JP2012146867A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高性能の固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】本発明は、陽極体と、陽極体の表面に設けられた誘電体被膜と、陽極体上に設けられた第1導電性高分子層と、を備え、第1導電性高分子層中には、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンと、沸点が240℃以上の有機溶媒とが含まれている、固体電解コンデンサである。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
従来より、小型化に適したコンデンサとして、固体電解コンデンサが知られている。特に、固体電解質として、導電性高分子層を有する固体電解コンデンサは、導電性高分子層の電気伝導率の高さによって等価直列抵抗(以下、「ESR」という。)を低くできるという利点を有するため、広く用いられている。
しかしながら、導電性高分子層は損傷した誘電体被膜の修復性能を有していないため、導電性高分子層を有する固体電解コンデンサは、電解液タイプの固体電解コンデンサよりも耐電圧性能が低くなってしまう傾向にあった。
上記問題を解消する技術の1つとして、イオン液体を利用した技術が期待されている。イオン液体とは、常温環境下で溶融して液体状態を保つ塩のことであり、不揮発性、高イオン伝導性といった特性を有する。たとえば、特許文献1には、陽極体と導電性高分子層との間にイオン液体を存在させることによって、導電性高分子層に誘電体被膜の損傷部分の修復性能を付与する技術が開示されている。
特開2008−218920号公報
しかしながら、イオン液体はそれ自身の導電性が低い傾向にあるために、固体電解コンデンサのESRを大きくしてしまう場合があった。このため、ESRが十分に低く、耐電圧性能の高い、高性能の固体電解コンデンサを提供するための技術の開発は現在も求められている。
そこで、上記事情に鑑み、本発明の目的は、高性能の固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
本発明は、陽極体と、陽極体の表面に設けられた誘電体被膜と、陽極体上に設けられた第1導電性高分子層と、を備え、第1導電性高分子層中には、下記化学式(1)で表されるアニオンと、沸点が240℃以上の有機溶媒とが含まれている、固体電解コンデンサである。
Figure 2012146867
(上記化学式(1)中、R1およびR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。)
上記固体電解コンデンサにおいて、有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2,2’−チオジエタノール、スルホラン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサにおいて、アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。
上記固体電解コンデンサにおいて、アニオンは、有機溶媒中に溶解しており、有機溶媒中におけるアニオンの濃度が1%以上であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサにおいて、有機溶媒中におけるアニオンの濃度が5%以上25%以下であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサにおいて、第1導電性高分子層上に設けられた第2導電性高分子層をさらに備えることが好ましい。
また、本発明は、表面に誘電体被膜が設けられた陽極体上に、第1導電性高分子層を形成する工程と、第1導電性高分子層に、アニオン含有溶液を含浸させる工程と、を含み、アニオン含有溶液は、沸点が240℃以上の有機溶媒に、下記化学式(1)で表されるアニオンが溶解された溶液である、固体電解コンデンサの製造方法である。
Figure 2012146867
(上記化学式(1)中、R1およびR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。)
上記固体電解コンデンサの製造方法において、有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2,2’−チオジエタノール、スルホラン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、アニオン含有溶液を含浸させた第1導電性高分子層上に、第2導電性高分子層を形成する工程を含むことが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、第1導電性高分子層を化学重合によって形成し、第2導電性高分子層を電解重合によって形成することが好ましい。
本発明によれば、高性能な固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することができる。
実施の形態1の固体電解コンデンサの模式的な断面図である。 実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法の一例のフローチャートである。 (A)〜(D)は、実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法の一例について図解する模式的な断面図である。 実施の形態2の固体電解コンデンサの模式的な断面図である。 実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法の一例のフローチャートである。 (A)〜(E)は、実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法の一例について図解する模式的な断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る固体電解コンデンサの実施の形態を説明する。以下の実施の形態は一例であり、本発明の範囲内で種々の実施の形態での実施が可能である。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施の形態1>
≪固体電解コンデンサ≫
図1に、実施の形態1の固体電解コンデンサの模式的な断面図を示す。図1において、固体電解コンデンサは、陽極リード12が立設された陽極体11と、陽極体11の表面に設けられた誘電体被膜13と、誘電体被膜13上に設けられた第1導電性高分子層14とを備える。また、第1導電性高分子層14上には、カーボン層15および銀ペイント層16の順に積層された陰極層が設けられており、陽極体11、陽極リード12、誘電体被膜13、第1導電性高分子層14、カーボン層15および銀ペイント層16によって、コンデンサ素子10が構成されている。
また、陽極リード12には陽極端子17が接続されており、銀ペイント層16には導電性の接着剤からなる接着層18を介して陰極端子19が接続されている。さらに、陽極端子17の一部および陰極端子19の一部が露出するように、コンデンサ素子10が外装樹脂20によって封止される。なお、図1において、露出する陽極端子17および陰極端子19は、外装樹脂20の表面に沿うように折り曲げられている。
陽極体11の材料は、特に制限されず、導電性を有していればよい。たとえば、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどの弁作用金属を好適に用いることができる。また、図1に示す構成の固体電解コンデンサにおいて、陽極体11は焼結体であることが好ましい。また、陽極リード12の材料は、金属であれば特に限定されないが、弁作用金属を好適に用いることができる。
誘電体被膜13は、特に限定されず、誘電体性を有していればよい。たとえば、弁作用金属からなる陽極体11を化成処理することによって形成される、金属酸化物が好適である。たとえば、陽極体11の材料としてのタンタル(Ta)を化成処理した場合の誘電体被膜13はTa25からなり、陽極体11の材料としてのアルミニウム(Al)を化成処理した場合の誘電体被膜13はAl2からなる。
第1導電性高分子層14は、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物のうちの少なくとも1つを含む高分子、たとえば、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ならびにポリフランおよびその誘導体から構成される。中でも、ポリピロールおよびその誘導体が好ましい。
上記第1導電性高分子層14中には、下記化学式(1)で表されるアニオンと、240℃以上の沸点を有する有機溶媒とが含まれている。
Figure 2012146867
上記化学式(1)で表されるアニオンは、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン(以下、「Pfアニオン」という。)であって、具体例としては、たとえば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ペンタフルオロエタンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミド、トリフルオロメタンスルホニルヘプタフルオロプロパンスルホニルイミド、ノナフルオロブタンスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミドなどがある。第1導電性高分子層14中において、上記Pfアニオンのうち1種が含まれていてもよく、複数種が含まれていてもよい。特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンが含まれていることが好ましい。
沸点が240℃以上の有機溶媒(以下、「高沸点有機溶媒」という。)としては、たとえば、プロピレンカーボネート(沸点:240℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点:242℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(249℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:255℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(261℃)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:264℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:275℃)、2,2’−チオジエタノール(沸点:282℃)、スルホラン(沸点:285℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:290℃)などがある。第1導電性高分子層14中において、上記高沸点有機溶媒のうちの1種が含まれていてもよく、複数種が含まれていてもよい。
本発明者は、鋭意検討の結果、第1導電性高分子層14中に、上記のPfアニオンおよび上記高沸点有機溶媒が含まれていることにより、固体電解コンデンサのESRを十分に低く保ったまま、耐電圧性能を向上させることができることを知見した。これは、Pfアニオンが高い導電性と誘電体被膜13の修復機能とを有することと、高沸点有機溶媒の固体電解コンデンサ中での安定性に起因するものと考えられる。
すなわち、第1導電性高分子層14中にPfアニオンおよび高沸点有機溶媒が含まれることにより、Pfアニオンは高沸点有機溶媒中に溶解した状態で、第1導電性高分子層14中に存在することができる。これにより、Pfアニオンは、第1導電性高分子層14中を移動することができ、また、高沸点有機溶媒が固体電解コンデンサ中で安定的に存在することによって、これに溶解するPfアニオンも第1導電性高分子層14中に安定的に存在することができる。したがって、Pfアニオンは、固体電解コンデンサの耐電圧性能を向上させることができ、また、ESRの上昇を抑制することができ、十分に低く保つことができる。
また、固体電解コンデンサは、通常、はんだ処理によって回路基板に実装されるが、はんだ処理時の温度は230〜250℃と高い。たとえば、第1導電性高分子層14中に、高沸点有機溶媒の代わりに、通常用いられる水やアルコールなどの沸点の低い有機溶媒が含まれている場合には、はんだ処理時に固体電解コンデンサに加えられる熱によって、水や沸点の低い有機溶媒が第1導電性高分子層14中で気化する虞がある。この場合、気化によるコンデンサ素子の内圧上昇などに起因して、誘電体被膜13や第1導電性高分子層14が損傷してしまうという問題がある。また、第1導電性高分子層14中に、高沸点有機溶媒の代わりに、水やアルコールなどの沸点の低い有機溶媒が含まれている場合に、第1導電性高分子層14中で水や有機溶媒が気化すると、Pfアニオンの第1導電性高分子層14中での移動ができなくなり、誘電体被膜13の修復機能が低下してしまうという問題がある。
これに対し、第1導電性高分子層14中にPfアニオンと高沸点有機溶媒が含まれている場合には、上記のような問題が生じないため、実装後の固体電解コンデンサにおいても、Pfアニオンによる修復機能を十分に発揮することができる。
なお、第1導電性高分子層14中にPfアニオンが含まれていることは、各種装置を用いて確認することができる。一例として、核磁器共鳴分光法を利用することによって確認する場合には、たとえば、第1導電性高分子層14の一部を採取し、適切な溶剤を用いて、各サンプル中のPfアニオンを溶剤に抽出して、Pfアニオン特有のスペクトル、たとえばフルオロアルキル基を核磁器共鳴分光装置で検出することによって、Pfアニオンの有無を確認することができる。
第1導電性高分子層14中において、高沸点有機溶媒中に溶解しているPfアニオンの濃度は、1%以上であることが好ましい。この場合、Pfアニオンの機能を効率的に発揮させることができる。また、Pfアニオンは、高沸点有機溶媒中で飽和していてもよい。より好ましくは、高沸点有機溶媒中に溶解しているPfアニオンの濃度が5%以上25%以下であることが好ましい。この場合、より効率的にPfアニオンの機能を発揮させることができ、固体電解コンデンサの性能をさらに高めることができる。なお、高沸点有機溶媒中に溶解しているPfアニオンの濃度(%)とは、Pfアニオンの質量(g)を高沸点有機溶媒の質量(g)で割った値に100を乗じた値である。
また、第1導電性高分子層14において、ドーパントが付与されていてもよい。ドーパントの種類は特に限定されず、たとえば、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などのスルホン酸化合物の酸または塩、硫酸、硝酸などを挙げることができる。高分子の基本骨格がポリチオフェンの場合には、ドーパントとして、芳香族スルホン酸、特に、p−トルエンスルホン酸を用いることによって、第1導電性高分子層14の導電性をより高めることができる。
カーボン層15は、導電性を有していればよく、たとえば、グラファイトを用いることができる。また、銀ペイント層16は、銀粒子で構成することができる。陽極端子17および陰極端子19は、導電性を有していればよく、たとえば、銅などの金属を用いることができる。接着層18は、導電性と接着性を有していればよく、たとえば銀をフィラーとして含む銀接着剤を用いることができる。外装樹脂20の材料は特に限定されず、たとえばエポキシ樹脂などの公知の樹脂を用いることができる。
≪固体電解コンデンサの製造方法≫
図2は、実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法の一例のフローチャートであり、図3(A)〜(D)は、実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法の一例について図解する模式的な断面図である。以下、図1〜図3を参照して、実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法の一例について説明する。
(陽極体を形成する工程)
まず、図2のステップS1において、図3(A)に示すように、陽極体11を形成する。たとえば、金属粉末を準備し、棒状体の陽極リード12の長手方向の一端側を金属粉末に埋め込んだ状態で、当該粉末を所望の形状に成形する。次に、この成形体を焼結して、陽極リード12の一端が埋設された多孔質構造の陽極体11を形成する。
陽極体11の材料は特に限定されないが、誘電体被膜13の形成が容易である点からは、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用金属を用いることが好ましい。また、陽極リード12の材料も特に限定されないが、陽極体11と同様の観点から、弁作用金属を用いることが好ましい。
(誘電体被膜を形成する工程)
次に、図2のステップS2において、図3(B)に示すように、陽極体11の表面に誘電体被膜13を形成する。誘電体被膜13の形成方法は特に限定されない。たとえば、陽極体11が弁作用金属からなる場合には、陽極体11を化成処理することによって、陽極体11の表面に誘電体被膜13を形成することができる。化成処理としては、たとえば、陽極体11をリン酸水溶液または硝酸水溶液などの化成液に浸漬して熱処理してもよく、また、陽極体11を化成液に浸漬して電圧を印加してもよい。本工程により、陽極体11の表面を誘電体被膜13に変化させることができる。以上の工程により、表面に誘電体被膜13が設けられた陽極体11が準備される。
(第1導電性高分子層を形成する工程)
次に、図2のステップS3において、図3(C)に示すように、表面に誘電体被膜13が設けられた陽極体11上に、第1導電性高分子層14を形成する。第1導電性高分子層14は、化学重合法や電解重合法によって形成することができるが、誘電体被膜13上への形成が容易である点、および化学重合による導電性高分子層の構造が比較的粗く、後述するアニオン含有溶液の含浸が容易である点から、化学重合法によって形成することが好ましい。
化学重合による第1導電性高分子層14の形成方法としては、たとえば、誘電体被膜13上に酸化剤およびドーパントを付着させた陽極体11を、第1導電性高分子層14を構成する高分子の前駆体モノマーを含むガスに曝露する方法がある。陽極体11に酸化剤およびドーパントを付着させる方法としては、たとえば、酸化剤およびドーパントを含む溶液に陽極体11を浸漬させる方法がある。また、酸化剤を含む溶液とドーパントを含む溶液のそれぞれに陽極体11を浸漬させてもよい。また、各溶液を陽極体11に塗布してもよい。
上記の方法は、化学重合のうちの気相重合であるが、液相重合によって第1導電性高分子層14を形成してもよい。たとえば、誘電体被膜13が形成された陽極体11を、第1導電性高分子層14を構成する高分子の前駆体モノマー、酸化剤およびドーパントを含む溶液に浸漬して、誘電体被膜13上で前駆体モノマーを酸化重合させる方法がある。前駆体モノマー、酸化剤およびドーパントは1つの溶液に含まれる必要はなく、それぞれ別の溶液に含まれていてもよい。なお、2つ以上の溶液を用いて酸化重合を行う場合、各溶液への浸漬の順序は特に制限されるものではない。
前駆体モノマーは、重合することによって、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ならびにポリフランおよびその誘導体のいずれかとなる化合物である。たとえば、前駆体モノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、N−メチルピロール、N,N−ジメチルアニリン、N−アルキルアニリンなどを用いることができる。
酸化剤は、前駆体モノマーを重合させることができればよく、たとえば、硫酸、過酸化水素、鉄(III)、銅(II)、クロム(VI)、セリウム(IV)、マンガン(VII)、亜鉛(II)などを用いることができる。特に、これらの金属と塩を構成した芳香族スルホン酸金属塩は、酸化剤としての機能に加え、ドーパントとしての機能を有するため、好適に用いることができる。芳香族スルホン酸金属塩としては、たとえば、ナフタレンスルホン酸金属塩、テトラリンスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩およびアルコキシベンゼンスルホン酸金属塩を用いることができる。
ドーパントとしては、たとえば、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などのスルホン酸化合物の酸または塩、硫酸、硝酸などを挙げることができる。また、酸化剤の機能とドーパントの機能とを有する芳香族スルホン酸金属塩を用いることができることは上述の通りである。
(アニオン含有溶液を含浸させる工程)
次に、図2のステップS4において、第1導電性高分子層14にアニオン含有溶液を含浸させる。第1導電性高分子層14にアニオン含有溶液を含浸させる方法は特に限定されず、たとえば、第1導電性高分子層14が形成された陽極体11を、アニオン含有溶液に浸漬する方法がある。
アニオン含有溶液は、上述したPfアニオンが上述した高沸点有機溶媒に溶解したものである。アニオン含有溶液は、たとえば、高沸点有機溶媒に、Pfアニオンとカチオンから構成される塩を添加することによって調製することができる。カチオンとしては、特に限定されず、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、アンモニア、またはテトラメチルアンモニウムやテトラエチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウムなどのイオンを用いることができる。なお、Pfアニオンとカチオンとから構成される塩は、常温(25℃程度)で固体状態となる。
アニオン含有溶液中における塩の濃度、すなわち、Pfアニオンの濃度は1%以上が好ましく、この場合、第1導電性高分子層14中に浸透したPfアニオンによる誘電体被膜13の修復機能を効率的に発揮することができる。また、同Pfアニオンの濃度は、5%以上25%以下であることが好ましい。この場合、Pfアニオンを効率的に第1導電性高分子層14中に存在させることができる。また、アニオン含有溶液の粘度を十分に低く保つことができるため、第1導電性高分子層14中への浸透性がよく、また、第1導電性高分子層14中での移動度も高い。
なお、浸漬時間は1分以上であれば十分に第1導電性高分子層14中にアニオン含有溶液を浸透させることができる。また、製造タクトの観点からは、浸漬時間は60分以下であることが好ましい。より好ましくは、5分以上10分以下の場合に、浸透性、製造タクトをより適切に設計することができる。
(陰極層を形成する工程)
次に、図2のステップS5において、図3(D)に示すように、第1導電性高分子層14上に、カーボン層15および銀ペイント層16を形成する。
カーボン層15および銀ペイント層16のそれぞれの形成方法は特に限定されない。たとえば、カーボン層15は、第1導電性高分子層14が形成された陽極体11をカーボン粒子を分散させた溶液に浸漬し、その後乾燥処理することによって形成することができる。また、銀ペイント層16は、たとえば、カーボン層15を形成後、該陽極体11を銀粒子を含む溶液へ浸漬して乾燥処理することによって形成することができる。以上の工程により、コンデンサ素子10が作製される。
(コンデンサ素子を封止する工程)
次に、図2のステップS6において、図1に示すように、コンデンサ素子10を封止して、固体電解コンデンサを製造する。封止の方法としては、特に限定されないが、たとえば、以下の方法がある。
すなわち、まず、陽極端子17を陽極リード12の露出している一端に接続し、銀ペイント層16上に接着層18を形成して陰極端子19の一端を接続する。次に、陽極端子17および陰極端子19の各他端が露出するように、コンデンサ素子10を外装樹脂20によって封止する。最後に、露出している陽極端子17および陰極端子19を外装樹脂20に沿うように折り曲げてエージング処理することにより、図1に示す固体電解コンデンサが製造される。
上述の実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法によれば、第1導電性高分子層14中にPfアニオンと有機溶媒とが含まれる固体電解コンデンサを製造することができる。第1導電性高分子層14中にPfアニオンと有機溶媒とが含まれることにより、Pfアニオンが第1導電性高分子層14中に安定的に存在することができ、また、第1導電性高分子層14中を容易に移動することができる。
したがって、実施の形態1の固体電解コンデンサの製造方法によれば、Pfアニオンによる誘電体被膜13の効率的な修復が可能となり、また、ESRを低く保つことができる固体電解コンデンサを製造することができる。また、実施の形態1の固体電解コンデンサによれば、誘電体被膜13の損傷をPfアニオンによって効率的に修復することができ、また、Pfアニオンが導電性を有するために、ESRの低下を抑制することができる。すなわち、高性能な固体電解コンデンサを提供することができる。
また、第1導電性高分子層14中に存在する高沸点有機溶媒の安定性が高いため、たとえば、固体電解コンデンサをはんだ処理によって回路基板に実装した場合にも、Pfアニオンを安定的に第1導電性高分子層14中に存在させることができる。したがって、実施の形態1の固体電解コンデンサは、実装後においても、十分に高い性能を維持することができる。
<実施の形態2>
≪固体電解コンデンサ≫
図4に、実施の形態2の固体電解コンデンサの模式的な断面図を示す。図4において、固体電解コンデンサは、陽極リード12が立設された陽極体11と、陽極体11の表面に設けられた誘電体被膜13と、誘電体被膜13上に設けられた第1導電性高分子層14と、第1導電性高分子層14上に設けられた第2導電性高分子層21とを備える。また、第2導電性高分子層21上には、カーボン層15および銀ペイント層16の順に積層された陰極層が設けられており、陽極体11、陽極リード12、誘電体被膜13、第1導電性高分子層14、第2導電性高分子層21、カーボン層15および銀ペイント層16によって、コンデンサ素子10が構成されている。
第2導電性高分子層21を構成する高分子は、第1導電性高分子層14と同様である。また、第2導電性高分子層21において、ドーパントが付与されている。ドーパントの種類は特に限定されず、たとえば、第1導電性高分子層14に付与可能なドーパントを用いることができる。なお、第2導電性高分子層21中にも、Pfアニオンおよび高沸点有機溶媒が含まれていてもよい。
本実施の形態2の固体電解コンデンサにおいて、上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
≪固体電解コンデンサの製造方法≫
図5は、実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法の一例のフローチャートであり、図6(A)〜(E)は、実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法の一例について図解する模式的な断面図である。以下、図4〜図6を参照して、実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法の一例について説明する。
(陽極体を形成する工程)
まず、図5のステップS21において、図6(A)に示すように、陽極体11を形成する。陽極体11の形成方法は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
(誘電体被膜を形成する工程)
次に、図5のステップS22において、図6(B)に示すように、陽極体11の表面に誘電体被膜13を形成する。誘電体被膜13の形成方法は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。以上の工程により、表面に誘電体被膜13が設けられた陽極体11が準備される。
(第1導電性高分子層を形成する工程)
次に、図5のステップS23において、図6(C)に示すように、表面に誘電体被膜13が設けられた陽極体11上に、第1導電性高分子層14を形成する。第1導電性高分子層14の形成方法は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
(アニオン含有溶液を含浸させる工程)
次に、図5のステップS24において、第1導電性高分子層14にアニオン含有溶液を含浸させる。アニオン含有溶液の含浸方法は実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
(第2導電性高分子層を形成する工程)
次に、図5のステップS25において、図6(D)に示すように、第1導電性高分子層14上に第2導電性高分子層21を形成する。第2導電性高分子層21は、化学重合法や電解重合法によって形成することができるが、電解重合法によって形成することが好ましい。その理由は以下の通りである。
すなわち、電解重合法によって形成される導電性高分子層の構造は、化学重合法によって形成される導電性高分子層の構造よりも密である。このため、第2導電性高分子層21を電解重合法によって形成した場合、第1導電性高分子層14中に含まれるアニオン含有溶液が、電解重合法によって形成された第2導電性高分子層21中に移動し難い傾向となる。これにより、誘電体被膜13近傍に位置する第1導電性高分子層14中にアニオン含有溶液を留めることができるため、Pfアニオンによる誘電体被膜13の修復機能をより効果的に発揮することができる。
電解重合による第2導電性高分子層21の形成方法としては、たとえば、陽極体11を第2導電性高分子層21の前駆体モノマーおよびドーパントを含む電解液に浸漬し、この電解液に電流を流すことによって、第1導電性高分子層14上に第2導電性高分子層21を形成させる方法がある。
(陰極層を形成する工程)
次に、図5のステップS26において、図6(E)に示すように、第2導電性高分子層21上に、カーボン層15および銀ペイント層16を形成する。陰極層の形成方法は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
(コンデンサ素子を封止する工程)
次に、図5のステップS27において、図4に示すように、コンデンサ素子10を封止して、固体電解コンデンサを製造する。コンデンサ素子10の封止方法は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
上述の実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法によれば、第1導電性高分子層14中にPfアニオンと有機溶媒とが含まれる固体電解コンデンサを製造することができる。第1導電性高分子層14中にPfアニオンと有機溶媒とが含まれることにより、Pfアニオンが第1導電性高分子層14中に安定的に存在することができ、また、第1導電性高分子層14中を容易に移動することができる。
したがって、実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法によれば、Pfアニオンによる誘電体被膜13の効率的な修復が可能となり、また、ESRを低く保つことができる固体電解コンデンサを製造することができる。また、実施の形態2の固体電解コンデンサによれば、誘電体被膜13の損傷をPfアニオンによって効率的に修復することができ、また、Pfアニオンが導電性を有するために、ESRの低下を抑制することができる。すなわち、高性能な固体電解コンデンサを提供することができる。
また、実施の形態2の固体電解コンデンサの製造方法において、第1導電性高分子層14を化学重合法によって形成し、第2導電性高分子層21を電解重合法によって形成することが好ましい。これにより、比較的疎な構造の第1導電性高分子層14と、比較的密な構造の第2導電性高分子層21を有する固体電解コンデンサを作製することができる。
この場合、第1導電性高分子層14中に含浸されたアニオン含有溶液が第2導電性高分子層21に移動するのを、その構造の違いにより抑制することができるため、アニオン含有溶液を、より誘電体被膜13に近い位置にある第1導電性高分子層14中に留めることができる。したがって、Pfアニオンによる誘電体被膜13の修復機能をより効率的に発揮させることができる。
また、第1導電性高分子層14中に存在する高沸点有機溶媒の安定性が高いため、たとえば、固体電解コンデンサをはんだ処理によって回路基板に実装した場合にも、Pfアニオンを安定的に第1導電性高分子層14中に存在させることができる。したがって、実施の形態2の固体電解コンデンサは、実装後においても、十分に高い性能を維持することができる。
本発明における固体電解コンデンサは、上記の実施の形態1および2に係る固体電解コンデンサに限定されず、公知の形状に応用することができる。公知の形状としては具体的に、巻回型の固体電解コンデンサ、弁金属の板を用いた積層型の固体電解コンデンサなどがある。
特に、焼結体からなる陽極体上に形成された導電性高分子層は、アニオン含有溶液を保持する能力に優れているため、焼結体からなる陽極体を有する固体電解コンデンサに、本発明をより好適に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例において、図4に示す構造の固体電解コンデンサを作製した。以下に、固体電解コンデンサの具体的な製造方法について説明する。
(陽極体の形成)
まず、タンタル粉末を準備し、棒状体のタンタルからなる陽極リードの長手方向の一端側を金属粉末に埋め込んだ状態で、タンタル粉末を直方体に成形した。そして、この成形体を焼結して、陽極リードの一端が埋設された多孔質構造の陽極体を形成した。このときの陽極体の寸法は、縦×横×高さが4.5mm×3.5mm×2.5mmであった。
(誘電体被膜の形成)
次に、陽極体をリン酸溶液に浸漬して、陽極リードを介して陽極体に30Vの電圧を印加することにより、陽極体の表面にTa25からなる誘電体被膜を形成した。
(第1導電性高分子層の形成)
次に、化学重合法によって誘電体被膜上に第1導電性高分子層を形成した。具体的には、まず、ピロールを3mol/Lの濃度で含むエタノール溶液と、過硫酸アンモニウムおよびパラトルエンスルホン酸を含有する水溶液を準備した。そして、25℃に調整した上記エタノール溶液中に、誘電体被膜が形成された陽極体を5分間浸漬して、誘電体被膜に第1導電性高分子層の前駆体モノマーであるピロールを付着させた。その後、陽極体をエタノール溶液から引き上げて、引き続き、25℃に設定された上記水溶液に、5分間浸漬した。そして、陽極体を水溶液から引き上げて、10分間以上室温で放置することにより乾燥させた。この操作により、誘電体被膜上に第1導電性高分子層が形成された。
(アニオン含有溶液の含浸)
次に、第1導電性高分子層にアニオン含有溶液を含浸させた。具体的には、まず、Pfアニオンを含む塩として、下記化学式(2)に示すビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(以下、「TFSI」という。)を準備し、高沸点有機溶媒として、トリエチレングリコールブチルメチルエーテルを準備した。なお、TFSIは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンと、リチウムカチオンとから構成される塩である。そして、トリエチレングリコールブチルメチルエーテルに、濃度が1%となるようにTFSIを添加し、アニオン含有溶液を準備した。
Figure 2012146867
そして、アニオン含有溶液に第1導電性高分子層が形成された陽極体を5分間浸漬し、その後、陽極体をアニオン含有溶液から引上げて室温で放置した。
(第2導電性高分子層の形成)
次に、電解重合法によって、第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成した。具体的には、まず、電解液として、ピロールおよびアルキルナフタレンスルホン酸を含む水溶液を準備した。そして、該水溶液を電解重合用装置の電解槽内に満たし、その水溶液に陽極体を浸漬して、第1導電性高分子層に0.5mAの電流を3時間通電した。この操作により、第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層が形成された。
(陰極層の形成)
上記操作の終了後、水溶液から陽極体を引き上げ、これを水で洗浄後、100℃の乾燥器内に配置して、10分間乾燥させた。そして、乾燥後の陽極体に、グラファイト粒子懸濁液を塗布して大気中で乾燥させることによりカーボン層を形成し、さらに、銀粒子を含む溶液を用いて銀ペースト層を形成した。以上の操作により、コンデンサ素子が作製された。
(コンデンサ素子の封止)
そして、コンデンサ素子において、陽極リードに銅からなる陽極端子を溶接し、銀ペースト層に銀接着剤を塗布して接着層を形成し、接着層に銅からなる陰極端子の一端を接着させた。さらに、陽極端子および陰極端子の一部が露出するように、コンデンサ素子を外装樹脂で封止した。露出する陽極端子および陰極端子を外装樹脂に沿うように折り曲げた後、エージング処理を行った。
製造された固体電解コンデンサの定格電圧は10V、定格容量は330μFであり、縦×横×高さが7.3mm×4.3mm×3.8mmであった。
<実施例2>
アニオン含有溶液中のTFSIの濃度を5%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<実施例3>
アニオン含有溶液中のTFSIの濃度を10%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<実施例4>
アニオン含有溶液中のTFSIの濃度を20%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<実施例5>
アニオン含有溶液中のTFSIを飽和させた以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<実施例6>
アニオン含有溶液に用いる高沸点有機溶媒を、プロピレンカーボネートとし、TFSIの濃度を10%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<実施例7>
アニオン含有溶液に用いる高沸点有機溶媒を、ポリエチレングリコールジメチルエーテルとし、TFSIの濃度を10%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<実施例8>
アニオン含有溶液に用いる高沸点有機溶媒を、チオジエタノールとし、TFSIの濃度を10%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<比較例1>
アニオン含有溶液を含浸させる工程を行なわなかった以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<比較例2>
アニオン含有溶液において、高沸点有機溶媒の代わりに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:120℃)を用い、TFSIの濃度を10%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<比較例3>
TSFIの代わりに、NaClを用い、NaClの濃度を10%とした以外は、実施例1と同様の方法により、固体電解コンデンサを製造した。なお、製造された固体電解コンデンサの定格電圧、定格容量、外形は実施例1の固体電解コンデンサと同様であった。
<性能評価>
≪ESRの測定≫
各実施例1〜8および各比較例1〜3の固体電解コンデンサからそれぞれランダムに20個ずつ抽出した。抽出された各固体電解コンデンサについて、4端子測定用のLCRメータを用いて周波数100kHzにおける各固体電解コンデンサのESR(mΩ)を測定し、各実施例1〜8および各比較例1〜3における平均値を算出した。この結果を表1の「ESR(mΩ)」に示した。
≪耐電圧試験≫
各実施例1〜8および各比較例1〜3の固体電解コンデンサからそれぞれランダムに20個ずつ抽出した。抽出された各固体電解コンデンサについて、印加する直流電圧を1V/秒の速度で上昇させて、耐電圧試験を行った。漏れ電流が1mA以上となったときの電圧を耐電圧とし、各実施例1〜8および各比較例1〜3の固体電解コンデンサにおける平均値を算出した。この結果を表1の「耐電圧(V)」に示した。
≪サージ耐圧試験≫
各実施例1〜8および各比較例1〜3の固体電解コンデンサからそれぞれランダムに20個ずつ抽出した。抽出された固体電解コンデンサについて、最高使用温度である105℃環境下で、サージ耐圧試験を行った。具体的には、各固体電解コンデンサに1kΩの放電用抵抗を接続した上で、固体電解コンデンサについて、5分30秒間放電後、30秒間充電するという合計6分間のサイクルを1000回繰り返した。この試験の終了後、各固体電解コンデンサにおける漏れ電流を測定し、漏れ電流が1mA以上の場合に故障と判断してその数を調べた。この結果を表1の「故障数(個)」に示した。
Figure 2012146867
表1を参照して、アニオン含有溶液の含浸を行なわなかった比較例1のESRに対し、TFSIを含むアニオン含有溶液の含浸を行なった実施例1〜8のESRは同じ、またはわずかしか上昇しておらず、低く抑えられることが分かった。特に、アニオン含有溶液中のTFSIの濃度が20%以下の場合、ESRは十分に低く抑えられることがわかった。また、実施例1〜8において、高沸点溶媒の種類を変えた場合であっても、ESRの増加を抑制する効果は同様であることがわかった。
また、比較例1〜3の耐電圧に対し、実施例1〜8の耐電圧は高かった。特に、アニオン含有溶液中のTFSIの濃度が5%以上の場合耐電圧はより高かった。また、さらに、サージ耐圧試験後においても、実施例1で20個のうち2つの故障がみられたものの、比較例1〜3と比較して故障数は少なく、また、実施例2〜8では、故障数は0であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、固体電解コンデンサ、特に、導電性高分子層を有する固体電解コンデンサに広く利用することができる。
10 コンデンサ素子、11 陽極体、12 陽極リード、13 誘電体被膜、14 第1導電性高分子層、15 カーボン層、16 銀ペイント層、17 陽極端子、18 接着層、19 陰極端子、20 外層樹脂、21 第2導電性高分子層。

Claims (11)

  1. 陽極体と、
    前記陽極体の表面に設けられた誘電体被膜と、
    前記陽極体上に設けられた第1導電性高分子層と、を備え、
    前記第1導電性高分子層中には、下記化学式(1)で表されるアニオンと、沸点が240℃以上の有機溶媒とが含まれている、固体電解コンデンサ。
    Figure 2012146867
    (上記化学式(1)中、R1およびR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。)
  2. 前記有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2,2’−チオジエタノール、スルホラン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記アニオンは、前記有機溶媒中に溶解しており、前記有機溶媒中における前記アニオンの濃度が1%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記有機溶媒中における前記アニオンの濃度が5%以上25%以下である、請求項4に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記第1導電性高分子層上に設けられた第2導電性高分子層をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  7. 表面に誘電体被膜が設けられた陽極体上に、第1導電性高分子層を形成する工程と、
    前記第1導電性高分子層に、アニオン含有溶液を含浸させる工程と、を含み、
    前記アニオン含有溶液は、沸点が240℃以上の有機溶媒に、下記化学式(1)で表されるアニオンが溶解された溶液である、固体電解コンデンサの製造方法。
    Figure 2012146867
    (上記化学式(1)中、R1およびR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。)
  8. 前記有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2,2’−チオジエタノール、スルホラン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記アニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンである、請求項7または8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記アニオン含有溶液を含浸させた前記第1導電性高分子層上に、第2導電性高分子層を形成する工程を含む、請求項7から9のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記第1導電性高分子層を化学重合によって形成し、前記第2導電性高分子層を電解重合によって形成する、請求項10に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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