JP2012166338A - パッドドレッシング装置及びパッドドレッシング方法 - Google Patents

パッドドレッシング装置及びパッドドレッシング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】研磨パッドの表面を基準にドレッシングするための適度な弾性を有しつつ、長期に亘って交換することなく使用することができるようにする。
【解決手段】支持部32の下端には、束線バンド35で束ねられた弾性部材31が取り付けられている。弾性部材31は、線径が0.15mmで長さ25mmのタングステン線が30本ずつ1束に束ねられて構成されている。また、弾性部材31の各素線の先端部は丸切りのまま研磨パッド20に接触して研磨パッド20のドレッシングを行うようになっている。弾性部材31の各素線の先端部の線径を細くして研磨パッド20の切削幅を小さくすると共に、弾性部材31の各素線を束線バンド35で束ねることによって弾性部材31の剛性を高め、各素線の細い先端部に大きな圧力がかかるようにしている。従って、弾性部材31の先端部は研磨パッド20に有効な切り込み深さを与えることができる。
【選択図】図12

Description

本発明は、パッドドレッシング装置及びパッドドレッシング方法に関するものであり、特に、半導体ウェーハ等のワークを研磨する研磨装置の研磨パッド表面を再生するためのパッドドレッシング装置及びパッドドレッシング方法に関するものである。
半導体装置の微細化及び多層化が進むにつれて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)技術は半導体装置の製造工程になくてはならない必須の技術になっている。このCMP技術は、層間絶縁膜の平坦化のみならず、Cu配線や素子分離など、現在では様々な工程に利用されている。
平坦化CMPにおける重要な仕様の一つに、研磨レートのワーク面内均一性(研磨均一性)がある。研磨均一性を向上させるためには、研磨レートに影響する要素をワーク面内で均一に分布させることが重要になる。
この重要な要素として、研磨圧力や研磨の相対速度などがあるが、従来から定量化が進んでいない重要な要素として、研磨パッドの表面状態がある。研磨パッドの好ましい表面状態は、パッドドレッシングによって形成される。このことは、例えば研磨の最中にパッドドレッシングも同時に行う、いわゆるin−situドレッシングにおいて、パッドドレッシングを停止すると研磨レートが急激に落ち込むという事実からも、研磨パッドの表面状態の厳密な制御が重要であることが明らかである。
パッドドレッシングとは、ダイヤモンドなどの砥石が付設されたパッドドレッサー(以後、単にドレッサーと称することもある)を研磨パッドに当接させ、研磨パッドの表面を削り取る乃至は表面を粗化すなどして、スラリーの保持性を良好にして研磨可能な状態に初期化したり、使用中の研磨パッドに対してスラリーの保持性を回復させ、研磨能力を維持させることをいう。
このパッドドレッサーとしては、従来からダイヤモンド砥粒が電着されたドレッサー(パッドドッレシング装置)が用いられ、軸の回りに回転させられながら研磨パッドに押し付けられて研磨パッドをドレッシングするものが多く使用されている(例えば、特許文献1、又は特許文献2参照)。
図24は、特許文献1に記載されたパッドドレッサーを説明するための概念図である。特許文献1に記載されたパッドドレッサー130は、図24に示すように、ダイヤモンド砥粒133、133、…が電着された基板131が支持部132に対して固定して取り付けられている。
また、図25は、特許文献2に記載されたパッドドレッサーを説明するための概念図である。特許文献2に記載されたパッドドレッサー130Aは、原理的には図25に示すように、ダイヤモンド砥粒133、133、…が電着された基板131Aが、例えば、ボールジョイント132a等のいわゆるジンパル構造を介して、支持部132Aに対して全方向に揺動可能に取り付けられ、研磨パッド20の表面に倣う構造になっている。
また、ダイヤモンドドレッサーの他にブラシドレッサーを設けたものも知られている(例えば、特許文献3参照。)。この特許文献3には、研磨パッド表面を削り取る第1のドレッサーであるダイヤモンドドレッサーと、研磨パッドの研磨面の凹部に詰まった異物を掻き出すための第2のドレッサーであるブラシドレッサーが開示されている。
ブラシドレッサーは研磨面の凹部に詰まった異物を掻き出すことを目的としているので、パッドを削る、いわゆる、パッドドレッシングについては、第1のドレッサーであるダイヤモンドドレッサーが担っている。
また、ブラシドレッサーとして使用されている部材としては、ナイロンブラシが使用されている。しかし、ナイロンブラシでは、パッド表面をブラッシングする能力はあるが、パッド表面を削る効果はない。
これは、本発明に先立ち、パッドドレッシングの効果を見極める検討を行った。最初に研磨パッド表面を削り取ることなく、純水を供給しながら研磨パッド表面をナイロンブラシによりブラッシングを行い、目詰まりさせた研磨パッドにおける研磨レートの回復を評価した。しかし、長時間の純水供給およびブラッシングにも関わらず、研磨レートは大きくても31.4%しか回復しなかった。このとき研磨パッド表面をSEM観察して、研磨パッド表面の異物がきれいに除去されていることを確認している。
[関連文献:上川大地、藤田隆他、2004年精密工学会東北支部学術講演会論文集P22参照]
この実験によって、ブラッシングにより研磨パッドの表面に滞在する異物を除去するだけでは、パッドドレッシングを行ったことにならないことを明らかにしている。この後に研磨パッド表面を削る通常のダイヤモンドドレッシング処理を施すことで、研磨レートが回復したことも確認しており、パッドドレッシングを行うには、研磨パッド表面を削る必要性があるとしている。尚、ナイロン等の樹脂製ブラシの場合、同じ樹脂材料であるポリウレタンで構成されたパッドを削る上で、同じ樹脂材料であることから、双方が同じように摩耗して朽ちてしまい、パッドを削ることにならないことは当業者であれば容易に理解しうる。
また、これに加えて研磨パッドの目詰まりによる研磨レート低下過程では、研磨パッドの表面が化学的に改質されることも明らかにしている。このように化学的に改質されることも、研磨レートを低下させる一つの要因であると結論付けている。
[関連文献:藤田 隆他 2005年精密工学会春季大会学術講演会講演論文集P845]そのため、パッドドレッシングにおいては、パッドの表面の凹凸が詰まることにより、研磨レートが低下すること以外にも、研磨パッドそのものが改質することによる影響もあるため、パッド状態を完全に回復させるためには、研磨パッドを削り取らなければならないことは、こうした事例からもわかる。
このようなことから、本発明者は、研磨パッド表面の異物を掻き出すといった効果は、研磨レートを維持するためのドレッシングとして不十分であり、改質されたパッド表面を削ることが必須であることを明らかにした。
パッドドレッシングは、パッドブラッシングと混同して使用されることがしばしばある。しかし、ここでは、こうした事例を考慮して、パッドドレッシングを、パッドブラッシングと対比して次のように定義する。
パッドドレッシングとは、パッドを物理的に削りつつ、表面を荒らすことで、パッド状態を一定に保つ処理のこととする。それに対して、パッドブラッシングとは、パッドを削ることなく、パッドの凹凸に含まれる研磨屑などを除去するために行う処理のこととする。両者は、その機能面でも、研磨により改質されたパッド表面そのものを、物理的に削り除去するか、しないかによって、明確に区別されるものである。
よって、この開示された技術の中では、ブラシによりパッド表面を削りとり、ドレッシングを行うといった内容はなく、あくまでパッド表面に滞在している異物を取り除くための手段として使用されている。
この他にも、ブラシを用いたドレッシングを記載した技術が開示されている(例えば、特許文献2又は特許文献4参照。)。しかし、特許文献2及び特許文献4に記載のブラシドレッサーも特許文献3と同様、研磨パッド内の異物を掻き出すためのブラッシング方法としての記載であり、研磨パッドの表面を削るためのドレッシングではない。
また、ブラシを用いたドレッシングを記載した技術として、研磨ウェブにテクスチャを与えるために研磨調整エレメント(ここでいうドレッサー)として、金属ワイヤなどの比較的剛性の高い材料を使用した構成が示されている。(特許文献5)
しかし、特許文献5においては、研磨ウェブをローリングターンバーで引っ張って調整し、その張設された研磨ウェブに対して、パッド表面を調整するものである。このような場合、固定支持されたパッド表面を基準とするドレッシングはできない。なぜなら、ドレッシングの圧力がパッドの張力など様々な要因が絡むからである。
同様にブラシを用いたドレッシングを記載した技術として、可撓部材に支持された粗面化部材表面がパッドのうねりに倣って接触してドレッシングを行う方法が記述されている。その粗面化部材としてブラシを使用する実施例も記載されている。(特許文献6)
しかし、特許文献6では、粗面化部材および可撓部材を固定する部分は、ピンヒンジによって、調整アームに取り付けられている。すなわち、ブラシを使用したとしても、その点群は、全体として一つの面として作用する。ブラシ面で受けた摩擦力によって、ブラシ面全体がパッド面に対して傾くため、結果的に先に述べたような、ドレッサーのパッドに対する断続的な接触を免れることはできない。そのため、パッド表面を基準とした表面基準ドレッシングを実現できるものではない。また、これは、粗面化部材としてダイヤモンドタイプと互換性があるとの記載からも、ここで取り上げるブラシは、あくまでパッドを粗面化する機能を有するだけのものであり、パッド表面を基準にドレッシングする機能を有するものではないことが容易に理解できる。
また、両面研磨においてブラシを使用してパッド表面をドレッシングする方法について、示されている。(特許文献7)。しかし、これはブラシの構成として座屈変形しない程度の硬いブラシを使用するということから、ブラシの弾性変形を許容するものではないため、やはり表面基準ドレッシングを可能とするものではない。
また、研磨パッドの表面の凹みを無くすためのブラシドレッサーが示されている。(特許文献8)。しかし、これは、パッド表面の凹みを無くすことが記されていることから、パッド表面の形状に沿ってドレッシングするものではないこと。ブラシのドレッサー(図12)は、ダイヤモンドタイプのドレッサー(図10)やセラミックスドレッサー(図11)と、並列的に互換可能な記述であることから、単にドレッサー表面に凹凸形状を設け、そうした表面形状をもつドレッサーで、パッド表面を削ることが目的とみなされる。
この中には、部材の弾性変形によって、パッド表面を基準に均一にドレッシングする構成ならびに方法は示唆されるものではなく、表面を平坦に修正するドレッシング方法が示されている。
さらに、研削砥石に関するドレッシング方法として、ナイロンブラシに超硬質砥粒を練り込んで生成したドレッサーが示されている。(特許文献9)
研削加工のドレッシングであるため、ドレッサーを行う際に、ナイロンブラシに練り込まれた硬質砥粒が脱落し、ドレッサー自身が自生することなども想定される。本件にのべる半導体ウェーハの平坦化などに使用される場合では、例えばドレッシング際のダイヤモンド砥粒が脱落すると、研磨パッドとウェーハの間に砥粒が挟み込まれ、ウェーハ表面に致命的なスクラッチを及ぼす。よって、砥粒の脱落を起こすドレッサーは、半導体ウェーハの研磨用のドレッサーとして、前提となる仕様から除外される。
さらに、研磨パッドの表面を基準として、表面基準を行うドレッシング方法が示されている (特許文献10)。しかし、特許文献10においては、個々の線形部材が独立して作用する場合、線材の線径を太くすれば、剛性は大きくなる。しかし、線径が太いと、パッドに有効な切り込み深さを与えることができない。また、仮に、過剰な力でパッドに有効な切り込み深さを与えたとしても、パッドを削り取る単位が大きくなり、パッド表面を削り荒らすというよりも、むしろパッド表面をむしりとるという形になる。
パッドドレッシングにおいては、パッド表面をむしりとるとパッド表面でほどよくスラリーなどを含んだ水和層までもむしりとることになり、かえってパッド表面のスラリーの保持性を悪化させることになりかねない。このスラリーの保持している水和層は、パッドの部材にもよるが、発泡ポリウレタンの場合、約数十μmオーダーであり、その中でも削
り取ったとしても、なお水和性を維持しつづける削りとる単位大きさは、数μmから十数
μm程度である。よって、太い線材を使用したドレッサーの場合、パッドを細かく削りな
がら荒らすことは難しい。
その一方で、個々の線材を細くすれば、パッドを細かく荒らすことが可能と考えられる。しかし、個々の線材を細かくすると、個々の線材の曲げ剛性は小さくなるため、有効な切り込み深さを得る程、線材の剛性がなく、パッド表面を削り取りながら荒らすとするドレッシング自体を行うことが難しくなる。
また、パッドを細かく削り荒らす程度の線径があったとしても、次に先端部の摩耗の問題がある。例えば、線形0.25mm程度の線材では、パッド表面を削り取る程度の十分な剛性を確保できるが、先端部の摩耗の問題がある。通常ダイヤモンドのような高硬度な部材を砥粒として使用する場合、砥粒先端の鋭利性はある程度の処理時間確保することが可能であり、パッドを削り取る能力は、その時間においては安定する。しかし、0.25mmのような細い線材の先端にダイヤモンド砥粒を電着などでつけることは非常に難しい。よって、線材そのものの先端部でドレッシングすることが望まれる。しかし、例えば金属材料のSUSなどでドレッシングする場合、ダイヤモンドなどと比較すると耐摩耗性は非常に低いため、すぐに先端部は鈍化する。その結果、その鈍化と共に、パッド自身が削り荒らすことの続行が不可能となり、非常に短命であった。
以上から、0.25mm程度の細い線材を使用したとしても、先端の鈍化の進行により実質的に使用できる時間が非常に短い問題を抱えていた。
さらに、単純に複数の素線が結束され、先端部付近がその上部と同様に、全て結束されている場合、有効な切り込み量を与えることができない問題がある。これは、先端部は一つ一つの点として作用するが、その先端部が非常に密に存在する場合、一つ一つの先端点といえども、一つの点がパッドに及ぼす圧力が急激に低下するからである。極端な事例では、複数の素線を非常に密に隙間なく結束した場合、素線の先端部は、一つ一つの先端点ではなく、一つの面としてみなされてしまう。その結果、パッドを削り取るための有効な切り込みを与えることができなくなり、パッドを削り取りながら、荒らすといったパッドドレッシングを行うことは不可能になる。よって、先端点については、それぞれの先端点が独立してパッドに作用しない系においては、パッドを絶えず均一に削り荒らすことは難しくなる。
特開2001−274122号公報 特開2003−181756号公報 特開2003−211355号公報 特開平10−329003号公報 特表2002−515833号公報 特開平10−315117号公報 実願昭61−180644号公報 特開2000−79551号公報 特開2002−273656号公報 特開2007-90516号公報
ところで、CMP装置で使用される研磨パッドは、研磨パッドそのものの厚みむらや研磨定盤への貼り付けむらがあることから、貼り付け後の研磨パッド表面は平面ではない。貼り付けた後の研磨パッド表面は通常30μm〜50μm程度のうねりの高低差(起伏)をもっている。
しかし、CMPにおいては、ウェーハ面内を均一に研磨するため、このような起伏を有する研磨パッド表面に対しても、起伏の表面に倣って(追従して)均一にドレッシングすることが求められている。
図26は、CMPに要求されるパッドドレッシングの仕様の概念を表した図である。図26に示すように、例えば、高低差が約50μmで、うねりが幅100mm程度に形成された研磨パッド20をドレッシングする場合、うねりに倣って均一にドレッシングすることが求められる。このように研磨パッドは弾性材料であることから、CMP装置におけるパッドドレッシングは、弾性材料の表面基準研削加工と位置付けることができる。
ところが、前述の特許文献1に記載されたパッドドレッサー130では、図24に示すように、ドレッサー(つまり、ダイヤモンド砥粒133、133、…が電着された基板131)が支持部132に完全固定されているので、研磨パッド表面うねりの山部分のみを削り取ることになる。そのため、研磨パッド表面に沿った均一なドレッシングができないという問題がある。
また、前述の特許文献2に記載されたパッドドレッサー130Aは、図25に示すように、ドレッサー面が研磨パッド20の面に倣うように支持されているが、実際のパッドドレッシングにおいて研磨パッド表面に倣って均一にドレッシングすることができない。なぜなら、高速運動する研磨パッド20に接触するパッドドレッサー表面には大きな摩擦力が働くため、パッドドレッサーが研磨パッド20に対して傾くからである。パッドドレッサーが傾くことによって摩擦が軽減されると、パッドドレッサーが元の姿勢に戻ることから、結果的には断続的に研磨パッド20に接触(スティックスリップ)することになる。
このような研磨パッド20面内におけるドレッシングのばらつき(不均一性)は、ウェーハヘの研磨性能に対して、次のような問題を引き起こす。まず、研磨パッド面内でドレッシングされている部分とされてない部分が混在するため、ウェーハ面内に研磨むら(研磨ばらつき)が発生する。次に、研磨パッドを立ち上げる工程において、全面が均一にドレッシングされず、徐々にドレッシング領域が広がっていくことから、研磨レートが飽和するのに時間がかかる。研磨レートが飽和しないものは製品処理に使用できないため、結果的に研磨パッドの立ち上げ時間が長くなる。
さらに、従来のダイヤモンド電着プレートを使用して研磨パッドのドレッシングをした場合、前述したように、研磨パッドが高速運動する際、パッドドレッサーが摩擦力により傾き、次に元の姿勢に戻るといった形態によってパッドドレッサー系全体が断続的な接触を繰り返すこととなる。この現象により、前述した研磨パッドの周方向のドレッシングばらつきを起こすが、問題はこれだけに限らない。
パッドドレッシングにより除去する研磨パッド切り屑の大きさについても、パッドドレッサーが断続的接触をする中では、大きく削れる部分と、小さく削れる部分とが混在し、切り屑の大きさのばらつきが大きくなる。また、研磨パッド面は安定して細かく削れるのではなく、結果的に大きく剥離して削れることになるため、パッドドレッシングにより磨耗する研磨パッドの磨耗量は大きくなる。結果として、研磨パッドの寿命が短くなり、研磨パッドの交換周期が早まるという問題も生じている。このようなことから、従来のパッドドレッサーは、弾性体の表面基準研削という観点からみたときに、構造上において本質的な問題を抱えている。
さらに、従来の表面基準ドレッシング機構では、複数の弾性部材を使用して研磨パッドの表面を追従するようにドレッシングする機構となっているため、次のような種々の問題が生じる。
すなわち、弾性部材の先端部に高硬度の耐摩耗性物質(例えば、ダイヤモンド砥粒)を取り付ける場合に、パッドドレッシング時の摩擦によって耐摩耗性物質(ダイヤモンド砥粒)が脱落することがある。また、線径の細い弾性部材の先端部に精度良く耐摩耗性物質を取り付けることは技術的な難易度が高く、結果的に研磨装置のコストが高くなってしまう。
さらに、弾性部材の先端部に耐摩耗性物質を使用することなく、金属材料などを使用した場合は、先端部がすぐに摩耗してしまってパッドドレッサーの交換頻度が非常に早くなってしまうなどの問題がある。
また、パッドドレッサーの弾性材料として、研磨パッドの表面の起伏に追従するために、適度な弾性を有しつつ、かつ、ドレッシングに対して十分な耐摩耗性がある好適な材料が必要であるが、現在のところそのような好適な材料は存在していない。
また、弾性部材の先端部が磨耗すると、パッドドレッシング能力が急激に低下して研磨レートの著しい低下を引き起こすおそれがある。その結果、従来のディスクタイブのダイヤモンドドレッサーと比較すると、弾性材料はドレッサー交換頻度が高くて使用に耐えることができないなどの問題を有している。
さらには、特許文献10の図1、図2に示される形態では、各複数の素線のパッド運動方向に対する向きは一定であり、研磨対象であるパッド表面が絶えず素線に対して一方向から作用するため、複数の素線の先端部の摩耗形態が、一方向から常時接触されたことによる摩耗形態となる。そうした摩耗形態の場合、ドレッシングすればするほど、一方向から摩耗が進行し、その摩耗度合いによって、パッドを削る能力が変化する。また、先端部の摩耗度合いのみならず、複数の素線の曲げの形態も、一方向からの連続的な応力によって、素線そのものに曲げの癖がついてしまい、パッドに対して複数の素線が安定した接触圧力を与える程度の強度が徐々に失われていってしまう。そうすれば、ダイヤモンドなどと比べて、耐摩耗性の点で程遠い金属部材の材料であれば、先端部がパッドを削り取る能力が急激に低下し、結果的に非常に短命となる。
従って、研磨パッドの表面を基準にドレッシングするための適度な弾性を有しつつ、長期に亘って交換することなく使用することができるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、運動するプラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッドと、複数の素線を結束して構成された弾性部材とを備え、前記弾性部材は、該結束した複数の素線を一体的に曲げることで、前記弾性部材の先端が前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触するための有効な長さを有する弾性変形部と、前記結束が開放され、前記弾性部材の各素線の先端が独立して作用して前記研磨パッド表面を削り荒らすための先端部と、前記結束した複数の素線のもう一端を取り付けた支持部とを有し、前記弾性部材を、前記研磨パッド面に対して所定のドレッシング圧力で押圧しながら、平行に相対的に移動させることにより、前記研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることを特徴とするパッドドレッシング装置を提供する。
一般的には、非常に細い線材を束ねて弾性部材を構成すると、研磨パッドに対して十分なドレッシング圧力を与えることができず、そのために研磨パッドを削り取るほどの有効な切り込み深さを与えることができない。
また、従来の技術では、パッドドレッサーの先端部が鈍化すると、先端部は表面を平坦にならすだけであって、有効な切り込み深さを与えて研磨パッドを削ることは不可能である。
従来、パッド表面を細かく削り荒らすという目的から、細い素線を使用する場合があるが、この場合、弾性変形部の剛性が極度に低下し、弾性材料の先端部がパッド表面を削り取りながら、荒らすことが不可能であった。
しかし、本発明では、細い素線を複数本結束して弾性部材を構成することにより、個々の素線は細くても、弾性部材全体としては十分な弾性強度を得ることが可能となる。これにより、本発明は、以下のような特殊な作用効果を呈することができる。
すなわち、弾性部材の個々の素線は細い線材で構成されているため、細い線材の先端部が研磨パッドに当接する。このとき、弾性材料からなる弾性部材は、ダイヤモンドほどの耐磨耗性がないため、弾性部材の先端部はすぐに鈍化する。しかし、鈍化した先端部であっても、弾性部材を結束することで非常に大きい曲げ剛性を得ることができるので、研磨パッドを切削するための切り込み量を十分に得ることができる。その結果、弾性部材を構成する各素線の先端の鈍化に関係なく、安定したパッドドレッシングを行うことが可能となる。
即ち、請求項1記載の発明によれば、弾性部材を構成する複数の素線は、非常に細い線材で形成されているが、弾性部材に適正かつ十分な撓み剛性を与えることができる。これによって、弾性部材は研磨パッドを適正な掬い角で研磨することができる。
請求項2記載の発明は、前記弾性部材は、前記運動する研磨パッド面に対して回転運動させることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置を提供する。
請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載の発明と同様の作用を奏するとともに、前記運動する研磨パッド面に対して研磨部材を回転運動させることで、研磨部材は回転しつつ研磨パッド面に接触するので、該研磨パッドの表面を微小に削り取ることができる。
請求項3の発明は、前記弾性部材は、複数の素線を撚り合せることによって形式されていることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置を提供する。
請求項3記載の発明によれば、弾性部材を構成する複数の素線を撚り合わせることによって、個々の細い素線を一体化させて適正な曲げ剛性を得ることができる。
請求項4の発明は、前記弾性変形部は、前記複数の素線を結束するとともに、前記複数の素線は、前記研磨パッドに当接する素線と、前記研磨パッドに当接しない短い素線とからなることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置を提供する。
請求項4記載の発明によれば、複数の素線は、前記研磨パッドに当接する素線と、前記研磨パッドに当接しない短い素線とからなるので、研磨パッドに当接する素線同士の隙間が適正に確保される。
請求項5の発明は、前記弾性変形部は、前記複数の素線同士を結束するとともに、前記複数の素線の中央部分に補強部材を介在させて、剛性を向上させてなることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置を提供する。
請求項5記載の発明によれば、複数の素線は、複数の素線の中央部分に補強部材を介在させて剛性を向上させたので、前記素線の中央部分の剛性が高められる。
請求項6の発明は、前記弾性変形部は、前記複数の素線を結束するとともに、前記複数の素線を束状にして、可撓性チューブの中に挿入して剛性を向上させてなることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置を提供する。
請求項6記載の発明によれば、複数の素線は、束状にして可撓性チューブの中に挿入して剛性を向上させたので、可撓性チューブによって弾性変形部の撓み剛性が高められる。
請求項7記載の発明は、ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、
傾斜ないしは鉛直状態で設置され、該状態で回転可能なプラテンと、
該プラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッドと、
該研磨パッドの表面をドレッシングするドレッサーとを備え、
該ドレッサーは、前記研磨パッドの表面を削り取る先端部を有する複数の素線からなる弾性部材で構成され、
前記弾性部材は、該結束した複数の素線を一体的に曲げることで、前記弾性部材の先端が前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触するための有効な長さを有する弾性変形部と、
前記結束が開放され、前記弾性部材の各素線の先端が独立して作用して前記研磨パッド表面を削り荒らすための先端部と、
前記結束した複数の素線のもう一端を取り付けた支持部とを有し、
前記支持部が前記研磨パッドの表面に対して相対的に移動するともに、前記弾性部材の先端部が前記研磨パッドの表面に当接され、該弾性部材が弾性変形することにより、前記先端部が、所定のパッドドレッシング圧力で前記研磨パッドの表面に押圧され、
押圧された前記弾性部材が前記研磨パッドの表面を削り取るとともに、前記研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることを特徴とするパッドドレッシング装置。
を提供する。
請求項7記載の発明によれば、傾斜ないしは鉛直状態で設置されたプラテンに研磨パッドが固定支持され、該研磨パッドの表面に弾性部材の先端部が押圧され、研磨装置に取り付る前の研磨パッド表面の前処理としてパッドドレッシングが行われる。
このとき、削られた研磨パッドの切り屑が研磨パッド表面から離れて落下し、研磨パッド表面は細かく削り荒らされ、スラリーを保持する上で十分な表面が確保される。そして、前処理を施した研磨パッドによるウェーハの研磨処理では、一枚目のウェーハから所定の研磨レートが確保される。
請求項8記載の発明は、ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、ドレッシング部分に気体を吹き付ける機構ないしは、削り屑を含む粉塵を吸い込む機構を有することを特徴とする請求項7記載のパッドドレッシング機構を提供する、
請求項8記載の発明によれば、ドレッシング部分に気体を吹き付けるノズル等の機構、或いは、削り屑を含む粉塵を吸い込む機構を備えるので、ノズル等の機構で切り屑を吸い取って、研磨パッド面上の切り屑が研磨パッド面内に埋め込まれることを防止でき、また、その近傍から切り屑を気体の吹き込みで飛散して除去することが可能になる。
請求項9記載の発明は、ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング方法において、運動するプラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッド面に対して、複数の素線で構成される弾性部材を、平行に相対的に移動しながら、ドレッシングを行うでパッドドレッシング方法であって、前記弾性部材は、前記複数の素線の一端を支持部に取り付けるとともに、前記複数の素線同士を結束し、該結束部分を一体的に曲げて、弾性部材の先端を前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触させ、且つ、前記複数の素線の先端付近は結束を開放して、個々の素線の先端は独立して前記研磨パッドの表面を削り荒らし、該研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることを特徴とするパッドドレッシング方法を提供する。
請求項9記載の発明によれば、複数の素線の一端を支持部に取り付けると共に、複数の素線同士を結束し、該結束部分を一体的に曲げて、弾性部材の先端を研磨パッドの表面に一定圧力で接触させ、且つ、複数の素線の先端付近は結束を開放して、個々の素線の先端は独立して研磨パッドの表面を削り荒らすので、先端部が研磨パッドの表面に追従し、研磨パッド表面に沿った均一なパッドドレッシングを完遂することができる。
請求項1記載の発明は、弾性部材は研磨パッドを適正な掬い角で研磨することができる。その結果、研磨パッドに沿った均一なパッドドレシングが可能となり、研磨レートのワーク面内における均一性に優れた研磨加工を行うことができる。
更に、弾性部材を構成する複数の素線に最適な曲げ剛性を得ることができるので、弾性部材は研磨パッド表面に適正な切り込み量を与えることができる。
更にまた、結束した複数の素線を一体的に曲げることで、弾性部材の先端が研磨パッドの表面に一定圧力で接触する。このため、弾性部材の素線の先端部が独立して作用し、研磨パッドの表面を削り荒らすことができ、切り込み深さ、切り込み幅を小さくしつつ、ファイバー結束を通じて、弾性変形部の格段の強度アップを図ることができる。
請求項2記載の発明は、研磨パッドの表面を微小に削り取ることができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、パッドドレッシング効果を一層向上させることができる。
請求項3記載の発明は、個々の細い素線を一体化させて適正な曲げ剛性を得ることができるとともに、弾性部材の先端部付近は、その撚り合わせを開放させることにより、請求項1記載の発明の効果に加えて、前記先端部同士が適当な間隔を持ち、研磨パッドに対して適正な切り込み量を与えることができる。
請求項4記載の発明は、研磨パッドに当接する素線の隙間が適正に確保されるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、切り屑を詰まらせることなく排出させることができ、その結果、パッドドレッサーによる研磨効率を一層向上させることができる。
請求項5記載の発明の効果は、パッドドレッサーの中央部分の曲げ剛性が高められ、周辺の細い素線の束、即ち、可撓線材が研磨パッドに当接するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、可撓線材の先端にて絶えず研磨パッドをドレッシングすることができ、ドレッシング効率を一層高めることができる。
請求項6記載の発明は、可撓性チューブによって弾性変形部の撓み剛性を向上させるとともに、可撓性チューブによって、研磨用のスラリーの飛散などから細い素線を保護することができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、可撓性チューブによる撓み抑制とスラリーの飛散に対する素線の保護を通じて、ドレッシング効率を一層高めることができる。
請求項7記載の発明は、研磨パッド表面に、前処理としてのパッドドレッシングを施すことで、ウェーハの研磨処理の際に、一枚目のウェーハから所定の研磨レートを確保することができる。その結果、研磨レートが安定域に達するまでの研磨処理を不要にすることができる。
請求項8記載の発明は、切り屑が研磨パッド内に埋め込まれることを防止でき、また、研磨パッド上の切り屑を気体で飛散・除去することができるので、切り屑による弊害の回避を通じて、パッドドレッシング装置の効率を一層向上させることが可能になる。
請求項9記載の発明は、先端部が研磨パッドの表面に追従し、研磨パッド表面に沿った均一なパッドドレッシングを完遂することができ、研磨パッドにおける研磨ドレッシングの効率を向上させることができる。
本発明の実施例に係わる研磨装置を表す斜視図。 本発明に係る第1の前提技術のパッドドレッサー30の概念図。 本発明に係る第2の前提技術のパッドドレッサー30の概念図。 本発明に係る第3の前提技術のパッドドレッサー30の概念図。 本発明に係る第4の前提技術のパッドドレッサー30の概念図。 本発明に係る第5の前提技術のパッドドレッサー30の概念図。 図2のパッドドレッサー30によるドレッシング模式図。 単一ファイバーにおける座屈応力を説明するための図。 すくい角の比較を示す図であり、(a)はダイヤモンドドレッサーの場合、(b)はファイバードレッサーの場合。 束ねた複合ファイバーにおける座屈応力を説明するための図であり、(a)は座屈応力を説明するための図、(b)は一辺がhの正方形断面を仮定した図、(c)は(b)において中心に一本のファイバーが存在すると仮定した図。 研磨パッド20をドレッシングして研磨可能な表面状態に初期化するためのパッド前処理装置を表した図。 本発明の第1の実施例に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図。 ファイバードレッサーにおける各素線の線径とパッド切削量の関係を示す特性図。 本発明の第2の実施例に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図。 本発明の第3の実施例の其の1に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図。 本発明の第3の実施例の其の2に係るパッドドレッサーの概念図。 本発明の第3の実施例の其の3に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図。 本発明の第3の実施例の其の4に係るパッドドレッサーの概念図。 線径の異なる素線を用いた弾性部材でドレッシングを行ったときの研磨レートを示す実験結果の特性図。 パッド切削量の時間依存性を示す特性図。 従来のダイヤモンドドレッサーと本発明のファイバードレッサーにおけるパッド切削状態の違いを示す概念図。 縦型のパッド前処理装置の概念図。 図22のパッド前処理装置におけるドレッサーの構成例を示す図であり、(a)はドレッサー表面を示す図、(b)はドレッサー側面を部分的に示す図。 従来のパッドドレッサーの構成を示す概念図。 従来の別のパッドドレッサーの構成を示す概念図。 CMPに要求されるパッドドレッシングの仕様の概念を表した図。
本発明は、研磨パッドの表面を基準にドレッシングするための適度な弾性を有しつつ、長期に亘って交換することなく使用することができるようにするという目的を達成するために、ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、運動するプラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッドと、複数の素線を結束して構成された弾性部材とを備え、前記弾性部材は、該結束した複数の素線を一体的に曲げることで、前記弾性部材の先端が前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触するための有効な長さを有する弾性変形部と、前記結束が開放され、前記弾性部材の各素線の先端が独立して作用して前記研磨パッド表面を削り荒らすための先端部と、前記結束した複数の素線のもう一端を取り付けた支持部とを有し、前記弾性部材を、前記研磨パッド面に対して所定のドレッシング圧力で押圧しながら、平行に相対的に移動させることにより、前記研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることによって実現した。
以下、図1乃至図23を参照しながら、理解を容易にするために、最初に本発明に係るパッドドレッサー(パッドドレッサー装置)及び研磨装置の前提技術を説明し、その後で本発明の好適な実施例について詳述する。なお、各図面において、同一部材又は同一構成要素には同一番号又は同一符号を付すことにする。
図1は、本発明の実施例に係わる研磨装置を表す斜視図である。同図に示す研磨装置10は、主として研磨定盤(プラテン)12とウェーハキャリア14、及びパッドドレッサー30とで構成される。
研磨定盤12は、回転軸16に連結されたモータ18を駆動することにより図の矢印A方向に回転する。ワークであるウェーハを保持したウェーハキャリア14は、回転軸22Aに連結された不図示のモータにより駆動されて矢印B方向に回転する。また、研磨定盤12の上面には、研磨パッド20が貼付され、研磨パッド20上に図示しないスラリー供給ノズルからスラリーが供給される。
パッドドレッサー30は、回転する研磨パッド20の表面に押し付けられ、研磨パッド20の目詰まりを解消するとともに、パッド表面自体を削り取りながら荒らして、スラリーの保持性を回復させて研磨能力を維持させるためのドレッシングを行うものである。
図2は、本発明に係る第1の前提技術のパッドドレッサー30の概念図である。パッド
ドレッサー30は主に弾性部材31と弾性部材31の基端部31aを支持する支持部32とで構成されている。また、支持部32は研磨パッド20に対して接離移動する圧力調整手段34に支持されている。
弾性部材31としては、ステンレス、ジュラルミン、真論、または高弾性率で高硬度耐摩耗性の線状の金属材料等の集合体(例えば、ブラシ状の集合体)が好適に用いられる。
弾性部材31の各先端部31bは鋭利な形状に形成され、高硬度耐摩敵性物質で覆われていることが好ましい。
高硬度耐摩耗性物質はダイヤモンド砥粒の他に、DCL(Diamond Like Carbon)や超硬
等を用いることもでき、固定方法も電着等のメッキの他にCVD(Chemical Vapor Deposition)やコーティングによる方法等を用いることもできる。
支持部32は、図2(a)示すように、2個の部材で弾性部材31の基端部31aを挟持する方式、或いは接着で保持する方式、または図2(b)に示すように、支持部32固定穴を設け数本ずつ植え込む方式等、種々の固定方法を取ることができる。また、圧力調整手段34は、図示しないガイド部材とモータ駆動されるネジ部材等で構成することができるが、他の駆動機構を用いることもできる。
図7は、図2のパッドドレッサー30によるドレッシング模式図である。弾性部材31のヤング率をE、弾性部材31の有効可撓長さをL、弾性部材31の厚みをt、弾性部材31の幅をb、弾性部材31と研磨パッド20との間の摩擦係数をμ、弾性部材31の撓み水平方向の変位をδとしたとき、ドレッシングの圧力Pは数式1で表される。
例えば、研磨パッド20表面のうねりが±50μmとしたとき、ヤング率E=101Gpa、厚みt=0.4mm、幅b=0.3mm、有効長さL=30mmの特性を有する弾性部材31を使用すると、ドレッシング圧力P=20±0.076gfとなり、研磨パッド20の高さバラツキによる圧力バラツキは、0.4%以下程度である。
ここで、許容される圧力のばらつきの度合い、すなわちパッドのドレッシングの均一性について述べる。
パッド面内のドレッシングの均一性は、ウェハ面内の研磨の均一性に対応する。ドレッシングばらつきが大きいと、パッド表面状態がそれだけばらつき、ウェハ面内もばらついて研磨されるからである。
通常、研磨量の均一性は、研磨量の標準偏差を平均研磨量で除してその割合で定義する。通常研磨量の均一性は3〜5%程度以下であれば、均一に研磨されているとされる。
参考文献:土肥俊郎編著、詳説半導体CMP技術(工業調査会),(2000)p.71
渡邉純二:CMPのサイエンス(サイエンスフォーラム),(1997)p.77
寺崎忠士:CMPのサイエンス(サイエンスフォーラム),(1997)p.116
パッドのドレッシングに求められるドレッシングの均一性も、研磨量の均一性に対応するため、ドレッシングの均一性も3〜5%程度以下であれば良い。この均一性は、ドレッシング量のばらつきの標準偏差を平均ドレッシング量で除して求められるものであるが、平均ドレッシング量(パッドカット量)に対する最大部分のドレッシング量(パッドカット量)は、その標準偏差で求めた均一性の約倍に相当するので、約6%〜10%程度以下であれば、ドレッシングは均一であるとみなされる。ドレッシング量、すなわちパッドがカットされる量は、単純にドレッシングの圧力に比例するため、ドレッシングにおける許容される圧力ばらつきは10%以下であればよいことになる。すなわち、圧力ばらつきが10%以下であれば、均一な圧力とみなされ、言い換えれば、一定圧力とみなされる圧力の範囲となる。
また、弾性部材31の研磨パッド20表面に対する追従性に加えて、弾性部材31に支えられた砥粒がそれぞれ独立して変位して運動するようにすれば、平均的にみれば、絶えず安定して研磨パッド20に作用していることになる。以上は、弾性部材の単純な梁の曲げとして扱った場合の概略的な見積もりであるが、座屈の関係から考慮すると、以下のように見積もることができる。
まず、図8において、単一のファイバーにおける応力の釣り合いは以下で与えられる。
E:ヤング率、I:断面二次モーメント、F:垂直抗力、μ:摩擦係数、δ:変位
この数式2は、以下の一般解を与える。
ただし、
x=0でy=0、dy/dx=0およびx=lでy=δとすると、
となる。これより、以下を得る。
l≫δ/μであるため、tanαl=αlであり、これを満たす最小のαl=Cとすると、直径dのファイバーの座屈荷重は、以下で表わされる。
この数式6によっても、先と同様に30mmのファイバー長さであれば、パッド表面のうねりが±50μmとしても、0.3%程度の圧力差になり、ほとんどパッドの厚みばらつきに相当する高低差におけるドレッシングの圧力差は無視しうる。さらに、パッドを削り荒らすファイバー先端の研削すくい角は、x=lにおけるファイバーの撓み角θで与えられる。よって、θは次式で求められる。
これは、αを含むため、即ちファイバーの曲げ剛性EIに依存することがわかる。即ちファイバーの曲げ剛性を大きくすれば、負のすくい角であっても負の量を小さくすることができる。即ち、すくい角を自由にファイバーの曲げ剛性の調整で制御できることを示している。
従来のダイヤモンドドレッサーにおいて、ダイヤモンドの平均的な頂角で大きな負のすくい角として一意に決定される。それに対して、ファイバーの先端によるドレッシングでは、ファイバーを束ねる等して曲げ剛性を向上させることができれば、すくい角を制御することができる。ダイヤモンドでドレッシングする場合と比較しても、格段に負のすくい角を小さくすることが可能となる。図9の(a)、(b)には、従来のダイヤモンドドレッサーの場合(同図(a))と、本発明のドレッサーの場合(同図(b))のすくい角の形態を模式的に示す。
ここで、研削加工のすくい角として、すくい角の負の量は極力小さい方がよい。例えば、負のすくい角として,−90°の場合、これは例えば、球体を材料上で滑らせる場合に相当する。球の接触点における接線と、材料面は平行になり、これでは原理的に全く研削は進行しないことは自明である。
ダイヤモンド砥粒も平均的なすくい角は、図9(a)に模式的に示すように、特にダイヤモンドの破砕や脱落を防ぐように十分埋め込みを考慮したドレッサーを使用する場合、約−60°〜−75°位の大きな負のすくい角となる。研削の形態としては、パッド表面を押しつぶしながら、パッドを毟り取る形となり、非常に効率が悪い。
それに対し、図9(b)に示すように、ファイバードレッサーの場合、曲げ剛性を高めることで、例えば、すくい角の負の量を極力小さくでき、0°付近にすることも原理的には可能となる。これらは、ファイバーの結束の仕方など、曲げ剛性を制御することで、自由に制御することが可能である。
次に、弾性部材を束ねて形成した複合ファイバー部材において、弾性部材の座屈応力への影響を考慮する。この計算は、先端部が細い径であっても、細いファイバーを束ねるなど、結束する手段を有するとした特徴により、「先端部の径」と、その「先端に与える応力は、独立して制御できることを示すものである。
先の式において、ファイバーをn本とした集合体の座屈強度は、
となる。ファイバーの集合体が柱と考えている直方体が占める割合をVとすると、その柱の断面で定義した座屈の平均応力σは、
これより、座屈応力はd/lの二乗に比例する。lが10mm程度にあるのに対して、dを0.1mmとすると、座屈応力は非常に小さくなる。即ち、幾本かのファイバーであっても、相互のファイバーが連携しなければ、線径が細いファイバーであれば、形状的特性から座屈強度は非常に小さくなることが分かる。
次に、先の単一ファイバーの座屈荷重を基にして、次にファイバーを間隔hで、上下左右に配列して相互に結束させて複合化したときの座屈応力を計算する。図10の(a)、(b)、(c)に示すように一辺がhの正方形断面を仮定して、その中心に一本のファイバーが存在すると仮定する。ファイバーの上下面には、相互に結束されているため、せん断応力τが作用している。せん断弾性係数をGとし、せん断ひずみをγとすると、以下となる。
x〜x+dxの微少部分でのせん断力τによる曲げモーメントの増分dMは、
よって、せん断力による曲げモーメントMは、
これより、座屈の方程式は、
ここで、
は、一辺がhの角柱の曲げ剛性を表わす。m次の座屈荷重は同様に以下となる。
m=1として、柱の断面の座屈応力σは、以下となる。
第一項は、単純に独立したファイバーが独立して合わさった座屈応力で、先と同様にd/lの二乗に比例し非常に小さい応力となる。第二項は、ファイバー間のせん断弾性率Gそのものであり、ファイバーの結束状態に大きく依存し、ファイバーの線径dや長さlに依存しない。即ち、ファイバーを束ねて、相互の動きを抑制して、のせん断弾性率Gを大きくすれば、座屈応力は格段に大きくなることが分かる。一例として、ファイバーを撚って相互のずれをなくした場合などでは、ファイバー全体のせん断弾性率が影響して、座屈応力は格段に大きくなる。これによると、ファイバーを使用することにより、切込み深さ、切込み幅も小さくする一方で、ファイバー結束により弾性変形部の格段の強度アップを図ることができるため、先端部に大きな応力を与えることが可能となる。さらに、せん断弾性率が関与することにより、ファイバーの曲げ剛性自体も向上し、先に述べた負のすくい角において、負の量をさらに小さくすることが可能となる。
以上、細い線材を相互に結束することによって、細い先端部が鈍化したとしても、その鈍化した細い先端を十分な応力でパッドに押し込み、パッドを削り荒らすための切込み量を得て、パッドを安定して削り荒らすことが可能となる。以上から、細いファイバーを結束し、その結束状態に応じて、削り荒らすための先端の小さい径と、それらの個々の小さい先端に与える応力を、独立して制御することが可能となる。
そうしたファイバーの結束方法については、以下に具体的事例を述べるが、例えば、ファイバーを数本撚っておき、その撚ったファイバーを結束してもよい。ただし、ファイバーの先端の2mmから5mmは、撚りをほどいて、個別の先端部として機能するようにすればよい。これにより、先端が摩耗によって鈍化したとしても、安定的に切り込みを与えてパッドをドレッシングするドレッサーを形成することができる。
前記図2において、研磨パッド20をドレッシングする時は、回転する研磨パッド20の表面にパッドドレッサー30の先端子33を当接させた状態から所定量だけ支持部32を研磨パッド20に対して接近させ、弾性部材31を撓ませる。弾性部材31がこのように弾性変形することによりドレッシング圧力が創出され、研磨パッド20の表面がドレッシングされる。このように、圧力調整手段34によって弾性部材31の撓み量を調整することにより、最適なドレッシング圧力を得ることができる。
また、研磨パッド20の表面のうねりによる高低差に対して先端子33が追従するとともに、追従による弾性部材31の撓み量の変化分に対応する応力変動値が小さいので、研磨パッド20の表面に沿って均一にドレッシングすることができる。
また、弾性部材31が1本1本独立した集合体で形成されているので、各弾性部材31、の先端部31bが研磨パッド20に対して夫々スティックスリップ的に断続接触したとしても、複数の弾性部材31、31、…の集合体全体としては、常にどれかの複数の弾性部材31、31、…の先端部31b、31b、…が研磨パッド20に接触しており、研磨パッド20の表面に沿った均一なパッドドレッシングが可能である。
なお、前記図1に示すように、パッドドレッサー30が回転軸25に固定され、移動機構27が設けられたアーム26に取り付け、研磨パッド20の中央部と周縁部との間で往復移動、または弾性部材31を研磨パッド20の半径方向に並ぶ状態で配置し、移動機構27により研磨パッド20の半径方向へ往復運動させながらパッドドレッシングを行うことにより、ドレッシングの研磨パッド面内の均一性を高めることができる。
図3は、本発明に係る第2の前提技術のパッドドレッサー30の概念図である。パッドドレッサー30Aは、主に弾性部材31Aと弾性部材31Aの基端部31aを支持する支持部32とで構成されている。弾性部材31Aの先端部31bには、先端子33が固着されている。また、支持部32は研磨パッド20に対して接離移動する圧力調整手段34に支持されている。
弾性部材31Aとしては、板バネやピアノ線等が好適に用いられる。また、弾性部材31Aの先端部31bに固着される先端子33は、高硬度耐摩耗性物質が好ましく、ダイヤモンド砥粒、またはDCLや超硬等が電着、CVD、コーティング等による方法で固定される。
図4は、本発明に係る第3の前提技術のパッドドレッサー30の概念図である。この第3の前提技術に係わるパッドドレッサー30Bは、弾性部材31Aとして薄板状の板バネ31Bが用いられている。
板バネ31Bには、先端部31bから基端部31aに向けて複数の切り欠き31d、31d、…が形成され、先端部31bを複数の部位に分離している。また、分離された複数の部位の先端には夫々ダイヤモンド砥粒からなる先端子33、33、…が電着されている。
なお、前述したように、高硬度耐摩耗性物質はダイヤモンド砥粒の他に、DCLや超硬等を用いることもでき、固定方法も電着等のメッキの他にCVDやコーティングによる方法等を用いることもできる。
パッドドレッサー30Bは、図4に示すように、板バネ31Bの弾性変形により先端子33、33、…にドレッシング圧力を生じさせ、研磨パッド20の表面をドレッシングするように構成されている。
図4に示すように、板バネ31Bが複数の切り欠き31d、31d、…によって基端部31a近傍から先端部31bにかけて複数の部位に分離されているので、各部位の先端子33、33、‥・が研磨パッド20に対して夫々スティックスリップ的に断続接触したとしても、板バネ31B全体としては、常にどこかの部位の先端子33、33、…が研磨パッド20に接触しており、研磨パッド20の表面に沿った均一なパッドドレッシングがなされる。
図5は、本発明に係る第4の前提技術のパッドドレッサーの概念図である。この第4の前提技術に係わるパッドドレッサー30Cは、弾性部材31として複数の線状体であるピアノ線31C、31C、…の集合体(例えば、ブラシ状の集合体)が用いられている。
夫々の線状体であるピアノ線31Cの基端部31aは支持部32に固定され、先端部31bにはダイヤモンド砥粒からなる先端子33が電着されている。夫々のピアノ線31Cが図5に示すように弾性変形した状態で各先端子33が研磨パッド20に接触し、適切なドレッシング圧力が得られるようになっている。
弾性部材31が1本1本独立したピアノ線31Cの集合体で形成されているので、この第4の実施例においても、各ピアノ線31Cの先端子33、33、…が研磨パッド20に対して夫々スティックスリップ的に断続接触したとしても、複数のピアノ線31C、31C、…の集合体全体としては、常にどれかの複数のピアノ線31C、31C、…の先端子33、33、…が研磨パッド20に接触しており、研磨パッド20の表面に沿った均一なパッドドレッシングがなされる。
なお、この第4の前提技術では、線状体としてピアノ線31Cを用いたが、これに限らず、例えば、グラスファイバや樹脂等、高弾性率の線状体であれば他の材質を用いることができる。また、グラスファイバや樹脂等の材質の場合は先端子33を電着するのは困難であるため、このような材質の場合は例えば接着等で先端子33を固着する。
図6は、本発明に係る第5の前提技術のパッドドレッサーの概念図である。この第5の前提技術に係わるパッドドレッサー30Dは、支持部32が第1の支持体32Aと第2の支持体32Bとに分かれている。
第1の支持体32Aは複数の弾性部材31、31、…の夫々の基端部31aを固定する部材で、第2の支持体32Bは複数形成された孔で各弾性部材31の水平方向位置を規制している。第2の支持体32Bは複数の調整ネジ32C,32C、…によって第1の支持体32Aに対して接近あるいは離反可能に支持されており、弾性部材31の有効可撓長さLを微調整できるようになっている。
図6に示す第5の前提技術のパッドドレッサー30Dはこのように形成されているため、弾性部材31の有効可撓長さLの調整が容易で、ドレッシング圧力Pの微調整を簡単に行うことができる。
なお、第5の前提技術における弾性部材31は、図2(a)、図2(b)に示される弾性部材31、または図3に示される弾性部材31A、図4に示される弾性部材31B、及び図5に示される弾性部材31Cのいずれのものでも好適に使用可能である。
図11は、研磨パッド20をドレッシングして、研磨可能な表面状態に初期化するためのパッド前処理装置を表した図である。パッド前処理装置40は、研磨パッド20を保持して回転する回転テーブル(プラテン)41と、パッドドレッサー30と、図示しない水又はスラリーの供給装置等からなっている。
回転テーブル41には研磨パッド20を吸着固定するための吸着孔を有しており、図示しないモータによって回転される。また、前述したパッドドレッサー30が設けられており、研磨パッド20及びパッドドレッサー30を回転させながら接触させ、研磨パッド20の表面を微小に削り取り、研磨パッド20の表面を粗面化する。研磨パッド20面を細かい粗面にするためには、研磨パッド20に水を供給しながら行ってもよい。
ドレッシング条件としては、例えば、研磨パッド20として発泡ポリウレタンバッドを用い、これを回転テーブル41に真空吸着で固定する。研磨パッド20の回転数を30rpm、パッドドレッサー30の回転数を80rpm、とし、表面粗さRaを0.4μm〜0.6μmまで処理を実施する。
このように、パッド前処理装置40は前述したパッドドレッサー30を備えているので、均一なパッドドレッシングを行うことができ、研磨パッド20の表面状態を短時間で研磨可能な状態に初期化することができる。
次に、本発明に係るパッドドレッサーの好適な実施例について説明する。尚、本実施例におけるパッドドレッサーの全体構成は、図2乃至図6のような構成となっているが、以下の説明では、重複説明を避けるために本発明に係る要部のみについて説明し、且つ、図面についても本発明に係る要部のみを図示することにする。
図12は、本発明の第1の実施例に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。支持部32の下端には、束線バンド35で束ねられた弾性部材31の一端が取り付けられている。弾性部材31は、線径が0.15mmで長さ25mmのタングステン線が30本ずつ1束に結束されて構成されている。また、弾性部材31の各素線の先端部は、砥粒を付けずに丸切りのまま研磨パッド20の表面に接触して、研磨パッド20のドレッシングを行うようになっている。
図12に示すように、弾性部材31における各素線の先端部の線径を細くして、研磨パッド20の切削幅を小さくすると共に、弾性部材31の各素線を束線バンド35で結束することによって弾性部材31の剛性を高め、各素線の細い先端部に大きな圧力がかかるようにしている。
このように多数の細い素線(金属素線)を束ねて構成された弾性部材31は、一般にファイバードレッサーと呼ばれている。一般のダイヤモンドドレッサーが研磨パッドを切削するときの掬い角は−60°〜−80°であるのに対し、ファイバードレッサーを用いることによって掬い角を−10°〜−30°にすることができる。従って、ファイバードレッサーの各素線の先端が鈍化しても、研磨パッド20に有効な切り込み深さを与えることができる。
このように細い素線であっても、それらを結束することで、素線で構成された弾性部材が十分な曲げ剛性を得ることができ、パッドをドレッシングする上で十分な切込み量を与える圧力を先端部に与えることができる。またそうした束ねた部材であってもパッド表面のうねりに追従するだけの可撓長さを有していればよい。以上のことから、細い素線を束ねた構成とした特徴が、先端部の摩耗があっても、安定したドレッシング能力を維持するという大きな効果を発揮することになる。
ここで、ファイバードレッサーを構成する弾性部材31の各素線の最適な線径について説明する。図13は、ファイバードレッサーにおける各素線の線径とパッド切削量の関係を示す特性図であり、横軸に各素線の線径を表わし、縦軸に推定されるパッド切削量を表わしている。尚、このときの素線の材質はSUS304であり、弾性部材31の研磨パッド20への押し付け荷重は3kgfである。
図13に示すように、素線の線径が直径0.025mm以下のときは、たとえ素線を束ねた弾性部材31であっても、素線の1本ずつの線径が細いために先端部が変形してしまい、研磨パッドに対して有効な切り込み深さ(パッド切削量)を与えることができない。また、素線が細すぎるために素線の断線などが生じやすいため、品質管理の面からも好ましくない。
次に、素線の線径が直径0.025mm〜0.2mmの間では、それに応じて先端部の径も小さくなる。そのため、研磨パッド20を削り取る切削幅は従来のダイヤモンドドレッサーと比較して十分に小さいので、研磨パッド20に対して微細な切削を施すことができる。また、上記の範囲の線径の線材を束ねることで弾性部材31全体の撓み剛性を大きくすることができ、細い先端部であっても研磨パッド20に対して十分な切り込み深さ(パッド切削量)を与えることができる。
また、このような線径の範囲内では、各素線の先端が鈍化して丸くなっても、各素線が細い線径であるために研磨パッド20に対して安定した切り込みを与えることができる。その結果、安定して研磨パッド20を継続的にドレッシングすることが可能となる。
次に、各素線の線径が2.2mm以上になると、各素線を束ねることで弾性部材31の撓み剛性を大きくすることはできるが、各素線の先端が太くなるため研磨パッド20に十分な切り込み深さ(パッド切削量)を与えることが難しくなる。
すなわち、初期の鋭利な先端ではパッドドレッシングは可能であるが、一旦、先端が磨耗による鈍化によって丸くなると、各素線は研磨パッド20に有効な切り込み深さを与えることができなくなる。また、過剰な圧力で研磨パッド20を削ることになるため研磨パッド20がむしれるように削れてしまい、研磨レートが低下してしまう結果となる。
次に、第2の実施例として、長さの異なる素線を束ねた構成のパッドドレッサーについて説明する。図14は、本発明の第2の実施例に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。
図14に示すように、撓み剛性を確保するために各素線を束ねているが、弾性部材31は、研磨パッド20に当接する素線と当接しない素線とが存在して構成されている。尚、研磨パッド20に当接する素線は弾性体であるが、研磨パッド20に当接しない素線は弾性体でなくてもよい。
すなわち、各素線を束ねることによって弾性部材31の剛性を向上させても、全ての素線の先端部が研磨パッド20に当接したときに各素線が過度に密集しすぎると、個々の素線の先端部で研磨パッド20を削るための有効な切り込み深さを得られないことがある。さらに、研磨パッド20の切り屑が先端部の間に入り込んでしまって、切り屑が排出されないこともある。
このように、たとえ、細い素線を束ねて結束した構成としても、それが先端部まで結束しすぎると、かえって個々の素線が独立して作用する特性が失われてしまう。よって、ドレッサーの先端部がパッドのうねりに追従しつつも、各先端部が独立してパッドを削り荒らす作用を両立して発揮するためには、弾性部材を束ねて構成するという特徴に加えて、特に先端部付近は、そうした結束を解放し、各線端部が独立して作用させる構成が重要となる。弾性部材のどの程度の長さを結束し、先端部のどの程度の長さでその結束を解放するかは、その素線の線径やパッド硬度などによって適正な長さを選択できる。
いずれにしても、素線を束ねた構成で形成する前提において、弾性変形部はパッドに追従しながらも、先端部にパッドを削り荒らす上で十分な切込み量を与えることができる程度の剛性を持たせる必要がある。その一方で、先端部は、それぞれの細い素線で形成された先端部が、小さい切込みを与えてパッドを細かく削り荒らす程度に独立して作用することが求められ、先端部が独立して作用する程度の素線同士の間隔が必要となる。
そこで、図14に示すように、各素線のうち一部の素線が研磨パッド20に当接しないようにする。これによって、弾性部材31としての剛性は確保されたまま、素線の先端部は適正に研磨パッド20に作用して十分な切り込みを行うことができる。また、研磨パッド20に当接する素線の隙間が適正に確保されているため、切り屑をつまらせることなく排出させることができる。
次に、第3の実施例として、各素線の束に対して撓み補強部材を入れたパッドドレッサーの構成について説明する。図15は、本発明の第3の実施例の其の1に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。
図15に示すように、素線の束の中央部分に、研磨パッド20に当接しない長さの太い補強部材36を挿入し、その外周に研磨パッド20に当接してドレッシングを行う弾性体の可撓線材37を配置する。このような可撓線材37は前述のような細に素線の束を用いる。
図15に示すようなパッドドレッサーの構成によって、中央部分の補強部材36によって剛性を向上させることができると共に、周辺の細い素線の束からなる可撓線材37が研磨パッド20に当接するので、可撓線材37の先端によって絶えず研磨パッド20をドレッシングすることができる。
図16は、本発明の第3の実施例の其の2に係るパッドドレッサーの概念図である。図13に示すように、細い素線の可撓線材37を束ねて、剛性を向上させるために可撓性のチューブ38の中に挿入する。これによって、外周のチューブ38よって撓み剛性を向上させると共に、細い素線の可撓線材37の先端が効果的に研磨パッド20に作用する。また、外周のチューブ38によって、研磨用のスラリーの飛散などから細い素線を保護することができる。
図17は、本発明の第3の実施例の其の3に係るパッドドレッサーの概念図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。図17に示すように、細い素線の可撓線材37の内部に補強部材36を挿入して剛性を向上させることができる。すなわち、細い可撓線材37を円筒にして、その内側に研磨パッド20に当接しないように補強部材36を入れると共に、外側にチューブ38を巻くことで撓みを抑制しつつ、可撓線材37の素線を研磨パッド20に当接させてドレッシングを行う。
さらに、図18は、本発明の第3の実施例の其の4に係るパッドドレッサーの概念図である。図18に示すように、弾性部材31からなる弾性変形部は、細い素線を撚っており、細い素線が一体となって、素線相互の滑りをなくし、極力結束した形態で形成している。その一方で、素線先端部31bが独立してパッド表面を削り荒らさせるようにするため、先端部付近3mmは、逆に細い素線を撚ってなく広げており、独立した先端部31bになるような構成としている。同径の素線を撚り合わせる場合では、7本を一束とすると、撚り合わせやすい。
すなわち、本発明のパッドドレッサーによれば、細い線材を複数本まとめて結束した弾性部材にすることにより、個々の素線は細くても十分な弾性強度を得ることが可能となる。これにより、以下のような特殊な作用効果を呈することができる。すなわち、複数の素線が結束された弾性部材は細い材料でできているため、先端部も細い素線が研磨パッドに当接する。このときの弾性材料(つまり、素線の束)はダイヤモンドほどの耐磨耗性はないためにすぐに鈍化する。
しかし、鈍化した素線の先端部であっても、その素線を結束した弾性部材にすることにより非常に大きい曲げ剛性を得ることができ、研磨パッドを切削するための切り込み量を十分に得ることができる。その結果、素線の先端部の鈍化に関係なく、安定したパッドドレッシングを行うことが可能となる。
すなわち、従来のディスクタイブのダイヤモンドドレッサーでは、ダイヤモンド自体は正四面体構造であるため、ダイヤモンドの脱落を防ぐために十分な埋め込み量が必須となる。通常、ダイヤモンドの埋め込み量は70%程度以上あることが望ましい。そのため、研磨パッドをダイヤモンドで削り取るための掬い角は大きなマイナスになり、例えば、−60度〜−80度近くなる。
これに対して、本発明のように素線を束ねた弾性部材を使用した場合は、弾性部材を研磨パッドの面側に倒さずに、素線の先端が多少変形する程度に接触すれば、弾性部材を−10度から−30度程度の掬い角にすることができる。そのため、弾性部材の先端部分に鋭利度がなくても、研磨パッドを有効に切削することが可能となる。
また、本発明の弾性部材では研磨パッドの切削幅も小さくすることができる。例えば、0.1mmの線径の素線(ワイヤ)を束ねて使用した場合は、個々の切削幅は0.1mm以下になる。従来のダイヤモンドドレッサーにおいては、この程度まで切削幅を小さくすることは難しい。
その理由は、ダイヤモンド自体の粒径を小さくすると、ダイヤモンドを脱落させずに十分保持するための埋め込み量を確保することができず、ダイヤモンドの脱粒が起こるからである。そのため、ダイヤモンドドレッサーでは、あまりに細かいダイヤモンドを使用することはできず、せいぜい#100(平均粒径170μmm)程度のダイヤモンドが一般に使用されている。
一方、本発明のように線状の弾性部材を使用する場合は、従来のダイヤモンドドレッサーのような脱粒のおそれはない。また、弾性部材の先端部が摩耗しても、ダイヤモンドのような塊りとなって脱離しないためにウェーハ面に有害な影響をもたらすおそれはない。
以上のことから、例えば、0.1mm程度の細い線径を有する素線を使用する場合は、切削幅を0.1mm以下にすることができると共に、研磨パッドを切削するための掬い角を極力小さく(例えば、−10°程度に)構成することが可能となる。そうした小さい切削幅と、従来と比べて大きな負の掬い角にならないことも相俟って、安定して研磨パッドのドレッシングを行うことが可能になる。
次に、線径の異なる素線を用いた弾性部材でドレッシングを行ったときの研磨レートの安定性についての実験結果を説明する。図19は、線径の異なる素線を用いた弾性部材でドレッシングを行ったときの研磨レートを示す実験結果の特性図であり、横軸はウェーハのナンバーを表わし、縦軸は研磨レートを表わしている。尚、それぞれの実験は、SUS304で製作したブラシ形状のドレッサー(弾性部材)を用いて行った。
また、素線の線径が0.2mmのドレッサー(弾性部材)(a)は、10本の素線を束ねた形状にして製作した。一方、素線の線径が0.1mmのドレッサー(弾性部材)(b)は、10本の素線を束ねた後に、それらの素線の線材を撚って、先端部から5mm付近の位置までをほぐした形状にして製作した。
また、スラリーは市販のヒュームドシリカスラリーSS25(Cabot社製)(登録商標)を水と1:1で希釈したものを使用し、研磨パッドは市販の発泡ポリウレタンパッドIC1400・XYGroove(Nitta・Haas社製)(登録商標)を使用した。尚、プラテンの回転数は80rpm、研磨圧力は28kPaとして実験を行った。また、ウェーハはシリコンウェーハ上にプラズマシリコン酸化膜を形成したウェーハを使用した。
図19に示すように、素線の線径が0.2mmのパッドドレッサー(弾性部材)では、先端の鋭利度がパッドドレッシングに支配的で、ワイヤ先端がドレッシングにより摩耗することに伴って研磨レートは急速に低下していく。
一方、素線の線径が0.1mmのパッドドレッサー(弾性部材)では、素線の線径が0.2mmのドレッサー(弾性部材)と比較して、安定した研磨レートが長期に亘って得られる可能性を示している。このとき、ワイヤ先端は摩耗により鈍化するが、鈍化しても切削幅自体が小さいため、安定した切り込み深さを得ることができ、ワイヤ先端の形状に関係なく、安定したドレッシング能力を維持できることを示している。
次に、パッドドレッサーの寿命に関する評価結果について説明する。従来のパッドドレッサーにおいては、パッドドレッシング能力はダイヤモンド先端部の鋭利度が支配的であった。先端部が鈍化した場合、砥粒の突き出しを極度に大きくしても、パッドドレッシング能力は回復しない。
参考文献:藤田 隆,渡邉純二:長寿命パッドドレッサーの開発、〜ドレッシング有効砥粒数の安定化〜,砥粒加工学会誌,Vol.48,No.3,p.147
こうした従来のダイヤモンドドレッサーによるパッドドレッシングでは、ダイヤモンド先端部が鈍化して丸くなると、パッドに切り込みを与えることができなくなり、パッド表面を擦り馴らしているだけと考えられる。
一方、本実施例に基づいて試作した可撓性のパッドドレッサーでは、先端の材料がダイヤモンド程度の耐摩耗材がないために、さらにパッドドレッサーの寿命が短いことが懸念される。
そこで、上記実施例の内容に基づいて今回試作したパッドドレッサーにて、長期のパッド切削量のテストを行った。このときのテストでは、パッドドレッサーを研磨パッドの内周に滞在させて加速評価を行った。
図20は、パッド切削量の時間依存性を示す特性図であり、横軸にコン ディショニング時間(分)を表わし、縦軸にパッド切削量を表わしている。図20に示すように、研磨パッドのコンディショニング時間に比例してパッド切削量は増加している。そして、切削テストの終了後、ファイバードレッサーの線材(SUS304)の先端部は鈍化しているにも関わらず、十分なパッド切削能力を維持している。
図21は、従来のダイヤモンドドレッサーと本発明のファイバードレッサーにおけるパッド切削状態の違いを示す概念図である。
図21(a)に示すように、従来のダイヤモンドドレッサーでは、ダイヤモンドの先端がパッドに接触する際に小さな掬い角(例えば、−70から−80度の掬い角)で接触していた。この場合でも、鋭利な先端部を有する場合、切削部分が局所的になり、実質上の切削幅が小さくなることから、パッドを削り取ることが可能となっていた。しかし、先端のダイヤモンドが摩耗すると、実質上の接触領域が大きくなって、切削幅が広がるほか、パッドを削り取る際に、ダイヤモンドが接触する際に形成される掬い角もさらに大きくなるか、場合によっては、実質的な掬い角が定義できないほどに先端部が連続的に丸みを帯びる場合もある。
それに対して、本発明の可撓性ドレッサー(ファイバードレッサー)においては、図21(b)に示すように、可撓性のある複数の素線を結束することで、十分な剛性のもとで十分なドレッシング圧を確保する。
さらに、細い素線を使用することで、先端がたとえ鈍化したとしても、その素線の径より切削幅は小さくなることから、小さな切削幅を確保することができる。さらに、先端が鈍化したとしても、素線自体を結束し、素線を比較的寝かせた状態でパッドに接触させるのではなく、先端部がパッドに接触する程度に、比較的鉛直方向の状態のままパッドに接触させることで、ダイヤモンドと比べて比較的大きいな掬い角(例えば、−10度の掬い角)を得ることが可能となる。その結果、たとえ、先端部が摩耗により鈍化したとしても、先端の鋭利度に関係なく研磨パッドを適正に切削する、従来と比べて極めて顕著な作用効果を有することが可能となる。
こうした、先端部が摩耗し、鈍化したとしても切削・研削が進むような場合は、通常の金属研削やセラミックスなどの研削ではほとんどない。これは、金属やセラミックスは非常に硬度が高いために、研削のための有効な切り込み量をえるためには、先端部の鋭利度は必須であることに基づく。しかし、研磨のパッドのように、樹脂で構成された材料である上、さらにスラリーの保持性を増すために、それが発泡されて構成されている特殊な部材の場合、またはポリエステル繊維などの保水率を上げるために繊維質の部材を含有している部材などの場合においては、部材の硬度自体が、金属やセラミックスなどと比べて非常に小さくなるため、時として、先端付近が少し鈍化したとしても、線状部材(素線)の先端部をある程度の強度で押し込むと、先端部が部材の中に食い込み、有効な切り込み深さを得る。その結果、部材(ここではパッド)を、線状部材の先端部の鋭利度とは関係なく、効率的かつ継続的に削り取ることが可能となる。
本願では、こうした研磨のパッドという特殊な部材の性質を利用しながら、弾性材料の先端部をパッドに追従すると共に、一定の強度剛性を基に、個々の先端部を強力にパッドに押付ける弾性変形部と、材料を削るための先端部を有し、さらに有効な切り込み深さを得るために、先端部の間隔を適正化する構成の特徴により始めてなされるものである。
以上は、研磨中にパッドドレッシングする方式を示したが、パッドドレッシングというと、研磨中にスラリーを供給しながら行うパッドドレッシングや純水を供給してパッドドレッシングすることだけに限らない。パッドドレッシングとは、研磨レートを安定化するためにパッド表面を再生することであるが、実質的には、スラリー保持性を良くするためにパッド表面を細かく削り荒らすことである。こうしたパッド表面を細かく削り荒らすための方法として、研磨装置に取り付ける前に、パッドの前処理として、パッド表面を削り荒らす方法にも、そのまま適用できる。即ち、パッドの裏面についている両面テープの剥離紙を剥がすことなく、パッド表面を細かく削り荒らすための前処理を行うのである。これは、スラリーを保持させるために細かく削り荒らすという実質的な手段自体は、研磨中であっても、装置取付け前であっても全く同じであるからに他ならない。
特に、パッドを前処理する場合、パッドそのものの厚みむらに加えて、両面テープの厚みむら、さらには、剥離紙の厚みむらなど様々な厚みばらつきを有する部材が混在している。その厚みばらつきを許容しながらパッド表面を均一に細かく削り荒らすことが求められる。
図22及び図23の(a)、(b)は、そうしたパッド前処理に使用する場合の縦型のパッド前処理装置の構成例を示している。図22は、その装置構成の概念図、図23(a)はドレッサー部分の表面を示す図、同図(b)は、そのドレッサー側面を部分的に示す図である。縦型のパッド前処理装置40Aにおけるパッド20は回転テーブル(プラテン)41上に外周側をクランプ機構で保持してもよい。脱着可能なテープなどで固定してもよい。又は回転テーブル41の表面に細かい真空溝を刻んでおき、真空吸着でパッド20を固定してもよい。この際、パッド20がポーラス体の場合、真空漏れする場合があるので、パッド裏面に両面テープと剥離紙や、それに類するシートなどがあり、真空漏れを起こさないようにしていることが必要となる。
パッド20の裏面は回転テーブル41の平面で固定され、裏面を基準に固定されるが、表面は先に述べた厚みばらつきによって、高さのうねりをもった表面形状となる。このうねりをもつパッド表面に対して、パッドドレッサー30Dをパッド20の表面に揺動させて、表面を基準として前処理を行う。これにより、先に述べた本発明の特徴である、撓みを利用したパッド表面を基準としてドレッシングを行う特性を十分に発揮できることになる。
5分ほど処理すれば、十分細かいパッド表面を得ることができる。前処理を施したパッド表面は、細かく削り荒らされ、スラリーを保持する上で十分な表面を確保する。処理したパッドでパッド立ち上げ処理を行った結果、通常処理しないパッドでは、パッド立ち上げに15枚程度必要とするのに対して、前処理を行ったパッドでは、一枚目から所定の研磨レートを確保し、研磨装置に取り付け直ぐに使用できることを確認した。
こうしたことから、パッドを取り付ける前に、最初に本発明のドレッシングを施すことで、以下の顕著な効果を得ることができる。
「効果」
・研磨レートを安定域に達するまでの研磨処理を必要としないので、CMP装置を占有せず、装置のダウンタイムを大幅に低減することが可能となる(装置ダウンタイムの低減)。
・パッド取付け後、研磨レートを安定化するための必要なスラリー、ドレッサー、ウェーハなどの消耗材料を使用せずに済む(消耗材料のコスト削減)。
パッドの表面処理の形態は、前記縦型のパッド前処理装置40Aに示すように、水平ではなく斜めや鉛直である方がよい。特に、パッドドレッシングにおいて、水を使用せず、乾式で前処理を行う場合、パッド表面を削り荒らした後の削り屑がパッド表面に滞在する。削り屑が、パッド20のボア内に埋め込まれるとパッド20の削り屑で、パッド表面が目詰まりする場合がある。そのため。実際に使用する際には、パッド表面を洗って使用しなくてはいけなくなる。ボアの奥深くに埋め込まれたパッド屑であれば、洗っても取れないこともある。
パッド20を固定するテーブル41面は鉛直方向か、略鉛直方向である場合、ドレッシングで前処理した際に、削られたパッドの切り屑がパッド20内に入り込むことがなく、そのままパッド20から離れて下に落ちる。パッド20のボア内へ目詰まりすることはない。その結果、前処理後のパッド表面の洗浄をしなくてもよいようになる。また、削り荒らされる際に、パッドの切り屑が、パッド内に埋め込まれることを防ぐために、削り荒らすと同時に、その脇から切り屑除去ノズル42で切り屑を吸い取ってもよい。そうすることで、削り荒らしたパッドの切り屑を、すぐさま除去することができ、安定して細かいドレッシングを行うことができる。また、その脇から切り屑除去ノズル42でエアーを吹き付けてもよい。そうすることで、削り荒らしたパッドの切り屑を飛ばし去ることができ、安定して細かいドレッシングを行うことができる。以下に補足として具体的なパッド20の前処理条件を示す。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
本発明は、高精度で長寿命化を期待しうるウェーハ研磨装置にとって不可欠な研磨パッドの用途に適用できる。
10 研磨装置
12 研磨定盤
14 ウェーハキャリア
16 回転軸
18 モータ
20 研磨パッド
30、30A、30B、30C パッドドレッサー
31 弾性部材
31B 板バネ(弾性部材)
31C ピアノ線(線状体、弾性部材)
31a 基端部
31b 先端部
31d 切り欠き
32 支持部
32A 第1の支持体
32B 第2の支持体
33 先端子
34 圧力調整手段
35 束線バンド
36 補強部材
37 可撓線材
38 チューブ
40 パッド前処理装置
40A 縦型のパッド前処理装置
41 回転テーブル
42 切り屑除去ノズル

Claims (9)

  1. ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、
    運動するプラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッドと、複数の素線を結束して構成された弾性部材とを備え、
    前記弾性部材は、
    該結束した複数の素線を一体的に曲げることで、前記弾性部材の先端が前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触するための有効な長さを有する弾性変形部と、
    前記結束が開放され、前記弾性部材の各素線の先端が独立して作用して前記研磨パッド表面を削り荒らすための先端部と、
    前記結束した複数の素線のもう一端を取り付けた支持部とを有し、
    前記弾性部材を、前記研磨パッド面に対して所定のドレッシング圧力で押圧しながら、平行に相対的に移動させることにより、前記研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることを特徴とするパッドドレッシング装置。
  2. 前記弾性部材は、前記運動する研磨パッド面に対して回転運動させることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置。
  3. 前記弾性部材は、複数の素線を撚り合せることによって形成されていることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置。
  4. 前記弾性変形部は、前記複数の素線を結束するとともに、前記複数の素線は、前記研磨パッドに当接する素線と、前記研磨パッドに当接しない短い素線とからなることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置。
  5. 前記弾性変形部は、前記複数の素線同士を結束するとともに、前記複数の素線の中央部分に補強部材を介在させて、剛性を向上させてなることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置。
  6. 前記弾性変形部は、前記複数の素線を結束するとともに、前記複数の素線を束状にして、可撓性チューブの中に挿入して剛性を向上させてなることを特徴とする請求項1記載のパッドドレッシング装置。
  7. ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、
    傾斜ないしは鉛直状態で設置され、該状態で回転可能なプラテンと、
    該プラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッドと、
    該研磨パッドの表面をドレッシングするドレッサーとを備え、
    該ドレッサーは、前記研磨パッドの表面を削り取る先端部を有する複数の素線からなる弾性部材で構成され、
    前記弾性部材は、該結束した複数の素線を一体的に曲げることで、前記弾性部材の先端が前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触するための有効な長さを有する弾性変形部と、
    前記結束が開放され、前記弾性部材の各素線の先端が独立して作用して前記研磨パッド表面を削り荒らすための先端部と、
    前記結束した複数の素線のもう一端を取り付けた支持部とを有し、
    前記支持部が前記研磨パッドの表面に対して相対的に移動するともに、前記弾性部材の先端部が前記研磨パッドの表面に当接され、該弾性部材が弾性変形することにより、前記先端部が、所定のパッドドレッシング圧力で前記研磨パッドの表面に押圧され、
    押圧された前記弾性部材が前記研磨パッドの表面を削り取るとともに、前記研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることを特徴とするパッドドレッシング装置。
  8. ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング装置において、
    ドレッシング部分に気体を吹き付ける機構ないしは、削り屑を含む粉塵を吸い込む機構を有することを特徴とする請求項7記載のパッドドレッシング装置。
  9. ワークを研磨する研磨装置に使用される研磨パッドの表面を目立て処理するパッドドレッシング方法において、
    運動するプラテンに固定支持され、ポリウレタン素材により形成される研磨パッド面に対して、複数の素線で構成される弾性部材を、平行に相対的に移動しながら、ドレッシングを行うパッドドレッシング方法であって、
    前記弾性部材は、前記複数の素線の一端を支持部に取り付けるとともに、前記複数の素線同士を結束し、該結束部分を一体的に曲げて、弾性部材の先端を前記研磨パッドの表面に一定圧力で接触させ、
    且つ、前記複数の素線の先端付近は結束を開放して、個々の素線の先端は独立して前記研磨パッドの表面を削り荒らし、
    該研磨パッドの表面形状に沿って均一にドレッシングすることを特徴とするパッドドレッシング方法。

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