JP2013114820A - 珪素酸化物粉末及びこれを用いたリチウムイオン二次電池用負極材料、この材料を用いたリチウムイオン二次電池、並びにリチウムイオン二次電池負極材用の珪素酸化物粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リチウムを含有する珪素酸化物粉末を、Cu−kα線源でのX線回折(XRD)において、2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,Dとしたとき、0.01<B/A<5.0、C/A<1.0、D/A<1.0を満たすものとする。
【選択図】図1
Description
これに対して、SiO等の珪素酸化物を負極材料として用いた場合、黒鉛質負極材料に比べて高い充放電容量を有するリチウムイオン二次電池が得られることが知られている。(例えば、下記特許文献1参照)
従来、プリドープ法としては、例えば、活物質を含有する電極に金属リチウムの薄膜を貼り付ける方法や、リチウムを蒸着する方法などが知られている。
しかし、金属リチウムやLi−Si合金は、空気や水との接触によって容易に発火するため、前者の方法は製造工程における金属リチウム薄膜の取り扱い性に問題がある。また、後者の方法は、工業化(量産化)が困難であるという問題があり、いずれの方法も工業的な実用性という点では好ましい方法とは言えない。
具体的には、一般式SiLixOyで表されるリチウム含有酸化珪素粉末であって、x、yの範囲が0<x<1.0,0<y<1.5であり、リチウムが融合化しかつその5〜50%が結晶化しているリチウム含有酸化珪素粉末が開示されている。
このリチウム含有酸化珪素粉末は、SiOガスを発生する原料粉末として比表面積が1〜100m2/gのSiOz粉末(1.0≦z<1.6)と金属リチウム又はリチウム化合物との、珪素原子に対するリチウム原子のモル比(Li/Si)が0.05≦Li/Si≦0.6となる混合物を不活性ガス雰囲気又は減圧下、900〜1,300℃の温度で加熱して反応させるという製造方法により得られる。
更に、900〜1,300℃の温度で加熱して反応させることにより製造されるため、SiOはSiとSiO2に不均化してしまい、負極材料としての機能を果たさなくなるという重大な問題がある。尚、この点について、特許文献3(段落[0026]参照)には、1300℃以上で不均化すると記載されている。しかし、本願発明者は、SiOは900℃以上で加熱すると不均化することを実験により確認している。
また、実施例1を参照すると、製造過程においてボールミルを使用することが記載されているが、このボールミルによる処理は、900℃で熱処理した後のものを僅か1rpmという回転速度で解砕するものであるから、この処理によってSiOにリチウムがプリドープされた珪素酸化物粉末を得ることはできない。
請求項1に係る発明では、
リチウムを含有する珪素酸化物粉末であって、
Cu−kα線源でのX線回折(XRD)において、
2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,Dとしたとき、
0.01<B/A<5.0
C/A<1.0
D/A<1.0
を満たすことを特徴とする珪素酸化物粉末とする。
本発明に係る珪素酸化物粉末、即ちCu−kα線源でのXRDにおいて、2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,Dとしたとき、0.01<B/A<5.0、C/A<1.0、D/A<1.0を満たす珪素酸化物粉末を負極材料(負極活物質)として使用したリチウムイオン二次電池は、これらを満たさない珪素酸化物粉末を負極材料として使用したリチウムイオン二次電池と比較して高い充放電容量を有している。
請求項1に係る発明において、2θ=18.7°±0.2°におけるピークの面積強度をEとしたとき、0.2≦E/B<1を満たすことを特徴とする珪素酸化物粉末とする。
請求項1又は2に係る発明において、粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50が0.5μm≦D50≦50μmであり、且つBET比表面積50m2/g以下であることを特徴とする珪素酸化物粉末とする。
請求項1乃至3いずれかに記載の珪素酸化物粉末を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料とする。
請求項4に記載の負極材料を用いた負極を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池とする。
リチウムイオン二次電池の負極材に用いられる珪素酸化物粉末の製造方法であって、
SiOからなる第一の原料と、金属リチウムからなる第二の原料を使用し、
不活性雰囲気下において、前記第一の原料と前記第二の原料の混合物を遠心加速度30G以上でメカニカルミリング処理することによって、SiOにリチウムがプリドープされた珪素酸化物粉末を得ることを特徴とする珪素酸化物粉末の製造方法とする。
また、前記第一の原料と前記第二の原料の混合物を遠心加速度30G以上でメカニカルミリング処理することによって、SiOにリチウムがプリドープされた珪素酸化物粉末を確実に得ることができる。
更に、出発物質の一つである第二の原料として金属リチウムを使用しているため、LiOHやLiO2を使用した場合のように還元処理を行う必要がない。
前記メカニカルミリング処理後の珪素酸化物粉末を、不活性雰囲気下において、648℃以上850℃以下の温度で加熱処理することを特徴とする請求項6記載の珪素酸化物粉末の製造方法とする。
また、加熱処理の温度を650℃〜850℃に設定することにより、SiOが存在してもSiとSiO2に不均化することが防がれ、SiやLi4SiO4等がナノレベルで高分散した珪素酸化物粉末を得ることができる。
本発明に係る珪素酸化物粉末は、リチウムを含有する珪素酸化物粉末であって、Cu−kα線源でのX線回折(XRD)において、2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,Dとしたとき、0.01<B/A<5.0、C/A<1.0、D/A<1.0を満たすものである。
また、2θ=18.7°±0.2°におけるピークの面積強度をEとしたとき、0.2≦E/B<1を満たすことが好ましい。
BET比表面積50m2/gを超えると、珪素酸化物粉末の単位質量当たりの表面積が多くなり、珪素酸化物表面に形成されるSiO膜の含有量が増加する。そのため、リチウムイオン二次電池の負極材料として用いた場合に、SiO膜によるリチウムイオン二次電池の初期効率及びサイクル特性の低下が生じる虞があり、好ましくない。
BET比表面積は、窒素ガス吸着式によるBET一点法により測定される値であり、測定機としては、例えばMacsorb HM model(マウンテック社製)等を使用することができる。
本発明に係る珪素酸化物粉末の製造方法では、SiOからなる第一の原料と、金属リチウムからなる第二の原料を使用し、不活性雰囲気下において、前記第一の原料と前記第二の原料の混合物を乾式にてメカニカルミリング処理することにより、SiOにリチウムがプリドープされた珪素酸化物粉末を得る。
例えば、遊星ミルを用いる方法では、原料粉末とボールとを共に容器に入れ、自転と公転をさせることによって生じる力学的エネルギーにより、原料を粉砕・混合又は固相反応させることができる。
第二の原料としては、例えば金属リチウムの薄膜が使用される。薄膜としては、例えば金属リチウム金属薄膜(厚さ500μm、幅50mm)を所定のサイズ(例えば2〜10mm角程度)に切断したものが使用される。
これら第一の原料と第二の原料を、不活性雰囲気下(例えばアルゴン等の不活性ガス雰囲気下)において、メディア(例えばボール)と共に容器(例えばポット)内に入れて容器を高速で回転させる(メカニカルミリング処理する)ことにより、SiOにリチウムが不可逆容量分プリドープされた珪素酸化物粉末を得る。
第一の原料と第二の原料の配合比(重量比)は、第一の原料1に対して第二の原料が0.12〜0.17となるように設定することが好ましい。この配合比より第二の原料が少ないとプリドープされるリチウムが不可逆容量分に満たない虞があり、逆に多いとリチウムが不可逆容量分に比べて過剰となる虞があり、いずれの場合も好ましくない。
メディアとしては、直径2mm〜4mm程度のボールが好適に使用される。メディアの材質は、ジルコニア、ステンレス、窒化珪素、炭化珪素等が好適であるが、このうちリチウムと反応しないステンレスが最も好適である。
ミリング条件は、遠心加速度30G以上に設定する。遠心加速度が30G未満の場合、SiOにリチウムが不可逆容量分プリドープされた珪素酸化物粉末が得られない虞があり好ましくない。好適には、30〜150G×10分〜10時間の範囲に設定することができ、例えば100G×3時間に設定される。
加熱処理の温度は648℃以上1255℃以下、好ましくは650℃〜850℃に設定される。加熱時間は、加熱温度が650℃〜850℃の場合、例えば30分〜10時間に設定される。
この加熱処理を行う理由は、以下の通りである。
しかし、もし不可逆容量分に比べて過剰にリチウムが入った場合や、又は過剰でなくても混合が不均一でリチウム濃度が高い部分がある場合には、SiとLi4SiO4以外にLi12Si7が生成すると考えられる。
このLi12Si7合金は、水分に接触すると発火の危険性がある物質である。そのため、最終的に得られるリチウムイオン二次電池負極材用の珪素酸化物粉末中に存在することは好ましくない。
Li4SiO4は、図16のLi2O−SiO2疑二元系状態図より、1255℃(=1528K−273)までは安定に存在できる。
一方、リチウムプリドープ時に余分に生成し得るLi12Si7は、図15のLi−Si二元系状態図より648℃以上では安定に存在できない。
また、加熱処理の温度を650℃〜850℃に設定すると、SiOが存在しても不均化しなくなる温度域となるため、より一層好ましい。上述した通り、本願発明者は、SiOは900℃以上で加熱すると不均化することを実験により確認している。
上記した本発明に係る珪素酸化物粉末をリチウムイオン二次電池用負極材料として使用してリチウムイオン二次電池を製造することができる。
リチウムイオン二次電池の製造においては、公知のリチウムイオン二次電池の電池要素(正極、セパレーター、電解液等)を用い、常法に従って、角型、円筒型、コイン型等の電池に組み立てればよい。
負極材料は、本発明に係る珪素酸化物粉末を50〜95%含有することが好ましい。
50%未満であると珪素酸化物の容量向上効果が充分に得られず、95%を超えるとバインダーが少なくなり、電極が充放電に伴う体積変化に耐えられず、電極が劣化して機能しなくなるため、いずれの場合も好ましくない。配合比(重量比)の一例を挙げると、本発明に係る珪素酸化物粉末:導電助剤:バインダー=85:5:10である。
例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、アラミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)等の樹脂からなる多孔質シート、ガラスフィルター、不織布等を用いることができるが、これらに限定はされない。
(1)実施例サンプル
SiO粉末10.0245g(大阪チタニウムテクノロジーズ社製)と金属リチウムのテープ(厚さ500μm、幅50mm)(本庄金属社製)を2mm×2mmに切断したもの(1.574g)とをジルコニア製のポットに入れ、グローボックス不活性雰囲気(アルゴン雰囲気)にて、φ2mmのジルコニア製ボールをメディア(粉砕媒体)として使用し、100G×3時間の運転条件にて、ボールミルにてメカニカルミニング処理することにより、SiOにリチウムが不可逆容量分ドープされた珪素酸化物粉末を得、これを実施例サンプルとした。
実施例サンプルで使用したものと同じSiO粉末そのものを比較例1サンプルとした。
実施例サンプルで使用したものと同じSiO粉末を、アルゴン雰囲気で1200℃×3時間の条件で焼成し、SiO粉末の一部を不均化反応(2SiO→Si+SiO2)させたものを比較例2サンプルとした。
比較例2サンプル(不均化SiO)を、実施例サンプルの作製時と同条件でメカニカルミニング処理することにより、比較例2サンプル(不均化SiO)にリチウムが不可逆容量分ドープされた珪素酸化物粉末を得、これを比較例3サンプルとした。
通常の塗工SiO電極を対極とし、金属リチウムで電池(半電池)を組んで、充放電させることにより、SiOにリチウムを不可逆容量分ドープさせ、これを比較例4サンプルとした。
実施例及び比較例1〜4のサンプルについて、下記条件によりXRD分析を行った。
・X線回折装置:ブルカーAXS社製、型番:M06XCE
・線源:CuKα(波長λ=0.15418nm)
・出力:40kV,100mA
・サンプリング幅:0.02°
・走査範囲:2θ=10〜70°
・分析ソフト:Windows(登録商標)版 JADE(6.0)、理学電機社製
なお、XRDピークの2θ角度、高さ、面積及び半値幅の分析値は、上記分析ソフトによる多重ピーク分離処置により求められた値を用いた。
図1は実施例サンプルについてのXRDチャートであり、表1は図1のXRDチャートの分析結果である。
実施例サンプルは、表1に示すように、2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,Dとしたとき、A=13064、B=18423、C=0、D=5016であるから、0.01<B/A<5.0、C/A<1.0、D/A<1.0を満たしている。
また、2θ=18.7°±0.2°におけるピークの面積強度をEとしたとき、E=
10362であるから、0.2≦E/B<1を満たしている。
比較例1サンプルは、図2に示すように、アモルファス状態であり、ピークが確認できない。
また、表2に示すように、2θ=28.4°±0.2°のピーク(Siのピーク)が検出されたが、2θ=18.7°±0.2°のピーク(Li2SiO3のピーク)、22.1°±0.2°のピーク(Li4SiO4のピーク)、40.5°±0.2°のピーク(Li13Si14のピーク)、56.2°±0.2°のピーク(Li2Oのピーク)がいずれも検出されていない。
表2では、Siの回折ピークが低角側へシフトしており、28.041°に現れている。これは、1200℃の熱処理によりSiOからSiが生成する不均化反応の際に、温度が低くこの反応が不完全であるため、純Si結晶と同じ結晶格子のサイズにはならず、28.4°±0.2°からシフトしたものと考えられる。1400℃以上まで熱処理温度を上げると、結晶Siと結晶SiO2に不均化することが知られている。
また、表3に示すように、2θ=22.1°±0.2°のピーク(Li4SiO4のピーク)と28.4°±0.2°(Siのピーク)は存在しているが、18.7°±0.2°のピーク(Li2SiO3のピーク)、40.5°±0.2°のピーク(Li13Si14のピーク)、56.2°±0.2°のピーク(Li2Oのピーク)がいずれも存在していない。
表3では、Siの回折ピークが低角側へシフトしており、28.082°に現れている。これは、1200℃の熱処理によりSiOからSiが生成する不均化反応の際に、温度が低くこの反応が不完全であるため、純Si結晶と同じ結晶格子のサイズにはならず、28.4°±0.2°からシフトしたものと考えられる。1400℃以上まで熱処理温度を上げると、結晶Siと結晶SiO2に不均化することが知られている。
比較例4サンプルは、図5に示すように、不可逆成分であるLi−Si−O酸化物(Li2SiO3及びLi4SiO4)のピークが確認できない。
また、2θ=22.1°±0.2°のピーク(Li4SiO4のピーク)だけでなく、18.7°±0.2°のピーク(Li2SiO3のピーク)、28.4°±0.2°のピーク(Siのピーク)、40.5°±0.2°のピーク(Li13Si14のピーク)、56.2°±0.2°のピーク(Li2Oのピーク)も確認できない。
実施例及び比較例1〜4のサンプルについて、下記条件によりCV(サイクリックボルタンメトリ)測定を行った。
・電気化学測定装置:ソーラトロン社製、型番:1280B
・走引速度:0.2mV/sec
・電圧範囲:0〜3V
・雰囲気温度:30℃
実施例及び比較例1〜3の作用極ペレット法では、ドライルーム又はグローボックス内で各材料(各サンプルと他の材料)を乳鉢で混合し、混合物を加圧成形(プレス圧:20kN)して円板状のペレット(φ10mm、厚さ1〜2mm)を作製することにより、負極ペレットを構成し、これを作用極として用いた。尚、このペレットは後述する充放電試験でも使用した。
比較例1サンプルについては、これを負極活物質として用い、Cuとこの活物質を97.6wt%:2.4wt%(0.0715g:0.0018g)の割合で混合して上記方法により負極ペレットを構成し、これを作用極として用い、対極及び参照極として金属リチウムを用いた。
比較例2サンプルについては、これを負極活物質として用い、Cuとこの活物質を98.0wt%:2.0wt%(0.9807g:0.0201g)の割合で混合して上記方法により負極ペレットを構成し、これを作用極として用い、対極及び参照極として金属リチウムを用いた。
比較例3サンプルについては、これを負極活物質として用い、Cuとこの活物質を97.5wt%:2.5wt%(0.9829g:0.0251g)の割合で混合して上記方法により負極ペレットを構成し、これを作用極として用い、対極及び参照極として金属リチウムを用いた。
比較例4サンプルについては、SiOとKB(ケッチェンブラック)とPI(ポリイミド)の比率が80wt%:5wt%:15wt%(活物質量:0.002g)となる電極(負極)を構成し、これを作用極として用い、対極及び参照極として金属リチウムを用いた。
図6は実施例サンプルについてのCV測定結果(0〜2V)である。
図7〜10は比較例1〜4サンプルについてのCV測定結果(0〜2V)である。
比較例2サンプル(図8)では、実施例サンプルに比べて充放電反応が鈍いことが確認できる。これは、不均化処理により粒子表面にSiO2膜が生成されたためであると考えられる。
比較例3サンプル(図9)では、比較例2サンプルに比べると充放電反応が良好となったことが確認できる。これは、メカニカルミリング処理によりSiO2膜が粉砕されたことにより、比較例2サンプルと比べて充放電し易くなったと考えられる。しかし、SiO不可逆プリドープができる設計量のリチウムを加えたが、初期電圧値は2.4Vまでしか低下しなかった。
比較例4サンプル(図10)では、初期電圧値の低下は見られない。
尚、OCV(Opened Circuit Voltage)は、実施例サンプル:3.4V、比較例1サンプル:1.4V、比較例2サンプル:3.1V、比較例3サンプル:2.4Vであり、実施例サンプルが最も高かった。
実施例及び比較例1〜3のサンプルについて、上記CV測定において作製したペレットを使用してコインセルを作製し、下記条件により充放電試験を行った。
・電圧範囲:0〜1V vs Li+/Li
・電流値:0.1C
実施例及び比較例1〜3のサンプルを用いて作製したペレット電極と、対極の金属リチウムとを、電解液を含ませたセパレータを挟んで直接接触させないように配置し、2032型コインセル部材(宝泉株式会社製)を用いて密封し、コインセルを作製した。
セパレータにはポリプロピレン製微多孔膜Celgard2400(Celgard社製)とガラスファイバーフィルターGA100(ADVANTEC社製)を1枚ずつ重ねたものを使用し、電解液には1 M LiPF6/(エチレンカーボネート(EC:ジエチルカーボネート(DEC), 1:1 体積比)、対極には金属リチウム箔(直径13mm、0.5mm厚、本城金属社製)をそれぞれ用いた。
図11は実施例サンプルについての試験結果である。
図12〜14は比較例1〜3サンプルについての試験結果である。
表5は、実施例及び比較例1〜3サンプルについての可逆理論容量と1サイクル目及び2サイクル目の容量を示す。表中の数値の単位は「mAh/g」である。
比較例2サンプル(図13)でも、比較例1サンプルにおいて0.41V付近にあったピークが見られない。これは、不均化処理によりSiとSiO2に分離して不可逆容量が消えたと考えられる。
比較例3サンプル(図14)でも、比較例1サンプルにおいて0.41V付近にあったピークが見られない。不可逆容量は1453−1122=331mAh/gと小さかったが、容量は実施例サンプル(図11)よりも低かった。
実施例サンプル及び比較例3サンプルについて、洗瓶を用いて、サンプルに直接水滴をかけるという方法により注水試験を行った。その結果、実施例サンプル及び比較例3サンプル共に、ガスが発生したものの発火しなかった。
実施例サンプル及び比較例1〜4サンプルについて、粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50をレーザー回折式粒度分布測定装置としてMastersizer2000(Malvern)を使用して測定した。結果を表6に示す。
実施例サンプル及び比較例1〜4サンプルについて、BET比表面積を窒素ガス吸着式によるBET一点法により、測定機としてMacsorb HM model(マウンテック社製)を使用して測定した。結果を表7に示す。
実施例サンプル(本発明に係る珪素酸化物粉末)は、Cu−kα線源でのXRDにおいて、2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°、18.7°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,D,Eとしたとき、0.01<B/A<5.0、C/A<1.0、D/A<1.0、0.2≦E/B<1を満たすが、比較例1〜4サンプルは満たさないことが確認された。
実施例サンプルは0.5μm≦D50≦50μm、BET比表面積50m2/g以下を満たすが、比較例サンプルはいずれも満たさないことが確認された。
実施例サンプルは、Li−Si−O酸化物(Li2SiO3及びLi4SiO4)から構成されており、リチウム不可逆プリドープが行われていることが確認された。また、発火し易い単体リチウムやLi−Si合金は存在していないため、発火の危険性が無く、取り扱いが容易であると言える。このことは注水試験によっても確認された。
一方、比較例1〜4サンプルでは、比較例1,2,4サンプルではLi−Si−O酸化物(Li2SiO3及びLi4SiO4)の存在が確認されなかった。比較例3サンプルは、Li−Si−O酸化物の存在が確認されたが、SiO2の存在も確認され、不可逆成分の生成が不十分であった。また、充放電容量において実施例サンプルに劣っていた。
Claims (7)
- リチウムを含有する珪素酸化物粉末であって、
Cu−kα線源でのX線回折(XRD)において、
2θ=22.1°±0.2°、28.4°±0.2°、40.5°±0.2°、56.2°±0.2°におけるピークの面積強度を夫々A,B,C,Dとしたとき、
0.01<B/A<5.0
C/A<1.0
D/A<1.0
を満たすことを特徴とする珪素酸化物粉末。 - 2θ=18.7°±0.2°におけるピークの面積強度をEとしたとき、
0.2≦E/B<1
を満たすことを特徴とする請求項1記載の珪素酸化物粉末。 - 粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50が0.5μm≦D50≦50μmであり、且つBET比表面積50m2/g以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の珪素酸化物粉末。
- 請求項1乃至3いずれかに記載の珪素酸化物粉末を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 請求項4に記載の負極材料を用いた負極を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- リチウムイオン二次電池の負極材に用いられる珪素酸化物粉末の製造方法であって、
SiOからなる第一の原料と、金属リチウムからなる前記第二の原料を使用し、
不活性雰囲気下において、前記第一の原料と前記第二の原料の混合物を遠心加速度30G以上でメカニカルミリング処理することにより、SiOにリチウムがプリドープされた珪素酸化物粉末を得ることを特徴とする珪素酸化物粉末の製造方法。 - 前記メカニカルミリング処理後の珪素酸化物粉末を、不活性雰囲気下において、648℃以上850℃以下の温度で加熱処理することを特徴とする請求項6記載の珪素酸化物粉末の製造方法。
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