JP2012059855A - Cigs太陽電池用基板および電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】CIGS太陽電池の軽量化、フレキシブル化および低コスト化をもたらすことのできる電極基板を提供する。
【解決手段】平均厚さ0.1μm以上のCu被覆層12を有するCu被覆鋼板20の、当該Cu被覆層12上にアルカリ珪酸塩皮膜層21を形成したCIGS太陽電池用基板30が提供される。ここで、Cu被覆鋼板20としては、Cuめっき鋼板やCuクラッド鋼板などが例示される。特にフレキシブル化を重視する場合は、Cu被覆鋼板20のCu被覆層12を含む板厚は例えば0.02〜2.00mmである。Cu被覆鋼板20の基材11である鋼としては、種々の鋼種が適用対象となるが、例えば普通鋼やフェライト系ステンレス鋼を挙げることができる。
【選択図】図2
【解決手段】平均厚さ0.1μm以上のCu被覆層12を有するCu被覆鋼板20の、当該Cu被覆層12上にアルカリ珪酸塩皮膜層21を形成したCIGS太陽電池用基板30が提供される。ここで、Cu被覆鋼板20としては、Cuめっき鋼板やCuクラッド鋼板などが例示される。特にフレキシブル化を重視する場合は、Cu被覆鋼板20のCu被覆層12を含む板厚は例えば0.02〜2.00mmである。Cu被覆鋼板20の基材11である鋼としては、種々の鋼種が適用対象となるが、例えば普通鋼やフェライト系ステンレス鋼を挙げることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、CIGS太陽電池の下部電極層を形成するための基板、およびその基板表面上に下部電極層を備えた電極基板、並びにその電極基板を用いたCIGS太陽電池に関するものである。
CIGS太陽電池は、カルコパイライト型の化合物層を光吸収層(光電変換層)とし、酸化亜鉛(ZnO)を窓層とする構造の太陽電池である。CIGS太陽電池に適用されるカルコパイライト型化合物は、Cu、In、Ga、Seを基本成分とし、バンドギャップ制御のためにS(硫黄)が添加される場合もある。組成式はCu(Inx,Ga(1-x))(Sey,S(1-y))2、x=0〜1、y=0〜1で表される。本明細書ではこの種の化合物からなる層を「Cu(In,Ga)Se2型化合物層」と呼び、単に「CIGS層」と呼ぶこともある。
図1に、従来一般的なCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示する。基板1の表面に金属Moからなる下部電極層2が形成されている。基板1としては一般にソーダライムガラスが適用される。ソーダライムガラスにはNaが含まれており、CIGS層成膜中にそのNaがCIGS層中へと拡散し、CIGS太陽電池の特性が向上する。下部電極層2の表面上に光吸収層としてCIGS層3が形成されている。さらにその上に、CdSからなるバッファ層4を介して、窓層である酸化亜鉛層5、およびITO(酸化インジウム錫)などからなる透光性導電層6が形成されている。透光性導電層6の一部表面に金属からなる上部電極層7が設けられている。下部電極層2と上部電極層7にそれぞれ導線8が接続され、負荷9に電力が供給される。
本明細書では、CIGS層3から透光性導電層6までの積層構造部分を「太陽電池セル」と呼び、下部電極層6を表面に形成するための基板部分(図1の例では基板1の部分)を単に「基板」と呼ぶ。また、太陽電池セルを表面に形成するための、上記基板と下部電極層6を合わせた積層構造部分を「電極基板」と呼ぶ。
従来一般的なCIGS太陽電池では、上述のように基板1としてソーダライムガラスが用いられているため、基板の薄肉化(軽量化)を図ることが難しい。また、ソーダライムガラスは柔軟性に劣るため、太陽電池のフレキシブル化を図ることも困難である。そこで、CIGS太陽電池の軽量化やフレキシブル化に対応しうる基板材料として、ポリマーフィルムや、Ti、ステンレス鋼などの金属箔体の適用が検討されている。
しかしながら、ポリマーフィルムは熱に弱いことから、CIGS層を形成させるための加熱処理に十分耐えられないという問題がある(特許文献1)。耐熱性の良好なポリイミドフィルムをCIGS太陽電池の基板に適用する技術も知られているが(特許文献2)、この場合でも500℃以上の加熱を伴うような工程の採用は容易ではなく、CIGS層の成膜方法および成膜条件に対する制約が大きい。
一方、ステンレス鋼や普通鋼等の鋼材を基板に用いると、Fe、Crなどの鋼成分元素が高温成膜の際にCIGS層へと拡散する現象が起こる。CIGS層中に浸入したこれらの不純物元素は光電変換効率を低下させる要因となることから、鋼材を基板に用いることは高性能のCIGS太陽電池を得る上で一般的に不利となる。Tiの箔体を基材に用いる場合には、上記のような不純物元素の悪影響は回避される。ただし、Tiの箔体は材料コストが高いため、CIGS太陽電池の基板として広く採用することには無理がある。
本発明は、CIGS太陽電池の軽量化、フレキシブル化および低コスト化をもたらすことのできる実用的な技術を提供しようというものである。
発明者らの詳細な研究の結果、基板材料として鋼材を用いた場合であっても、下部電極層と鋼素地との間に金属Cu層を介在させることにより、光電変換効率を低下させるFe、Crなどの不純物元素が高温成膜中に鋼素地からCIGS層へ拡散する現象を回避できることが明らかとなった。そして、Cu層を介在させる手段として、Cu被覆鋼板を基材に使用すれば、安価でかつ優れた拡散防止効果が得られることがわかった。また、Cu被覆層の表面上にアルカリ珪酸塩皮膜を形成させ、その上に金属Mo皮膜(下部電極層)を介してCIGS層を形成させると、そのアルカリ珪酸塩皮膜層がCIGS層へのIa族アルカリ金属元素(Na等)の供給源として機能し、ソーダライムガラスを使用した場合と同様に高い電池性能が得られるのである。アルカリ珪酸塩皮膜はソーダライムガラスと同様にガラス質であるため、Mo皮膜(下部電極層)との馴染みが良く、Mo皮膜の剥離が生じて問題となるようなことはない。さらに、箔状のCu被覆鋼板を採用すれば、高強度を兼ね備えたフレキシブル基板が実現できる。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明では、平均厚さ0.1μm以上(例えば0.1〜20.0μm)のCu被覆層を有するCu被覆鋼板の、当該Cu被覆層上にアルカリ珪酸塩皮膜層を形成したCIGS太陽電池用基板が提供される。ここで、アルカリ珪酸塩皮膜としては、例えばM2O・nSiO2(ただしMはLi、NaまたはK、nは3〜5)で表される組成を有するものが挙げられる。Cu被覆鋼板としては、Cuめっき鋼板やCuクラッド鋼板などが例示される。Cu被覆鋼板の、Cu被覆層を含む板厚は例えば0.02〜2.00mmである。
Cu被覆鋼板の基材である鋼としては、種々の鋼種が適用対象となるが、例えば普通鋼やフェライト系ステンレス鋼を挙げることができる。その具体的な成分組成を例示すると以下のようになる。
〔普通鋼〕
質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.005〜0.6%、P:0.001〜0.05%、S:0.001〜0.5%、Al:0.001〜0.5%、Ni:0.001〜1.0%、Cr:0.001〜1.0%、Cu:0〜0.1%、Ti:0〜0.5%、Nb:0〜0.5%、N:0〜0.05%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼。
質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.005〜0.6%、P:0.001〜0.05%、S:0.001〜0.5%、Al:0.001〜0.5%、Ni:0.001〜1.0%、Cr:0.001〜1.0%、Cu:0〜0.1%、Ti:0〜0.5%、Nb:0〜0.5%、N:0〜0.05%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼。
〔フェライト系ステンレス鋼〕
質量%で、C:0.0001〜0.15%、Si:0.001〜1.2%、Mn:0.001〜1.2%、P:0.001〜0.04%、S:0.0005〜0.03%、Ni:0〜0.6%、Cr:11.5〜32.0%、Mo:0〜2.5%、Cu:0〜1.0%、Nb:0〜1.0%、Ti:0〜1.0%、Al:0〜0.2%、N:0〜0.025%、B:0〜0.01%、V:0〜0.5%、W:0〜0.3%、Ca、Mg、Y、REM(希土類元素)の合計:0〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼。
質量%で、C:0.0001〜0.15%、Si:0.001〜1.2%、Mn:0.001〜1.2%、P:0.001〜0.04%、S:0.0005〜0.03%、Ni:0〜0.6%、Cr:11.5〜32.0%、Mo:0〜2.5%、Cu:0〜1.0%、Nb:0〜1.0%、Ti:0〜1.0%、Al:0〜0.2%、N:0〜0.025%、B:0〜0.01%、V:0〜0.5%、W:0〜0.3%、Ca、Mg、Y、REM(希土類元素)の合計:0〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼。
ここで、下限が0%である元素は任意元素であり、「0%」は通常の製鋼工程における分析値が測定限界以下である場合を意味する。
基材としてステンレス鋼を採用し、Cu被覆層を電気Cuめっき法により形成する場合には、基材とCu被覆層の間に下地めっきとしてNiめっき層を介在させることがめっき密着性等の観点から望ましい。
また本発明では、上記の基板のアルカリ珪酸塩皮膜層上に、Mo皮膜を有するCIGS太陽電池用電極基板が提供される。また、その電極基板のMo皮膜上に、Cu(In,Ga)Se2型化合物層を有するCIGS太陽電池が提供される。
本発明では、CIGS太陽電池の基板としてCu被覆鋼板を適用した。そのCu被覆層の存在により、CIGS層成膜の高温加熱時に鋼成分であるFeやCrがCIGS層中に拡散する現象が抑止され、優れた光電変換効率が維持される。また、Cu被覆層の上にアルカリ珪酸塩皮膜層を設けたことにより、ソーダライムガラスを用いたCIGS太陽電池と同様に高い性能が得られる。成膜時には500℃以上の高温加熱が可能であり、ポリマーフィルムを基材に使用する場合と比べ、成膜条件の自由度が大幅に拡大する。また、箔状のCu被覆鋼板を使用することでフレキシブル化が可能となる。基材コストもTi箔など他の適用可能な金属箔と比べ大幅に低減される。したがって本発明は、CIGS太陽電池の軽量化、フレキシブル化および低コスト化に寄与するものである。
図2に、本発明の基板を用いたCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示する。図1に示した従来一般的なCIGS太陽電池と大きく相違する点は、ソーダライムガラスからなる基板1(図1)の替わりに、Cu被覆鋼板20を採用したこと、およびアルカリ珪酸塩皮膜層21を有することにある。Cu被覆鋼板20は、鋼基材11の表面にCu被覆層12を有している。そして、そのCu被覆層12に表面上にアルカリ珪酸塩皮膜層21を備えることにより本発明の基板30が構築されている。アルカリ珪酸塩皮膜層21の表面上には例えばスパッタリング法などにより金属Moからなる下部電極層2が形成される。Cu被覆層12を後述の所定厚さ以上とすることにより、CIGS層3を成膜する際の高温加熱に鋼基材11から鋼成分元素のFeやCrなどがCIGS層3中に拡散することが防止される。すなわち、基板に鋼材を用いたことによる弊害(CIGS層中への不純物混入による光電変換効率の低下)が抑止されるのである。これは、そのような高温加熱温度域(概ね500〜600℃)において、FeやCrは、Cu中に固溶しにくいためであると考えられる。また、CuはCIGS層3の主成分元素の1つであるから、Cu被覆層12の存在がCIGS層3の性能低下を引き起こすことはない。さらに、アルカリ珪酸塩皮膜層21はCIGS層中へのIa族アルカリ金属元素供給源として機能し、電池性能の向上をもたらす。
Cu被覆鋼板20の板厚は例えば0.02〜2.00mm程度とすればよい。特にフレキシブル化を重視するためには、Cu被覆鋼板20は0.02〜0.50mmとすることが望ましい。
図3に、Niめっき層が介在するCu被覆鋼板を構成部材に持つ本発明の基板を用いたCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示する。この基板30は、Cu被覆鋼板20のCu被覆層上にアルカリ珪酸塩皮膜層21を有する点で、図2のものと基本構造は同様であるが、鋼基材11とCu被覆層12の間にNiめっき層13が介在している。このNiめっき層13は、Cu被覆層12の密着性を確保するための下地処理層である。鋼基材11がステンレス鋼である場合には、電気Cuめっき法でステンレス鋼表面に直接Cuめっきを施すと、めっき密着性に劣ることがあるので、下地処理としてNiめっきを施すことが有利となる。この場合でも、Cu被覆層12の厚さを所定以上とすることによって、高温成膜時のFe等の拡散は十分に抑止できる。
〔Cu被覆層〕
発明者らの詳細な検討によれば、Cu被覆層は、平均厚さ0.1μm以上とする必要がある。平均厚さがそれより薄いCu被覆を施すと、鋼基材の表面全体を完全にCu被覆層で覆い尽くすことが難しくなる場合がある。その場合にはCIGS層成膜の高温加熱時に鋼基材中のFeやCrの拡散を安定して抑止することが難しくなる。Cu被覆層の平均厚さは0.2μm以上とすることがより好ましい。一方、Cu被覆層が過剰に厚くなるとコスト増となる。本用途ではCu被覆層の平均厚さは20.0μm以下とすればよい。10.0μm以下あるいは5.0μm以下に管理してもよい。Cu被覆後にCu被覆鋼板を圧延して箔体とする場合は、圧延後のCu被覆層厚さが上記所定の平均厚さとなるようにする。
発明者らの詳細な検討によれば、Cu被覆層は、平均厚さ0.1μm以上とする必要がある。平均厚さがそれより薄いCu被覆を施すと、鋼基材の表面全体を完全にCu被覆層で覆い尽くすことが難しくなる場合がある。その場合にはCIGS層成膜の高温加熱時に鋼基材中のFeやCrの拡散を安定して抑止することが難しくなる。Cu被覆層の平均厚さは0.2μm以上とすることがより好ましい。一方、Cu被覆層が過剰に厚くなるとコスト増となる。本用途ではCu被覆層の平均厚さは20.0μm以下とすればよい。10.0μm以下あるいは5.0μm以下に管理してもよい。Cu被覆後にCu被覆鋼板を圧延して箔体とする場合は、圧延後のCu被覆層厚さが上記所定の平均厚さとなるようにする。
Cu被覆層を形成させるための手法として、Cuめっき法や、クラッド接合法が挙げられる。Cuめっき法としては、公知の各種Cuめっき技術、例えば電気めっき、化学めっき、気相めっき等を用いることができる。化学めっきとしては無電解めっき、気相めっきとしてはスパッタリング、イオンプレーティングが挙げられる。これらのなかで、電気Cuめっき法は比較的高速かつ経済的にめっき層を形成することができ、めっき厚さのコントロールも容易であることから、大量生産には適している。
電気Cuめっき;
公知の種々の電気Cuめっき法を採用することができる。例えば、陰極電流効率:95〜100%の硫酸銅、硫酸からなる硫酸浴を用い、浴温:25〜60℃、電流密度:0.1〜1.0kA/m2の条件下で通電時間を変化させることにより、必要厚みのCu被覆層を形成させればよい。Cuめっき後に所定の厚さの箔に圧延する場合は、後工程での圧延率に応じて、Cu被覆層の目標膜厚から逆算した厚さのCuめっき層を形成させる必要がある。
公知の種々の電気Cuめっき法を採用することができる。例えば、陰極電流効率:95〜100%の硫酸銅、硫酸からなる硫酸浴を用い、浴温:25〜60℃、電流密度:0.1〜1.0kA/m2の条件下で通電時間を変化させることにより、必要厚みのCu被覆層を形成させればよい。Cuめっき後に所定の厚さの箔に圧延する場合は、後工程での圧延率に応じて、Cu被覆層の目標膜厚から逆算した厚さのCuめっき層を形成させる必要がある。
〔Ni下地めっき層〕
電気Cuめっきを施す場合は、前処理として電気Niめっき(Niストライクめっき)を施すことができる。特に鋼基材がステンレス鋼である場合には、Cuめっきの密着性を改善するために電気Niめっきが極めて有効である。例えば、陰極電流効率:15〜25%の塩化ニッケル、塩酸からなる全塩化物浴を用い、浴温:25〜40℃、電流密度:0.2〜1.5kA/m2の条件下で通電時間を変化させることにより、必要厚みのNiめっき層を形成させればよい。全硫酸浴を使用することもできる。
電気Cuめっきを施す場合は、前処理として電気Niめっき(Niストライクめっき)を施すことができる。特に鋼基材がステンレス鋼である場合には、Cuめっきの密着性を改善するために電気Niめっきが極めて有効である。例えば、陰極電流効率:15〜25%の塩化ニッケル、塩酸からなる全塩化物浴を用い、浴温:25〜40℃、電流密度:0.2〜1.5kA/m2の条件下で通電時間を変化させることにより、必要厚みのNiめっき層を形成させればよい。全硫酸浴を使用することもできる。
〔鋼基材〕
Cu被覆鋼板の鋼基材としては、熱膨張係数がCICS層と比較的近い普通鋼や、フェライト系ステンレス鋼が好適な対象となる。ステンレス鋼は耐食性に優れるため、高い耐久性・信頼性が重視される用途においては好適である。規格鋼種としては、普通鋼の場合、例えばJIS G3141:2009に規定される冷延鋼板(鋼帯を含む)を素材とするものが適用できる。また、ステンレス鋼の場合、例えばJIS G4305:2005に規定されるフェライト系の化学組成を有する鋼板(鋼帯を含む)が適用できる。具体的な化学組成範囲は前述のとおりである。
Cu被覆鋼板の鋼基材としては、熱膨張係数がCICS層と比較的近い普通鋼や、フェライト系ステンレス鋼が好適な対象となる。ステンレス鋼は耐食性に優れるため、高い耐久性・信頼性が重視される用途においては好適である。規格鋼種としては、普通鋼の場合、例えばJIS G3141:2009に規定される冷延鋼板(鋼帯を含む)を素材とするものが適用できる。また、ステンレス鋼の場合、例えばJIS G4305:2005に規定されるフェライト系の化学組成を有する鋼板(鋼帯を含む)が適用できる。具体的な化学組成範囲は前述のとおりである。
〔アルカリ珪酸塩皮膜〕
アルカリ珪酸塩は、M2O・nSiO2(ただしMはLi、NaまたはK、nは3〜5)で表される組成のものが特に好適である。工業的に入手が容易なアルカリ珪酸塩としては、Na珪酸塩やK珪酸塩ではnが1.2〜4.5のもの、Li珪酸塩ではnが3.5〜7.5のものが挙げられる。ただし、nが小さいアルカリ珪酸塩を使用した場合、皮膜中のアルカリ成分が多くなり空気中の水分や炭酸ガスとの反応生成物が形成され、白華現象と呼ばれる外観不良が生じやすい。一方、nが極端に高いものではアルカリ成分が少なすぎるため、形成されるアルカリ珪酸塩皮膜は脆くなる。そのため本発明ではnが3〜5のアルカリ珪酸塩を使用する。Li珪酸塩の場合は3.5〜5のものを使用することがより好ましい。
アルカリ珪酸塩は、M2O・nSiO2(ただしMはLi、NaまたはK、nは3〜5)で表される組成のものが特に好適である。工業的に入手が容易なアルカリ珪酸塩としては、Na珪酸塩やK珪酸塩ではnが1.2〜4.5のもの、Li珪酸塩ではnが3.5〜7.5のものが挙げられる。ただし、nが小さいアルカリ珪酸塩を使用した場合、皮膜中のアルカリ成分が多くなり空気中の水分や炭酸ガスとの反応生成物が形成され、白華現象と呼ばれる外観不良が生じやすい。一方、nが極端に高いものではアルカリ成分が少なすぎるため、形成されるアルカリ珪酸塩皮膜は脆くなる。そのため本発明ではnが3〜5のアルカリ珪酸塩を使用する。Li珪酸塩の場合は3.5〜5のものを使用することがより好ましい。
アルカリ珪酸塩皮膜層は、CIGS層中へのIa族アルカリ金属元素の供給源として機能する。主としてCIGS層成膜時の高温加熱によって、アルカリ珪酸塩皮膜層中のIa族アルカリ金属元素(Naなど)がMo皮膜(下部電極層)を通ってCIGS層中へ拡散する。アルカリ珪酸塩皮膜層の平均厚さは0.1μm以上であることがより効果的である。2.0μm以上であることが一層好ましい。一方、アルカリ珪酸塩皮膜層が過剰に厚くなるとコスト増となる。種々検討の結果、アルカリ珪酸塩皮膜層の平均厚さは3.0μm以下とすればよい。2.0μm以下あるいは1.0μm以下に管理してもよい。
アルカリ珪酸塩皮膜は、アルカリ珪酸塩を含む水溶液を塗布・焼成することにより形成することができる。たとえば、ディップコート、バーコート、ロールコートなどによりCu被覆層上にアルカリ珪酸塩水溶液を塗布後、基板表面温度が300〜800℃の範囲に保持されるように焼成することでアルカリ珪酸塩皮膜を形成することができ、アルカリ珪酸塩水溶液濃度を変化させることにより、必要厚みのアルカリ珪酸塩皮膜を形成できる。
〔Mo皮膜〕
アルカリ珪酸塩皮膜層の表面上に、下部電極層としてMo皮膜を形成することにより、電極基板が得られる。Mo皮膜形成手法は、スパッタリング法等、公知の手法が適用できる。この下部電極層の厚さは0.2〜3.0μm程度とすればよい。
アルカリ珪酸塩皮膜層の表面上に、下部電極層としてMo皮膜を形成することにより、電極基板が得られる。Mo皮膜形成手法は、スパッタリング法等、公知の手法が適用できる。この下部電極層の厚さは0.2〜3.0μm程度とすればよい。
〔太陽電池セルの構築〕
上記のMo皮膜(下部電極層)の表面上に、CIGS層、バッファ層、酸化亜鉛層、透光性導電層を順次形成することにより太陽電池セルが構築される。これら各層の形成方法としては従来公知の手法が適用可能である。例えばCIGS層の形成は、Mo皮膜上にCu、In、Ga、Seを同時あるいは順次蒸着し、加熱拡散によりCIGS層を合成する手法が採用できる。加熱温度は500〜600℃の高温とすることが可能である。通常、この温度範囲でCIGS層の合成に最適な条件を見出すことができる。
上記のMo皮膜(下部電極層)の表面上に、CIGS層、バッファ層、酸化亜鉛層、透光性導電層を順次形成することにより太陽電池セルが構築される。これら各層の形成方法としては従来公知の手法が適用可能である。例えばCIGS層の形成は、Mo皮膜上にCu、In、Ga、Seを同時あるいは順次蒸着し、加熱拡散によりCIGS層を合成する手法が採用できる。加熱温度は500〜600℃の高温とすることが可能である。通常、この温度範囲でCIGS層の合成に最適な条件を見出すことができる。
鋼基材として、以下の化学組成を有する普通鋼冷延鋼板およびSUS430鋼板を用意した。
普通鋼冷延鋼板; 質量%で、C:0.003%、Al:0.038%、Si:0.003%、Mn:0.12%、P:0.012%、S:0.122%、Ni:0.02%、Cr:0.02%、Cu:0.01%、Ti:0.073%、N:0.0023%、残部Feおよび不可避的不純物
SUS430鋼板; 質量%で、C:0.01%、Si:0.52%、Mn:0.19%、Ni:0.10%、Cr:18.4%、残部Feおよび不可避的不純物
SUS430鋼板; 質量%で、C:0.01%、Si:0.52%、Mn:0.19%、Ni:0.10%、Cr:18.4%、残部Feおよび不可避的不純物
これら鋼板を鋼基材として、電気Cuめっき法によりCu被覆層を形成させ、Cu被覆鋼板を得た。その際、Cu被覆層の平均厚さを種々に調整した。ただし、SUS430鋼板についてはCu被覆層と鋼基材との密着性付与のため、電気Cuめっきに先立ち、平均厚さ0.3μmの電気Niめっきを施した。これらのCu被覆鋼板のCu被覆層の表面上に、Li系、Na系またはK系のアルカリ珪酸塩の皮膜層を形成し、基板を得た。アルカリ珪酸塩皮膜の形成は、処理液をディップコート法により塗布したのち、材料到達温度400℃で焼成する方法にて行った。焼成後のアルカリ珪酸塩皮膜層の平均厚さは0.5μmとした。処理液の組成およびディップコート条件は以下のとおりである。
〔処理液組成〕
Li系; Li2O・nSiO2(n=4.5):40質量%、残部:水
Na系; Na2O・nSiO2(n=4.8):40質量%、残部:水
K系; K2O・nSiO2(n=3.6):40質量%、残部:水
〔ディップコート条件〕
浸漬速度:2.5mm/sec
浸漬時間:5sec
引き上げ速度:2.5mm/sec
Li系; Li2O・nSiO2(n=4.5):40質量%、残部:水
Na系; Na2O・nSiO2(n=4.8):40質量%、残部:水
K系; K2O・nSiO2(n=3.6):40質量%、残部:水
〔ディップコート条件〕
浸漬速度:2.5mm/sec
浸漬時間:5sec
引き上げ速度:2.5mm/sec
次に上記の基板表面上に、下部電極層としてRFスパッタリング法により平均厚さ1μmのMo皮膜を形成し、電極基板を得た。
なお、比較材として、Cu被覆層を有しないもの、アルカリ珪酸塩皮膜層を有しないもの、および従来のソーダライムガラスを基板とするものについても、それぞれ上記の手法でMo皮膜を形成することにより電極基板を作製した。各試料における基板種、Cu被覆層の平均厚さ、アルカリ珪酸塩皮膜の有無は表1〜3中に示してある。
各電極基板のMo皮膜上に、以下に示す方法で太陽電池セルを構築した。
まず、電極基板温度を約550℃とした状態でCu、In、Ga、金属Seを同時に蒸着することにより、厚さ2μmのCIGS層を形成した。
次に、CIGS層表面の電池セル部となる部分のみが露出するようマスクした状態でケミカル・バス・デポジション法(CBD法)により厚さ約0.1μmのCdSバッファ層を形成し、その上に、スパッタ法により厚さ0.1μmの酸化亜鉛(ZnO)層および厚さ0.1μmのITO透光性導電層を順次形成した。太陽電池セルの大きさは5mm×5mmである。
まず、電極基板温度を約550℃とした状態でCu、In、Ga、金属Seを同時に蒸着することにより、厚さ2μmのCIGS層を形成した。
次に、CIGS層表面の電池セル部となる部分のみが露出するようマスクした状態でケミカル・バス・デポジション法(CBD法)により厚さ約0.1μmのCdSバッファ層を形成し、その上に、スパッタ法により厚さ0.1μmの酸化亜鉛(ZnO)層および厚さ0.1μmのITO透光性導電層を順次形成した。太陽電池セルの大きさは5mm×5mmである。
このようにして構築した太陽電池セルのITO透光性導電層の一部表面のみが露出するようにマスクした状態で、その露出部分に上部電極層となるAuを蒸着法により形成し、CIGS太陽電池を得た。
上記の方法により作製したCIGS太陽電池に、山下電装社製「ソーラーシミュレーター;YSS−100」を用いてAM1.5、100mW/cm2の模擬太陽光を照射しながら、KEITHLEY社製「2400型ソースメータ」によりI−V特性を測定して、短絡電流密度Jsc、開放電圧Voc、形状因子FFの値を得た。これらの値から下記(1)式により光電変換効率ηの値を求めた。
光電変換効率η(%)=短絡電流密度Jsc(mA/cm2)×開放電圧Voc(V)×{形状因子FF/入射光100(mW/cm2)}×100 …(1)
光電変換効率η(%)=短絡電流密度Jsc(mA/cm2)×開放電圧Voc(V)×{形状因子FF/入射光100(mW/cm2)}×100 …(1)
ソーダライムガラスを基板に使用したCIGS太陽電池(表1の試験No.0)の光電変換効率η0を標準として、η0に対する各CIGS太陽電池の光電変換効率ηの比率η/η0の値(「変換効率比」という)を求めた。その結果を表1(Li系)、表2(Na系)、表3(K系)に示す。
表1〜3からわかるように、Cu被覆鋼板の表面にアルカリ珪酸塩皮膜層を設けた基板を用いた本発明例のCIGS太陽電池の光電変換効率は、ソーダライムガラスを基板に用いた従来タイプのCIGS太陽電池に対する光電変換効率の減少はわずかであり、ソーダライムガラスを用いることなく高性能のCIGS太陽電池が実現できた。
これに対し、Cu被覆層が無いか、その厚さが不足するものは鋼基材由来の不純物元素がCIGS層中へ拡散し、電池性能が低下した(試験No.1〜4、6〜9、31〜34、36〜39、61〜64、66〜69)。アルカリ珪酸塩皮膜層が無いものはCIGS層へのIa族アルカリ金属元素の供給が無く、本発明例のものより電池性能に劣った(試験No.1、3、5、6、8、10、31、33、35、36、38、40、61、63、65、66、68、70)。
1 基板
2 下部電極層
3 CIGS層
4 バッファ層
5 酸化亜鉛層
6 透光性導電層
7 上部電極層
8 導線
9 負荷
11 鋼基材
12 Cu被覆層
13 Niめっき層
20 Cu被覆鋼板
21 アルカリ珪酸塩皮膜層
30 基板
2 下部電極層
3 CIGS層
4 バッファ層
5 酸化亜鉛層
6 透光性導電層
7 上部電極層
8 導線
9 負荷
11 鋼基材
12 Cu被覆層
13 Niめっき層
20 Cu被覆鋼板
21 アルカリ珪酸塩皮膜層
30 基板
Claims (7)
- 平均厚さ0.1μm以上のCu被覆層を有するCu被覆鋼板の、当該Cu被覆層上にアルカリ珪酸塩皮膜層を形成したCIGS太陽電池用基板。
- 前記アルカリ珪酸塩皮膜は、M2O・nSiO2(ただしMはLi、NaまたはK、nは3〜5)で表される組成を有するものである請求項1に記載のCIGS太陽電池用基板。
- 前記Cu被覆鋼板は、質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.005〜0.6%、P:0.001〜0.05%、S:0.001〜0.5%、Al:0.001〜0.5%、Ni:0.001〜1.0%、Cr:0.001〜1.0%、Cu:0〜0.1%、Ti:0〜0.5%、Nb:0〜0.5%、N:0〜0.05%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を基材とするものである請求項1または2に記載のCIGS太陽電池用基板。
- 前記Cu被覆鋼板は、質量%で、C:0.0001〜0.15%、Si:0.001〜1.2%、Mn:0.001〜1.2%、P:0.001〜0.04%、S:0.0005〜0.03%、Ni:0〜0.6%、Cr:11.5〜32.0%、Mo:0〜2.5%、Cu:0〜1.0%、Nb:0〜1.0%、Ti:0〜1.0%、Al:0〜0.2%、N:0〜0.025%、B:0〜0.01%、V:0〜0.5%、W:0〜0.3%、Ca、Mg、Y、REM(希土類元素)の合計:0〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を芯材とするものである請求項1または2に記載のCIGS太陽電池用基板。
- 前記Cu被覆層は電気Cuめっき法により形成されたものであり、基材とCu被覆層の間にNiめっき層が介在する請求項4に記載のCIGS太陽電池用基板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の基板のアルカリ珪酸塩皮膜層上に、Mo皮膜を有するCIGS太陽電池用電極基板。
- 請求項6に記載の電極基板のMo皮膜上に、Cu(In,Ga)Se2型化合物層を有するCIGS太陽電池。
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