JP2013144391A - 自己修復性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型化が可能であり、耐擦傷性に優れ、タッチパネル等に好適に用いることができる自己修復性フィルムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の自己修復性フィルムは、基材シートと、上記基材シートの表面に積層され、自己修復性を有する軟質樹脂層とを備え、上記基材シートが、ポリカーボネート系樹脂を主成分として含有する基材層と、上記基材層の表面側に積層され、ポリメチルメタクリレート系樹脂を主成分として含有する表面層と、上記基材層の裏面側に積層され、ポリメチルメタクリレート系樹脂を主成分として含有する裏面層とを有し、上記軟質樹脂層が、ポリウレタン系樹脂を主成分として含有する自己修復性フィルムである。上記基材シートの表面の鉛筆硬度がB以上であるとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、自己修復性フィルムに関する。
近年、タッチパネルや液晶ディスプレイといった光学部材、車体、携帯電話本体等の表面保護材として、ハードコート処理を施したプラスチックフィルムが多く用いられている。このような表面保護フィルムの機能としては、表面に傷が付くのを防止する耐擦傷性が特に要求される。この耐擦傷性を向上させる方法としては、フィルムの硬度を高くして傷が付くのを防ぐ方法が考えられるが、フィルムの硬度向上には限度があり、また硬度を高くしすぎると表面に応力が加わった際に割れやすくなるという問題がある。
一方で、耐擦傷性を向上させる手段として、傷が生じても経時的に傷が消失して元の形状に戻る自己修復性をフィルムに与える方法が開発されている。この方法による表面保護フィルムは、自己修復性を有する樹脂素材を用いるものであり、例えば、ガラス板等の基板に自己修復性を有する軟質樹脂を積層した表面保護フィルムがある(特開2003−15822号公報等参照)。
上記の軟質樹脂を基板に積層した表面保護フィルムは、耐擦傷性に加えて透明性も有するため、タッチパネル等に好適に用いることができる。しかし、上記表面保護フィルムは基板として用いるガラス板等が数mmの厚さを有するためフィルム全体の厚さが大きい。これに対し、近年需要が増加しつつある携帯電話等に用いられる液晶表示装置やタッチパネル等は薄型化の要求が厳しいため、上記表面保護フィルムをこれらの装置に用いるのは難しい。
特開2003−15822号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、薄型化が可能であり、耐擦傷性に優れ、タッチパネル等に好適に用いることができる自己修復性フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
基材シートと、
上記基材シートの表面に積層され、自己修復性を有する軟質樹脂層と
を備え、
上記基材シートが、
ポリカーボネート系樹脂を主成分として含有する基材層と、
上記基材層の表面側に積層され、ポリメチルメタクリレート系樹脂を主成分として含有する表面層と、
上記基材層の裏面側に積層され、ポリメチルメタクリレート系樹脂を主成分として含有する裏面層と
を有し、
上記軟質樹脂層が、ポリウレタン系樹脂を主成分として含有する自己修復性フィルムである。
当該自己修復性フィルムは、上記の構成からなる基材シートの表面にポリウレタン系樹脂を主成分とする軟質樹脂層を備えることによって、表面側から衝撃が加わった場合に基材シートに支持された軟質樹脂層に応力が働き、軟質樹脂の流動によって高い自己修復性を発揮する。
また当該自己修復性フィルムは、基材層の主成分をポリカーボネート系樹脂とし、表面層及び裏面層の主成分をポリメチルメタクリレート系樹脂とすることによって、基材シートの硬度を保ちつつ膜厚を小さくすることができる。さらに、表面層が耐溶剤性に優れるため、軟質樹脂層を基材シートの表面に塗工等の方法によって確実かつ容易に形成することができる。また、当該自己修復性フィルムは、上記基材層が高い耐衝撃性を有し、さらに基材層の裏面側に硬度の高い裏面層を有することでカールの発生を防止することができる。
さらに当該自己修復性フィルムは、上述の各層に用いられるポリウレタン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂及びポリカーボネート系樹脂がそれぞれ高い透明度を有するため、全光線透過率にも優れる。
上記基材シートの表面の鉛筆硬度としてはB以上が好ましい。また、上記基材シートの引張強さとしては50MPa以上が好ましい。このように基材シートの表面の鉛筆硬度及び引張強さを上記範囲とすることによって、軟質樹脂層に傷が生じた場合に、衝撃を受けた基材シートの表面で応力が発生し、軟質樹脂層の傷の周辺部が流動して傷を消失させやすくなるため、軟質樹脂層の自己修復性を向上させることができる。
当該自己修復性フィルムの平均厚さとしては50μm以上200μm以下が好ましい。このように当該自己修復性フィルムの平均厚さを上記範囲とすることによって、当該自己修復性フィルムは高い耐擦傷性を発揮し、かつ薄型化が要求される液晶表示装置等に好適に用いることができる。
上記表面層及び裏面層の平均厚としては上記基材層の平均厚さの5%以上50%以下が好ましい。このように上記表面層及び裏面層の平均厚さを上記範囲とすることによって、基材シートの硬度、当該自己修復性フィルムの耐衝撃性、ハンドリング性等のバランスを好適に保つことができる。
当該自己修復性フィルムの表面の鉛筆硬度としてはHB以上が好ましい。このように当該自己修復性フィルムの表面の鉛筆硬度を上記範囲とすることによって、軟質樹脂層の自己修復性が向上するため、当該自己修復性フィルムの耐擦傷性をさらに向上させることができる。
従って、本発明の自己修復性フィルムは、液晶表示装置等に備えられるタッチパネルに好適に用いることができる。
ここで、「平均厚さ」とは、JIS−K−7130に準じて測定される値である。「鉛筆硬度」とは、JIS−K−5600−5−4に準拠して測定される値である。「引張強さ」とは、JIS−K−7161に準拠して測定される値である。
以上説明したように、本発明の自己修復性フィルムは、薄型化が可能であり、耐擦傷性に優れ、タッチパネル等に好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る自己修復性フィルムを示す模式的断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳説する。
図1の自己修復性フィルム1は、軟質樹脂層2及び基材シート3から構成される。この基材シート3は、表面層4、基材層5及び裏面層6を表面側(軟質樹脂層2が積層される面側)からこの順に有する。
<軟質樹脂層2>
軟質樹脂層2は、ポリウレタン系樹脂から形成されている。この軟質樹脂層2に用いるポリウレタン系樹脂としては、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いることができる。
上記熱硬化性ポリウレタン樹脂は、ポリオール類とポリイソシアネートからなる主原料のうち、原料の少なくとも一部に官能基数が3以上である化合物を使用することによって得られるポリウレタン樹脂である。一方で、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂は、官能基数が2である化合物のみを用いて得られるポリウレタン樹脂である。本発明においては、耐薬品性、耐汚染性、耐久性の観点から軟質樹脂層の材質として熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ポリウレタン系樹脂の原料に用いるポリオール類としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等を挙げることができる。これらの中でも耐久性、コスト、強度、自己修復性のバランスが優れるポリエステル系のポリオールが好ましく、環状エステル(特にカプロラクトン)を開環して得られるポリエステル系ポリオールが特に好ましい。また、ポリオールの官能基数は、平均として1より大きいことを要するが、強度、伸張性、自己修復性のバランスの観点から、2〜3であることが好ましい。また上記ポリオール類はトリオール単体、2種以上のトリオール混合物、又はトリオールとジオールの混合物が好ましい。また上記ポリオール類は、鎖延長剤を含んでいてもよい。この鎖延長剤としては、短鎖ポリオール、短鎖ポリアミン等を挙げることができる。これらの中でも、透明性、柔軟性、反応性の観点から短鎖ポリオールが好ましく、短鎖ジオールが特に好ましい。上記ポリオール類の水酸基価は特に限定されないが、原料ポリオール中の平均水酸基価としては100〜600が好ましく、200〜500がより好ましい。なお、上記平均水酸基価は鎖延長剤を含めて計算した平均水酸基価である。
ポリウレタン系樹脂の原料に用いるポリイソシアネートとしては、耐久黄変性を有する無黄変性ポリイソシアネートが好ましい。無黄変性ポリイソシアネートは、芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネートであり、具体的には例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
上記ポリウレタン系樹脂の原料は、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、ウレタン化触媒、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加してもよい。
軟質樹脂層2の平均厚さの下限値は、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、軟質樹脂層2の平均厚さの上限値は、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。軟質樹脂層2の平均厚さが上記下限値未満の場合、軟質樹脂層2が十分な自己修復性を発揮しないおそれがある。逆に、軟質樹脂層2の平均厚さが上記上限値を超える場合、コストが上昇するばかりで自己修復性効果の向上が得られないほか、当該自己修復性フィルム1の膜厚が大きくなって薄型化の要求に反するおそれがある。
<基材シート3>
基材シート3は、表面に上記軟質樹脂層2が積層される当該自己修復フィルム1の基材であり、上述のように表面層4、基材層5及び裏面層6をこの順に積層して形成される。
基材シート3の平均厚さの下限値は、50μmが好ましく、80μmがより好ましい。一方、基材シート3の平均厚さの上限値は、140μmが好ましく、120μmがより好ましい。基材シート3の平均厚さが上記下限値未満の場合、基材シート3の硬度が十分ではなくなり、軟質樹脂層2が十分な自己修復性を発揮しないおそれがある。逆に、基材シート3の平均厚さが上記上限値を超える場合、当該自己修復性フィルム1の膜厚が大きくなって薄型化の要求に反するおそれがある。
基材シート3の表面の鉛筆硬度はB以上が好ましい。また、上記基材シートの引張強さとしては50MPa以上が好ましい。基材シート3の表面の鉛筆硬度又は引張強さが上記範囲未満であると、基材シート3が十分な硬度を有しないため、軟質樹脂層2に傷が生じた場合に、内部で応力が発生せず、軟質樹脂の流動性が弱まって十分に傷が修復されないおそれがある。
<表面層4>
表面層4は、基材シート3の最表面、つまり上記軟質樹脂層2の裏面に配設され、ポリメチルメタクリレート系樹脂で形成されている。
ポリメチルメタクリレート系樹脂は、メチルメタクリレートを重合することにより製造される。具体的には、脱イオン水、架橋剤、乳化剤、重合開始剤、メチルメタクリレートモノマー、メタクリル酸を反応器に投入して、攪拌しながら昇温させた後、触媒等を投入して重合させることにより製造することができる。
上記架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール、ポリアミン、トリアジン化合物、金属石鹸等を挙げることができる。これらの架橋剤は、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
上記乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを挙げることができる。これらの乳化剤は、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物;過硫酸カリウムなどの無機過酸化物;前記過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系触媒等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
表面層4の平均厚さの下限値は、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、表面層4の平均厚さの上限値は、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。表面層4の平均厚さが上記下限値未満の場合、軟質樹脂層2の支持体である基材シートの硬度が低下し、表面層4が十分な自己修復性を発揮しないおそれがあるほか、耐溶剤性が低下し、軟質樹脂層2を基材シート3の表面に確実に形成できなくなるおそれがある。逆に、表面層4の平均厚さが上記上限値を超える場合、表面層4が割れやすくなるほか、当該自己修復性フィルム1の膜厚が大きくなって薄型化の要求に反するおそれがある。
また表面層4の平均厚さは、後述する基材層5の平均厚さに対して5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下がより好ましく、15%以上30%以下が特に好ましい。基材層5に対する表面層4の平均厚さが上記範囲未満の場合、基材シートの耐溶剤性が低下するおそれがある。逆に、基材層5に対する表面層4の平均厚さが上記範囲を超える場合、当該自己修復性フィルム1の耐衝撃性が低下するおそれがある。
<基材層5>
基材層5は、上記表面層4の裏面に配設され、ポリカーボネート系樹脂で形成されている。このポリカーボネート系樹脂は、直鎖ポリカーボネート系樹脂と分岐ポリカーボネート系樹脂とからなるポリカーボネート樹脂とすることが好ましい。
上記直鎖ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではなく、公知のホスゲン法又は溶融法によって製造された直鎖の芳香族ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。直鎖の芳香族ポリカーボネート系樹脂はカーボネート成分とジフェノール成分とからなる。このカーボネート成分を導入するための前駆物質としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。又、上記ジフェノール成分としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−チオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を混合して使用してもよい。
上記分岐ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではなく、分岐剤を用いて製造したポリカーボネート系樹脂を用いることができる。この分岐剤としては、例えば、フロログルシン、トリメリット酸、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
このような分岐ポリカーボネート系樹脂は、例えば、芳香族ジフェノール類、上記分岐剤およびホスゲンから誘導されるポリカーボネートオリゴマー、芳香族ジフェノール類および末端停止剤を、これらを含む反応混合液が乱流となるように撹拌しながら反応させ、反応混合液の粘度が上昇した時点で、アルカリ水溶液を加えると共に反応混合液を層流として反応させる方法により製造することができる。ポリカーボネート樹脂中の分岐ポリカーボネート系樹脂の含有量は5〜80重量%の範囲であり、10〜60重量%の範囲が好ましい。分岐ポリカーボネート系樹脂の含有量が10重量%より小さいと、伸長粘度が低下し押出成形での成形が困難となり、一方、60重量%を超えると、樹脂の剪断粘度が高くなり成形加工性が低下する。なお、直鎖ポリカーボネート系樹脂のみ、又は分岐ポリカーボネート系樹脂のみから基材層5を形成することもできる。
基材層5の平均厚さの下限値は、40μmが好ましく、55μmがより好ましい。一方、基材層5の平均厚さの上限値は、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。基材層5の平均厚さが上記下限値未満の場合、軟質樹脂層2の支持体である基材シートの硬度が低下し、基材層5が十分な自己修復性を発揮しないおそれがあるほか、当該自己修復性フィルム1の耐衝撃性が低下するおそれがある。逆に、基材層5の平均厚さが上記上限値を超える場合、当該自己修復性フィルム1の膜厚が大きくなって薄型化の要求に反するおそれがある。
基材層5を形成するポリマー樹脂中に微小無機充填剤を含有してもよい。このように基材層5中に微小無機充填剤を含有することで、基材層5、ひいては自己修復性フィルム1の耐熱性が向上する。この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではないが、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物である。無機酸化物を構成する金属元素としては、例えば、元素周期律表第2族〜第6族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表第3族〜第5族から選ばれる元素がさらに好ましい。特に、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、耐熱性向上効果及び均一分散性の観点から微小無機充填剤として最も好ましい。また、微小無機充填剤の形状は、特に限定されるものではなく、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状のものを用いることができる。
微小無機充填剤の平均粒子径の下限値としては、5nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限値としては50nmが好ましく、25nmがより好ましい。微小無機充填剤の平均粒子径が上記下限値未満の場合、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるおそれがある。逆に、平均粒子径が上記上限値を超える場合、短波長の影響で白濁し、基材層5の透明性が低下し、透過率に影響を与えるおそれがある。
さらに、基材層5中に帯電防止剤を含有するとよい。このように帯電防止剤が混練されたポリマー樹脂から基材層5を形成することで、当該自己修復性フィルム1に帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、他の部材との重ね合わせが困難になったりする等の静電気の帯電による不都合を防止することができる。また、帯電防止剤を当該自己修復性フィルム1表面にコーティングすると表面のベタツキや汚濁が生じてしまうが、このように基材層5中に耐電防止剤を混練することでかかる弊害は低減される。この帯電防止剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きいカチオン系帯電防止剤が好ましく、少量の添加で帯電防止効果が奏される。
<裏面層6>
裏面層6は、上記基材層5の裏面に配設され、ポリメチルメタクリレート系樹脂で形成されている。
裏面層6の平均厚さの下限値は、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、裏面層6の平均厚さの上限値は、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。裏面層6の平均厚さが上記下限値未満の場合、基材シート3がカールしやすくなり、当該自己修復性フィルム1の取扱い性が低下するおそれがある。逆に、裏面層6の平均厚さが上記上限値を超える場合、裏面層6が割れやすくなるほか、当該自己修復性フィルム1の膜厚が大きくなって薄型化の要求に反するおそれがある。
また裏面層6の平均厚さは、上記基材層5の平均厚さに対して5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下がより好ましく、15%以上30%以下が特に好ましい。基材層5に対する裏面層6の平均厚さが上記範囲未満の場合、基材シート3がカールしやすくなり、当該自己修復性フィルム1の取扱い性が低下するおそれがある。逆に、基材層5に対する裏面層6の平均厚さが上記範囲を超える場合、当該自己修復性フィルム1の耐衝撃性が低下するおそれがある。
なお上述の各層には、上記の合成樹脂の他に、例えばフィラー、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤等が配合されてもよい。
<自己修復性フィルム1>
自己修復性フィルム1の平均厚さの下限値は、50μmが好ましく、60μmがより好ましく、70μmが特に好ましい。一方、当該自己修復性フィルム1の平均厚さの上限値は、200μmが好ましく、180μmがより好ましく、150μmが特に好ましい。自己修復性フィルム1の平均厚さが上記下限値未満の場合、自己修復性フィルム1の取り扱い性が低下するおそれがある。逆に、自己修復性フィルム1の平均厚さが上記上限値を超える場合、液晶表示装置等の薄型化の要求に反するおそれがある。
当該自己修復性フィルム1の表面の鉛筆硬度は、HB以上が好ましく、H以上がより好ましい。自己修復性フィルム1の表面の鉛筆硬度が上記下限値未満の場合、軟質樹脂層2の自己修復性が低下し、自己修復性フィルム1表面の耐擦傷性が低下するおそれがある。
当該自己修復性フィルム1は、基材シート3の表面にポリウレタン系樹脂で形成された軟質樹脂層2を備えることにより、表面側から衝撃が加わった場合に基材シート3に支持された軟質樹脂層2に応力が働き、軟質樹脂の流動によって高い自己修復性を発揮する。加えて当該自己修復性フィルム1は、基材層5がポリカーボネート系樹脂で形成され、表面層4及び裏面層6がポリメチルメタクリレート系樹脂で形成されることによって基材シート3の硬度を保ちつつ膜厚を小さくすることができる。さらに、表面層4がポリメチルメタクリレート系樹脂であるため耐溶剤性に優れ、軟質樹脂層2を基材シート3の表面に確実かつ容易に形成することができる。また、当該自己修復性フィルム1は、上記基材層5がポリカーボネート系樹脂であることで高い耐衝撃性を有し、さらにポリメチルメタクリレート系樹脂の裏面層6を有することによってカールの発生を防止することができる。さらに上述の各層に用いられるポリウレタン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂及びポリカーボネート系樹脂がそれぞれ高い透明度を有するため、当該自己修復性フィルム1は全光線透過率にも優れる。
<自己修復性フィルム1の製造方法>
当該工程紙1の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、基材シート3の表面に軟質樹脂層2の形成材料であるポリウレタン系樹脂を塗工して形成する方法を用いることができる。この塗工方法としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、グラビアコーター、フローコーター、エアーナイフ、スプレー等を用いたコーティング法を挙げることができる。
また基材シート3の製造方法としては、例えば、表面層4、基材層5及び裏面層6の形成材料を共押出しすることにより基材シート3を形成する方法、基材層5を成形した後に表面層4及び裏面層6の形成材料を基材層5の表面及び裏面に押出すことにより基材シート3を形成する方法、あるいは、表面層4、基材層5及び裏面層6をそれぞれ成形した後に接着剤を塗工してこれら3層を積層する方法等を用いることができる。上記押出方法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等を挙げることができる。さらに、上記フィルム成形方法としては、押出し法、キャスト成形法、切削法等を用いることができ、上記接着剤としては、例えば、ラミネート用接着剤、溶融押出樹脂等を用いることができる。
<その他の実施形態>
本発明の自己修復性フィルムは、上述の実施形態に限定されるものではなく、以下のような実施形態とすることもできる。
本発明の自己修復性フィルムは、裏面層の裏面にさらにポリウレタン系樹脂を主成分とした自己修復性を有する軟質樹脂層を備えることができる。このように基材シートの両面に軟質樹脂層を備えることによって、当該自己修復性フィルムは両面に高い耐擦傷性を有する薄膜フィルムとして種々の用途に用いることができる。
また、本発明の自己修復性フィルムは、上記製造方法で述べたように、基材シートの各層が接着剤等からなる接着剤層を介して積層されていてもよい。
以上のように、本発明の自己修復性フィルムは、薄型化が可能であり、耐擦傷性に優れ、タッチパネル等に好適に用いることができる。
1 自己修復性シート
2 軟質樹脂層
3 基材シート
4 表面層
5 基材層
6 裏面層

Claims (7)

  1. 基材シートと、
    上記基材シートの表面に積層され、自己修復性を有する軟質樹脂層と
    を備え、
    上記基材シートが、
    ポリカーボネート系樹脂を主成分として含有する基材層と、
    上記基材層の表面側に積層され、ポリメチルメタクリレート系樹脂を主成分として含有する表面層と、
    上記基材層の裏面側に積層され、ポリメチルメタクリレート系樹脂を主成分として含有する裏面層と
    を有し、
    上記軟質樹脂層が、ポリウレタン系樹脂を主成分として含有する自己修復性フィルム。
  2. 上記基材シートの表面の鉛筆硬度がB以上である請求項1に記載の自己修復性フィルム。
  3. 上記基材シートの引張強さが50MPa以上である請求項1又は請求項2に記載の自己修復性フィルム。
  4. 平均厚さが50μm以上200μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の自己修復性フィルム。
  5. 上記表面層及び裏面層の平均厚さが、上記基材層の平均厚さの5%以上50%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自己修復性フィルム。
  6. 表面の鉛筆硬度がHB以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の自己修復性フィルム。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の自己修復性フィルムを用いたタッチパネル。
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