JP2012156802A - インシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スパイク方式と、スパイク方式の弱点である低周波における振動遮断効果の不足を補うフローティング方式を組み合わせることにより、可聴域以上の全周波域領域で、より効果的に振動遮断作用が得られる点に注目したものである。オーディオ機器と設置面との間の相互干渉による振動の影響を回避できると共に、奥域感、分解能、透明感などの音響特性を飛躍的に向上できる。フローティング方式に用いるばねを高剛性化できるため、低域の力感、ブーミー現象、オーディオ機器の支持安定性などに対して大幅な改善が図れる。
【選択図】図1
Description
このタイプのインシュレータは、円錐形状のスパイクとスパイク受けから構成されるもので、スピーカー、あるいはオーディオボードの設置に多用されている。たとえば、複数個のスパイクを直列に配置した構造が特許第3848987号(特許文献1)に開示されている。
インシュレータのもうひとつのタイプは硬質材を用いるものである。近年、前述した緩衝体に代わり、オーディオ機器が発生する振動を効果的に吸収し、外部へ逃すことを目的とした硬質材、たとえば、木材、樹脂、金属、セラミック等を用いたもの、及びこれらの素材を多層構造にした複合タイプが考案され商品化されている。この複合タイプについては、特開平10-246284号(特許文献2)に開示されている。硬質インシュレータの場合は、良質な音響素材のキャラクターを利用した再生音のチューニング手段として用いられる。たとえば、
(a)金属系材料
真鍮:キラリとした明るいブリリアントな響き
銅:重厚感があってパワフル
銀:芯のとおりが良く、音の立ち上がり・立ち下がりが素早い
金:ふくよかさで艶やか
(b)木材系材料
アフリカ黒檀:固いが刺激的ではない音(楽器に使用される)
縞黒檀:アフリカ黒檀より柔らかい
桜:柔らかく芳純
このタイプのインシュレータは、振動の遮断(シャットアウト)を目的としたもので、剛性の小さい緩衝体が用いられる。緩衝体として、ゴム材を用いたもの、スプリングコイルを用いるもの、空気を封じ込めたエアーフローティング・ボード、磁力の反発力を利用したものなどがある。
スパイク構造によるインシュレータは、「オーディオ機器→円柱部→円錐部→受け皿→床面」の方向には振動が伝達され易く、その逆方向には伝達されにくい効果を利用したものである。しかし、低周波数(たとえば、数十Hz以下)の振動を減衰させることはできない。円錐形状のスパイクの場合、及びこのスパイクを直列に多段に組み合わせた場合も同様である。特許文献1には、スパイクの円筒面とこの円筒を収納するスパイク受けの間の狭い隙間に、粘性流体であるシリコンオイルを封入する方法が開示されている。しかし、この粘性流体による振動減衰作用は周波数に比例するため、低い周波数では振動減衰効果を得るのは困難である。
硬質材料インシュレータの場合は、良質な音響素材の選択により、オーディオ機器が発生した高周波振動を効果的に吸収し、外部へ逃すことはできる。しかし、低周波数の振動を減衰させることはできない点はスパイク方式と同様である。スピーカーが設置される民間住宅の床面は、通常20〜100Hzを固有値とする分布振動モードを持っている。前述したように、スピーカーの振動が床面に伝達されると、床面を含む部屋全体の持つ複雑な固有振動モードを励起させる。この低周波の床面振動とスピーカー本体の振動の相互干渉がもたらす音質の劣化は、硬質材料インシュレータでは、スパイク方式同様に基本的に回避できない。
上述したゴム製インシュレータの場合は、ゴムの粘弾性による過剰な制振作用により、音に生気を与える高周波数成分まで減衰してしまうため、音の輪郭が曖昧となり、音質に混濁感が生じるという欠点があった。
スプリング方式の場合、ばね剛性と搭載物の質量できまる固有振動、及び、複数の高調波振動が広い周波数領域に渡って発生するため、この振動が音に与える影響をどう回避するかが大きな課題となる。
(1)スパイク方式によるインシュレータ
(2)フローティング方式インシュレータ
(i)スパイク方式によるインシュレータの長所
(ii)フローティング方式インシュレータの長所
図1は、本発明の実施形態1に係るオーディオ用インシュレータを示し、図1aは上面断面図(図1bのA-A断面図)、図1bは正面断面図である。本インシュレータの構造は、大きく分けて、スパイク構造部1とスプリング構造部2から構成される。3は上部支持部(スパイク側荷重支持部)、4はスパイク円柱部、5はスパイク円錐部である。部材3,4,5により、スパイク構造部1を構成している。6は部材収納筒部(固定部)、7はこの部材収納筒部の底面に圧入して固定された下部ベース、8は下部ベース7の中央部に突設して形成された筒部、9は筒部8の外周部に装着されたサージング防止部材(振動発生防止手段)である。サージング防止部材9は、円筒状の筒部9aと、半径方向へ延びて突設された複数の粘弾性片9bで構成される。10は下部ベース8の上部に配置された円盤形状の中間支持部材(荷重支持部)である。この中間支持部材10は、部材収納筒部6の内部で軸方向移動可能に収納されている。中間支持部材10と下部ベース8に挟まれるようにスプリングコイル11(弾性部材)が設けられている。ちなみに、本発明における弾性部材はスプリングコイルに限定されず、フローティング方式インシュレータに用いられる磁気式、エアー式などが適用できる。スプリングコイル11の下端外周部は前記下部ベース7底面に形成された位置決め部12に、スプリングコイル11の上端外周部は中間支持部10底面に形成された位置決め部13に嵌まり込むようになっている。そのため、スプリングコイル11を装着した状態で、両部材7,10の軸芯が一致した状態を保つことができる。14は中間支持部10の上面中央部に形成されたスパイク先端受け部である。スパイク先端受け部14は、スパイク先端を収納するために窪みが断面円錐形状で形成されている。15は部材収納筒部6の上部に形成された軸受部である。この軸受部15に狭い隙間16を介在して、スパイク円柱部4が軸方向に摺動自在に収納されている。本実施例では、スパイク構造部1はスプリング構造部2に対して、着脱可能に構成されている。
(1)広い周波数範囲で振動遮断効果が得られる。
上記(1)の理由は、本実施例のインシュレータは、下記(i)(ii)の長所を併せ持つからである。
(i)スパイク方式によるインシュレータの長所
(ii)フローティング方式インシュレータの長所
本実施例のインシュレータは、高剛性のスプリングコイルを用いることができる。図3のグラフにおいて、共振点より高い周波数において、周波数に対する振動遮断効果の勾配はいずれのグラフも-40dB/decである。ちなみに、decはBode線図の横軸上で周波数が10倍になる間隔である。ばね剛性の大きさの違いによる振動遮断効果の差は、高い周波数でも変わらない。したがって、スプリングコイルのばね剛性が低い程、高周波数域でもより大きな振動遮断効果が得られるが、低剛性のフローティング方式インシュレータは、以下示すような不具合点を有する。
(i)スパイク方式によるインシュレータの長所
(ii)フローティング方式インシュレータの長所
上記(i)(ii)に加えて、
(iii)硬質材料によるインシュレータの長所
を併せ持つことができる。すなわち、良質な音響素材が持つキャラクターを利用した再生音のチューニングを図ることができる。その原理について以下述べる。本インシュレータの構造は、前述した実施例同様に、大きく分けて、スパイク構造部151とスプリング構造部152から構成される。153は上部支持部(スパイク側荷重支持部)、154はスパイク円柱部、155はスパイク円錐部、156は厚い肉厚の金属で形成された上部スリ−ブ(筒型形状部材)である。部材153〜156により、スパイク構造部151を構成している。157はオーディオ機器(想像線)、158は部材収納筒部、159は下部ベース、160は前記下部ベースに突設して形成された筒部、161はサージング防止部材(振動発生防止手段)、162は円盤形状の中間支持部材(スプリング側荷重支持部)、163はスプリングコイル(弾性部材)、164、165は前記スプリングコイルの位置決め部、166はスパイク先端受け部、167は軸受部である。本実施例では、スパイク構造部151はスプリング構造部152に対して、着脱可能に構成されている。
(1)スパイク内蔵のフローティグ方式
以上、本発明の実施例ではフローティグ方式インシュレータに用いる弾性部材にすべてスプリングコイルを用いた場合について説明した。弾性部材として、空気を封じ込めたエアーフローティング方式、磁力の反発力を利用した磁気浮上方式、ゴム材を用いたもの、発砲体である高弾性ポリスチレンフォーム、スプリングコイル以外の機械ばね、などが適用できる。
以上の実施例では、スパイクのオス側(凸部)をスパイク構造側(オーディオ機器に近い側)に設けて、スパイク先端受け部(凹部)を弾性部材側(床面に近い側)に設けた場合について示した。例外的ではあるが、オーディオ機器で用いられるスパイク方式は、上記配置が逆の場合もある。以下、スパイクの凹凸の配置を逆にした場合について説明する。
図14は、スパイク構造部をオーディオ機器側に設置した場合を示す。501はスパイク構造部、502はフローティング構造部である。503はスパイク支持部、504はスパイク円柱部、505はスパイク円錐部、部材503〜504により、スパイク構造部501を構成している。506はオーディオ機器(想像線)、507は部材収納筒部、508は下部ベース、509は円盤形状のフローティング側荷重支持部、510は上部でスパイク受け皿を設置できるディスク部、511はフローティング側荷重支持部509に形成された凹部である。512はディスク部510の上部に形成された断面凹形状のスパイク受け皿収納部、513はスパイク受け皿、514はスパイク先端受け部である。515は軸受部、516はエアー、磁石などで構成されるフローティング方式インシュレータの要素部(想像線)である。ちなみに、本発明の前述した実施例で示したスパイク受け皿収納部(たとえば、図5のディスク115)は、スパイク受け皿を設置する代わりに直接オーディオ機器の底部(たとえば円柱形状の足)を受けてもよく、あるいは、他方式の硬質材料インシュレータなどを介在してオーディオ機器を支持してもよい。
さて、前述した実施例で説明した「音響管」(Sound tube)について、実施形態4(図6)を用いて、もう少し詳しく説明する。実施例を構成する弾性部材としてスプリングコイルを適用した理由は、太い線径のスプリングコイルはマクロに見れば、外径と巻数の選択により剛性の調節が容易な集中ばね、ミクロの現象で捉えれば、高周波の音波を伝搬する音響管(sound tube)の役割ができるという点に着目したものである。Nをスプリングコイルの有効巻数、Dをコイルの平均径、dをコイルの線径、Gを横弾性係数とすれば、ばね定数Kは
9・・・振動発生防止手段(サージング防止部材)
10・・・荷重支持部(中間支持部材)
11・・・弾性部材(スプリングコイル)
14・・・スパイク先端受け部
Claims (18)
- 弾性部材の固定部と、前記弾性部材に設けられた荷重支持部と、前記弾性部材の高次の共振現象を抑制する振動発生防止手段と、前記荷重支持部に形成されたスパイク先端受け部、あるいは、前記荷重支持部に装着されてスパイク先端を直接もしくは受け皿を搭載して支持できるディスク部から構成されることを特徴とするインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記弾性部材は機械ばねであることを特徴とする請求項1記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 搭載される搭載物の質量と前記弾性部材のばね剛性で決まる除振特性により20Hz以下での振動遮断作用を得るように前記弾性部材のばね剛性を設定したことを特徴とする請求項1記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 機械ばねにスプリングコイルを用いて、このスプリングコイルの概略線径はφ3〜φ6mmの範囲であることを特徴とする請求項2記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記荷重支持部から前記弾性部材に至る振動伝播経路は107Ns/m3以上の固有音響インピーダンスを有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記ディスク部は、このディスク部に設置されるスパイク受け皿の横滑りが防止できるように断面が概略凹形状であることを特徴とする請求項1記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- スパイク円錐部と、スパイク円柱部と、オーディオ機器の荷重を支持するスパイク側荷重支持部によりスパイク構造部を構成し、前記スパイク先端受け部で前記スパイク円錐部を支持すると共に、前記固定部に形成された筒部に狭い隙間を介して軸方向に摺動可能に前記スパイク円柱部が収納されていることを特徴とする請求項1記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- オーディオ機器側に設置されたスパイク円錐部と、スパイク円柱部と、スパイク側荷重支持部より構成される部分をスパイク構造部としたとき、このスパイク構造部と請求項1で記載されるインシュレータを組み合わせて前記オーディオ機器を支持したことを特徴とするインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記スパイク側荷重支持部から前記弾性部材内部に至る振動伝播経路ΦZから分岐した振動伝播経路ΦRを有し、かつこの振動伝播経路ΦRは概略筒型形状部材で構成されることを特徴とする請求項7、あるいは請求項8記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記概略筒型形状部材は固有音響インピーダンスが107Ns/m3以上の材料で構成されることを特徴とする請求項9記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記概略筒型形状部材は銅合金を用いたことを特徴とする請求項10記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記銅合金は錫の含有率が1%〜25%の範囲であることを特徴とする請求項11記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記固定部の下部中央部に突設して形成された筒部と、この筒部に軸方向に設けられた貫通穴と、この貫通穴を通して前記荷重支持部に装着された締結部材と、この締結部材により前記固定部及び前記荷重支持部の相対的な軸方向距離の上限値を規制したことを特徴とする請求項1記載のオーディオ用インシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- フローティング方式インシュレータと直列に配置されたスパイク方式インシュレータでオーディオ機器を支持することを特徴とするインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- スパイク方式インシュレータにおいて、オーディオ機器の荷重を支持する荷重支持部からスパイク円錐部に至る振動伝播経路ΦZから分岐した振動伝播経路ΦRを有し、かつこの振動伝播経路ΦRは前記スパイク円錐部、もしくは、このスパイク円錐部の上部を収納する概略筒型形状部材で構成されることを特徴とするインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 弾性部材の固定部と、前記弾性部材に設けられた第1荷重支持部と、前記弾性部材の高次の共振現象を抑制する振動発生防止手段と、前記第1荷重支持部に装着された円柱部と、この円柱部に設けられたオーディオ機器の荷重を支持する第2荷重支持部と、前記固定部に形成された筒部に狭い隙間を介して軸方向に摺動可能に前記円柱部が収納されていることを特徴とするインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 前記スパイク側荷重支持部に形成された第2スパイク先端受け部でオーディオ機器側に設置されたスパイク円錐部の先端を支持することにより、ダブルスパイク支持構造としたことを特徴とする請求項7記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
- 狭い隙間をΔとしたとき、Δ<0.5mmに設定したことを特徴とする請求項7、あるいは、請求項16記載のインシュレータ及びインシュレータによるオーディオ機器の支持方法。
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