JP2012254411A - 多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置 - Google Patents

多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質な多孔質中空糸膜が安定して連続的に得られる多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置の提供を目的とする。
【解決手段】膜形成性樹脂および開孔剤を含む製膜原液Aと中空状の補強支持体Bを紡糸ノズル16に連続的に供給し、紡糸ノズル16によって補強支持体Bの外側に製膜原液Aを塗布し、凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成する紡糸凝固工程と、多孔質中空糸膜前駆体M’から前記開孔剤を除去して多孔質中空糸膜Mを形成する除去工程と、を有し、紡糸ノズル16に供給する前記補強支持体Bの張力を20〜90g/錘とする多孔質中空糸膜の製造方法。また、紡糸ノズル16と、前記製膜原液Aを凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成する凝固手段20と、紡糸ノズル16に供給する前記補強支持体Bの張力を制御する張力制御手段18とを有する多孔質中空糸膜の製造装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置に関する。
食品工業、医療、電子工業等の分野においては、有用成分の濃縮、回収、不要成分の除去、造水等を目的として、多孔質中空糸膜を用いた精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透濾過膜等が多用されている。例えば、機械特性に優れた多孔質中空糸膜として、中空糸状の編紐や組紐等の補強支持体の外側に多孔質膜層が形成された多孔質中空糸膜が知られている。
このような中空状の補強支持体(以下、単に「補強支持体」ということがある。)を有する多孔質中空糸膜は、例えば、補強支持体と製膜原液を紡糸ノズルに連続的に供給し、該紡糸ノズルによって製膜原液を前記補強支持体の外側に塗布するようにして紡糸して、前記製膜原液を凝固液で凝固して多孔質中空糸膜を形成した後、洗浄、乾燥等の工程を経ることで得られる(例えば、特許文献1)。
特開2008−114181号公報
しかし、特許文献1のような従来の多孔質中空糸膜の製造方法では、補強支持体の走行を規制するガイド部材から補強支持体が外れたり、補強支持体の外径の縮小化や扁平化が起きたりすることがあり、充分な品質の多孔質中空糸膜を安定して製造できないことがある。
本発明は、高品質な多孔質中空糸膜が安定して連続的に得られる多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置の提供を目的とする。
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、膜形成性樹脂および開孔剤を含む製膜原液と中空状の補強支持体を紡糸ノズルに連続的に供給し、該紡糸ノズルによって前記補強支持体の外側に前記製膜原液を塗布し、凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する紡糸凝固工程と、前記多孔質中空糸膜前駆体から前記開孔剤を除去して多孔質中空糸膜を形成する除去工程と、を有する多孔質中空糸膜の製造方法であって、前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力を20〜90g/錘に制御する方法である。
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、前記紡糸ノズルの手前で前記補強支持体の外径を測定し、その測定結果をフィードバックして前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力を制御することが好ましい。
また、前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力をニップロールにより制御することが好ましい。
また、前記除去工程の前に、前記紡糸凝固工程で形成された多孔質中空糸膜前駆体の張力を200〜800g/錘に制御して、該多孔質中空糸膜前駆体を洗浄液で洗浄する洗浄工程を有することが好ましい。
本発明の多孔質中空糸膜の製造装置は、中空状の補強支持体の外側に多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜の製造装置であって、膜形成性樹脂および開孔剤を含む製膜原液を前記補強支持体の外側に塗布するように紡糸する紡糸ノズルと、前記製膜原液を凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する凝固手段と、前記多孔質中空糸膜前駆体から前記開孔剤を除去し、多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜を形成する除去手段と、前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力を制御する張力制御手段と、を有する。
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法によれば、高品質な多孔質中空糸膜を安定して連続的に製造できる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の製造装置を用いれば、高品質な多孔質中空糸膜を安定して連続的に製造できる。
本発明の多孔質中空糸膜の製造装置の一例を示した概略図である。 支持体製造装置の一例を示した概略構成図である。 中空状編紐の構造を示した図である。 中空状編紐の網目を示した拡大図である。
以下、本発明の多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置の一例を示して詳細に説明する。
(製造装置)
図1に例示した多孔質中空糸膜の製造装置1(以下、単に「製造装置1」という。)は、中空状の補強支持体の外側に多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜を製造する装置である。
本実施形態の製造装置1は、図1に示すように、前記多孔質膜層を形成する製膜原液Aを調製する原液調製手段10と;調製した製膜原液Aを貯留する貯留部12と;中空状の補強支持体B(以下、単に「補強支持体B」という。)を収容する支持体収容部14と;貯留部12から供給される製膜原液Aを支持体収容部14から供給される補強支持体Bの外側に塗布するように紡糸する紡糸ノズル16と;紡糸ノズル16に供給される補強支持体Bの張力を制御する張力制御手段18と;凝固液20aによって製膜原液Aを凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成する凝固手段20と;多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する溶媒を除去する洗浄手段22と;多孔質中空糸前駆体M’中に残存する開孔剤を除去して、前記多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜Mを形成する除去手段24と;多孔質中空糸膜Mを乾燥する乾燥手段26と;多孔質中空糸膜Mを巻き取る巻き取り手段28と;を有している。製造装置1における多孔質中空糸膜Mの走行はガイド部材30によって規制される。
原液調製手段10は、膜形成性樹脂、開孔剤および溶媒を含む製膜原液Aを調製する手段である。原液調製手段10としては、製膜原液の調製に用いられる公知の手段を採用することができる。
貯留部12は、調製した製膜原液Aを貯留する部分である。貯留部12は、製膜原液Aを貯留できるものであれば特に限定されない。
支持体収容部14は、補強支持体Bを収容する部分である。支持体収容部14は、補強支持体Bを収容でき、かつ補強支持体Bを円滑に引き出せるようになっているものであれば特に限定されない。
紡糸ノズル16は、補強支持体Bの外側に製膜原液Aを塗布するように紡糸するノズルである。紡糸ノズル16としては、補強支持体を有する多孔質中空糸膜の製造に通常用いられる紡糸ノズルを採用することができる。例えば、内部に補強支持体Bを通過させ、その補強支持体Bの外側に製膜原液Aを円筒状に吐出して塗布するようになっている紡糸ノズルが挙げられる。
紡糸ノズル16は、単一の製膜原液Aを吐出して単層の多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜Mを形成する形態であってもよく、複数の製膜原液Aを同心円状に吐出して複数層の多孔質膜層が積層された多孔質中空糸膜Mを形成する複合ノズルであってもよい。
張力制御手段18は、支持体収容部14から紡糸ノズル16に連続的に供給される補強支持体Bの張力を制御する手段である。張力制御手段18としては、紡糸ノズル16に供給される補強支持体Bの張力を所望の張力に調整できるものであればよく、例えば、ニップロール、ダンサーロール等が挙げられる。なかでも、ガイド外れを防止しやすく、かつ中空部のつぶれを防止しやすい点から、ニップロールが好ましい。
凝固手段20は、紡糸ノズル16から紡糸された製膜原液Aを凝固液20aにより凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成する手段である。この例の凝固手段20は、製膜原液Aが塗布された補強支持体Bが、凝固浴槽中の凝固液20a中に浸漬され、凝固液20aによって製膜原液Aが凝固して凝固膜層となって多孔質中空糸膜前駆体M’が形成された後、その多孔質中空糸前駆体M’が凝固液20aから引き出されるようになっている。
また、この例では、紡糸ノズル16と凝固液20aの間に空走区間が設けられた乾湿式紡糸が採用されている。ただし、紡糸ノズル16から凝固液20a中に直接紡糸する湿式紡糸を採用してもよい。
洗浄手段22は、多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する溶媒を洗浄液22bで洗浄して除去する手段である。この例の洗浄手段22は、洗浄槽中に洗浄液22bを収容し、その洗浄液22b内に多孔質中空糸膜前駆体M’を複数回通過させるものである。
また、この例の洗浄手段22は、洗浄中の多孔質中空糸膜前駆体M’の張力を制御する張力制御手段22aを有している。張力制御手段22aによって多孔質中空糸膜前駆体M’の張力を所定の張力に調整しつつ洗浄を行うことで、洗浄中に多孔質中空糸膜前駆体M’がガイド部材30から外れたり、多孔質中空糸膜前駆体M’の中空部が潰れたりすることを抑制しやすくなる。
張力制御手段22aとしては、走行する多孔質中空糸膜前駆体M’の張力を所望の張力に調整できるものであればよく、例えば、ニップロール、ダンサーロール等が挙げられる。
洗浄手段22は、前記形態以外にも、多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する溶媒を除去する手段として通常使用される手段を採用することができる。例えば、傾斜させた樋状の洗浄浴に洗浄液を流し、該洗浄液中に多孔質中空糸膜前駆体M’を走行させる手段等を採用してもよい。
除去手段24としては、多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する開孔剤を除去する手段として通常使用されるものが使用できる。例えば、多孔質中空糸膜前駆体M’に酸化剤を含む薬液を保持させる薬液保持部と、薬液を保持した多孔質中空糸膜前駆体M’を気相中で加熱して開孔剤を酸化分解させる加熱分解部と、低分子量化された開孔剤を洗浄液で洗浄して多孔質中空糸膜前駆体M’から除去する洗浄除去部とを有する手段等が挙げられる。
薬液保持部としては、薬液を収容する薬液槽を有し、その薬液中に多孔質中空糸膜前駆体M’を走行させることで薬液を保持させるもの等が挙げられる。
薬液を保持した多孔質中空糸膜前駆体M’を加熱する加熱分解部としては、大気圧下で加熱流体を用いて多孔質中空糸膜前駆体M’を加熱するものが好ましく、次亜塩素酸塩等の酸化剤の乾燥を防ぎ、効率的な分解処理が行える点から、加熱流体として相対湿度の高い流体を使用し、湿熱条件で加熱するものがより好ましい。
洗浄除去部としては、例えば、前記洗浄手段22で挙げた形態を採用することができる。
多孔質中空糸膜前駆体M’の凝固膜層に残存していた開孔剤が除去され、該開孔剤が残存していた部分に孔が形成されることで多孔質膜層が形成されることにより、多孔質中空糸膜Mが得られる。
乾燥手段26は、多孔質中空糸膜Mを乾燥する手段である。乾燥手段26としては、多孔質中空糸膜Mを充分に乾燥することができるものであればよい。例えば、多孔質中空糸膜の乾燥に通常用いられる熱風乾燥機等の公知の乾燥装置を採用することができる。
巻き取り手段28は、多孔質中空糸膜Mをボビン等に巻き取れるものであればよく、例えば、テンションロール、トルクモーター等により多孔質中空糸膜Mの張力を制御し、ガイドまたはボビンをトラバースさせながら巻き取る構成を有するものが挙げられる。
ガイド部材30は、製造装置1において、支持体収容部14から、紡糸ノズル16、凝固手段20、洗浄手段22、除去手段24、乾燥手段26、巻き取り手段28までの補強支持体B、多孔質中空糸膜前駆体M’および多孔質中空糸膜Mの走行を規制するものである。ガイド部材30を設けることにより、糸垂れを抑制することができ、それにより補強支持体B、多孔質中空糸膜前駆体M’や多孔質中空糸膜Mが各手段の内外や出入り口付近等に接触することを防止できる。
ガイド部材30は、多孔質中空糸膜の製造に通常用いられるものが使用でき、金属製またはセラミック製のガイド部材等が挙げられる。
(製造方法)
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、中空状の補強支持体の外側に多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜を製造する方法である。本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、単層の多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜を製造する方法であってもよく、多層の多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜を製造する方法であってもよい。
以下、本発明の多孔質中空糸膜の製造方法の一例として、前記製造装置1を使用した製造方法について説明する。本実施形態の多孔質中空糸膜の製造方法は、下記の原液調製工程、紡糸凝固工程、洗浄工程、除去工程、乾燥工程および巻き取り工程を有する。
原液調製工程:原液調製手段10によって製膜原液Aを調製する工程。
紡糸凝固工程:紡糸ノズル16によって補強支持体Bの外側に製膜原液Aを塗布するように紡糸し、凝固手段20によって製膜原液Aを凝固液20a中で凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成する工程。
洗浄工程:洗浄手段22によって多孔質中空糸膜前駆体M’を洗浄して多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する溶媒を除去する工程。
除去工程:除去手段24によって多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する開孔剤を除去して、多孔質中空糸膜Mを形成する工程。
乾燥工程:乾燥手段26によって多孔質中空糸膜Mを乾燥する工程。
巻き取り工程:巻き取り手段28によって乾燥後の多孔質中空糸膜Mを巻き取る工程。
原液調製工程:
原液調製手段10において、膜形成性樹脂および開孔剤を溶媒に溶解し、脱泡して製膜原液Aを調製し、調製した製膜原液Aを貯留部12に貯留する。
補強支持体Bとしては、例えば、各種の繊維で製紐された中空状の編紐、組紐等が挙げられる。補強支持体Bは、各種素材を単独で使用したものであってもよく、組み合わせたものであってもよい。中空状の編紐や組紐に使用される繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維等が挙げられる。繊維の形態としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸のいずれであってもよい。
膜形成性樹脂としては、多孔質中空糸膜の多孔質膜層の形成に使用される通常の樹脂が使用でき、例えば、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂等が挙げられる。これらは必要に応じて適宜選択して使用することができ、中でも耐薬品性に優れることから、ポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
膜形成性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
開孔剤としては、例えば、ポリエチレングリコールによって代表されるモノオール系、ジオール系、トリオール系、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子樹脂を使用することができる。これらは必要に応じて適宜選択して使用することができ、中でも増粘効果に優れることから、ポリビニルピロリドンが好ましい。
開孔剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、前記膜形成性樹脂および開孔剤をいずれも溶解できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドを用いることができる。なかでも、膜形成性樹脂の溶媒への溶解がより効率的に行える点から、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ここで用いる製膜原液Aには、相分離の制御を阻害しない範囲で、任意成分として開孔剤以外のその他の添加剤を用いることもできる。
製膜原液A(100質量%)中における膜形成性樹脂の含有量は、製膜時の安定性が向上し、優れた多孔質膜構造が形成されやすい点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、膜形成性樹脂の含有量は、同様の理由から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
製膜原液A(100質量%)中における開孔剤の含有量は、多孔質中空糸膜Mの形成が容易になる点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、開孔剤の含有量は、製膜原液Aの取扱性の点から、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。
紡糸凝固工程:
紡糸ノズル16に、貯留部12から製膜原液Aを連続的に供給し、かつ支持体収容部14から補強支持体Bを連続的に供給して、紡糸ノズル16によって補強支持体Bの外側に製膜原液Aを円筒状に吐出させ、補強支持体Bの外側に製膜原液Aを塗布するように紡糸し、凝固手段20において凝固液20a中で製膜原液Aを凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成する。
製膜原液Aは、凝固液20aに浸漬されることで、製膜原液A中に凝固液20aが拡散し、膜形成性樹脂と開孔剤がそれぞれ相分離を起こしつつ凝固して、膜形成性樹脂と開孔剤とが相互に入り組んだ三次元網目構造の凝固膜層を形成する。この段階において、開孔剤はゲル状態で膜形成性樹脂と三次元的に絡みあっているものと推察される。前記凝固膜層の開孔剤が後述する除去工程で除去されることで、該開孔剤が残存していた部分に孔が形成されて多孔質膜層が形成される。
紡糸される製膜原液Aの温度は、20〜40℃が好ましい。
凝固液20aは、膜形成性樹脂を溶解しない溶媒で、開孔剤の良溶媒である必要がある。凝固液20aとしては、水、エタノール、メタノール等や、これらの混合物が挙げられる。なかでも、作業環境、運転管理の点から、製膜原液Aに使用する溶媒と水の混合液が好ましい。
凝固液20aの温度は、60〜90℃が好ましい。
この例は、紡糸ノズル16と凝固液20aとの間に空走区間が設けられた乾湿式紡糸の形態であるが、この形態には限定されず、空走区間を設けず、製膜原液Aを直接凝固液20a中に紡糸する湿式紡糸を採用してもよい。
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、紡糸ノズル16に供給する補強支持体Bの張力を20〜90g/錘に制御することを特徴とする。張力制御手段18によって、紡糸ノズル16に供給する補強支持体Bの張力を前記範囲内に積極的に制御することにより、ガイド部材30から補強支持体Bが外れたり、補強支持体Bの外径が過度に小さくなったり、補強支持体Bが扁平状に潰れたりすることを抑制できる。
紡糸ノズル16に供給する補強支持体Bの張力は、補強支持体Bがガイド部材30から外れることを抑制しやすい点から、50g/錘以上が好ましい。また、紡糸ノズル16に供給する補強支持体Bの張力は、補強支持体Bの外径が過度に小さくなったり、補強支持体Bが扁平状に潰れたりすることを抑制しやすい点から、70g/錘以下が好ましい。
紡糸ノズル16に供給する補強支持体Bの張力は、ガイド外れを防止しやすく、かつ中空部のつぶれを防止しやすい点から、ニップロールにより制御することが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、紡糸ノズル16の手前で補強支持体Bの外径を測定し、その測定結果をフィードバックして補強支持体Bの張力を制御することが好ましい。これにより、補強支持体Bの外径が過度に小さくなったり、補強支持体Bが扁平状に潰れたりすることを抑制するのがより容易になる。
補強支持体Bの外径を測定する方法としては、例えば、インライン外径測定器等が挙げられる。
洗浄工程:
凝固工程で形成された多孔質中空糸膜前駆体M’には、開孔剤や溶媒が残存しており、この段階では充分な透水性を発揮できない。また、開孔剤が膜中で乾固すると、膜の機械的強度の低下の原因にもなる。一方、後述する除去工程において、酸化剤を使用して開孔剤を酸化分解(低分子量化)する際、多孔質中空糸膜前駆体M’中に溶媒が残存していると、溶媒と酸化剤とが反応してしまうため、開孔剤の酸化分解が阻害される。そこで、本実施形態では、凝固工程後に、洗浄工程において多孔質中空糸膜前駆体M’中に残存する溶媒を除去した後、除去工程において多孔質中空糸膜前駆体M’中に残存する開孔剤を除去する。
洗浄工程では、洗浄手段22により、多孔質中空糸膜前駆体M’を洗浄液22bで洗浄することで、多孔質中空糸膜前駆体M’中に残存している溶媒を除去する。多孔質中空糸膜前駆体M’中の溶媒が膜内部から膜表面に拡散移動すると共に、膜表面から洗浄液22bに拡散移動して、多孔質中空糸膜前駆体M’から除去される。
洗浄液22bとしては、洗浄効果が高いことから水が好ましい。使用する水としては、水道水、工業用水、河川水、井戸水等が挙げられる。また、これらにアルコール、無機塩類、酸化剤、界面活性剤等を混合して使用してもよい。また、洗浄液22bとしては、製膜原液に含まれる溶媒と水との混合液も使用できる。ただし、該混合液を使用する場合、溶媒の濃度は10質量%以下が好ましい。
洗浄液22bの温度は、多孔質中空糸膜前駆体M’中に残存する溶媒の拡散移動速度が向上する点から、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
なお、洗浄工程では主に多孔質中空糸膜前駆体M’中の溶媒を除去するが、多孔質中空糸膜前駆体M’を洗浄することで開孔剤も一部除去される。
また、洗浄工程では、張力制御手段22aによって、走行する多孔質中空糸膜前駆体M’の張力を200〜800g/錘に制御することが好ましい。多孔質中空糸膜前駆体M’の張力を前記範囲内に積極的に制御して洗浄を行うことで、多孔質中空糸膜前駆体M’がガイド部材30から外れたり、多孔質中空糸膜前駆体M’の中空部が潰れたりすることを抑制しやすくなる。
洗浄工程における多孔質中空糸膜前駆体M’の張力は、多孔質中空糸膜前駆体M’がガイド部材30から外れることを抑制しやすい点から、400g/錘以上がより好ましい。また、洗浄工程における多孔質中空糸膜前駆体M’の張力は、多孔質中空糸膜前駆体M’の中空部が潰れることを抑制しやすい点から、500g/錘以下がより好ましい。
除去工程:
除去工程では、除去手段24によって、多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する開孔剤を除去して、多孔質中空糸膜Mを形成する。
除去工程としては、例えば、酸化剤を含む薬液中に多孔質中空糸膜前駆体M’を浸漬し、多孔質中空糸膜前駆体M’に薬液を保持させた後、多孔質中空糸膜前駆体M’を気相中で加熱して開孔剤の酸化分解を行い、その後に多孔質中空糸膜前駆体M’を洗浄して低分子量化された開孔剤を除去する工程が挙げられる。
酸化剤としては、次亜塩素酸塩、オゾン、過酸化水素、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過硫酸塩等が挙げられる。なかでも、酸化力が強く分解性能に優れること、取扱い性に優れること、安価なこと等の点より、次亜塩素酸塩が好ましい。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
多孔質中空糸膜前駆体M’に残存する開孔剤の酸化分解が薬液中で進行することを抑制しやすく、薬液中に脱落した開孔剤がさらに酸化分解して酸化剤が浪費されることを抑制しやすい点から、薬液の温度は、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。また、薬液を低温に制御するためのコスト等が抑えられる点から、薬液の温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。
薬液を保持した多孔質中空糸膜前駆体M’の加熱は、大気圧下において加熱流体を使用することが好ましい。
加熱流体としては、酸化剤の乾燥が抑制され、より効率的な分解処理が可能となる点から、相対湿度の高い流体を使用すること、すなわち湿熱条件で加熱を行うことが好ましい。この場合、加熱流体の相対湿度は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、100%近傍が特に好ましい。
加熱温度は、連続処理を行う場合、処理時間を短くできることから、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。また、加熱温度は、大気圧状態では、100℃以下が好ましい。
低分子量化された開孔剤を除去する方法としては、多孔質中空糸膜前駆体M’を洗浄する方法が好ましい。洗浄方法としては特に制限されず、前記洗浄工程で挙げた洗浄方法を採用できる。
乾燥工程:
乾燥手段26によって多孔質中空糸膜Mを乾燥する。
多孔質中空糸膜Mの乾燥方法としては、多孔質中空糸膜の乾燥方法として通常使用される方法が使用でき、例えば、多孔質中空糸膜Mを熱風によって乾燥する熱風乾燥方法等が挙げられる。具体的には、例えば、熱風を毎秒数m程度の風速で循環させることができる装置内に、多孔質中空糸膜Mを複数回往復させて連続的に走行させ、多孔質中空糸膜Mを外周側から乾燥する方法が挙げられる。
巻き取り工程:
巻き取り手段28によって、乾燥後の多孔質中空糸膜Mを巻き取る。
以上説明した本発明の多孔質中空糸膜の製造方法および製造装置にあっては、紡糸ノズルにノズルに供給する補強支持体の張力を所定の範囲内に積極的に制御することにより、補強支持体がガイド部材から補強支持体が外れたり、補強支持体の外径が過度に縮小したり、補強支持体が扁平状に潰れたりすることを抑制できる。そのため、高品質な多孔質中空糸膜を安定して連続的に製造できる。
なお、本発明の多孔質中空糸膜の製造装置は、前記製造装置1には限定されない。例えば、原液調製手段を有していない装置であってもよい。また、多孔質中空糸膜の張力を制御する張力制御手段を有していない洗浄手段を備えた装置であってもよい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、前記製造装置1を用いる方法には限定されない。例えば、原液調製工程を有していない方法であってもよい。また、洗浄工程において、走行する多孔質中空糸膜前駆体の張力をニップロール等で特に制御することなく洗浄を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
補強支持体の製造工程:
図2に示す支持体製造装置40を用いて、中空状編紐からなる補強支持体を製造した。支持体製造装置40は、ボビン41と、ボビン41から引き出された糸42を丸編する丸編機43と、丸編機43によって編成された中空状編紐44を一定の張力で引っ張る紐供給装置45と、中空状編紐44を熱処理する加熱ダイス46と、中空状編紐44が熱処理されて得られる補強支持体Xを引き取る引取り装置47と、補強支持体Xをボビンに巻き取る巻き取り機48とを具備する。
原糸としては、ポリエステル繊維(繊度:84dtex、フィラメント数:36)を用いた。ボビン41としては、前記ポリエステル繊維の5kgを巻いたものを5つ用意した。丸編機43としては、卓上型組編機(圓井繊維機械社製、メリヤス針数:12本、針サイズ116ゲージ、スピンドルの円周直径:8mm)を用いた。紐供給装置45および引取り装置47としてはネルソンロールを用いた。加熱ダイス46としては、加熱手段を有するステンレス製のダイス(内径D(入口側):5mm、内径d(出口側):2.2mm、長さ:300mm)を用いた。
ボビン41から引き出されたポリエステル繊維を1つにまとめて糸42(合計繊度は420dtex)とした後、丸編機43によって丸編して中空状編紐44を編成し、前記中空状編紐44を195℃の加熱ダイス46に通し、熱処理された中空状編紐44を補強支持体Xとして巻き取り速度100m/hrで巻き取り装置48に巻き取った。ボビン41のポリエステル繊維がなくなるまで補強支持体Xの製造を続けた。
得られた補強支持体Xの外径は約2.1mmであり、内径は1.3mmであった。補強支持体Xを構成する中空状編紐44は、図3および図4に示すように、糸42を湾曲させたループ42a(図4中の黒い部分)を螺旋状に連続して形成し、これらループ42aを上下につなげたものであり、図4に示すように、ループ42a内およびループ42a同士の接続部に網目44aを有する。ループ42aの数は、1周あたり12個、網目44aの最大開口幅Lは約0.05mmであった。補強支持体Xの長さは12000mであった。
得られた補強支持体Xは、支持体収容部14内に収容した。
図1に例示した製造装置1を使用して以下のようにして多孔質中空糸膜を連続して製造した。
原液調製工程:
原液調製手段10において、膜形成性樹脂(疎水性ポリマー)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(アルケマ製、商品名カイナー301F)、および開孔剤(親水性ポリマー)としてポリビニルピロリドン(PVP)(日本触媒製、商品名PVP−K79)を、N,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)中に投入して混錬溶解することにより、PVDFが20質量%、PVPが10質量%、DMAcが70質量%の質量比からなる第1の製膜原液を調製した。
また、第1のPVDF(アルケマ製、商品名カイナー301F)と第2のPVDF(アルケマ製、商品名カイナー9000HD)とを質量比1.1:1で混合したPVDFと、PVP(日本触媒製、商品名PVP−K79)とを、DMAc中に投入して混錬溶解することにより、PVDFが39質量%、PVPが19質量%、DMAcが42質量%の質量比からなる第2の製膜原液を調製した。
前記第1の製膜原液および第2の製膜原液は貯留部12に送液して貯留した。
紡糸凝固工程:
30℃に保温した紡糸ノズル16に、貯留部12から連続的に第1の製膜原液および第2の製膜原液を供給し、支持体収容部14から補強支持体Xを連続的に供給し、補強支持体Xの外周面に第1の製膜原液を塗布し、さらにその外側に第2の製膜原液を塗布した。支持体収容部14から紡糸ノズル16に供給する補強支持体Xの張力は、張力制御手段18により60g/錘に調整した。張力制御手段18としては、ニップロールを使用した。
ついで、第1の製膜原液および第2の製膜原液が塗布された補強支持体Xを、凝固手段20の80℃に保温した8質量%のDMAc水溶液(凝固液20a)に浸漬し、製膜原液を凝固させて多孔質中空糸膜前駆体M’を形成し、凝固液20aから引き上げた。
洗浄工程、除去工程:
洗浄手段22において、熱水(約90℃)が収容された洗浄槽内に、多孔質中空糸膜前駆体M’を走行させて溶媒を除去した。また、洗浄中の多孔質中空糸膜前駆体M’の張力は、張力制御手段22aにより500g/錘に制御した。張力制御手段22aとしては、ニップロールを使用した。
次いで、除去手段24において、温度20℃、濃度5質量%の次亜塩素酸塩の水溶液が入れられた薬液槽内に、多孔質中空糸膜前駆体M’を滞在時間2分間で走行させて薬液を保持させた後、温度100℃の飽和水蒸気中に滞在時間3分の条件で多孔質中空糸膜前駆体M’を走行させて加熱した。その後、温水(60℃)が収容された洗浄槽内で洗浄することにより低分子量化した開孔剤を除去し、多孔質中空糸膜Mを形成した。
乾燥工程、巻き取り工程:
乾燥手段26としては、加熱した飽和水蒸気により多孔質中空糸膜を加熱するスチーム乾燥部と、該スチーム乾燥部で乾燥された多孔質中空糸膜を熱風により乾燥する熱風乾燥部を有するものを使用した。乾燥手段26のスチーム乾燥部において、100℃の飽和水蒸気中に、滞在時間30秒の条件で多孔質中空糸膜Mを走行させ、さらに温度120℃、風速3m/秒の熱風を内部に循環させた熱風乾燥部内に滞在時間300秒の条件で多孔質中空糸膜Mを走行させることで、多孔質中空糸膜Mを乾燥し、巻き取り手段28に巻き取った。乾燥前の多孔質中空糸膜Mの水分率は60質量%であり、スチーム乾燥後の多孔質中空糸膜Mの水分率は50質量%であり、熱風乾燥後の多孔質中空糸膜Mの水分率は0.5質量%であった。
製造工程中に補強支持体Bがガイド部材30から外れたり、補強支持体Bの外径が過度に小さくなったり、扁平状に潰れることを抑制しつつ、充分な品質の多孔質中空糸膜を連続して製造できた。
1 多孔質中空糸膜の製造装置
10 原液調製手段
12 貯留部
14 支持体収容部
16 紡糸ノズル
18 張力制御手段
20 凝固手段
20a 凝固液
22 洗浄手段
22a 張力制御手段
22b 洗浄液
24 除去手段
26 乾燥手段
28 巻き取り手段
30 ガイド部材
M 多孔質中空糸膜
M’ 多孔質中空糸膜前駆体

Claims (5)

  1. 膜形成性樹脂および開孔剤を含む製膜原液と中空状の補強支持体を紡糸ノズルに連続的に供給し、該紡糸ノズルによって前記補強支持体の外側に前記製膜原液を塗布し、凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する紡糸凝固工程と、前記多孔質中空糸膜前駆体から前記開孔剤を除去して多孔質中空糸膜を形成する除去工程と、を有する多孔質中空糸膜の製造方法であって、
    前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力を20〜90g/錘に制御する、多孔質中空糸膜の製造方法。
  2. 前記紡糸ノズルの手前で前記補強支持体の外径を測定し、その測定結果をフィードバックして前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力を制御する、請求項1に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  3. 前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力をニップロールにより制御する、請求項1または2に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  4. 前記除去工程の前に、前記紡糸凝固工程で形成された多孔質中空糸膜前駆体の張力を200〜800g/錘に制御して、該多孔質中空糸膜前駆体を洗浄液で洗浄する洗浄工程を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の製造方法。
  5. 中空状の補強支持体の外側に多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜の製造装置であって、
    膜形成性樹脂および開孔剤を含む製膜原液を前記補強支持体の外側に塗布するように紡糸する紡糸ノズルと、前記製膜原液を凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する凝固手段と、前記多孔質中空糸膜前駆体から前記開孔剤を除去し、多孔質膜層を有する多孔質中空糸膜を形成する除去手段と、前記紡糸ノズルに供給する前記補強支持体の張力を制御する張力制御手段と、を有する多孔質中空糸膜の製造装置。
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