JP2012153794A - 樹脂組成物、樹脂硬化物および樹脂成形体 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂硬化物および樹脂成形体 Download PDF

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宜寛 平田
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Abstract

【課題】チオール化合物を含む樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物の耐水性を向上させる。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、または、エポキシ基のいずれかを有する化合物と、チオール基が直接または1つ以上の炭素原子を介して結合した環状化合物とを含んでいる。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、該樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物および該硬化樹脂を用いた樹脂成形体に関し、更に詳しくは、チオール基(−SH)を有するチオール化合物を含む樹脂組成物、それを硬化させた樹脂硬化物および該樹脂硬化物を用いた樹脂成形体に関する。
近年、チオール化合物を含む樹脂硬化物は、コーティング材、封止材、接着剤、レジスト剤など広範な分野で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−126974号公報
しかしながら、従来のチオール化合物は、その殆どが、エステル系またはエーテル系の化合物であるために、かかるチオール化合物を含む樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物は、チオール化合物のエステル基またはエーテル基が加水分解され、このため、耐水性が求められる用途、例えば、屋外で使用するコーティング材などの用途に使用するのは困難であった。
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、チオール化合物を含む樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物の耐水性を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、または、エポキシ基のいずれかを有する化合物と、チオール基が直接または1つ以上の炭素原子を介して結合した環状化合物とを含むものである。
この環状化合物は、環構造に含まれる原子に直接または1つ以上の炭素原子を介してチオール基が結合しているチオール化合物であり、なかでも下記式(1)で表されるチオール化合物が好ましい。
Figure 2012153794
[式中、Aは環構造であって、[]内の基以外の置換基を有していてもよく、R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、n個のR1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜4の整数を、mは2〜6の整数をそれぞれ示し、[]内の基は、同一であってもよく、異なっていてもよい]
上記式(1)中のAの環構造については、特に制限はないが、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ジシクロペンタジエン環、イソシアヌレート環のいずれかの環構造が、好ましい。
上記式(1)で表されるチオール化合物は、下記式(2)、(3)、(4)、(5)および(6)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であるのが好ましい。
Figure 2012153794
本発明の樹脂硬化物は、本発明の樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射及び/又は加熱して得られるものである。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、X線等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂硬化物で被覆されている。
本発明の樹脂組成物に含まれるチオール基を有する環状化合物は、エステル基またはエーテル基を有しておらず、しかも、剛直で疎水性な環構造を有しているので、この樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物は、エステル基またはエーテル基による加水分解の可能性が排除されると共に、密度および疎水性が高い分子ネットワーク中に水が進入しにくくなり、耐水性が一層向上する。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂硬化物及び樹脂成形体について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、または、エポキシ基のいずれかを有する化合物(以下「ビニル基等を有する化合物」ともいう)と、チオール基が直接または1つ以上の炭素原子を介して結合した環状化合物とを含むものである。
この環状化合物は、環構造に含まれる原子に直接または1つ以上の炭素原子を介してチオール基が結合しているチオール化合物である。このチオール化合物としては、下記式(1)で表されるチオール化合物が耐水性向上に特に効果があり、好ましい。
Figure 2012153794
[式中、Aは環構造であって、[]内の基以外の置換基を有していてもよく、R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、n個のR1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜4の整数を、mは2〜6の整数をそれぞれ示し、[]内の基は、同一であってもよく、異なっていてもよい]
上記式(1)中のAの環構造については、特に制限はないが、通常入手出来る工業材料として、シクロペンタン、シクロブタン、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和状態の炭素−炭素結合からなる環構造およびそれが組み合わさった環構造、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどの不飽和を含む炭素−炭素結合からなる環構造、またはジフェニル、ターフェニルなどのベンゼン環が連なった環構造、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、メラミン、イソシアヌレート、など炭素以外の原子が結合したいわゆる複素環構造、インデン、ベンゾフラン、インドールなどベンゼン環と複素環が結合した環構造などが挙げられる。
なかでも、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ジシクロペンタジエン環、イソシアヌレート環のいずれかの環構造が、耐水性向上の効果が高く好ましい。
上記式(1)で表されるチオール化合物では、チオール基を含む上記[]内の基は、環Aを構成する任意の炭素あるいは窒素等に結合している。
また、上記チオール化合物では、環Aには、チオール基以外の他の置換基、例えば、アルキル基、アルケニル基、カルボニル基、カルボキシキル基、ニトリル基、アクリル基、ホスホリル基を有していてもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれる上記チオール化合物の好適なものの一例として、上記Aの環構造がジシクロペンタジエン環であり、nが0、mが2である、ジシクロペンタジエン環に2つのチオール基が直接結合した下記式(2)のオクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−1,5ジチオール(通称ジシクロペンタジエンジチオール以下「DPT」ともいう)が挙げられる。
Figure 2012153794
また、上記チオール化合物の好適なものの他の例として、上記Aの環構造がイソシアヌレート環であり、R1およびR2が水素原子であり、nが3、mが3である、イソシアヌレート環の各窒素にチオール基が、炭素原子を介してそれぞれ結合した下記式(3)の2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)−1,3,5−トリアジン(通称トリチオールイソシアヌレート以下「TTIC」ともいう)が挙げられる。
Figure 2012153794
また、上記チオール化合物の好適なものの更に他の例として、上記Aの環構造がシクロヘキサン環であり、R1およびR2が水素原子であり、nが2、mが3である、シクロヘキサン環に3つのチオール基が、炭素原子を介してそれぞれ結合した下記式(4)の1,2,4−シクロヘキサントリエタンチオール(通称トリチオールシクロヘキサン以下「TTCH」ともいう)が挙げられる。
Figure 2012153794
また、上記チオール化合物の好適なものの他の例として、上記Aの環構造がシクロヘキサン環であり、R1およびR2が水素原子であり、nが1、mが2である、シクロヘキサン環に2つのチオール基が炭素原子を介して結合した下記式(5)の1,4−シクロヘキサンジメタンチオール(通称ビスメルカプトメチルシクロヘキサン以下「DMCH」ともいう)が挙げられる。
Figure 2012153794
また、上記チオール化合物の好適なものの更に他の例として、上記Aの環構造がベンゼン環であり、R1およびR2が水素原子であり、nが1、mが2である、ベンゼン環に2つのチオール基が炭素原子を介して結合した下記式(6)の1,3−ベンゼンジメタンチオール(通称m-キシレニルジチオール(以下「MXDT」ともいう)が挙げられる。
Figure 2012153794
上記チオール化合物は、一般的な脂環式チオールの合成方法によって製造することができる。
例えば、J.Org.Chem.1969,34,3112などに記載されている、シクロへキセンなどオレフィン化合物への硫化水素による付加反応、あるいは、J.Amer.Chem.Soc.1946,68,2103などに記載されている、イソチオロニウム塩を経由する反応、あるいは、米国特許第3632654号公報や特開2005−35968公報に記載されている、ジシクロペンタジエンにチオ酢酸を反応させたビス(チオアセトキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンを中間体とし、それをアルカリ加水分解する方法などによって製造することができる。
なお、上記製造に用いるシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン以外に使用される原料としては、異性体を含むシクロプロペン、メチルシクロプロペン、シクロプロペンカルボン酸、シクロブテン、メチルシクロブテン、メチルメチレンシクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘプテン、メチルシクロヘプテン、エチルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘキサジエン、メチルシクロペンタジエン、n−ブチルシクロペンタジエン、n−プロピルシクロペンタジエン、ブチルメチルシクロペンタジエン、ジビニルシクロヘキサン、トリビニルシクロヘキサン、などが挙げられる。
また、芳香族チオール化合物の場合は、異性体を含むジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジアリルベンゼン、トリアリルベンゼンなどが挙げられる。
上記チオール化合物の製造に用いられるイソシアヌル酸アリルエステルとしては、異性体を含むイソシアヌル酸(N−プロピル)ジアリルエステル、イソシアヌル酸(N−エチル)ジアリルエステル、イソシアヌル酸(N−エチル)アリルビニルエステル、イソシアヌル酸(トリ)ホモアリルエステル、イソシアヌル酸トリアクリロイルエステル、イソシアヌル酸モノビニルエステル、イソシアヌル酸ジビニルエステル、イソシアヌル酸モノメチルモノビニルエステル、イソシアヌル酸ジメチルモノビニルエステル、イソシアヌル酸モノアリルエステル、イソシアヌル酸ジアリルエステル、イソシアヌル酸モノメチルモノアリルエステル等が挙げられる。
また、チオール酸としては、チオール蟻酸、チオール酢酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含まれる上記チオール化合物の好適な例としては、分子中のベンゼン環、シクロヘキサン環、ジシクロペンタジエン環、イソシアヌレート環のいずれかの構造とチオール基とが直接結合、または、1つ以上の炭素原子を介して結合しているものが好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれるチオール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのチオール化合物と、酸無水物などの他の化合物を併用することも可能である。
本発明の樹脂組成物に含まれる、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、または、エポキシ基のいずれかを有する化合物として、公知の化合物を特に制限なく用いることができる。
本発明の樹脂組成物に含まれるビニル基を有する化合物としては、例えば、ビニルシラン、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
また、ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ペンタエリスリトール型テトラビニルエーテルなどが挙げられる。
アクリレート基を有する化合物としては、例えば、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート 、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレートなどが挙げられる。
メタクリレート基を有する化合物としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート 、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、ノニルフェノキシエチルメタクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコールメタクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートなどが挙げられる。
アリルエーテル基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテルやペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどが挙げられる。
エポキシ基を有する化合物は、エピクロルヒドリンとビスフェノール類などの多価フェノール類や多価アルコールとの縮合によって得られるもので、例えばビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、ノボラック型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、テトラフェニロールエタン型などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
上述のビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、または、エポキシ基のいずれかを有する化合物(ビニル基等を有する化合物)は、単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
上記チオール化合物と上記ビニル基等を有する化合物との配合割合は、ビニル基等を有する化合物が、例えば、エポキシ基を有する化合物である場合には、エポキシ基を有する化合物とチオール化合物との官能基数が同程度になるように配合する。好ましくはエポキシ基100に対してSH基が70〜120であり、より好ましくはエポキシ基100に対しSH基が80〜110である。酸無水物などの硬化剤を併用する場合は硬化剤が消費するエポキシ基を差し引き、残ったエポキシ基100に対して好ましくはSH基が70〜120であり、より好ましくはSH基が80〜110である。
また、ビニル基等を有する化合物が、例えば、ビニル基を有する化合物である場合には、ビニル基を有する化合物とチオール化合物との官能基数が同程度になるように配合する。好ましくはビニル基100に対してSH基が70〜120であり、より好ましくはビニル基100に対してSH基が80〜110である。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて他の添加剤、例えば、硬化促進剤、カップリング剤、着色剤、離型剤、難燃剤等を配合することができる。
次に、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜9、比較例1,2)
下記表1に示す各成分を、同表に示す割合(質量部)で計量・配合し、超音波洗浄装置で5分間分散処理して樹脂組成物を得た。
Figure 2012153794
表1に示すエポキシ化合物として、ダイセル化学工業株式会社製の3、4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートである「セロキサイド2021P(製品名)」 (エポキシ等量130(g/eq))を用い、酸無水物として、新日本理化株式会社製のメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHHPA)である「リカシッドMH-700(製品名)」を用いた。また、従来例のチオール化合物として、SC有機化学株式会社製のペンタエリスリトール-テトラキス-3-メルカプトプロピオネートである製品名PEMP(SH価25.4%)を用いた。
また、表1に示す各ポリチオール化合物(DPT、TTIC、TTCH、DMCH、MXDT)を、次のようにしてそれぞれ合成した。なお、合成した各化合物の同定は赤外分光光度測定器(島津製作所FT−4200)によるSH基伸縮吸収波長(2550〜2600cm-1)の存在とSH価より算出した硫黄濃度を理論値と比較することで行った。
[DPTの合成]
DPTを、例えば、次のようにして合成した。
すなわち、窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ジシクロペンタジエン(和光純薬試薬)13.2g(0.1mol)と過酸化ベンゾイル(和光純薬試薬)0.23g(1.0mmol)を仕込み、撹拌しながら内温を16℃とした。そこに、内温を30℃以下に保ちながら、チオ酢酸(和光純薬試薬)18.3g(0.24mol)を1時間かけて滴下し、40℃付近で1時間撹拌を継続した。反応終了後、過剰のチオ酢酸を蒸留にて留去し、得られた濃縮液に水酸化ナトリウム(和光純薬試薬)16.8g(0.4mol)と水16.8g及びエチレングリコール(和光純薬試薬)16.9gを加え、80℃で12時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、トルエン(和光純薬試薬)を添加し、塩酸水を反応液がpH1になるまで加えた後、分液抽出と水洗を行い、淡黄色の溶液を得た。
次いで、反応処理液を濃縮後、減圧蒸留(塔頂温度87〜92℃/減圧度0.1kPa)し、淡黄色の透明な液体15.0gを得た。なお、後述のようにして算出したDPTのSH価は、34.5%であった。
[TTICの合成]
TTICを、例えば、次のようにして合成した。
すなわち、窒素雰囲気下、100mlの反応器に、トリアリルイソシアヌネレート(日本化成製タイク)24.9g(0.1mol)と過酸化ベンゾイル(和光純薬試薬)0.23g(1.0mmol)を仕込み、撹拌しながら内温を16℃とした。そこに、内温を30℃以下に保ちながら、チオ酢酸(和光純薬試薬)27.4g(0.36mol)を1時間かけて滴下し、40℃付近で1時間撹拌を継続した。反応終了後、過剰のチオ酢酸を蒸留にて留去し、得られた濃縮液に水酸化ナトリウム(和光純薬試薬)25.2g(0.6mol)と水25.2g及びエチレングリコール(和光純薬試薬)25.2gを加え、80℃で12時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、トルエン(和光純薬試薬)を添加し、塩酸水を反応液がpH1になるまで加えた後、分液抽出と水洗を行い、淡黄色の溶液を得た。
次いで、反応処理液を濃縮し、淡黄色の透明な液体31.6gを得た。なお、TTICのSH価は、27.5%であった。
[TTCHの合成]
TTCHを、例えば、次のようにして合成した。
すなわち、窒素雰囲気下、100mlの反応器に、トリビニルシクロヘキサン(東京化成試薬)16.2g(0.1mol)と過酸化ベンゾイル(和光純薬試薬)0.23g(1.0mmol)を仕込み、撹拌しながら内温を16℃とした。そこに、内温を30℃以下に保ちながら、チオ酢酸(和光純薬試薬)27.4g(0.36mol)を1時間かけて滴下し、40℃付近で1時間撹拌を継続した。反応終了後、過剰のチオ酢酸を蒸留にて留去し、得られた濃縮液に水酸化ナトリウム(和光純薬試薬)25.2g(0.6mol)と水25.2g及びエチレングリコール(和光純薬試薬)25.2gを加え、80℃で12時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、トルエン(和光純薬試薬)を添加し、塩酸水を反応液がpH1になるまで加えた後、分液抽出と水洗を行い、淡黄色の溶液を得た。
次いで、反応処理液を濃縮し、淡黄色の透明な液体23.8gを得た。なお、 TTCHのSH価は、35.8%であった。
[DMCHの合成]
DMCHを、J.Chem.Soc.1951,2123に記載されている次の方法で合成した。
すなわち、窒素雰囲気下、100mlの反応器に、シクロヘキサンジビニル(和光純薬試薬)13.6g(0.1mol)と過酸化ベンゾイル(和光純薬試薬)0.23g(1.0mmol)を仕込み、撹拌しながら内温を16℃とした。そこに、内温を30℃以下に保ちながら、チオ酢酸(和光純薬試薬)18.3g(0.24mol)を1時間かけて滴下し、40℃付近で1時間撹拌を継続した。反応終了後、過剰のチオ酢酸を蒸留にて留去し、得られた濃縮液に水酸化ナトリウム(和光純薬試薬)16.8g(0.4mol)と水16.8g及びエチレングリコール(和光純薬試薬)16.9gを加え、80℃で12時間加熱撹拌を継続した。反応終了後、トルエン(和光純薬試薬)を添加し、塩酸水を反応液がpH1になるまで加えた後、分液抽出と水洗を行い、淡黄色の溶液を得た。
次いで、反応処理液を濃縮し、淡黄色の透明な液体15.1gを得た。なお、DMCHのSH価は、36.0%であった。
[MXDTの合成]
MXDTを、例えば、次のようにして製造した。
すなわち、窒素雰囲気下、100mlの反応器に、ジビニルベンゼン(和光純薬試薬)13.0g(0.1mol)と過酸化ベンゾイル(和光純薬試薬)0.23g(1.0mmol)を仕込み、撹拌しながら内温を16℃とした。そこに、内温を30℃以下に保ちながら、チオ酢酸(和光純薬試薬)18.3g(0.24mol)を1時間かけて滴下し、40℃付近で1時間撹拌を継続した。反応終了後、過剰のチオ酢酸を蒸留にて留去し、得られた濃縮液に水酸化ナトリウム(和光純薬試薬)16.8g(0.4mol)と水16.8g及びエチレングリコール(和光純薬試薬)16.9gを加え、80℃で12時間加熱撹拌を継続した。反応終了後エタノールで再結晶を行い白色の固体13.0gを得た。なお、MXDTのSH価は、38.8%であった。
上記5種類のポリチオール化合物(DPT、TTIC、TTCH、DMCH、MXDT)の物性値を、下記表2に示す。なお、表2には、SH価より算出した硫黄濃度とその理論値とを併せて示している。
Figure 2012153794
上記5種類のポリチオール化合物は、MXDT以外は全て無色透明液体である。表2における硫黄濃度は、分子量に対する硫黄原子量濃度(%)である。
なお、各成分の配合割合が示されている上記表1には、次のようにして求めたエポキシ基とSH基との比率(エポキシ基/SH基)を、併せて示している。
エポキシ基はエポキシ当量から、SH基はSH価からそれぞれ算出した。
エポキシ当量(エポキシ基1molが含まれるサンプル質量)は、JISK−7236に準じ、試料をメチルエチルケトンに溶解後、氷酢酸と臭化セチルトリメチルアンモニウムを加え1mol/L過塩素酸/酢酸溶液(N/10)で滴定することによって求めた。なお、酸無水物を併用している実施例6〜9,比較例2では、酸無水物で消費された分を除いた残存分としている。
SH価(SH基の重量濃度)はヨウ素酸化滴定によりSH質量%で算出した。ヨウ素酸化滴定は平沼産業株式会社製自動滴定装置COM−2500、指示電極PT−301、比較電極RE−201を用い、反応生成物をメタノール・クロロホルム(1:1)溶液に溶解させ、0.05mol/Lヨウ素溶液を滴定液として電位差滴定により変曲点を終点としてSH質量%を求めた。
表1に示す各成分を配合し、超音波洗浄装置で5分間分散処理した樹脂組成物を、φ19mm×1mmの型枠に流し込み、130℃×2hr、更に、170℃×2hrの条件でベイクして樹脂硬化物の成型体を得た。
得られた樹脂硬化物の耐水性を次のようにして評価した。
すなわち、上記成型体を4枚ずつフラスコに入れ、十分に浸る水を添加して1atm、還流下24時間の耐水試験に供した。適宜室温まで放冷して取り出し、表面の水分を拭いて重量測定を行い、吸水率を算出した。
また、耐水性については、外観についても、変化なし(◎)、表面にあれがみられる(○)、一部溶解している(△)、原型をとどめていないほど溶解している(×)の4段階で評価を行った。
更に、屈折率を評価するために、上記樹脂組成物を鉛ガラスに最終の厚さが1mmになるように塗布した。塗布物を130℃×2hr、更に、170℃×2hrの条件で加熱することで屈折率測定用サンプルを得た。屈折率の測定はアッベ式屈折率計(アタゴ社製1T)を使用して25℃で測定を行った。
耐水性(外観および吸水率)および屈折率の評価結果を、上記表1に示す。
表1に示すように、酸無水物を配合することなく、従来例のチオール化合物であるPEMPを配合した比較例1では、外観について原型をとどめていないほど溶解し(×)、吸水率の測定が不可能であった。これに対して、酸無水物を配合することなく、DPT、TTIC、TTCH、DMCH、MXDTをそれぞれ配合した実施例1〜5は、外観について、変化なし(◎)あるいは表面にあれがみられる(○)程度であり、吸水率は、5.9%〜13%であり、耐水性が大幅に向上していることが分る。
また、酸無水物及び従来例のチオール化合物であるPEMPを配合した比較例2では、外観について、一部溶解している(△)のに対して、酸無水物及び、DPT、TTIC、TTCH、DMCH、MXDTをそれぞれ配合した実施例6〜9は、外観について、変化なし(◎)あるいは表面にあれがみられる(○)程度である。吸水率についても、比較例2が16%であるのに対して、実施例6〜9は、3.7%〜5.6%であり、耐水性が大幅に向上していることが分る。
また、屈折率についても、実施例の殆どが、比較例よりも向上していることが分る。
(実施例10、比較例3,4)
次に、樹脂成形体として、次のような被覆体を作成し、耐水性及び鉛筆硬度を評価した。
すなわち、下記表3に示す各成分を、同表に示す割合(質量部)で計量・配合し、超音波洗浄装置で5分間分散処理して樹脂組成物を得た。
Figure 2012153794
表3のTMVSとして、信越化工業株式会社製のトリメトキシビニルシランを用いた。
従来例のチオール化合物として、SC有機化学工業株式会社製のテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)である製品名EGMP−4(SH価17.0%)を用いた。
メチルシリケートとして、扶桑化学工業株式会社製のテトラメチルシリケート縮合物である「MS−51」を用いた。
光酸発生剤として、BASF社製の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンである「イルガキュア184(製品名)」を用いた。
表3のチオール化合物であるMXDTは、上述の合成方法によって製造した。
樹脂成形体としての被覆体を、厚さ125μmのPETフィルムである東洋紡績株式会社製の「A-4100」に、上記表3の樹脂組成物を最終の厚みが4〜5μmになるようにバーコーターで塗布し、更に、30℃で5分間乾燥後、2000mJ/cm2の条件でUV照射を行った後、120℃で20分間加熱処理を行なうことによって得た。
JIS−K―5600−5−4に準じて被覆体の鉛筆硬度測定を行った。
また、作成した被覆体を、80℃×90%の恒温高湿器に500時間保持した後、保持前後の表面の光沢度変化率で判定した。光沢度は日本電色工業株会社製のヘイズメーター(型式GM−3D)で20度鏡面光度(JISK5600−4−7)を測定した。
耐水性及び鉛筆硬度の測定結果を、上記表3に示す。
表3に示すように、従来例のチオール化合物であるPEMP、EGMP−4をそれぞれ配合した比較例3,4では、耐水性(光沢保持率)が、90%、70%であるのに対して、MXDTを配合した実施例10では、95%であり、耐水性が向上していることが分る。また、鉛筆硬度についても従来例と同等以上であることが分る。
以上のように各実施例の樹脂組成物に含まれるチオール化合物は、従来例のチオール化合物のように、エステル基またはエーテル基を有しておらず、しかも、剛直で疎水な環構造を有しているので、この樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物は、エステル基またはエーテル基に起因する加水分解の可能性がなく、しかも、密度および疎水性が高い分子ネットワーク中に水が進入しにくくなるので、耐水性が一層向上する。これによって、耐水性が要求される用途にも広く使用することが可能となる。
上述の実施例では、樹脂成形体として被覆体に適用して説明したけれども、本発明の樹脂組成物は、被覆体、すなわち、コーティング材に限らず、封止材、接着剤、電気絶縁材、保護膜、レジスト剤などの他の用途にも適用できるものである。

Claims (6)

  1. ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基、または、エポキシ基のいずれかを有する化合物と、チオール基が直接または1つ以上の炭素原子を介して結合した環状化合物とを含む樹脂組成物。
  2. 前記環状化合物が下記式(1)で表されるチオール化合物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 2012153794
    [式中、Aは環構造であって、[]内の基以外の置換基を有していてもよく、R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、n個のR1およびR2は同一であっても異なっていてもよい。nは0〜4の整数を、mは2〜6の整数をそれぞれ示し、[]内の基は、同一であってもよく、異なっていてもよい]
  3. 前記Aが、ベンゼン環、シクロヘキサン環、ジシクロペンタジエン環、イソシアヌレート環のいずれかの環構造である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記チオール化合物が、下記式(2)、(3)、(4)、(5)および(6)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物である、請求項3に記載の樹脂組成物。
    Figure 2012153794
  5. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射及び/又は加熱して得られる樹脂硬化物。
  6. 前記請求項5に記載の樹脂硬化物で被覆されている樹脂成形体。
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