詳細な説明
本明細書中に記載の作業において、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)のDNAマイクロアレイプロファイルおよびその後のヒト乳癌組織の異なるサブタイプの免疫組織化学(IHC)を分析して、免疫療法の標的を同定した。この分析により、膜結合コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)(高分子量黒色腫関連抗原(Campoli,M.R.,et al.,Crit Rev Immunol 24,267−296,2004)としても公知)がTNBC細胞上で優先的に発現することが示された。本明細書中に開示の研究で使用した細胞株を、DNAマイクロアレイによって基底様と定義した(Neve,RM,et al.(2006),Cancer Cell 10:515−527(本明細書中で参考として援用される))。
系統発生的進化によって高度に保存されているCSPG4は、N結合した280kDa糖タンパク質および450kDaコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(共に黒色腫細胞上の決定基の発現において異種)からなる。少なくとも80%の黒色腫病変中に制限された病変間および病変内(inter− and intra−sesional)の異種性を伴うその発現の高さおよびその正常組織中の分布が制限されていることにより、CSPG4は黒色腫患者における免疫療法標的として使用されている。その臨床的意義は、疾患の臨床経過に及ぼすCSPG4模倣物(Mittelman et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 89,466−470,1992)によって誘導されたCSPG4特異的抗体の有益な影響によって示される。細胞の運動性および遊走におけるその役割(例えば、Burg et al.,Exp Cell Res 235,254−264,1997を参照のこと)を有するCSPG4およびそのラットホモログであるNG2(例えば、Neve,R.M.,et al.,Cancer Cell 10,515−527,2006を参照のこと)は、腫瘍細胞の成長、生存、および治療抵抗性に重要である。これらの経路は、インテグリン機能(例えば、接着斑キナーゼ(FAK))、成長および生存経路(ERk1、2、およびAktなど)を調整する。さらに、NG2は、後成的機能による機能的c−Metの発現を刺激することが示されている。
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体(ER/PR)およびHER2タンパク質の発現について臨床的に陰性の最も一般的なBBCの形態である(Carey,Oncology 22(11)(2008年10月1日にインターネットで利用可能)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。TNBCの1つの特徴は、遊走し、脳などに転移する能力である(Brabletz et al.,Nat Rev Cancer 5,744−749,2005)。CSPG4タンパク質がTNBC細胞上に発現することを本明細書中に証明する。さらに、CSPG4は、患者由来のTNBC組織上に優先的に発現され、乳癌腫患者由来のTNBC細胞株および悪性胸水の両方においてCSC表現型を有する細胞の亜集団によって高度に発現される。
CSPG4遮断の機能的役割を本明細書中で証明する。例えば、TNBC異種移植片転移において、CSPG4特異的mAbが確立された転移の成長を有意に阻害し、後退させることを本明細書中に示す。制限されないが、TNBCマウス実験モデルにおける結果を示し、同所性TNBCマウスモデルにおける術後腫瘍再発および肺転移を有意に阻害した。実施例には、異種移植片腫瘍/転移を得るためにこれらの2つの腫瘍モデルで使用したTNBC細胞株MDA−MB−435およびMDA−MB−231(これらは共に99%の細胞で乳房CSC表現型(CD44+、CD24−/lo)を示す)の使用を記載する。CSPG4特異的mAbによって媒介される腫瘍の再発および転移の阻害における分子作用機構は、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinosital)−3−キナーゼ(PI3K)/PTEN/AktおよびMAPK経路のシグナル伝達および腫瘍血管形成の両方を阻害する能力を含む。理論に拘束されないが、所見は、PKC−α、FAK PI3K/AktおよびErk1、2経路(これらは全てCSPG4機能に関連する)の活性化の阻害を反映する可能性が高い。これらの結果は、CSPG4がTNBCにおいて抗体ベースの免疫療法を適用するための重要な標的であることを示す。
用語
他で断りのない限り、技術用語を、従来の用法に従って使用する。分子生物学における一般用語の定義を、Benjamin Lewin,Genes V,published by Oxford University Press,1994(ISBN 0−19−854287−9);Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,published by Blackwell Science Ltd.,1994(ISBN 0−632−02182−9);およびRobert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,published by VCH Publishers,Inc.,1995(ISBN1−56081−569−8)中に見出すことができる。
本開示の種々の実施形態の概説を容易にするために、特定の用語を以下に説明する。
抗原:哺乳動物における抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質(動物に注射するか吸収される組成物が含まれる)。抗原は、特異的な体液性免疫または細胞性免疫の生成物(異種免疫原によって誘導される生成物が含まれる)と反応する。例示的な抗原はCSPG4である。用語「抗原」には、全ての関連する抗原エピトープが含まれる。「エピトープ」または「抗原決定基」は、B細胞および/またはT細胞が応答する抗原上の部位をいう。エピトープを、隣接アミノ酸またはタンパク質の三次折り畳みによって並置された非隣接アミノ酸の両方から形成することができる。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露の際に保持されるのに対して、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒での処置の際に喪失される。エピトープは、典型的には、固有の空間的高次構造の少なくとも3個、より通常には、少なくとも5個または8個から10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的高次構造の決定方法には、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴が含まれる。
抗原は、組織特異的抗原または疾患特異的抗原であり得る。組織特異的抗原も疾患特異的抗原であり得るので、これらの用語は排他的ではない。組織特異的抗原は、限定された数の組織(1つの組織など)中に発現する。組織特異的抗原の制限されない具体例は、乳房特異的抗原または前立腺特異的抗原である。疾患特異的抗原は、疾患の経過と共に発現される。疾患特異的抗原の限定されない具体例は、その発現が乳癌(例えば、BBCまたはTNBC)などの腫瘍形成と相関するか腫瘍形成が予測される抗原である。疾患特異的抗原は、T細胞またはB細胞によって認識される抗原であり得る。
増幅:核酸分子(例えば、DNA分子またはRNA分子)の増幅は、検体中の核酸分子のコピー数を増加させる技術の使用をいう。増幅の例は、ポリメラーゼ連鎖反応である。これは、サンプル中でプライマーが核酸テンプレートとハイブリッド形成する条件下で被験体から回収した生物サンプルをオリゴヌクレオチドプライマー対と接触させる。適切な条件下でプライマーを伸長させ、テンプレートから解離させ、次いで、再アニーリングし、伸長させ、解離させて核酸のコピー数を増幅する。増幅産物を、標準的技術を使用した電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パーン、オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成またはライゲーション、および/または核酸配列決定によって特徴づけることができる。増幅の他の例には、米国特許第5,744,311号に開示の鎖置換増幅;米国特許第6,033,881号に開示の無転写等温増幅;WO90/01069号に開示の修復連鎖反応増幅;EP−A−320 308号に記載のリガーゼ連鎖反応増幅;米国特許第5,427,930号に開示のギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅;および米国特許第6,025,134号に開示のNASBA(商標)RNA無転写増幅が含まれる。
動物:生きている多細胞脊椎動物(例えば、哺乳動物および鳥類が含まれるカテゴリー)。用語哺乳動物には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物(非ヒト霊長類が含まれる)が含まれる。同様に、用語「被験体」には、ヒト被験体および動物被験体の両方が含まれる。
乳癌:良性または悪性であり得る乳房組織の新生物容態。最も一般的な乳癌型は腺管癌腫である。腺管上皮内癌腫は、管の非浸潤性新生物容態である。小葉癌腫は侵襲性疾患ではないが、癌腫を発症し得ることの指標である。浸潤性(悪性)乳癌腫を、病期分類することができる(I、IIA、IIB、IIIA、IIIB、およびIV)。
乳癌腫は、正常な乳腺の典型的な組織学および構造を喪失している。一般に、癌腫細胞は、正常細胞が過成長し、腺様構造に分化する能力が喪失している。分化の喪失度は、一般に、腫瘍の攻撃性に関連する。例えば、「上皮内」癌腫は、その名の通り、基底膜がインタクトに保たれるのに対して、「浸潤性」に進行するにつれて、腫瘍は基底膜を突き抜ける。したがって、乳癌腫内に正常な乳房組織で認められる基底細胞の個別の層の染色が認められないと予想されるであろう。正常な乳房および乳癌腫の生理学および組織学の考察については、Ronnov−Jessen,L.,Petersen,O.W.& Bissell,M.J.Cellular changes involved in conversion of normal to malignant breast:importance of the stromal reaction.Physiol Rev 76,69−125(1996)を参照のこと。
乳癌を、その発現プロフィールに基づいた群に分類することができる。基底型癌腫は、通常、エストロゲン受容体(ER)発現に対して陰性であり、且つHER2(erbB2)およびプロゲステロン受容体(PR)の発現に対して陰性である。したがって、「トリプルネガティブ乳癌」または「TNBC」と呼ばれる。この乳癌型はER−/HER2−/PR−とも表示され、全乳癌の約15〜20%に相当し、一般に、Her2標的治療またはエストロゲン標的治療を使用して処置することができない。この癌の攻撃性がCD44+CD24−/lo表現型を有する癌幹細胞(CSC)の富化と相関すると考えられる。いくつかの実施形態では、基底癌腫は、プロゲステロン受容体(PR)発現に対して陰性であり、上皮成長因子受容体(EGFR)発現に対して陽性であり、サイトケラチン5(CK5)発現に対して陽性である。この表現型を以下のように表示する:ER−/PR−/HER2−/CK5+/EGFR+。
ヒト乳癌の基底管腔サブタイプは、細胞分画のみが基底サイトケラチン5に対して陽性である(<70%)という点で古典的な基底型腫瘍と区別される。さらに、35%の基底管腔乳癌がHER2の増幅または過剰発現を示す(Laakso et al,2006,Clin.Cancer Res.12:4185−4191)。一例を挙げれば、基底管腔サブタイプ腫瘍を、ER−/PR−/HER2+/CK5+/EGFR+と特徴づけることができる。〔チェックのこと〕。
化学療法薬:異常な細胞成長によって特徴づけられる疾患の処置で有用な任意の化学物質。かかる疾患には、腫瘍、新生物、および癌、ならびに過形成性の成長によって特徴づけられる疾患(乾癬など)が含まれる。1つの実施形態では、化学療法薬は、乳癌および/または前立腺癌の処置で用いる薬剤である。1つの実施形態では、化学療法薬は放射性化合物である。当業者は、有用な化学療法薬を容易に同定することができる(例えば、Slapak and Kufe,Principles of Cancer Therapy,Chapter 86 in Harrison’s Principles of Internal Medicine,14th edition;Perry et al.,Chemotherapy,Ch.17 in Abeloff,Clinical Oncology 2nd ed.,(著作権) 2000 Churchill Livingstone,Inc; Baltzer L,Berkery R(eds):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy,2nd ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1995;Fischer DS,Knobf MF,Durivage HJ(eds):The Cancer Chemotherapy Handbook,4th ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1993を参照のこと)。併用化学療法は、被験体への1つを超える癌処置薬の投与(放射性化合物または化学物質と組み合わせたCSPG4に対する抗体の投与など)である。
保存的バリアント:「保存的」アミノ酸置換は、CSPG4の活性または抗原性に実質的に影響を及ぼさないか減少させない置換である。保存的置換の非限定的な具体例には、以下の例が含まれる。
用語「保存的変動」には、置換ポリペプチドに対して惹起した抗体も非置換ポリペプチドと免疫反応するという条件で、非置換親アミノ酸の代わりの置換アミノ酸の使用も含まれる。非保存的置換は、活性または抗原性を軽減させる置換である。
cDNA(相補DNA):転写を決定づける内部の非コードセグメント(イントロン)および調節配列を欠くDNA断片。cDNAは、細胞から抽出された伝令RNAからの逆転写によって研究室内で合成される。
縮重バリアント:遺伝暗号の結果として縮重する配列を含むCSPG4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。20種の天然アミノ酸が存在し、そのほとんどが1つを超えるコドンによって特定される。したがって、ヌクレオチド配列によってコードされるCSPG4ポリペプチドのアミノ酸配列が不変である限り、全ての縮重ヌクレオチド配列は本開示に含まれる。
診断:病理学的容態(乳癌または前立腺癌などであるが、これらに限定されない)の存在または性質の同定。診断方法は、その感度および特異性が異なる。診断アッセイの「感度」は、試験される罹患個体が陽性である比率(真陽性率)である。診断アッセイの「特異性」は、1−偽陽性率であり、ここで、偽陽性率は、試験される罹患していない個体が陽性である比率と定義される。特定の診断方法では容態の確定診断を行えないが、その方法によって診断を補助する陽性を示すならば十分である。「予後」は、病理学的容態(乳癌(例えば、BBC)または転移など)の発症の可能性(例えば、重症度)である。
エピトープ:抗原決定基。これらは、抗原性を示す(すなわち、特異的免疫応答を誘発する)分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体は、ポリペプチド上の特定の抗原エピトープに特異的に結合する。エピトープを、隣接アミノ酸またはタンパク質の三次折り畳みによって並置された非隣接アミノ酸の両方から形成することができる。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露の際に保持されるのに対して、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒での処置の際に喪失される。エピトープは、典型的には、固有の空間的高次構造の少なくとも3個、より通常には、少なくとも5個または8個から10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的高次構造の決定方法には、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴が含まれる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed(1996)を参照のこと。
エストロゲン受容体(ER):ホルモンである17β−エストラジオール(エストロゲン)によって活性化される受容体。エストロゲン受容体の主な機能は、遺伝子発現を調節するDNA結合転写因子としての機能である。エストロゲン受容体は乳癌症例の約70%で過剰発現し、「ER陽性」または「ER+」と呼ばれる。ER+乳癌の治療は、乳房組織中でERアンタゴニストとして挙動する選択的エストロゲン受容体調節因子(SERMS)またはアロマターゼインヒビターを含む。ER状態を使用して、タモキシフェンおよびアロマターゼインヒビターに対する乳癌病変の感受性も決定する。
発現調節配列:作動可能に連結された異種核酸配列の発現を制御する核酸配列。発現調節配列は、発現調節配列が、核酸配列の転写、必要に応じて、翻訳を調節および制御する場合に核酸配列に作動可能に連結されている。したがって、発現調節配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳のための遺伝子の正確な読み取り枠の維持、および終止コドンが含まれ得る。用語「調節配列」には、最小限でもその存在が発現に影響を及ぼし得る成分が含まれることを意図し、その存在が有益なさらなる成分(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)も含まれ得る。発現調節配列には、プロモーターが含まれ得る。
プロモーターは、転写を指示するのに十分な最小の配列である。外部シグナルまたは外部因子によって細胞型特異的、組織特異的、または誘導性にプロモーター依存性遺伝子発現を調節可能にするのに十分なプロモーターエレメントも含まれる。かかるエレメントを遺伝子の5’領域または3’領域に配置することができる。構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et al.,Methods in Enzymology 153:516−544,1987を参照のこと)。例えば、細菌系でクローニングする場合、誘導性プロモーター(λバクテリオファージのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)など)を使用することができる。1つの実施形態では、哺乳動物細胞系でクローニングする場合、哺乳動物細胞ゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、レトロウイルス長末端反復;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用することができる。組換えDNAまたは合成技術によって産生されたプロモーターを使用して、核酸配列を転写することもできる。
HER2:ヒト上皮成長因子受容体2(Her2)は、Her2/neu(またはErbB−2、ERBB2)としても公知である。これは、ErbBタンパク質ファミリー(上皮成長因子受容体ファミリーとしても公知)のメンバーである。HER2は、CD340(表面抗原分類340)およびp185とも示される。HER2は、乳癌の病変形成でのその役割および処置の標的として注目すべきである。これは、細胞膜表面結合受容体チロシンキナーゼであり、通常、細胞を成長および分化させるシグナル伝達経路に関与する。
およそ15〜20%の乳癌がHER2遺伝子を増幅するか、そのタンパク質産物を過剰発現する。乳癌中のこの受容体の過剰発現は、疾患再発の増加および予後の悪化に関連している。その予後の役割のために、乳房腫瘍を、日常的にHER2の過剰発現についてチェックする。過剰発現は、卵巣癌、胃癌、および生物学的に攻撃的な子宮癌形態(子宮漿液子宮内膜癌腫など)などの他の癌でも起こる。
宿主細胞:ベクターを増殖させ、そのDNAを発現させることができる細胞。細胞は原核細胞または真核細胞であり得る。本用語には、本件の宿主細胞の任意の子孫も含まれる。複製中に起こる変異が存在し得るので、全ての子孫が親細胞と同一ではないかもしれないと理解される。しかし、用語「宿主細胞」を使用する場合、かかる子孫が含まれる。
免疫応答:免疫系細胞(B細胞、T細胞、または単球など)の刺激に対する応答。1つの実施形態では、応答は特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。1つの実施形態では、免疫応答はT細胞応答(CD4+応答またはCD8+応答など)である。別の実施形態では、応答はB細胞応答であり、それにより、特異的抗体(CSPG4に特異的に結合する抗体など)が産生される。
免疫抱合体:エフェクター分子の抗体への共有結合物。エフェクター分子は毒素であり得る。毒素の非限定的な具体例には、アブリン、リシン、シュードモナス外毒素(PE(PE35、PE37、PE38、およびPE40など))、ジフテリア毒素(DT)、サポリン、レストリクトシン、もしくはその修飾毒素、または細胞成長の阻害または細胞の死滅を直接または間接的に行う他の毒物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、PEおよびDTは、典型的にはヒトにおいて肝臓および心臓に対する毒性によって死亡する毒性の高い化合物である。しかし、PEおよびDTを、毒素の未変性のターゲティング成分(例えば、PEのドメインIaおよびDTのB鎖)の除去および異なるターゲティング部分(抗体など)との置換によって免疫毒素として使用するための形態に改変することができる。「キメラ分子」は、エフェクター分子に抱合した(カップリングした)ターゲティング部分(リガンドまたは抗体など)である。用語「抱合」または「連結」は、2つのポリペプチドから1つの隣接ポリペプチド分子を作製することをいう。1つの実施形態では、抗体(CSPG4に特異的に結合する抗体など)を、エフェクター分子(EM)に連結する。別の実施形態では、その体内での半減期を増加させるために、エフェクター分子に連結した抗体を、脂質もしくは他の分子またはタンパク質もしくはペプチドにさらに連結させる。化学的手段または組換え手段のいずれかによって連結することができる。1つの実施形態では、連結は化学的連結である。これは、抗体部分とエフェクター分子との間の反応によって2分子間で共有結合して1つの分子を形成する。ペプチドリンカー(短いペプチド配列)は、任意選択的に、抗体とエフェクター分子との間に含まれ得る。
免疫原性ペプチド:ペプチドがMHC分子に結合して免疫原性ペプチドに由来する抗原(CSPG4など)に対して細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)応答またはB細胞応答(例えば、抗体産生)を誘導するような対立遺伝子特異的モチーフまたは他の配列を含むペプチド。
1つの実施形態では、免疫原性ペプチドを、当該分野で公知の配列モチーフまたは他の方法(ニューラルネットまたは多項式の決定など)を使用して同定する。典型的には、アルゴリズムを使用してペプチドの「結合閾値」を決定し、一定の親和性で結合する確率を高くして免疫原性を示すスコアを有するペプチドを選択する。アルゴリズムは、特定の位置での特定のアミノ酸のMHC結合に及ぼす影響、特定の位置での特定のアミノ酸の抗体結合に及ぼす影響、またはモチーフ含有ペプチド中の特定の置換基の結合に及ぼす影響のいずれかに基づく。免疫原性ペプチドの文脈内で、「保存された残基」は、ペプチド中の特定の位置での無作為な分布によって予想されるよりも有意に高い頻度で出現する残基である。1つの実施形態では、保存された残基は、MHC構造によって免疫原性ペプチドとの接触点を得ることができる残基である。MHC結合予測プログラムがインターネット上で利用可能である(Imtechウェブサイトに存在するProPed−Iなど)(Singh and Raghava,ProPred1:Prediction of promiscuous MHC class−I binding sites,Bioinformatics,2003)。
免疫原性組成物:ポリペプチド(CSPG4ポリペプチドなど)を発現する細胞に対して測定可能な免疫応答を誘導する抗原ポリペプチド(CSPG4ポリペプチドなど)を含む組成物。免疫応答は、CSPG4ポリペプチドを発現する細胞に対する測定可能なCTL応答またはCSPG4ポリペプチド(BBC(TNBC)細胞など)に対する測定可能なB細胞応答(CSPG4に特異的に結合する抗体の産生など)であり得る。これは、さらに、CSPG4ポリペプチドを発現する(そしてCSPG4に対する免疫応答を誘発する)ために使用することができるCSPG4ポリペプチドをコードする単離核酸をいう。in vitroでの使用のために、免疫原性組成物は単離したタンパク質またはペプチドからなり得る。in vivoでの使用のために、免疫原性組成物は、典型的には、薬学的に許容可能なキャリアおよび/または他の薬剤中にタンパク質またはペプチドを含むであろう。任意の特定のペプチドであるCSPG4ポリペプチドまたはこのポリペプチドをコードする核酸を、当該分野で認識されているアッセイによってCTL応答またはB細胞応答を誘導する能力について容易に試験することができる。
免疫グロブリン(抗体):抗原に特異的に結合する免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドを含むタンパク質。認識された免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α(IgA)、γ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、δ(IgD)、ε(IgE)、およびμ(IgM)定常領域遺伝子、ならびに多種多様な免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。全長免疫グロブリン軽鎖は、一般に、約25Kdまたは214アミノ酸長である。全長免疫グロブリン重鎖は、一般に、約50Kdまたは446アミノ酸長である。軽鎖は、NH2末端側の可変領域遺伝子(約110アミノ酸長)およびCOOH−−末端側のκまたはλ定常領域遺伝子によってコードされる。重鎖は、同様に、可変領域遺伝子(約116アミノ酸長)および他の定常領域遺伝子の1つによってコードされる。
抗体の基本構造単位は、一般に、2つの同一の免疫グロブリン鎖対からなる四量体であり、各対は1つの軽鎖および1つの重鎖を有する。各対では、軽鎖および重鎖の可変領域は抗原に結合し、定常領域はエフェクター機能を媒介する。免疫グロブリンはまた、種々の他の形態(例えば、Fv、Fab、および(Fab’)2、ならびに二機能性ハイブリッド抗体および単鎖が含まれる)で存在する(例えば、Lanzavecchia et al.,Eur.J.Immunol.17:105,1987;Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:5879−5883,1988;Bird et al.,Science 242:423−426,1988;Hood et al.,Immunology,Benjamin,N.Y.,2nd ed.,1984;Hunkapiller and Hood,Nature 323:15−16,1986)。
免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の可変領域は、3つの超可変領域(相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる)によって遮られたフレームワーク領域を含む(Sequences of Proteins of Immunological Interest,E.Kabat et al.,U.S.Department of Health and Human Services,1983を参照のこと)。上述の通り、CDRは、主に、抗原のエピトープへの結合を担う。免疫複合体は、抗原に特異的に結合した抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体など)または機能的抗体フラグメントである。
キメラ抗体は、その軽鎖および重鎖の遺伝子が、典型的には遺伝子操作によって、異なる種に属する免疫グロブリンの可変領域遺伝子および定常領域遺伝子から構築された抗体である。例えば、マウスモノクローナル抗体由来の遺伝子の可変セグメントを、ヒト定常セグメント(κおよびγ1またはγ3など)に連結することができる。従って、一例を挙げれば、治療キメラ抗体は、マウス抗体由来の可変ドメインまたは抗原結合ドメインおよびヒト抗体由来の定常ドメインまたはエフェクタードメインから構成されるハイブリッドタンパク質であるが、他の哺乳動物種を使用することができるか、分子技術によって可変領域を産生することができる。キメラ抗体の作製方法は当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,807,715号を参照のこと)。
「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域および非ヒト(マウス、ラット、または合成など)免疫グロブリン由来の1つまたは複数のCDRを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。1つの実施形態では、全てのCDRはヒト化免疫グロブリン中のドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域が存在する必要はないが、存在する場合、定常領域はヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一でなければならない(すなわち、少なくとも約85〜90%同一(約95%以上同一など))。それ故、全てのヒト化免疫グロブリン部分(おそらくCDRを除く)は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖免疫グロブリンおよびヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同一の抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから採取したアミノ酸との限定数の置換を有し得る。ヒト化または他のモノクローナル抗体は、抗原結合機能または他の免疫グロブリン機能に実質的に影響を及ぼさないさらなる保存的アミノ酸置換を有し得る。例示的な保存的置換は、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys、arg;およびphe、tyrなどの置換である。ヒト化免疫グロブリンを、遺伝子操作手段によって構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
ヒト抗体は、軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子がヒト起源である抗体である。ヒト抗体を、当該分野で公知の方法を使用して生成することができる。ヒト抗体を、目的の抗体を分泌するヒトB細胞の不死化によって産生することができる。例えば、EBV感染またはヒトB細胞を骨髄腫またはハイブリドーマ細胞と融合してトリオーマ細胞を産生することによって不死化することができる。ヒト抗体を、ファージディスプレイ法(例えば、Dower et al.,PCT公開番号WO91/17271号;McCafferty et al.,PCT公開番号WO92/001047号;およびWinter,PCT公開番号WO92/20791号(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)によって産生するか、ヒト組み合わせモノクローナル抗体ライブラリー(Morphosysウェブサイトを参照のこと)から選択することもできる。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニック動物の使用によって調製することもできる(例えば、Lonberg et al.,PCT公開番号WO93/12227号およびKucherlapati,PCT公開番号WO91/10741号(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
単離された:「単離された」生物学的成分(核酸、タンパク質、またはオルガネラなど)は、天然に存在する生物の細胞内の他の生物学的成分(すなわち、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、タンパク質、ならびにオルガネラ)から実質的に分離されているか、精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語はまた、宿主細胞中での組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質ならびに化学合成された核酸を含む。
標識:分子の検出を容易にするために別の分子に直接または間接的に抱合される検出可能な化合物または組成物。標識の非限定的な具体例には、蛍光タグ、酵素的連結、および放射性同位体が含まれる。
リンパ球:身体の免疫防御に関与する白血球型。主に以下の2つのリンパ球型が存在する:B細胞およびT細胞。
哺乳動物:この用語には、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方が含まれる。同様に、用語「被験体」には、ヒト被験体および動物被験体が含まれる。
モノクローナル抗体:Bリンパ球の単一クローンまたは単一抗体の軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生された抗体。モノクローナル抗体を、当業者に公知の方法(例えば、骨髄腫細胞の免疫脾臓細胞との融合からハイブリッド抗体形成細胞を作製すること)によって産生する。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
オリゴヌクレオチド:約100ヌクレオチドまでの塩基長の線状ポリヌクレオチド配列。
読み取り枠(ORF):いかなる内部末端コドンも使用せずにアミノ酸をコードする一連のヌクレオチドトリプレット(コドン)。これらの配列は、通常、ペプチドに翻訳可能である。
作動可能に連結された:第1の核酸配列は、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係にある場合に第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、プロモーターはコード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は連続的であり、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合、同一の読み枠中に存在する。
ペプチド:3アミノ酸長と30アミノ酸長との間(8〜10アミノ酸長など)のアミノ酸鎖。1つの実施形態では、ペプチドは約10〜約25アミノ酸長である。さらに別の実施形態では、ペプチドは約11〜約20アミノ酸長である。さらに別の実施形態では、ペプチドは約12アミノ酸長である。
ペプチド修飾:CSPG4ポリペプチドには、本明細書中に記載のペプチドの合成実施形態が含まれる。さらに、これらのタンパク質のアナログ(非ペプチド有機分子)、誘導体(開示のペプチド配列から開始して得た化学的に官能化したペプチド分子)、およびバリアント(ホモログ)を、本明細書中に記載の方法で使用することができる。本開示の各ポリペプチドは、天然に存在するか存在しないL型アミノ酸および/またはD型アミノ酸であり得るアミノ酸配列から構成される。
ペプチドを種々の化学的技術によって修飾して、非修飾ペプチドと本質的に同一の活性を有し、任意選択的に他の望ましい性質を有する誘導体を産生することができる。例えば、タンパク質のカルボン酸基(カルボキシル末端または側鎖のいずれであろうと)を、薬学的に許容可能なカチオンの塩の形態で得ることができるか、エステル化してC1〜C16エステルを形成することができるか、式NR1R2(式中、R1およびR2はそれぞれ独立してHまたはC1〜C16アルキルである)のアミドに変換することができるか、組み合わせて複素環(5員環または6員環など)を形成することができる。ペプチドのアミノ基(アミノ末端または側鎖のいずれであろうと)は、薬学的に許容可能な酸付加塩の形態(HCl、HBr、酢酸塩、安息香酸塩、トルエン硫酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、および他の有機塩など)にあり得るか、C1〜C16アルキルまたはジアルキルアミノに修飾することができるか、アミドにさらに変換することができる。
ペプチド側鎖のヒドロキシル基を、十分に認識された技術を使用してC1〜C16アルコキシまたはC1〜C16エステルに変換することができる。ペプチド側鎖のフェニル環およびフェノール環を、1つまたは複数のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素など)、C1〜C16アルキル、C1〜C16アルコキシ、カルボン酸およびそのエステル、またはかかるカルボン酸のアミドに置換することができる。ペプチド側鎖のメチレン基を、類似のC2〜C4アルキレンに伸長することができる。チオールを、多数の十分に認識された保護基のいずれか1つ(アセトアミド基など)で保護することができる。当業者はまた、高次構造を選択し、これに対して構造制約を提供して安定性を向上させるために本開示のペプチドに環状構造を導入する方法も認識するであろう。
ペプチド模倣物および有機模倣物の実施形態が予想される。それにより、かかるペプチド模倣物および有機模倣物の化学成分の三次元配置がペプチド骨格および成分のアミノ酸側鎖の三次元配置を模倣し、それにより、免疫応答を生じる能力が測定可能であるか増強されたCSPG4ポリペプチドのかかるペプチド模倣物および有機模倣物が得られる。コンピュータモデリングアプリケーションのために、ファルマコフォアは生物学的活性のための構造要件に理想的な三次元定義である。ペプチド模倣物および有機模倣物を、現行のコンピュータモデリングソフトウェア(コンピュータ支援薬物デザインまたはCADDを使用)を使用して各ファルマコフォアに適合するようにデザインすることができる。Walters,”Computer−Assisted Modeling of Drugs,” in Klegerman & Groves,eds.,1993,Pharmaceutical Biotechnology,Interpharm Press:Buffalo Grove,IL,pp.165〜174 and Principles of Pharmacology Munson(ed.)1995,Ch.102(CADDで使用される技術の説明のため)を参照のこと。かかる技術を使用して調製した模倣物も含まれる。
薬学的に許容可能なキャリア:有用な薬学的に許容可能なキャリアは従来のキャリアである。Remington’s Pharmaceutical Sciences,by E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,15th Edition(1975)は、本明細書中に開示の融合タンパク質の薬学的送達に適切な組成物および処方物を記載している。
一般に、キャリアの性質は、使用される特定の投与様式に依存するであろう。例えば、非経口処方物は、通常、注射液(ビヒクルとしての薬学的および生理学的に許容可能な流動物(水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、またはグリセロールなど)が含まれる)を含む。固体組成物(例えば、粉末、丸薬、錠剤、またはカプセル形態)のために、従来の非毒性固体キャリアには、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。生物学的に中性のキャリアに加えて、投与すべき薬学的組成物は、少量の非毒性補助剤(湿潤剤、乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など)(例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタン)を含むことができる。
ポリヌクレオチド:用語ポリヌクレオチドまたは核酸配列は、少なくとも10塩基長のポリマー形態のヌクレオチドをいう。組換えポリヌクレオチドには、由来する生物の天然に存在するゲノム中の直接隣接するコード配列の両方(5’末端上の1つおよび3’末端上の1つ)と直接隣接しないポリヌクレオチドが含まれる。したがって、この用語には、例えば、ベクター、自己複製プラスミドまたはウイルス、または原核生物または真核生物のゲノムDNAに組込まれる組換えDNA、または他の配列と独立して個別の分子として存在する組換えDNA(例えば、cDNA)が含まれる。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾形態であり得る。この用語には、一本鎖および二本鎖形態のDNAが含まれる。
ポリペプチド:長さや翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)と無関係の任意のアミノ酸鎖。1つの実施形態では、ポリペプチドはCSPG4ポリペプチドである。
プローブおよびプライマー:プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子に付着した単離核酸を含む。プライマーは、短い核酸、好ましくは、15ヌクレオチド長以上のDNAオリゴヌクレオチドである。プライマーを核酸ハイブリッド形成によって相補標的DNA鎖にアニーリングしてプライマーと標的DNA鎖との間にハイブリッドを形成し、次いで、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に沿って伸長することができる。プライマー対を、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または当該分野で公知の他の核酸増幅法による核酸配列の増幅のために使用することができる。当業者は、特定のプローブまたはプライマーの特異性がその長さと共に増加することを認識するであろう。したがって、例えば、20個の連続するヌクレオチドを含むプライマーは、たった15個のヌクレオチドの対応するプライマーよりも高い特異性で標的にアニーリングするであろう。したがって、より高い特異性を得るために、20、25、30、35、40、50、またはそれを超える連続ヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーを選択することができる。
プロゲステロン受容体(PR):プロゲステロンに特異的に結合するステロイド受容体であるNR3C3(核内受容体サブファミリー3、群C、メンバー3)としても公知の受容体。プロゲステロン受容体は、トリプルネガティブ基底乳癌細胞上に発現されない。
プロモーター:プロモーターは、核酸の転写を指示する一連の核酸調節配列である。プロモーターは、転写開始部位付近の必要な核酸配列(ポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATAエレメントなど)を含む。プロモーターはまた、任意選択的に、転写開始部位から数千塩基対程度の位置に存在し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントを含む。構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et al.,Methods in Enzymology 153:516−544,1987を参照のこと)。
プロモーターの非限定的な具体例には、哺乳動物細胞ゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、レトロウイルス長末端反復;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が含まれ、これらを使用することができる。組換えDNAまたは合成技術によって産生されたプロモーターも使用することができる。ポリヌクレオチドを、宿主の挿入された遺伝子配列の効率的な転写を容易にするプロモーター配列を含む発現ベクターに挿入することができる。発現ベクターは、典型的には、複製起点、プロモーター、および形質転換された細胞の表現型選択が可能な特異的核酸配列を含む。
精製された:用語「精製された」は、絶対的な純度は必要なく、むしろ、相対的用語を意図する。したがって、例えば、精製された核酸は、核酸が天然の環境下での細胞内の核酸より富化された核酸である。同様に、精製されたペプチド調製物は、ペプチドまたはタンパク質が天然の環境下での細胞内のペプチドまたはタンパク質より富化されたものである。実質的精製は、他のタンパク質または細胞成分からの精製を示す。1つの実施形態では、タンパク質またはペプチドが調製物の総ペプチドまたはタンパク質含有量の少なくとも50%(70%、80%、90%、95%、98%、または99%などであるが、これらに限定されない)に相当するように調製物を精製する(または単離する)。本明細書中に開示のCSPG4ポリペプチドを、当該分野で公知の任意の手段によって精製する(および/または合成する)ことができる(例えば、Guide to Protein Purification,ed.Deutscher,Meth.Enzymol.185,Academic Press,San Diego,1990;およびScopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer Verlag,New York,1982を参照のこと)。
組換え:組換え核酸は、天然に存在しない配列を有するか、2つの別の分離された配列セグメントの人為的組み合わせによって作製される配列を有する核酸である。この人為的組み合わせを、しばしば、化学合成、より一般的には、単離された核酸セグメントの人為的操作(例えば、遺伝子操作技術)によって行う。
選択的にハイブリッド形成する:無関係のヌクレオチド配列を排除する中ストリンジェント条件または高ストリンジェント条件下でのハイブリッド形成。
核酸ハイブリッド形成反応では、特定のストリンジェンシーレベルを達成するために使用される条件は、ハイブリッド形成される核酸の性質に応じて変化するであろう。例えば、核酸のハイブリッド形成領域の長さ、相補度、ヌクレオチド配列の組成(例えば、GC対AT含量)、および核酸型(例えば、RNA対DNA)を、ハイブリッド形成条件の選択で考慮することができる。例えば、フィルター上に核酸の1つを固定するかどうかをさらに考慮する。
連続的により高くなるストリンジェンシー条件の非限定的な具体例は以下である:ほぼ室温で2×SSC/0.1%SDS(ハイブリッド形成条件);ほぼ室温で0.2×SSC/0.1%SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃で0.2×SSC/0.1%SDS(中ストリンジェンシー条件);および約68℃で0.1×SSC(高ストリンジェンシー条件)。当業者は、これらの条件のバリエーションを容易に決定することができる(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,ed.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)。これらの条件のうちの1つのみ(例えば、高ストリンジェンシー条件)を使用して洗浄することができるか、各条件を、例えば、上記順序で10〜15分間、列挙した工程のいずれかまたは全てを繰り返して使用することができる。しかし、上記のように、最適な条件は、関連する特定のハイブリッド形成反応に応じて変化し、この条件を経験的に決定することができる。
配列同一性:アミノ酸配列間の類似性を、配列間の類似性に関して示し、そうでなければ、配列同一性と呼ばれる。配列同一性は、頻繁に、同一率(または類似性または相同性)に関して測定される。この比率が高いほど2つの配列は類似する。CSPG4ポリペプチドのホモログまたはバリアントは、標準的な方法を使用してアラインメントした場合に比較的高い配列同一性を有するであろう。
比較のための配列のアラインメント方法は当該分野で周知である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが以下に記載されている:Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482,1981;Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443,1970;Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,1988;Higgins and Sharp,Gene 73:237,1988;Higgins and Sharp,CABIOS 5:151,1989;Corpet et al.,Nucleic Acids Research 16:10881,1988;およびPearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,1988。Altschul et al.,Nature Genet.6:119,1994は、配列アラインメント法および相同性の計算について詳細に検討している。
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403,1990)は、いくつかの供給源(National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda,MD)が含まれる)およびインターネットから利用可能であり、これは、配列分析プログラムであるblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxと併せて用いる。このプログラムを使用した配列同一性の決定方法の説明は、インターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。
CSPG4ポリペプチドのホモログおよびバリアントは、典型的には、 NCBI Blast 2.0(デフォルトパラメーターに設定したギャップありのblastp)を使用してCSPG4のアミノ酸配列との全長アラインメントにわたって計数した少なくとも75%(例えば、少なくとも80%)の配列同一性を有することによって特徴づけられる。約30個を超えるアミノ酸のアミノ酸配列の比較のために、デフォルトパラメーター(ギャップ存在コスト(gap existence cost)11および1残基あたりのギャップコスト1)に設定したデフォルトBLOSUM62行列を使用したBlast2配列関数を使用する。短いペプチド(およそ30アミノ酸未満)をアラインメントする場合、デフォルトパラメーター(オープンギャップ9、伸長ギャップ1ペナルティ)に設定したPAM30行列を使用したBlast2配列関数を使用してアラインメントを行うべきである。基準配列とさらにより高い類似性を有するタンパク質は、この方法で評価した場合に同一率が増加するであろう(少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%配列同一性など)。全配列未満を配列同一性について比較する場合、ホモログおよびバリアントは、典型的には、10〜20アミノ酸の短いウィンドウにわたって少なくとも80%配列同一性を有するであろう。そして、基準配列に対するその類似性に応じて少なくとも85%または少なくとも90%または95%の配列同一性を有し得る。かかる短いウィンドウにわたる配列同一性の決定方法は、インターネット上のNCBIウェブサイトで利用可能である。当業者は、これらの配列同一性の範囲がガイダンスのみのために提供され、示した範囲外に非常に有意なホモログを得ることが完全に可能であると認識するであろう。
特異的結合剤:実質的に規定の標的のみに結合する薬剤。したがって、CSPG4特異的結合剤は、CSPG4ポリペプチドに実質的に結合する薬剤である。1つの実施形態では、特異的結合剤は、CSPG4に特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。
被験体:生きている多細胞脊椎動物(ヒトおよび動物被験体(ヒトおよび非ヒト哺乳動物が含まれる)の両方が含まれるカテゴリー)。
T細胞:免疫応答に極めて重要な白血球。T細胞には、CD4+T細胞およびCD8+T細胞が含まれるが、これらに限定されない。CD4+Tリンパ球は、その表面上に「表面抗原分類4」(CD4)として公知のマーカーを保有する免疫細胞である。しばしば「ヘルパー」T細胞と呼ばれるこれらの細胞は、免疫応答(抗体応答およびキラーT細胞応答が含まれる)の編成を補助する。CD8+T細胞は、「表面抗原分類8」(CD8)マーカーを保有する。1つの実施形態では、CD8T細胞は細胞傷害性Tリンパ球である。別の実施形態では、CD8細胞はサプレッサーT細胞である。
治療活性ポリペプチド:臨床反応(例えば、免疫細胞集団の増加、CSPG4に特異的に結合する抗体の産生、または全身腫瘍組織量の測定可能な軽減)によって測定した場合に免疫応答を誘導するCSPG4ポリペプチドなどの薬剤。治療活性分子を、核酸から作製することもできる。核酸ベースの治療活性分子の例は、CSPG4ポリペプチドをコードする核酸配列であり、ここで、核酸配列は、プロモーターなどの調節エレメントに作動可能に連結している。治療活性剤には、有機化合物または他の化合物も含まれ得る。治療活性剤にはアジュバントも含まれ得る。
用語「CSPG4の治療有効フラグメント」または「CSPG4の治療有効バリアント」には、CSPG4の機能を保持しているか、CSPG4の抗原エピトープを保持しているCSPG4の任意のフラグメントまたはCSPG4のバリアントが含まれる。
1つの実施形態では、CSPG4フラグメントの治療有効量は、被験体において免疫応答をもたらすか、乳癌、具体的にはBBCを処置するために使用される量である。非限定的な具体例は、CSPG4のN末端側またはCSPG4のC末端側である。処置は、乳癌または前立腺癌の徴候または症状を改善するか全身腫瘍組織量を減少させる治療介入をいう。
形質導入された:形質導入された細胞は、分子生物学技術によって核酸分子を導入した細胞である。本明細書中で使用する場合、用語「形質導入」は、核酸分子をかかる細胞に導入することができる全ての技術(ウイルスベクターを使用したトランスフェクション、プラスミドベクターを使用した形質転換、ならびにエレクトロポレーション、リポフェクション、および遺伝子銃による裸のDNAの導入が含まれる)を含む。
ベクター:宿主細胞に導入され、それにより形質転換された宿主細胞が産生される核酸分子。ベクターは、宿主細胞中で複製される核酸配列(複製起点など)を含むことができる。ベクターは、1つまたは複数の選択マーカー遺伝子および当該分野で公知の他の遺伝子エレメントも含むことができる。
他で説明されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示に属する当業者によって一般的に理解されている意味を有する。文脈が明らかに異なる場合を除いて、単数形の用語「a」、「an」、および「the」には複数形が含まれる。同様に、文脈が明らかに異なる場合を除いて、用語「or」には「and」が含まれることを意図する。核酸またはポリペプチドについて与えられた全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子質量の値は近似値であり、且つ説明のために提供されているとさらに理解すべきである。本明細書中に記載の方法および材料に類似するか等価な方法および材料を本開示の実施または試験で使用することができるにもかかわらず、適切な方法および材料を以下に記載する。用語「comprises」は「includes」を意味する。本明細書中に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他のリファレンスは、その全体が参考として援用される。矛盾する場合、本明細書(用語の説明が含まれる)に従うであろう。さらに、材料、方法、および実施例は例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。
CSPG4に結合するモノクローナル抗体
CSPG4に特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体が含まれる)を産生した。一例を挙げれば、CSPG4は以下のアミノ酸配列を有する。
GENBANK(登録商標)受入番号AAI28111(本明細書中で参考として援用される)も参照のこと。
CSPG4は、内皮基底膜上の初期の黒色腫細胞の拡大事象中の細胞−基層相互作用の安定化で役割を果たすヒト黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカンである。CSPG4は、ヒト悪性黒色腫細胞によって発現される内在性膜コンドロイチン硫酸プロテオグリカンを意味する。
CSPG4はHMW−MAAとしても示される。in vivoでは、これは、2つの非共有結合したグリコポリペプチドからなる分子中に存在する。一方の見かけ上の分子量は280Kであり、他方の見かけ上の分子量は440Kを超える。HMW−MAAは、ヒト黒色腫細胞によって合成され、発現される(Spiro,R.C.et al.F.Biol.Chem.264:1779(1989);Esko,J.D.,et al.,Science 241:1092,1988)。プロテオグリカンは、そのコア中のセリン残基に共有結合したグリコサミノグリカン(GAG)ポリサッカリド鎖を有する糖タンパク質である。CSPG4コアタンパク質は、最初に、高マンノース型のアスパラギンN結合オリゴサッカリドを有する分子量240Kの前駆体として翻訳される。
別の例では、CSPG4は以下に示した核酸配列によってコードされる。
GENBANK(登録商標)受入番号BC128110(本明細書中に参考として援用される)も参照のこと。当業者は標準的分子生物学方法を使用してポリペプチド(CSPG4など)を産生するために核酸配列を容易に使用することができる(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,ed.Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。
本明細書中に開示の方法を使用して、TNBC(乳房中のTNBCおよび他の器官に転移したTNBCが含まれる)を検出し、処置することができる。CDPG4の発現を検出するための核酸技術(RT−PCTなどのPCRベースの分析など)を使用する方法をデザインすることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示の方法は、CSPG4に特異的に結合して免疫複合体を形成する抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体など)を使用する。有用な抗体の例は、PCT公開番号WO 89/11296号(本明細書中で参考として援用される)に開示されている。HMW−MAAのアミノ酸配列がCSPG4と同一であるので、これらの抗体には、高分子量黒色腫関連抗原(HMW−MAA)に結合する抗体が含まれる。
有用な抗体の例には、マウスモノクローナル抗体225.28;763.74;VF1−TP41.2;VT80.112;653.25;763.74;TP61.5およびT8−203が含まれる(PCT公開番号89/11296号;Drake et al.,Cancer Immunol.Immunother.DOI 10:1007,s00262−008−0567−5,2008;Goto et al.,Clin.Cancer Res.14:3401−3407,2008(全てが本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)〔目的の他の文献を列挙のこと〕。モノクローナル抗体225.28および763.74は、以前に他者によってAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されていた。CSPG4に特異的に結合するいくつかのハイブリドーマ分泌抗体は、他者によってブダペスト条約に従って以前に寄託されていた)。1つの具体例では、抗体はモノクローナル抗体(mAb)225.28であるか、mAb225.28によって結合したエピトープに特異的に結合するキメラ抗体、ヒト化抗体、または完全なヒト抗体である。さらなる実施形態では、抗体は、mAb225.28によって結合したエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)225.28の機能的フラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全なヒト抗体である。別の具体例では、抗体はmAb763.74であるか、mAb763.74よって結合したエピトープに特異的に結合するキメラ抗体、ヒト化抗体、または完全なヒト抗体である。同様に、抗体は、mAb763.74によって結合したエピトープに特異的に結合するmAb763.74の機能的フラグメント、またはキメラ抗体、ヒト化抗体、または完全なヒト抗体の機能的フラグメントであり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、CSPG4に特異的に結合する任意の完全なヒト抗体である。
キメラ抗体、ヒト化抗体、および完全なヒト抗体、ならびに抗体フラグメント(これらの抗体またはフラグメントはCSPG4に特異的に結合する)は、本明細書中に開示の方法で有用である。異なるエピトープに結合する一連の異なる抗体および/またはこれらの抗体の機能的フラグメントを、本明細書中に開示の任意の方法で使用することもできる。したがって、開示の方法は、CSPG4に特異的に結合する1、2、3、4、5、または6個の抗体またはその機能的フラグメントの使用を含むことができる。
マウス免疫グロブリンの重鎖および軽鎖可変ドメイン由来のドナー抗体(本明細書中に開示の抗体由来)相補性決定領域をヒト可変ドメインに移入し、次いで、ドナー対応物のフレームワーク領域中のヒト残基と置換することによってヒト化モノクローナル抗体を産生する。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分の使用により、ドナー抗体の定常領域の免疫原性に関連する潜在的な問題が排除される。ヒト化モノクローナル抗体の産生技術は、例えば、Jones et al.,Nature 321:522,1986;Riechmann et al.,Nature 332:323,1988;Verhoeyen et al.,Science 239:1534,1988;Carter et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.89:4285,1992;Sandhu,Crit.Rev.Biotech.12:437,1992;およびSinger et al.,J.Immunol.150:2844,1993によって記載されている。
1つの実施形態では、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワーク配列は、ドナー免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワーク配列と少なくとも約65%同一であり得る。したがって、ヒト化免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワーク配列は、ドナー免疫グロブリン重鎖可変領域フレームワーク配列と少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約99%、または少なくとも約95%同一であり得る。ヒトフレームワーク領域およびヒト化抗体フレームワーク領域中に作製することができる変異は当該分野で公知である(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
抗体には、インタクトな分子ならびに重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、且つエピトープ決定基に特異的に結合することができるそのフラグメント(Fab、F(ab’)2、およびFvなど)が含まれる。これらの抗体フラグメントは、その抗原または受容体に特異的に結合するいくつかの能力を保持し、フラグメントを以下のように定義する。
(1)Fab(抗体分子の1価の抗原結合フラグメントを含み、酵素パパインを使用した全抗体の消化によってインタクトな軽鎖および1つの重鎖の一部を産生することができるフラグメント);
(2)Fab’、(全抗体をペプシンで処置し、その後に還元してインタクトな軽鎖および重鎖の一部を生成することによって抗体分子のフラグメントを得ることができる。抗体1分子あたり2個のFab’フラグメントが得られる);
(3)(Fab’)2(全抗体を酵素ペプシンで処置し、その後に還元しないことによって得ることができる抗体のフラグメント。F(ab’)2は2つのジスルフィド結合によって共に保持された2個のFab’フラグメントの二量体である);
(4)Fv(2つの鎖として発現された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝子操作されたフラグメント);および
(5)単鎖抗体(scFvなど)(遺伝子融合された単鎖分子として適切なポリペプチドリンカーによって連結された軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された分子として定義される)。CSPG4に特異的に結合する例示的なscFVはscFv−FcC21であり、scFvフラグメントを、本明細書中に開示の任意の方法で使用することができる。
これらのフラグメントの作製方法は当該分野で公知である(例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988を参照のこと)。エピトープは、抗体のパラトープに結合する抗原上の任意の抗原決定基である。エピトープ決定基は、通常、分子の化学的に活性な表面基(アミノ酸または糖の側鎖など)からなり、通常、特異的な三次元構造の特徴および特異的な電荷の特徴を有する。
一例を挙げれば、免疫毒素中に含まれる可変領域は、個別のポリペプチドとして発現された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含むFvである。Fv抗体は、典型的には約25kDaであり、各重鎖および各軽鎖あたり3個のCDRを有する完全な抗原結合部位を含む。VHおよびVLを、2つの個別の核酸構築物から発現することができる。VHおよびVLが隣接せずに発現される場合、Fv抗体の鎖は、典型的には、非共有結合性相互作用によって相互に保持される。しかし、これらの鎖は希釈の際に解離する傾向があるので、グルタルアルデヒド、分子間ジスルフィド、またはペプチドリンカーによって鎖を架橋する方法が開発されている。したがって、一例を挙げれば、Fvは、重鎖可変領域および軽鎖可変領域がジスルフィド結合によって化学的に連結されるジスルフィド安定化Fv(dsFv)であり得る。
当業者は、抗体の保存的バリアントを産生することができると理解しているであろう。dsFvフラグメントまたはscFvフラグメント中で使用されるかかる保存的バリアントは、正確な折り畳みおよびVH領域とVL領域との間の安定化に必要な重大なアミノ酸残基を保持し、分子の低pIおよび低毒性を維持するための残基の荷電特性を保持するであろう。アミノ酸置換(せいぜい1個、せいぜい2個、せいぜい3個、せいぜい4個、またはせいぜい5個のアミノ酸置換など)をVH領域とVL領域との間に作製して収率を増加させることができる。
抗体フラグメントを、抗体のタンパク質分解性加水分解またはフラグメントをコードするDNAの大腸菌中での発現によって調製することができる。抗体フラグメントを、従来の方法による全抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例えば、ペプシンでの抗体の酵素的切断によってF(ab’)2と示される5Sフラグメントを得ることによって抗体フラグメントを産生することができる。このフラグメントを、さらに、チオール還元剤および任意選択的にジスルフィド結合の切断に起因するスルフヒドリル基の遮断基を使用して切断して3.5S Fab’1価フラグメントを産生することができる。あるいは、ペプシンを使用した酵素的切断により、2個の1価のFab’フラグメントおよびFcフラグメントが直接産生される(米国特許第4,036,945号および米国特許第4,331,647号、およびこれらに含まれる引例;Nisonhoff et al.,Arch.Biochem.Biophys.89:230,1960;Porter,Biochem.J.73:119,1959;Edelman et al.,Methods in Enzymology,Vol.1,page 422,Academic Press,1967を参照のこと)。
フラグメントがインタクトな抗体によって認識される抗原に結合する限り、他の抗体切断方法(1価の軽−重鎖フラグメントを形成するための重鎖の分離、フラグメントのさらなる切断、または他の酵素的技術、化学的技術、もしくは遺伝子技術など)を使用することもできる。
例えば、Fvフラグメントは、VH鎖およびVL鎖の会合を含む。この会合は、非共有結合性であり得る(Inbar et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.69:2659,1972)。あるいは、可変鎖を、分子間ジスルフィド結合によって連結することができるか、化学物質(グルタルアルデヒドなど)によって架橋することができる。例えば、Sandhu,前出を参照のこと。したがって、dsFvを産生することができる。さらなる例では、Fvフラグメントはペプチドリンカーによって連結されたVH鎖およびVL鎖を含む。これらの単鎖抗原結合タンパク質(sFv)を、オリゴヌクレオチドによって連結されたVHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子の構築によって調製する。構造遺伝子を発現ベクターに挿入し、次いで、宿主細胞(大腸菌など)に導入する。組換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを使用して単一のポリペプチド鎖を合成する。sFvの産生方法は当該分野で公知である(Whitlow et al.,Methods:a Companion to Methods in Enzymology,Vol.2,page 97,1991;Bird et al.,Science 242:423,1988;米国特許第4,946,778号;Pack et al.,Bio/Technology 11:1271,1993;およびSandhu,前出を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、開示の方法は、免疫抱合体を使用する。免疫抱合体には、診断薬または治療薬の抗体との共有結合が存在する分子が含まれるが、これらに限定されない。治療薬は、特定の標的分子または標的分子を保有する細胞に対して特定の生物学的活性を有する薬剤である。治療薬には、種々の薬物(ビンブラスチンおよびダウノマイシンなど)およびエフェクター分子(未変性または修飾シュードモナス外毒素またはジフテリア毒素などの細胞毒素など)、カプセル化剤(例えば、リポソーム)(これら自体が薬理学的組成物、標的部分、およびリガンドを含む)を含む。
特定の治療薬の選択は、特定の標的分子または細胞および望ましい生物学的影響に依存する。したがって、例えば、治療薬は、特定の標的細胞を死滅させるために使用される細胞毒素であるエフェクター分子であり得る。逆に、単に非致死性の生物学的応答を引き起こすことを所望する場合、治療薬を、非致死性薬理学的作用因子または非致死性薬理学的作用因子含有リポソームに抱合することができる。
毒素を、CSPG4ポリペプチドの任意の細胞外部分に結合する抗体およびフラグメント(svFvまたはdsFvなど)と共に使用して、免疫毒素として有用なキメラ分子を生成することができる。毒素の例には、シュードモナス外毒素(PE)、リシン、アブリン、ジフテリア毒素およびそのサブユニット、リボトキシン、リボヌクレアーゼ、サポリン、およびカリチアマイシン、ならびにボツリヌス毒素A〜Fが含まれる。これらの毒素は当該分野で周知であり、多数を商業的供給元(例えば、Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)から容易に利用可能である。
ジフテリア毒素は、Corynebacterium diphtheriaeから単離される。典型的には、免疫毒素で用いるジフテリア毒素を、非特異的毒性を軽減または排除するように変異させる。完全な酵素活性を有するが、非特異的毒性が非常に軽減したCRM107として公知の変異体が1970年代から公知であり(Laird and Groman,J.Virol.19:220,1976)、ヒト臨床試験で使用されている。米国特許第5,792,458号および米国特許第5,208,021号を参照のこと。本明細書中で使用する場合、用語「ジフテリア毒素」は、必要に応じて、未変性ジフテリア毒素または酵素活性を保持するが、非特異的毒性を軽減するように修飾されているジフテリア毒素をいう。
リシンは、Ricinus communis(トウゴマ)由来のレクチンRCA60である。用語「リシン」はまた、その有毒バリアントをいう。例えば、米国特許第5,079,163号および米国特許第4,689,401号を参照のこと。Ricinus communis凝集素(RCA)は、それぞれおよそ65kDおよび120kDの分子量に従ってRCA60およびRCA120と示される2つの形態で生じる(Nicholson & Blaustein,J.Biochim.Biophys.Acta 266:543,1972)。A鎖は、タンパク質合成の不活化および細胞の死滅を担う。B鎖は、リシンを細胞表面ガラクトース残基に結合させてA鎖のサイトゾルへの輸送を容易にする(Olsnes et al.,Nature 249:627−631,1974および米国特許第3,060,165号)。
リボヌクレアーゼはまた、免疫毒素として用いるためにターゲティング分子に抱合されている(Suzuki et al.,Nat Biotech 17:265−270,1999を参照のこと)。例示的リボトキシン(α−サルシンおよびレストリクトシンなど)は、例えば、Rathore et al.,Gene 190:31−35,1997;およびGoyal and Batra,Biochem 345 Pt 2:247−254,2000で考察されている。カリチアマイシンは、Micromonospora echinosporaから最初に単離され、アポトーシスを引き起こすDNA中に二本鎖破壊を引き起こすエンジイン抗腫瘍抗生物質ファミリーのメンバーである(例えば、Lee et al.,J.Antibiot 42:1070−1087.1989を参照のこと)。薬物は、臨床試験における免疫毒素の有毒部分である(例えば、Gillespie et al.,Ann Oncol 11:735−741,2000を参照のこと)。
アブリンには、Abrus precatorius由来の有毒レクチンが含まれる。毒性成分アブリンa、b、c、およびdは、分子量が約63〜67kDであり、2つのジスルフィド連結ポリペプチド鎖AおよびBから構成される。A鎖はタンパク質合成を阻害し、B鎖(アブリン−b)はD−ガラクトース残基に結合する(Funatsu et al.,Agr.Biol.Chem.52:1095,1988;およびOlsnes,Methods Enzymol.50:330−335,1978を参照のこと)。
1つの実施形態では、毒素はシュードモナス外毒素(PE)である。未変性シュードモナス外毒素 A(「PE」)は、Pseudomonas aeruginosaから分泌され、且つ真核細胞におけるタンパク質合成を阻害する非常に活性な単量体タンパク質(分子量66kD)である。未変性PE配列および修飾PEの配列は、米国特許第5,602,095号(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。1つの実施形態では、未変性PEは、下記の配列を有する。
PEの作用方法は、伸長因子2(EF−2)のADPリボシル化の不活化である。外毒素は、共同で作用して細胞傷害性を引き起こす3つの構造ドメインを含む。ドメインIa(アミノ酸1〜252)は細胞結合を媒介する。ドメインII(アミノ酸253〜364)はサイトゾルへの転位置を担い、ドメインIII(アミノ酸400〜613)は伸長因子2のADPリボシル化を媒介する。ドメインIb(アミノ酸365〜399)の機能は依然として定義されていないが、細胞傷害性を喪失することなくその大部分であるアミノ酸365〜380を欠失することができる。Siegall et al.,J.Biol.Chem.264:14256−14261,1989を参照のこと。
本明細書中で使用する場合、用語「シュードモナス外毒素」(「PE」)は、必要に応じて、全長の未変性(天然に存在する)PEまたは修飾されたPEをいう。かかる修飾には、ドメインIaの排除、ドメインIb、II、およびIII中の種々のアミノ酸の欠失、単一のアミノ酸置換、ならびにカルボキシル末端の1つまたは複数の配列の付加(KDEL(配列番号4)およびREDL(配列番号5)など)が含まれ得るが、これらに限定されない(Siegall et al.、前出を参照のこと)。いくつかの例では、PEの細胞傷害性フラグメントは、未変性PEの細胞傷害性の少なくとも50%(約75%、約90%、または約95%など)を保持する。1つの実施形態では、細胞傷害性フラグメントは、未変性PEより毒性が高い。
したがって、本明細書中に開示の免疫毒素中で使用されるPEには、未変性配列、未変性配列の細胞傷害性フラグメント、および未変性PEの保存的に修飾されたバリアント、ならびにその細胞傷害性フラグメントが含まれる。PEの細胞傷害性フラグメントには、標的細胞中のその後のタンパク質分解性プロセシングまたは他のプロセシング(例えば、タンパク質またはプレタンパク質として)を用いるか用いないで細胞傷害性を示すフラグメントが含まれる。当該分野で公知のPEの細胞傷害性フラグメントには、PE40、PE38、およびPE35が含まれる。
いくつかの実施形態では、PEは、典型的には米国特許第4,892,827号に教示のドメインIaの欠失によって非特異的細胞結合を軽減または排除するように修飾されているが、例えば、ドメインIaの一定の残基の変異によってこれを行うこともできる。米国特許第5,512,658号は、例えば、ドメインIaが存在するが、57位、246位、247位、および249位のドメインIaの塩基性残基を酸性残基(グルタミン酸、すなわち「E」)に置換した変異PEが非特異的細胞傷害性を非常に減少させることを開示している。PEのこの変異形態を、時折、PE4Eという。
PE40は、PEの短縮誘導体である(Pai et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.88:3358−3362,1991;およびKondo et al.,J.Biol.Chem.263:9470−9475,1988を参照のこと)。PE35はアミノ酸残基1〜279が欠失されたPEの35kDカルボキシル末端フラグメントであり、この分子は、280位のmetから始まり、未変性PEのアミノ酸281〜364および381〜613が続く。PE35およびPE40は、例えば、米国特許第5,602,095号および米国特許第4,892,827号に開示されている。
いくつかの実施形態では、細胞傷害性フラグメントPE38を使用する。PE38は、細胞内でプロセシングの際にその細胞傷害性形態に活性化される配列番号3のアミノ酸253〜364および381〜613から構成される短縮PEプロタンパク質である(例えば、米国特許第5,608,039号およびPastan et al.,Biochim.Biophys.Acta 1333:C1−C6,1997を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、PEがPE4E、PE40、またはPE38である一方で、ターゲティング細胞中の転位置およびEF−2リボシル化が依然として可能である限り、非特異的細胞傷害性が排除されているか、非ターゲティング細胞に対する有意な毒性が起こらないレベルまで軽減された任意のPE形態を本明細書中に開示の免疫毒素で使用することができる。
PEの保存的に修飾されたバリアントまたはその細胞傷害性フラグメントは、アミノ酸レベルで目的のPE(PE38など)と少なくとも約80%の配列同一性(少なくとも約85%配列類似性、少なくとも約90%配列同一性、または少なくとも約95%配列類似性など)を有する。
本明細書中に提供した抗体および免疫毒素を使用して、当業者は、機能的に等価な核酸(配列が異なるが同一のエフェクター分子(「EM」)または抗体配列をコードする核酸など)を含む種々のクローンを容易に構築することができる。したがって、抗体、抱合体、および融合タンパク質をコードする核酸を本明細書中に提供する。
免疫毒素をコードする核酸配列を、任意の適切な方法(例えば、適切な配列のクローニングまたはNarang,et al.,Meth.Enzymol.68:90−99,1979のホスホトリエステル法;Brown et al.,Meth.Enzymol.68:109−151,1979のホスホジエステル法;Beaucage et al.,Tetra.Lett.22:1859−1862,1981のジエチルホスホルアミダイト法;例えば、Needham−VanDevanter et al.Nucl.Acids Res.12:6159−6168,1984に記載の自動化合成機を使用したBeaucage & Caruthers,Tetra.Letts.22(20):1859−1862,1981に記載の固相ホスホルアミダイトトリエステル法;および米国特許第4,458,066号の固体支持体法などの方法による直接化学合成が含まれる)によって調製することができる。化学合成により、一本鎖オリゴヌクレオチドが産生される。相補配列とのハイブリッド形成またはテンプレートとして一本鎖を使用するDNAポリメラーゼを使用した重合によってこれを二本鎖DNAに変換することができる。当業者は、DNAの化学合成が約100塩基の配列に制限される一方で、より短い配列のライゲーションによってより長い配列を得ることができると認識するであろう。
1つの実施形態では、免疫毒素をコードする核酸配列をクローニング技術によって調製する。適切なクローニング技術および配列決定技術の例ならびに多数のクローニング演習によって当業者に指示するのに十分な説明は、Sambrook et al.,前出,Berger and Kimmel(eds.),前出およびAusubel,前出中に見出される。製造者からの生物学的試薬および実験装置の製品情報からも有用な情報が得られる。かかる製造者には、SIGMA Chemical Company(Saint Louis,MO)、R&D Systems(Minneapolis,MN)、Pharmacia Amersham(Piscataway,NJ)、CLONTECH Laboratories,Inc.(Palo Alto,CA)、Chem Genes Corp.、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)、Glen Research,Inc.、GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Gaithersburg,MD)、Fluka Chemica−Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG,Buchs,Switzerland)、Invitrogen(San Diego,CA)、およびApplied Biosystems(Foster City,CA)、および当業者に公知の多数の他の商業的供給元が含まれる。
核酸を、増幅方法によって調製することもできる。増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写ベースの増幅系(TAS)、自立した配列複製系(3SR)が含まれる。広範な種々のクローニング方法、宿主細胞、およびin vitro増幅方法は、当業者に周知である。
一例を挙げれば、EMをコードするcDNAを含むベクターへの可変領域をコードするcDNAの挿入によって有用な免疫毒素を調製する。1つの連続するポリペプチドが産生されるように可変領域およびEMがインフレームで読み取られるように挿入する。ポリペプチドは、機能的Fv領域および機能的EM領域を含む。1つの実施形態では、細胞毒素がscFvのカルボキシル末端に存在するように細胞毒素をコードするcDNAをscFvにライゲーションする。一例を挙げれば、毒素がscFvのアミノ末端に存在するように非特異的結合を排除または軽減されるように変異されたシュードモナス外毒素(「PE」)をコードするcDNAをscFvにライゲーションする。別の例では、PE38をscFvのアミノ末端(scFv−FcC21など [チェックのこと])に配置する。さらなる例では、毒素が重鎖可変領域のカルボキシル末端に存在するように、細胞毒素をコードするcDNAを目的の抗原に結合する抗体の重鎖可変領域にライゲーションする。次いで、重鎖可変領域を、ジスルフィド結合を使用して抗体の軽鎖可変領域にライゲーションすることができる。さらに別の例では、細胞毒素が軽鎖可変領域のカルボキシル末端に存在するように、細胞毒素をコードするcDNAを抗原(例えば、CSPG4)に結合する抗体の軽鎖可変領域にライゲーションする。次いで、軽鎖可変領域を、ジスルフィド結合を使用して抗体の重鎖可変領域にライゲーションすることができる。
一旦免疫毒素をコードする核酸が単離およびクローニングされると、組換え操作された細胞(細菌細胞、植物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞など)中にタンパク質を発現することができる。1つまたは複数の免疫毒素をコードするDNA配列を、好適な宿主細胞へのDNA導入によってin vitroで発現することができる。細胞は原核細胞または真核細胞であり得る。本用語には、本件の宿主細胞の任意の子孫も含まれる。複製中に起こる変異が存在し得るので、全ての子孫が親細胞と同一ではないかもしれないと理解される。安定な導入方法(外来DNAが宿主中に継続的に維持されることを意味する)は当該分野で公知である。
免疫毒素をコードするポリヌクレオチド配列を、発現調節配列に作動可能に連結することができる。発現調節配列に適合する条件下でコード配列が発現されるようにコード配列に作動可能に連結された発現調節配列をライゲーションする。発現調節配列には、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンのスプライシングシグナル、mRNAの適切な翻訳のための遺伝子の正確な読み取り枠の維持、および終止コドンが含まれるが、これらに限定されない。
免疫毒素をコードするポリヌクレオチド配列を、発現ベクター(配列の挿入または組込みが可能なように操作することができるプラスミド、ウイルス、または他のビヒクルが含まれるが、これらに限定されない)に挿入し、原核生物または真核生物のいずれかで発現させることができる。宿主には、微生物、酵母、昆虫、および哺乳動物が含まれ得る。原核生物中に真核生物配列またはウイルス配列を有するDNA配列を発現させる方法は当該分野で周知である。宿主中で発現および複製することができる生物学的に機能的なウイルスおよびプラスミドDNAベクターは、当該分野で公知である。
組換えDNAでの宿主細胞の形質転換を、当業者に周知の従来の技術によって行うことができる。宿主が原核生物(大腸菌など)である場合、DNAを取り込むことができるコンピテント細胞を、指数増殖期後に回収した細胞から調製し、次いで当該分野で周知の手順を使用したCaCl2法によって処置することができる。あるいは、MgCl2またはRbClを使用することができる。必要に応じて宿主細胞のプロトプラストの形成後またはエレクトロポレーションによって形質転換を行うこともできる。
宿主が真核生物である場合、リン酸カルシウム共沈、従来の機械的手順(微量注入、エレクトロポレーション、リポソーム中にカプセル化されたプラスミドまたはウイルスベクターの挿入など)などのDNAのトランスフェクション方法を使用することができる。真核細胞を、免疫毒素をコードするポリヌクレオチド配列および選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子(単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子など)で同時形質転換することもできる。別の方法は、真核細胞に一過性に感染させるか真核生物を形質転換し、タンパク質を発現するための真核生物ウイルスベクター(サルウイルス40(SV40)またはウシ乳頭腫ウイルスなど)の使用である(例えば、Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory,Gluzman ed.,1982を参照のこと)。当業者は、細胞(高等真核細胞(COS,CHO,HeLa、および骨髄腫細胞株など)が含まれる)中でのタンパク質産生で用いる発現系(プラスミドおよびベクターなど)を容易に使用することができる。
組換え的に発現したポリペプチドの単離および精製を、従来の手段(分取クロマトグラフィおよび免疫学的分離が含まれる)によって行うことができる。一旦発現すると、組換え免疫毒素を、当該分野の標準的手順(硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティカラム、およびカラムクロマトグラフィなどが含まれる)に従って精製することができる(一般に、R.Scopes,Protein Purification,Springer−Verlag,N.Y.,1982を参照のこと)。少なくとも約90〜95%相同な実質的に純粋な組成物を本明細書中に開示し、98〜99%またはそれを超える相同性を薬学的目的のために使用することができる。一旦必要に応じて部分的または均一まで精製されると、治療で使用される場合、ポリペプチドは内毒素を実質的に含むべきではない。
大腸菌などの細菌由来の単鎖抗体の発現および/または適切な活性形態(単鎖抗体が含まれる)への再折り畳み方法が記載されており、当該分野で周知であり、本明細書中に開示の抗体に適用可能である。Buchner et al.,Anal.Biochem.205:263−270,1992;Pluckthun,Biotechnology 9:545,1991;Huse et al.,Science 246:1275,1989、およびWard et al.,Nature 341:544,1989(全てが本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
しばしば、大腸菌または他の細菌由来の機能的な異種タンパク質を封入体から単離し、この単離には、強い変性剤を使用した可溶化およびその後の再折り畳みが必要である。可溶化工程中に、当該分野で周知のように、ジスルフィド結合を分離するために還元剤が存在しなければならない。還元剤を含む緩衝液の例は以下である:0.1M Tris(pH8)、6Mグアニジン、2mM EDTA、0.3M DTE(ジチオエリスリトール)。Saxena et al.,Biochemistry 9:5015−5021,1970(本明細書中で参考として援用される)に記載され、Buchner et al.,前出に具体的に記載のように、還元形態および酸化形態の低分子量チオール試薬の存在下でジスルフィド結合の再酸化が起こり得る。
典型的には、変性および還元タンパク質の再折り畳み緩衝液での希釈(例えば、100倍)によって復元される。例示的な緩衝液は、0.1M Tris(pH8.0)、0.5M L−アルギニン、8mM酸化グルタチオン(GSSG)、および2mM EDTAである。
2つの鎖抗体精製プロトコールの修正形態として、重鎖領域および軽鎖領域を個別に可溶化および還元し、次いで、再折り畳み溶液中で合わせた。一方のタンパク質が他方の5倍モル過剰を超えないようなモル比でこれら2つのタンパク質を混合した場合に例示的な収量が得られる。レドックスシャフリングが完了した後に過剰な酸化グルタチオンまたは他の酸化低分子量化合物を再折り畳み溶液に添加することが望ましい。
組換え法に加えて、本明細書中に開示の免疫抱合体、EM、および抗体を、標準的ペプチド合成を使用して、全体または部分的に構築することもできる。約50アミノ酸長未満のポリペプチドの固相合成を、配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に付着させ、その後に配列中の残存アミノ酸を連続的に添加することによって行うことができる。固相合成技術は、Barany & Merrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology. Vol.2:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A. pp.3−284;Merrifield et al.,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156,1963,およびStewart et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.,Pierce Chem.Co.,Rockford,IL,1984に記載されている。より長いタンパク質を、より短いフラグメントのアミノ末端とカルボキシル末端との縮合によって合成することができる。カルボキシル末端の活性化(例えば、カップリング試薬N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicycylohexylcarbodiimide)の使用による)によるペプチド結合の形成方法は当該分野で周知である。
抗体を使用した薬学的組成物および治療方法
上記で開示するように、CSPG4に特異的に結合する抗体を含む組成物を、基底乳癌腫(BBC)の処置のために使用することができる。一例を挙げれば、エストロゲン、プロゲステロン、またはHer2を発現しないトリプルネガティブ基底乳癌(TNBC)の処置方法を本明細書中に開示する。したがって、BBC(TNBCなど)の処置で用いる治療有効量のCSPG4に特異的に結合する抗体を含む組成物を本明細書中に提供する。一例を挙げれば、BBC(TNBCなど)は転移性を示す。さらなる実施形態では、結腸癌、卵巣癌、乳癌、前立腺、肺癌、または膵臓癌の処置方法を提供する。
1つの実施形態では、本方法は、BBC(TNBCなど)と診断された被験体を選択する工程、被験体に治療有効量のCSPG4に特異的に結合する抗体を投与する工程を含む。一例を挙げれば、本方法は、転移性BBC(転移性TNBCなど)を有する被験体を選択する工程を含む。
さらなる実施形態では、癌細胞の成長および/または転移を阻害する方法を提供する。癌細胞は、結腸癌細胞、卵巣癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、肺癌細胞、または膵臓癌細胞であり得る。癌細胞はBBC細胞であり得る。癌細胞はTNBC細胞であり得る。細胞はin vivoまたはin vitroにあり得る。
抗体は、任意のCSPG4に特異的に結合する抗体(本明細書中に記載の抗体など)であり得る。したがって、抗体がCSPG4に特異的に結合するという条件で、抗体は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体、または抗体の機能的フラグメントであり得るが、これらに限定されない。これらの薬剤の組み合わせを、開示の方法で使用することもできる。
いくつかの非限定的な例では、抗体は、mAbである225.28、763.74、TP41.2、またはTP61.5、そのヒト化形態、またはCSPG4に特異的に結合するその機能的フラグメントである。別の非限定的な例では、抗体はscFv−Fc C21である。これらの抗体を、単独または任意の組み合わせで使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体を毒素に結合する。
本明細書中に開示の抗体を含む組成物を、被験体に投与するための単位投薬形態で調製することができる。所望の目的を達成するための投与量および投与のタイミングは、担当医の裁量による。一例を挙げれば、非経口投与(静脈内投与など)のための抗体または免疫毒素を処方する。他の例では、全身または局所(腫瘍内など)投与のための抗体または免疫毒素を処方する。これらの組成物は、乳癌(BBC(例えば、TNBC)など)を有する被験体の処置で有用である。したがって、本明細書中に開示の方法は、BBC(TNBCなど)を有する被験体を選択する工程を含む。本方法は、BBCを有する被験体を同定し、そして/または以下に開示のようにCSPG4に特異的に結合する抗体を使用してTNBCを有する被験体を同定する工程、次いで、被験体を処置する工程を含むこともできる。いくつかの例では、BBCは転移性BBC(転移性TNBCなど)である。いくつかの例では、本方法は、被験体におけるBBC(TNBCなど)の処置方法である。
治療的投与のための組成物は、一般に、乳癌(BBC(例えば、TNBC)など)を有する被験体への投与のための薬学的に許容可能なキャリア(水性キャリアなど)中に溶解した抗体(免疫毒素など)の溶液を含むであろう。種々の水性キャリア(例えば緩衝化生理食塩水など)を使用することができる。これらの溶液は、無菌且つ一般に望ましくない物質を含まない。これらの組成物を、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要な薬学的に許容可能な補助剤(pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤など(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および乳酸ナトリウムなど)を含むことができる。これらの処方物中の融合タンパク質の濃度は広範に変動し得、選択された特定の投与様式および患者の要求に従って、主に、流動物の体積、粘度、および体重などに基づいて選択されるであろう。
抗原(CSPG4)を発現する細胞(BBC細胞(例えば、TNBC細胞)など)の成長を遅延させるか阻害するなどのために抗体を投与することができる。これらの適用では、治療有効量のCSPG4に結合する抗体(例えば、免疫毒素)を、抗原発現細胞(BBC(TNBC)細胞など)の成長を阻害するのに十分な量で被験体に投与する。適切な被験体には、CSPG4を発現する乳癌を有する被験体(BBC(例えば、TNBC)を有する被験体など)が含まれる。適切な被験体には、BBCと考えられる転移性癌および/またはTNBCと考えられる転移性癌を有する被験体も含まれる。
静脈内投与用の典型的な抗体医薬品(免疫毒素組成物など)は、約0.1〜10mg/患者/日を含む。特に循環系やリンパ系ではなく隔離された部位(体腔または器官の内腔など)に薬剤を投与する場合、0.1mg〜約100mg/患者/日の投薬量を使用することができる。投与可能な組成物の実際の調製方法は、当業者に公知であるか明らかであり、Remington’s Pharmaceutical Science,19th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA(1995)などの刊行物により詳細に記載されている。
抗体を公知の濃度の無菌溶液でも提供するが、抗体を凍結乾燥形態で提供し、投与前に滅菌水で再水和することができる。次いで、抗体溶液を、0.9%塩化ナトリウム(USP)を含む輸液バッグに添加し、典型的には、0.5〜15mg/kg体重の投薬量で投与する。豊富な経験を抗体医薬の投与分野で利用可能であり、抗体医薬は1997年のリツキサン(登録商標)の承認以来、米国で販売されている。抗体医薬を、IVプッシュまたはボーラスよりもむしろ遅延注入によって投与することができる。一例を挙げれば、より高い負荷用量で投与し、次いで、より低いレベルの維持用量を投与する。例えば、初期負荷用量4mg/kgを約90分間にわたって注入し、前の用量が十分に許容された場合、その後に2mg/kgの維持用量を30分間にわたって毎週4〜8週間注入することができる。
必要な投薬量および頻度および被験体に許容されるかどうかに応じて、組成物を単回または複数回投与する。任意の事象では、組成物により、乳癌(例えば、BBC)患者を有効に処置するために十分な量の本明細書中に開示の抗体の少なくとも1つが提供されるはずである。投薬量を1回で投与することができるが、治療結果が得られるか、副作用によって治療が中断されるまで定期的に適用することができる。一例を挙げれば、ある用量の抗体を隔日に30分間注入する。この例では、約1回〜約10回投与することができる(例えば、隔日に3回または6回投与することができる)。さらなる例では、約5日〜約10日間連続注入する。被験体を、所望の治療結果が達成されるまで、規則的な間隔で(月1回など)処置することができる。一般に、用量は、患者に対して許容不可能な毒性を生じることなく疾患の症状または徴候を処置または改善するのに十分である。
この用途のための有効量は、疾患の重症度および患者の全体的な健康状態に依存するであろう。抗体の治療有効量は、症状の主観的緩和または臨床医または他の適任の観察者によって注目される客観的に同定可能な改善のいずれかが得られる量である。これらの組成物を、別の化学療法薬と併せて同時または連続的に投与することができる。
抗体を含む組成物の制御放出非経口処方物を、埋没物、油性注射液、または特定の系として作製することができる。タンパク質送達系の概説については、Banga,A.J.,Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation,Processing,and Delivery Systems,Technomic Publishing Company,Inc.,Lancaster,PA,(1995)(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。特定の系には、ミクロスフィア、微粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、ナノスフェア、およびナノ粒子が含まれる。マイクロカプセルは、中心コアとして治療タンパク質(細胞毒素または薬物など)を含む。ミクロスフィアでは、治療薬は、粒子全体にわたって分散されている。約1μm未満の粒子、ミクロスフィア、およびマイクロカプセルを、一般に、それぞれナノ粒子、ナノスフェア、およびナノカプセルという。毛細管は、ナノ粒子のみが静脈内投与されるように直径がおよそ5μmである。微粒子は、典型的には、直径がおよそ100μmであり、皮下または筋肉内に投与される。例えば、Kreuter,J.,Colloidal Drug Delivery Systems,J.Kreuter,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,pp.219−342,1994;およびTice & Tabibi,Treatise on Controlled Drug Delivery,A.Kydonieus,ed.,Marcel Dekker,Inc.New York,NY,pp.315−339,1992(共に本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
本明細書中に開示の抗体または免疫抱合体組成物のイオン制御放出のためのポリマーを使用することができる。制御薬物送達で用いる種々の分解性および非分解性のポリマーマトリックスは当該分野で公知である(Langer,Accounts Chem.Res.26:537−542,1993)。例えば、ブロックコポリマーであるポロキサマー407は、低温で粘着性を示すが流動性のある液体として存在するが、体温で半固体ゲルを形成する。これは、組換えインターロイキン−2およびウレアーゼの処方および徐放性送達に有効なビヒクルであることが示されている(Johnston et al.,Pharm.Res.9:425−434,1992;およびPec et al.,J.Parent.Sci.Tech.44(2):58−65,1990)。あるいは、ヒドロキシアパタイトは、タンパク質の制御放出のためのマイクロキャリアとして使用されている(Ijntema et al.,Int.J.Pharm.112:215−224,1994)。さらに別の態様では、リポソームを、脂質カプセル化薬物の制御放出および薬物ターゲティングのために使用する(Betageri et al.,Liposome Drug Delivery Systems,Technomic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,PA,1993)。治療タンパク質の制御放出のための多数のさらなる系が公知である。例えば、米国特許第5,055,303号;米国特許第5,188,837号;米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号;米国特許第4,837,028号;米国特許第4,957,735号;米国特許第5,019,369号;米国特許第5,055,303号;米国特許第5,514,670号;米国特許第5,413,797号;米国特許第5,268,164号;米国特許第5,004,697号;米国特許第4,902,505号;米国特許第5,506,206号;米国特許第5,271,961号;米国特許第5,254,342号、および米国特許第5,534,496号(それぞれ、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
抗体の有効量は、疾患の重症度および患者の全体的な健康状態に依存するであろう。抗体の治療有効量は、症状の主観的緩和または臨床医または他の適任の観察者によって注目される客観的に同定可能な改善のいずれかが得られる量である。
いくつかの実施形態では、CSPG4に特異的に結合する抗体を、他の薬剤(化学療法薬など)と共に同時または連続的に投与する。多数の化学療法薬は、現在、当該分野で公知である。したがって、本方法は、治療有効量のCSPG4に特異的に結合する抗体および治療有効量の化学療法薬を投与する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、分裂阻止因子、アルキル化剤、代謝拮抗物質、介入抗生物質、成長因子インヒビター、細胞周期インヒビター、酵素、トポイソメラーゼインヒビター、抗生存因子、生物学的応答調節物質、抗ホルモン(例えば、抗アンドロゲン)、および抗血管形成薬からなる群から選択される。
アルキル化剤の例には、ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、ウラシルマスタード、またはクロラムブシルなど)、スルホン酸アルキル(ブスルファンなど)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、またはダカルバジンなど)が含まれる。代謝拮抗物質の例には、葉酸アナログ(メトトレキサートなど)、ピリミジンアナログ(5−FUまたはシタラビンなど)、およびプリンアナログ(メルカプトプリンまたはチオグアニンなど)が含まれる。天然物の例には、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、またはビンデシンなど)、エピポドフィロトキシン(エトポシドまたはテニポシドなど)、抗生物質(ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、またはマトマイシンC(mitocycin C)など)、および酵素(L−アスパラギナーゼなど)が含まれる。種々の薬剤の例には、白金配位錯体(シスプラチンとしても公知のシス−ジアミン−ジクロロ白金IIなど)、置換尿素(ヒドロキシ尿素など)、メチルヒドラジン誘導体(プロカルバジンなど)、および副腎皮質抑制剤(ミトタンおよびアミノグルテチミドなど)が含まれる。ホルモンおよびアンタゴニストの例には、副腎皮質ステロイド(プレドニゾンなど)、プロゲスチン(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール(magestrol acetate)など)、エストロゲン(ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオールなど)、抗エストロゲン(タモキシフェンなど)、およびアンドロゲン(プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロンなど)が含まれる。開示の免疫療法と同時投与することができる最も一般的に使用される化学療法薬の例には、アドリアマイシン、アルケラン、Ara−C、BiCNU、ブスルファン、CCNU、カルボプラチン(Carboplatinum)、シスプラチン(Cisplatinum)、サイトキサン、ダウノルビシン、DTIC、5−FU、フルダラビン、ハイドレア、イダルビシン、イフォスファミド、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ナイトロジェンマスタード、タキソール(または他のタキサン(ドセタキセルなど))、ベルバン、ビンクリスチン、VP−16が含まれるが、いくつかのより新しい薬物には、ゲムシタビン(ジェムザール)、ハーセプチン、イリノテカン(コンプトサル、CPT−11)、ロイスタチン、ナベルビン、リツキサンSTI−571、タキソテール、トポテカン(ハイカムチン)、ゼローダ(カペシタビン)、ゼヴァリン、およびカルシトリオールが含まれる。使用することができる免疫調節薬の非限定的な例には、AS−101(Wyeth−Ayerst Labs.)、ブロピリミン(Upjohn)、γインターフェロン(Genentech)、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;Genetics Institute)、IL−2(CetusまたはHoffman−LaRoche)、ヒト免疫グロブリン(Cutter Biological)、IMREG(New Orleans,La.のイムレグ)、SK&F 106528、およびTNF(腫瘍壊死因子;Genentech)が含まれる。
いくつかの非限定的な具体例では、治療有効量のアブラキサン(登録商標)(注射用懸濁液のためのパクリタキセルタンパク質結合粒子)、アドリアマイシン(登録商標)(ドキソルビシン)、アレディア(登録商標)(一般名パミドロン酸二ナトリウム)、アリミデックス(登録商標)(アナストロゾール)、アロマシン(登録商標)(エキセメスタン)、サイトキサン(登録商標)(シクロホスファミド)、エレンス(登録商標)(エピルビシン)、エビスタ(登録商標)(ラロキシフェン)、フェアストン(登録商標)(トレミフェン)、フェマラ(登録商標)(レトロゾール)、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)、メガス(登録商標)(メゲストロール)、タモキシフェン、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)、ゼローダ(登録商標)(カペシタビン)、ゾラデックス(登録商標)(酢酸ゴセレリン)、および/またはゾメタ(登録商標)(一般名ゾレドロン酸)を投与する。
基底乳癌腫の診断
CSPG4はヒト乳癌で差次的に発現されることを本明細書中に開示する。具体的には、CSPG4は、しばしば化学療法抵抗性および放射線抵抗性を示すBBC(具体的にはTNBC)中に発現する。CSPG4は、癌幹細胞(CSC)中に発現する。したがって、CSPG4ポリペプチドの発現を使用してBBC(TNBC)を診断することができるか、これを使用して乳癌を病期分類することができるか、これを使用して乳癌(BBC(例えば、TNBC)など)を有する被験体の予後を決定することができる。したがって、BBC(TNBCなど)の診断のためのCSPG4に特異的に結合する抗体の使用を本明細書中に開示する。いくつかの実施形態では、本方法は、被験体が別の乳癌形態と比較してBBC(TNBCなど)を有するかどうかを決定する。診断方法を使用して、転移(脳転移など)がBBC(TNBCなど)であるかどうかを決定することができる。
生物サンプル中のポリペプチド発現の分析による細胞または組織中のCSPG4ポリペプチド発現の検出方法を本明細書中に提供する。サンプルは、任意のサンプル(生検、剖検、および病理学的検体由来の組織が含まれるが、これらに限定されない)であり得る。生物サンプルには、組織切片(組織学的目的のために採取された凍結切片など)も含まれる。生物サンプルには、体液(血液、血清、または尿など)がさらに含まれる。一例を挙げれば、生物サンプルは乳房組織サンプルである。別の実施形態では、生物サンプルは、脳生検などにおいて転移性乳癌の存在が決定されるような別の器官(乳房でない)由来の組織サンプルである。生物サンプルを、典型的には、哺乳動物(ラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモット、ウサギ、または霊長類(ヒトなど)など)から得る。
さらなる実施形態では、被験体は癌(乳癌など)を有するか、癌を有する疑いがある。一例を挙げれば、乳癌はBBC(TNBCなど)である。
生物サンプル中のCSPG4を検出する方法も本明細書中に提供する。本方法は、サンプルを1つまたは複数のCSPG4に特異的に結合する抗体に接触させて抗体−CSPG4複合体を形成する工程を含む。複合体の有無を検出する。本方法は、BBC(例えば、TNBC)などの組織診断(診断の確認または腫瘍起源の決定など)の信頼度の改善に有用である。したがって、本明細書中に開示の方法を使用して、BBC(TNBCなど)の診断を確認することができる。
本方法は、診断を必要とする被験体(乳癌を有するか乳癌を有する疑いのある被験体(マンモグラフィを使用して同定された被験体など)など)を選択する工程およびこの被験体からサンプルを得る工程を含むことができる。いくつかの例では、本方法は、乳癌を有する被験体を選択する工程および本明細書中に開示の方法を使用して乳癌がBBC(TNBCなど)であるかどうかを決定する工程を含む。
CSPG4に特異的に結合する抗体を、本明細書中に開示の方法で使用する。抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ヒト化抗体およびキメラ抗体、ならびに完全なヒト抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体フラグメント(ここで、抗体フラグメントはCSPG4に特異的に結合する)をこれらの方法で使用する。一例を挙げれば、抗体フラグメントはFvフラグメントである。さらなる実施形態では、抗体を標識する(蛍光標識、放射性標識、または酵素標識などで)。さらなる例では、抗体を、化合物(酵素、磁性ビーズ、コロイド状磁性ビーズ、ハプテン、蛍光色素、金属化合物、または放射性化合物が含まれるが、これらに限定されない)に抱合することができる。抗体の標識方法は当該分野で周知である。
タンパク質の有無の決定方法は当該分野で周知である。有用なアッセイには、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、または免疫組織化学アッセイが含まれるが、これらに限定されない。生物サンプル中のCSPG4の検出方法は、一般に、免疫学的反応条件下でCSPG4と特異的に反応する抗体と生物サンプルを接触させる工程を含む。抗体を免疫学的反応条件下で特異的に結合させて免疫複合体を形成させ、免疫複合体(結合抗体)の存在を直接または間接的に検出する。コントロール細胞(非形質転換細胞または同一組織型の切片など)をコントロールとして含めることができる。
1つの実施形態では、サンプル中のポリペプチドの検出方法を提供する。ポリペプチドの検出キットは、典型的には、CSPG4に特異的に結合する抗体を含むであろう。抗体は、CSPG4に特異的に結合するモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体フラグメント(Fvフラグメントなど)がキットに含まれる。in vivoでの使用のために、抗体はscFvフラグメントまたはヒト抗体であり得る。さらなる実施形態では、抗体を直接標識する(例えば、蛍光標識、放射性標識、または酵素標識)。
1つの実施形態では、キットは、CSPG4に特異的に結合する抗体(例えば、BBC(TNBCなど)(CSPG4を発現する細胞)の検出用)の使用手段を開示した説明書を含む。説明書は、書面、電子的形態(例えば、フロッピー(登録商標)ディスクまたはコンパクトディスク)であり得るか、視覚性媒体(例えば、ビデオファイル)であり得る。キットはまた、キットがデザインされる特定の適用を容易にするためのさらなる成分を含むことができる。したがって、例えば、キットは、標識(例えば、酵素標識のための酵素基質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、または適切な二次標識(二次抗体など)など)の検出手段をさらに含むことができる。キットは、特定の方法の実施のために日常的に使用される緩衝液および他の試薬をさらに含むことができる。かかるキットおよび適切な成分は、当業者に周知である。
1つの実施形態では、診断キットは、免疫アッセイ(BBC(TNBCなど)を検出または病期分類するための免疫アッセイなど)を含む。免疫アッセイの詳細は使用した特定の形式に応じて変化し得るにもかかわらず、生物サンプル中のCSPG4の検出方法は、一般に、免疫学的反応条件下でCSPG4ポリペプチドと特異的に反応する抗体と生物サンプルを接触させる工程を含む。抗体を免疫学的反応条件下で特異的に結合させて免疫複合体を形成させ、免疫複合体(結合抗体)の存在を直接または間接的に検出する。
本方法はまた、サンプル中の核酸(ここで、核酸はCSPG4をコードする)を検出する工程を含む。適切な方法は当該分野で周知である。例えば、被験体由来のサンプルを試験して、CSPG4をコードする核酸が存在するかどうかを決定することができる。1つの実施形態では、増幅手順を使用して、CSPG4をコードする核酸を検出する(逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)など)。別の実施形態では、ブロッティング手順(例えば、ノーザンブロットまたはドットブロット)を使用して、CSPG4をコードする核酸の存在を検出する。したがって、CSPG4をコードする核酸と特異的にハイブリッド形成するプローブまたはプライマーを使用して、BBC(TNBCなど)の存在を検出する。
別の一連の実施形態では、生物サンプル中のCSPG4をコードする核酸を検出するためのキットを提供することができる。例えば、被験体由来のサンプルを試験して、CSPG4ポリペプチドをコードする核酸(CSPG4ポリペプチドをコードするmRNAなど)が存在するかどうかを決定することができる。1つの実施形態では、増幅手順を使用して、CSPG4をコードする核酸を検出する。別の実施形態では、ブロッティング手順(例えば、ノーザンブロットまたはドットブロット)を使用して、核酸の存在を検出する。さらなる実施形態では、目的の核酸を増幅し、これらの核酸を配列決定してCSPG4ポリペプチドが発現されるかどうかを決定する。したがって、キットは、ストリンジェントな条件下または高ストリンジェント条件下でCSPG4をコードする核酸と特異的にハイブリッド形成するプローブまたはプライマーを含むことができる。
1つの実施形態では、キットは、CSPG4をコードする核酸を増幅するプライマーを提供する。便宜上、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する。しかし、多数の他の技術が当該分野で公知であり、使用が意図される。例えば、Marshallの米国特許第5,686,272号は、リガーゼ連鎖反応(すなわち「LCR」)を使用したRNA配列の増幅を開示している(Landegren et al.,Science 241:1077,1988);Wu et al.,Genomics 4:569,1989;Barany,in PCR Methods and Applications 1:5,1991);およびBarany,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:189,1991)。あるいは、RNAをDNAに逆転写し、次いで、LCR、PCR、または他の方法によって増幅することができる。例示的なRNAの逆転写プロトコールは、米国特許第5,705,365号に教示されている。適切なプライマーおよびPCRプロトコールの選択は、例えば、Innis et al.,eds.,PCR Protocols,1990(Academic Press,San Diego,CA)に教示されている。得られた核酸を配列決定することができるか、特異的CSPG4プローブを使用し、且つ当該分野で周知のハイブリッド形成技術およびブロッティング技術を使用して同定することができる。
1つの実施形態では、キットは、プライマーまたはプローブの使用手段を開示した説明書を含む。キットはまた、キットがデザインされる特定の適用を容易にするためのさらなる成分を含むことができる。キットは、特定の方法の実施のために日常的に使用される緩衝液および他の試薬をさらに含むことができる。かかるキットおよび適切な成分は、当業者に周知である。
基底乳癌腫に対する免疫応答を誘導するためのCSPG4の使用
1つの実施形態では、CSPG4ポリペプチドに対して免疫応答を生成する方法を提供する。本方法は、例えば、被験体における癌の成長の軽減または癌の徴候または症状の軽減などによる癌の処置に有用である。癌は、乳癌(BBC(例えば、TNBC)など)であり得る。本方法は、治療有効量のポリペプチド(CSPG4ポリペプチドが含まれる)またはそのフラグメントを被験体に投与する工程を含む。本方法は、このポリペプチドをコードする核酸を被験体に投与する工程も含むことができる。
1つの実施形態では、本方法は、治療有効量のCSPG4ポリペプチドを含む薬理学的に許容可能なキャリアを投与する工程を含む。さらなる実施形態では、本方法は、単離されたCSPG4の免疫原性エピトープを被験体に投与する工程を含む。免疫原性エピトープにより、B細胞応答および/またはT細胞応答を誘導することができる。基底乳癌処置のためのこれらのポリペプチドおよびエピトープをコードする核酸の使用も想定する。かかるエピトープの使用により、抗体を産生することができ、そして/またはT細胞応答(T細胞の活性化またはサイトカインの産生など)を得ることができる。
MHCクラスI分子によるペプチドの提示は、ペプチドのアンカー残基によるMHCクラスI分子中の間隙への結合に関連し、最終的に細胞表面上に提示される。特定のアンカー残基に応じて、特に、一定のペプチドは、他の分子よりも特定のHLA分子に強固に結合することができる。十分に結合するペプチドが、通常、「ドミナント」エピトープである一方で、あまり結合しないペプチドは、しばしば、「サブドミナント」または「潜在性」エピトープである。自己タンパク質または外来タンパク質のいずれかのドミナントエピトープは、強い寛容または免疫応答を誘導する。サブドミナントまたは潜在性のエピトープは、弱い応答を生じるか応答を全く生じない。理論に拘束されないが、ドミナントエピトープによるHLA分子へのより強い結合により、細胞表面上の提示がより密になり、免疫細胞との反応機会が多くなり、免疫応答または免疫寛容を誘発する可能性がより高くなる。MHCクラスI分子は、CTL細胞への提示のために内因性タンパク質由来のエピトープを提示する。HLA A分子、HLA B分子、およびHLA C分子は、特定の係留残基(anchoring residue)を有する約8〜10アミノ酸長のペプチドに結合する。HLAクラスI分子によって認識される係留残基は、HLA分子の特定の対立遺伝子形態に依存する。CD8+T細胞は、細胞上の特定のHLA分子によって提示された場合に特異的エピトープを認識するT細胞受容体を保有する。CTL前駆体が抗原提示細胞によって刺激されて細胞傷害性Tリンパ球となり、これがかかるHLA−ペプチド複合体を保有する細胞と接触する場合、CTLは細胞と抱合体を形成し、細胞を破壊する。一例を挙げれば、本明細書中に開示のポリペプチドが結合し、HLA−A2.1によって提示される。CSPG4のアミノ酸配列を使用して、当業者はコンピュータプログラムを使用してT細胞を刺激するエピトープを同定することができる。かかるプログラムはインターネット上で公的に利用可能である(例えば、Imtechウェブサイトで利用可能なProPed−I)。CSPG4ポリペプチドまたはその免疫原性エピトープを含む融合タンパク質も使用することができる。例えば、CSPG4ポリペプチドを、免疫グロブリンポリペプチド、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ポリ−ヒスチジン、またはβ−ガラクトシダーゼに融合することができる。
被験体は、目的の任意の被験体であり得る。1つの実施形態では、被験体は、乳癌、具体的にはBBC(TNBCなど)を有する。さらなる薬剤(化学療法薬またはアジュバントなどであるが、これらに限定されない)を含めることができる。本方法は、BBC(TNBCなど)を有する被験体を同定および/または選択する工程を含むことができる。1つの実施形態では、CSPG4ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくはエピトープを、安定化界面活性剤(detergent)、ミセル形成剤、およびオイルの2つ以上を含むアジュバントと混合する。適切な安定化界面活性剤、ミセル形成剤、およびオイルは、米国特許第5,585,103号;米国特許第5,709,860号;米国特許第5,270,202号;および米国特許第5,695,770号(その全てが本明細書中で参考として援用される)に詳述されている。安定化界面活性剤は、乳化成分を安定な乳濁液として保持させる任意の界面活性剤である。かかる界面活性剤には、ポリソルベート、80(ツウィーン(商標))(ソルビタン−モノ−9−オクタデカノアート−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル;ICI Americas,Wilmington,DE製)、ツウィーン40(商標)、ツウィーン20(商標)、ツウィーン60(商標)、ツビッターゲント(商標)3−12、ティーポールHB7(商標)、およびSPAN85(商標)が含まれる。これらの界面活性剤を、通常、およそ0.05〜0.5%(約0.2%など)の量で提供する。ミセル形成剤は、ミセル様構造が形成されるように他の成分を使用して形成された乳濁液を安定化させることができる薬剤である。かかる薬剤は、一般に、マクロファージを動員して細胞応答を増強するために注射部位をいくらか刺激する。かかる薬剤の例には、BASF Wyandotte publications(例えば、Schmolka,J.Am.Oil.Chem.Soc.54:110,1977;およびHunter,et al.J.Immunol 129:1244,1981など)に記載の高分子表面活性剤(surfactant)(プルロニック(商標)L62LF、L101、およびL64、PEG1000、ならびにテトロニック(商標)1501、150R1、701、901、1301、および130R1)が含まれる。かかる薬剤の化学構造は当該分野で周知である。1つの実施形態では、Hunter and Bennett,J.Immun.133:3167,1984によって定義された0と2との間の親水性−親油性バランス(HLB)を有する薬剤を選択する。薬剤を、有効量(例えば、0.5%と10%との間(1.25%と5%との間の量など))で提供することができる。
組成物中に含まれるオイルを、水中油型乳濁液中の抗原の保持を促進するために(すなわち、所望の抗原のためのビヒクルを得るために)選択し、このオイルは、室温(約20℃〜25℃)または一旦乳濁液の温度が室温に低下すると乳濁液を形成するように、65℃未満の融解温度を有し得る。かかるオイルの例には、スクアレン、スクアラン、エイコサン(商標)、テトラテトラコンタン、グリセロール、およびピーナッツ油または他の植物油が含まれる。1つの非限定的な具体例では、1%と10%との間(2.5%と5%との間など)の量のオイルを提供する。オイルは、このオイルを体内で長期間にわたって分解することができ、且つ、オイル使用の際に副作用(肉芽腫など)が明白でないような生分解性および生体適合性の両方を示すべきである。
アジュバントを組成物中に含めることができる。1つの実施形態では、アジュバントは、安定化界面活性剤、ミセル形成剤、および商標名プロバックス(登録商標)で販売されているオイル(IDEC Pharmaceuticals,San Diego,CA)の混合物である。応答を刺激するためにペプチドまたはタンパク質を利用可能である時間を延長するために、ペプチドまたはタンパク質を、埋没物、油性注射液、または特定の系として提供することができる。特定の系は、微粒子、マイクロカプセル、ミクロスフィア、ナノカプセル、または類似の粒子であり得る(例えば、Banga、前出を参照のこと)。合成高分子に基づいた特定のキャリアは、制御放出が得られるのに加えて、免疫応答を増強するためのアジュバントとして作用することが示されている。アルミニウム塩をアジュバントとして使用して、体液性免疫応答をもたらすこともできる。したがって、1つの実施形態では、ポリペプチドを、体液性応答を誘導する様式で投与する。
CSPG4ポリペプチド、そのフラグメント、もしくは免疫原性エピトープ、またはこれらのポリペプチドをコードする核酸を、当業者に公知の任意の手段(Banga,A.,“Parenteral Controlled Delivery of Therapeutic Peptides and Proteins,” in Therapeutic Peptides and Proteins,Technomic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,PA,1995を参照のこと)(筋肉内注射、皮下注射、腫瘍内注射、または静脈内注射など)によって投与することができるが、経口投与、鼻腔投与、または肛門投与も意図される。1つの実施形態では、投与は皮下注射または筋肉内注射による投与である。
別の実施形態では、薬学的組成物は、ポリペプチドをコードする核酸またはその免疫原性フラグメントを含む。治療有効量のポリヌクレオチドを被験体に投与して免疫応答をもたらすことができる。1つの非限定的な具体例では、治療有効量のポリヌクレオチドを被験体に投与して癌(卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、または膵臓癌など)を処置する。
核酸投与に対する1つのアプローチは、プラスミドDNA(哺乳動物発現プラスミドなど)を使用した直接免疫化である。上記のように、ヌクレオチド配列はCSPG4をコードすることができる。1つの実施形態では、本方法は、治療有効量のCSPG4をコードする核酸を含む薬理学的に許容可能なキャリアを被験体に投与する工程を含む。ポリペプチドの組み合わせを投与することができるように、1つを超えるポリペプチドをコードする核酸配列を発現ベクター中に含めることができる。
核酸構築物による免疫化は当該分野で周知であり、例えば、米国特許第5,643,578号(細胞性応答または体液性応答を誘発するために所望の抗原をコードするDNAを導入することによる脊椎動物の免疫化方法を記載している)ならびに米国特許第5,593,972号および米国特許第5,817,637号(発現することができる調節配列への抗原をコードする核酸配列の作動可能な連結を記載している)で教示されている。米国特許第5,880,103号は、免疫原性ペプチドまたは他の抗原をコードする核酸の生物へのいくつかの送達方法を記載している。本方法は、核酸(または合成ペプチド自体)、および免疫刺激構築物(すなわち、イスコムス(商標)(コレステロールとクイルA(商標)(サポニン)との混合の際に自発的に形成される30〜40nmのサイズの負電荷のケージ様構造))のリポソーム送達を含む。抗原用送達ビヒクルとしてイスコムス(商標)を使用して、感染症(トキソプラズマ症およびエプスタイン・バーウイルス誘導性腫瘍が含まれる)の種々の実験モデルで防御免疫が得られている(Mowat and Donachie,Immunol.Today 12:383,1991)。イスコムス(商標)にカプセル化された1μgほどの低抗原用量でクラスI媒介性CTL応答が得られることが見出されている(Takahashi et al.,Nature 344:873,1990)。
免疫化のための核酸使用に対する別のアプローチでは、弱毒化したウイルス宿主もしくはウイルスベクターまたは細菌ベクターによってポリペプチドを発現することもできる。組換えワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、または他のウイルスベクターを使用して、ペプチドまたはタンパク質を発現し、それにより、CTL応答を誘発することができる。例えば、免疫プロトコールで有用なワクシニアベクターおよび方法は、米国特許第4,722,848号に記載されている。BCG(カルメット・ゲラン菌)からペプチド発現のための別のベクターが得られる(Stover,Nature 351:456−460,1991を参照のこと)。
1つの実施形態では、ポリペプチドをコードする核酸を、細胞に直接導入する。例えば、標準的な方法によって核酸を金ミクロスフィア上にローディングし、Bio−Rad’s Helios(商標)遺伝子銃などのデバイスによって皮膚に移入することができる。強力プロモーターの調節下でプラスミドからなる核酸は「裸」であり得る。DNAを他の部位(転移に近接した組織が含まれる)に直接注射することができるにもかかわらず、典型的には、DNAを筋肉内に注射する。注射のための投薬量は、通常、約0.5μg/kg〜約50mg/kgであり、典型的には約0.005mg/kg〜約5mg/kgである(例えば、米国特許第5,589,466号を参照のこと)。
本開示を、以下の制限されない実施例によって説明する。
トリプルネガティブ基底乳癌(TNBC)に利用可能な有効な標的治療は存在しない。乳癌患者由来の胸水およびTNBC細胞株においてCD44+、CD24−/lo細胞として同定したところ、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)がTNBC癌組織上に優先的に発現され、TNBC細胞および乳癌幹細胞(CSCという)上で過剰発現されることをここに証明する。CSPG4特異的モノクローナル抗体(mAb)は、単独で、実験TNBCマウスモデルにおいて成長を有意に阻害し、樹立された転移を後退させ、同所性TNBCマウスモデルにおいて術後の自発的肺転移および腫瘍再発を有意に阻害した。異種移植片腫瘍/転移を得るためにこれら2つの腫瘍モデル型で使用したヒトTNBC細胞株は、MDA−MB−435およびMDA−MB−231(共に99%の細胞で乳房CSC表現型(CD44+、CD24−/lo)を示す)であった。標的療法の機構研究により、CSPG4特異的モノクローナル抗体(mAb)が(ホスファチジルイノシチド(Phophatidylinositde)−3−キナーゼ)PI3K/PTEN/Aktおよびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼタンパク質(MAP)キナーゼ(MAPK)経路シグナル伝達の両方を阻害することができることが明らかとなった。さらに、CSPG4特異的mAbは、腫瘍血管形成を軽減することができた。これらの所見により、術後の腫瘍の再発および転移リスクの軽減ための抗体ベースの免疫療法の重要な治療標識としてのCSPG4が確立される。
実施例1 材料と方法
患者、胸水、および細胞調製物。乳癌患者由来の胸水を、承認された細胞および組織獲得プロトコール下で得た。簡潔に述べれば、PleurXカテーテルを用いて滲出液を排出させてこの液体をボトルに回収した。腫瘍細胞を、流動物のフィコールでの分離(典型的には、500ML−2L)によって単離してデブリおよび赤血球交雑物を除去し、低温保存した。典型的な細胞収量は2×108〜3×1011細胞/リットル流動物であった。
マウス。雌SCID/BALB/cマウス(C.B−Igh−1bIcrTac−Prkdcscid、6〜8週齢)をNCIから購入した。
細胞株。黒色腫細胞株および乳癌細胞株HS578T、MCF−7、MDA−MB−231、MDA−MB−435s、SK−BR−3、SUM149、およびT47Dを、Duke Comprehensive Cancer Center Cell Cultureから入手した。全ての細胞株およびヒト黒色腫細胞株M14およびM14/CSPG4トランスフェクタント(400μg/mlのさらなるG418)を、10%FCS、pen−strep−グルタミン(Invitrogen)を補足したRPMI1640培地中で維持した。
抗体。CSPG4の異なる決定基を認識するmAbである225.28、763.74、TP41.2、およびTP61.5(Campoli,et al.,Crit Rev Immunol 24,267−296,2004)、ホルマリン固定し、パラフィン包埋した組織切片中のCSPG4の決定基を認識するmAbD2.8.5−C4B8、抗イディオタイプmAbF3C25(Perosa,& Ferrone,Hum Immunol 23,255−269,1988)、ならびにMK2−23およびカルネキシン特異的mAbTO−5を記載のように作製した(Kusama et al.,J Immunol 143,3844−3852,1989);Ogino et al.,J Immunol Methods 278,33−44,2003)。IgG2aであるmAb225.28およびF3C25を除いた全てのmAbはIgG1であり、これらのmAbを、連続的硫酸アンモニウムおよびカプリル酸沈殿によって腹水から精製した(Temponi et al,Hybridoma 8,85−95,1989)。PE抗マウスIgG、FITC−CD24、APC−CD44、PerCP−CD45、7−AAD、および系統カクテル(CD2,3,10,16,18,31,45、64,140b)抱合抗体、非抱合抗マウスCD31(PECAM1)抗体をBD/Pharmingenから購入した。以下に特異的な抗体を購入した:PKCα(Sigma);リン酸化および非ホスホFAK(BD Bioscience);リン酸化およびpan Akt、ホスホ−PTEN(Ser380/Thr382/383)、ホスホ−Met(Tyr1234/1235)(D26)、ホスホ−Gab(Tyr 307)、ホスホ−Met(Tyr1003)、ホスホ−p44/42 MAPK(Erk1/2)、(Thr202/Tyr204)、およびホスホ(phopho)−ヒストンH3(Ser10)(Cell signaling technology)。
遺伝子発現分析。125サンプルからなり、且つホルモン状態にしたがって分類された公的に利用可能な臨床的な注釈つきの乳癌データセットについてのRMA遺伝子発現データを入手した(GEO受入番号:GSE5460)(ER−/Her2−、ER−/Her2+、ER+/Her2−、およびER+/Her2+)(Lu,X.,et al.,Breast Cancer Res Treat 108,191−201,2008)。各亜群についてのコンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)(204736_s_at、 214297_at)に対応する遺伝子発現レベルを得、Graph Pad Prismソフトウェア、バージョン4.03を使用したノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定によって群間の相違を分析した。0.05未満の両側p値を統計的に有意と見なした。
フローサイトメトリー分析。複数の滲出液由来の腫瘍細胞調製物を、十分に特徴づけられた表面細胞マーカー(CD44、CD24)に対する抗体で標識し、Al−Hajj et alに記載の通りに特にCD44+CD24−/low細胞を捜索するフローサイトメトリーによって種々の細胞集団の存在および比率を評価してCSCを同定した。簡潔に述べれば、細胞をCSPG4特異的mAbで30分間染色し、PBSで2回洗浄し、PE標識抗マウスIgG抗体と30分間インキュベートした。3回の洗浄後、細胞を、FITC−CD24、APC−CD44、およびPerCP−CD45(系統マーカーとしてのCD45)または標識されたCD2、3、10、16、18、31、45、64、140b抗体のカクテルおよび7AAD(死滅細胞の排除のため)で30分間染色した。2回の洗浄後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。PerCP−CD45(系統マーカーとしてのCD45)または標識したCD2、3、10、16、18、31、45、64、140b抗体のカクテルを使用することを除いた同一の染色手順を乳房腫瘍細胞株に適用する。
免疫組織化学
CSPG4:患者から得た腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片を脱パラフィンし、水和した。1mM EDTA(pH8.0)中で15分間ボイルすることによって抗原回復を行った。スライドを、3%水素ペルオキシダーゼおよび1%ウシ血清アルブミン/5%正常ウマ血清を含むトリス緩衝化生理食塩水によってツウィーン20(Sigma−Aldrich Inc.,St.Louis,MO)と共にブロッキングして、CSPG4特異的mAbであるD2.8.5−C4B8(3μg/ml)と加湿した密室中にて4℃で一晩インキュベートした。EnVision+System−HRP(DakoCytomation Inc)を使用してシグナルを増幅し、ジアミノベンジジン(DAB,DakoCytomation Inc.)によって発色させた。サンプルをヘマトキシリンを用いて対比染色し、脱水し、カナダバルサム(Sigma−Aldrich Inc.)中にマウントした。
CSPG4特異的mAbで染色した乳癌切片を、以前に記載のプロトコール(Kageshita,T.,et al.,Cancer Res 53,3349−3354,1993)の修正形態を使用して2人の研究者によって個別に悪性度分類した。
CD31:亜鉛(Zinc Fixative,BD Pharmingen)固定し、パラフィン包埋した外科的に除去した異種移植片の組織切片を、以前に記載のように(Ko et al.,Cancer Res 67,7875−7884,2007)、抗マウスCD31(PECAM1)抗体で染色した。
ホスホ−ヒストン 3:製造者のプロトコールにしたがって、肺切片のFFPEを抗p−ヒストン3抗体で染色した。
アポトーシス:製造者のプロトコールにしたがって、肺切片のFFPEを、APOP*PLUSペルオキシダーゼin situアポトーシスキット(商標)(S7101)(末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニック末端標識(TNUEL)アッセイ)(Millipore)を使用してアポトーシス細胞について染色した。
RT−PCR。RT−PCRを記載のように行った(Luo,et al.,Oncogene 25,2873−2884,2006)。
ウェスタンブロッティング。CSPG4についてのウェスタンブロットアッセイを記載のように行い(Wang,X.,et al.J Immunol Methods 299,139−151,2005)、他のシグナル伝達関連タンパク質については、以下の2つの細胞溶解物型に対して標準的な技術を使用して行った:1)培養細胞の溶解物(96ウェルプレート中の2×104細胞/ウェルを48時間血清飢餓状態にし、次いで、mAb225.28(0.1mg/ml)、アイソタイプ(0.1mg/ml)、またはPBSのいずれかでさらに48時間処置し、細胞を溶解緩衝液(10mM Tris−HC、1%NP40、1mM EDTA、0.1%BSA、150mM NaCl、1/50のプロテアーゼインヒビターカクテル(Calbiochem))中で溶解した)および2)瞬間冷凍した外科的に除去した異種移植片の溶解物(1/50のプロテアーゼインヒビターカクテル(Calbiochem)を含む氷冷RIPA緩衝液(Thermo Scientific)の添加前後に組織を均質化した)。60秒間のボルテックス後、サンプルを45分間氷冷した。不溶性物質を、13,000rpmにて4℃で30分間の遠心分離によって組織溶解物から除去した。タンパク質濃度をブラッドフォード試薬(Bio−Rad)によって測定した。
細胞の成長、接着、および遊走。細胞成長アッセイのために、細胞(5×104細胞/ウェル)を48時間血清飢餓状態にし、次いで、4倍希釈したマトリゲル(成長因子軽減マトリゲル−CB−40230,BD Biosciences)および0.25mg/mlのmAb225.28、コントロールmAbF3C25、またはPBSのいずれかを含む無血清RPMI1640培地(総体積200μl/ウェル)を含む96ウェルプレート中に播種し、37℃で5%CO2のインキュベーター中で6日間培養した。次いで、細胞を撮影し、細胞をトリプシン処理し、計数した。細胞接着アッセイのために、細胞(2×105細胞/ウェル)を播種し、0.05mg/mlのmAb225.28、コントロールmAbF3C25、またはPBSのいずれかと100μl/ウェルの12μg/mlフィブロネクチンを含むPBSでコーティングした96ウェルプレート中で40分間インキュベートした。非接着細胞をPBSで洗い流した。接着細胞を70%エタノールによって固定し、クリスタルバイオレットによって染色し、PBS中に再懸濁した。540nmでの吸光度を測定した。結果を、基準としてmAbを含まないPBSで得た接着値を使用した接着阻害率として示した。示した値は、3つの独立した実験の平均であった。遊走アッセイのために、細胞(5×104細胞/ウェル)を48時間血清飢餓状態にし、次いで、0.25mg/mlのmAb225.28、コントロールmAbF3C25、またはPBSを含む24トランスウェルプレート(24ウェルインサート、孔径8μm;BD Biosciences)中に播種した。細胞は、10μg/mlフィブロネクチンを含む無血清RPMI1640培地に向かって遊走した。48時間後、遊走した細胞をHEMA3染色セットで染色し、撮影し、Zeiss倒立蛍光顕微鏡(AxioVision Software)下で計数した。6つの独立した強拡大視野(100倍)の平均をカラムとして示す。上記の全実験を三連で行った。
実験肺転移および処置実験。図4に示すように、SCIDマウスにMDA−MB−435細胞またはMDA−MB−231細胞を静脈内注射し、mAbで処置した。
自発的肺転移および処置実験。MDA−MB−435細胞をSCIDマウスの乳房脂肪体に移植した。図5に示すように、原発性腫瘍を外科的に除去し、mAbを投与した。
実施例2 ER陰性およびHer2陰性乳癌における優先的CSPG4発現
公的に利用可能な臨床的な注釈つきの乳癌データセット(GSE5460)を使用したER−/Her2−、ER−/Her2+、ER+/Her2−、およびER+/Her2+乳癌細胞におけるCSPG4 mRNAレベルの比較により、CSPG4遺伝子発現レベルがER−/Her2−亜群で他の亜群よりも有意に(マン・ホイットニー、p=0.01〜0.06)高いことが示された。これは、基底乳癌表現型(ER−/Her2−)と最良に相関するようである(図1a)。
ER−、PR−、およびHer2−リプルネガティブ乳癌組織による優先的CSPG4発現を、CSPG4特異的mAbを使用したヒト乳癌の異なるサブタイプにおける免疫組織化学的染色の結果によって実証した。44人の患者由来の72.7%のトリプルネガティブ乳癌組織中でCSPG4が検出された。対照的に、それぞれ、18人の患者由来のER+乳癌組織の28.6%ならびに18人の患者由来の28個のER+原発性乳癌病変および18個のHer2+乳癌組織の16.7%でCSPG4が検出された(表1および図1b)。
使用した悪性度分類システムは、図1bの説明に記載の通りである。
実施例3 TNBC細胞株の乳房CSC亜集団によるCSPG4発現
フローサイトメトリーによってCD44+CD24−/lo細胞と同定されたCSCの頻度は、管腔乳癌細胞株よりもTMBCで遥かに高かった。これらは、細胞株SK−BR−3では検出不可能であり、細胞株T−47DおよびMCF−7でそれぞれ1.5%および34.6%の頻度であった。対照的に、これらはTNBC細胞株HS578T、MDA−MB−231、MDA−MB−435、およびSUM−149において92.5〜99.0%の頻度であった12(図1c)。興味深いことに、CSPG4は、基底乳癌細胞株および管腔乳癌細胞株に存在するCD44+CD24−/lo細胞上に差次的に発現する。これは、4つのTNBC細胞株において高い比率(66.7〜96.1%)でCSC上で高発現するが、3つの管腔乳癌細胞株において低比率(1.5〜13.0%)のCSC上で低発現するか、発現がほとんど検出されない(図1c)。
フローサイトメトリー分析により、染色細胞の比率および染色強度に関してCSPG4特異的mAbである225.28、763.74、TP41.2、およびTP61.5によって認識される異なる決定基が各細胞株上に差次的に発現することが示された。SUM−149細胞株では、約95%のCSCがmAb225.28によって認識される決定基を発現し、5%未満のCSCがmAb763.74およびTP41.2によって認識される決定基を発現する。対照的に、MDA−MB−435細胞株では、少なくとも90%のCSCが4つのCSPG4特異的mAbによって認識される決定基を発現する。全細胞集団上でのCSPG4決定基の発現パターンは、MDA−MB−435およびSUM−149細胞株における自家CSCに類似する。対照的に、MDA−MB−435細胞株では、約90%のCSCが4つのCSPG4特異的mAbによって認識される決定基を発現する。mAb763.74およびTP41.2によって認識されるCpSG4決定基の発現パターンはHS578TおよびMDA−MB−231細胞株における自家全細胞集団上よりもCSC上で低く、CSC上に発現されるCSPG4エピトープの固有の修飾が示唆される(表2a、2b*)。
*表中に示したデータについて、TNBC細胞株HS578T、MDA−MB−231、MDA−MB−435、およびSUM−149ならびに管腔癌細胞株MCF−7、SK−BR−3、およびT−47Dを、異なるCSPG4決定基を認識するmAbである225.28、763.74、TP41.2、およびTP61.5で染色し、FACS分析に供した。表は、(a)全細胞集団および(b)CD44
+/CD24
−/loとして同定された推定CSCの亜集団における染色細胞の比率および平均蛍光強度(MFI)を示す。7AAD
+細胞(死細胞)を、両実験中のゲーティングによって排除した。NA:該当なし。
CDPG4決定基発現の異種性は、この分子のグリコシル化の相違を反映する可能性が高い。CSPG4特異的mAbにより、複数の細胞培養継代による変動がほんのわずかであることが示された。これらの結果は、腫瘍形成性の高い乳癌細胞の亜集団によるCSPG4発現が安定特性であることを示す。
実施例4 乳癌患者由来の胸水中の乳房CSC亜集団によるCSPG4発現
Al−Hajj et al.の方法(Proc Natl Acad Sci U S A 100:3983−3988)を使用して、14人の乳癌患者の胸水から単離した細胞中の0.71〜92.7%の乳房CSCが系統陰性(CD2、3、10、16、18、31、45、64、140b)、CD45−、CD44+、CD24−/loと同定された(表2)。この表面表現型を有する細胞は、腫瘍形成性の高い亜集団について富化されることが示されている。系統陰性胸水細胞中のCSCの比率は、9人の患者で低く(10%未満)、4人の患者で中程度であり(18.6〜35.0%)、1人の患者で高かった(92.7%)。CSC表現型と一致して、全滲出細胞中のCSCの比率は0.01%〜0.89%の範囲であった(表2)。富化の範囲は、染色のために使用したCSPG4特異的mAbに応じて異なり、結果は、細胞株上に認められた対応する決定基の発現の異種性と一致した(表3)。
*12人の転移性乳癌患者由来の胸水由来の腫瘍細胞を、CSPG4特異的mAbである225.28、763.74、TP41.2、またはTP61.5、PE標識抗マウスIgG抗体、およびFITC標識抗CD24、APC標識抗CD44、PerCP標識抗CD45、ならびに7−AADと連続的にインキュベートした。染色した細胞をFACS分析に供した。CD45
−7−AAD
−集団およびCD45
−7−AAD
−CSPG4
+集団中のCD44
+CD24
−/lo細胞の比率を決定した。CSPG4陽性細胞のゲーティングによるCD44
+CD24
−/lo集団の富化を、CD45
−7−AAD
−CSPG4
+集団中のCD44
+CD24
−/lo細胞の比率をCD45
−7−AAD
−集団中の比率で割ることによって計算し、各ウェル中の括弧内に示す。最も高い比率および富化倍率を、各患者サンプルについて右のカラムに示す。
実施例5 乳房CSCによって発現されるCSPG4の分子プロフィール
RT−PCRによってMDA−MB−435細胞中でCSPG4 mRNAが検出され、そのほとんど(99%)がCSC表現型(CD44
+CD24
−/lo)を発現した(図6a)。mAb763.74を用いたMDA−MB−435細胞溶解物のウェスタンブロット分析により、CSPG4の2つの成分が検出された(図6b)。
実施例6 PI3K/PTEN/AktおよびMARPK経路シグナル伝達の阻害を介したin vitroでの腫瘍細胞の成長、接着、および遊走のCSPG4特異的mAbによる阻害
以前の研究により、CSPG4が前駆体および腫瘍細胞の運動性、接着、および成長を促進し、それによって黒色腫細胞および神経膠腫細胞が成長および転移することが示されている。CSPG特異的モノクローナル抗体を、in vitroで腫瘍細胞の運動性および成長を遮断する能力について試験した。図2に示すように、CSPG4特異的mAbである225.28はin vitroでCSPG4+TNBC細胞の成長、接着、および遊走を阻害した。図2に示すように、表示の投薬量のmAb225.28の存在下でTNBC細胞は、三次元マトリックス設定(これはin vivo腫瘍成長条件に密接に類似する)において細胞成長を70%阻害し(図2a,b)これらの細胞のフィブロネクチン(figronectin)への接着も45%阻害し(図2c)、Boydenチャンバーアッセイにおいてフィブロネクチンへのこれらの細胞の運動性を56%阻害した(図2d)。
以前の研究では、CSPG4が腫瘍細胞の細胞骨格、成長、運動性、および生存に影響を及ぼす複数のシグナル伝達経路を改変するように機能することが示されている。具体的には、いくつかの重要な経路がCSPG4機能に関連すると同定されている。これらの経路には、プロテインキナーゼ C(PKC)α、FAK、Erk1,2、およびPI3キナーゼ(全てトリプルネガティブ乳癌によって活性化され、且つ関連する)が含まれる。図3に示すように、in vitroでのCSPG4特異的モノクローナル抗体225.28とのインキュベーションにおけるmAb225.28は、MDA−MB−231およびMDA−MB−435細胞の両方においてPKCαの発現を阻害し、FAK、Erk1,2、およびAKTの活性化も阻害した。
実施例7 CSPG4特異的mAbによるin vivoでのヒトTNBC樹立実験転移の阻害/後退
CSPG4特異的mAb225.28は、高い比率でCD44+/CD24−/lo細胞を有し、中レベルから高レベルでCSPG4を発現するMDA−MB−231細胞の実験的転移を阻害した(図4A)。腫瘍細胞の静脈内(i.v.)注射の3日後、マウスを2群に無作為に分けた。一方の群にmAb225.28(100μg/注射)を週2回注射し、他方の群にコントロールmAb(100μg/注射)を週2回注射した。腫瘍細胞接種したマウスの79日後の評価により、CSPG4特異的mAbがコントロールmAbと比較して99%を超えるMDA−MB−231転移を阻害することが証明された。同様に、CSPG4を高発現し、且つMDA−MB−231細胞に類似のCD44+/CD24−/lo表現型を有するMDA−MB−435細胞の転移は、コントロールmAbと比較してmAb225.28またはmAb763.74のいずれかで95%を超えて阻害された(図4b)。
実施例8 PI3K/PTEN/AktおよびMARPK経路シグナル伝達の阻害を介したin vivoでのCSPG4特異的mAbによるヒト同所性TNBC腫瘍の術後再発および自発的転移の阻害
臨床的に関連する研究を行うために、CSPG4特異的mAbがSCIDマウスにおけるヒト乳房MDA−MB−435乳腺腫瘍の再発および自発的転移を阻害する能力を、原発性腫瘍の外科的除去(ヒト疾患と臨床的に類似する背景)後に試験した。mAb225.28および763.74で処置したマウスは、コントロールmAbを投与したマウスよりも自発的肺転移が有意に低かった(図5a)。さらに、mAb763.74および225.28でそれぞれ処置したそれぞれ5匹のマウスからなる2群では、たった1つの小さいサイズの局所腫瘍再発のみの検出および検出なしであった。対照的に、コントロールmAbで処置した5匹のマウスにおいて3つの巨大な腫瘍再発が見出された(図5B)。結果は、2つの独立した実験の代表である。結果は、CSPG4のターゲティングが原発性腫瘍の外科的除去後の腫瘍の転移および再発の両方を阻害するのに臨床的に有用であり得ることを示す。
mAb225.28で処置したマウスから外科的に除去した原発性腫瘍は、コントロールmAbで処置したマウス由来の原発性腫瘍と比較して有意により低い血管密度レベルを示した(図5Cおよび5D)。血管密度に及ぼす影響は、CSPG4を発現し、腫瘍内の新規に形成された血管の成熟に重要である周皮細胞のターゲティングに一部起因し得る。
CSPG4特異的mAb225.28で処置したマウスおよびコントロールmAbで処置したマウスから除去した原発性腫瘍から生成した細胞溶解物を、TNBCの成長および進行に関連する特異的シグナル伝達経路の活性化についても評価した。これらには、それぞれ、FAK活性化によって示されるインテグリン媒介性シグナル伝達ならびにErk1,2およびAktの活性化によって示される重要な腫瘍細胞の成長促進および生存のシグナル伝達経路が含まれる。これら3つのシグナル伝達経路の活性化は、コントロールmAbで処置されたマウスから除去した原発性腫瘍と比較してCSPG4特異的mAb225.28で処置されたマウスから除去した原発性腫瘍で顕著に減少した。さらに、CSPG4特異的mAbで処置されたマウスから除去した原発性腫瘍はまた、コントロールmAbで処置されたマウスから除去した原発性腫瘍と比較してPKCαレベルが低かった(図5E)。これらの結果は、mAbでのCSPG4ターゲティングが乳癌の進行および転移に重要な細胞の成長、接着、および生存に関連する経路に有意な阻害効果を及ぼすことを示す。
遺伝子発現プロファイリング、免疫化学的研究、および免疫組織化学的染色は、乳癌CSPG4が基底/TNBC中に優先的に発現されることを説得力を持って示した。EGFR発現と基底様表現型との間の関連も証明されたので、CSC表現型を有する分化細胞および細胞の両方における基底乳癌および管腔乳癌中のCSPG4の差次的発現はCSPG4に固有ではない(Korshing et al.,Lab Invest 82:1525−1533,2002)。さらに、IHC染色によって基底/TNBC病変中にサイトケラチンCK5/6、S期キナーゼ関連タンパク質2(SKP2)、および間葉フォークヘッド1(FOXC2)が主に検出された(Mani et al.,Proc Natl Acad Sci U S A 104:10069−10074,2007)。TNBCおよび他の乳癌サブタイプにおける差次的CSPG4発現が起源とする異なる細胞型または乳癌の異なるサブタイプ中の遺伝子発現の調節機構の相違のいずれを反映するかは依然として決定されていない。他方では、CSGP4がマッピングされた15番染色体(28)中の遺伝子材料の喪失がこれらの乳癌のサブタイプで記載されていなかったので、乳癌の他のサブタイプ中でのCSPG4発現の喪失またはレベルの低さはコードする遺伝子の喪失を反映している可能性が低い。TNBCにおけるCSPG4遺伝子活性化の根底にある分子機構が何であれ、この乳癌サブタイプにおけるその優先的発現により、診断バイオマーカーおよび治療標的としてのその潜在的な用途が示唆される。
TNBCでは、CD44+CD24−/lo表現型を有する亜集団に排他的ではないが、CSPG4が主に発現されるようである。CD44+CD24−/lo表現型を有する細胞が肺への転移を容易にする高浸潤性である可能性があり(Sheridan,Breast Cancer Res 8:R59,2006)、且つ乳癌患者の骨髄中で検出される癌細胞の大部分を示すので(Balic et al.,Clin Cancer Res 12:5615−5621,2006)、乳癌のこのサブタイプ中で富化されるこの細胞亜集団は進行で重要な役割を果たすようである。悪性細胞の遊走、転移(Burg et al,J Cell Physiol 177:299−312,1998)、および化学療法抵抗性(Checkenya,Oncogene 27:5182−5194,2008)、ならびに間葉細胞の起源であり得る(Crisen,Cell Stem Cell 3:301−313,2008)周皮細胞上のその発現(Ozerdem,Angiogenesis 7:269−276,2004)におけるCSPG4の役割を考慮すると、この細胞表面プロテオグリカンのコアタンパク質がこの亜集団の幹様性質およびその上皮間葉移行(EMT)に寄与する可能性がある。後者の形態学的分化転換過程により、癌腫細胞が悪性疾患の進行中に運動性および浸潤性の増加に寄与する間葉の外観/遺伝子発現プロフィールを獲得することができる(Hay,Acta Anat(Basel)154:8−20,1995)。
CSPG4特異的mAbは、複数のTNBC細胞株(MDA−MB−231細胞およびMDA−MB−435細胞が含まれる)の転移の阻害で有効である。MDA−MB−435細胞株を、CSPG4+CD44+CD24−/lo細胞の腫瘍転移および再発の評価ならびに前臨床モデルにおける攻撃的転移表現型を有する細胞におけるmAbでのCSPG4ターゲティング効率の原理の証明のためのモデルとしてこれらの研究で試験する。
基底/TNBCは、特に、攻撃的挙動および予後不良に関連し、典型的には、ホルモン受容体やHER−2を発現しない(「トリプルネガティブ」表現型)。したがって、TNBC患者は、現在利用可能な標的全身治療から恩恵を受ける可能性が低い。さらに、転移性基底/TNBCにおけるセツキシマブによるEGFR標的療法では、臨床試験でむしろ期待はずれの結果が得られた。この制限を克服するために、基底/TNBC上に優先的に発現されるタンパク質(CSPG4など)は、治療標的の魅力的な候補である。機能遮断性のCSPG4特異的mAb225.28は、in vitroでの腫瘍細胞の成長、接着、および遊走ならびにin vivoでの腫瘍細胞の増殖および腫瘍血管形成を阻害し、TNBC細胞からなる原発性腫瘍内の腫瘍細胞アポトーシスを誘導する。結果として、CSPG4特異的mAbにより、樹立されたTNBC細胞由来の肺転移の70%超が後退し、原発性腫瘍の外科的除去後の再発および転移性の拡大が阻害された。
基底/TNBCは、特に、攻撃的挙動および予後不良に関連し、典型的には、典型的には、ホルモン受容体やHER−2を発現しない(「トリプルネガティブ」表現型)。したがって、TNBC患者は、現在利用可能な標的全身治療から恩恵を受ける可能性が低い。さらに、転移性基底/TNBCにおけるセツキシマブによるEGFR標的療法では、TNBC細胞からなる原発性腫瘍内での臨床試験でむしろ期待はずれの結果が得られた。結果として、CSPG4特異的mAbにより、樹立されたTNBC細胞由来の肺転移の70%超が後退し、外科的に除去された原発性腫瘍の再発および転移が阻害される。CSPG4特異的mAbは、TNBC細胞の悪性進行に重要なシグナル伝達経路の活性化も阻害する。
以前の研究により、CSPG4およびNG2ラットホモログが他の腫瘍モデルにおけるこれらの重要な経路のいくつかに関連することが証明されている。これらには、細胞骨格再構築(例えば、cdc42およびRac)、インテグリン媒介性接着(例えば、FAK活性化)、成長促進経路(例えば、Erk1,2活性化の持続)、および細胞生存経路(例えば、Akt活性化)に重要な経路が含まれる。mAbでのCSPG4のターゲティングはTNBC細胞に多面的に影響を及ぼす。これは、Erk1,2の持続的活性化などの成長関連シグナル伝達経路を阻害することなくPI3K/Akt関連経路をターゲティングするようである他の現在の治療mAb(ハーセプチンなど)と対照的である。SCIDマウスにおけるNK細胞のin vivo枯渇がその治療効率に影響を及ぼさないので、CSPG4特異的mAb225.28は抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害を示さないようであった。さらに、抗体は腫瘍細胞の補体依存性細胞傷害性を媒介しなかった。まとめると、これらのデータは、腫瘍の成長および転移に及ぼすmAb225.28の阻害効果が腫瘍細胞の悪性進行に重要なシグナル伝達経路を阻害するその能力の直接的結果であることを示す。
一定のタンパク質(「幹細胞様」腫瘍表現型に関連するSHhおよびwnt関連シグナル伝達経路など)をターゲティングするために相当な努力が払われている。CSPG4は、正常組織中の分布が制限されており、且つ異なる器官内の前駆体集団に関連する。しかし、CSPGは基本的に正常な幹細胞の維持および自己再生に必要とされないので、CSPG4は、SHhおよびWntシグナル伝達経路として他の標的を超える治療標的としての利点を付与する。したがって、mAbでのCSPG4のターゲティングは、正常な組織幹細胞に及ぼす負の影響に関連する可能性が低い。CSPG4特異的免疫はヒトにおいて副作用を生じないようであり、mAb225.28の全身投与(1週間に2回)の半年後にマウスにおいて一般毒性(体重減少など)および創傷治癒の遅延を生じなかった。CSPG4特異的mAbの精巧な特異性により、これらの抗体が悪性腫瘍内の高度に腫瘍形成性/転移性の細胞亜集団のターゲティングに理想的に適合する。モノクローナル抗体の精巧な特異性を高レベルでCSPG4を発現する癌幹細胞の処置に理想的に適合させることができることを本明細書中に開示する。
記載の本発明の精神を逸脱することなく記載の方法または組成物の正確な詳細を変更または修正することができることが明らかであろう。本発明者らは、下記の特許請求の範囲の範囲および精神の範囲内に含まれる全てのかかる修正形態および変更形態を主張する。