JP2013155231A - 梯子型ポリシルセスキオキサンおよびその製造方法、ならびに硬化樹脂形成用組成物 - Google Patents

梯子型ポリシルセスキオキサンおよびその製造方法、ならびに硬化樹脂形成用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ラダーシリコーンのゲル化防止と良好な架橋反応性とを両立できる高反応性の梯子型ポリシルセスキオキサン(ラダーシリコーン)、その製造方法および当該梯子型ポリシルセスキオキサンを含有する硬化樹脂形成用組成物を提供する。
【解決手段】ラダーシリコーンのラダー骨格末端に、炭素−炭素2重結合または特定のポリシロキシ基を有するケイ素含有基が導入された梯子型ポリシルセスキオキサンとすると共に、これを使用して硬化樹脂形成用組成物とする。また、特定のシロキサン化合物によるラダーシリコーンの末端シラノール封鎖反応により、当該梯子型ポリシルセスキオキサンを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱コーティング剤、接着剤、絶縁膜、および半導体素子や光素子の封止材等、硬化樹脂形成に好適な梯子型ポリシルセスキオキサンに関する。
ケイ素と酸素が交互に結合したシロキサン骨格を有する高分子樹脂は、一般にシリコーンとよばれ、そのケイ素−酸素(Si−O)結合エネルギーが汎用有機樹脂骨格を形成する炭素−炭素(C−C)結合のそれより大きいため、耐熱性の高い材料とされている。シリコーンの原料は、加水分解性官能基を有するシラン化合物であり、加水分解性官能基を2個有するシラン化合物の加水分解物(Dモノマー;RSi(OH):Rは有機基)の脱水重縮合物が、線状のシロキサン骨格をもつシリコーンとなる。
Si−O結合は、C−C結合より結合距離が長く、回転自由度が大きいので、線状のシロキサン骨格をもつシリコーンは、シリコーンゴムなど軟質系耐熱材料として広く利用されている。
また、加水分解性官能基を3個もつシラン化合物の加水分解物(Tモノマー;RSi(OH):Rは有機基)の脱水重縮合物は、シルセスキオキサンと呼ばれる。シルセスキオキサンには、籠型、梯子型など様々な形態があるとされる。このうち、4個のTモノマーがシロキサン結合で環状になった、式(11)に示すT4テトラオール体が、準安定状態のシルセスキオキサンと考えられている。
Figure 2013155231
このT4テトラオール体を単位構造に、その1対2個のシラノール基同士が脱水縮合を繰り返して梯子状に連なった、式(12)に示す構造を持つ梯子型ポリシルセスキオキサンは、通称「ラダーシリコーン」と呼ばれる。
Figure 2013155231
式(12)において、lは2以上の整数であり、lが2のときが式(11)に示すシルセスキオキサンである。なお、本明細書中において、梯子型ポリシルセスキオキサン(ラダーシリコーン)と称したときは、特に断りのない限り、便宜上式(11)に示すシルセスキオキサンも含むものとする。
回転自由度の大きなシロキサン結合でも、梯子状に連結されたことで立体的に剛直となり、そのため、ラダーシリコーンは硬質材料になると見なされている。また、シリコーンの耐熱性は、そのシロキサン骨格に依存するので、線状シロキサン骨格のポリシロキサンより、ラダー状シロキサン骨格を有するラダーシリコーンの方が、シロキサンの比率が高く、耐熱性も高い。
ラダーシリコーンの原料となるシラン化合物の加水分解性官能基以外の有機基に、所定の反応性基を用いれば、合成されたラダーシリコーンに種々の反応性を付与することが可能となる。特許文献1には、ラダーシリコーン側鎖に(メタ)アクリロキシ基などの架橋反応性基を導入したものが開示されている。
ラダーシリコーンの耐熱性において、原料のTモノマー中のSi(ケイ素)に対する有機基(R)の割合(質量割合)が少なければ、それだけ耐熱性が向上すると考えられる。すなわち、最小のアルキル基であるメチル基を有するTモノマーの割合が多くなれば、それだけ耐熱性の向上が期待できる。
しかしながら、メチル基を有するモノマーの重縮合反応速度は高すぎて、ラダーシリコーンの合成時にゲル化してしまうため、これを制御する技術としてラダー骨格(梯子状構造)末端の封鎖技術が考案された。特許文献2には、ラダー骨格末端のシラノール基をトリメチルシリル化することで、合成時のゲル化を防ぎ、安定な反応性ラダーシリコーンを得る技術が開示されている。また、特許文献3は、ラダー骨格末端の封鎖処理剤として様々なシリル化剤を開示している。
ところで、ラダーシリコーンに架橋反応性基を導入することで、他の反応性高分子化合物が組み込まれることも含め、当該ラダーシリコーンが架橋した高機能樹脂を得ることが期待されるため、様々な試みがなされている。一方、特許文献4には、ラダーシリコーンの側鎖に導入されたメタクリル基あるいはアクリル基は、ラダー骨格の制約のため、分子間のラジカル重合反応性が阻害されることが記載されている。同文献では、その解決のためにラダー構造と回転自由度の大きな線状のシロキサン構造の両構造を有するシリコーンとすることで、シリコーン側鎖のメタクリル基またはアクリル基による高分子間のラジカル重合反応性を向上させる技術が開示されている。
しかし、ラダーシリコーンのゲル化防止と良好な架橋反応性の両立の点では、いずれの技術でも不十分である。すなわち、ラダーシリコーンの合成時、あるいは合成後の保存安定性に影響するラダー骨格末端の重縮合反応性を充分に封鎖しつつ、ラダーシリコーンの架橋反応性を高める技術については、いまだ開発されていない。
特開平04−028722号公報 特開平06−279586号公報 特開平08−073593号公報 特開2010−270235号公報
本発明は、ラダーシリコーンのゲル化防止(ラダー骨格末端の重縮合反応性の抑制)と良好な架橋反応性の両立を図ることを課題とする。すなわち、本発明は、高い架橋反応性を有し、かつ、ラダーシリコーンの合成時及び保存時の安定性に問題となるラダー骨格末端が封鎖処理された、高反応性の梯子型ポリシルセスキオキサン(ラダーシリコーン)を提供することを目的とする。さらに、当該梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法、および当該梯子型ポリシルセスキオキサンを含有する硬化樹脂形成用組成物を提供することも目的とする。なお、本明細書中において、ラダーシリコーンは梯子型ポリシルセスキオキサンと同義で使用するものとする。
本発明の課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ね、ラダーシリコーンのラダー骨格末端に特定のケイ素含有基を導入することで、上記ラダー骨格末端の重縮合反応性の抑制と良好な架橋反応性の両立を図ることに成功し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの構造の1つは、下記の式(1)で表わされ、重量平均分子量が10,000以下であることを特徴とする。
Figure 2013155231
[式(1)中、Rは、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基から選択され、全て同じ基であっても、これらの基から任意に選択されて任意の割合で混在してもよい。XおよびXは、一方が下記の式(2)および他方が下記の式(3)で表わされる基である。XおよびXも、一方が下記の式(2)および他方が下記の式(3)で表わされる基である。
Figure 2013155231
Figure 2013155231
式(3)中、R1〜Rは、そのうちの少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基であり、他はメチル基またはトリメチルシロキシ基である。nは2以上の整数である。]
好ましくは、式(1)に示す梯子型ポリシルセスキオキサンは、下記の式(4)で表わされる化合物と、下記の式(5)で表わされる化合物との反応生成物である。なお、式(4)および式(5)中の、R、R〜Rおよびnは、前記式(1)および式(3)と同じである。
Figure 2013155231
Figure 2013155231
また、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの他の構造は、下記の式(6)で表わされることを特徴とする。
Figure 2013155231
[式(6)中、Rは、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基から選択され、全て同じ基であっても、これらの基から任意に選択されて任意の割合で混在してもよく、その少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基である。XおよびXは、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(7)で表わされる基である。XおよびXも、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(7)で表わされる基である。
Figure 2013155231
Figure 2013155231
式(7)中、R〜Rは、そのうちの少なくとも一つは下記の式(8);
Figure 2013155231
(式(8)中、mは1〜3の整数)で表わされる基であって、他はメチル基である。nは2以上の整数である。]
好ましくは、式(6)に示す梯子型ポリシルセスキオキサンは、下記の式(9)で表わされる化合物と、下記の式(10)で表わされる化合物との反応生成物である。なお、式(9)および式(10)中の、R、R〜R、およびnは、前記式(6)および式(7)と同じである。
Figure 2013155231
Figure 2013155231
また、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法の1つは、酸性物質を含む溶液中で、前記式(4)で表わされる化合物と、前記式(5)で表わされる化合物とを反応させることを特徴とする。
さらに、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの他の製造方法は、酸性物質を含む溶液中で、前記式(9)で表わされる化合物と、前記式(10)で表わされる化合物とを反応させることを特徴とする。
また、本発明の硬化樹脂形成用組成物は、前記式(1)もしくは式(6)で表される梯子型ポリシルセスキオキサン、または式(1)および式(6)で表される両方の梯子型ポリシルセスキオキサンを含有することを特徴とする。
本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンは、ラダー骨格末端に特定のケイ素含有基を導入したことにより、ラダー骨格末端の重縮合反応性を充分に封鎖しつつ、良好な架橋反応性を発現する。したがって、当該梯子型ポリシルセスキオキサンを含有する本発明の硬化樹脂形成用組成物は、耐熱コーティング剤、接着剤、絶縁膜、および半導体素子や光素子の封止材等に好適な硬化樹脂を形成することができる。また、本発明に係る梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法によれば、ラダー骨格末端に特定のケイ素含有基を導入することができ、上記優れた特徴を有する梯子型ポリシルセスキオキサンを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの基本構造は、上記式(1)および式(6)に示す通りである。式中Rで示される側鎖は、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アリール基から任意に選ぶことができるが、最終的な硬化組成物の耐熱性を考慮すれば、有機官能基の含有率は可能な限り低くするほうがよい。そのため、当該側鎖においては、最小の有機官能基であるメチル基の割合が50モル%を超えることが好ましい。
また、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンは、そのラダー末端構造がラダーシリコーンの樹脂物性に効果的に作用することを見出したことによるものである。したがって、ラダーシリコーンの平均分子量が大きくなると、それだけ、ラダーシリコーン中での末端部の占有割合が低下し、物性に与える影響が小さくなる。よって、当該ラダーシリコーンの分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜10,000の範囲にあることが好ましく、1,000〜5,000であることがより好ましい
下限の分子量である1,000は、側鎖Rおよび末端の置換官能基Xの種類にもよるが、最小単位(n=2)のラダーシリコーンにあたるT4テトラオール体を、本発明に係る末端封鎖処理した構造にほぼ相当する。
なお、上記した分子量範囲のラダーシリコーンは、末端をトリメチルシロキシ化することにより高粘性の液状となるが、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンは、これらよりも低粘度の液状となり、側鎖あるいは末端に導入された架橋反応性基の分子間架橋反応性が向上する。
本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンのラダー末端構造は、上記式(1)および式(6)に示したように、ほぼ全ての末端シラノール基の水素がX〜Xで示す官能基に置換されたものである。X〜Xは、式(2)、式(3)および式(7)に示すケイ素含有基であり、当該ケイ素含有基のケイ素と末端酸素が結合する形で封鎖されている。
本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの構造の1つは式(1)で示され、両末端の各々一方が式(3)で表すケイ素含有基で封鎖されている。当該ケイ素含有基中には、少なくとも一つの炭素−炭素2重結合が存在し、よって、両末端に各々少なくとも一つの炭素−炭素2重結合が導入された構造をしている。
また、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの別の構造は式(6)で示され、両末端の各々一方が式(7)で表すケイ素含有基で封鎖されている。当該ケイ素含有基中には、少なくとも一つの式(8)に示す複数のメチル基を有するケイ素含有基が存在し、よって、両末端に各々少なくとも一つの式(8)で表す官能基が導入された構造をしている。
ここで、便宜上、式(1)に示す構造を構造A、式(6)に示す構造を構造Bと称することとする。また、式(8)に示す基を「ポリメチル(ポリ)シロキシ基」と称することとする。構造Bにおいては、複数の側鎖Rのうち少なくとも一つの側鎖に炭素−炭素2重結合が存在する。構造Aの末端の炭素−炭素2重結合、および構造Bの側鎖の炭素−炭素2重結合が、架橋反応性基として働き、分子間架橋の役割を担う。
構造Aの梯子型ポリシルセスキオキサンは、式(4)に示すラダーシリコーンの末端シラノール基と、式(5)に示すシロキサン化合物とを反応させることにより得ることが好ましい。並ぶようにして近傍に存在する2つのシラノール基を同時に封鎖することができ、副生物の生成を抑制して確実にラダー末端を封鎖すると共に、効率よくラダー末端に炭素−炭素2重結合を導入することができるからである。
構造Bの梯子型ポリシルセスキオキサンは、式(9)に示すラダーシリコーンの末端シラノール基と、式(10)に示すシロキサン化合物とを反応させることにより得ることが好ましい。構造Aの場合と同じように、並ぶようにして近傍に存在する2つのシラノール基を同時に封鎖することができ、副生物の生成を抑制して確実にラダー末端を封鎖すると共に、効率よくラダー末端にポリメチル(ポリ)シロキシ基を導入することができるからである。また、構造A、構造Bのいずれも、その両末端が各々のシロキサン化合物で封鎖される。
つづいて、構造Aおよび構造Bごとに、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの特徴的な置換官能基部分についてさらに詳細に説明する。
まず、構造Aの複数の側鎖Rは、各々独立に炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基であり、同じであっても異なっていてもよい。すなわち、複数存在するRが、全て同じ置換基であっても、一部が同じであっても、あるいは全てが異なっていてもよい。また、同じアルキル基であってもその鎖長が異なっていてもよい。他の置換基についても同様である。
側鎖Rは、その炭素数が1〜10が好ましく、1〜7がより好ましい。当該ポリシルセスキオキサン自体の低粘度化と、硬化樹脂を形成したときの良好な硬化性を両立できるからである。さらに好ましくはRの50モル%以上がメチル基である。当該梯子型ポリシルセスキオキサンを使用して製造される硬化樹脂の耐熱性を高くすることができるからである。
構造Aの末端置換基である、XおよびXは、一方が下記の式(2)および他方が下記の式(3)で表わされる基である。XおよびXも、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(3)で表わされる基である。
Figure 2013155231
Figure 2013155231
式(3)中、R1〜Rは、そのうちの少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基であり、他はメチル基またはトリメチルシロキシ基である。
ここにおいて、式(3)中のR〜Rは、そのうちの一つが炭素−炭素2重結合を有する有機基であり、他の二つが各々独立にメチル基またはトリメチルシロキシ基であることが好ましい。また、炭素−炭素2重結合を有する有機基の炭素数は2〜10が好ましい。末端での架橋性が良好だからである。
なお、上記したように、X〜Xは、下記式(5)のシロキサン化合物による末端封鎖反応によって導入されたものであることが好ましい。
Figure 2013155231
式(5)で表されるシロキサン化合物の具体例としては、次のような化合物を例示できる。すなわち、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、アリル(トリメチルシロキシ)ジメチルシラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ビニルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビニル(トリメチルシロキシ)ジメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−メタクリロキシプロピル(トリメチルシロキシ)ジメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−アクリロキシプロピル(トリメチルシロキシ)ジメチルシラン、p−スチリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、p−スチリルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、p−スチリル(トリメチルシロキシ)ジメチルシラン等である。
構造Aの梯子型ポリシルセスキオキサンは、末端シラノール基が置換基X〜Xで確実に封鎖されているため、シラノール基による好ましくない重縮合反応によるゲル化を効果的に防止することができる。同時に、架橋反応性が良好である末端部位に、架橋反応性基である炭素−炭素二重結合を有しているので、物性の良好な架橋型硬化樹脂を形成することができる。
次に、構造Bの梯子型ポリシルセスキオキサンについて説明する。構造Bの複数の側鎖Rは、各々独立に炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基であり、同じであっても異なっていてもよい。すなわち、複数存在するRが、全て同じ置換基であっても、一部が同じであっても、あるいは全てが異なっていてもよい。また、同じアルキル基であってもその鎖長が異なっていてもよい。他の置換基についても同様である。ただし、複数のRのうち少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基である。
炭素−炭素2重結合を有する有機基以外の側鎖Rは、その炭素数が1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。当該ポリシルセスキオキサン自体の低粘度化と、硬化樹脂を形成したときの良好な硬化性を両立できるからである。また、少なくとも一つ存在する炭素−炭素2重結合を有する有機基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましい。当該炭素−炭素2重結合が良好な架橋性を発揮するからである。
側鎖Rの50モル%以上がメチル基であることがさらに好ましい。当該梯子型ポリシルセスキオキサンを使用して製造される硬化樹脂の耐熱性を高くすることができるからである。
構造Bの末端置換基である、XおよびXは、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(7)で表わされる基である。XおよびXも、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(7)で表わされる基である。
Figure 2013155231
Figure 2013155231
式(7)中、R〜Rは、そのうちの少なくとも一つは下記の式(8);
Figure 2013155231
(式(8)中、mは1〜3の整数)で表わされる基であって、他はメチル基である。
ここにおいて、式(7)中のR〜Rは、そのうちの一つが式(8)に示すポリメチル(ポリ)シロキシ基であって、他の二つがメチル基であることが好ましい。当該ポリシルセスキオキサン自体の低粘度化に効果的だからである。
なお、上記したように、X〜Xは、下記式(10)のシロキサン化合物による末端封鎖反応によって導入されたものであることが好ましい。
Figure 2013155231
構造Bの梯子型ポリシルセスキオキサンは、ラダーシリコーンの両末端それぞれに、少なくとも一つの、式(8)で示されるポリメチル(ポリ)シロキシ基が導入されおり、汎用のラダーシリコーンと比較して、非常に低粘度の液状ポリマーとなっている。その粘度低下のレベルは、ほぼ同じ重量平均分子量の式(2)であらわされるトリメチルシリル基のみで封鎖されたものとの比較で、1/5〜1/10程度である。
構造Bの梯子型ポリシルセスキオキサンは、その側鎖の少なくとも一つに導入されている炭素−炭素2重結合が架橋反応性基としての役割を担うのであるが、構造Bは上記のように非常に低粘度の液状ポリマーであるため、当該2重結合の分子間架橋反応性が高い。また、構造Aと同様、末端シラノール基が置換基X〜Xで確実に封鎖されているため、シラノール基による好ましくない重縮合反応によるゲル化を効果的に防止することができる。
式(10)で表されるシロキサン化合物の具体例としては、次のような化合物を例示できる。すなわち、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン等である。
上記説明したように、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンは、構造A、構造Bのいずれも、ラダー骨格末端の重縮合反応性を充分に封鎖してゲル化を防止し、良好な架橋反応性を発現する。すなわち、構造Aと構造Bは、ゲル化防止と良好な架橋反応性を両立できる点で、共通する特別な技術的特徴を有する。
したがって、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの構造A、構造Bまたはこの両者を含有する本発明の硬化樹脂形成用組成物は、耐熱コーティング剤、接着剤、絶縁膜、および半導体素子や光素子の封止材等に好適な硬化樹脂を形成することができる。
次に、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法の実施の形態について説明する。
まず、両末端に一対のシラノール基を有する式(4)または式(9)に示すラダーシリコーンは、例えば、次のようにして合成することができる。原料シラン化合物としてオルガノトリアルコキシシランを使用することができ、具体的化合物としては、次のようなものが例示される。
すなわち、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、などのメチルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロフェニルトリメトキシシラン、m−トリルトリメトキシシランなどの置換もしくは無置換アリールトリアルコキシシランなどが挙げられる。また、炭素−炭素二重結合含有重合性(架橋性)官能基を有する原料シラン類としては、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシランなどが例示される。
これらのシラン化合物を原料として、まず加水分解反応によりシラノール基を生成させ、ついで、重縮合反応させることによって、式(4)または式(9)に示すようなラダーシリコーンを合成することができる。反応触媒としては、酸または塩基のいずれでもよい。本発明では、式(4)または式(9)に示すようなラダーシリコーンの合成と、末端シラノール基の封鎖反応を同一反応容器内で一貫して行うことができ、その場合は酸触媒を用いる。
酸触媒としては、塩酸、シュウ酸などの無機酸、ギ酸、またはp−トルエンスルホン酸などの有機酸が使用できる。酸触媒の濃度および強度は加水分解反応やその後の重縮合反応速度を変化させるので、適宜選択される。これらの中でも、塩酸が強度や水洗除去の容易性から好適である。
合成反応に使用する溶剤には、加水分解に必要な水および原料シラン類いずれにも良好な親和性を示すことが好ましく、生成するラダーシリコーン自体を溶解するものがより好ましい。例示すれば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。トリアルコキシシラン類を原料とするため、加水分解の進行とともに親水的なアルコールが副生するので、親水性の限定的な極性溶剤、例えば、酢酸エステル類でも使用は可能である。
以下、実施例により、本発明の実施の形態についてより具体的に説明する。また、比較例を示すことにより、本実施の形態の優位性を明らかにする。
1.原料化合物
メチルトリエトキシシラン(KBE−13)、フェニルトリエトキシシラン(KBE−103)、ビニルトリエトキシシラン(KBE−1003)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503)、および3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103):信越化学工業株式会社製。
ドデカメチルペンタシロキサン、およびビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン:シグマアルドリッチジャパン株式会社製。
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、および1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン:東京化成工業株式会社製。
2.赤外吸収(IR)スペクトル測定
所望の反応の進行および所望の官能基の導入について、IRスペクトル測定により確認した。IRスペクトルは、株式会社島津製作所製のIR−Prestige−21を使用し、透過法により測定した。
3.分子量測定
合成物(反応生成物)であるラダーシリコーンの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。分子量測定装置としては、東ソー株式会社製のHLC−8220GPCを使用した。カラムとしては、東ソー株式会社製のTSKgelG4000Hxl、TSKgelG3000HxlおよびTSKgelG2000Hxlの連結仕様をこの順に接続したものを用いた。また、移動相としてはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。
4.粘度測定
合成物(反応生成物)であるラダーシリコーンの粘度は、東機産業株式会社製の、粘度計VISCOMATE−TV−10と恒温槽VISCOMATE−VM−150IIIとを接続し、測定セルを25℃に保持して測定した。
合成例1:末端メタクリロキシ基導入梯子型ポリシルセスキオキサン(構造A)の合成
温度計、攪拌装置、還流冷却器を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール132.7g、メチルトリエトキシシラン95.6g(0.536モル)、およびフェニルトリエトキシシラン32.2g(0.133モル)を仕込んだ。ついで、フラスコ内の温度を氷水浴で5℃以下に冷却し、濃塩酸5.6gおよび純水110.6gを入れた滴下ロートをフラスコに取り付け、フラスコ内温度を15℃以下に保持しつつ30分間かけて滴下した。続いてフラスコ内を15℃まで昇温して7時間反応後、一晩静置した。
静置後、フラスコ内に、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート90.0g(0.213モル)と濃塩酸16.6gを投入し、75℃まで昇温して7時間反応させた。当該反応溶液を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、副生したアルコール類などの揮発成分約250mLを留去し、濃縮した。
当該濃縮した反応溶液を、2Lの分液ロートに移し、メチルイソブチルケトン300gを添加し、純水約200mLを加えて水洗した。さらに、水相のpHが5以上になるまで純水で水洗を繰り返した。水洗後、溶剤相を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去して粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンaを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンaの重量平均分子量は1,700で、その粘度は1,100mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、一方がトリメチルシロキシ基として、他方が[ビス(トリメチルシロキシ)−3−メタクリルプロピル]シロキシ基として封鎖されている。
合成例2:末端ビニル基導入梯子型ポリシルセスキオキサン(構造A)の合成
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートの代わりにビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン68.7g(0.213モル)を使用した以外は、合成例1と同様に合成反応を行った。その結果、粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンbを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンbの重量平均分子量は1,500で、その粘度は8,600mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シランとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、一方がトリメチルシロキシ基として、他方が[ビス(トリメチルシロキシ)−ビニル]シロキシ基として封鎖されている。
合成例3:末端アリル基導入梯子型ポリシルセスキオキサン(構造A)の合成
3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートの代わりにアリルトリス(トリメチルシロキシ)シラン71.8g(0.213モル)を使用した以外は、合成例1と同様に合成反応を行った。その結果、粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンcを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンcの重量平均分子量は1,600で、その粘度は5,200mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、アリルトリス(トリメチルシロキシ)シランとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、一方がトリメチルシロキシ基として、他方が[ビス(トリメチルシロキシ)−アリル]シロキシ基として封鎖されている。
合成例4:側鎖アクリロキシ基導入、末端ペンタメチルジシロキシ基導入梯子型ポリシルセスキオキサン(構造B)の合成
温度計、攪拌装置、還流冷却器を取り付けた2Lセパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール198.0g、メチルトリエトキシシラン340.7g(1.911モル)、フェニルトリエトキシシラン114.9g(0.478モル)、および3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン98.9g(0.422モル)を仕込んだ。ついで、フラスコ内の温度を氷水浴で5℃以下に冷却し、濃塩酸33.0gおよび純水165.0gを入れた滴下ロートをフラスコに取り付け、フラスコ内温度を15℃以下に保持しつつ30分間かけて滴下した。滴下後、1時間反応させてからフラスコ内を15℃まで昇温し、一晩静置した。
静置後、60℃に昇温させてさらに1時間反応させた後、オクタメチルトリシロキサン213.3g(0.902モル)を投入し、75〜80℃に昇温して10時間反応させた。その後、一晩静置した。静置後、反応溶液を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、副生したアルコール類など揮発成分約500mLを留去し、濃縮した。
当該濃縮した反応溶液を、2Lの分液ロートに移し、メチルイソブチルケトン600gを添加し、純水約200mLを加えて水洗した。さらに、水相のpHが5以上になるまで純水で水洗を繰り返した。水洗後、溶剤相を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去して粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンdを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンdの重量平均分子量は3,200で、その粘度は6,200mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、オクタメチルトリシロキサンとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、一方がトリメチルシロキシ基として、他方がペンタメチルジシロキシ基として封鎖されている。
合成例5:側鎖アクリロキシ基導入、末端ヘプタメチルトリシロキシ基導入梯子型ポリシルセスキオキサン(構造B)の合成
オクタメチルトリシロキサンの代わりにデカメチルテトラシロキサン280.3g(0.902モル)を使用した以外は、合成例4と同様に合成反応を行った。その結果、粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンeを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンeの重量平均分子量は3,400で、その粘度は3,000mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、デカメチルテトラシロキサンとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、一方がトリメチルシロキシ基として、他方がヘプタメチルトリシロキシ基として封鎖されている。
合成例6:側鎖アクリロキシ基導入、末端ノナメチルテトラシロキシ基導入梯子型ポリシルセスキオキサン(構造B)の合成
オクタメチルトリシロキサンの代わりにドデカメチルペンタシロキサン347.1g(0.902モル)を使用した以外は、合成例4と同様に合成反応を行った。その結果、粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンfを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンfの重量平均分子量は3,500で、その粘度は2,500mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、ドデカメチルペンタシロキサンとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、一方がトリメチルシロキシ基として、他方がノナメチルテトラシロキシ基として封鎖されている。
比較合成例1:側鎖メタクリロキシ基導入、両末端全てがトリメチルシロキシ基で封鎖された梯子型ポリシルセスキオキサンの合成
温度計、攪拌装置、還流冷却器を取り付けた2Lセパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール198.0g、メチルトリエトキシシラン340.7g(1.911モル)、フェニルトリエトキシシラン114.9g(0.478モル)、および3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン104.8g(0.422モル)を仕込んだ。ついで、フラスコ内の温度を氷水浴で5℃以下に冷却し、濃塩酸33.0gおよび純水165.0gを入れた滴下ロートをフラスコに取り付け、フラスコ内温度を15℃以下に保持しつつ30分間かけて滴下した。滴下後、1時間反応させてからフラスコ内を15℃まで昇温し、一晩静置した。
静置後、60℃に昇温させてさらに1時間反応させた後、ヘキサメチルジシロキサン215.2g(1.325モル)を投入し、75〜80℃に昇温して10時間反応させた。その後、一晩静置した。静置後、反応溶液を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、副生したアルコール類など揮発成分約500mLを留去し、濃縮した。
当該濃縮した反応溶液を、2Lの分液ロートに移し、メチルイソブチルケトン600gを添加し、純水約200mLを加えて水洗した。さらに、水相のpHが5以上になるまで純水で水洗を繰り返した。水洗後、溶剤相を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去して粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンgを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンgの重量平均分子量は1,800で、その粘度は25,000mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、ヘキサメチルジシロキサンとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、両方ともトリメチルシロキシ基として封鎖されている。
比較合成例2:側鎖ビニル基導入、両末端全てがトリメチルシロキシ基で封鎖された梯子型ポリシルセスキオキサンの合成
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりにビニルトリエトキシシラン80.3g(0.422モル)を使用し、ヘキサメチルジシロキサンの量を180.9g(1.114モル)とした以外は、比較合成例1と同様に合成反応を行った。その結果、粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンhを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンhの重量平均分子量は1,700で、その粘度は28,000mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、ヘキサメチルジシロキサンとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、両方ともトリメチルシロキシ基として封鎖されている。
比較合成例3:側鎖アクリロキシ基導入、両末端全てがトリメチルシロキシ基で封鎖された梯子型ポリシルセスキオキサンの合成
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン98.9g(0.422モル)を使用し、ヘキサメチルジシロキサンの量を211.1g(1.300モル)とした以外は、比較合成例1と同様に合成反応を行った。その結果、粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンiを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンiの重量平均分子量は2,100で、その粘度は24,000mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、ヘキサメチルジシロキサンとの反応により封鎖されていると判断できた。末端の2つのシラノール基は両末端とも、両方ともトリメチルシロキシ基として封鎖されている。
架橋用高分子の合成例:末端ヒドロシリル基導入梯子型ポリシルセスキオキサンの合成
温度計、攪拌装置、還流冷却器を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール132.7g、メチルトリエトキシシラン95.6g(0.536モル)、およびフェニルトリエトキシシラン32.2g(0.133モル)を仕込んだ。ついで、フラスコ内の温度を氷水浴で5℃以下に冷却し、濃塩酸5.6gおよび純水110.6gを入れた滴下ロートをフラスコに取り付け、フラスコ内温度を15℃以下に保持しつつ30分間かけて滴下した。続いてフラスコ内を15℃まで昇温して7時間反応後、一晩静置した。
静置後、フラスコ内に、テトラメチルジシロキサン28.6g(0.213モル)と濃塩酸16.6gを投入し、75℃まで昇温して7時間反応させた。当該反応溶液を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、副生したアルコール類などの揮発成分約250mLを留去し、濃縮した。
当該濃縮した反応溶液を、2Lの分液ロートに移し、メチルイソブチルケトン300gを添加し、純水約200mLを加えて水洗した。さらに、水相のpHが5以上になるまで純水で水洗を繰り返した。水洗後、溶剤相を2Lのナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで溶剤を留去して粘稠な液状の梯子型ポリシルセスキオキサンjを得た。
得られた梯子型ポリシルセスキオキサンjの重量平均分子量は1,200で、その粘度は31,000mPa・sであった。IR測定により、末端シラノール基のヒドロキシ基(−OH)由来である3600cm−1付近のピークが消失していることが確認でき、当該末端シラノール基が、テトラメチルジシロキサンとの反応により、ジメチルヒドロシロキシ基として封鎖されており、末端にSi−H結合を有している。
実施例1
合成例1で得られた梯子型ポリシルセスキオキサンaを5g、50mLのビーカーに量りとり、メチルイソブチルケトン9.38gで希釈した。ついで、光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン)を1.25g添加して混合し、硬化樹脂形成用組成物の塗布用溶液を作成した。
当該塗布溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)基材にバーコーター#9で塗布し、80℃オーブンで1分間乾燥した後、紫外線照射機に塗膜を通過させ紫外線照射を行った。積算照射量を500mJ/cmから950mJ/cmまで上げあげていき、150mJ/cmごとに硬化性を確認した。紫外線照射機としては、フュージョン・ユーブイ・システムズ・ジャパン株式会社製のCV−110Q−Eを使用した。硬化性については、目視および金属ヘラによる硬化確認により硬化膜形成の有無を判定した。このようにして評価した、梯子型ポリシルセスキオキサンの光重合硬化性の評価結果を表1に示す。
比較例1
梯子型ポリシルセスキオキサンaの代わりに比較合成例1の梯子型ポリシルセスキオキサンgを用いた以外は、実施例1と同様にして紫外線照射による硬化性を確認した。結果を表1に示す。
実施例2〜4
梯子型ポリシルセスキオキサンaの代わりに合成例4〜6の梯子型ポリシルセスキオキサンd〜fを用いた以外は、実施例1と同様にして紫外線照射による硬化性を確認した。結果を表1に示す。
比較例2
梯子型ポリシルセスキオキサンaの代わりに比較合成例3の梯子型ポリシルセスキオキサンiを用いた以外は、実施例1と同様にして紫外線照射による硬化性を確認した。結果を表1に示す。
Figure 2013155231
実施例5
合成例2で得られた梯子型ポリシルセスキオキサンbと、架橋用高分子として合成した梯子型ポリシルセスキオキサンjとを、前者のビニル基と後者のヒドロシリル基の比が1:1、すなわち当量となるように配合して評価用試料に供した。このとき、梯子型ポリシルセスキオキサンjは、ヒドロシリル架橋剤としての役割を担う。また、さらに白金触媒としてPt−ビニルシロキサン錯体を、当該配合物10gあたり0.01g添加したものについても評価した。これら2つの試料各々を、ガラス板にバーコーター#9で塗布し、80℃、120℃、および150℃に設定したホットプレートで、5時間加熱し、硬化膜形成の有無を目視および金属ヘラによる硬化確認により判定した。このようにして評価した、梯子型ポリシルセスキオキサンのヒドロシリル化硬化性の評価結果を表2に示す。
実施例6
梯子型ポリシルセスキオキサンbの代わりに合成例3の梯子型ポリシルセスキオキサンcを用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜形成の有無を測定した。結果を表2に示す。
比較例3
梯子型ポリシルセスキオキサンbの代わりに比較合成例2の梯子型ポリシルセスキオキサンhを用いた以外は、実施例5と同様にして硬化膜形成の有無を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2013155231
表1および2に示すように、本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンを使用した硬化樹脂用組成物は、その硬化性(硬化膜形成性)が、比較例に比して非常に優れている。
本発明の梯子型ポリシルセスキオキサンは、硬化樹脂用組成物の成分として使用することにより、耐熱コーティング剤、接着剤、絶縁膜、および半導体素子や光素子の封止材等に応用することができる。

Claims (12)

  1. 下記の式(1)で表わされる、重量平均分子量が10,000以下の梯子型ポリシルセスキオキサン。
    Figure 2013155231
    [式(1)中、Rは、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基から選択され、全て同じ基であっても、これらの基から任意に選択されて任意の割合で混在してもよい。XおよびXは、一方が下記の式(2)および他方が下記の式(3)で表わされる基である。XおよびXも、一方が下記の式(2)および他方が下記の式(3)で表わされる基である。
    Figure 2013155231
    Figure 2013155231
    式(3)中、R1〜Rは、そのうちの少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基であり、他はメチル基またはトリメチルシロキシ基である。nは2以上の整数である。]
  2. 前記式(3)中、R〜Rは、そのうちの一つのみが炭素−炭素2重結合を有する有機基である、
    請求項1に記載の梯子型ポリシルセスキオキサン。
  3. 前記梯子型ポリシルセスキオキサンは、下記の式(4)で表わされる化合物と、下記の式(5)で表わされる化合物との反応生成物であり、式(4)および式(5)中の、R、R〜Rおよびnは、前記式(1)および式(3)と同じである、
    請求項1または2に記載の梯子型ポリシルセスキオキサン。

    Figure 2013155231
    Figure 2013155231
  4. 下記の式(6)で表わされる、重量平均分子量が10,000以下の梯子型ポリシルセスキオキサン。
    Figure 2013155231
    [式(6)中、Rは、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基から選択され、全て同じ基であっても、これらの基から任意に選択されて任意の割合で混在してもよく、その少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基である。XおよびXは、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(7)で表わされる基である。XおよびXも、その一方が下記の式(2)および他方が下記の式(7)で表わされる基である。
    Figure 2013155231
    Figure 2013155231
    式(7)中、R〜Rは、そのうちの少なくとも一つは下記の式(8)
    Figure 2013155231
    (式(8)中、mは1〜3の整数)で表わされる基であって、他はメチル基である。nは2以上の整数である。]
  5. 前記式(7)中、R〜Rは、そのうちの一つが式(8)で表される基であり、他の二つがメチル基である、
    請求項4に記載の梯子型ポリシルセスキオキサン。
  6. 前記梯子型ポリシルセスキオキサンは、下記の式(9)で表わされる化合物と、下記の式(10)で表わされる化合物との反応生成物であり、式(9)および式(10)中の、R、R〜R、およびnは、前記式(6)および式(7)と同じである、
    請求項4または5に記載の梯子型ポリシルセスキオキサン。
    Figure 2013155231
    Figure 2013155231
  7. 酸性物質を含む溶液中で、下記の式(4)で表わされる化合物と、下記の式(5)で表わされる化合物とを反応させる、
    重量平均分子量が10,000以下の梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法。
    Figure 2013155231
    [式(4)中、Rは、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基から選択され、全て同じ基であっても、これらの基から任意に選択されて任意の割合で混在してもよい。nは2以上の整数である。]
    Figure 2013155231
    [式(5)中、R1〜Rは、そのうちの少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基であり、他はメチル基またはトリメチルシロキシ基である。]
  8. 前記式(4)で表わされる化合物の製造、および前記式(4)で表わされる化合物と前記式(5)で表わされる化合物との反応が、同じ製造容器内で連続して実施される、
    請求項7に記載の梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法。
  9. 酸性物質を含む溶液中で、下記の式(9)で表わされる化合物と、下記の式(10)で表わされる化合物とを反応させる、
    重量平均分子量が10,000以下の梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法。
    Figure 2013155231
    [式(9)中、Rは、炭素−炭素2重結合を有する有機基、置換もしくは非置換アルキル基、または置換もしくは非置換アリール基から選択され、全て同じ基であっても、これらの基から任意に選択されて任意の割合で混在してもよく、その少なくとも一つは炭素−炭素2重結合を有する有機基である。nは2以上の整数である。]
    Figure 2013155231
    [式(10)中、R〜Rは、そのうちの少なくとも一つは下記の式(8)
    Figure 2013155231

    (式(8)中、mは1〜3の整数)で表わされる基であって、他はメチル基である。]
  10. 前記式(9)で表わされる化合物の製造、および前記式(9)で表わされる化合物と前記式(10)で表わされる化合物との反応が、同じ製造容器内で連続して実施される、
    請求項9に記載の梯子型ポリシルセスキオキサンの製造方法。
  11. 請求項1〜6いずれか一項に記載の梯子型ポリシルセスキオキサンを含有する、硬化樹脂形成用組成物。
  12. 請求項1および4に記載の梯子型ポリシルセスキオキサンを含有する、硬化樹脂形成用組成物。
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