JP2012201914A - 意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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正仁 榊
Shinobu Kano
忍 狩野
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淳 黒部
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Abstract

【課題】溶融めっき層を有する鋼板に圧延法により凹凸模様を形成するに当たって、めっき層の損傷を抑制し、溶融めっき鋼板の耐食性を維持して外観の劣化を抑制した鋼板を得る。
【解決手段】矩形断面の溶融めっき鋼板表面に、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により凹凸模様を付与するに当たり、被圧延溶融めっき鋼板に形成される凸部先端の溶融めっき層を延ばしつつエンボス圧延する。
具体的形態としては、凸部先端の溶融めっき層が凹凸ロールの凹部及び凸部の両方に接触して当該溶融めっき層を延ばしつつエンボス圧延する。
【選択図】図5

Description

本発明は、溶融めっき鋼板に凹凸模様を形成して意匠性を向上させた鋼板の製造方法に関する。
屋根、壁、柱等の建材には、耐食性、耐久性を考慮して溶融亜鉛めっきや溶融アルミニウムめっきが施された鋼板、さらにはこれらを原板とする塗装鋼板が用いられている。また、溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性をより向上させる目的で、Al,Mgを添加した溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板も使用されるようになっている。
さらに、これらの鋼板表面に凹凸模様を形成して意匠性を高めた鋼板も使用されるようになっている。
鋼板表面に凹凸模様を形成する一般的な方法としてはプレス法と圧延法が挙げられるが、生産性の点から圧延法が多用されている。そして、溶融めっき鋼板に凹凸模様を形成する方法として、各種の提案もなされている。
例えば特許文献1では、各種家電製品の外装部材や建築物の内外壁、看板等に意匠性を付与する目的で、溶融めっき法により形成したZn若しくはZn合金めっき鋼板又はAl若しくはAl合金めっき鋼板にエンボス圧延を施して、奥側が順次狭くなる様な斜面を有する凹部が、前記めっき鋼板の表面に規則的な間隔で方向性をもって配設され、且つ前記凹部の斜面部面積率が平面視で30%以上となるようにすることが提案されている。
また特許文献2には、一方が凸部最高部の高さが15μm以上の凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用い、凹凸ロールの凸部で鋼帯の片面を押圧し凹部は鋼帯の片面に対し非押圧状態にすることにより鋼帯の片面に最深部の深さ10μm以上で平均深さ100μm以下のエンボスを形作ることが記載されている。
特開平8−13115号公報 特開2004−2918号公報
上記特許文献1,2で提案された技術に限らず、圧延法によりめっき鋼板に凹凸模様を形成すると、めっき層へのダメージが大きく、めっき層にクラックが発生しやすくなる。
このクラックにより下地鋼が露出すると腐食の起点となり、白錆や赤錆を発生させることになる。白錆や赤錆の発生により、屋根、壁等の見栄えが著しく低下する。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、溶融めっき層を有する鋼板に圧延法により凹凸模様を形成するにあたって、めっき層の損傷を抑制し、溶融めっき鋼板の耐食性を維持して外観の劣化を抑制した鋼板を得ることを目的とする。
本発明の意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法は、その目的を達成するため、矩形断面の溶融めっき鋼板表面に、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により凹凸模様を付与するに当たり、被圧延溶融めっき鋼板の溶融めっき層を凹凸ロールの凹部及び凸部の両方に接触させて当該溶融めっき層を延ばしながらエンボス圧延することを特徴とする。
本発明の意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法は、矩形断面の溶融めっき鋼板表面に、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により凹凸模様を付与するに当たり、被圧延溶融めっき鋼板をめっき金属の融点未満の温度に加熱して当該溶融めっき層を延びやすい状態にしてエンボス圧延することを特徴とするものであってもよい。
本発明の意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法では、エンボス圧延により溶融めっき鋼板表面に凹凸模様を付与するに当たり、被圧延溶融めっき鋼板の溶融めっき層を凹凸ロールの凹部及び凸部の両方に接触させて当該溶融めっき層を延ばしながら、或いは被圧延溶融めっき鋼板をめっき金属の融点未満の温度に加熱して当該溶融めっき層が延びやすい状態でエンボス圧延している。
このため、形成された凹凸模様面上での溶融めっき層のクラック発生が抑制され、長期間に亘って意匠性を維持できる凹凸模様付き溶融めっき鋼板が低コストで提供できることになる。
予備実験を行った圧延装置のラインを説明する図 予備実験を行った圧延装置で用いたロールプロフィールを説明する図 圧下率の定義を説明する図 圧延後のめっき層の損傷状況を観察した位置を説明する図 エンボス圧延時の凸部の圧下状況を説明する模式図 前方張力と凹部圧下率が凸部のめっき層割れに及ぼす影響を調べた結果図 無張力下での凸部圧下率と凹部圧下率が凸部のめっき層割れに及ぼす影響を調べた結果図 前方張力155N/mm2での凸部圧下率と凹部圧下率が凸部のめっき層割れに及ぼす影響を調べた結果を示す図 CAEストライプ解析による模様圧延後の板厚分布を示す図
本発明者らは、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により溶融めっき鋼板表面に凹凸模様を形成する際に、溶融めっき層に発生するクラックの発生原因とその対策について鋭意検討を重ねる過程で本発明に到達した。
その検討過程と結果について以下に紹介する。
まず、検討過程を説明する。
溶融Zn−Al−Mg合金めっきを施した冷延鋼板を原板とし、図1に示すようなラインで、図2に示すようなロールプロフィールを有するエンボスロールを用いて凹凸模様を形成した。
そして、圧下率を図3に示すように定義し、圧延条件を表1に示すように種々変更してエンボス圧延を行った。
Figure 2012201914
得られたストライブ凹凸模様付きの各溶融めっき鋼板について、図4に示す断面で、凹凸部の輪郭形状を観察するとともに、めっき層のクラック発生状況を調べた。
凹凸部の輪郭形状は、凹部圧下率11%では形成される凸部がエンボスロールの凹部の底に未だ接触せず、凹部圧下率18%では凸部がエンボスロールの凹部の底にほぼ接触し、凹部圧下率21%では凸部がエンボスロールの凹部の底に接触してロール間に充満する状態となっていた。
図5に示すように、凹部圧下率が小さい場合には凸部が未圧延の状態となるが、凹部圧下率が大きくなると凸部も圧延状態となるのである。
また、クラックの発生状況は図6,7,8に示す通りである。
常温での無張力のストライプ模様圧延では、凸部を圧延する条件(凹部圧下率:18%以上、凸部圧下率:0%以上)で、めっき層の割れを抑制できた。(図7参照)
155N/mm2の前方張力を付した場合、凹部圧下率18%、凸部圧下率1%でも凸部のめっき層に割れが発生した。また、前方張力の増加に伴いめっき層の割れ範囲も拡大する傾向にあるが、凸部を安定的に圧延する条件(凹部圧下率約21%)では、いずれの張力でもめっき層の割れは認められなかった。(図8参照)
また、温間圧延(220℃)によるめっき層の割れ抑制効果も確認できた。(図6参照)
なお、クラックの発生部位は、図4中、丸4で示す箇所であった。
さらに、凹部圧下率:11%、19%及び27%でストライブ凹凸模様に圧延後の溶融めっき鋼板について、CAE(Computer Aided Engineering)により、板厚分布解析と各部位の応力解析を行った。
解析した板厚分布は図9に示す通りであった。
凹部の圧下率19%以下では凸部中央の板厚が薄く、凹部圧下率27%では凸部の先端がフラットとなっている。凹部圧下率:21%で圧延したとき被圧延材がエンボスロールの凹部を充満する形状と合致している。この結果から、凹部圧下率27%では、凸部も同時に圧延されていると判断できる。
各部位の応力分布状況を見ると、凹部の圧下率19%以下では凸部に引張応力が作用し、凹部圧下率27%では凸部に圧縮応力が作用していることがわかった。
以上の結果から、次のような説明ができる。
すなわち、凹凸模様をエンボス圧延で付与する場合、凹部が優先的に圧延され、凹部にあった材料の一部は板幅方向へ塑性流動するが、大部分は圧延方向へ塑性流動する。その結果、凸部へ圧延方向引張応力が作用し、減肉となる。
例えば、凹部の圧下率が低く、凸部に圧延ロールが接触しない状態(前記説明における凹部圧下率11%の場合)では、凸部の先端形状は、ロールに沿ったプロフィールとならず、凸形状となる。この時のめっき層の状況を観察すると、凹部は圧延されることにより薄くなってはいるが、めっき層は健全な状態で残存している。しかし、凸部はめっき層が損傷し、下地材まで割れが進行している。
これに対して、凹部の圧下率を高くして凹部から凸部への塑性流動を促進させることで、凸部にも圧延ロールを接触させる圧延条件とした場合(前記説明における、例えば凹部圧下率21%の場合)、凸部の先端形状はロールに沿ったプロフィールとなり、圧延ロールと材料の段差がほぼ一致し、上下ロール間に材料が充満する。
この場合のめっき層を観察してみると、凹部凸部ともに健全なめっき状態であった。
また、ロール間に材料が充満されるような圧下率でなくても、凹部から凸部への塑性流動が進行するような圧延条件とした場合であっても(前記説明における、例えば凹部圧下率18%の場合)、めっき層は凹部凸部ともに健全なめっき状態であった。
この説明は、前記CAEによる応力解析結果と合致している。
すなわち、圧下率が低い条件(前記説明における凹部圧下率11%の場合)では凸部に引張応力が作用し、圧下率が高い条件(前記説明における凹部圧下率18%以上の場合)では、凸部に圧縮応力が作用していることは、凹部圧下率:11%、19%及び27%でストライブ凹凸模様に圧延した後の溶融めっき鋼板について、CAEで行った応力解析の結果と合致している。
以上、予備実験とCAE解析結果から、エンボス圧延の際のめっき層の割れ抑制には、形成される凸部において引張応力が作用しないような条件で行うことが有効であることがわかる。
具体的には、形成される凸部においてもエンボスロールの凹部を接触させ、当該部分のめっき層をも延ばして凸部に圧縮応力が作用されるような条件で圧延することが有効となる。通常凹部の圧下率が低い場合、凸部が圧延されない。すなわち、エンボスロールの凹部が材料と接触していないため、形成される凸部には、圧延方向に引張応力が作用する。その結果、延性の低いめっき層の損傷が生じる。このことから、凸部のめっき層を健全な状態に維持するためには凸部へ作用する引張応力を緩和する必要がある。
このように、凸部におけるめっき層の割れは、当該部分に発生した引張応力がめっき層自身の耐力を上回った時に起こる。
このため、凸部におけるめっき層の割れを抑制するためには、前述のように、凸部に圧縮応力が作用するようにめっき層を延ばすことが有効であるが、めっき層を延びやすくすることも有効である。前記予備実験例で、前方張力付与下では常温では割れが発生するのに対して220℃の温間圧延を施した場合には割れが発生しなかったことから、めっき層を延びやすくした条件下で圧延すると、めっき層割れは抑制できると考えられる。
そこで、形成される溶融めっき鋼板の凸部に圧延ロールの凹部が接触しない圧下率である凹部圧下率15%として、被圧延溶融めっき鋼板の温度を常温、180℃、220℃及び300℃に種々変更し、かつ前方張力なしの条件でエンボス圧延を行ってみた。
この結果、被圧延溶融めっき鋼板の温度が常温であった場合には、凸部のめっき層に割れが生じていた。これに対して、被圧延溶融めっき鋼板の温度が180℃、220℃、300℃であった場合には、めっき層に割れは発生しなかった。
被圧延溶融めっき鋼板を180℃、220℃、300℃に加熱していたために、めっき層が延びやすくなっており、凸部に引張応力が発生してもめっき層が延びて割れには至らなかったものと推測される。
以上の検討結果から、矩形断面の溶融めっき鋼板表面に、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により凹凸模様を付与する際、めっき層にクラックを発生させず、長期間に亘って白錆や赤錆を発生させることなく優れた耐食性を維持することが可能な意匠性に優れた溶融めっき鋼板を得るためには、被圧延溶融めっき鋼板の溶融めっき層を凹凸ロールの凹部及び凸部の両方に接触させて形成された凸部の溶融めっき層に圧縮応力が作用するように当該溶融めっき層を延ばしながらエンボス圧延することが有効であることがわかる。
エンボス圧延が、前方張力が付与された形態で行われる場合、凸部の溶融めっき層に生じる圧縮応力が前記付与された前方張力を上回るように当該溶融めっき層を延ばしながらエンボス圧延する必要がある。
なお、溶融めっき層は鋼板温度が高いと延びやすい状態となる。このため、被圧延溶融めっき鋼板をめっき金属の融点未満の温度に加熱して当該溶融めっき層を延ばしやすくした状態でエンボス圧延すると、圧延時に形成される凸部の先端が凹凸ロールの凹部の底に接触しなくても、溶融めっき層が延びて凸部の溶融めっき層に生じやすいクラック発生を抑制することができる。

Claims (2)

  1. 矩形断面の溶融めっき鋼板表面に、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により凹凸模様を付与するに当たり、被圧延溶融めっき鋼板の溶融めっき層を凹凸ロールの凹部及び凸部の両方に接触させて当該溶融めっき層を延ばしながらエンボス圧延することを特徴とする意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法。
  2. 矩形断面の溶融めっき鋼板表面に、一方がその表面に凹凸を形成した凹凸ロールで他方がフラットロールであるエンボス用ロールを用いたエンボス圧延により凹凸模様を付与するに当たり、被圧延溶融めっき鋼板をめっき金属の融点未満の温度に加熱して当該溶融めっき層を延びやすい状態にしてエンボス圧延することを特徴とする意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法。
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