添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。以下では本発明の各実施形態を医療画像診断装置、分析装置等に用いられる放射線撮像装置の文脈で説明する。本発明において、光は可視光および赤外線を含み、放射線はX線、α線、β線およびγ線を含む。
図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る放射線撮像装置100の概略構成例を説明する。放射線撮像装置100はシンチレータ部110と撮像パネル120とを備えうる。図1において、説明のためにシンチレータ部110と撮像パネル120とを離して描いているが、後述するように実際にはシンチレータ部110と撮像パネル120とは重なって配置されうる。撮像パネル120は複数の撮像基板130と基台140とを有しうる。複数の撮像基板130は並べて配置され、1つの撮像面を形成するようにそれぞれ基台140に固定される。各撮像基板130はマトリクス状に配置された複数の光電変換素子を有し、光を検出して電気信号に変換する。光電変換素子として、例えば結晶シリコンを用いたCMOSセンサ、非晶質シリコンを用いたPIN型センサやMIS型センサを用いることができる。撮像基板130は光を検出して電気信号に変換できる既存の構成を用いればよい。このような構成は当業者に周知であるため、以下ではその詳細な説明を省略する。
矢印150の方向から被検体に向けて曝射された放射線は、被検体により減衰を受けた後、シンチレータ部110に入射する。シンチレータ部110はこの放射線を光電変換素子が検出可能な波長の光(例えば可視光)に変換する。シンチレータ部110で変換された光は撮像基板130に入射し、電気信号に変換されて、この電気信号を元に画像が生成される。放射線撮像装置100がこの動作を繰り返すことで動画像を得ることもできる。
続いて、図2の平面図を参照しつつ、放射線撮像装置100の撮像基板130の画素の配置例を説明する。各撮像基板130は複数の画素131を有する。図2では説明のために画素の輪郭を実線で示しているが、実際の装置ではこの輪郭は示されない。撮像基板130の外周部分に位置する画素131、すなわち撮像基板130の縁に接する画素131は光電変換素子133を有し、それ以外の画素131は光電変換素子132を有する。図2のように、複数の撮像基板130を並べて配置して1つの撮像面を形成する場合に、撮像面全体で画素ピッチPが等しくなるようにしうる。隣接する撮像基板130の間には隙間が生じるため、画素ピッチPが等しくなるようにするために、撮像基板130の縁に接する画素131に含まれる光電変換素子133の面積を、その他の光電変換素子132の面積よりも小さくしうる。これにより、放射線撮像装置100によリ取得される画像の歪み等を軽減しうる。
画素ピッチPを等しくしたとしても、2つの撮像基板130にまたがって隣接する2つの画素131の光電変換素子に挟まれる領域S1の幅は、同一の撮像基板130内にある2つの画素131の光電変換素子に挟まれる領域S2の幅よりも広くなる。領域S1や領域S2のように光電変換素子が存在しない領域に入射した光は光電変換素子において検出されないため、これらの領域の画像情報が放射線撮像装置により得られる画像から欠損してしまう。後述するように、本実施形態によれば、光電変換素子132、133は領域S1や領域S2を覆う位置でシンチレータ部110により変換された光を検出できる。
例えば乳房診断のように高解像度の画像が望まれる場合に、画素ピッチPが100um以下となるように放射線撮像装置100を設計しうる。撮像基板の切断精度及び貼り合わせ精度に起因して、隣接する撮像基板130の間の隙間の低減には限界があるため、画素ピッチPを小さくした場合には領域S1の幅と領域S2の幅との違いが一層顕著に現われる。
続いて、図3の断面図を参照しつつ、放射線撮像装置100の詳細な構造例を説明する。複数の撮像基板130は粘着剤または接着剤などの接続部材160によって基台140に固定される。図3(a)に示されるように、シンチレータ部110は第1シンチレータ層111と、変換した光を第1シンチレータ層111よりも広い範囲に拡散する第2シンチレータ層112とを含みうる。第2シンチレータ層112は例えばTl(タリウム)をドープした板状のCsI(ヨウ化セシウム)であり、第1シンチレータ層111は例えばTlをドープしたCsIの柱状結晶の集合体(柱状構造)である。これらは蒸着法によって形成されうる。
図3(a)において、丸印はシンチレータ部110における発光点を示し、丸印から延びる矢印は発光点で発生した光の一部の進行方向を示す。第1シンチレータ層111において発光した光は柱状結晶に沿って撮像パネル120に直交する方向に進む。一方、第2シンチレータ層112において発光した光は放射線状に広がる。そのため、領域S1を覆う第2シンチレータ層112の部分で発光した光のうち、矢印で示す光は領域S1に隣接する光電変換素子133に入射し、電気信号に変換される。このように、本実施形態では、隣接する撮像基板130の間の領域を覆うシンチレータ部110が広い範囲に光を拡散する第2シンチレータ層112を有するので、この領域において変換された光を光電変換素子133が検出でき、画像情報の欠損を軽減できる。また、シンチレータ部110は柱状構造を有する第1シンチレータ層111も含むので、画像の鮮鋭度も維持できる。
本実施形態において、画像情報の欠損の軽減よりも、放射線撮像装置100で得られる画像の鮮鋭度の向上を優先する場合には、シンチレータ部110のうち、第1シンチレータ層111が占める割合を増やせばよい。例えば、第2シンチレータ層112の厚みを第1シンチレータ層111の厚みよりも薄くしてもよい。
図3(a)の例では、第2シンチレータ層112が第1シンチレータ層111よりも撮像パネル120に近い位置にあるが、この逆に、第1シンチレータ層111が第2シンチレータ層112よりも撮像パネル120に近い位置にあってもよい。言い換えると、第2シンチレータ層112が第1シンチレータ層111と撮像パネル120との間に配置されてもよいし、第1シンチレータ層111が第2シンチレータ層112と撮像パネル120との間に配置されてもよい。第2シンチレータ層112が第1シンチレータ層111と撮像パネル120との間にある場合は、その逆の場合と比較して、第2シンチレータ層112で変換された光が撮像パネル120に入射する範囲が狭まるので、画像の鮮鋭度が向上する。また、図3(a)の例では、撮像パネル120全体を覆う位置においてシンチレータ部110が第2シンチレータ層112を含む。しかし、少なくとも隣接する撮像基板130の間の領域においてシンチレータ部110が第2シンチレータ層112を含めば上述の効果は達成される。広い範囲に光を拡散する第2シンチレータ層112が第1シンチレータ層111よりも撮像パネル120に近い位置にある方が上述の効果が顕著に現われる。第1シンチレータ層111が第2シンチレータ層112よりも撮像パネル120に近い位置にあると、隣接する撮像基板130の間の領域の第1シンチレータ111で発光した光は、隣接する撮像基板130の間を透過しうる。一方、第2シンチレータ層112が第1シンチレータ層111よりも撮像パネル120に近い位置にあると、隣接する撮像基板130の間の領域の第1シンチレータ層111と第2シンチレータ層112で発光した光はいずれも拡散されうる。そのため、第2シンチレータ層112が第1シンチレータ層111よりも撮像パネル120に近い位置にある方が、隣接する撮像基板130の間を透過し得る光の量が低減されうる。
図3(b)のように、CsIの粉末と樹脂との混合物を塗布することにより撮像パネル120上に第2シンチレータ層112を形成した後、この直上にCsIを蒸着して柱状構造を有する第1シンチレータ層111を形成してもよい。また、図3(c)のように、粒状のGOS(酸硫化ガドリニウム)と樹脂との混合物を塗布することにより撮像パネル120上に第2シンチレータ層112を形成した後、この直上にCsIを蒸着して柱状構造を有する第1シンチレータ層111を形成してもよい。
また、シンチレータ部110がCsIで形成される場合に、そのCsIにドープされるTlの濃度によりシンチレータ部110の発光特性が変化する。そこで、光電変換素子近傍での発光量を上げ、撮像基板130の感度を向上させるために、第2シンチレータ層112におけるTlの濃度を第1シンチレータ層111におけるTlの濃度よりも高くしてもよい。
続いて、図4を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る放射線撮像装置400の概略構成例を説明する。第1実施形態で説明された各種の変形は本実施形態にも適用可能である。放射線撮像装置400は放射線撮像装置100と同様の構成を有しうるが、矢印450の方向から入射された放射線を検出する点で異なる。また、放射線撮像装置400はシンチレータ部110の代わりにシンチレータ部410を有しうる。放射線撮像装置400では、放射線が撮像基板130を透過できるように、撮像基板130として厚みが例えば数百μm程度のものを使用しうる。また、基台140として、カーボン基板のように放射線の吸収の小さい材料を使用するか、厚みの薄いガラス基板やアルミ基板を使用しうる。
続いて、図5の断面図を参照しつつ、放射線撮像装置400の詳細な構造例を説明する。シンチレータ部410はシンチレータ部110と同様に、第1シンチレータ層111と第2シンチレータ層112とを含みうる。これらのシンチレータ層の機能は第1実施形態で説明したものと同様であるため、以下では重複する説明を省略する。撮像パネル120と第2シンチレータ層112とは接続部材460により接着され、第2シンチレータ層112と第1シンチレータ層111とは接続部材470により接着される。接続部材460、470として粘着剤又は接着剤を用いうる。
放射線撮像装置400において、矢印450の方向から入射した放射線は、まず第2シンチレータ層112に入射し、第2シンチレータ層112で変換されずに残った放射線が第1シンチレータ層111に入射する。そのため、放射線撮像装置100と比較して、第2シンチレータ層112においてより多くの放射線が光に変換される。その結果、放射線撮像装置100と比較して、隣接する撮像基板130の間の部分の画像情報をより高感度で検出できる。
また、一般にシンチレータは膜質が均一であれば放射線の入射側ほどより多くの放射線を吸収し、光に変換する。よって、本実施形態のように放射線を撮像パネル120の側から照射する場合に、光電変換素子の近傍で多くの放射線が光に変換されるため、撮像基板130の全面において感度が向上する。さらに、発光点が光電変換素子の近傍になるため、光電変換素子への不要な光の入射を抑えることができ、画像鮮鋭度が向上する。
<その他の実施形態>
図6は本発明に係る放射線用の検出装置のX線診断システム(放射線撮像システム)への応用例を示した図である。X線チューブ6050(放射線源)で発生した放射線としてのX線6060は、被験者又は患者6061の胸部6062を透過し、シンチレータ部110、410を含むシンチレータを本発明の検出装置の上部に配置した検出装置6040に入射する。ここで、シンチレータを上部に配置した検出装置は放射線用の検出装置を構成する。この入射したX線には患者6061の体内部の情報が含まれている。X線の入射に対応してシンチレータは発光し、これを光電変換して、電気的情報を得る。この情報はデジタル信号に変換され信号処理手段となるイメージプロセッサ6070により画像処理され制御室の表示手段となるディスプレイ6080で観察できる。なお、放射線撮像システムは、検出装置と、検出装置からの信号を処理する信号処理手段とを少なくとも有する。
また、この情報は電話回線6090等の伝送処理手段により遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールームなど表示手段となるディスプレイ6081に表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また記録手段となるフィルムプロセッサ6100により記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。