JP2012207245A - 加熱炉用ローラー - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミック製の胴部スリーブと軸スリーブとの接合が、高温度の雰囲気でも熱膨張差の影響を受けることなく安定した、信頼性の高い加熱炉用ローラーを提供する。
【解決手段】セラミック製の胴部スリーブの両端部にそれぞれ金属製の軸スリーブを、締まり嵌めによって嵌合接合する。軸スリーブは、同一金属を用いて、胴部スリーブに嵌合する中空のスリーブ部と、中空のスリーブ形状の軸受部を連結した構成にする。スリーブ部の端部は、胴部スリーブの端部よりも外方向に延長する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鋼板等の帯状材または塊状材を、連続的あるいは間歇的に加熱・熱処理する設備の中核である炉体の中に配備され、材料を搬送する加熱炉用ローラーに関する。さらには、加熱された材料や加熱雰囲気の中で稼動するローラー、たとえばガラス製造用の搬送ローラーあるいは加熱された鋼板の成形などに用いられるピンチロール、サポートロールなど、高温の製品と接触するローラーも含まれる。
金属の帯板を加熱・熱処理する炉内には帯板を搬送するローラーが配備されている。高温の炉内で加熱された帯板表面の酸化スケール等によるローラー面の摩耗、肌荒れ、さらには肌荒れ面へのスケールの移着(ビルドアップ)等によって帯板表面に傷が生じるため、頻繁にローラーの交換が必要とされる。そのため、ローラーには摩耗や焼き付きなどに対して優れるセラミックス系の溶射皮膜層を形成させたローラーや一部にセラミック製ローラーが採用されてきた。
図10は、従来技術により加熱炉中に装備された炉内搬送ローラー(ハースローラーともいう)の概念図である。図において、被熱処理材を搬送するローラーは、胴部スリーブと、その内周面側に同心に嵌合する耐熱鋼からなる軸材と、該軸材の両端に設けられた耐熱鋼からなる軸受部とから構成されている。この炉内搬送ローラーは、耐火物から構成される加熱炉壁を貫通するように配置されて、炉壁外部に設けた軸受を介して回転駆動されるよう構成されている。炉内雰囲気は、通常、800〜1250℃の温度の大気或いは不活性ガスである。軸材及び軸受部を貫通する軸中心孔が設けられて、この軸中心孔を通して水冷されるよう構成されている。図示のようなセラミック製ローラーの方が、セラミックス溶射ローラーよりもロールの耐久性の点では圧倒的に優れるが、胴部スリーブと軸材との接合(または、回転の同期化)の方法に、大きな課題があって、セラミック化が進んでいない。
耐久性に最も優れるセラミック製ローラーの場合、胴部スリーブと軸材との回転を同期化させるため、胴部スリーブをその両側で軸材に設けたフランジにばねを介して押し付けて軸材に固定させたり(特許文献1、特許文献2)、胴部スリーブの端部に溝を設けて、軸材に固定された突起部(キー、コッターなど)によって軸材から胴部スリーブに回転を伝える方法(特許文献3、特許文献4)が一般的である。このような回転同期化の方法がとられてきたのは、胴部スリーブの嵌合技術として一般的な締まり嵌め(焼き嵌めで代表させることが多い)が、セラミックスと金属との熱膨張差に派生する問題を解消できなかったためである。前述の各接合技術における問題点を、以下に述べる。
フランジによってばねを介して胴部スリーブの回転を軸材と同期させる方法(特許文献1,2)においては、胴部スリ-ブと軸材との温度差の変動や、高温にさらされるばねの経時劣化によって、胴部スリーブが滑りやすい問題がある。すべりを防ぐためにばねの力を強くすると、胴部スリーブ端面に大きな押し付け力が作用して、セラミック製の胴部スリーブ端部での破壊の危険性が高くなる。
キー、コッターピンあるいはボルトなどによって軸材に固定する方法(特許文献3,4)では、脆弱なセラミック製の胴部スリーブの端部に形成されるキー溝や孔周辺部に応力集中が生じる。加えてキーの場合を考えると、キーとキー溝との嵌合部に設けられる大きな隙間(セラミックスと金属との数倍もの熱膨張係数の差異に基づき設定される余裕代)に起因して、始動・停止時に衝撃力が生じる。この衝撃力によって、胴部スリーブのキーや孔部に亀裂や破壊が生じやすい弱点がある。
また、このような固定法をとる場合、中実軸が胴部スリーブの内部を軸方向に貫通しているか、または中空の軸(軸スリーブ)が胴部スリーブの内部に配備された構造が一般的である。このように、中空もしくは中実の金属または非金属系の軸材(特許文献4)が加熱炉中に配備され、加熱される構造には、軸材に起因する不具合が避けられない。ひとつは、中空の金属軸を冷やすために中空内面が水冷されるが、このために、胴部スリーブも金属軸を介して冷却され、製品に接するローラー側の板面温度を低下させる。さらに、水冷に伴う熱エネルギーの損失も小さくない。いまひとつは、金属または炭素系の材料からなる中実軸は、高温加熱による強度低下や、元来脆弱な材料であるため、軸の偏心・変形、さらには破壊のリスクが付きまとう。
軸材が炉内を貫通する構造を避けるため、特許文献5は、軸内部を空洞にした構造で、鋼製中空軸が胴部スリーブ端部嵌合部で耐熱性の接着材によって固定されている。この接着層は軸材と胴部スリーブとの熱膨張差に起因する張り割れ応力への緩衝層としても期待されている。しかしながら、接着材の耐熱温度の限界や、軸材と胴部スリーブとの熱膨張差に起因する接着層に働く剪断力、さらには圧縮力に対して接着材の強度に限界があって、1000℃を超える高温度や、ローラーに大きな曲げ荷重がかかる加熱炉での使用には、接着層からの緩みの問題は避けられない。かかる理由から、高温、高負荷で使う場合には、軸内部への一定の冷却が必要になってくるが、水冷の場合には、熱エネルギーの損失のほかに接着層からの水漏れの課題が生じる。
熱膨張差の問題に対して、熱膨張がセラミックスに近い低熱膨張金属を軸材に採用する方法が考案されているが、その場合でも、熱膨張係数はセラミックスの2倍程度あり、しかもそれらの金属はきわめて高価であるため、実用化に至っていない。
特開昭62-280324号公報 特開平8-295948号公報 特開平3-249122号公報 特開平10-183260号公報 特開2000−249472号公報
弾性力学、村上敬宜、養賢堂、2008年、p48-50 鋳造品のエンジニヤリングデータブックII、鋳鋼の高温特性、綜合鋳物センター編、1981年、p87
セラミック製の胴部スリーブと金属製の軸材とを、強固に接合する方法として、締まり嵌めが考えられるが、熱膨張の小さなセラミックスリーブの内側に、熱膨張の大きな金属製軸が配備されることに問題の根源がある。熱膨張差に起因する課題を解消できる信頼性の高い技術が考案できずにきたことが、一般によく知られているにもかかわらず、この焼嵌接合法が高温用ローラーに採用されてこなかった大きな理由といえる。
熱膨張差の問題は、具体的には、脆弱なセラミックスの熱膨張係数3×10−61/℃(Si3N4セラミックス)に対して、その内側に配備される金属製軸の熱膨張係数は12×10−61/℃(Cr,Mo合金炭素鋼)ないしは17×10−61/℃(オーステナイト系ステンレス鋼)と、4倍以上もの違いがある。たとえば、セラミックスリーブの端部に常温で金属製軸スリーブが嵌合される場合を考える。これが加熱炉内で両スリーブが同一温度に加熱されると、胴部スリーブの4倍以上の大きな膨張によって、軸スリーブからセラミックスリーブが押し広げられて、大きな張り割れ応力(円周方向応力)が生じる。この張り割れ応力が、セラミックスの破壊強さを越えれば、セラミックスリーブは破壊し、それが操業中の炉内で発生すれば、加熱・熱処理炉、その前後装置すべての操業中断を余儀なくされて、多量の製品不良や多大な操業損失を招くことになる。
熱膨張差を緩和するために、嵌合部に緩衝層を導入したり、接着材を介して嵌合する方法が実施されてきたが、1,000℃以上の雰囲気温度に耐えて、軸材の回転を確実に胴部スリーブに伝達できて、しかも一定の曲げ剛性が保持できる技術として確立されたものは見当たらない。
この他の熱膨張差回避策として、キーによって回転を伝達する方法が考案されてきたが、この方法ではセラミックスリーブ端部に加工されるキー溝が応力集中源となり、脆弱なセラミックスリーブの破壊原因となる。応力集中源となりうるものは、キー溝のほかに、タップ穴、段付加工など、平滑でなく、何らかの凹凸を有する形状すべてが含まれる。加えて、これらの応力集中源の部位には熱膨張差を許容するための隙間が設けられているので、衝撃を伴うような力が加わる構造になっていることが多く、セラミックスリーブの破壊を加速させることになる。
このような構造のセラミックスリーブの軸材は、セラミックスリーブ内面側にスリーブ全長にわたって配備されているので、高温の炉内で加熱されたセラミックスリーブからの輻射熱や熱伝達によって加熱される。そのため、軸材の曲がりなどの偏心・変形が生じやすく、安定した操業ができなくなることがある。軸材の高温化を防止するために、軸心に内孔を設けたり、中空スリーブ状にして、それぞれ軸の内部の水冷が行われるのが一般的である。水冷によって軸材の変形・偏心は改善されるのであるが、セラミックスリーブが冷やされて、搬送される帯板などが冷やされる結果、板形状が不安定になったり、炉内の熱が水とともに排出されるために、熱効率の阻害要因にもなっている。
そこで、本発明は、加熱炉用ローラーにおいてセラミックの長所を活かし、かつセラミック製の胴部スリーブと軸スリーブとの接合が、高温度の雰囲気でも熱膨張差の影響を受けることなく安定した、信頼性の高い加熱炉用ローラーを提供することを目的としている。
本発明の加熱炉用ローラーは、セラミック製の胴部スリーブの両端部にそれぞれ金属製の軸スリーブを嵌合接合し、かつ内部無水冷構造とする。軸スリーブの嵌合接合は、胴部スリーブの端部に締まり嵌めによって接合する。軸スリーブは、同一金属を用いて、胴部スリーブに嵌合する中空のスリーブ部と、中空のスリーブ形状の軸受部を連結した構成にする。スリーブ部の端部は、胴部スリーブの端部よりも外方向に延長する。軸スリーブの軸受部を回転可能に支持する軸受を備える。
スリーブ部よりも軸受部を小径にして、両者の間にフランジ部を介在させて一体に連結することができる。或いは、スリーブ部と軸受部を同一径のストレートなスリーブ形状にして連結することができる。
スリーブ部の端部を胴部スリーブの端部よりも外方向に延長した長さNは、軸スリーブ部の厚さHよりも2倍以上長くする。フランジ部及び軸受部の中心に設けた空冷管、及びフランジ部に複数個設けた孔によって、冷却空気を送るための空冷手段を構成しても良い。また、冷却空気を受け、胴部スリーブ部で高温になった内部空気を適度に遮蔽する隔壁を、スリーブ部内部に設けても良い。
胴部スリーブはAl2O3、ZrO2、Si02、SiC、Si3N4、Y2O3、TiO2、Cr2O3、MgO、CeO2の群から選ばれる、1種ないしは2種以上の成分からなるセラミックスの焼結体である。金属製の軸スリーブは、炭素鋼、合金鋼、または耐熱鋼の中から選択する。
スリーブ部の肉厚は、高温稼動状態において胴部スリーブの破壊強さを上まわらぬように設計される。胴部スリーブと軸部スリーブとの嵌合部において、それらの間に断熱層を介在させても良い。胴部スリーブと軸スリーブとの嵌合部において、軸スリーブ外径に、ねじ山部が非ねじ山部の0.5以下の比率になるようにねじ溝加工を施しても良い。胴部スリーブ内面端部に生じる局部強圧を緩和するために、胴部スリーブ内面端部に大きな曲率で面取りを施しても良い。
胴部スリーブと軸スリーブとの嵌合部において、軸スリーブ外径側に、端部側の肉厚が大きくなるようなテーパー、或いは、胴部スリーブ端部内面に端部側の肉厚が薄くなるようなテーパーを形成しても良い。
本発明の加熱炉用ローラーは、炉内雰囲気および被加熱鋼板が接触する最外部を耐熱性,耐肌荒れ性(耐ビルドアップ性)を有するセラミック製の胴部スリーブとしているため、鋼板の表面品質を常に良好に維持し、しかも表面品質が劣化し始めるまでの操業安定期間が、従来のセラミックス系コーティングを施したローラーに比べて数倍以上に延長できる。そのため、表面品質に優れた鋼板を、加熱・熱処理の操業効率を高く維持したままで生産できる。
さらに、本発明の加熱炉用ローラーの採用によって、セラミック製の胴部スリーブの操業中の割れの発生や、ローラーの偏心・変形などの不具合を生じることもなく、常に安定した操業が維持・継続できる。また本発明の加熱炉用ローラーでは、ローラー内部の水冷を行う必要がないので、加熱・熱処理炉の熱エネルギー効率を、従来の内部水冷方式に比べて向上できる。このように、本発明の加熱炉用ローラーは、製品品質の安定化、操業効率向上に加えて、地球環境にもやさしいということができる。
また、本発明は、軸スリーブのスリーブ部と軸受部を連結した構成にしたことにより、セラミック製の胴部スリーブと金属製の軸スリーブを熱膨張の差からくる胴部スリーブの張り割れの心配なしに焼嵌接合することが可能になる。そのことから、胴部スリーブの回転を軸材と同期させるために、耐熱性の接着材を使用する方法、ばねを使用する方法、キー、コッターピンあるいはボルトなどによって軸材に固定する方法などの従来法で生じる諸々の問題が生じない加熱炉用ローラーを提供できるという効果が生じる。
(A)は、加熱炉内に装備される本発明の帯板搬送用ローラーの全体図であり、(B)はその端部を示す詳細図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、図1とは異なる別の例の軸スリーブを例示する図である。 胴部スリーブ内面端部に施した面取りを説明する図である。 軸スリーブ嵌合部外径に施したテーパーを説明する図である。 胴部スリーブの温度800℃において、軸スリーブ温度の変化に対する胴部スリーブ内面最大応力の関係を示す(簡易計算)グラフである。 (A)は空冷手段を設けた軸スリーブの縦断面図、(B)は(A)中に示す矢印X−X方向に見た側面図、及び(C)は(A)中に示す矢印Y−Y方向に見た側面図である。 胴部スリーブ温度800℃、軸スリーブ温度500℃において、張り割れに対して安全な軸スリーブの肉厚の検討結果を示すグラフである。 胴部スリーブ温度800℃に対して、軸スリーブを600℃まで昇温させた場合に、軸スリーブ肉厚を中実から5mmまで変化させて、軸スリーブに生じる円周圧縮応力を求めたグラフである。 胴部スリーブ温度1000℃、軸スリーブ温度500℃において、軸材をオーステナイト系ステンレスに変更した場合の、張り割れに対して安全な軸スリーブ肉厚の検討結果を示すグラフである。 従来技術の加熱炉中に装備された炉内搬送ローラーの概念図である。
以下、例示に基づき本発明を説明する。図1(A)は、加熱炉内に装備される本発明の帯板搬送用ローラーの全体図であり、(B)はその端部を示す詳細図である。図示のように、セラミック製の胴部スリーブの両端部に金属製の軸スリーブ(金属製中空軸)を嵌合接合し、かつ内部無水冷構造とする。軸スリーブの嵌合接合は、胴部スリーブの端部に締まり嵌め(焼き嵌め、又は、冷やし嵌め)によって接合する。但し、この嵌合部において、それらの間に断熱層を介在させても良い。胴部スリーブと軸スリーブとの嵌合はそれらの直接接触を基本として、円滑な回転の同期化と軸心の真直を保持するが、胴部スリーブから軸スリーブへの断熱効果を持たせる必要があれば、薄くて強固な断熱層を嵌合部に介在させてもよい。また、胴部スリーブと軸スリーブとの嵌合部において、軸スリーブ外径に、ねじ山部が非ねじ山部の0.5以下の比率になるようにねじ溝加工を施すことも可能である。
また、図3に示すように、胴部スリーブ内面端部に生じる局部強圧を緩和するために、胴部スリーブ内面端部に大きな曲率で面取りを施すことも可能である。また、図4に示すように、胴部スリーブと軸スリーブとの間に生じる接触圧力の軸方向分布を均一化するために、軸スリーブ嵌合部外径において、端部側の肉厚が大きくなるようなテーパーを施すことも可能である。或いは、テーパー(図示省略)は、胴部スリーブ端部内面側に、端部の肉厚が薄くなるように形成することも可能である。
図1(A)、(B)に例示する軸スリーブは、スリーブ部よりも軸受部を小径にして、両者の間をフランジ部で一体に連結した例を示している。フランジ部の厚さMは、スリーブ部の厚さHと必ずしも同じにする必要はなく、図示の例は、M>Hの場合を示している。金属製の軸スリーブを嵌合した胴部スリーブは、両側に位置する軸受によって回転可能に支持されている。胴部スリーブと炉壁との間には、回転可能な隙間が形成されている。胴部スリーブはAl2O3、ZrO2、Si02、SiC、Si3N4、Y2O3、TiO2、Cr2O3、MgO、CeO2から選択された、1種または2種以上から構成されるセラミックスの焼結体からなる。軸スリーブは、加熱温度が高くなければ炭素鋼、加熱温度が高くなって軸スリーブの永久変形が生じる領域ではCr,Mo合金鋼、さらにはステンレス鋼やSCHなどの耐熱鋼からなる。
軸スリーブは、同一金属を用いて、胴部スリーブに嵌合する薄肉で中空のスリーブ部と、薄肉中空のスリーブ形状の軸受部を連結した構成にする。但し、図1に示すように(図2(A)も同様)、スリーブ部と軸受部の径を必ずしも同一にする必要はなく、スリーブ部の径が比較的に大きな形状の場合は、スリーブ部よりも軸受部を小径にして、両者の間にフランジ部を介在させて一体に連結することができるし、或いは、スリーブ部の径が比較的に小さな場合は、図2(B)に示すように、スリーブ部と軸受部を同一径のストレートなスリーブ形状にすることもできる。
図2(A)及び(B)は、それぞれ、図1とは異なる別の例の軸スリーブを例示している。図2(A)は、スリーブ部と軸受部を連結するフランジ部の径を直線的にテーパー状に変化させたものであり、また、図2(B)は、スリーブ部と軸受部を、フランジ部を設けることなく直接連結したものである。
図1及び図2に示すいずれの軸スリーブ構成においても、フランジ部だけでなく、軸受部には、その中心を貫通する軸中心孔が設けられて、ローラー内部の空気は換気可能となっている。スリーブ部の一部は、炉壁外部側にまで延長する。軸受部及びフランジ部は、炉壁外部側に位置することになる。さらに、図6を参照して後述するように、冷却用気体を送るための空冷管(空冷手段)を設けても良い。この軸受部は、軸スリーブの一部で、その外周に軸受が配備されてローラーの回転に供される円筒部分であり、胴部スリーブとの嵌合がなされる中空かつ薄肉のスリーブ部とは機能を異にする。
図1(B)において、スリーブ部の長さをL、スリーブ部の厚さをH、胴部スリーブの端部と軸スリーブの奥のフランジ部までの間隔をNと表示している。胴部スリーブの端部と、フランジ部までの間隔Nは、軸スリーブ部の厚さHよりも長く、望ましくはその2倍以上とする。スリーブ部の温度は炉壁により熱伝達が遮られるため、炉内温度より数百度低くなる。
胴部スリーブの両端内側に軸スリーブが嵌合する嵌合部で、胴部スリーブと軸スリーブの結合がなされて、軸スリーブと胴スリーブとの一体的な回転と軸方向の曲げ剛性が保持できるように締め代が設定される。この嵌合部では、金属より脆弱なセラミック製の胴部スリーブに対して、熱膨張係数の大きな軸スリーブから張り割れ応力(円周方向応力)が作用する構造となるため、嵌合部の機能を損なわずに、かつセラミック製の胴部スリーブを破壊させない設計が求められる。張り割れ応力は、常温から高温にいたる操業条件において、嵌合部の胴部スリーブ温度、熱膨張係数と、嵌合部における軸スリーブ温度、熱膨張係数に対応して、それぞれの熱膨張が決まってくるので、それぞれの肉厚、弾性係数に応じて、胴部スリーブに生じる円周応力として求まる。この応力が胴部スリーブの破壊応力を超えないように、軸スリーブの肉厚を決定することで胴部スリーブは破壊されずに、高温域で使用できるのである。簡易的には、後述する図5に示したようなローラー諸元を例に、その条件に適切な軸スリーブの肉厚を求めることができる。
このような内部無水冷構造によって、耐肌荒れ性に優れ、しかも加熱炉の熱エネルギー効率にも寄与する、耐久性と信頼性に富むセラミック製のローラーを提供することができる。胴部スリーブと軸スリーブとの回転を同期化するにあたって、両者が直接強固に接合されて曲げ剛性が保持されていれば、胴部スリーブ端部に切れ込みを形成させたり、胴部スリーブ内部に金属軸を貫通させる必要はなくなる。強固な嵌合接合において、最大の課題はセラミックスと金属との熱膨張差に由来する胴部スリーブの破壊リスク回避技術である。胴部スリーブの内側に嵌合される軸スリーブの熱膨張が大きいために軸スリーブの方が大きく膨らみ、セラミック製の胴部スリーブを内側から押し広げるために、張り割れ応力が生じることになる。この場合に、押し広げる軸が変形しやすければ押し広げようとする力は小さくなる。
図5は、接合部における胴部スリーブの温度800℃(安全設計の観点から、実際の値より高く設定してある)において、軸スリーブ温度の変化に対する胴部スリーブ内面最大応力の関係を示す(簡易計算)グラフである。軸スリーブの厚さが胴部スリーブの張り割れ応力に与える影響を見るために、胴部スリーブ温度を800℃としたときに、軸スリーブ温度に対する、胴部スリーブ内面の円周方向応力(張り割れ応力)を算定したものである。円筒を無限長とし、それぞれのスリーブは均一温度に加熱されていると仮定して、軸スリーブの肉厚として、5mm、10mm、20mm、30mm、及び中実軸のそれぞれについて計算した。この図から、軸スリーブの温度が高くなると、円周方向応力は直線的に大きくなる。応力は、中実軸の場合が最大で(その比率を1.0とする)、中空軸の肉厚が薄くなるほど小さくなって、肉厚が10mm以下では、中実軸の1/4(比率0.25)以下に減少することが示されている。
図1(B)、図2(A)、(B)に示すように、金属スリーブの先端部分をPとし、胴部スリーブの終端部をQとし、軸スリーブの奥の内径が小さくなり始める付近をRとする。軸スリーブの肉厚を15mmとした場合は、図5を見ても分かるように500℃になっても胴部スリーブの内面応力は安全側にある。胴部スリーブの終端部Qでは30mmとした場合は、温度は相当に下がっているが、図5でみると350℃以上でも胴部スリーブの内面応力は十分な安全側にある。軸スリーブの奥の壁付近Rでは、実軸に相当する部分の温度は更に下がっているが、300℃であっても実軸として安全側にある。
高温炉の稼働開始時点など、胴部スリーブが先に温度上昇することから、胴部スリーブと軸スリーブとの密着性(回転力の伝達ができなくなる)の問題が生じる可能性が想定されるが、本発明では、稼働開始時点で胴部スリーブが先に温度上昇して内径が大きくなった場合に軸スリーブの先端部分P付近では胴部スリーブの内径の膨張の方が先行して、多少の嵌合の緩みの発生があったとしても、胴部スリーブの終端部Qではまだ熱伝導が十分でなく、胴部スリーブの内径の膨張は遅れているので密着している。胴部スリーブの終端部Q付近が膨張する時点では、軸スリーブのP部分も温度上昇が追従して十分な嵌合を達成している。稼働停止時は温度の下降速度は緩慢であり、温度差が小さく張り割れの心配はない。要するに、軸スリーブの付近R(スリーブ部の端部)を胴部スリーブの終端部Qからさらに外部方向に延長すると、軸スリーブの変形を阻害する部分が遠くなり良好な結果が得られることが分かる。
図6(A)は空冷手段を設けた軸スリーブの縦断面図、(B)は(A)中に示す矢印X−X方向に見た側面図、及び(C)は(A)中に示す矢印Y−Y方向に見た側面図である。このフランジ部及び軸受部には、冷却空気を送るための空冷管(空冷手段)を設けることができる。フランジ部及び軸受部の中心に設けた空冷管より冷却空気を送って、軸スリーブのフランジ部に複数個設けた孔を通して外部に放出させることができる。この際、スリーブ部内部に設けられる隔壁は、冷却空気を受け、胴部スリーブ部で高温になった内部空気を適度に遮蔽する。このような隔壁は軸スリーブの内側に数ヶ所固定する。図6に示す例では、4か所を溶接により軸スリーブのスリーブ部に固着している。隔壁は1〜2mm厚の鋼板をプレス加工等で作成したもので十分である。図6(A)に示す隔壁の左右の位置は図示より軸受部に近い位置でもよい。冷却空気を送らなくても、内部空気を適度に遮蔽するための隔壁を設けることによって、さらには、軸スリーブのフランジ部に設けた数か所の孔の外部に、ローラーの回転によってこの孔を通して空気が入るようにした板を取り付けることにより、ローラーの内部空気は換気することができる。その効果として、軸スリーブ内面の空気は冷却される。比較的低温の高温炉の場合は、これで十分である。
図7は、胴部スリーブ温度800℃、軸スリーブ温度500℃において、張り割れに対して安全な軸スリーブの肉厚の検討結果を示すグラフである。炉内搬送ローラー(ハースローラー)の中でも熱的な条件の厳しい例として、スラブ均熱炉を対象に、胴部スリーブと軸スリーブの加熱温度を実態よりさらに厳しい条件を想定して、数値解析により強度評価を行う。このように仮定条件を厳しく見積もっているので、本解析結果による評価は、実体設備に対して安全側の評価と判断できる。

尚、ここでの解析は、胴部スリーブ、軸スリーブ双方の温度を与えて、それぞれの温度の元での応力を求めるもので、実際の場合のように、雰囲気温度からの加熱や熱伝導から求めるものではない。あくまでも、熱膨張に起因する張り割れ応力への、軸スリーブ肉厚による影響を、相対的に比較するための近似的な解析であることを、断っておかねばならない。
加熱炉温度:1200℃(ここでの計算には、直接使用しないが、参考までに示す)、ローラー端、即ち軸スリーブとの嵌合部の胴部スリーブ(窒化珪素)の温度:800℃(実態では、加熱炉の炉壁断熱材によってこの部分は覆われているため、炉内温度より著しく低温で、400℃以下との測定例もあるが、ここではかなり高く設定した)、嵌合部軸スリーブ(耐熱鋼)の温度:RT(室温)〜600℃、胴部スリーブの外径、長さ、肉厚:300、2600、30mm、軸スリーブの外径:240mm、弾性係数:(セラミックス)300MPa、(軸スリーブの耐熱鋼)210MPa、熱膨張係数:(セラミックス)3×10-6(軸スリーブの耐熱鋼)11×10-6 1/℃、焼嵌率δ/2b: 2×10-6とした。但しδは焼嵌代、2bは胴スリーブ内径または軸スリーブ外径である。
以上の条件下で、軸スリーブの肉厚を、120(中実)、30、20、10、5mm、と変化させて、胴部スリーブ内面に生じる、円周方向応力(張り割れ応力)を解析した。解析に用いた式を、次に示す(非特許文献1参照)。
胴部スリーブの円周応力の最大値は内面に発生して、
σ1θb=(d2+b2)p/(d2−b2)・・・(1)
軸スリーブの円周応力最大値は外径に生じ、
σ2θb=(b2+a2)p/(b2−a2)・・・(2)
で求められる。ここで、接触部の圧力pは、
p=E12(d2−b2)(b2−a2){δ/2b+(αΔT2−α1ΔT1)}/〔E2(b2-a2){(d2+b2)+ν1(d2-b2)}−E1(d2-b2){(a2+b2)+ν(b2−a2)}〕
を用いて、求められる。ただし、2d:胴部スリーブの外径、2b:同内径または軸スリーブの外径(δは無視できる)、2a:軸スリーブの内径、E1、E2:胴部スリーブ、軸スリーブそれぞれの縦弾性係数、ν1、ν:胴部スリーブ、軸スリーブそれぞれのポアソン比、ΔT1、ΔT2:胴部スリーブ、軸スリーブそれぞれの室温からの温度上昇、α1、α:胴部スリーブ、軸スリーブそれぞれの線膨張係数である。
(1)式を用いて求めた、胴部スリーブ内面の応力を、図7に示す。この応力は、セラミックを張り割ることに係わるものでローラーの定常稼働中に、常時生じる。実態ではこの応力に加えて、搬送物の自重による胴部スリーブへの応力も作用するが、無視できるほど小さいので、考慮しない。
図7において、窒化珪素セラミックスの引張強度400MPaに対して、300MPaを、設計強度として用いた。また、軸スリーブの高温強度の特性を考慮して、500℃を耐用限界とした。なお、これ以上の温度に耐用できる軸材は多く存在するので、費用・効果の観点から判断する余地は残されている。図7から、軸温が500℃に達する条件では30mm(胴部スリーブと同一肉厚)以上の肉厚ではセラミックの強度を超えるが、軸スリーブの肉厚20mm以下では耐用可能となる。
一方、軸スリーブの薄肉化により軸スリーブ自体の強度低下が懸念される。軸スリーブ自身の強度解析は、式(2)によって評価できる。胴部スリーブ温度800℃に対して、軸スリーブを600℃まで昇温させた場合に、軸スリーブ肉厚を中実から5mmまで変化させて、軸スリーブに生じる円周圧縮応力を求め、図8に示す。図中、軸材の設計強度(降伏点)は、(非特許文献2)から引用したもので、この限界線以下では耐用できると考えた。図8において、胴部スリーブの場合と同様、耐用限界温度500℃以下では、軸スリーブの肉厚5mmにおいても、軸スリーブは耐用できるといえる。さらに、高温強度の高い材料を用いることで、信頼性をより高くできることは、勿論である。
軸スリーブの強度に関しては、この他に搬送材の重力によってローラー回転ごとに加わる応力の影響も考慮が必要である。この場合の最大応力は軸スリーブの曲げによって生じる軸方向応力σzbで、胴部スリーブの端部の軸外径に生じる。この曲げ応力は次の(3)式によって求められる。
σzb=32bPl/π(b−a4) ・・・(3)
ただし、P:ローラに加わる搬送材の重力×4(衝撃係数)5760kg、l:胴部スリーブ端から軸受中心までの距離、525mm、である。式(3)から軸方向応力は69.5MPaと計算され、これは(2)式から求められた、500℃における同位置の軸円周圧縮応力に対して、10%程度で、その影響は無視できる。
以上のように、軸スリーブに薄肉化、具体的には、中実から5mmに薄くすることにより、セラミックスの張り割れ応力を、およそ5分の1に小さくできることがわかった。
図9は、胴部スリーブ温度1000℃、軸スリーブ温度500℃において、軸材をオーステナイト系ステンレスに変更した場合の、張り割れに対して安全な軸スリーブ肉厚の検討結果を示すグラフである。この実施例2は、実施例1に比べて、さらに高温度でしかも軸材に耐熱性により優れるオーステナイト系耐熱材を用いるため、軸スリーブの熱膨張係数がより大きくなって、張り割れが生じやすい条件である。実施例1との変更点のみを示す。

ローラー端、即ち軸スリーブとの嵌合部の胴部スリーブ(窒化珪素)の温度:1000℃(実態よりかなり高く設定)、熱膨張係数:(セラミックス)3×10-6(軸スリーブの耐熱鋼)17×10-6 1/℃とした。
図9に示すように、軸スリーブの耐熱限界500℃で、セラミックスの設計強さ300MPaを満たす軸スリーブの肉厚は10mm以下で(胴部スリーブの肉厚30mm)、実施例1に比べてより薄い軸材を用いればこの場合でも耐用可能であることが分かる。しかし、その場合でも、胴部スリーブの温度1000℃に対して、軸スリーブを500℃以下の低温に保つためには、嵌合面での適切な断熱材の導入が望ましい。

Claims (13)

  1. セラミック製の胴部スリーブの両端部にそれぞれ金属製の軸スリーブを嵌合接合し、かつ内部無水冷構造とした加熱炉用ローラーにおいて、
    前記軸スリーブの嵌合接合は、前記胴部スリーブの端部に締まり嵌めによって接合し、
    前記軸スリーブは、同一金属を用いて、胴部スリーブに嵌合する中空のスリーブ部と、中空のスリーブ形状の軸受部を連結した構成にし、
    前記スリーブ部の端部を前記胴部スリーブの端部よりも外方向に延長し、かつ、
    前記軸スリーブの軸受部を回転可能に支持する軸受を備えたことから成る加熱炉用ローラー。
  2. 前記スリーブ部よりも前記軸受部を小径にして、両者の間にフランジ部を介在させて一体に連結した請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  3. 前記スリーブ部と前記軸受部を同一径のストレートなスリーブ形状にして連結した請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  4. 前記スリーブ部の端部を前記胴部スリーブの端部よりも外方向に延長した長さNは、前記軸スリーブ厚さHの少なくとも2倍にした請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  5. 前記フランジ部及び前記軸受部の中心に設けた空冷管、及び前記フランジ部に複数個設けた孔によって、冷却空気を送るための空冷手段を構成した請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  6. 冷却空気を受け、前記胴部スリーブ部で高温になった内部空気を適度に遮蔽する隔壁を、前記スリーブ部内部に設けた請求項5に記載の加熱炉用ローラー。
  7. 前記胴部スリーブはAl2O3、ZrO2、Si02、SiC、Si3N4、Y2O3、TiO2、Cr2O3、MgO、CeO2の群から選ばれる、1種ないしは2種以上の成分からなるセラミックスの焼結体である請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  8. 前記金属製の軸スリーブは、炭素鋼、合金鋼、または耐熱鋼の中から選択する請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  9. 前記スリーブ部の肉厚は、高温稼動状態において胴部スリーブの破壊強さを上まわらぬように設計される請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  10. 前記胴部スリーブと前記軸部スリーブとの嵌合部において、それらの間に断熱層を介在させてなる請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  11. 前記胴部スリーブと前記軸スリーブとの嵌合部において、軸スリーブ外径に、ねじ山部が非ねじ山部の0.5以下の比率になるようにねじ溝加工が施されてなる請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  12. 前記胴部スリーブ内面端部に生じる局部強圧を緩和するために、胴部スリーブ内面端部に大きな曲率で面取りを施した請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
  13. 前記胴部スリーブと前記軸スリーブとの嵌合部において、前記軸スリーブ外径側に、端部側の肉厚が大きくなるようなテーパー、或いは、前記胴部スリーブ端部内面に端部側の肉厚が薄くなるようなテーパーを形成した請求項1に記載の加熱炉用ローラー。
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