JP2012159270A - 制御装置及びヒートポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの始動状態において、定常状態とは異なる始動時特有の状況への対処を適切に行なえるようにする。
【解決手段】電圧検出部及び電流検出部は、インバータ回路の過電圧及び室外ファンモータの過電流のうちの少なくとも一方を検知する。電圧検出部及び電流検出部での異常検出(S10a,S20a)及びそれに応じた空気調和装置10の異常時制御(S10b,S20b)について、制御部は、室外ファンモータの定常状態では第1シーケンス(S10)に沿って行い、定常状態の前の始動状態では第1シーケンスとは異なる第2シーケンス(S20)に沿って行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、モータを含む駆動装置の制御装置及び、ファンモータを含むヒートポンプ装置に関する。
ヒートポンプ装置においては、例えばファンモータなどに、高効率かつ長寿命で電気的ノイズや機械的ノイズの小さいブラシレス直流モータ(以下ブラシレスDCモータという)の需要が増えている。このようなブラシレスDCモータなどの多相モータは、エネルギー効率の高いインバータから電力が供給されて駆動されるのが一般的である。
ヒートポンプ装置においては、このようなインバータからファンモータに電力が供給されていなくても、ヒートポンプ装置が設置されている環境で生じている外気流によってファンが回転し、そのファンの回転に従ってファンモータが回転されることがある。
室外機の周囲で生じている外気流などの外力によってブラシレスDCモータであるファンモータが回転すると、ファンモータが発電機として機能し、インバータにファンモータから電力が供給されることになる。このように外力によってファンモータから電力が供給された状態からファンモータを起動しようとすると、インバータに過電圧を生じたり、ファンモータに過電流を生じたり、ファンモータに脱調を生じたりする場合がある。このような始動時に特有の現象を異常な状況として、定常状態におけるインバータの過電圧やファンモータの過電流や脱調と同じような取り扱いをすると、ヒートポンプ装置の始動が遅れたり、ヒートポンプ装置の過剰な保護をしてしまったりしてユーザに不便をしいる場面が生じることがある。そこで、例えば特許文献1(特開2003−148788号公報)に記載されている空気調和機の室外機では、モータの端子電圧に接続した位置検出手段からファンの回転方向、回転数を検出して、熱交換器通過風量を推定し、必要な風量を得られる場合にはファンモータを運転せずに室外機の運転を開始することも行なわれている。
しかしながら、特許文献1などに記載されている室外機においては、モータ回転数の検出を専用に行なうためにモータの端子電圧を検出する回路を設けたり、その検出回路の検出結果を制御部に入力するための専用の検出端子を制御部に設けたりすることが必要になる。外気流による始動前のファンモータの回転を考慮して室外機を制御するために、これらの追加回路を設けると、室外機の制御装置が高価なものとなってしまう。
本発明の課題は、モータ駆動動作の定常状態とは異なる状態であるモータの始動状態において、高価な追加回路を設けることなく、定常状態とは異なる始動時特有の状況への対処を適切に行なえるようにすることである。
本発明の第1観点に係る制御装置は、インバータによって駆動電力が供給されるモータを含む駆動装置の制御装置であって、インバータ及びモータのうちの少なくとも一方の異常を検知して異常検出を行なう検出部と、検知部での異常検出及びそれに応じた駆動装置の異常時制御について、モータ駆動動作の定常状態では第1シーケンスに沿って行い、定常状態の前の始動状態では第1シーケンスとは異なる第2シーケンスに沿って行う制御部とを備えるものである。
第1観点に係る制御装置によれば、モータの定常状態では第1シーケンスに沿って異常検出およびそれに応じた駆動装置の異常時制御が行われる一方、モータの始動状態では第2シーケンスに沿って異常検出およびそれに応じた駆動装置の異常時制御が行われる。このように、定常状態と始動状態ではそれぞれ異なる第1シーケンスと第2シーケンスとに沿って検出と制御とが行われるため、定常状態と始動状態とで異常検出の判断基準を異ならせたり、異常時制御の内容を異ならせたりすることができる。
なお、ここで、駆動装置の異常時制御とは、モータの異常時制御を含んでもよいが、駆動装置の内部のモータ以外の装置についての異常時制御が含まれるものである。
本発明の第2観点に係る制御装置は、第1観点に係る制御装置において、制御部は、検出部での異常検出によって第1シーケンスでは異常時制御を開始する場合でも、第2シーケンスでは異常時制御を開始しない。
第2観点に係る制御装置によれば、異常検出について第1シーケンスと第2シーケンスが異なっており、第1シーケンスでは異常時制御を開始する場合でも第2シーケンスでは異常時制御を開始しないから、第1シーケンスで異常時制御を行う条件を満たしていても第2シーケンスでは異常時制御を行わないといったことが可能になる。
本発明の第3観点に係る制御装置は、第1観点又は第2観点の制御装置において、検出部が検知する異常は、インバータの過電圧、モータの過電流及びモータの脱調のうちの少なくとも一つである。
第3観点に係る制御装置によれば、インバータの異常をインバータの過電圧の検知によって行え、モータの異常の検知を、モータの過電流及びモータの脱調のうちの少なくとも一つの検知によって行なえるので、検出部での異常検知が容易に行える。
本発明の第4観点に係る制御装置は、第3観点の制御装置において、制御部は、過電圧を判断する閾値電圧、モータの過電流を判断する閾値電流及び脱調を判断する閾値のうちの少なくとも一つを超えると定常状態では異常時制御を行う場合でも、始動状態では異常時制御を行わない。
第4観点に係る制御装置によれば、定常状態では、過電圧を判断する閾値電圧、モータの過電流を判断する閾値電流及び脱調を判断する閾値のうちの少なくとも一つを超えると異常時制御を行うという第1シーケンスに沿うことになる。ところが、始動状態では、このような閾値電圧、閾値電流及び脱調を判断する閾値のうちの少なくとも一つを超えても異常時制御を行わない第2シーケンスに沿うことになる。
本発明の第5観点に係る制御装置は、第2観点から第4観点のいずれかの制御装置において、制御部は、第1シーケンスにおいて検出部が異常検出を行うための第1検出基準よりも緩和された第2検出基準を第2シーケンスにおいて用いることにより、第1シーケン
スにおいて異常時制御を開始する場合でも第2シーケンスにおいては異常時制御を開始しない。
第5観点に係る制御装置によれば、異常検出の判断に第1シーケンスでは第1検出基準を用いる一方、第2シーケンスでは第2検出基準を用いる簡単な設定によって、第1シーケンスで異常時制御を行う条件を満たしていても第2シーケンスでは異常時制御を行わないといったことが可能になる。
本発明の第6観点に係る制御装置は、第2観点から第5観点のいずれかの制御装置にお
いて、制御部は、第2シーケンスにおいて検出部における異常検出を停止すること又は無効化することにより、第1シーケンスにおいては異常時制御を行う場合でも、第2シーケ
ンスにおいては異常時制御を行わない。
第6観点に係る制御装置によれば、検出部において異常検出がされて第1シーケンスでは異常時制御を行う場合であっても、第2シーケンスでは検出部の異常検出が停止又は無効化されるという簡単な構成によって、第1シーケンスで異常時制御を行う条件を満たしていても第2シーケンスでは異常時制御を行わないといったことが可能になる。
本発明の第7観点に係る制御装置は、第1観点から第6観点のいずれかの制御装置において、制御部は、モータの回転数が所定値を超えていれば、第1シーケンス及び第2シーケンスのいずれにおいても、モータの駆動を停止させる。
第7観点に係る制御装置によれば、検知部での異常検出及びそれに応じた駆動装置の異常時制御においては、第1シーケンスに沿って行なっても第2シーケンスに沿って行ってもモータの回転数が所定値を超えればモータの駆動が停止されるから、第1シーケンスに沿ったものでも第2シーケンスに沿ったものでも外力によってモータが所定値を超えて回転することはない。
本発明の第8観点に係る制御装置は、第1観点から第7観点のいずれかの制御装置において、制御部は、モータのロータ位置センサレス制御を行い、モータが安定したロータ位置センサレス運転に移行した状態を定常状態と判定する。
第8観点に係る制御装置によれば、モータのロータ位置センサレス制御を行うから、ファンモータに外力が加わっている(言い換えれば熱交換の性能が得られる)状態で起動する場合に、安定したロータ位置センサレス運転に移行するまでの始動状態において異常検出が発生する可能性が大きくなるが、定常状態と異なる第2シーケンスを適用することにより、異常を発報せず、ヒートポンプ装置のシステムを停止することがない。
本発明の第9観点に係る制御装置は、第1観点から第8観点のいずれかの制御装置において、制御部は、モータの回転数が指令値に達した場合に定常状態になったと判定する。
第9観点に係る制御装置によれば、モータの回転数が指令値に達した場合を定常状態と判定するので、定常状態の判定を簡単かつ確実に行なうことができると共に、本来の異常を確実に検出することができる。
本発明の第10観点に係るヒートポンプ装置は、ファンと、インバータによって駆動電力が供給され、ファンを駆動するファンモータと、インバータ及びファンモータのうちの少なくとも一方の異常を検知して異常検出を行なう検出部及び、検知部での異常検出及びそれに応じた装置の異常時制御について、ファンモータの定常状態では第1シーケンスに沿って行い、定常状態の前の始動状態では第1シーケンスとは異なる第2シーケンスに沿って行う制御部を有する制御装置とを備えるものである。
第10観点に係るヒートポンプ装置によれば、ファンモータの定常状態では第1シーケンスに沿って異常検出およびそれに応じたヒートポンプ装置の異常時制御が行われる一方、始動状態では第2シーケンスに沿って異常検出およびそれに応じたヒートポンプ装置の異常時制御が行われる。このように定常状態と始動状態とではそれぞれ異なる第1シーケンスと第2シーケンスとに沿って検出と制御とが行われるため、定常状態と始動状態とで異常検出の判断基準を異ならせたり、異常時制御の内容を異ならせたりすることができる。
なお、ここで、装置の異常時制御とは、ファンモータの異常時制御を含んでもよいが、ヒートポンプ装置の内部のファンモータ以外の装置についての異常時制御が含まれるものである。
本発明の第11観点に係るヒートポンプ装置は、第10観点のヒートポンプ装置において、検出部が検知する異常は、インバータの過電圧、ファンモータの過電流及びファンモータの脱調のうちの少なくとも一つである。
第11観点に係るヒートポンプ装置によれば、インバータの異常をインバータの過電圧の検知によって行え、ファンモータの異常の検知をファンモータの過電流及びファンモータの脱調のうちの少なくとも一つの検知によって行なえるので、検出部での異常検知が容易に行える。
本発明の第12観点に係るヒートポンプ装置は、第10観点又は第11観点のヒートポンプ装置において、ファンを通る空気流との間で熱交換を行うために冷媒を循環させる冷媒回路をさらに備え、制御部は、第1シーケンスにおいて冷媒回路の動作について異常時制御を開始する場合でも、第2シーケンスにおいては冷媒回路の動作についての異常時制御を開始しない。
第12観点に係るヒートポンプ装置によれば、始動状態において冷媒回路に必要な空気流の流れがあるなどの場合には、ファンモータの異常検出によって冷媒回路の動作に異常時制御を開始しなくてもよい場合があり、そのような場合には第1シーケンスで行われる異常時制御を第2シーケンスにおいては開始しないようにすることができる。
本発明の第13観点に係るヒートポンプ装置は、第12観点のヒートポンプ装置において、制御部は、第2シーケンスにおいては、第1シーケンスで冷媒回路を監視する第1条件と異なり第1条件よりも厳しい第2条件を用いて冷媒回路の監視を行い、第1条件が満たされていなくても第2条件が満たされたときに冷媒回路で異常が発生していると判断する。
第13観点に係るヒートポンプ装置によれば、第1シーケンスでは冷媒回路の動作に対して異常時制御を適用するような場合であっても第2シーケンスでは冷媒回路の動作について異常時制御が行われない場合があるため、第1シーケンスの第1条件よりも厳しい第2条件で冷媒回路の監視を行なうことにより、第2シーケンスで冷媒回路の動作を止めないときに監視を強化することができる。
本発明の第14観点に係るヒートポンプ装置は、第13観点のヒートポンプ装置において、制御部は、第2条件が満たされて異常が発生していると判断したときに、冷媒回路の動作の異常時制御を行う。
第14観点に係るヒートポンプ装置によれば、第2シーケンスにおける冷媒回路の動作の異常時制御が第2条件を満足するか否かによって行なわれるので、冷媒回路の異常が生じている蓋然性が高いときには第2シーケンスであっても冷媒回路の異常時制御ができる。
本発明の第15観点に係るヒートポンプ装置は、第13観点又は第14観点のヒートポンプ装置において、制御部は、第2条件が満たされて異常が発生していると判断した回数が所定の回数を超えたときに、異常発報を行なう。
第15観点に係るヒートポンプ装置によれば、制御部が行う異常発報によって、第2条件が満たされて異常が発生していると判断された回数が所定回数を超えていることを使用者に知らせることができる。
本発明の第16観点に係るヒートポンプ装置は、第10観点から第15観点のいずれかのヒートポンプ装置において、ファン及びファンモータが室外機に設置されている。
第16観点に係るヒートポンプ装置によれば、外力の影響を受けやすい室外機にファンおよびファンモータが設置されて、ファンおよびファンモータが外気の影響を受け易い状態にある場合に適用することができる。
本発明の第1観点に係る制御装置では、異常検出及びそれに応じた駆動装置の異常時制御について、第1シーケンスと第2シーケンスとを異ならせることによって定常状態と始動状態とで異常検出の判断基準を異ならせたり、異常時制御の内容を異ならせたりすることができ、モータの定常状態とは異なる状態であるモータの始動状態において、高価な追加回路を設けることなく、始動時特有の状況への対処が適切に行なえるようになる。
本発明の第2観点に係る制御装置では、異常検出について第1シーケンスと第2シーケンスとを異ならせるという簡単な設定によって定常状態で異常時制御を行う条件であっても始動状態では異常時制御を行わせないようにして、始動状態では異常時制御を行わせる必要のない始動時特有の状況に対処することができるようになる。
本発明の第3観点に係る制御装置では、検出部での異常検出が容易に行え、構成が簡単になる。
本発明の第4観点に係る制御装置では、異常検出について閾値電圧や閾値電流や脱調を判断する閾値に関して第1シーケンスと第2シーケンスとで異なる取り扱いをする簡単な設定によって、始動状態では異常時制御を行わせる必要のない始動時特有の状況に対処することができるようになる。
本発明の第5観点に係る制御装置では、第1シーケンスの第1検出基準と第2シーケンスの第2検出基準とを設けることによって第1シーケンスと第2シーケンスとで異常時制御を行う場合を異ならせ、始動状態では異常時制御を行わせる必要のない始動時特有の状況に対処することができるようになる。
本発明の第6観点に係る制御装置では、検出部における異常検出を停止又は無効化するかしないかを第1シーケンスと第2シーケンスとで切り替えるという簡単な構成によって、始動状態では異常時制御を行わせる必要のない始動時特有の状況に対処することができるようになる。
本発明の第7観点に係る制御装置では、第1シーケンスでも第2シーケンスでも外力によってモータの回転数が所定値を超えないので、外力によってモータの回転数が所定値を超えることにより発生する悪影響を抑制することができる。
本発明の第8観点に係る制御装置では、安定したロータ位置センサレス運転に移行するまでの始動状態において異常検出が発生する可能性が大きくなるので、第2シーケンスを用いることによりメリットを享受できる場面が多くなる。
本発明の第9観点に係る制御装置では、定常状態の判定を簡単かつ確実に行なうことが
できると共に、本来の異常を確実に検出することができ、制御装置の構成が簡素化される。
本発明の第10観点に係るヒートポンプ装置では、異常検出及びそれに応じたヒートポンプ装置の異常時制御について、第1シーケンスと第2シーケンスとを異ならせることによって定常状態と始動状態とで異常検出の判断基準を異ならせたり、異常時制御の内容を異ならせたりすることができ、ファンモータの定常状態とは異なる状態であるファンモータの始動状態において、高価な追加回路を設けることなく、始動時特有の状況への対処が適切に行なえるようになる。
本発明の第11観点に係るヒートポンプ装置では、検出部での異常検出が容易に行え、制御装置の構成が簡単になる。
本発明の第12観点に係るヒートポンプ装置では、開始状態では異常時制御を開始しないことにより、例えば冷媒回路の動作を停止しないなどの第1シーケンスとは異なった冷媒回路の動作を第2シーケンスで行なわせることができ、ファンモータと冷媒回路の動作とに関して始動時特有の状況への対処を適切に行なえる。
本発明の第13観点に係るヒートポンプ装置では、第2シーケンスにおいて冷媒回路の監視を強化するため、冷媒回路の動作の異常を早期に発見できるようになる。
本発明の第14観点に係るヒートポンプ装置では、状況によっては第2シーケンスでも冷媒回路の異常時制御を行うことができ、冷媒回路の受ける損耗を小さくすることができる。
本発明の第15観点に係るヒートポンプ装置では、異常発報によりヒートポンプ装置の使用者に対して注意を喚起することができる。
本発明の第16観点に係るヒートポンプ装置では、外気の影響を受け易い室外機にファンおよびファンモータが設置されたヒートポンプ装置の始動時特有の状況への対処を適切に行なえる。
一実施形態に係る空気調和装置の外観を示す正面図。 空気調和装置の冷媒回路及びその周辺の概要を示す回路図。 制御部による制御系統の概要を示すブロック図。 室外機の各モータ部及びその周辺の構成の概要を示すブロック図。 室外機の内部構造を説明するための斜視図。 室外ファンモータ部及びその電源並びに周辺回路を示す回路図。 異常検出及び異常時制御の概略を示すフローチャート。 第1シーケンスを説明するためのフローチャート。 第2シーケンスを説明するためのフローチャート。 始動状態における高圧異常の検出を説明するためのグラフ。
以下、本発明の一実施形態に係るモータを有する駆動装置の例として空気調和装置について説明する。この空気調和装置は、駆動装置のモータに相当するブラシレスDCモータを室外ファンモータ部に有している。
(1)空気調和装置の概要
図1は、本発明の一実施形態に係るヒートポンプ式空気調和装置の外観を示す斜視図である。図1の空気調和装置10は、室内機20と室外機30とを備えている。室外機30は、室内に設置される室内機20に冷媒配管によって接続されて、室内機20とともに空気調和装置10の冷媒回路を構成する。そのため、冷媒配管や伝送線路などの連絡配管12によって室内機20と室外機30が連絡されている。
図2は、図1の空気調和装置10の構成の概要を示す回路図である。図2に示す冷媒回路14を構成するために、室内機20には、室内熱交換器21が設けられ、室外機30には、圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動弁34及びアキュムレータ35などが設けられている。圧縮機31の吐出側には四路切換弁32の第1ポートが接続されている。四路切換弁32の第2ポートには室外熱交換器33の一方の出入口が接続され、第3ポートにはアキュムレータ35が接続され、第4ポートには冷媒連絡配管12bが接続されている。四路切換弁32は、冷房時には実線で示したように第1ポートと第2ポートが接続されるとともに、第3ポートと第4ポートが接続される。一方、暖房時には、四路切換弁32は、破線で示したように、第1ポートと第4ポートが接続されるとともに、第2ポートと第3ポートが接続される。室外熱交換器33の他方の出入口は、電動弁34と冷媒連絡配管12aとを介して室内熱交換器21の一方の出入口に接続されている。室内熱交換器21の他方の出入口は、冷媒連絡配管12bに接続されている。また、圧縮機31の吸入側は、アキュムレータ35を介して四路切換弁32の第3ポートに接続されている。この冷媒回路14の中を冷媒が循環する。
冷房時には、四路切換弁32が実線の接続になっており、圧縮機31で圧縮されて吐出された冷媒が四路切換弁32を介して室外熱交換器33に送られる。室外熱交換器33で外気との熱交換が行われて熱を奪われた冷媒は、電動弁34に送られる。電動弁34で高圧液状の冷媒が低温低圧の湿り蒸気の状態に変化する。電動弁34で膨張した冷媒は、冷媒連絡配管12aを通って室内熱交換器21に入る。室内熱交換器21で室内空気との熱交換が行われて熱を奪って温度が上昇した冷媒は、冷媒連絡配管12aを通って四路切換弁32に送られる。四路切換弁32では冷媒連絡配管12aとアキュムレータ35とを接続している。そのため、室内熱交換器21から送られてきた冷媒は、アキュムレータ35を介して圧縮機31に送られる。
暖房時には、四路切換弁32が点線の接続になっており、圧縮機31で圧縮されて吐出された冷媒が室内熱交換器21に送られる。そして、冷房時とは逆の経路をたどって、室外熱交換器33を出た冷媒は圧縮機31に送られる。つまり、圧縮機31、四路切換弁32、冷媒連絡配管12b、室内熱交換器21、冷媒連絡配管12a、電動弁34、室外熱交換器33、四路切換弁32、アキュムレータ35及び圧縮機31の順に冷媒が循環する。
室内機20及び室外機30には、それぞれ、室内熱交換器21及び室外熱交換器33における熱交換を促すために、室内熱交換器21に室内空気を送る室内ファン22及び、室外熱交換器33に外気を送るプロペラファン37が設けられている。そして、これら室内ファン22及びプロペラファン37を駆動するための室内ファンモータ部23及び室外ファンモータ部38がそれぞれ室内機20及び室外機30に設けられている。
(2)制御系統の概要
空気調和装置10における空気調和の動作を正しく効率よく行わせるために、室内機20及び室外機30は、それぞれの機器の中に組み込まれた室内制御部60及び室外制御部70によって制御される。図3は制御系統の構成の概略を示すブロック図である。室内制御部60と室外制御部70とは、通信線12cを介して互いに接続されて互いにデータの送受信を行っており、一つの制御装置50を構成している。制御装置50は、CPU(中
央演算処理装置)やメモリや周辺回路などを含んで構成されており、これらの回路を組み合わせて後述する制御機能を実現している。
室外機30には、室外機30の各部の温度を測定するための温度センサとして、室外熱交換器温度センサ41、熱交換器出入口温度センサ42、吸込側温度センサ43、吐出側温度センサ44及び外気温度センサ45などが設けられており、これらの温度センサ41〜45で測定された温度の値が室外制御部70に送信される。この室外熱交換器温度センサ41は、室外熱交換器33の内部の冷媒の温度を検出する。熱交換器出入口温度センサ42は、室外熱交換器33の出入口に設けられ、室外熱交換器33と室内機20との間を通う冷媒の温度を測定する。吸込側温度センサ43は、圧縮機31に吸い込まれる冷媒の温度を測定する。吐出側温度センサ44は、圧縮機31から吐出される冷媒の温度を測定する。外気温度センサ45は、室外機30の周囲の外気温度を検出する。
室外機30には、圧縮機31に吸入される冷媒の圧力を測定するための吸入側圧力センサ46及び、圧縮機31から吐出される冷媒の圧力を測定するための吐出側圧力センサ47などの圧力センサが設けられている。吸入側圧力センサ46及び吐出側圧力センサ47などで測定された冷媒の圧力の値が室外制御部70に送信される。
また、室外機30においては、後ほど詳細に説明する電圧検出部81及び電流検出部82が設けられ、これらが室外制御部70に接続されている。
さらに、室外機30においては、圧縮機31の圧縮機モータ部40、四路切換弁32、電動弁34及び室外ファンモータ部38が室外制御部70に接続されている。この室外制御部70により、圧縮機モータ部40や室外ファンモータ部38の回転数やその運転・停止、四路切換弁32の切換え、及び電動弁34の開度が制御される。
室内機20には、室内熱交換器21の出入口の冷媒の温度を測定するための液側温度センサ24とガス側温度センサ25が設けられ、室内の温度を測定するための室内温度センサ26が設けられている。これらの温度センサ24〜26で測定された温度の値が室内制御部60に送信される。また、室内機20においては、室内ファン22の室内ファンモータ部23、風向調節機構27及び表示部28などが室内制御部60に接続されている。この室内制御部60により、室内ファンモータ部23の回転数や運転・停止が制御される。風向調節機構27が室内機20に設けられたルーバー(図示省略)などの角度を変更することにより室内に吹き出す風の向きが調節される。室内制御部60は、各種の表示を行うため表示部28に対して表示を指示する制御信号を出力する。例えば、後述する室外ファンモータ部38での異常発生に伴って、制御装置50は、異常発報の表示を表示部28に行わせることもできる。
(2−1)室外機の各モータ部の制御
図4に示すように、室外制御部70は、CPU71とメモリ72とタイマ73と周辺回路74,75とを備えている。周辺回路74,75は、一部が集積回路化(IC化)されている。CPU71は、外部から与えられる命令やメモリ72に記憶されている命令に従って、周辺回路74,75を介して室外ファンモータ部38や圧縮機モータ部40を制御する。CPU71は、タイマ73によって制御の際のタイミングを計っている。
室外ファンモータ部38には、電圧検出部81及び電流検出部82が設けられている。直流電源ライン498,499の間に接続されている電圧検出部81によって、直流電源ライン498,499の間の過電圧が検出される。このような電圧検出部81は、例えば直流電源ライン498,499の間に接続された複数の抵抗と、その中の一つの抵抗に印加される電圧を検知するトランジスタとを含む検出回路を複数設けることで構成される。
このような構成では、周辺回路74から与えられる信号によって、異なる閾値電圧で過電圧を検出する複数の検出回路の中から適当な検出回路が選択される。それにより、電圧検出部81は、過電圧を検出する閾値電圧を切換え、その閾値電圧を超えたときに過電圧の検出を周辺回路74に対して出力する。
また、低電圧側の直流電源ライン499に直列に挿入されている電流検出部82によって、室外ファンモータ部38に流れている過電流が検出される。電流検出部82は、例えば直流電源ライン499に挿入されたシャント抵抗と、シャント抵抗の両端の電圧を増幅するオペアンプを含む増幅回路と、増幅回路の出力電圧を検出するトランジスタとを含む検出回路で構成される。このような検出回路において、例えば、周辺回路74から与えられる信号によって、オペアンプの複数の増幅率の中から適当な増幅率が選択できるよう構成されている。それにより、電流検出部82は、過電流を検出する閾値電流を切換え、その閾値電流を超えたときに過電流の検出を周辺回路74に対して出力する。
また、室外ファンモータ部38には放電部497が設けられ、室外制御部70によって制御されている。この放電部497によって平滑コンデンサ496の放電が行われ、高電圧側の直流電源ライン498と低電圧側の直流電源ライン499の間の電圧が調整される。
(3)室外機の構造
図1に示すように、室外機30は、略直方体状の形状をしており、ケーシング15によって覆われている。ケーシング15の前面には、前板組立体16が配置されており、前板組立体16には、その略中央部にファン吹出口17が設けられている。
図5に、ケーシング15を外した状態の室外機30を示す。ケーシング15の背面から一方の側面にかけて、室外熱交換器33が露出している。プロペラファン37は、ファン吹出口17の直ぐ背面側に配置され、プロペラファン37を駆動する室外ファンモータ部38は、プロペラファン37の直ぐ背面側に配置されている。そして、ケーシング15の背面及び一方の側面から吸込まれた外気は、室外熱交換器33を通過してケーシング15の前面のファン吹出口17から吹き出される。
ファン吹出口17から吹き出される気流は、プロペラファン37が室外ファンモータ38によって駆動され、反時計回り(CCWの方向)にプロペラファン37が回転することにより発生する。プロペラファン37が室外ファンモータ38によって駆動されていないときには、室外で発生している外気流による外力がプロペラファン37に作用してプロペラファン37を回転させるトルクが発生することがある。例えば、ファン吹出口17から室外熱交換器33の方向に外気流が通り抜けると、その外気流によりプロペラファン37に生じるトルクによってプロペラファン37は時計回り(CWの方向)に回転する。
(4)室外機の各モータ部への電力の供給
図4は、室外機におけるモータ部の制御の概要を説明するためのブロック図である。室外機30は、室外ファンモータ部38及び圧縮機モータ部40並びに、これらに直流電力を供給するための整流回路49A,49Bを備えている。整流回路49A,49Bには交流電源48が接続される。整流回路49Aは、ダイオードからなる整流部491及び、高電圧側の直流電源ライン493と低電圧側の直流電源ライン494との間に接続されている平滑コンデンサ492を備えている。整流回路49Bは、ダイオードからなる整流部495、高電圧側の直流電源ライン498と低電圧側の直流電源ライン499との間に接続されている平滑コンデンサ496、及び平滑コンデンサ496の放電を行わせる放電部497を備えている。室外ファンモータ部38は、室外ファンモータ38aとインバータ回路38bとを有している。また、圧縮機モータ部40は、圧縮機モータ40aとインバー
タ回路40bとを有している。図3を用いて説明したように、室外ファンモータ部38と圧縮機モータ部40とは、室外制御部70によって制御される。
(4−1)室外ファンモータ部への電力供給
図6に、室外ファンモータ38aとその駆動システムの主要部の回路を示す。図6に示す室外ファンモータ38aは、ブラシレスDCモータであり、ホール素子などの位置検出素子を持たないロータ位置センサレス制御が行われる。室外ファンモータ38aは、ロータ381とステータ382とを備えている。
ステータ382は、電機子コイルLu,Lv,Lwの一端が中性点nで共通に接続されたスター結線を有している。プロペラファン37に結合されているロータ381は、多極の永久磁石を有している。ロータ381は、その回転軸を中心に、永久磁石と電機子コイルLu,Lv,Lwとの間で発生する電磁力によってステータ382に対して相対的に回転する。室外ファンモータ38aを回転させるために、インバータ回路38bから電機子コイルLu,Lv,Lwに駆動電圧Vu,Vv,Vwが出力される。
インバータ回路38bは、これら電機子コイルLu,Lv,Lwの他端と高電圧側の直流電源ライン498との間に接続されている上アームの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタQ1,Q2,Q3及び、これら電機子コイルLu,Lv,Lwの他端と低電圧側の直流電源ライン499との間に接続されている下アームの絶縁ゲート型バイポーラトランジスタQ4,Q5,Q6をスイッチング素子として備えている。以下、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタQ1をトランジスタQ1と略記し、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタQ2〜Q6についても同様に記載する。トランジスタQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6には、それぞれ還流ダイオードD1,D2,D3,D4,D5,D6が並列に接続されている。各還流ダイオードD1〜D6は、各々が接続されているトランジスタQ1〜Q6に逆電圧が印加された場合にそれぞれ導通して逆電圧から各トランジスタQ1〜Q6を保護する。
このインバータ回路38bは、上アームのトランジスタQ1,Q2,Q3をオン状態にすることによって、それぞれのトランジスタQ1,Q2,Q3を介して高電圧側の直流電源ライン498から電機子コイルLu,Lv,Lwの他端に高電圧を印加する。また、このインバータ回路38bは、下アームのトランジスタQ4,Q5,Q6をオン状態にすることによって、それぞれのトランジスタQ4,Q5,Q6を介して低電圧側の直流電源ライン499から電機子コイルLu,Lv,Lwの他端に低電圧を印加する。
(4−2)室外ファンモータ部のインバータ回路の制御
室外ファンモータ部38を制御するための周辺回路74には、ゲート制御電圧生成部741とPWM(Pulse−Width Modulation)制御部742と位置検出部743と回転数推定部744と定常状態判定部745と過電圧保護部746と過電流保護部747が含まれる。
〔ゲート制御電圧生成部〕
ゲート制御電圧生成部741は、図6に示すように、インバータ回路38bのトランジスタQ1〜Q6のオン・オフを制御するための6つのゲート制御電圧Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gzを出力する。ゲート制御電圧生成部741から出力されるゲート制御電圧Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gzにより、PWM制御部742により決定された変調率を有する駆動電圧Vu,Vv,Vwがロータ位置に基づくタイミングでインバータ回路38bから室外ファンモータ38aに出力される。
〔PWM制御部〕
PWM制御部742は、室外ファンモータ38aの回転数に基づいて、各電機子コイルLu,Lv,Lwに印加される駆動電圧Vu,Vv,Vwの変調率を決定する。そして、PWM制御部742は、この変調率に相当するPWM電圧をロータ381の位置に基づく電機子コイルLu,Lv,Lwへの通電タイミングに応じてゲート制御電圧生成部741に出力する。
〔位置検出部〕
位置検出部743は、U相、V相およびW相の電機子コイルLu,Lv,Lwに接続され、ロータ381が回転しているときに電機子コイルLu,Lv,Lwに生じる誘起電圧からロータ381の回転位置を検出する。位置検出部743は、検出されたロータ381の回転位置に対応する位置信号をPWM制御部742と回転数推定部744とに出力する。
〔回転数推定部〕
回転数推定部744は、位置検出部743の出力信号から室外ファンモータ38aの回転数を推定する。この回転数の推定は、例えば位置検出部743の出力信号を一定時間カウントすることにより行なうことができる。または、位置検出部743の出力信号の周期を測定することにより回転数の推定を行なうことができる。推定された回転数は、回転数推定部744からPWM制御部742と定常状態判定部745とに出力される。
〔定常状態判定部〕
定常状態判定部745は、例えば回転数推定部744で推定された室外ファンモータ38aの実回転数に基づき、定常状態であるか否かを判定する。空気調和装置10の制御装置50は、与えられている空気調和の要求や空気調和装置10の環境に応じて、室外ファンモータ38aの目標回転数を決定している。制御装置50は、この目標回転数を指令値として室外制御部70に対して出力する。室外制御部70の周辺回路74にある定常状態判定部745にこの指令値が与えられ、定常状態判定部745は、実回転数がこの指令値に達すれば定常状態になったと判定し、指令値に達するまでは始動状態にあると判定する。もし、定常状態にある室外ファンモータ38aの駆動が停止された場合には、リセットされて、次に指令値に達するまでは始動状態にあると定常状態判定部745は判定する。なお、実回転数が回転数推定部744で推定できない状況の場合にも、定常状態判定部745は始動状態にあると判定する。
〔過電圧保護部〕
過電圧保護部746は、電圧検出部81により検出された電圧に基づいて平滑コンデンサ496の両端の電圧の調整を行い、インバータ回路38bの各トランジスタQ1〜Q6の定格電圧を超えないようにする。
過電圧保護部746は、定常状態判定部745から定常状態であるか否かの判定結果を得ている。そして、定常状態では、第1閾値電圧を用いて過電圧の判定を行ない、始動状態では、第1閾値電圧よりも大きな第2閾値電圧を用いて過電圧の判定を行なうように電圧検出部81の設定を行う。定常状態では、電圧検出部81で検出された電圧値が第1閾値電圧を超えた場合に、過電圧保護部746はゲート制御電圧生成部741に対してインバータ回路38bの駆動の停止を指示する信号を出力するとともに放電部497に対して平滑コンデンサ496の放電を指示する信号を出力する。始動状態では、電圧検出部81で検出された電圧値が第2閾値電圧を超えた場合に、定常状態で第1閾値電圧を超えた場合と同様の信号をゲート制御電圧生成部741と放電部497とに出力する。
〔過電流保護部〕
過電流保護部747は、電流検出部82により検出された電流に基づいて室外ファンモ
ータ38aに流れる電流の調整を行い、インバータ回路38bの各トランジスタQ1〜Q6の定格電流を超えないようにする。
過電流保護部747は、定常状態判定部745から定常状態であるか否かの判定結果を得ている。そして、定常状態では、第1閾値電流を用いて過電流の判定を行ない、始動状態では、第1閾値電流よりも大きな第2閾値電流を用いて過電流の判定を行なうように電流検出部82の設定を行う。定常状態では、電流検出部82で検出された電流値が第1閾値電流を超えた場合に、過電流保護部747はゲート制御電圧生成部741に対してインバータ回路38bの駆動の停止を指示する信号を出力する。始動状態では、電流検出部82で検出された電流値が第2閾値電流を超えた場合に、過電流保護部747はゲート制御電圧生成部741に対してインバータ回路38bの駆動の停止を指示する信号を出力する。
(4−3)室外ファンモータ部の異常検出と異常時制御
室外ファンモータ38aに直流電力を供給する直流電源ライン498,499における過電圧や室外ファンモータ38aの過電流に関する異常検出及び異常時制御について図7乃至図9を用いて説明する。
従来、これらの過電圧や過電流が発生した場合における空気調和装置の異常検出及び異常時制御は、室外ファンモータ38aの定常状態と始動状態との区別を行なわずに同じシーケンスに沿って行なわれていた。しかし、本実施形態に係る空気調和装置10では、これら異常検出及び異常時制御は、定常状態と始動状態では、互いに異なる第1シーケンス(ステップS10)と第2シーケンス(ステップS20)とに沿ってそれぞれ行なわれる。
図7のフローチャートを用いて空気調和装置10の過電圧や過電流に関する異常検知及び異常時制御の概要について説明する。まず、ステップS1で、制御装置50は、室外ファンモータ38aの起動の指示があるまで待機している。室外ファンモータ38aの起動指示があると、制御装置50により、室外ファンモータ38aが起動されるとともに、タイマ73を用いた時間の計測が始まる。
ステップS2では、回転数推定部744により回転数が推定される。ステップS2に続いてステップS3に進み、定常状態判定部745が室外ファンモータ38aの実回転数に基づき、回転数に応じたモータ起動制御を選択し、モータの起動を行なう。起動直後は、実回転数が指令値に達していないために始動状態と判定され、ステップS20(第2シーケンス)に進む。
ステップS20(第2シーケンス)では、制御装置50は、第2異常検出条件で異常検出を行う(ステップS20a)。第2異常検出条件は、第1異常検出条件とは異なる。ここでは、電圧検出部81の検出電圧が第2閾値電圧を超えるか、又は電流検出部82の検出電流が第2閾値電流を超えることが第2異常検出条件になっている。一方、第1シーケンスで行なう異常検出では、電圧検出部81の検出電圧が第1閾値電圧を超えるか、又は電流検出部82の検出電流が第1閾値電流を超えることが第1異常検出条件になっている。従って、第2閾値電圧が第1閾値電圧より大きくかつ、第2閾値電流が第1閾値電流より大きくなっているので、第2異常検出条件の方が第1異常検出条件よりも緩和されている。第2異常検出条件の方が第1異常検出条件よりも緩和されているのは、室外ファンモータ38aをロータ位置センサレス制御している場合に、プロペラファン37に外力が働いて過電流状態や過電圧状態が生じる可能性が高くなるからである。
始動状態において過電圧や過電流が検出されたときには、外力によって過電圧や過電流
が生じていると推定されて室外ファンモータ38aの始動が継続される。つまり、過電圧や過電流がプロペラファン37に外力が働いたことによって発生したものであれば、室外ファンモータ38aの故障ではないので、緩和した条件で運転を続けてもよいからである。このように緩和した第2異常検出条件を用いることで、室外ファンモータ38aの駆動が停止される回数が少なくなり、室外ファンモータ38aの始動をスムーズに行なわせることができる。ただし、室外ファンモータ38aの故障による可能性もあるため、第1閾値電圧又は第1閾値電流を超えたときには異常検出を行なう間隔を短くなるように設定されてもよい。
ステップS20aで異常が検出されなかった場合には、第2シーケンス(ステップS20)から第1シーケンスに移行されるか否かの判断が行われる(ステップS5,S6,S7)。ステップS5,S6では上述のステップS2,S3と同じ処理がおこなわれ、室外ファンモータ38aの実回転数が指令値に達していれば、定常状態と判断して、ステップS10(第1シーケンス)に移行される。まだ、実回転数が指令値に達していなければ、ステップS7でモータ停止指示があったか否かが判断される。モータ停止指示があった場合にはステップS8に進み、室外制御部70によって室外ファンモータ38aが停止されて処理が終了する。モータ停止指示がなかった場合には、ステップS20に戻り、第2シーケンスに沿って処理が実行される。
ステップS20aで異常が検出された場合には、第2異常時制御が行われる(ステップS20b)。第2異常時制御については後程詳しく説明するが、第1異常時制御(ステップS10b)とは異なる制御が行われる。第1異常時制御と第2異常時制御とにおいて最も大きく相違する点は、冷媒回路14の運転を停止させる条件が異なる点である。第1異常時制御では、ステップS10aで異常が検出されると室外ファンモータ38aの駆動が停止されるとともに冷媒回路14の運転が停止される。一方、第2異常時制御では、ステップS20aで異常が検出されると室外ファンモータ38aの駆動が停止されるが、ステップS20aでの異常の検出だけでは冷媒回路14の運転は停止されない。一方、室外ファンモータ38aについては、過電圧又は過電流の発生から高回転を行っていることが推定されるので、その駆動が停止される。このときは、室外ファンモータ38aが駆動されていなくても冷媒回路14の熱交換のために必要な気流がプロペラファン37を通過して室外熱交換器33に供給されていると判断して、始動状態では、冷媒回路14の運転が継続される。そして、この第2シーケンスでは、冷媒回路14の運転を継続しながら、冷媒回路14の故障の発生の有無を別の手段による検出が試みられる。具体的な別の手段としては、例えば冷媒圧力を「所定値よりも高圧か否か」だけでなく、その圧力値の変化により状態を予測する、などの方法があげられるが、このような別の手段による故障発生有無の検出は、室外ファンモータ38aや冷媒回路14或いはそれらの周辺の監視を強化して行なわれる方が好ましい。
ステップS20bで、第2異常時制御を行った結果、室外ファンモータ38aだけでなく、冷媒回路14の運転も停止すべき異常と判断されたときには、冷媒回路14の運転も停止して処理が終了される。一方、第2異常時制御を行って第2異常検出条件で異常が検出されなくなったときには、ステップS20bからステップS20aを経てステップS5に進み、室外ファンモータ38aの始動が継続される。
ステップS3,S6からステップS10(第1シーケンス)に進み、ステップS10aにおいて第1異常検出条件で異常が検出された場合には、ステップS10bに進んで第1異常時制御を行う。ステップS10bで第1異常時制御が行われたときは、室外ファンモータ38aの駆動と冷媒回路14の運転が停止されて処理が終了される。
ステップS10aにおいて第1異常検出条件で異常が検出されなかった場合には、ステ
ップS4に進んでモータ停止の指示の有無が確認される。モータ停止の指示がなければ、ステップS10aに戻り、モータ停止の指示があるまで、ステップS10aとステップS4の判断が繰り返される。モータ停止の指示があれば、室外ファンモータ38aの駆動が停止され(ステップS8)、処理が終了する。
なお、上記の説明においては、起動制御の選択や定常状態か否かの判断を、モータの回転数のみを用いて行なっているが、特に空気調和機の室外機のように外力を受けてファンが回転するような用途においては、その回転方向も考慮することで、より安定したモータ駆動を行なうことが可能となる。
(4−4)第1シーケンス
次に、第1シーケンスの詳細について図8を用いて説明する。ステップS10aには、過電圧及び過電流を検出するステップS11と、異常検出の有無を判断するステップS12とが含まれる。ステップS11では、電圧検出部81により過電圧の検出が行われており、電流検出部82により過電流の検出が行われている。定常状態判定部745から定常状態を示す信号が過電圧保護部746と過電流保護部747とに与えられているため、電圧検出部81及び電流検出部82において第1閾値電圧及び第1閾値電流を用いて異常検出が行なわれる。ステップS12では、電圧検出部81により過電圧が検出されているか否かが判断される。また、電流検出部82により過電流が検出されているか否かが判断される。
ステップS12で異常が検出されなければ、制御装置50において室外ファンモータ38aの停止指示の有無が判断され(ステップS4)、停止の指示があればステップS8に進み、室外制御部70によって室外ファンモータ38aの駆動が停止されて処理が終了する。
ステップS12で異常の検出があれば、第1異常時制御を行うステップS10bに進む。ステップS10bには、室外ファンモータ38aの制御を行うステップS13、冷媒回路14の制御を行うステップS14、及び異常発報を行うステップS15が含まれる。ステップS13では、過電圧保護部746又は過電流保護部747からゲート制御電圧生成部741に室外ファンモータ38aの停止を指示する信号が出力される。また、過電圧が検出されたときには、放電部497の放電を指示する信号が過電圧保護部746から放電部497に出力される。異常の検出があれば、同時に、過電圧保護部746や過電流保護部747から室外制御部70のCPU71に異常検出を示す信号が出力される。
次に、ステップS14に進み、異常検出を示す信号を受けたCPU71では、定常状態判定部745から定常状態であることを示す信号も合わせて受けているため、冷媒回路14の停止が必要であることが判断される。このような判断が行なわれたCPU71から周辺回路75に、冷媒回路14の運転を停止させるための信号が出力される。それにより、周辺回路75によってインバータ回路40bが停止されて圧縮機モータ40aが止まり、冷媒回路14の運転が停止される。また、ステップS15では、CPU71から室内制御部60に対して表示部28に異常の表示を行うよう指示する信号が出力され、ユーザへの報知が行なわれる。
(4−5)第2シーケンス
次に、第1シーケンスの詳細について図9を用いて説明する。ステップS20aには、過電圧及び過電流を検出するステップS21と、異常検出の有無を判断するステップS22とが含まれる。ステップS21では、電圧検出部81により過電圧の検出が行われており、電流検出部82により過電流の検出が行われている。定常状態判定部745から始動状態を示す信号が過電圧保護部746と過電流保護部747とに与えられているため、電
圧検出部81及び電流検出部82において第2閾値電圧及び第2閾値電流を用いて異常検出が行なわれる。ステップS22では、電圧検出部81により過電圧が検出されているか否かが判断される。また、電流検出部82により過電流が検出されているか否かが判断される。
ステップS12で異常が検出されなければ、上述したステップS5からステップS7までの処理が行なわれる。
ステップS22で異常の検出があれば、第2異常時制御を行うステップS20bに進む。ステップS20bには、ステップS23からステップS34までが含まれる。ステップS23では、過電圧保護部746又は過電流保護部747からゲート制御電圧生成部741に室外ファンモータ38aの停止を指示する信号が出力される。また、過電圧が検出されたときには、放電部497の放電を指示する信号が過電圧保護部746から放電部497に出力される。異常の検出があれば、過電圧保護部746や過電流保護部747から室外制御部70のCPU71に異常検出を示す信号が出力される。
次に、ステップS24に進み、異常検出を示す信号を受けたCPU71では、定常状態判定部745から始動状態であることを示す信号も合わせて受けているため、まだ冷媒回路14を停止させる必要のないことが判断される。同時に、CPU71では、冷媒回路14の監視条件の変更が必要であると判断される。それにより、室外制御部70では、冷媒回路14の監視条件の変更が行なわれる。具体的には、後段のステップS26で冷媒回路14を停止するか否かの判断に用いられる閾値が、冷媒回路14を緊急停止させる異常高圧圧力Pr1よりも低い閾値圧力Pr2に変更される。
次のステップS25では、室外ファンモータ38aの駆動を停止してから第1所定時間が経過したか否かが判断される。この判断は、例えば、CPU71がタイマ73を用いて行なう。そのために、例えば、室外ファンモータ38aが停止した時刻は、例えばCPU71によってメモリ72に書き込まれている。このメモリ72に記憶されている時刻からタイマ73が示す時刻までの経過時間と第1所定時間とが比較されて、室外ファンモータ38aの駆動停止からの第1所定時間の経過が判断される。
室外ファンモータ38aの停止から第1所定時間が経過していれば、室外ファンモータ38aの停止期間の長期化によって不具合が引き起こされて何度も異常停止している可能性があるので、ステップS28及びステップS29の処理を行う。ステップS28においては、CPU71が定常状態判定部745から始動状態であることを示す信号を受けているため、そのままでは冷媒回路14の停止が無効化される。そこで、CPU71では、始動状態における冷媒回路14の停止無効化が第1所定時間の経過により解除され、冷媒回路14の停止が行なえるようになる。このような停止無効化の解除が行なわれたCPU71から周辺回路75に、冷媒回路14の運転を停止させるための信号が出力される。それにより、周辺回路75によってインバータ回路40bが停止されて圧縮機モータ40aが止まり、冷媒回路14の運転が停止される。また、ステップS29では、CPU71から室内制御部60に対して表示部28に異常の表示を行うよう指示する信号が出力されて異常発報が行なわれる。そして、空気調和装置10の冷房運転又は暖房運転が停止される。なお、ステップS29における異常の表示内容は、停止の原因をユーザに知らせるため、ステップS15における異常の表示内容と異ならせることが好ましい。
ステップS25で第1所定時間が経過していないと判断されると、ステップS26に進み、室外ファンモータ38aが停止されてから第2所定時間内に高圧異常が発生したか否かが判断される。高圧異常の判断は、CPU71において閾値圧力Pr2と吐出側圧力センサ47で検出された圧力とが比較されることにより行なわれる。高圧異常の発生が第2
所定時間内であったか否かの判断は、CPU71において、メモリ72に記憶されている室外ファンモータ38aの停止時刻からタイマ73が示す時刻までの経過時間と第2所定時間とが比較されることによって行なわれる。
ステップS26において、第2所定時間内に高圧異常が検出されなかった場合には、ステップS30に進み、第2所定時間内に高圧異常が検出された場合には、次のステップS27に進む。次のステップS27では、CPU71において、室外ファンモータ38aが停止されてから高圧異常が発生した回数が所定回数に達したか否かが判断される。高圧異常が発生した回数は、CPU71によってメモリ72に記憶される。
高圧異常の発生回数が所定回数に達するということは、過電圧又は過電流の原因が外気流によってプロペラファン37にトルクが発生したことではなく、制御装置50などの故障による可能性が高いことを意味している。そのため、高圧異常の発生回数が所定回数に達した場合には、ステップS28に進み、上述したステップS28以下の処理を行って空気調和装置10の冷房運転又は暖房運転が停止される。高圧異常の発生回数が所定回数に達してなければ、ステップS30に進む。
ステップS30では、第3所定時間内に高圧異常が解消されたか否かが判断される。第3所定時間が経過しても高圧異常が継続しているということは、冷媒回路14において異常が発生している可能性が高いと判断される。そのため、第3所定時間内に高圧異常が解消されなければ、ステップS28以下の処理を行い、空気調和装置10の冷房運転又は暖房運転が停止される。
ステップS30において第3所定時間内に高圧異常が解消されたと判断された場合は、ステップS31及びステップS32において過電圧又は過電流についての異常検出を行なう。ステップS31及びステップS32における処理は、過電圧又は過電流が解消されているか否かの判断であり、上述のステップS21及びステップS22と同じ処理を行う。そして、ステップS32において異常検出があった場合には、ステップS26に戻り、ステップS26以下の処理が繰り返される。一方、ステップS32において異常検出がなかった場合には、ステップS33に進み、室外ファンモータ38aが起動される。室外ファンモータ38aが起動された後、冷媒回路14の監視条件が初期化されて(ステップS34),ステップS21に戻る。ここで、冷媒回路14の監視条件の初期化とは、通常よりも厳しい条件、即ち閾値圧力Pr2で冷媒回路14の高圧異常を判断していたものを、通常の異常高圧圧力Pr1による高圧異常の監視にもどすことである。
(5)特徴
(5−1)
以上説明したように、室外ファンモータ部38のインバータ回路38b(インバータ)について、電圧検出部81(検出部)で検出された電圧値が閾値電圧を超えたとき、過電圧が電圧検出部81で検知されたと判断される(ステップS12,S22)。また、電流検出部82(検出部)で検出された電流値が閾値電流を超えたとき、過電流が電流検出部82で検知されたと判断される(ステップS12,S22)。
この実施形態においては、上述の異常検出の判断が、定常状態判定部745が定常状態であると判断しているときと、始動状態であると判断しているときとで異なっている。定常状態では第1シーケンス(ステップS10)に沿って異常検出が行なわれ、このときに過電圧保護部746及び過電流保護部747で用いられる閾値電圧及び閾値電流は、第1閾値電圧及び第1閾値電流(第1検出基準)である。一方、始動状態では第2シーケンス(ステップS20)に沿って異常検出が行なわれ、このときに過電圧保護部746及び過電流保護部747で用いられる閾値電圧及び閾値電流は、第2閾値電圧及び第2閾値電流
(第2検出基準)である。このように閾値電圧や閾値電流を切り替えるには例えば検出回路の抵抗や容量などを切り替えるなどの簡単な回路構成で実現できるため、高価な追加回路を設ける必要はない。
始動状態で用いられる第2閾値電圧は定常状態で用いられる第1閾値電圧よりも高い値を有しており、第2閾値電流は第1閾値電流よりも高い値を有している。そのため、第1閾値電圧と第2閾値電圧の間の電圧や第1閾値電流と第2閾値電流の間の電流が検出された場合、第1シーケンスでは異常時制御を開始するが第2シーケンスでは異常時制御を開始されないから、第1シーケンスで異常時制御を行う条件を満たしていても第2シーケンスでは異常時制御を行わないといったことが可能になる。例えば、室外機30の周囲に吹く外気流による外力が原因でプロペラファン37に発生し易い過電圧や過電流に対して、始動状態において影響され難くなる。このように故障以外の原因がもとで定常状態よりも始動状態において発生し易い過電圧や過電流に適切に対処でき、スムーズな始動を行えるようになる。
なお、第1検出基準に比べて第2検出基準を緩和するため、この実施形態では第2閾値電圧及び第2閾値電流を第1閾値電圧及び第1閾値電流より高い値を有している場合について説明したが、このような形態には限られない。第1検出基準と第2検出基準とで同じ閾値電圧や閾値電流を用いる場合でも、第2検出基準に他の条件を付加することで緩和することができる場合がある。例えば、第2検出基準では、閾値電圧や閾値電流を超えることに加え、冷媒回路14の所定箇所で検出される冷媒の温度が所定値を超えることを条件として付加する。そうすれば、第1検出基準で異常検出がされる場合でも第2検出基準では異常が検出されない場合が生じて基準の緩和が行なえる。また、例えば、第1検出基準で用いる所定時間内の測定回数よりも第2検出基準で用いる測定回数を減らすことも基準の緩和になる。
また、この実施形態においては、異常検出があった場合の異常時制御が、第1シーケンスと第2シーケンスとでは異なっている。第1シーケンスの第1異常時制御(ステップS10b)では、異常検出があると、室外ファンモータ38aの駆動と冷媒回路14の運転が、異常検出の判断のみ(ステップS12)に基づいて停止される。一方、第2シーケンスの第2異常時制御(ステップS20b)においては、異常検出の判断のみ(ステップS22)では冷媒回路14の運転は停止されない。第2シーケンスでは、ステップS25,S26,S27やステップS30の判断結果を加味して冷媒回路14の運転を停止するか否かが判断される。それにより、比較的風量の需要の少ない始動状態に対応して、冷媒回路14を運転し続けることができる。その結果、室外ファンモータ38aの異常検出とともに直ちに冷媒回路14の運転(圧縮機の運転)を停止する場合に比べて、空調の立ち上がりを早くしたり、空調機能の低下を防止したりすることができる。
(5−2)
上記実施形態の室外ファンモータ38aは、ロータ位置センサレス制御が行われているから、特に外力によりファンが回転している状態から起動した場合には安定したロータ位置センサレス運転に移行するまでの始動状態においては異常検出が多くなる。そのため、ロータ位置センサレス制御が行われる室外ファンモータ38aに第2シーケンスを用いると、無用の室外ファンモータ38aの停止、ひいては空気調和装置の停止を回避できることが多くなる。
(6)変形例
(6−1)
上記実施形態では、モータを有する駆動装置の例として、ロータ位置センサレス制御が行われるブラシレスDCモータが室外機30に設けられている空気調和装置10を例に挙
げて説明したが、室内機20の室内ファンモータ部23にロータ位置センサレス制御が行われるブラシレスDCモータが設置されている場合には室内ファンモータ部23に対しても適用することができる。また、モータを有する駆動装置は、上記実施形態のような空気調和装置10に限られず、例えばモータを内蔵したヒートポンプ式空調機電源ユニットなど、モータを有する他の駆動装置に対しても適用することができる。
(6−2)
上記実施形態では、電圧検出部81や電流検出部82において異常検出がされて第1シーケンスでは第1異常時制御を行う場合であっても、第2シーケンスでは第2異常時制御を行わないようにするために、過電圧や過電流を検知するための閾値を第1シーケンスと第2シーケンスとで異ならせる場合について説明した。しかし、第1シーケンスでは第1異常時制御を行う場合であっても第2シーケンスでは第2異常時制御を行わないような状況をつくるために、他の構成を用いることもできる。
図7に示した第2シーケンス(ステップS20)におけるステップS28を取り除いてしまうこともできる。つまり、冷媒回路14の運転に関しては、異常時制御を行わないといった構成を取ることもできる。このような構成は、例えば、始動状態における風量が小さいタイプの空気調和装置に適用できる。その結果、室外ファンモータ38aの異常検出とともに直ちに冷媒回路14の運転(圧縮機の運転)を停止する場合に比べて、空調機能の低下を防止することができる。あるいは、図7に示した第2シーケンス(ステップS20)を取り除いて、ステップS3の後はステップS5以下の処理を行うように構成することもできる。このような構成にする場合には、ステップS7でモータ停止指示がない場合には、ステップS3に戻ることになる。
(6−3)
上記実施形態では、ステップS26において、冷媒回路14の異常を検出するため、吐出側圧力センサ47で検出される吐出側圧力を用いたが、他の圧力センサ46や温度センサ24〜26,42〜45などの他の検出手段や検出装置を用いてもよい。
(6−4)
上記実施形態では、室外ファンモータ38aの回転数によって定常状態判定部745において定常状態を判断したが、定常状態の判定は他の方法によって行うこともできる。例えば、始動状態において、任意の周波数や電圧によって強制駆動を行なうタイプのロータ位置センサレス制御が行われるブラシレスDCモータの場合であれば、そのような強制駆動を行なっている状態を、例えばCPU71において始動状態と判断するようにしてもよい。
また、直流通電等に寄るロータ位置固定を行なうタイプの位置センサレス制御が行われるブラシレスDCモータの場合であれば、そのようなロータ位置固定の期間或いはそのロータ位置固定の終了から所定時間経過までの状態を、例えばCPU71において始動状態と判断するようにしてもよい。
(6−5)
上記実施形態では、第2シーケンス(ステップS20)の第2異常時制御においては、第1シーケンス(ステップS10)で冷媒回路14の高圧異常を監視する異常高圧圧力Pr1(第1条件)と異なり、第1条件よりも厳しい(低い)閾値圧力Pr2(第2条件)を用いて冷媒回路14の監視を行っている。そして、異常高圧圧力Pr1に達していなくても(第1条件)が満たされていなくても閾値圧力Pr2(第2条件)が満たされたときに冷媒回路14で異常が発生していると判断される(ステップS25)。このように第2シーケンスにおいては異常検出があったときに冷媒回路14の監視を強化するため、第2
シーケンスにおいて冷媒回路14の動作に異常時制御を適用しなかった場合においても冷媒回路の動作の異常を早期に発見できるようになる。
しかし、第2シーケンスにおいて冷媒回路14の監視を強化する方法は上記の方法に限られるものではない。例えば、図10に斜線で示した領域は、正常な圧縮機の運転では現れない吐出側圧力センサ47の測定値である。第2シーケンスの監視条件の変更(ステップS24)における監視条件として、圧縮機31の吐出側の圧力がこのような斜線で示した領域に入っている場合を高圧異常の判断条件とすることもできる。閾値圧力Pr2の変更に加えてこのような斜線で示した領域にはいるか否かの判断を追加することで、例えば制御装置50の故障で圧縮機31の吐出側圧力が上がらない場合も高圧異常と判断でき、故障と判断できる状況が追加される。なお、図10において、室外ファンモータ38aの始動状態に続く領域を定常状態又は始動状態としたのは、定常状態になるまでの期間が長引く場合や、定常状態に達した後に室外ファンモータ38aが停止して始動状態に戻る場合を含めるためである。
(6−6)
上記実施形態では、第1シーケンスの異常検出(ステップS10a)と第2シーケンスの異常検出(ステップS20a)を異ならせる場合について説明したが、異常検出を同じにして、異常時制御(ステップS10b、S20b)のみを異ならせるようにすることもできる。すなわち、ステップS11とステップS12で同じ閾値を用いてもよい。このように構成した第2シーケンスでも、第1シーケンスとは異なって、冷媒回路14を異常検出のみでは停止させないという処理が行なえる。そのため、第2シーケンスでは異常検出があっても冷媒回路14の運転を継続することができ、冷房運転あるいは暖房運転の温度調整を早めることができる。
(6−7)
上記実施形態では、第1シーケンスの異常時制御(ステップS10b)と第2シーケンスの異常時制御(ステップS20b)を異ならせる場合について説明したが、異常時制御を同じにして、異常検出(ステップS10a、S20a)のみを異ならせるようにすることもできる。この場合でも、上述したように、第1シーケンスでは異常時制御を行うような状況でも第2シーケンスでは異常時制御を行わないため、始動状態で室外ファン38aに外力によってトルクが発生している場合に対応することができる。
(6−8)
上記実施形態では、過電圧と過電流の両方を検知できるようにして、過電圧又は過電流の一方でも発生していれば異常検出があったと判断したが、いずれか一方のみしか検知できない構成であってもよい。また、過電圧と過電流の両方が検知されたときに異常検出があったと判断するように構成することもできる。
また、脱調を検知できるようにして、脱調が発生していれば異常検出があったと判断するように構成することもできる。さらに、過電圧、過電流及び脱調の検知を適宜組み合わせて異常検出を行なうように構成することもできる。
脱調の判断は、例えば、ロータ位置センサレス制御において、モータ駆動システムのモデルから演算(推定)されるモータ電流と、実際に測定された電流との差が所定の閾値よりも大きいことなどをCPU71で判断することによって行なえる。
(6−9)
上記実施形態では、空気調和装置10(駆動装置)の異常時制御において、モータ以外の装置操作を行う例として、冷媒回路の圧縮機の運転を停止して冷媒回路の運転を停止す
る例について説明した。しかし、異常時制御において行なうモータ以外の装置操作は、圧縮機の運転の停止だけには限られず、例えば電動弁34の開度を変更するなど、他の装置操作であってもよい。
(6−10)
上記実施形態では、表示部28によって異常発報を行う場合について説明したが、異常発報は、表示だけには限られない。例えば、警告音などの他の報知手段によって発報されてもよい。
(6−11)
上記実施形態では、検出値の変更を検出回路構成の切り替えで行っているが、同じ回路・検出値を用い、異常と判別する閾値をソフトウエアで変更するように構成してもよい。
10 空気調和装置
14 冷媒回路
20 室内機
30 室外機
31 圧縮機
37 プロペラファン
38 室外ファンモータ部
38a 室外ファンモータ
38b インバータ回路
50 制御装置
70 室外制御部
81 電圧検出部
82 電流検出部
特開2003−148788号公報

Claims (16)

  1. インバータ(38b)によって駆動電力が供給されるモータ(38a)を含む駆動装置(10)の制御装置(50)であって、
    前記インバータ及び前記モータのうちの少なくとも一方の異常を検知して異常検出を行なう検出部(81,82)と、
    前記検知部での前記異常検出及びそれに応じた前記駆動装置の異常時制御について、前記モータの定常状態では第1シーケンス(S10)に沿って行い、前記定常状態の前の始動状態では前記第1シーケンスとは異なる第2シーケンス(S20)に沿って行う制御部(70)と、
    を備える、制御装置。
  2. 前記制御部は、前記検出部での前記異常検出によって前記第1シーケンスでは異常時制御を開始する場合でも、前記第2シーケンスでは前記異常時制御を開始しない、
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記検出部が検知する前記異常は、前記インバータの過電圧、前記モータの過電流及び前記モータの脱調のうちの少なくとも一つである、
    請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記過電圧を判断する閾値電圧、前記モータの過電流を判断する閾値電流及び脱調を判断する閾値のうちの少なくとも一つを超えると前記定常状態では前記異常時制御を行う場合でも、前記始動状態では前記異常時制御を行わない、
    請求項3に記載の制御装置。
  5. 前記制御部は、前記第1シーケンスにおいて前記検出部が前記異常検出を行うための第1検出基準よりも緩和された第2検出基準を前記第2シーケンスにおいて用いることにより、前記第1シーケンスにおいて前記異常時制御を開始する場合でも前記第2シーケンス
    においては前記異常時制御を開始しない、
    請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
  6. 前記制御部は、前記第2シーケンスにおいて前記検出部における前記異常検出を停止すること又は無効化することにより、前記第1シーケンスにおいては前記異常時制御を行う
    場合でも、前記第2シーケンスにおいては前記異常時制御を行わない、
    請求項2から5のいずれか一項に記載の制御装置。
  7. 前記制御部は、前記モータの回転数が所定値を超えていれば、前記第1シーケンス及び前記第2シーケンスのいずれにおいても、前記モータの駆動を停止させる、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
  8. 前記制御部は、前記モータのロータ位置センサレス制御を行い、前記モータが安定したロータ位置センサレス運転に移行した状態を定常状態と判定する、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
  9. 前記制御部は、前記モータの回転数が指令値に達した場合に前記定常状態になったと判定する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
  10. ファン(37)と、
    インバータによって駆動電力が供給され、前記ファンを駆動するファンモータ(38a
    )と、
    前記インバータ及び前記ファンモータのうちの少なくとも一方の異常を検知して異常検出を行なう検出部(81,82)及び、前記検知部での前記異常検出及びそれに応じた装置の異常時制御について、前記ファンモータの定常状態では第1シーケンスに沿って行い、前記定常状態の前の始動状態では前記第1シーケンスとは異なる第2シーケンスに沿って行う制御部(70)を有する制御装置(50)と、
    を備える、ヒートポンプ装置。
  11. 前記検出部が検知する前記異常は、前記インバータの過電圧、前記ファンモータの過電流及び前記ファンモータの脱調のうちの少なくとも一つである、
    請求項10に記載のヒートポンプ装置。
  12. 前記ファンを通る空気流との間で熱交換を行うために冷媒を循環させる冷媒回路(14)をさらに備え、
    前記制御部は、前記第1シーケンスにおいて前記冷媒回路の動作について異常時制御を開始する場合でも、前記第2シーケンスにおいては前記冷媒回路の動作についての前記異常時制御を開始しない、請求項10又は請求項11に記載のヒートポンプ装置。
  13. 前記制御部は、前記第2シーケンスにおいては、前記第1シーケンスで前記冷媒回路を監視する第1条件と異なり前記第1条件よりも厳しい第2条件を用いて前記冷媒回路の監視を行い、前記第1条件が満たされていなくても前記第2条件が満たされたときに前記冷媒回路で異常が発生していると判断する、
    請求項12に記載のヒートポンプ装置。
  14. 前記制御部は、前記第2条件が満たされて異常が発生していると判断したときに、前記冷媒回路の動作の異常時制御を行う、
    請求項13に記載のヒートポンプ装置。
  15. 前記制御部は、前記第2条件が満たされて異常が発生していると判断した回数が所定の回数を超えたときに、異常発報を行なう、請求項13又は請求項14に記載のヒートポンプ装置。
  16. 前記ファン及び前記ファンモータが室外機(30)に設置されている、
    請求項10から15のいずれか一項に記載のヒートポンプ装置。
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