JP2012107751A - 熱分解反応用金属管 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱交換特性と熱分解反応特性とが共に優れ、炭化水素を熱分解するプロセスに用いるのに好適な熱分解反応用金属管の提供。
【解決手段】内周面に管軸方向に対して20〜35°の角度で傾斜したらせん状に延びる3条または4条のリブ1が形成された熱分解反応用金属管であって、リブ1の横断面においてリブ高さをh、谷底でのリブ幅をw、管の谷底内径をDiとしたとき、h/Diが0.1〜0.2、h/wが0.25〜1.0であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】内周面に管軸方向に対して20〜35°の角度で傾斜したらせん状に延びる3条または4条のリブ1が形成された熱分解反応用金属管であって、リブ1の横断面においてリブ高さをh、谷底でのリブ幅をw、管の谷底内径をDiとしたとき、h/Diが0.1〜0.2、h/wが0.25〜1.0であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、石油精製や石油化学プラントなどにおける分解炉管や改質炉管、加熱炉管または熱交換器管として好適な、管内周面にリブを有する熱分解反応用金属管に関する。より詳しくは、例えばエチレンプラントなどにおいて、管内部の炭化水素類に管外面から加えられる熱によって熱分解反応を起こさせてオレフイン(CnH2n)を製造する管として使用するのに好適な熱分解反応用金属管に関する。
エチレン(C2H4)等のオレフイン(CnH2n)は、炭化水素類(ナフサ、天然ガス、エタン等)を熱分解することにより製造される。具体的には、反応炉内に配管された25Cr−25Ni系や25Cr−38Ni系に代表される高Cr−高Ni合金、あるいはSUS304等に代表されるステンレス鋼からなる管の内部に炭化水素類を水蒸気とともに供給し、管外面から熱を加えることにより、管内面で炭化水素類を熱分解反応させてオレフイン系炭化水素類(エチレン、プロピレン等)を得る。
上記の熱分解反応において、炭化水素類を未反応のまま反応炉外に排出させないためには、管外面から加えられる熱を効率よく管内面に伝達させることが必要となる。すなわち、管には優れた「熱交換特性」が必要とされる。この熱交換特性は、管出口での流体の平均温度で評価できる。管の熱交換特性が優れている場合は、この平均温度が高くなる。
鋼管の内部に供給される炭化水素類と水蒸気との混合ガスは、低い圧力で管入口から高速で供給される。未反応の混合ガスと反応により生成したガスは、管内面に設けたリブに沿って長い距離を移動する。したがって、リブの形状によっては、リブによりガス流れが阻害され、管中心部の流体とリブ谷底部の流体が分離して、管中心部とリブ谷底部との物質移動(反応)が不十分となる。そうなると、リブの谷部に反応生成物が滞留して炭化水素類の熱分解反応が進みすぎ、一方、管中心部の流体の熱分解反応が十分に行われず、収率が低下するという問題が生じる。この問題を解決するには、管が優れた「熱分解反応特性」を有することが必要である。この熱分解反応特性は、管内の物質移動に依存するため、管出口での温度偏差によって評価される。
特許文献1(特開昭58−173022号公報)には、熱間押出でストレートリブを有する金属管を製造した後、捩り加工を施した内面らせんリブ付き管の製造方法が開示されている。また、特許文献2(特開平1−127896号公報)には、断面形状が波状の内周面を有し、その山部を形成する凸曲面の曲率半径RFと谷部を形成する凹曲面の曲率半径RSがRS≧RFの関係を満たす熱交換用管材が開示されている。
さらに、特許文献3(特開平8−82494号公報)には、管路の入り側端から出側端に到る管軸方向の1もしくは複数の領域ないしは全域における管壁内面に、管軸と交叉する向きをなすフィンが適宜ピッチを有して形設されている熱交換用管が開示されている。そして、特許文献4(特表2005−533917号公報)には、蒸気の存在下で炭化水素を熱分解するプロセスに用いられるらせん状の内面フィンを有する管が開示されている。
しかし、上記の各特許文献に開示された内面にリブやフィンを有する管では、前記の「熱交換特性」と「熱分解反応特性」を両立させて共に向上させるには不十分である。したがって、これらの特性がさらに改善された内面リブ付き熱交換用管が求められている。
一方、エチレンプラント用分解炉等に用いられる熱分解反応用金属管の使用条件は、近年の合成樹脂の需要増加に伴い、エチレン収率向上の観点から高温化の傾向が強くなってきている。このような高温で使用される熱分解反応用金属管では、熱分解反応に伴って不可避的に炭素が生成し、この炭素が管内面に付着し堆積する。これは、「コーキング」と称される現象である。
コーキングが起こると、内面に付着して堆積した炭素が管外面から加えられる熱の混合ガスへの伝達を妨げ、熱分解反応効率が低下する。また、付着、堆積した炭素が鋼管内部に拡散し、いわゆる浸炭を引き起こして鋼管を脆化させ、浸炭部分からの損傷を招く。さらに、付着、堆積した炭素が剥離して鋼管内に堆積すると、ガス流れが阻止されて熱分解反応が妨げられるだけでなく、上記の損傷を招き、堆積が著しい場合には爆発等の重大事故の原因となる。そのため、実際の操業においては定期的に空気や水蒸気を送って、析出した炭素を酸化除去する、いわゆるデコーキング作業が行われているが、その間の操業停止や作業の工数の増加などが大きな問題になる。
熱分解反応用金属管の内面は、炭化水素ガスやCOガスを含有する浸炭性雰囲気に曝される。したがって、管の材料としては、浸炭性ガス雰囲気で耐浸炭性と耐コーキング性を有する耐熱材料が要求されている。
特許文献5(特開2005−48284号公報)には、質量%で、Cr:20〜35%を含む母材からなる鋼管の表層部に、Cr濃度が10%以上で、かつ厚さが20μm以内のCr欠乏層を備えた耐浸炭性と耐コーキング性を有するステンレス鋼管が開示されている。さらに、この発明に係る管の内面には、突起やひれなどを設けてもよいと述べられているが、具体的な形状については何ら記載されていない。
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたもので、下記(1)および(2)の特性を持つ熱分解反応用金属管を提供することを目的とする。
(1)管軸心部分の未反応ガスが反応サイトである管内表面に接触する頻度が大きく、高い熱分解反応特性を有する。
(2)熱分解反応特性とともに熱交換特性にも優れ、さらに耐浸炭性にも優れ、炭化水素を熱分解するプロセスに用いるのに好適な特性を有する。
(1)管軸心部分の未反応ガスが反応サイトである管内表面に接触する頻度が大きく、高い熱分解反応特性を有する。
(2)熱分解反応特性とともに熱交換特性にも優れ、さらに耐浸炭性にも優れ、炭化水素を熱分解するプロセスに用いるのに好適な特性を有する。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、反応サイトである管内表面に対する管軸心部分の未反応ガスの接触頻度を大きくして熱分解反応を促進させることができて、しかも、熱交換特性に優れていて、かつ耐浸炭性にも優れた熱分解反応用金属管を得るべく種々検討し、次の(A)から(E)までの知見を得た。
(A)炭化水素類を未反応のまま反応炉外に排出させないためには、管外面から加えられる熱を効率よく管内面に伝達させることが必要である。即ち、管の熱交換特性が優れていることが必要である。そのためには、管内を流れるガスと管内面との接触面積、すなわち管の内表面積が大きいことが必要である。
(B)管の内表面積は、管内面に形成するリブの数を増やすほど増加する。さらに、リブの高さが高いほど内表面積は大きくなり、また管横断面方向でなだらかな波状の凹凸となる形状よりは、鋭角的に立ち上がった形状のリブの方が内表面積は増加する。
管外面から加熱したときの熱交換特性は、リブが尖った形状である方が向上する。リブが尖った形状であれば、管の肉厚が薄い部分の面積、すなわち、リブの谷底部の面積が広いため、熱交換特性が大きくなるのである。しかし、リブが高すぎると、リブの頂点から管の外面までの距離が大きくなる。すなわち、リブの頂点で測定したときの管の肉厚が厚くなり、管外部からの熱伝導が不十分になってリブの山部の温度が低下し、熱交換特性が低下する。
管外面から加熱したときの熱交換特性は、リブが尖った形状である方が向上する。リブが尖った形状であれば、管の肉厚が薄い部分の面積、すなわち、リブの谷底部の面積が広いため、熱交換特性が大きくなるのである。しかし、リブが高すぎると、リブの頂点から管の外面までの距離が大きくなる。すなわち、リブの頂点で測定したときの管の肉厚が厚くなり、管外部からの熱伝導が不十分になってリブの山部の温度が低下し、熱交換特性が低下する。
(C)管の内部に供給される炭化水素類と水蒸気との混合ガスは、低い圧力で管入口から高速で供給され、その混合ガスの反応により生成したガスは、管内面に設けたリブに沿って長い距離を移動する。このとき、リブの形状やリブの数によってはリブによりガス流れが阻害され、管中心部の流体とリブ谷底部の流体の速度偏差が大きくなり、管中心部の流体とリブ谷底部の流動が分離して、管中心部とリブ谷底部との物質移動(反応)が不十分となる。そうすると、リブ谷部に反応生成物が滞留して炭化水素類の熱分解反応が進みすぎ、また管中心部の未反応物質の反応が十分に行われず、収率が低下するといった問題が生じる。したがって、管内面でガスの滞留を少なくすると共に、横断面内でのガス流れを均一化することが必要となる。即ち、管の熱分解反応特性を高めることが必要である。
(D)リブを高くするほど、また、らせん状のリブの管軸方向からの傾斜を大きくするほど、管の熱分解反応特性は向上する。しかし、リブが高すぎたり、らせんの傾斜が大きすぎると、リブが谷底部の流体の流れを阻害し、管中心部の流体とリブ谷底部の流体が分離して流体の速度偏差が増大し、熱分解反応特性が低下する。さらに、リブの数が多いほど、リブが谷底部の流体の流れを阻害して中心部との流体の行き来が停滞し、管中心部の流体とリブ谷底部の流体が分離して熱分解反応特性が低下する。
(E)以上の理由から、熱交換特性および熱分解反応特性を両立させるには、管内表面に形成させるリブの数、高さ、管軸方向からの傾斜角等を最適に選定することが必要である。
本発明は、上記の知見を基礎としてなされたもので、下記(1)〜(4)の熱分解反応用金属管を要旨とする。
(1)質量%で、C:0.01〜0.6%、Si:0.01〜5%、Mn:0.1〜10%、P:0.08%以下、S:0.05%以下、Cr:15〜55%、Ni:20〜70%およびN:0.001〜0.25%を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、管内周面に管軸方向に対して20〜35°の角度で傾斜したらせん状に延びる3条または4条のリブが形成された熱分解反応用金属管であって、上記のリブの横断面において、リブ高さをh、谷底でのリブ幅をw、管の谷底内径をDiとしたとき、h/Diが0.1〜0.2、h/wが0.25〜1.0であり、上記のリブが熱間押出により管本体と一体に形成されたものである熱分解反応用金属管。なお、「リブの横断面」というのは、管軸に垂直な断面のことである。
(2)質量%で、さらに下記(i)ないし(vi)から選ばれた少なくとも1種の成分を含有する上記(1)の熱分解反応用金属管。
(i) Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種、
(ii) Mo:0.01〜3%、W:0.01〜6%、Ta:0.01〜6%の1種または2種以上、
(iii) Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜2%の1種または2種、
(iv) B:0.001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、Hf:0.001〜0.5%の1種または2種以上、
(v) Mg:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.1%、Al:0.001〜5%の1種または2種以上、
(vi) 希土類元素(REM):0.0005〜0.15%の1種または2種以上。
(i) Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種、
(ii) Mo:0.01〜3%、W:0.01〜6%、Ta:0.01〜6%の1種または2種以上、
(iii) Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜2%の1種または2種、
(iv) B:0.001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、Hf:0.001〜0.5%の1種または2種以上、
(v) Mg:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.1%、Al:0.001〜5%の1種または2種以上、
(vi) 希土類元素(REM):0.0005〜0.15%の1種または2種以上。
(3)上記のリブの横断面形状が二等辺三角形状である上記(1)または(2)の熱分解反応用金属管。
(4)金属管が炭化水素を熱分解するプロセスに用いる管である上記(1)から(3)までのいずれかの熱分解反応用金属管。
本発明の金属管のリブの横断面は、三角形状、台形状等の様々な形状をとり得る。三角形状の中では二等辺三角形状が望ましい。台形状の中では等脚台形状が望ましい。台形状の場合は平行な2辺のうちの長い方が谷底側になる。
図1は、本発明の金属管のリブの形状を説明するための、管軸に直角な断面の一部の図である。図示のとおり、管の内表面にはリブ1が設けられている。ここに例示したリブの形状は二等辺三角形状である。図示のhがリブの高さ、wが谷底でのリブ幅である。リブの谷底内径Diは、リブの谷底相当位置までの管の内径、リブの山の内径Dmは、リブの山部相当位置までの管の内径である。なお、次に述べるとおり、二等辺三角形状というのは、実質的に二等辺三角形の状態であることを意味する。
前記のとおり、本発明の管の内部に設けられるリブの断面形状は、三角形状、台形状等の種々の形状とすることができる。ここで、三角形状や台形状の中には、それぞれ厳密な意味での三角形や台形だけでなく、実質的に三角形や台形とみなし得る形状を含む。例えば、図1に示したように、リブの山の頂点が丸みを帯びていてもよい。台形状においても同じである。平行な2辺と斜辺との接合部は丸みを帯びた、いわゆる面取りされたような状態であってよい。また、頂点からリブの谷底面までに到る斜辺は必ずしも直線である必要はない。特に斜辺とリブの谷底面とは、なだらかな曲線で結ぶのがよい。
三角形状の中では二等辺三角形状が望まく、台形の中では等脚台形が望ましいことも前述のとおりである。このように左右対称の形状であれば、連続した突起であるリブが内面に設けられた管を熱間加工や冷間加工で製造することが容易である。
本発明の金属管は、熱交換特性および熱分解反応特性の高い熱分解反応用金属管である。この管を使用すれば、少ないエネルギーで炭化水素等のオレフインの収率を高め得る。また、この管は、耐コーキング性および耐浸炭性にも優れるので、製造装置自体の稼働率をも向上させることができる。
1.リブの形状について
前記の最適なリブ形状を確定するために下記のシミュレーション試験を行った。
前記の最適なリブ形状を確定するために下記のシミュレーション試験を行った。
1−1.シミュレーション試験1
表1に示すように、管内面のリブの数、高さ、形状、および傾斜角度を種々変更した熱分解反応用金属管を作製して、表2に示す条件でシミュレーションを行った。
表1に示すように、管内面のリブの数、高さ、形状、および傾斜角度を種々変更した熱分解反応用金属管を作製して、表2に示す条件でシミュレーションを行った。
シミュレーションでは、熱分解反応を考慮することなく表2に示す条件のもとに、市販の熱流動解析プログラムを利用して、鋼管内部の流体に関する質量保存の式、運動量保存の式およびエネルギー保存の式を連立させ、3次元熱流動解析モデルにより鋼管内部の流動と伝熱挙動を評価し、管内の有効粘性係数、言い換えれば有効熱伝導度および有効拡散係数を計算した。なお、このとき、乱流の影響を考慮するため、乱流モデルを利用した。その結果を図2に示す。
図2において、横軸は鋼管出口における流体の平均温度である。この平均温度が高いということは、鋼管外面から加えられた熱が効率よく伝熱していることを意味し、熱交換特性が優れていることを意味する。
図2の縦軸は鋼管出口における流体の平均温度差である。この平均温度差が小さいということは、均一に温度が分布していることを意味する。言い換えれば、平均温度差の値が大きいというのは、鋼管の中心部は冷たく、内面近傍のみが局所的に加熱された状態にあることを意味し、熱分解反応特性が劣ることを意味する。
図2の縦軸の値(平均温度差)は、管出口における平均温度をTmean(K)、同一断面上の任意の位置の温度をTlocal(K)とした場合に、下記の式により求められる値ΔTである。ただし、Sは管内の流体が通る空間の断面積である。
図2から次の結論が得られる。
1)管の出口での流体の平均温度(図2の横軸)で表される熱交換特性は、管の内表面積が大きいほど大きい。そして、管の内表面積はリブの数が多いほど大きくなる。
2)管出口での流体の平均温度差(前記の(1)式で算出されるΔT)は、リブの傾斜角度が大きいほど小さい値になる。すなわち、熱分解反応特性は、リブの傾斜角度が大きいほど大きい。同じ傾斜角度であれば、リブ数が3条の場合に熱分解反応特性が最大となる。即ち、熱分解反応特性が大きい順にならべると、リブ数が3条の場合、4条の場合、2条の場合、5条の場合、1条の場合、8条の場合となる。
1)管の出口での流体の平均温度(図2の横軸)で表される熱交換特性は、管の内表面積が大きいほど大きい。そして、管の内表面積はリブの数が多いほど大きくなる。
2)管出口での流体の平均温度差(前記の(1)式で算出されるΔT)は、リブの傾斜角度が大きいほど小さい値になる。すなわち、熱分解反応特性は、リブの傾斜角度が大きいほど大きい。同じ傾斜角度であれば、リブ数が3条の場合に熱分解反応特性が最大となる。即ち、熱分解反応特性が大きい順にならべると、リブ数が3条の場合、4条の場合、2条の場合、5条の場合、1条の場合、8条の場合となる。
1−2.シミュレーション試験2
表3に示すように、リブの数を3条とし、リブの傾斜角度と高さを変えて、表2と同じ条件でシミュレーション試験を行い、リブ形状の影響について検討した。その結果を図3に示す。
表3に示すように、リブの数を3条とし、リブの傾斜角度と高さを変えて、表2と同じ条件でシミュレーション試験を行い、リブ形状の影響について検討した。その結果を図3に示す。
図3から明らかなように、リブの高さが高いほど、横軸に示す平均温度が高くなる。即ち、熱交換特性が向上する。また、縦軸の平均温度差が小さくなり、熱分解反応特性も向上する。しかし、リブ高さが4.0mmでは熱分解反応特性が悪い。一方、リブ高さを10.0mmと高くしても、リブ高さが8.0mmや9.0mmの場合に較べて熱分解反応特性に著しい差は見られない。また、リブの傾斜角度が25°〜35°の範囲では効果に大きな差異はない。
上記のようにリブの高さ(h)が高いほど熱交換特性および熱分解反応特性は向上する。しかし、リブが高すぎると、リブがガスの流れを拘束し、谷底部分の流体が滞留して熱分解反応特性が低下する。また、リブ山部の温度が低下して熱交換特性が低下する。そのうえ、コーキングが発生しやすくなる。さらには、熱間押出しや冷間圧延で高いリブを形成するのは困難である。一方、リブが低すぎると、管の内表面積が小さくなって熱交換特性が小さくなり、熱分解反応特性も低下する。
1−3.シミュレーション試験3
表4に示すように、リブ数を3条とし、リブ高さを5.5mmの一定にして、傾斜角度25°、30°および35°の各場合について谷底でのリブ幅wを変更して、表2と同じ条件でシミュレーション試験を行った。その結果を図4に示す。
表4に示すように、リブ数を3条とし、リブ高さを5.5mmの一定にして、傾斜角度25°、30°および35°の各場合について谷底でのリブ幅wを変更して、表2と同じ条件でシミュレーション試験を行った。その結果を図4に示す。
図4から明らかなとおり、h/wが小さいほど、すなわち山の形状がなだらかな波状となるほど、熱分解反応特性が低下する。すなわち、図2〜4の縦軸の平均温度差が大きくなる。一方、h/wが大きいほど熱分解反応特性は向上する。また、h/wが小さい場合、h/wが大きい尖った形状と比べて内表面積が小さくなるため、図2〜4の横軸の平均温度が低くなる。すなわち、熱交換特性が低下する傾向にある。
管の製造面では、h/wが大きすぎると、言い換えると、リブが薄く尖った形状になりすぎると、熱間押出しや冷間圧延では、高いリブを形成するのが難しくなる。
1−4.シミュレーション試験に基づく最適リブ形状の決定
(1)リブ数
シミュレーション試験1の結果に基づいてリブ数は3条または4条とした。より好ましいリブ数は3条である。
(2)リブの傾斜角度
シミュレーション試験1の結果から、リブの傾斜角度は20°〜35°とした。より好ましいのは25°〜30°である。
(3)リブの形状(リブ高さh、谷底でのリブ幅w、リブの谷底内径Diの関係)
管の横断面でのリブ高さをh、谷底でのリブ幅をw、リブの谷底内径をDiとしたとき、h/Diを0.1〜0.2、リブ高さhと谷底でのリブ幅wとの比(h/w)を0.25〜1.0とした。
(1)リブ数
シミュレーション試験1の結果に基づいてリブ数は3条または4条とした。より好ましいリブ数は3条である。
(2)リブの傾斜角度
シミュレーション試験1の結果から、リブの傾斜角度は20°〜35°とした。より好ましいのは25°〜30°である。
(3)リブの形状(リブ高さh、谷底でのリブ幅w、リブの谷底内径Diの関係)
管の横断面でのリブ高さをh、谷底でのリブ幅をw、リブの谷底内径をDiとしたとき、h/Diを0.1〜0.2、リブ高さhと谷底でのリブ幅wとの比(h/w)を0.25〜1.0とした。
リブ高さhは、h/Diで規定することとした。即ち、熱分解反応用金属管には種々の寸法の管が使用されるが、管内面での流体の熱交換特性や熱分解反応特性を考慮した場合は、形状が相似形であると考えればよい。したがって、リブ高さhはh/Diで規定すればよいのである。シミュレーション試験2の結果では、図3に示すように、熱交換特性および熱分解反応特性ともに、リブ高さhが5.0mm以上で改善され、リブ高さが高いほど向上している。しかし、リブ高さが8.0〜10.0mmでは、高さが高いほど熱交換特性は向上するが熱分解反応特性に著しい差は見られない。一方、リブ高さは低い方がリブ成形加工しやすく管の製造が容易であるから好ましい。以上の理由により、好ましいリブ高さhを5.0〜10.0mmとし、シミュレーション試験2に用いた管の谷底内径Diは48mmであるため、h/Diの適正範囲を0.1〜0.2とした。また、リブ高さが高くなるほど冷間や熱間でのリブ成形加工が難しくなるため、シミュレーション試験での熱分解反応特性に差が無くなるリブ高さ8mm程度を上限とするのが好ましく、したがって、h/Diのより好ましい上限は0.17である。
次にリブ高さhと谷底でのリブ幅wとの関係について述べる。
外部から加熱されたときの管の熱交換特性と熱分解反応特性(谷底流体と中心部の流体の行き来)、およびリブ形成の加工性を考えると、リブ形状は、リブ高さhのみで規定するのではなく、リブ高さhとリブの谷底でのリブ幅wとの比(h/w)でも規定する必要がある。シミュレーション試験3の結果から明らかなように、h/wが小さいほど平均温度差が大きく、熱分解反応特性は低下する。そのため、h/wの下限は0.25とした。一方、h/wが大きいほど熱分解反応特性は向上するので、h/wは大きいほど好ましい。したがって、h/wの好ましい下限は0.35であり、より好ましい下限は0.4である。
外部から加熱されたときの管の熱交換特性と熱分解反応特性(谷底流体と中心部の流体の行き来)、およびリブ形成の加工性を考えると、リブ形状は、リブ高さhのみで規定するのではなく、リブ高さhとリブの谷底でのリブ幅wとの比(h/w)でも規定する必要がある。シミュレーション試験3の結果から明らかなように、h/wが小さいほど平均温度差が大きく、熱分解反応特性は低下する。そのため、h/wの下限は0.25とした。一方、h/wが大きいほど熱分解反応特性は向上するので、h/wは大きいほど好ましい。したがって、h/wの好ましい下限は0.35であり、より好ましい下限は0.4である。
一方、シミュレーション試験3では、h/wの最大値を0.46までしか行っていないが、h/wが大きいほど熱分解反応特性(平均温度差)と熱交換特性(平均温度)が共に向上する傾向にある。また、リブ高さhを変更したシミュレーション試験2では、h/wを直線的には変更していないが、表3のリブ高さhと谷底の幅wの値からわかるように、h/wを0.28から0.84まで変更しており、図4に示すようにh/wが大きいほど熱分解反応特性(平均温度差)と熱交換特性(平均温度)が共に向上するため、上限を1.0とした。好ましい上限は0.7、より好ましい上限は0.55である。
2.本発明の金属管の製造方法
本発明の熱分解反応用金属管は、溶解、鋳造、熱間加工、冷間加工、溶接等の手段によって、継目無管、溶接管等の所要の管形状に成形して製造する。また、粉末冶金や遠心鋳造等の手法によって所要の管形状に成形してもよい。
本発明の熱分解反応用金属管は、溶解、鋳造、熱間加工、冷間加工、溶接等の手段によって、継目無管、溶接管等の所要の管形状に成形して製造する。また、粉末冶金や遠心鋳造等の手法によって所要の管形状に成形してもよい。
管の内面にらせん状のリブを形成する方法としては、下記の(a)〜(c)が例示される。
(a) 外周面に管の谷部に対応する山部と、管のリブに対応する谷部とが軸心線と平行な方向で形成されたマンドレルを備えた熱間押出製管プレス、または外周面に前記と同様の山部と谷部とが軸心線と平行な状態で形成されたマンドレルを備えた冷間圧延機により、リブ高さが管長手方向で同一の内面ストレートリブ付き管を製造する。次いで、この内面ストレートリブ付き管に捩り加工を加えて、内面らせん状リブ付き管とする。
(b) 外周面に管の谷部に対応する山部と、管のリブに対応する谷部とがらせん状に形成されたプラグを備える冷間引抜き製管機により、リブ高さが管長手方向で同一の内面らせん状リブ付き管とする。
(c) 管の内面にらせん状に肉盛溶接でリブを形成して、内面らせん状リブ付き管とする。
(a) 外周面に管の谷部に対応する山部と、管のリブに対応する谷部とが軸心線と平行な方向で形成されたマンドレルを備えた熱間押出製管プレス、または外周面に前記と同様の山部と谷部とが軸心線と平行な状態で形成されたマンドレルを備えた冷間圧延機により、リブ高さが管長手方向で同一の内面ストレートリブ付き管を製造する。次いで、この内面ストレートリブ付き管に捩り加工を加えて、内面らせん状リブ付き管とする。
(b) 外周面に管の谷部に対応する山部と、管のリブに対応する谷部とがらせん状に形成されたプラグを備える冷間引抜き製管機により、リブ高さが管長手方向で同一の内面らせん状リブ付き管とする。
(c) 管の内面にらせん状に肉盛溶接でリブを形成して、内面らせん状リブ付き管とする。
上記の方法の中でも、リブを熱間押出で管と一体成形した後、捩り加工でらせん状のリブを形成する製造方法では、粉末冶金や遠心鋳造で管を製造する場合や、管内面に肉盛溶接でリブを形成する場合と比べ、長尺品の製造が可能であり、10m以上の長い管が必要な場合でも管同士を溶接して長尺品とする必要がない。さらに、この方法で製造された管は、リブと母管との材質が同じであるから、異材を用いる肉盛溶接でリブを形成した管よりも高温強度や耐食性が優れており、炭化水素等の熱分解反応炉等の高温強度や耐食性、耐浸炭性が要求される用途に適している。
熱間押出でリブを形成する方法では、リブの高さが高すぎる場合には、リブがマンドレル形状に十分に沿わないで押し出されて、部分的に所定のリブ高さが確保できないことがある。したがって、熱間押出し法による製造では、成形できるリブの形状には制約があり、リブが過度に高すぎるのは好ましくない。
3.本発明の金属管の材質
優れた耐浸炭性や耐コーキング性を強く要求される場合は、耐浸炭性や耐コーキング性に優れ、かつ高温強度や熱間加工性にも優れる下記の化学組成を有する管とするのが好ましい。なお、成分含有量に関する「%」は「質量%」を意味する。
優れた耐浸炭性や耐コーキング性を強く要求される場合は、耐浸炭性や耐コーキング性に優れ、かつ高温強度や熱間加工性にも優れる下記の化学組成を有する管とするのが好ましい。なお、成分含有量に関する「%」は「質量%」を意味する。
(1) C:0.01〜0.6%、Si:0.01〜5%、Mn:0.1〜10%、P:0.08%以下、S:0.05%以下、Cr:15〜55%、Ni:20〜70%、N:0.001〜0.25%、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する金属管。
(2) 上記の成分に加えて、さらに下記(i)ないし(vi)の少なくとも1群から選ばれた少なくとも1種の成分を含有する金属管。
(i) Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種、
(ii) Mo:0.01〜3%、W:0.01〜6%、Ta:0.01〜6%の1種または2種以上、
(iii) Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜2%の1種または2種、
(iv) B:0.001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、Hf:0.001〜0.5%の1種または2種以上、
(v) Mg:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.1%、Al:0.001〜5%の1種または2種以上、
(vi) 希土類元素(REM):0.0005〜0.15%の1種または2種以上。
(i) Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種、
(ii) Mo:0.01〜3%、W:0.01〜6%、Ta:0.01〜6%の1種または2種以上、
(iii) Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜2%の1種または2種、
(iv) B:0.001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、Hf:0.001〜0.5%の1種または2種以上、
(v) Mg:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.1%、Al:0.001〜5%の1種または2種以上、
(vi) 希土類元素(REM):0.0005〜0.15%の1種または2種以上。
以下に上記の各成分の作用効果と含有量の限定理由を述べる。
C:0.01〜0.6%
Cは、高温強度を確保するために0.01%以上の含有が有効である。一方、0.6%を超えると靱性が極端に悪くなるため、上限を0.6%とする。より好ましいのは0.02%〜0.45%、さらに好ましい範囲は0.02%〜0.3%である。
Cは、高温強度を確保するために0.01%以上の含有が有効である。一方、0.6%を超えると靱性が極端に悪くなるため、上限を0.6%とする。より好ましいのは0.02%〜0.45%、さらに好ましい範囲は0.02%〜0.3%である。
Si:0.01〜5%
Siは、脱酸元素として必要であるが、さらに、耐酸化性や耐浸炭性の向上にも有効な元素である。この作用は、0.01%以上の含有量で発揮される。ただし、5%を超えると溶接性が劣化し、組織も不安定になるので、上限を5%とする。より好ましい範囲は0.1〜3%であり、もっとも好ましい範囲は0.3〜2%である。
Siは、脱酸元素として必要であるが、さらに、耐酸化性や耐浸炭性の向上にも有効な元素である。この作用は、0.01%以上の含有量で発揮される。ただし、5%を超えると溶接性が劣化し、組織も不安定になるので、上限を5%とする。より好ましい範囲は0.1〜3%であり、もっとも好ましい範囲は0.3〜2%である。
Mn:0.1〜10%
Mnは、脱酸および加工性改善のために添加するものであり、このためにはその含有量を0.1%以上にする必要がある。またMnはオーステナイト生成元素であることからNiの一部をMnで置換することも可能であるが、過剰の含有では加工性が劣化することから、上限を10%とする。より好ましい範囲は0.1〜5%であり、もっとも好ましい範囲は0.1〜2%である。
Mnは、脱酸および加工性改善のために添加するものであり、このためにはその含有量を0.1%以上にする必要がある。またMnはオーステナイト生成元素であることからNiの一部をMnで置換することも可能であるが、過剰の含有では加工性が劣化することから、上限を10%とする。より好ましい範囲は0.1〜5%であり、もっとも好ましい範囲は0.1〜2%である。
P:0.08%以下、S:0.05%以下
PおよびSは、結晶粒界に偏析し、熱間加工性を劣化させる。そのため、極力低減することが好ましいが、過剰な低減は製造コストの高騰を招くため、Pは0.08%以下、Sは0.05%以下とする。より好ましいのは、Pは0.05%以下、Sは0.03%以下であり、もっとも好ましいのは、Pは0.04%以下、Sは0.015%以下である。
PおよびSは、結晶粒界に偏析し、熱間加工性を劣化させる。そのため、極力低減することが好ましいが、過剰な低減は製造コストの高騰を招くため、Pは0.08%以下、Sは0.05%以下とする。より好ましいのは、Pは0.05%以下、Sは0.03%以下であり、もっとも好ましいのは、Pは0.04%以下、Sは0.015%以下である。
Cr:15〜55%
Crは、耐酸化性確保のための主要な元素であり、15%以上の含有が必要である。耐酸化性や耐浸炭性の点からCrの含有量は多い程好ましいが、過剰な添加は管の製造性や使用中の高温での組織安定性を低下させるので、含有量の上限を55%とする。加工性とともに組織安定性の劣化を防止するためには、上限を35%とすることが好ましい。より好ましい範囲は、20〜33%である。
Crは、耐酸化性確保のための主要な元素であり、15%以上の含有が必要である。耐酸化性や耐浸炭性の点からCrの含有量は多い程好ましいが、過剰な添加は管の製造性や使用中の高温での組織安定性を低下させるので、含有量の上限を55%とする。加工性とともに組織安定性の劣化を防止するためには、上限を35%とすることが好ましい。より好ましい範囲は、20〜33%である。
Ni:20〜70%
Niは、安定したオーステナイト組織を得るために必要な元素であり、Cr含有量に応じて20〜70%の含有量が必要である。しかしながら、必要以上の含有は、コスト高と管の製造上の困難を招くので、より好ましい範囲は20〜60%であり、もっとも好ましい範囲は23〜50%である。
Niは、安定したオーステナイト組織を得るために必要な元素であり、Cr含有量に応じて20〜70%の含有量が必要である。しかしながら、必要以上の含有は、コスト高と管の製造上の困難を招くので、より好ましい範囲は20〜60%であり、もっとも好ましい範囲は23〜50%である。
N:0.001〜0.25%
Nは、高温強度改善に有効な元素である。この効果を得るためには0.001%以上含有させることが必要である。一方、過剰な添加は加工性を大きく阻害するため、含有量の上限を0.25%とする。より好ましいNの含有量は0.001%〜0.2%である。
Nは、高温強度改善に有効な元素である。この効果を得るためには0.001%以上含有させることが必要である。一方、過剰な添加は加工性を大きく阻害するため、含有量の上限を0.25%とする。より好ましいNの含有量は0.001%〜0.2%である。
この他、所望により以下に示す元素の1種以上を含有させることもできる。
Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種
CuおよびCoはオーステナイト相を安定にする他、高温強度向上に有効であり、それぞれ0.01%以上含有させてもよい。一方、それぞれの含有量が5%を超えると熱間加工性を著しく低下させる。したがって、それぞれ0.01〜5%とする。より好ましい範囲は、それぞれ0.01〜3%である。
Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種
CuおよびCoはオーステナイト相を安定にする他、高温強度向上に有効であり、それぞれ0.01%以上含有させてもよい。一方、それぞれの含有量が5%を超えると熱間加工性を著しく低下させる。したがって、それぞれ0.01〜5%とする。より好ましい範囲は、それぞれ0.01〜3%である。
Mo:0.01〜3%、W:0.01〜6%、Ta:0.01〜6%の1種または2種以上
Mo、WおよびTaはいずれも固溶強化元素として高温強度向上に有効であり、その効果を発揮させるためには、それぞれの含有量を少なくとも0.01%以上とする必要がある。しかし、過剰の含有は加工性の劣化と組織安定性を阻害するので、Moは3%、WおよびTaはそれぞれ6%以下にする必要がある。Mo、W、Taのいずれも、より好ましいのは0.01〜2.5%、さらに好ましいのは0.01〜2%である。
Mo、WおよびTaはいずれも固溶強化元素として高温強度向上に有効であり、その効果を発揮させるためには、それぞれの含有量を少なくとも0.01%以上とする必要がある。しかし、過剰の含有は加工性の劣化と組織安定性を阻害するので、Moは3%、WおよびTaはそれぞれ6%以下にする必要がある。Mo、W、Taのいずれも、より好ましいのは0.01〜2.5%、さらに好ましいのは0.01〜2%である。
Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜2%の1種または2種
TiおよびNbは、極微量の添加でも高温強度および延性、靱性の改善に大きな効果があるが、それぞれ0.01%未満の含有量ではその効果が得られず、またTiでは1%を超えると、Nbは2%を超えると加工性や溶接性が低下する。
TiおよびNbは、極微量の添加でも高温強度および延性、靱性の改善に大きな効果があるが、それぞれ0.01%未満の含有量ではその効果が得られず、またTiでは1%を超えると、Nbは2%を超えると加工性や溶接性が低下する。
B:0.001〜0.1%、Zr:0.00l〜0.1%、Hf:0.001〜0.5%の1種または2種以上
B、ZrおよびHfはいずれも粒界を強化し、熱間加工性および高温強度特性を改善するのに有効な元素であるが、いずれも0.001%未満の含有量ではその効果が得られない。一方、含有量が過剰になると溶接性を劣化させるので、それぞれ0.001〜0.1%、0.001〜0.1%、0.001〜0.5%とする。
B、ZrおよびHfはいずれも粒界を強化し、熱間加工性および高温強度特性を改善するのに有効な元素であるが、いずれも0.001%未満の含有量ではその効果が得られない。一方、含有量が過剰になると溶接性を劣化させるので、それぞれ0.001〜0.1%、0.001〜0.1%、0.001〜0.5%とする。
Mg:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.1%、Al:0.001〜5%の1種または2種以上
Mg、CaおよびAlはいずれも熱間加工性を改善するのに有効な元素であり、その効果は、MgおよびCaは0.0005%以上、Alは0.001%以上の含有で得られる。Alはまた、浸炭性ガス環境に曝された場合に、CrとAlが主体の酸化スケールが生成するため金属管の耐浸炭性を著しく高めることができる。このためには、1.5%以上のAlを含有させることが有効である。一方、MgおよびCaの過剰な添加は溶接性を劣化させるため、含有量の上限をMgおよびCaでは0.1%とする。また、Alは5%を超えて含有されると、金属間化合物が合金中に析出するため靭性やクリープ延性が著しく低下する。
より好ましい含有量の範囲は、MgおよびCaでは0.0008〜0.05%、耐浸炭性を改善するために含有させる場合のAlでは2〜4%である。
Mg、CaおよびAlはいずれも熱間加工性を改善するのに有効な元素であり、その効果は、MgおよびCaは0.0005%以上、Alは0.001%以上の含有で得られる。Alはまた、浸炭性ガス環境に曝された場合に、CrとAlが主体の酸化スケールが生成するため金属管の耐浸炭性を著しく高めることができる。このためには、1.5%以上のAlを含有させることが有効である。一方、MgおよびCaの過剰な添加は溶接性を劣化させるため、含有量の上限をMgおよびCaでは0.1%とする。また、Alは5%を超えて含有されると、金属間化合物が合金中に析出するため靭性やクリープ延性が著しく低下する。
より好ましい含有量の範囲は、MgおよびCaでは0.0008〜0.05%、耐浸炭性を改善するために含有させる場合のAlでは2〜4%である。
希土類元素(REM):0.0005〜0.15%の1種または2種以上
希土類元素は、耐酸化性の向上に有効な元素であるが、いずれも0.0005%未満の含有量ではその効果が得られず、過剰な添加は加工性を低下させるので含有量の上限を0.15%とする。希土類元素とは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素を意味し、その中では特にY、La、CeおよびNdのうちの1種以上を用いることが好ましい。
希土類元素は、耐酸化性の向上に有効な元素であるが、いずれも0.0005%未満の含有量ではその効果が得られず、過剰な添加は加工性を低下させるので含有量の上限を0.15%とする。希土類元素とは、ランタノイドの15元素にYおよびScを合わせた17元素を意味し、その中では特にY、La、CeおよびNdのうちの1種以上を用いることが好ましい。
4.内面リブ付き管の製造例
表5に示す組成を有する中空ビレットを使用し、リブ形状に対応する凹凸を設けたマンドレルを用い、管内面に3条または4条のリブを有するストレートリブ付き管を熱間押出で製造した。この管に1150℃で軟化熱処理を施した後、管軸方向からの傾斜角が27°の捩り加工を行い、次いで1230℃で3分加熱した後に水冷する製品熱処理を施して、表6に記載の寸法のらせん状リブ付き管を得た。その管の横断面写真の複写図を図5として示す。図示のとおり、リブの山部の欠けや谷部の割れはまったく認められなかった。
表5に示す組成を有する中空ビレットを使用し、リブ形状に対応する凹凸を設けたマンドレルを用い、管内面に3条または4条のリブを有するストレートリブ付き管を熱間押出で製造した。この管に1150℃で軟化熱処理を施した後、管軸方向からの傾斜角が27°の捩り加工を行い、次いで1230℃で3分加熱した後に水冷する製品熱処理を施して、表6に記載の寸法のらせん状リブ付き管を得た。その管の横断面写真の複写図を図5として示す。図示のとおり、リブの山部の欠けや谷部の割れはまったく認められなかった。
本発明の熱分解反応用金属管は、熱交換特性および熱分解反応特性が高いことから、少ないエネルギーで炭化水素等のオレフインの収率を高め得るだけでなく、耐コーキング性にも優れるので、製造装置自体の稼働率をも向上させることができ、エチレン等のオレフインの製造に限らず、あらゆる熱分解反応に用いる熱分解反応用金属管として利用できる。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.01〜0.6%、Si:0.01〜5%、Mn:0.1〜10%、P:0.08%以下、S:0.05%以下、Cr:15〜55%、Ni:20〜70%およびN:0.001〜0.25%を含み、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、金属管管内周面に管軸方向に対して20〜35°の角度で傾斜したらせん状に延びる3条または4条のリブが形成された熱分解反応用金属管であって、上記のリブの横断面において、リブ高さをh、谷底でのリブ幅をw、管の谷底内径をDiとしたとき、
h/Diが0.1〜0.2、h/wが0.25〜1.0であり、
上記のリブが熱間押出により管本体と一体に形成されたものであることを特徴とする熱分解反応用金属管。 - 質量%で、さらに下記(i)ないし(vi)から選ばれた少なくとも1種の成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱分解反応用金属管。
(i) Cu:0.01〜5%、Co:0.01〜5%の1種または2種、
(ii) Mo:0.01〜3%、W:0.01〜6%、Ta:0.01〜6%の1種または2種以上、
(iii) Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜2%の1種または2種、
(iv) B:0.001〜0.1%、Zr:0.001〜0.1%、Hf:0.001〜0.5%の1種または2種以上、
(v) Mg:0.0005〜0.1%、Ca:0.0005〜0.1%、Al:0.001〜5%の1種または2種以上、
(vi) 希土類元素(REM):0.0005〜0.15%の1種または2種以上。 - 上記のリブの横断面形状が二等辺三角形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱分解反応用金属管。
- 金属管が炭化水素を熱分解するプロセスに用いる管である請求項1から3までのいずれかに記載の熱分解反応用金属管。
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