JP2012117449A - ガスタービン制御装置および発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】試運転時や負荷併入直後などのような定格負荷よりも低い負荷領域において、発電機出力に発生するハンチングを抑制すること。
【解決手段】ガスタービンと、少なくともガスタービンの回転動力が伝達されて発電される発電機とを備える発電設備に用いられ、要求負荷に基づいて決定される発電機出力設定値に発電機出力を追従させるための第1燃料制御指令を求める第1制御部を備えるガスタービン制御装置であって、第1制御部はフィードバック制御部60を有し、フィードバック制御部60は、発電機出力設定値に対する発電機出力の偏差を算出する減算部62と、減算部62よりも制御の後段に設けられたPI制御部64と、発電機または該発電機を含む系統の振幅特性のピークを抑制するピーク抑制部66とを備えるガスタービン制御装置を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ガスタービン制御装置および発電システムに関するものである。
ガスタービン発電設備では、一般的に、発電機出力が電力系統の要求負荷に追従するようにガスタービンへの供給燃料量を制御している。例えば、特許文献1には、電力系統の要求負荷に基づいて設定される発電機出力設定値(LDSET)に対する発電機出力の偏差をPI制御器に入力し、この偏差に基づいて比例積分演算を行うことにより、燃料制御弁の開度を制御して発電機出力を調整し、発電機出力を要求負荷に追従させることが開示されている。
特開2010−121598号公報
ところで、ガスタービン発電設備において、試運転時、あるいは負荷併入直後の低負荷時において、発電機出力にハンチングが発生することがある。しかしながら、従来は、このようなハンチングの主原因が不明であったために、発電機出力のハンチングを解消させるための有効な手法を確立することができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、試運転時や負荷併入直後などのような定格負荷よりも低い負荷領域において、発電機出力に発生するハンチングを抑制することのできるガスタービン制御装置および発電システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、ガスタービンと、少なくともガスタービンの回転動力が伝達されて発電される発電機とを備える発電設備に用いられ、要求負荷に基づいて決定される発電機出力設定値に発電機出力を追従させるための第1燃料制御指令を求める第1制御手段を備えるガスタービン制御装置であって、前記第1制御手段はフィードバック制御手段を有し、前記フィードバック制御手段は、前記発電機出力設定値に対する発電機出力の偏差を算出する減算手段と、減算手段よりも制御の後段に設けられた比例積分演算手段と、前記発電機または該発電機を含む系統の振幅特性のピークを抑制するピーク抑制手段とを備えるガスタービン制御装置を提供する。
主に低負荷時に発生する発電機出力(ガスタービン出力)のハンチングの原因を究明するために、発電機並びに発電機を含む発電系統について周波数特性などを解析したところ、図12に示すように、振幅特性における1[Hz]近傍において共振ピークが表れていることがわかり、発電機の回転軸に励起される固有振動数の振動が発電機出力のハンチングの原因であるとの新たな知見を得た。したがって、この共振ピークを抑制することができれば、発電機出力のハンチングを抑制あるいは防止できる。本発明によれば、要求負荷に基づいて決定される発電機出力設定値に発電機出力を追従させるための第1燃料制御指令を求める第1制御手段において、第1制御手段が有するフィードバック制御手段に、発電機または発電機を含む系統の振幅特性のピークを抑制するピーク抑制手段を設けることとしたので、発電機出力のハンチングを抑制し、制御の安定性を向上させることができる。
本発明において、「ガスタービン出力」とは、発電機出力のうち、ガスタービンの回転動力のみが伝達されて発電した発電電力をいう。すなわち、ガスタービンと蒸気タービンとを備えるガスタービンコンバインドサイクルプラント(以下「GTCCプラント」という。)では、発電機出力はガスタービン出力と蒸気タービン出力の合計であるが、この場合の「ガスタービン出力」は発電機出力から蒸気タービン出力を引いた値を意味する。
また、図12に示した振幅特性は、例えば、後述する図5に示したGTCCのモデルから求めたものであり、一例として発電機出力設定値をそれぞれ定格の3[%]、50[%]、100[%]としたときの振幅特性が示されている。
上記ガスタービン制御装置において、前記ピーク抑制手段は、前記減算手段と前記比例積分演算手段との間に設けられ、入力信号に対してゲインを乗算する乗算手段と、前記ガスタービン出力に応じて前記乗算手段のゲインを調整する第1ゲイン調整手段とを備え、前記第1ゲイン調整手段は、定格負荷よりも低い部分負荷のときに与えるゲインを、定格負荷のときに与えるゲインよりも小さく設定することとしてもよい。
このような構成によれば、例えば、減算手段において発電機出力設定値に対する発電機出力の偏差が求められ、この偏差に対して乗算手段において所定のゲインが乗じられ、ゲインが乗じられた後の偏差が比例積分演算手段に入力されることとなる。この場合において、乗算手段において乗じられるゲインは、第1ゲイン調整手段により、定格負荷よりも低い部分負荷のときに与えられるゲインが、定格負荷のときに与えられるゲインよりも小さく調整される。ここで、図4に示すように、ガスタービン出力が小さい領域(すなわち、部分負荷時)においては、燃料流量に対するガスタービン出力の感度が高く、この出力領域では発電機が振動を励起しやすい。したがって、部分負荷時のゲインを定格負荷時のゲインよりも小さく設定することで、発電機の振動励起を防止でき、発電機出力のハンチングを抑制することができる。
上記ガスタービン制御装置において、前記第1ゲイン調整手段は、ガスタービン出力の増加に合わせて前記ゲインを増加させることが好ましい。
図4に示すように、ガスタービン出力が増加するほど、燃料流量に対する感度が鈍り、制御が安定する。従って、ガスタービン出力の増加に応じてゲインを増加させることで、制御の安定化を図るとともに、要求負荷から決定される発電機出力設定値への発電機出力の追従性を向上させることができる。
上記ガスタービン制御装置において、前記第1制御手段は、前記発電機出力にハンチングが発生しているか否かを判定するハンチング判定手段と、前記ハンチング判定手段によってハンチングが発生していると判定された場合に、前記第1ゲイン調整手段によって設定されたゲインを減少させる第2ゲイン調整手段とを更に備えることとしてもよい。
このような構成によれば、ハンチング判定手段によってハンチングが発生しているか否かが判定され、ハンチングが発生している場合には、第2ゲイン調整手段が第1ゲイン調整手段により設定されたゲインを減少させるので、発電機出力のハンチングを確実に解消することができる。
上記ガスタービン制御装置において、前記第2ゲイン調整手段は、前記ハンチング判定手段によってハンチングが発生していないと判定された場合に、前記第1ゲイン調整手段によって設定されたゲインを増加させることとしてもよい。
ガスタービン出力にハンチングが発生していなかった場合には、第1ゲイン調整手段によって設定されたゲインを増加させる方向に第2ゲイン調整手段が調整するので、追従性を更に向上させることができる。
上記ガスタービン制御装置において、前記ピーク抑制手段は、前記振幅特性においてピークが発生している所定の周波数以上の信号を遮断するローパスフィルタを更に備え、フィルタ処理後の発電機出力を前記フィードバック制御手段の前記減算手段に出力することとしてもよい。
例えば、図12に示した振幅特性から、1[Hz]近傍においてピークが発生していることがわかる。したがって、ローパスフィルタにより、少なくともピークが発生している周波数以上の高周波成分が遮断された発電機出力を入力信号として減算手段に入力させることにより、共振ピークを効果的に抑制することができる。また、ガスタービンの出力制御において必要な周波数帯域は約0.2[Hz]以下であり、ガスタービンの出力制御に必要とされない周波数成分を遮断するため、出力制御に影響を与えることもない。
また、本発明のガスタービン制御装置において、前記ピーク抑制手段は、前記ガスタービン出力が入力信号として入力され、該入力信号に含まれる、前記振幅特性においてピークが発生している所定の周波数以上の信号を遮断するローパスフィルタを有し、前記減算手段には、前記ローパスフィルタを経由した発電機出力が入力されることとしてもよい。
例えば、図12に示した振幅特性から、1[Hz]近傍においてピークが発生していることがわかる。したがって、ローパスフィルタにより、少なくともピークが発生している周波数以上の高周波成分が遮断された発電機出力を入力信号として減算手段に入力させることにより、共振ピークを効果的に抑制することができる。また、ガスタービンの出力制御において必要な周波数帯域は約0.2[Hz]以下であり、ガスタービンの出力制御に必要とされない周波数成分を遮断するため、出力制御に影響を与えることもない。
上記ガスタービン制御装置において、前記ピーク抑制手段は、前記発電機の逆特性モデルの伝達関数が設定された演算手段を有し、該演算手段を経由した発電機出力が前記減算手段に入力されることとしてもよい。
このような構成によれば、演算手段を経由することにより、発電機固有の成分が除去され、機械出力の成分のみが残される。そして、発電機固有の情報が除去された機械出力の推定信号が入力信号としてフィードバック制御手段の減算手段に入力される。このように、ハンチングの原因となる発電機の特性を除去することにより、図12に示した振幅特性のピークをなくすことができ、ガスタービン出力のハンチングを抑制することができる。
本発明は、ガスタービンと、上記のいずれかに記載のガスタービン制御装置とを具備する発電システムを提供する。
本発明によれば、定格負荷よりも低い負荷で発生する発電機出力のハンチングを抑制することができるという効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクルプラントの全体構成図である。 図1に示した第1制御部の機能ブロック図を示した図である。 ガスタービン出力とゲインとが関係付けられた第1情報の一例を示した図である。 燃料流量とガスタービン出力の特性を示す特性図である。 GTCCを4つの部位に分けた線形化モデルを示した図である。 本発明の第1実施形態に係るガスタービン制御装置において、フィードバック制御部がピーク抑制部を有さない場合と有する場合における発電機出力及びガスタービンと蒸気タービンの機械出力のシミュレーション結果を比較して示した図である。 本発明の第2実施形態に係るガスタービン制御装置が備える第1制御部の機能ブロック図である。 図7に示した第1関数部が備える偏差の絶対値とゲインとが関連付けられたテーブルを示した図である。 本発明の第3実施形態に係るガスタービン制御装置が備える第1制御部の機能ブロック図である。 本発明の他の実施形態に係るガスタービン制御装置が備える第1制御部の機能ブロック図である。 本発明の第4実施形態に係るガスタービン制御装置が備える第1制御部の機能ブロック図である。 発電機を含む系統の振幅特性の一例を示した図である。
以下に、本発明に係るガスタービンの制御装置及び発電システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るGTCCプラントの全体構成図である。GTCCプラントは、ガスタービン12、蒸気タービン14、及び発電機16を備える。
ガスタービン12は、圧縮機20、燃焼器22、及びタービン24を備える。
圧縮機20は、回転軸26により駆動されることで、空気取込口から取り込まれた空気を圧縮して圧縮空気を生成する。燃焼器22は、圧縮機20から車室28へ導入された圧縮空気に燃料を噴射して高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。タービン24は、燃焼器22で発生した燃焼ガスによって回転駆動する。
車室28と燃焼器22との間にはバイパス管30が設けられており、バイパス管30は、タービン24の出力変動により燃焼器22内の空気が不足する状態になった場合に、燃焼器バイパス弁32が開かれると車室28内の空気を燃焼器22内に導入する流路となる。また、圧縮機20とタービン24との間には、圧縮機20からタービン24へ冷却用の空気を導入させるための抽気管34が設けられている。
蒸気タービン14は、タービン24の排ガスから熱回収して蒸気を発生させ、該蒸気によって回転駆動する。タービン24、蒸気タービン14、圧縮機20、及び発電機16は、回転軸26によって連結され、タービン24及び蒸気タービン14に生じる回転動力は、回転軸26によって圧縮機20及び発電機16に伝達される。そして、発電機16は、タービン24及び蒸気タービンの回転動力によって発電する。
また、燃焼器22には、燃料を供給する燃料供給配管36が接続されている。燃料供給配管36には、圧力調整弁40で流量調整弁42前後の差圧が調整され、流量調整弁42で流量が調整された燃料が供給される。燃焼器22は、燃料供給配管36から供給された燃料と圧縮空気とを混合させて燃焼させる。
ガスタービン制御装置44は、流量制御部46と圧力制御部48とを備えている。流量制御部46は、ガスタービン12の運転状態及び温度状態に関する状態量を入力信号として取得し、これらの入力信号に基づいて燃焼器22に供給する燃料流量を制御するための燃料流量指令CSOを演算する。運転状態に関する状態量としては、例えば、ガスタービン12の出力、回転数が、温度状態に関する状態量としては、例えば排ガス温度がそれぞれ一例として挙げられる。具体的には、流量制御部46は、要求負荷に基づいて決定される発電機出力設定値に発電機出力を追従させるための第1燃料制御指令を求める第1制御部50の他、ガスタービン12の回転数を所定の回転数指令に追従させるための第2燃料制御指令を求める第2制御部52、排ガス温度が所定の排ガス温度上限値を超えないような第3燃料制御指令を求める第3制御部54などを備えている。
そして、これら各制御部50,52,54において求められた第1燃料制御指令から第3燃料制御指令を参照して、最終的な燃料制御指令CSOが決定される。そして、この燃料制御指令CSOに基づいて流量調整弁42の弁開度が制御される。
圧力制御部48は、燃料器22へ供給される燃料圧力を目標燃料圧力に一致させるための圧力調整弁の制御量を求める。
図2は、上述したガスタービン制御装置44における流量制御部46の第1制御部50の機能ブロック図を示した図である。図2に示すように、第1制御部50は、要求負荷に基づいて決定される発電機出力設定値に発電機出力を追従させるための第1燃料制御指令を求めるフィードバック制御部60を備えている。
フィードバック制御部60は、減算部62、PI制御部64、部分負荷運転時などに発生する発電機出力のハンチングを抑制するためのピーク抑制部66が組み込まれている。ピーク抑制部66は、発電機16または該発電機16を含む系統の振幅特性のピークを抑制する機能を有しており、具体的には、乗算部68と、乗算部68で用いるゲインを調節する第1ゲイン調整部70とを備えている。
図2において、減算部62は、発電機出力設定値に対する発電機出力の偏差を算出する。ここで、「ガスタービン出力」とは、タービン24による回転動力が発電機16に伝達されることにより発電された発電電力をいい、例えば、発電機出力から蒸気タービン出力を引いた値を用いる。減算部62において算出された偏差は、ピーク抑制部66の乗算部68に入力される。乗算部68は、第1ゲイン調整部70から与えられた所定のゲインを減算部62からの偏差に乗じ、この算出結果をPI制御部64に出力する。PI制御部64は、乗算部68からの出力結果に対して比例積分演算を行うことにより第1燃料制御指令を求め、求めた第1燃料制御指令を出力する。この第1燃料制御指令は、上述したように、後続する処理に受け渡され、この第1燃料制御指令が参照されて流量調整弁42(図1参照)の弁開度調整量を決定する際の一つの要素として用いられる。
第1ゲイン調整部70は、図3に示すように、ガスタービン出力とゲインとが関係付けられた第1情報を有しており、この第1情報からガスタービン出力に応じたゲインを取得する。ゲインは、部分負荷のときに与えるゲインが定格負荷のときに与えるゲインよりも小さいように設定されている。部分負荷は、定格負荷よりも低い負荷をいい、具体的には、定格負荷の50%以下の負荷領域をいう。また、より好ましくは、ガスタービン出力の増加に合わせて、ゲインを増加させるとよい。
ここで、図4に燃料流量とガスタービン出力の特性を示す。図4において、横軸は燃料流量、縦軸はガスタービン出力である。図4に示すように、燃料流量が小さいときは、ガスタービン出力の傾斜は大きく、燃料流量が大きくなるにつれ、ガスタービン出力の傾きが小さくなっている。従って、図4のグラフから燃料流量が小さい領域ほどガスタービン出力の感度が高く、ガスタービン出力(負荷)が変動しやすいことがわかる。従って、燃料流量に対するガスタービン出力の感度が高い領域においては定格時よりもゲインを低く設定することにより、制御の安定性を高め、負荷のハンチングを抑制することができる。また、定格負荷または定格負荷に近い領域においては出力が安定していることから、ゲインを高く設定し、追従性の向上を図っている。
また、第1ゲイン調整部70におけるゲインは、発電機16を含む系統の線形解析により適切な値に設定されている。以下、ゲインの設定方法について説明する。
まず、図5に示すようにGTCCをガスタービン制御装置、燃料系統、ガスタービンおよび蒸気タービン、発電機の4つの部位に分割し、それぞれの線形化モデルを得る。以下に、各部位の線形化モデルの伝達関数の一例を示す。
Figure 2012117449
上記(1)式のガスタービン制御装置のモデルにおいて、aはPI制御部におけるゲイン、bは乗算部のゲイン、KはPI制御部のゲイン、TはPI制御部の積分時定数、MWeは発電機出力、LDSETは発電機出力設定値である。(2)式の燃料系統のモデルにおいて、kfpは燃料流量指令CSOから実燃料流量までのゲイン、Tfpは燃料系統の時定数、Lfpは燃料系統のむだ時間である。(3)式のガスタービン及び蒸気タービンのモデルにおいて、kgsは燃料流量から出力までのゲイン、ζgsはガスタービン及び蒸気タービンの減衰定数、ωgsはガスタービン及び蒸気タービンの角周波数である。(4)式の発電機のモデルにおいて、kgenは機械出力から発電機出力までのゲイン、ζgenは発電機の減衰定数、ωgenは発電機の角周波数である。
続いて、上記伝達関数を用いて一巡伝達関数を求め、ボード線図を作成し、振幅特性、位相特性を得る。そして、(1)式におけるガスタービン出力MWe、ゲインbの値を振りながら複数の振幅特性及び位相特性(周波数応答特性)を得、これらの結果から各ガスタービン出力におけるピークゲイン[dB]、ゲイン余裕[dB]、位相余裕[deg]がそれぞれに設定されている所定の条件を全て満たすようなゲインbを最適ゲインとして抽出する。そして、抽出した最適ゲインbとガスタービン出力とを関連付けることにより図3に示した第1情報を作成する。なお、図12に示した振幅特性も上述の方法で得たものである。
以上説明してきたように、本実施形態に係るガスタービン制御装置によれば、始動時や負荷併入時などのガスタービン出力が低いときには、定格負荷時と比較して小さいゲインを発電機出力設定値に対する発電機出力の偏差に乗じるので、発電機出力のハンチングを抑制し、安定した運転を実現することが可能となる。また、ガスタービン出力が上昇するにつれてゲインを高くすることにより、制御安定性を維持しつつ、追従性の向上を図ることができる。
図6は、フィードバック制御部60がピーク抑制部66を有さない場合と有する場合における発電機出力及び機械出力のシミュレーション結果を比較して示した図である。図6に示すように、ピーク抑制部を備えていない場合には、ハンチングが持続しているが、ピーク抑制部を備える場合には、ハンチングが徐々に減衰し、所定時間経過後には安定した出力が得られることがわかる。このように、本実施形態に係るガスタービン制御装置によれば、発電機出力のハンチングを抑制できることがわかる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図7を用いて説明する。図7に示すように、本実施形態に係るガスタービン制御装置は、上記第1実施形態に係るガスタービン制御装置における第1制御部がハンチング判定部72及び第2ゲイン調整部74を更に備えている。ハンチング判定部72は、発電機出力にハンチングが発生しているか否かを判定する手段であり、例えば、発電機出力推定部76、減算部78、及び比較部80を備えている。発電機出力推定部76は、ガスタービンおよび蒸気タービンの動特性モデルを有しており、入力信号として入力される燃料流量指令CSO(図1に示した燃料制御部46から出力される燃料流量指令)などから発電機出力を推定する。減算部78は、発電機出力推定部76から出力された発電機出力推定値に対する発電機出力の偏差ΔMWを算出する。比較部80は、減算部78において算出された偏差ΔMWが予め設定されている所定の閾値以上か否かを判定し、閾値以上の場合にHi信号を、閾値未満の場合にLo信号を出力する。
第2ゲイン調整部74は、第1関数部82、第2関数部84、及びゲイン切換部86を主な構成として備えている。第1関数部82は、ハンチング判定部72の減算部78の出力である偏差ΔMWの絶対値が入力され、該絶対値|ΔMW|に応じたゲインを出力する。例えば、第1関数部82には、図8に示すように偏差の絶対値|ΔMW|が所定の値c以下を不感帯とし、c以上d未満の領域において、偏差の絶対値が大きいほど負のゲインを増加させ、d以上の領域において負のゲインを一定とする関数が設定されている。一方、第2関数部84は、予め設定されている所定のゲイン+εを出力する。ゲイン切換部86は、ハンチング判定部72によってハンチングが発生していると判定された場合、すなわち、比較部80からHi信号が入力された場合に第1関数部82から出力されたゲインを選択して出力し、ハンチングが発生していないと判定された場合、すなわち、比較部80からLo信号が入力された場合に第2関数部84から出力されたゲインを選択して出力する。
ゲイン切換部86から出力されたゲインは、上下限値を設定した積分器を経由してフィードバック制御部60に設けられた乗算部68に出力される。これにより、ガスタービン出力設定値に対するガスタービン出力の偏差に対して、第1ゲイン調整部70から出力されたゲインと第2ゲイン調整部74から出力されたゲインの2つのゲインが乗算され、その算出結果がPI制御部64に出力される。
このように、本実施形態に係るガスタービン制御装置によれば、発電機出力がハンチングしている場合には、第2ゲイン調整部74が第1ゲイン調整部70で設定されたゲインを減少させるので、ハンチングを抑制する方向にゲインを調整することができ、ガスタービン出力のハンチングを確実に止めることができる。また、ハンチングが発生していない場合には、安定した制御が実現されていると判断して、第1ゲイン調整部70で設定されたゲインを増加させるので、追従性を向上させることができる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態に係るガスタービン制御装置は、第1制御部のフィードバック制御部が備えるピーク抑制部の構成が上述した第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る第1制御部の機能ブロック図を示した図である。本実施形態に係る第1制御部は、ローパスフィルタ90をピーク抑制部66aとして備えている。図12に示した振幅特性から1[Hz]近傍においてピークが発生していることがわかる。したがって、本実施形態では、振幅特性においてゲインピークが現れている1[Hz]以上の周波数帯域をカットするローパスフィルタをピーク抑制部66aとして採用する。ローパスフィルタ90には、例えば、以下の(5)式で表わされる一次遅れ要素の伝達関数が設定されている。
Figure 2012117449
上記(5)式において、時定数Tは0.3以上0.6以下程度に設定するとよい。
図9に示されるフィードバック制御部60aにおいては、発電機出力がローパスフィルタ90に入力され、約1[Hz]以上の高周波帯域の信号が遮断されたガスタービン出力が減算部62に入力される。減算部62では、発電機出力設定値に対するローパスフィルタ通過後の発電機出力の偏差が算出され、PI制御部64において、該偏差に対して比例積分演算が行われることにより第1燃料流量指令が算出される。
このように、本実施形態に係るガスタービン制御装置によれば、図12に示したGTCCの振幅特性においてピークが現れる周波数帯域を遮断するようなローパスフィルタ90をピーク抑制部66aとして採用し、ローパスフィルタ通過後の高周波成分が除去された発電機出力と発電機出力設定値との差分に対してPI制御を実施して第1燃料制御指令を作成するので、発電機の固有振動を直接的に抑制することができ、発電機出力のハンチングを効果的に抑制することが可能となる。また、ガスタービン出力制御に必要とされる約0.2[Hz]近傍の周波数帯域に対しては影響を及ぼさないため、制御の安定性を確保することができる。
なお、図10に示すように、本実施形態に係るガスタービン制御装置と第1実施形態に係るガスタービン制御装置とを組み合わせることとしてもよい。この場合、ローパスフィルタ90によって高周波成分が遮断された発電機出力と発電機出力設定値との差分が減算部62において算出され、この差分に対して乗算部68においてガスタービン出力に応じたゲインが乗じられ、その算出結果に基づいてPI制御が行われることにより、第1燃料制御指令が求められる。
このような構成によれば、約1[Hz]以下の低周波数帯域においてはゲインが増加するので、要求負荷(発電機出力設定値)に対するガスタービン出力の追従性を向上させることができ、かつ、約1[Hz]以上の高周波数帯域においては遮断されることによりピークを抑制することができ、制御の安定性を向上させることができる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態に係るガスタービン制御装置は、第1制御部のフィードバック制御部が備えるピーク抑制部の構成が上述した第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る第1制御部の機能ブロック図を示した図である。本実施形態に係る第1制御部は、演算部92をピーク抑制部66cとして備えている。具体的には、演算部92には、発電機の逆特性モデルの伝達関数が設定されている。例えば、伝達関数は、以下の(6)式で表わされる。
Figure 2012117449
上記(6)式において、MWmは機械出力、MWeは発電機出力、すなわち、ガスタービンの機械出力のみが発電機に伝達されたと仮定したときの発電機出力、Dはダンピング係数、Kは同期化力係数、Mは慣性定数である。
ここで、図12に示した振幅特性のピークは発電機に固有振動数の振動が励起されることが原因と考えられる。従って、ピーク抑制部66cとして、発電機の逆特性モデルの伝達関数を設定した演算部92を設けることにより、出力に含まれる発電機に関する成分を除去することができ、機械出力のみを得ることが可能となる。すなわち、本実施形態に係るフィードバック制御部60cによれば、発電機出力が演算部92に入力され、出力に含まれている発電機に関する成分が除去され、機械出力が推定されて出力される。この機械出力は、減算部62に入力され、発電機出力設定値との偏差が算出される。算出された偏差は、PI制御部64に入力され、この偏差に基づいて第1燃料制御指令が算出される。
以上説明したように、本実施形態に係るガスタービン制御装置によれば、発電機の逆特性モデルに関する伝達関数を演算部92に設定することにより、発電機の特性を打ち消し、機械出力をフィードバック制御部60cの入力信号として用いることができる。この結果、発電機の特性によって発生する振幅特性のピークを除去することができ、発電機を主原因とする発電機出力のハンチングを抑制することができる。
12 ガスタービン
14 蒸気タービン
16 発電機
42 流量調整弁
44 ガスタービン制御装置
50 第1制御部
60,60a、60c フィードバック制御部
62 減算部
64 PI制御部
66,66a,66b,66c ピーク抑制部
68 乗算部
70 第1ゲイン調整部
72 ハンチング判定部
74 第2ゲイン調整部
90 ローパスフィルタ
92 演算部

Claims (9)

  1. ガスタービンと、少なくともガスタービンの回転動力が伝達されて発電される発電機とを備える発電設備に用いられ、要求負荷に基づいて決定される発電機出力設定値に発電機出力を追従させるための第1燃料制御指令を求める第1制御手段を備えるガスタービン制御装置であって、
    前記第1制御手段はフィードバック制御手段を有し、
    前記フィードバック制御手段は、
    前記発電機出力設定値に対する発電機出力の偏差を算出する減算手段と、
    減算手段よりも制御の後段に設けられた比例積分演算手段と、
    前記発電機または該発電機を含む系統の振幅特性のピークを抑制するピーク抑制手段とを備えるガスタービン制御装置。
  2. 前記ピーク抑制手段は、
    前記減算手段と前記比例積分演算手段との間に設けられ、入力信号に対してゲインを乗算する乗算手段と、
    前記ガスタービン出力に応じて前記乗算手段のゲインを調整する第1ゲイン調整手段と
    を備え、
    前記第1ゲイン調整手段は、定格負荷よりも低い部分負荷のときに与えるゲインを、定格負荷のときに与えるゲインよりも小さく設定する請求項1に記載のガスタービン制御装置。
  3. 前記第1ゲイン調整手段は、ガスタービン出力の増加に合わせて前記ゲインを増加させる請求項2に記載のガスタービン制御装置。
  4. 前記第1制御手段は、
    前記発電機出力にハンチングが発生しているか否かを判定するハンチング判定手段と、
    前記ハンチング判定手段によってハンチングが発生していると判定された場合に、前記第1ゲイン調整手段によって設定されたゲインを減少させる第2ゲイン調整手段と
    を具備する請求項2または請求項3に記載のガスタービン制御装置。
  5. 前記第2ゲイン調整手段は、前記ハンチング判定手段によってハンチングが発生していないと判定された場合に、前記第1ゲイン調整手段によって設定されたゲインを増加させる請求項4に記載のガスタービン制御装置。
  6. 前記ピーク抑制手段は、前記振幅特性においてピークが発生している所定の周波数以上の信号を遮断するローパスフィルタを更に備え、フィルタ処理後の発電機出力を前記フィードバック制御手段の前記減算手段に出力する請求項2から請求項5のいずれかに記載のガスタービン制御装置。
  7. 前記ピーク抑制手段は、前記発電機出力が入力信号として入力され、該入力信号に含まれる、前記振幅特性においてピークが発生している所定の周波数以上の信号を遮断するローパスフィルタを有し、前記減算手段には、前記ローパスフィルタを経由した発電機出力が入力される請求項1に記載のガスタービン制御装置。
  8. 前記ピーク抑制手段は、前記発電機の逆特性モデルの伝達関数が設定された演算手段を有し、該演算手段を経由した発電機出力が前記減算手段に入力される請求項1に記載のガスタービン制御装置。
  9. ガスタービンと、
    請求項1から請求項8のいずれかに記載のガスタービン制御装置と
    を具備する発電システム。
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