えば、測位信号の各信号受信チャンネル31でそれぞれ独自に受信信号に対応する時刻を取得しなくても、相対的な信号伝播時間差を計算可能である。以下の実施の形態1〜3においては、相対的な信号伝播時間差を計算することにより、測位開始までの時間を可能な限り短縮し、より短時間に測位計算を開始できるようにした(TTFFを短縮できる)。
各衛星の測位信号の信号受信チャンネル31において擬似距離を生成するためには、それぞれの信号受信チャンネル31において受信している信号の送信時刻を取得する必要がある。“送信時刻を取得”するとは、各信号受信チャンネル31において航法メッセージをデコードして、時刻データを取り出す必要があることを意味する。GALILEOのE1の公開サービスの場合、時刻データ取得にかかる時間はGPSのL1公開サービス(C/Aコード)の場合と比べて長くなることから、測位計算開始までに要する時間も比較的長くなる可能性がある。
しかしながら、GALILEOの場合は前記E1をはじめとしてSecondary Codeが重畳されたTiered Codeが使われる信号成分があり、そのコード長は最大で100[msec]である。通常、測位信号の到達時間差は30[msec]以内なので、Tiered Codeを使って得られたコード位相を正しく解釈すれば、各衛星の信号伝播時間差、すなわち、擬似距離差が計算できる。このことは、上記の“送信時刻の取得”は1衛星だけ行えば、全衛星の擬似距離が計算可能になることを意味する。
このように、本発明では、本来、擬似距離差を算出するためのものではないTiered Codeを使って、擬似距離計算開始までの時間を短縮し測位開始までの所要時間を短縮する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るベースバンド処理部3における動作の流れを図6に示す。図6の処理において、ステップS1〜S14までの処理は、図5と基本的に同じである。図6と図5との違いは、図6においては、図5のステップS15の信号伝播時間計算を行わずに、ステップS20の信号伝播時間計算を代わりに行う。図5のステップS15においては、自らの信号受信チャンネル31で取得した時刻を使って信号伝播時間を計算していたが、図6のステップS20においては、当該時刻は使わずに、基準衛星の信号受信チャンネル31から、基準衛星のコード位相と信号伝播時間とを取得して、他の衛星からのデジタルサンプリングデータの信号伝播時間を計算する。なお、ここで、基準衛星とは、受信したい複数の衛星の中で、測位信号を捕捉して航法メッセージからその信号の送信時刻が一番最初に取得できた衛星のことを基準衛星と呼ぶこととする。
図6では、信号の捕捉および追尾に使うコードのコード周期が十分に長いことを前提としており(後述)、GALILEOのTiered Codeと呼ばれるコードがこれに該当する。この発明の実施の形態1では、100[msec]のTiered Codeを使うことを前提とする。図6では、上述したように、図5で示したように、自らの信号受信チャンネル31で取得した時刻を使って信号伝播時間を計算せずに、図6のステップS20において、基準衛星の信号受信チャンネル31から基準衛星のコード位相と信号伝播時間とを取得して、受信信号の信号伝播時間を計算する特徴がある。ただし、本実施の形態においても、基準衛星についてだけは、図5に示した従来どおりの手法で航法メッセージから時間を取得して疑似距離生成を行うこととし、それ以外の衛星については、図6に示す手法により、その衛星と基準衛星のコード位相差から信号伝播時間を算出することとする。
図5の従来どおりの手法では、各信号受信チャンネル31において、信号に含まれる航法メッセージからその信号に対応する時刻を取得するとともに(ステップS13)、コード位相を計算して(ステップS14)、コード位相と受信機に設定された受信機時間とを使って、ステップS13で取得した時刻に基づいて、信号伝播時間を計算する(ステップS15)。ここで、受信機時間は、基準衛星の信号受信チャンネル31などで取得した時刻などに基づいて適当に設定された時刻であり、必ずしも正確である必要は無く、10[msec]程度の誤差は許容される。通常、信号伝播時間のとりうる値の範囲は利用する高度に応じて決まっているので、信号伝播時間がその範囲を逸脱しないように適当に設定される。
一方、図6の手法では、各信号受信チャンネル31において、信号に含まれる航法メッセージからその信号に対応する時刻などの航法データを取得するが、図5の手法のようにその時刻は信号伝播時間計算(ステップS20)に必要ではない。そのかわり、基準衛星のコード位相と信号伝播時間とを取得し、それらとステップS14で計算したコード位相とを使って、基準衛星以外の他の衛星からの受信信号の信号伝播時間を計算する(ステップS20)。これにより、図6の時刻取得処理(ステップS13)の完了を待たずして、信号伝播時間計算を開始できるので、信号伝播時間(光速をかければ擬似距離に相当)の算出開始までの時間を短縮できる効果がある。
いま、ある信号受信チャンネル31のコード位相をφ[chip]、基準衛星のコード位相をφc,r[chip]、追尾に使用しているコードのコード長をL[chip]、コード周期をT[s]、基準衛星の信号伝播時間をΔt[s]とすると、衛星kの信号伝播時間Δt[s]は次のように表される。
Figure 2011237333
ただし、実施の形態1ではコード周期Tが0.1[s]であり、コード位相φ[chip]の時間換算値は0から0.1[s]の値をとなる。また、Nは0または±1の整数であり、以下の通り決定される。
まず、図7の例のように、A,B,C,D,Eのコード位相の時間換算値が全て40[msec]以内の幅に収まっている場合、コード位相が大きいものほど信号伝播時間が大きいことを示すので、上記の式(1)においてN=0となる。一方、図8の例のように、コード位相がL/2を境に、コード位相が小さいものと大きいものに分かれており、両者のコード位相分布区間の合計が40[msec]以内になる場合、D,Eの信号伝播時間はA,B,Cの信号伝播時間よりも小さいので、基準衛星とのコード位相の位置関係によってNを決定する必要がある。例えば、基準衛星がA,B,Cのどれかである場合には、基準衛星以外のΔt,Δt,Δtの計算においては、N=0となるが、Δt,Δtの計算では、N=−1とする。また、基準衛星がD,Eのどちらかである場合には、基準衛星以外のΔt,Δtの計算においてはN=0となるが、Δt,Δt,Δtの計算では、N=+1とする。観測衛星数が図8の例と異なっていても、同じロジックでNを決定すればよい。また、上記(図7、図8)以外の場合には、観測値に異常値が含まれるため、観測結果を棄却する。
なお、このように条件によってNを決定し、上記の式(1)を使って信号伝播時間を決定するには、コード長がある程度長くなければならず、その条件は測位信号の最短到達時間[s]と最長到達時間[s]の差の(2+α)倍がコード長[s]以下であることである。αは各種誤差や計算の確実性を考慮して0.5程度の値にするのが良い。この発明の手法は、例えばGALILEOの測位信号のうち、E1-C,E5a-Q,E5b-Qと呼ばれる信号成分においてPrimary CodeとSecondary Codeを重畳して得られるTiered Codeを使えば実現可能であり、そのコード長は0.1[s]である(非特許文献1参照)であるから、α=0.5の場合、測位信号の最短到達時間と最長到達時間の差が0.04[s]以下であればよい。地球とSPS衛星とSPS用受信機の位置関係からこの条件を満たすためのSPS用受信機に対する条件が求められ、GALILEOの場合SPS用受信機の高度がおよそ1600[km]以下であれば良いことが計算できる。
上記の式(1)により求められた信号伝播時間は、光速c=2.99792458e+8[m/s]を乗算すれば擬似距離となり、通常は4衛星以上の観測値が得られれば自律測位計算を行うことができる。
なお、式(1)により各衛星の信号伝搬時間が一旦計算できると、次式により基準衛星の観測値を使わずに各衛星の信号伝搬時間を計算できるようになる。
Figure 2011237333
式(2)ではNがTiered Codeを使った観測におけるコードアンビギュイティで必ず整数値であり、R[s]は距離の端数分である。ある瞬間の観測値によって式(1)でΔtが決まれば、式(2)によりRの絶対値がTよりも小さくなるように整数値Nを決定する。NとRが決まれば、次の観測からは各衛星のコード位相φのみを使って観測値を更新できる。
式(2)による観測値生成に移行できれば、観測される衛星が変化して基準衛星の観測が途絶えても観測値の生成を継続できるうえ、式(2)による観測値生成を行っている他の衛星を基準衛星にして、新たに捕捉した衛星の観測値を式(1)により従来手法よりも短時間に生成開始できる。
以上のように、本実施の形態1によれば、複数の衛星の中で一番最初に航法データからSPSシステム時間を取得した基準衛星については従来どおりの手法で擬似距離生成を行うが、それ以外の衛星については、その衛星と基準衛星とのコード位相差から信号伝播時間を算出することで、擬似距離生成開始までの所要時間が大幅に短縮されるという効果が得られる。また、基準衛星の観測が途絶えても、新規に観測が開始された衛星の擬似距離生成開始までの所要時間を短縮できる効果が持続する。
実施の形態2.
本実施の形態は、基本的には実施の形態1と変わらないが、信号捕捉時にTiered Codeを使うとTiered Codeのコード長は長いため、コード位相の探索に時間がかかってしまう。そこで、本実施の形態においては、GALILEOの場合には、信号捕捉時にPrimary Codeを用い、信号捕捉が完了したら、その時点からTiered Codeに移行する手法を用いる。例えば、Primary Codeが4[msec]の長さを持ち、Secondary Codeが25ビットの場合、Primary Codeによる信号捕捉後、25種類のコードタイミングを検査すればTiered Codeのコード位相を得ることができる。信号捕捉においてTiered Codeに移行後の処理は実施の形態1と全く同じである。
以上のように、本実施の形態2によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、信号捕捉時にはPrimary Codeを用い、信号捕捉が完了したら、その時点からTiered Codeに移行するようにしたので、コード長の長いTiered Codeを使って信号捕捉を行う場合に比べて、コード位相の探索にかかる時間を短縮することができる。
実施の形態3.
本実施の形態も、実施の形態1と基本的に変わらないが、Tiered Codeによって基準衛星とのコード位相差が判明した後は、Tiered Codeを使い続ける必要はないため、本実施の形態においては、基準衛星とのコード位相差が判明した後はPrimary Codeによるコード追尾処理に移行する。このようなことができるのは、Tiered Codeによる測位において式(2)によって信号伝播時間Δtkが計算できている時には、いわゆるコードアンビギュイティが解けている状態であるから、Primary Codeによるコード位相に対してもコードアンビギュイティを決定することができ、信号伝播時間Δtkを算出できるからである。このことは、次式を使って説明される。
Figure 2011237333
まず、ある観測タイミングにおいて、Tiered Codeによるコード位相φ[chip]と、Primary Codeによるコード位相φcp[chip]を同時に得る。このとき、式(2)によってΔtkが決定されるため、式(3)の整数値コードアンビギュイティNと定数Rcpを決定することで式(3)によるPrimary Codeを使った観測値生成に移行できる。ここで、Primary Codeのコード長をLcp[chip]、Primary Codeのコード周期をTcp[s]とした。コードアンビギュイティNと定数Rcpの決定方法は、式(2)の定数Rcと同様で、Rcpの絶対値がTcpよりも小さくなるように整数Nを決めればよい。
以上のように、本実施の形態3によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、Tiered Codeによって基準衛星とのコード位相差を求め、それ以降は、Primary Codeに移行するようにしたので、コード長の長いTiered Codeを使って追尾処理を行う場合に比べて、追尾処理にかかる時間を短縮することができ、高機動運動に対する追尾処理の対応能力を高くできる。
なお、上記の説明においては、実施の形態1に実施の形態3を適用する例について説明したが、その場合に限らず、実施の形態2に実施の形態3を適用するようにしてもよい。
欧州のGALILEOは2013年以降にFOC(Full Operational Capability)を迎えてフルスペックのシステムとして利用可能になる予定であり、GALILEO対応受信機に本発明の手法が活用されていく。また、GALILEO以外にも、GALILEOのTiered Codeのように全コード長が上記の通り一定の条件を満たす長さを持つ場合には本発明を適用可能である。したがって、今後携帯端末用のGPS測位装置をはじめとして、ロケットやミサイルなどの高機動運動飛しょう体用の特殊SPS用受信機、宇宙機用のSPS用受信機など様々なSPS用受信機で利用可能である。
1 SPS用受信アンテナ、2 RFフロントエンド部、3 ベースバンド処理部、4 航法計算部、5 通信装置、6 拡張エフェメリス計算部、31 信号受信チャンネル。

Claims (4)

  1. 複数の衛星からRF信号を受信するSPS用受信アンテナと、
    受信された上記RF信号に対して、増幅処理、フィルタ処理、および、A/D変換処理を含むフロントエンド処理を行うフロントエンド手段と、
    上記フロントエンド処理により得られたデジタル信号に対して、信号捕捉および追尾処理を行って、信号伝播時間を得るベースバンド処理手段と、
    上記信号伝播時間に基づき、疑似距離計算および測位計算を行う航法計算手段と
    を備え、
    上記ベースバンド処理手段は、
    上記複数の衛星のうち、一番最初に航法データより信号が送信されたSPSシステム時刻を得た基準衛星については、当該SPSシステム時刻を使って信号伝播時間を算出し、
    それ以外の衛星については、その衛星と上記基準衛星とのコード位相差を求め、上記コード位相差から信号伝播時間を算出する
    ことを特徴とする衛星測位受信機。
  2. 上記ベースバンド処理手段は、コードアンビギュイティを決定することで、上記基準衛星の追尾の途絶が起きた場合に、それ以外の衛星の観測値を利用して新規に追尾を開始した衛星の信号伝播時間の算出を速やかに開始できる
    ことを特徴とする請求項1に記載の衛星測位受信機。
  3. 上記ベースバンド処理手段は、信号捕捉時にはPrimary Codeを用い、信号捕捉完了後はTiered Codeを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の衛星測位受信機。
  4. 上記ベースバンド処理手段は、Tiered Codeを用いて、上記基準衛星とのコード位相差を求め、それ以降は、Primary Codeを用いて、信号伝播時間の計算を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の衛星測位受信機。
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