JP2012209471A - 熱処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サセプタの周縁部から入り込む磁束の透過を制御することによって,サセプタの面内温度を的確に制御する。
【解決手段】 基板を載置する載置面を有する導電性部材であって,周縁部210とこれに囲まれる内側部220とに分けられ,内側部は厚板状発熱体からなり,周縁部は内側部よりも薄い薄板状発熱体を互いに電気的に絶縁した状態で積層してなるサセプタ200と,サセプタの側面からその載置面に平行な方向に交流磁場を形成する電磁石120とを備え,この電磁石に巻回された誘導コイル124に印加する2つの周波数の高周波電流により各薄板状発熱体に発生する誘導電流を制御して内側部までの磁束の透過を制御することによって,各サセプタの周縁部の発熱量と内側部の発熱量との比率を変化させて温度制御を行う。
【選択図】 図17B

Description

本発明は,基板例えば半導体ウエハやガラス基板などに所定の熱処理を施す熱処理装置に関する。
半導体集積回路を製造する場合には,基板表面にシリコン膜やシリコン酸化膜等の各種の成膜処理,酸化処理など各種の熱処理が施される。これらの熱処理を行う場合,複数枚の半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」とも称する)を配置して一度に熱処理できる所謂バッチ式の熱処理装置が用いられることが多い。
バッチ式の熱処理装置としては,多数のウエハを収納した反応管を電気炉で加熱する電気炉方式(ホットウォール方式)が主に用いられている。ところが,電気炉方式では,炉全体の熱容量が大きいためウエハの温度を昇降温するのに多くの時間を必要とし,生産性が大きく低下する問題があった。
その他,高周波誘導加熱方式を利用してウエハを加熱するタイプのものもある(例えば特許文献1,2参照)。このタイプの熱処理装置は一般に,反応管の外側に巻回した誘導コイルを備え,この誘導コイルに高周波電流を供給して,反応管内に配置した導電性のサセプタを誘導加熱し,サセプタに載せたウエハを熱伝導により間接的に加熱する。これによれば反応管を直接加熱する必要がないため,サセプタの熱容量を小さくすることで電気炉方式と比べてウエハ温度の高速な昇降温が可能になる。また,ウエハ温度とは独立して反応管の壁の温度を制御することができるので,いわゆるコールドウォール方式の熱処理装置を構成することも可能になる。
しかしながら,上述したコールドウォール方式による熱処理装置などで熱容量が小さいサセプタを複数配置して高周波誘導加熱を行うと,サセプタとその周囲(反応管の内壁など)との温度差によりサセプタ面内や各サセプタ間の温度均一性が崩れ,各サセプタに載置されたウエハ間の温度の均一性のみならず,ウエハの面内温度の均一性も悪化するというコールドウォール方式の本質的な問題が顕在化してしまう。
この点,特許文献3に示す技術によれば,複数のサセプタを縦方向に配置し,サセプタの基板載置面に平行な方向に交流磁場を発生させてこれを制御することで,サセプタの面内温度を制御することができる。具体的には,2つの電磁石をその磁極面がサセプタの周縁部を挟んで対向するように離間して配置し,各電磁石の誘導コイルに供給する交流電流の位相に応じてサセプタの中心部で磁束を弱め合ったり,強め合ったりするように磁束の方向を変えることで,サセプタの中心部に対する周縁部の発熱量の大きさを制御でき,サセプタに載置されたウエハの面内温度の均一性を改善させることができる。
特開昭56−6428号公報 特開昭61−91920号公報 特開2010−59490号公報
しかしながら,サセプタの基板載置面に平行な方向に交流磁場を発生させる場合,サセプタの周縁部側面から磁束が入り込むので,サセプタの形状や材質によってはその側面付近に発生する誘導電流によって磁束の透過が妨げられ,内部の加熱効率が低下する虞がある。ところが,この場合,磁束が透過するように単に周縁部の誘導電流の発生を妨げるようにするだけでは,今度はその周縁部の加熱効率が低下してしまう。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,サセプタの基板載置面に平行な方向に交流磁場を発生させる場合に,サセプタの周縁部のみならずその内部まで加熱効率を高めることができ,サセプタの面内温度を的確に制御できる熱処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,減圧可能な処理室内に配置した複数の基板に対して熱処理を施す処理室と,前記基板を載置する載置面を有する導電性部材であって,周縁部とこれに囲まれる内側部とに分けられ,前記内側部は厚板状発熱体からなり,前記周縁部は内側部よりも薄い薄板状発熱体を互いに電気的に絶縁した状態で積層してなるサセプタと,前記サセプタを,その載置面に垂直な方向に間隔を空けて複数配列して前記処理室内で支持する回転自在なサセプタ支持部と,誘導コイルが巻回され,前記サセプタの側面に磁極面が対向するように配置された電磁石からなり,前記サセプタの載置面に平行な方向に交流磁場を形成して前記サセプタを誘導加熱する磁場形成部と,前記誘導コイルに異なる2つの周波数の高周波電流を印加可能に構成された高周波電流回路と,前記高周波電流回路から前記誘導コイルに印加する前記2つの周波数の高周波電流により前記薄板状発熱体に発生する誘導電流を制御して前記内側部までの磁束の透過を制御することによって,前記サセプタの前記周縁部の発熱量と前記内側部の発熱量との比率を変化させて温度制御を行う制御部と,を備えることを特徴とする熱処理装置が提供される。この場合,上記制御部は,前記高周波電流回路から出力される低い周波数と高い周波数の高周波電流を重畳して又は時系列で切り換えて前記温度制御を行うようにしてもよい。
また,上記サセプタの周縁部を構成する前記薄板状発熱体の厚みは,前記低い周波数から算出される誘導電流の侵入深さよりも小さく,前記高い周波数から算出される誘導電流の侵入深さの2倍よりも大きくすることが好ましい。
また,上記サセプタの内側部を構成する前記厚板状発熱体の厚みは,前記低い周波数から算出される誘導電流の侵入深さの2倍よりも大きくすることが好ましい。
また,上記磁場形成部を,前記サセプタ及び前記基板の配列方向に沿って複数段配列するようにしてもよい。この場合,上記制御部は,前記各磁場形成部の交流電源を独立して制御するようにしてもよい。なお,上記サセプタは例えばグラファイトで構成され,前記処理室の側壁は例えばアルミニウム合金で構成される。
また,処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と,前記処理室内を真空排気する排気機構と,を備え,前記処理室は,前記基板に対して行う熱処理又は前記基板上に薄膜を成膜する成膜処理を行う。このような本発明によれば,磁場形成部によってサセプタの載置面に平行な方向に,すなわち基板表面に対して平行な方向に磁場を発生させるので,サセプタの厚みに対して極めて薄い金属膜にはほとんど磁束が透過しない。このため,例え金属膜が成膜された基板に対して行う熱処理又は基板上に金属膜を成膜する成膜処理を行う場合であっても,その金属膜が直接加熱されることがないのでサセプタからの熱伝導のみによって基板の面内温度を制御できる。
本発明によれば,サセプタの周縁部を内側部よりも薄い薄板状発熱体を積層した構成にすることで,磁束透過の妨げとなる誘導電流の大きさを周波数によって制御することができる。これによれば,サセプタの周縁部から入り込む磁束の透過を制御可能となるので,サセプタの周縁部のみならずその内部まで加熱効率を高めることができる。これにより,サセプタの基板載置面に平行な方向に交流磁場を発生させる場合でも,サセプタの面内温度を的確に制御できる。
本発明の実施形態にかかる熱処理装置の概略構成を示す断面図である。 図1に示す熱処理装置の外観構成の概略を示す斜視図である。 図1に示す制御部の構成例を示すブロック図である。 図2に示す電磁石が設けられた部分を取り出して拡大した一部断面斜視図である。 導電性サセプタの場合には磁束が透過しない様子を観念的に示す作用説明図である。 高抵抗材料のサセプタの場合には磁束が透過する様子を観念的に示す作用説明図である。 厚板状発熱体の構成を示す図である。 水平磁界中に図6Aに示す厚板状発熱体を配置した場合に誘起する誘導電流を観念的に示す作用説明図である。 水平磁界中に板状発熱体を配置した場合に周波数を変えたときの磁束の侵入の変化を示すシミュレーションの実験結果である。 薄板状発熱体を積層した構成を示す図である。 低い周波数の水平磁界中に図8Aに示す薄板状発熱体を配置した場合に磁束が透過する様子を観念的に示す作用説明図である。 高い周波数の水平磁界中に図8Aに示す薄板状発熱体を配置した場合に誘起する誘導電流を観念的に示す作用説明図である。 厚板状発熱体と薄板状発熱体を組み合わせた構成を示す図である。 低い周波数の水平磁界中に図9Aに示す構成を配置した場合に磁束が透過することで,内側部が加熱される様子を観念的に示す作用説明図である。 高い周波数の水平磁界中に図9Aに示す構成を配置した場合に磁束の透過が妨げられることで,周縁部が加熱される様子を観念的に示す作用説明図である。 本実施形態におけるサセプタの具体的構成例を示す外観斜視図である。 図10に示すサセプタを上方から見た図である。 図10に示すサセプタを縦方向に切断した一部断面図である。 厚板状発熱体に発生する誘導電流の表皮効果をグラフに示した図である。 薄板状発熱体に発生する誘導電流の表皮効果をグラフに示した図である。 本実施形態におけるサセプタの変形例を説明するための一部断面図である。 本実施形態における高周波電流回路の構成例を示すブロック図である。 低い周波数と高い周波数の高周波電流を時系列で交互に切り換えた場合の電流波形の具体例を示す図である。 高い周波数の高周波電流を印加させている間の作用を観念的に示す図である。 低い周波数の高周波電流を印加させている間の作用を観念的に示す図である。 低い周波数と高い周波数の高周波電流を重畳した場合の電流波形の具体例を示す図である。 低い周波数と高い周波数を重畳させた場合の作用を観念的に示す図であって,高い周波数に対する低い周波数の高周波電流の比率を小さくした場合である。 低い周波数と高い周波数を重畳させた場合の作用を観念的に示す図であって,高い周波数に対する低い周波数の高周波電流の比率を大きくした場合である。 本実施形態における磁場形成部の変形例を説明するための一部断面斜視図である。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(熱処理装置の構成例)
先ず,本発明の実施形態にかかる熱処理装置について説明する。ここでは,被処理基板としての例えば半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」とも称する)を多数枚一度に熱処理できるバッチ式の縦型熱処理装置(以下,単に「熱処理装置」と称する)を例に挙げて図面を参照しながら説明する。図1は,熱処理装置の構成例を示す断面図であり,図2は熱処理装置の外観構成の概略を示す斜視図であり,反応管の天井部及び下部を水平面で切断したものである。
熱処理装置100は,図1に示すようにウエハWに対してプロセス処理を行うための処理室102を備える。処理室102は,下端が開口した筒状(例えば角筒状)の反応管104とその反応管104の下端に連設した角筒状のマニホールド106により構成される。反応管104及びマニホールド106は例えばアルミニウム合金などの金属からなる。反応管104は有天井に形成され,下端がマニホールド106の上端に気密に接合されている。マニホールド106の下端の開口端は,蓋体114が開閉自在に設けられている。なお,処理室102の形状は,図1に示すものに限られるものではなく,例えば6角形など多角形の形状であってもよく,円筒状であってもよい。
蓋体114上には,ウエハWの載置面を有するサセプタ200を複数支持するサセプタ支持部としての石英ボート(ウエハボート)110が設けられている。蓋体114は,石英ボート110を反応管104内に搬入,搬出するためのボートエレベータ118の上に搭載されており,上限位置にあるときには反応管104の開口部がマニホールド106とで構成される処理室102の下端開口部を閉塞する役割を有するものである。
石英ボート110には,複数のサセプタ200が水平な状態でその載置面に垂直な方向(ここでは上下方向)に所定の間隔をおいて棚状に配置されている。ウエハWは各サセプタ200の載置面(上面)に1枚ずつ載置される。サセプタ200は,例えばグラファイト,ガラス状カーボン,SiCなどの導電性材料からなる発熱体により構成される。本実施形態におけるサセプタ200は,周縁部側面に向けて発生させた水平な交流磁場によって誘導加熱されるようになっており,周縁部の磁束の透過,すなわち周縁部側面からの磁束の入り込み易さを調整できるように構成されている。これにより,サセプタ200の周縁部のみならず,それよりも内側まで効率的に誘導加熱できるように構成される。このようなサセプタ200についての詳細については後述する。
石英ボート110は,筒状の断熱体116を介して蓋体114に垂直軸周りに回転自在に保持されている。具体的には例えば断熱体116の下方に図示しないモータを接続する。これにより,モータを駆動して石英ボート110を回転させることで各サセプタ200を垂直軸周りにウエハWとともに一斉に回転させることができる。
なお,このようなサセプタ200には,図示しないカセット容器に収容されたウエハWが図示しない移載装置によって移載されるようになっている。そして,石英ボート110をボートエレベータ118で反応管104内に搬入してウエハWの処理を行う。その後,ウエハWの処理が終了すると,石英ボート110をボートエレベータ118で反応管104から搬出して,サセプタ200上のウエハWを上記移載装置によって上記カセット容器に戻す。
反応管104の側壁の外側には,反応管104内の各サセプタ200を誘導加熱するための水平な交流磁場を形成する電磁石120により構成される磁場形成部が複数設けられている。電磁石120は,各サセプタ200の周縁部側面に向けて各サセプタ200の載置面に平行な方向に水平な交流磁場(以下,単に「水平磁場」と称する)が形成されるように配置されている。
図1,図2では電磁石120を反応管104の長手方向(縦方向)に沿って複数段配列している。具体的には反応管104の加熱領域を長手方向に沿って複数のゾーンに分け,各ゾーンに1つの磁場形成部を配置する。図1,図2は3つのゾーンに分けて,3つの磁場形成部を各ゾーンにそれぞれ配置した場合の具体例である。1つのゾーンには数枚(例えば2枚〜6枚)のサセプタ200を配置し,それらの周縁部側面に対向するように電磁石120を配置する。
各電磁石120と対向する反応管104の側壁には,例えば石英ガラスやセラミックなどからなる誘電体窓105が設けられている。これにより,電磁石120から発生した磁束は誘電体窓105を透過して反応管104内に入り込ませることができる。なお,磁場形成部の段数は,図1,図2に示すものに限られるものではなく,反応管104の縦方向のサイズや縦方向に配置するウエハの枚数に合わせて決定される。
各磁場形成部を構成する電磁石120はそれぞれ,2つの磁極を有するU字状のコア122に誘導コイル124を巻き付けて構成される。各誘導コイル124はそれぞれ,高周波電流回路130の出力端子132に接続されている。各誘導コイル124には,各高周波電流回路130から所定の交流電流が別々に供給されるようになっている。
本実施形態における高周波電流回路130は,誘導コイル124に2種類の周波数(高い周波数と低い周波数)の高周波電流を重畳して又は別々に印加可能に構成されている。これは,後述するようにサセプタ200の周縁部を薄板状の発熱体を互いに絶縁した状態で積層して構成することで,周波数に応じて周縁部側面からの磁束の入り込み易さが変わることを利用して,サセプタ200の面内温度分布を調整しようとするものである。このような高周波電流回路130の構成例及び周波数によるサセプタ200の面内温度分布制御についての詳細は後述する。
各高周波電流回路130は制御部300に接続されている。制御部300は各高周波電流回路130を制御することにより,各誘導コイル124に供給する交流電流を独立して制御することができる。これにより,反応管104内に発生する水平磁場の大きさや方向を各ゾーンごとにコントロールできる。
上記マニホールド106には,例えば四塩化チタン(TiCl),アンモニア(NH),アルゴン(Ar)ガスなどを処理室102内に供給するガス供給部としての複数のガス供給管140a,140bが設けられている。各ガス供給管140a,140bには,ガス流量を調整するためのマスフローコントローラ(MFC)などの流量調整部142a,142bが備えられている。なお,図1では,2種類のガスをそれぞれガス供給管140a,140bから独立して供給する場合を例に挙げたが,ガス供給部の構成は図1に示すものに限られるものではない。例えば3つ以上のガス供給配管を設け,3種類以上のガスを独立して供給できるようにしてもよい。
マニホールド106には,反応管104内を排気する排気管150を介して真空ポンプ154などの排気機構が接続されている。例えば排気管150には,反応管104内の圧力を調整する圧力調整部152が設けられている。圧力調整部152は,例えばコンビネーションバルブ,バタフライバルブ,及びバルブ駆動部などで構成される。
また,排気管150には,処理室102内の圧力を検出して,圧力調整部152をフィードバック制御するための圧力センサ151が設けられている。圧力センサ151としては,外気圧の変化の影響を受けにくい静電容量型真空計(キャパシタンスマノメータ)を用いることが好ましい。
熱処理装置100の各部は,制御部300によって制御されるようになっている。制御部300は,例えば成膜すべき薄膜の種類,膜厚などに応じて,設定圧力,サセプタ設定温度,ガス流量などの処理条件からなる処理レシピデータに基づいて各部を制御する。また,制御部300は,例えば圧力センサ151から圧力検出信号を取り込み,これらの検出信号に基づいて圧力調整部152,流量調整部142a,142b等を制御する。
(制御部の構成例)
このような制御部300の構成例を図面を参照しながら説明する。図3は制御部300の構成例を示すブロック図である。制御部300は,例えば図3に示すようにCPU(中央処理装置)310,CPU310が行う各種処理のために使用されるメモリ320,操作画面や選択画面などを表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示部330,オペレータによる種々のデータの入力及び所定の記憶媒体への各種データの出力など各種操作を行うための操作パネルやキーボードなどからなる入出力部340,ネットワークなどを介してのデータのやり取りを行うための通信部350を備える。
その他,制御部300は,熱処理装置100の各部を制御するための各種コントローラ360,CPU310が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なデータを記憶するハードディスク(HDD)などで構成される記憶部370などを備える。CPU310は,これらプログラムやデータを必要に応じて記憶部370から読み出して使用する。
各種コントローラ360としては例えば熱処理装置100からの指令に応じて,高周波電流回路130等を制御して各サセプタ200の温度を制御する温度コントローラ,反応管104内の圧力制御を行う圧力コントローラなどが挙げられる。
記憶部370には,例えば成膜すべき薄膜の種類,膜厚などに応じて,設定圧力,サセプタ200の設定温度,ガス流量などの処理条件からなる複数の処理レシピを有する処理レシピデータ(処理条件データ)372などが記憶される。熱処理装置100では,例えば成膜すべき薄膜の種類,膜厚などに応じて対応する処理レシピを処理レシピデータ372から読み出して,その処理レシピに基づいてウエハWの成膜処理を実行する。
例えば反応管104内の各ウエハWに対して成膜処理を実行する際には,サセプタ200を所定の設定温度に調整してウエハWを加熱する。このようにウエハWを加熱する際には,電磁石120の誘導コイル124にそれぞれ所定の交流電流を供給することにより,反応管104内に各サセプタ200の周縁部側面に向けて水平な交流磁場を発生させて各サセプタ200を誘導加熱する。このとき,反応管104内で石英ボート110によって各サセプタ200とともに各ウエハWを回転させることにより,各ウエハWをその面内の周方向に偏りがないように均一に加熱できる。
(磁場形成部の具体的構成)
以下,このような磁場形成部について図面を参照しながらより詳細に説明する。図4は,図2に示す1つの磁場形成部を構成する電磁石が設けられた部分を取り出して拡大した斜視図である。なお,図4ではサセプタ200及びウエハWを省略している。図4に示すように,電磁石120は,2つの磁極127,128と,これらを繋ぐ中間部129とを一体で構成した強磁性体からなるコア(磁心)122を有し,中間部129に誘導コイル124を巻回してなる。コア122はそれぞれ,例えば図4に示すようにU字状(又はコ字状)に形成される。
電磁石120は,反応管104の側壁の外側に誘電体窓105を介して設けられ,電磁石120の2つの磁極面(磁極127,128の端面)127A,128Aが各サセプタ200の周縁部に対向するように配置される。
このように配置された電磁石120によれば,誘導コイル124に高周波電流回路130から交流電流を供給すると,ある瞬間では例えば図4に示すように一方の磁極面128Aから他方の磁極面127Aに向かう磁束が発生し,誘電体窓105を透過して各サセプタ200の周縁部側面に入り込むような水平磁場が形成される。
こうして電磁石120により発生した磁束が各サセプタ200の周縁部側面から入り込み,電磁誘導によってその磁束の垂直な面上に渦状の誘導電流が誘起され,各サセプタ200を構成する発熱体が発熱する。これにより,各サセプタ200を加熱することができる。
ところで,本実施形態のようにサセプタ200の周縁部側面に向かう水平な磁束を形成する場合,サセプタ200の形状(特に厚み)によっては,周縁部側面付近が部分的に加熱されるだけで,その内部まで加熱されない虞がある。例えば仮にサセプタ200を厚板状の発熱体で構成すると,図5Aに示すように電磁石120の磁極面127A,128Aに対向するサセプタ200の周縁部側面付近だけ部分的に加熱され,それよりも内部は加熱されないという現象が生じる。
サセプタ200の材質が例えばセラミックスのような高抵抗材料であれば図5Bに示すように電磁石120の磁極面127A,128Aとの間に発生する磁束がサセプタ200の周縁部側面からその内側まで入り込む。
ところが,図6Aに示すような導電性の厚板状発熱体では,図6Bに示すように誘導コイルCによって厚板状発熱体の側面から磁束が入り込むようにすると,サセプタ200の周縁部にはその磁束の垂直面に誘導電流が励起され,それにより磁束の透過を妨げる。このため,それよりも内部まで磁束が透過し難くなり,サセプタ200の内側の加熱が妨げられるものと推察される。これでは加熱効率が悪く,所望の加熱制御を達成できない虞もある。
このように,サセプタ200の材質によってその周縁部に励起される誘導電流の大きさが変化し,これによってサセプタ200の内部に入り込む磁束もまた変化するが,サセプタ200の材質は同じても,サセプタ200の周縁部に形成される水平磁場の周波数によってサセプタ200の内部に入り込む磁束が変化する場合がある。
ここで,サセプタを構成する板状発熱体の側面に向かう水平な磁場を形成する誘導コイルに供給する高周波電流の周波数を変えたときの板状発熱体の内部への磁束の入り込みを確認したシミュレーション実験の結果について説明する。図7はその実験結果を示す図である。このシミュレーションでは3枚の円板状の発熱体(厚さ10mm)を10mm間隔の隙間を空けて縦方向(紙面に垂直)に配置し,これら発熱体の側面を電磁石120の磁極面127A,128Aに対向した場合を想定した。電磁石120の誘導コイル124に高い周波数(40kHz)の高周波電流を供給した場合と低い周波数(10kHz)の高周波電流を供給した場合に,発熱体の内側に入り込む磁束の様子を可視化したものである。図7において格子状の観測点における磁束の向きを矢印で示し,その矢印の長さは磁束密度大きさを示す。
図7に示す実験結果によれば,高い周波数(40kHz)の場合は,板状発熱体の周縁部付近を通る磁束が観察されるものの,それよりも内側には磁束が入り込んでいないことが分かる。これに対して,低い周波数(10kHz)の場合は,板状発熱体の周縁部のみならず内側にも磁束が入り込んでいることが分かる。
このように誘導コイルに供給する高周波電流の周波数により,板状発熱体の内側に入り込む磁束を変化させることができる。これは誘導コイルにより形成する水平磁場の周波数により,板状発熱体の周辺部付近に誘起される誘導電流が変化し,これにより板状発熱体の内側に入り込む磁束が変化することを表している。
上記実験結果は,誘導電流の表皮効果により説明でき,この表皮効果を利用すれば,サセプタ200の周縁部を薄板状発熱体を絶縁した状態で積層して構成することによってサセプタ200の内部にまで磁束が入り込むようにできる。
ここでの誘導電流の表皮効果は,水平磁場によってサセプタ200に誘起される誘導電流は表面付近(ここではサセプタ200の上面及び下面)が最も大きく,厚みの中心方向に向かうほど急激に低下するというものである。しかもその低下の程度(電流の浸入深さ)は,水平磁場の周波数によって異なる。周波数が高いほど誘導電流の浸入深さは浅くなり,周波数が低いほど誘導電流の浸入深さは深くなることが知られている。これによれば,周波数が高いほどサセプタ200の上面側と下面側のみに誘導電流が発生し,周波数が低いほどサセプタ200の上面側と下面側からそれぞれ厚みの中心方向にかけて誘導電流が発生する。
従って,例えば図8Aに示すように厚みがt2の薄板状発熱体を積層した場合には,水平磁場の周波数が低いほど,上面付近に発生する誘導電流の浸入深さと下面付近に発生する誘導電流の浸入深さは厚みの中心方向に向けて深くなる。しかもこれらの誘導電流は逆向きなので互いに打ち消され易くなる。このため,図8Bに示すように周波数を低くすることで誘導電流をほとんど発生させないようにすることができるので,磁束を内部まで透過し易くさせることができる。この場合は,誘導電流による薄板状発熱体の発熱はない。
これに対して,水平磁場の周波数を高くすると,上面付近に発生する誘導電流の浸入深さと下面付近に発生する誘導電流の浸入深さは厚みの中心方向に向けて浅くなるので打ち消され難くなる。このため,図8Cに示すように周波数を高くすることで誘導電流を発生させるので,磁束は内部まで透過し難くなる。この場合には,誘導電流により薄板状発熱体は発熱する。
このように,薄板状発熱体を積層することで,水平磁場の周波数を低くして誘導電流の発生を抑えて磁束が透過し易くすることができ,水平磁場の周波数を高くして誘導電流を発生させて磁束が透過し難くすることができる。
ところが,薄板状発熱体でも周波数を低くして誘導電流の発生を抑えれば,磁束が透過し易くなったとしても,それだけではサセプタ200の内側を加熱することはできない。また,厚板状発熱体だけでは周波数を変えても磁束を透過し易くすることができない。
そこで,薄板状発熱体と厚板状発熱体を組み合わせ,高い周波数で薄板発熱体を発熱させ,低い周波数で厚板発熱体を発熱させることによって,サセプタ200の発熱分布を変えることが可能になる。例えば図9Aに示すように外側に薄板状発熱体を積層し,その内側に薄板状発熱体とは断熱した状態で厚板状発熱体を配置する。これによれば,誘導コイル124に供給する高周波電流の周波数に応じて周縁部の発熱量とその内側部の発熱量とを比率を変えることができ,サセプタ200の発熱分布を制御することができる。
具体的には,水平磁場の周波数を低くすることによって,図9Bに示すように各薄板状発熱体に誘導電流の発生を抑え磁束を透過し易くすることができる。こうすることによって,磁束は各薄板状発熱体を透過してその内側の厚板状発熱体にまで届き,厚板状発熱体の方に誘導電流を発生させることができる。これに対して,水平磁場の周波数を高くすることによって,図9Cに示すように各薄板状発熱体に誘導電流を発生させて磁束を透過し難くすることができる。こうすることによって,磁束は各薄板状発熱体を透過せず,厚板状発熱体にも届かない。
従って,水平磁場の周波数を低くすることで,図9Bに示すように各薄板状発熱体を加熱することなく,その内部の厚板状発熱体だけを加熱することができる。これに対して,水平磁場の周波数を高くすることで,図9Cに示すように内部の厚板状発熱体を加熱させることなく,各薄板状発熱体だけを加熱させることができる。このように,外側に薄板状発熱体を積層し,その内側に厚板状発熱体を配置することで,誘導コイル124に供給する高周波電流の周波数によりサセプタ200の発熱分布を制御し,この結果として面内温度分布を制御できるようになる。
そこで,本実施形態では,このような性質を利用して,サセプタ200の形状を工夫することによって,面内温度分布を的確に制御できるようにしている。具体的にはサセプタ200を周縁部とこれに囲まれる内側部に分け,内側部は厚板状発熱体で構成し,周縁部は内側部よりも薄い薄板状発熱体を電気的に絶縁した状態で積層して構成する。
誘導コイル124には異なる2つの周波数(高い周波数と低い周波数)の高周波電流を重畳して又は時系列で切り換えて印加する。これにより,サセプタ200の周縁部の誘導電流を制御して磁束の透過を制御することによって,それよりも内部への磁束の入り込み易さを調整し,周縁部の発熱量と内側部の発熱量とを比率可変に制御して誘導加熱することができる。
(サセプタの具体的構成例)
ここで,このような本実施形態におけるサセプタ200の構成例について図面を参照しながら説明する。図10は,サセプタ200の構成を示す外観斜視図であり,図11はサセプタ200を上方から見た図である。図12はサセプタ200の一部を縦方向に切断した断面図である。
図10,図11に示すように,本実施形態におけるサセプタ200はその周縁部210とこれに囲まれる内側部220に分割して設けられている。内側部220は厚板状発熱体222で構成され,周縁部210は内側部220よりも薄い薄板状発熱体212を積層して構成される。図10,図11では,3枚の薄板状発熱体212を積層した場合を例に挙げているが,薄板状発熱体212の枚数はこれに限られるものではなく,その厚みに応じて2枚でも4枚以上であってもよい。
各薄板状発熱体212の間はそれぞれ互いに電気的に絶縁されている。これは各薄板状発熱体212の間で誘導電流が流れないようにするためである。例えば図10は各薄板状発熱体212を離間して設けることによって絶縁した具体例を示す。なお,これに限られることはなく,各薄板状発熱体212の間に絶縁部材を挿入してもよい。また,各薄板状発熱体212の表面に絶縁加工を施すようにしてもよい。これによれば,各薄板状発熱体212を隙間を空けることなく接触して積層できる。
周縁部210と内側部220との間は断熱されている。これは周縁部210と内側部220との間で熱伝導を防ぐためである。これにより,周縁部210と内側部220とを別々に加熱することができる。例えば図11,図12は周縁部210の各薄板状発熱体212と内側部220との間を断熱材230で接続することによって断熱した具体例を示す。なお,これに限られることはなく,各薄板状発熱体212と内側部220との間を離間させることによって断熱してもよい。
(各発熱体の厚みの最適化)
ところで,上述した各薄板状発熱体212の厚みt1と厚板状発熱体222の厚みt2は,誘導コイル124に供給する高周波電流として用いる周波数(低い周波数と高い周波数)に基づいて決定される。これは誘導電流の表皮効果によれば周波数によって誘導電流の侵入深さが決まるので,周波数に応じて各発熱体212,222の厚みt1,t2を調整することで,最適な加熱制御を行うことができるようになる。
ここで,誘導コイル124に供給する高周波電流として用いるとして,低い周波数をf1(例えば10kHz),高い周波数をf2(例えば100kHz)としたときの各発熱体の最適な厚みt1,t2について説明する。先ず,各発熱体の厚みt1,t2と誘導電流の表皮効果について図面を参照しながら説明する。
図13A,図13Bは誘導電流の表皮効果をグラフに示した図である。図13Aは厚板状誘熱体の場合であり,図13Bは薄板状発熱体の場合である。図13A,図13Bにおいて太線グラフは低い周波数f1の場合,細線グラフは高い周波数f2の場合である。
発熱体の周縁部側面から磁束が入り込む場合,その磁束の垂直面(例えば上述した図6Bに示す厚板状発熱体ではその上面と下面と左右側面)に誘導電流が発生する。その誘導電流は各表面に近い程大きく,内部(ここでは厚みの中心方向)に向かうにつれて指数関数的に小さくなる特性があり,これが誘導電流の表皮効果である。この場合,サセプタ200の形状のように板状の場合は上面近傍と下面近傍に発生する誘導電流が支配的となり,左右側面近傍の誘導電流はほとんど無視できる。
浸入深さPは周波数f1,f2によって決まり,具体的には発熱体の表面(上面又は下面)からその深さ方向(厚みの中心方向)にかけて減衰する誘導電流密度が,発熱体の表面(上面又は下面)における誘導電流密度の1/e(≒0.368)倍に減少した点までの距離として定義され,下記(1)式で表される。
P(cm)=5.03(ρ/μf)1/2 ・・・(1)
上記(1)式において,ρは発熱体の抵抗率(μΩcm),μは発熱体の比透磁率(非磁性体ではμ=1),fは周波数(Hz)である。なお,カーボン系材料ではμ=1である。カーボン系材料には,グラファイト,ガラス状カーボンなどがある。
上記(1)式によれば,浸入深さPは周波数fが高いほど小さくなり,周波数fが低いほど大きくなることがわかる。また,この浸入深さPを用いて発熱体の外周面から内部にかけての距離xにおける電流密度IはIを発熱体の上面と下面のそれぞれの電流密度とすれば,下記(2)式で表される。
I=Iexp(−x/P) ・・・(2)
上面と下面からの厚みの中心までの距離xと電流密度比I(=I/I)の関係を,低い周波数f1(例えば10kHz)の場合と高い周波数f2(例えば100kHz)の場合をグラフで表すと,図13A,図13Bに示すようになる。図13A,図13Bでは,縦軸に電流密度比I(=I/I)をとり,横軸に上面と下面からの厚みの中心までの距離xをとっている。
図13Aと図13Bのいずれの場合も,電流密度比I(=I/I)は発熱体の上面又は下面に近いほど大きく,厚みの中心方向に向かうほど急激に低下する減衰曲線を描く。また,上記(2)式によれば,図13A,図13Bのグラフに示すように低い周波数f1ほど浸入深さPf1が大きくなり,高い周波数f2ほど浸入深さPf2が小さくなる。この浸入深さPf1,Pf2は,(1)式によれば周波数によって一律に定まる。
そこで,ここでは図13Aに示すように厚板状発熱体の厚みt1を大きい方,すなわち低い周波数f1のときの浸入深さPf1の2倍とし,図13Bに示すように薄板状発熱体の厚みt2を小さい方,すなわち高い周波数f2のときの浸入深さPf2の2倍とした例を挙げて説明する。
この場合,発熱体の上面から距離xの部位に生じる誘導電流と,発熱体の下面から距離xの部位に生じる誘導電流とは大きさが同じで方向が逆である。従って,これらの電流密度比Iのグラフが重なる部分があれば誘導電流が相殺されていることになる。
このような観点から図13Aを見ると,厚板状発熱体ではその厚みt1の範囲において,低い周波数f1でも高い周波数f2でも誘導電流が相殺されることはない。これに対して,図13Bを見ると,薄板状発熱体ではその厚みt2の範囲において,高い周波数f2では誘導電流が相殺されることはないのに対して,低い周波数f1では誘導電流が相殺される領域が存在する。
このような誘導電流が相殺される領域が存在するように,発熱体の厚みt1,t2を決めることによって,上述したように薄板状発熱体の場合に高い周波数f2では誘導電流が相殺されずに磁束が入り難く,低い周波数f1では誘導電流が相殺されて磁束が入り込み易くすることができる。
図13A,図13Bによれば,少なくとも薄板状発熱体の厚みt2については,高い周波数f2の浸入深さPf2の2倍よりも厚く,低い周波数f1の浸入深さPf1よりも薄くすることが好ましい。これにより,薄板状発熱体については低い周波数f1による誘導電流の相殺領域を大きくできる。
これに対して,厚板状発熱体の厚みt2については,少なくとも低い周波数f1の浸入深さPf1の2倍よりも厚くすることが好ましい。これにより,厚板状発熱体についてはいずれの周波数でも誘導電流の相殺領域なしにすることができる。
これに基づいて,図12に示すサセプタ200の各発熱体222,212の厚みt1,t2の条件を求めると次のようになる。この場合,各発熱体222,212をグラファイトで構成したとすれば,抵抗率ρは略1000μΩcm,透過率μは1である。例えば低い周波数f1を10kHz,高い周波数f2を100kHzとすると,浸入深さPf1,Pf2はそれぞれ,略1.6cm,略0.5cmとなる。従って,この場合の厚板状発熱体222の厚みt1の条件は,3.2cm(=2×Pf1)<t1とし,薄板状発熱体212の厚みt2の条件は,1.0cm(=2×Pf2)<2t<1.6cm(=Pf1)とするのが好ましい。
このようにサセプタ200を構成する各発熱体222,212の厚みt1,t2を決めることによって,周波数によってサセプタ200の周縁部210の側面から磁束の入り込み易さを制御することができ,周縁部210の発熱量と内側部220の発熱量との比率を変えることができる。これにより,サセプタ200の面内温度を制御することができる。
なお,薄板状発熱体212の径方向の幅は,水平磁場の周波数を高くした際に磁束の大半が周縁部210を通るような大きさにすることが好ましい。これに限られるものではなく,薄板状発熱体212の径方向の幅を周縁部210の発熱量と内側部220の発熱量との基準比率に基づいて決定してもよい。
このような薄板状発熱体212の径方向の幅を大きくしすぎれば,水平磁場の周波数を低くした際に内側部220への磁束の入り込みが減るため,内側部220の加熱効率が低下する。逆にこの幅を小さくすれば,水平磁場の周波数を高くした際に磁束の一部が内側部220に入り込むため周縁部210の加熱効率が低下する。
従って,薄板状発熱体212の径方向の幅は,サセプタ200の周縁部210の加熱を強めるのか,それとも内側部220の加熱を強めるのかによって決めることもできる。例えばサセプタ200の内側部220に対して周縁部210の方の加熱を強める場合は薄板状発熱体212の径方向の幅を大きくし,サセプタ200の周縁部210に対して内側部220の方の加熱を強める場合は薄板状発熱体212の径方向の幅を小さくするようにしてもよい。
また,サセプタ200の周縁部210に誘導電流を励起する水平磁場はサセプタ200の径方向成分とともにサセプタ200の周方向成分も有するので,薄板状発熱体212の径方向の幅は,高い周波数f2に対する浸入深さPf2の2倍以上にすることが好ましい。
サセプタ200の形状は図12に示すものに限られるものではない。例えば図14に示すように内側部220の厚板発熱体222は,その中心部を外周部より薄くするようにしてもよい。図1に示すようにサセプタ200を縦方向に複数配列する場合には,各サセプタから上下方向へ放熱する熱量が減り,中央部に熱がこもり易いので,各サセプタ200の中央部は加熱しなくてもほとんど温度が変わらない。このため,図14に示すように薄くしたとしても,厚板発熱体222は,その中心部を外周部より薄くしても,加熱された外周部からの熱伝導によっても十分に加熱できる。これによれば,サセプタ200全体の熱容量を少なくすることができ,加熱速度を高めることができる。
(高周波電流の印加制御)
ここで,上述した2つの周波数の高周波電流の印加制御についてより詳細に説明する。本実施形態における印加制御としては,2つの周波数の高周波電流を重畳させて印加してもよいし,それぞれを時系列で別々に印加してもよい。このような印加制御を実現可能な高周波電流回路130の具体的構成例を図15に示す。図15は本実施形態にかかる高周波電流回路130の概略構成を示すブロック図である。
図15に示す高周波電流回路130は,低い周波数である第1周波数fの高周波電流(例えば10kHz)を出力する第1高周波電源134と,高い周波数である第2周波数fの高周波電流(例えば100kHz)を出力する第2高周波電源136を備える。第1高周波電源134の出力は,第1整合回路135を介して高周波電流回路130の出力端子132に接続されている。第1整合回路135は例えば高周波電流回路130の出力と第1整合回路135の入力との間に設けられた変成器などからなる。
第2高周波電源136の出力は,第2整合回路137を介して第1整合回路135と一方の出力端子132との間に接続される。第2整合回路137は,第2高周波電源136の出力と第1整合回路135の一方の出力との間に設けられた変成器などからなり,第1高周波電源134からの出力に第2高周波電源136からの出力を重畳させる機能を果たす。
第1高周波電源134と第2高周波電源136は,制御部300に接続されており,制御部300からの制御信号によって,各高周波電源134,136の出力をオン・オフできるようになっている。これにより,制御部300からの制御信号によって,誘導コイル124に低い第1周波数fの電流と高い第2周波数fの電流を重畳して又は時系列で切り換えて印加することによって,サセプタ200の周縁部210と内側部220のいずれか一方のみを独立して加熱したり,両方加熱したりすることができる。
例えば制御部300からの制御信号によって,第1高周波電源134からの第1周波数fの電流出力をオンして第2高周波電源136の第2周波数fの電流出力をオフすることにより,高周波電流回路130の出力端子132には第1周波数fの高周波電流のみを出力できる。逆に第1高周波電源134からの第1周波数fの電流出力をオフして第2高周波電源136からの第2周波数fの電流出力をオンすることにより,高周波電流回路130の出力端子132には第2周波数fの高周波電流のみを出力できる。
このため,例えば第1周波数f(10kHz)の電流と第2周波数f(100kHz)の電流とを時系列で切り換えてこれらの高周波電流を誘導コイル124に印加することにより,図16に示すような電流波形を印加できる。例えば図16に示すT区間の電流波形は第1周波数f(10kHz)の電流によるものであり,図16のT区間の電流波形は第2周波数f(100kHz)の電流によるものである。この場合には,第1周波数f(10kHz)の電流と第2周波数f(100kHz)の電流の各印加時間T,Tを制御することで,サセプタ200の周縁部210と内側部220の発熱量を制御できる。
例えば第1周波数f(10kHz)の電流のみを印加している間(T)には,図17Aに示すように周縁部210では各薄板状発熱体212において誘導電流の発生が抑えられる。このため,磁束は周縁部210を透過して内側部220まで入り込む。これにより,各薄板状発熱体212は発熱せずに厚板状発熱体222のみ発熱するので,周縁部210に比して内側部220の方をより加熱することができる。
なお,図17Aでは分かり易いように周縁部210と内側部220のうちの発熱する方又は発熱量が大きい方をハッチングで示している(以下に示す図17B,図19A,図19Bも同様である)。
これに対して,第2周波数f(100kHz)の電流のみを印加している間(T)には,図17Bに示すように周縁部210では各薄板状発熱体212において誘導電流が発生して磁束の透過を妨げる。このため,磁束は各薄板状発熱体212に入り込んだとしても内側部220までは届かない。厚板状発熱体222は発熱せずに各薄板状発熱体212のみ発熱するので,内側部220に比して周縁部210の方をより加熱することができる。
また,制御部300からの制御信号によって,第1高周波電源134からの第1周波数fの電流出力と第2高周波電源136からの第2周波数fの電流出力の両方をオンすることにより,高周波電流回路130の出力端子132には,第1周波数fの電流に第2高周波fの電流が重畳された高周波電流,例えば図18に示すような電流波形を出力できる。この場合には,各周波数の高周波電流の比率を制御することで,周縁部210と内側部220との発熱量を制御することができる。
この場合,高い第2周波数fの電流に対して低い第1周波数fの電流を大きくするほど,周縁部210の各薄板状発熱体212に発生する誘導電流を抑えることができる。このため,図19Aに示すように磁束は各薄板状発熱体212を透過して厚板状発熱体222まで届き易くなるので,周縁部210よりも内側部220の方をより加熱することができる。
これに対して,高い第2周波数fの電流に対して低い第1周波数fの電流を小さくするほど,周縁部210の各薄板状発熱体212に発生する誘導電流を大きくすることができる。このため,図19Bに示すように磁束は各薄板状発熱体212を通過し難くなり,厚板状発熱体222まで届き難くなるので,内側部220よりも周縁部210の方をより加熱することができる。
また,高い第2周波数fの電流に対する低い第1周波数fの電流を一定に保ったまま高い周波数fと低い周波数fの両方の電流を大きくすれば,サセプタ200全体の発熱量のバランスを保つことができるため,サセプタ200の温度分布を一定に保ちながらサセプタ200全体の温度を上げることができる。
なお,高周波電流回路130は,図15に示す構成に限られるものではない。例えば2つの周波数の高周波電流を重畳して印加する場合には,第1高周波電源134と第2高周波電源136とを直列に接続して構成してもよく,また2つの周波数の高周波電流を時系列で交互に印加する場合には,第1高周波電源134と第2高周波電源136とを切換え可能な構成にしてもよい。
このように,高周波電流回路130によれば,誘導コイル124に低い第1周波数fの電流と高い第2周波数fの電流を重畳して又は時系列で切り換えて印加することによって,サセプタ200の周縁部210の発熱量と内側部220の発熱量との比率を制御することができる。これによれば,周縁部210と内側部220のいずれかのみを独立して加熱したり,両方加熱したりすることができる。
これにより,サセプタ200の面内温度分布を制御することができるので,サセプタ200に載置されたウエハWの面内温度分布もまた的確に制御できる。特に本実施形態にかかる熱処理装置100のように反応管104の側壁(処理室102の側壁)をサセプタ200の温度より格段に低い温度で制御する場合には,サセプタ200の周縁部210の熱量が奪われ易いので,反応管104全体を加熱することなく,その周縁部210に集中的に熱量を補填しながら,さらに内側部220まで加熱できる点でその効果は極めて大きい。
なお,本実施形態における磁場形成部は,図4に示すようにU字状(又はコ字状)のコア122の中間部129に誘導コイル124を巻回した電磁石120で構成した場合を例に挙げたが,これに限られるものではない。例えば図20に示すようにU字状(又はコ字状)のコア122の各磁極127,128に誘導コイル124を巻回した電磁石121で構成してもよい。図20に示す電磁石121によっても,図4に示す電磁石120と同様の水平な水平磁場を形成することができる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,基板例えば半導体ウエハやガラス基板などに所定の熱処理を施す熱処理装置に適用可能である。
100 熱処理装置
102 処理室
104 反応管
105 誘電体窓
106 マニホールド
110 石英ボート(ウエハボート)
114 蓋体
116 断熱体
118 ボートエレベータ
120,121 電磁石
122 コア
124 誘導コイル
127,128 磁極
127A,128A 磁極面
129 中間部
130 高周波電流回路
132 出力端子
134 第1高周波電源
135 第1整合回路
136 第2高周波電源
137 第2整合回路
140a,140b ガス供給管
142a,142b 流量調整部
150 排気管
151 圧力センサ
152 圧力調整部
154 真空ポンプ
200 サセプタ
210 周縁部
212 薄板状発熱体
220 内側部
222 厚板状発熱体
230 断熱材
300 制御部
310 CPU
320 メモリ
330 表示部
340 入出力部
350 通信部
360 各種コントローラ
370 記憶部
372 処理レシピデータ
W ウエハ

Claims (8)

  1. 減圧可能な処理室内に配置した複数の基板に対して熱処理を施す処理室と,
    前記基板を載置する載置面を有する導電性部材であって,周縁部とこれに囲まれる内側部とに分けられ,前記内側部は厚板状発熱体からなり,前記周縁部は内側部よりも薄い薄板状発熱体を互いに電気的に絶縁した状態で積層してなるサセプタと,
    前記サセプタを,その載置面に垂直な方向に間隔を空けて複数配列して前記処理室内で支持する回転自在なサセプタ支持部と,
    誘導コイルが巻回され,前記サセプタの側面に磁極面が対向するように配置された電磁石からなり,前記サセプタの載置面に平行な方向に交流磁場を形成して前記サセプタを誘導加熱する磁場形成部と,
    前記誘導コイルに異なる2つの周波数の高周波電流を印加可能に構成された高周波電流回路と,
    前記高周波電流回路から前記誘導コイルに印加する前記2つの周波数の高周波電流により前記各薄板状発熱体に発生する誘導電流を制御して前記内側部までの磁束の透過を制御することによって,前記サセプタの前記周縁部の発熱量と前記内側部の発熱量との比率を変化させて温度制御を行う制御部と,
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記制御部は,前記高周波電流回路から出力される低い周波数と高い周波数の高周波電流を重畳して又は時系列で切り換えて前記温度制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記各サセプタの周縁部を構成する前記薄板状発熱体の厚みは,前記低い周波数から算出される誘導電流の侵入深さよりも小さく,前記高い周波数から算出される誘導電流の侵入深さの2倍よりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の熱処理装置。
  4. 前記各サセプタの内側部を構成する前記厚板状発熱体の厚みは,少なくとも前記低い周波数から算出される誘導電流の侵入深さの2倍よりも大きくしたことを特徴とする請求項3に記載の熱処理装置。
  5. 前記磁場形成部を,前記サセプタ及び前記基板の配列方向に沿って複数段配列したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理装置。
  6. 前記制御部は,前記各磁場形成部の交流電源を独立して制御することを特徴とする請求項5に記載の熱処理装置。
  7. 前記サセプタはグラファイトで構成し,前記処理室の側壁はアルミニウム合金で構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱処理装置。
  8. 前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給部と,
    前記処理室内を真空排気する排気機構と,を備え,
    前記処理室は,前記基板に対して行う熱処理又は前記基板上に薄膜を成膜する成膜処理を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱処理装置。
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