JP2013187931A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】指令トルクまたは指令電流が増加したときに迅速に弱め磁束制御を開始するようにして、安定的でかつ高速な過渡応答特性を実現したモータ制御装置を提供する。
【解決手段】三相電流検出手段と、角速度検出手段と、三相電流をd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する変換部と、指令トルクを指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqに変換する演算部と、指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを演算する電圧ベクトル演算部6と、指令電圧変換部と、電力変換手段と、を備えるモータ制御装置であって、電圧ベクトル演算部6は、指令q軸電流Iqからq軸電流Iqを減算したq軸電流偏差ΔIqを補償するために必要とされる所要電圧Vreqを演算し、所要電圧Vreqが所定の制限電圧Vlimを超過したときに指令d軸電流Idを負側に増加させるように制御する(負値の調整量Iadjを加算する)弱め磁束制御部63を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、三相同期モータの電機子巻線に通電する電流をフィードバック制御する制御装置に関し、より詳細には、弱め磁束制御を行うときの過渡応答特性を向上したモータ制御装置に関する。
近年、三相同期モータの制御装置にインバータを適用する技術が普及し、旧態と比較して格段に制御性能が向上している。インバータを適用した制御装置では、外部からの指令トルクまたは指令電流に基づくとともに、電機子巻線に流れる各相の電流を検出してフィードバックすることで、印加する矩形波電圧の位相を制御したり、パルス幅変調(PWM)方式により電圧実効値を制御したりして電流を制御する場合が多い。この種の制御では、回転子の回転位相を検出して角速度を演算し、回転子の磁石の回転位置を基準とするdq座標軸上で演算を行うことが一般的であり、特許文献1および特許文献2に技術例が開示されている。
特許文献1に開示された永久磁石同期電動機の制御装置は、第1のd軸およびq軸の電流指令値と電流検出値とにより演算した第2のd軸およびq軸の電流指令値、および周波数指令値に従い、永久磁石同期電動機を駆動する電力変換器の出力電圧値を制御する。そして、出力電圧指令値と出力電圧値との偏差の積分演算値を、第1のd軸電流指令値とする弱め界磁指令演算部を有することを特徴としている。これにより、弱め域界磁においても、高精度かつ高応答なモータトルクを実現することができる、と記載されている。つまり、電力変換器は駆動電源の最大出力電圧以上は出力できないので、出力電圧指令値が大きくなりすぎると、もはや指令値に追従できなくなる。このとき、弱め磁束制御により負のd軸電流を流すことで、大きなトルクを得ることができる。
また、特許文献2に開示された同期電動機制御装置は、交流電圧を印加する電力変換部と、回転速度を検出する速度検出部と、3相電流を検出する電流検出部と、3相電流をd−q軸電流に変換する3相/2相座標変換部と、d軸およびq軸電流制御部と、3相電圧指令を演算する2相/3相座標変換部と、d軸電流指令演算部とを備えている。そして、d軸電流指令演算部が、d軸電流指令をモータ速度に応じて制限するd軸電流指令制限部を備えたことを特徴としている。d軸電流指令制限部は、d軸指令電圧および最大出力電圧から最大q軸電圧を算出し、この最大q軸電圧とq軸指令電圧とを比較して、後者が前者を越える場合は、両者の差分を用いてd軸指令電流を磁束の弱まる方向に大きくさせる。これにより、最適なd軸電流指令を作り、電圧指令Vd*、Vq*の飽和を防止できると期待されている。特許文献2の技術例においても、上述したように弱め磁束制御が用いられ、電圧方程式は定常状態で考えられている。
特開2006−20411号公報 特開2008−86138号公報
ところで、特許文献1の制御装置では、d軸指令電流を算出する際に前回のd軸指令電圧をフィードバックして用いている。したがって、出力電圧指令値と出力電圧値との偏差が発生した以降になってからでないと弱め磁束制御が開始されず、制御に遅延時間が存在する。このため、指令トルクまたは指令電流が増加したときの過渡的な電流変化に対して十分な制御とはいえない。また、演算式を見ても定常状態しか考慮されておらず、換言すれば電機子巻線のインダクタンス成分が考慮されておらず、過渡的な応答に対応していない。
また、特許文献2の制御装置でも、q軸電圧指令を算出した後にこれをフィードバックしてd軸電流指令を算出し、続いてd軸電圧指令を算出しており、演算に遅延が生じている。演算の遅延は、直接的に応答時間の遅れにつながるため、指令トルクまたは指令電流が変化したときの過渡応答の制御としては十分とはいえない。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、指令トルクまたは指令電流が増加したときに迅速に弱め磁束制御を開始するようにして、安定的でかつ高速な過渡応答特性を実現したモータ制御装置を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係るモータ制御装置の発明は、回転子に磁石を有し固定子に電機子巻線を有する三相同期モータの前記電機子巻線に流れる三相電流を検出する電流検出手段と、前記回転子が回転する角速度を検出する角速度検出手段と、検出した三相電流を、前記回転子の磁石の回転位置を基準とするdq座標軸上のd軸電流およびq軸電流に変換する検出電流変換部と、外部からの指令トルクまたは指令電流を前記dq座標軸上の指令d軸電流および指令q軸電流に変換する電流指令演算部と、前記d軸電流、前記q軸電流、前記指令d軸電流、および前記指令q軸電流に基づいて、前記dq座標軸上の指令d軸電圧および指令q軸電圧で表される指令電圧を演算する電圧ベクトル演算部と、前記指令d軸電圧および前記指令q軸電圧を三相電圧に変換する指令電圧変換部と、前記三相電圧を生成して前記電機子巻線に印加する電力変換手段と、を備えるモータ制御装置であって、前記電圧ベクトル演算部は、前記指令q軸電流から前記q軸電流を減算したq軸電流偏差を補償するために必要とされる所要電圧を演算し、前記所要電圧が所定の制限電圧を超過したときに前記指令d軸電流を負側に増加させるように制御する弱め磁束制御部を含む。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記弱め磁束制御部は、前記q軸電流偏差にq軸インダクタンスを乗算し制御サイクルタイムで除算して前記所要電圧を演算する。
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記弱め磁束制御部は、前記所要電圧が前記制限電圧を超過した超過分に対応して、前記指令d軸電流を負側に増加させる調整量を決定する。
請求項4に係る発明は、請求項1において、前記電圧ベクトル演算部は、前記q軸指令電流から前記q軸電流を減算してq軸電流偏差を求め、前記q軸電流偏差に基づいた比例積分制御により前記指令q軸電圧を演算するq軸演算部と、前記q軸電流偏差にq軸インダクタンスを乗算し制御サイクルタイムで除算して前記所要電圧を演算し、前記所要電圧が前記制限電圧を超過した超過分に対応して、前記指令d軸電流を負側に増加させる調整量を決定する弱め磁束制御部と、前記d軸指令電流に前記調整量を考慮した後に前記d軸電流を減算してd軸電流偏差を求め、前記d軸電流偏差に基づいた比例積分制御により前記指令d軸電圧を演算するd軸演算部と、を有する。
本発明は、過渡的な電流指令の増加に起因する印加電圧の飽和に対処するために、演算に起因する遅延時間を低減して電圧指令を求めることを主旨としている。さらに、過渡的な電流増加では、モータの電圧方程式に示されるように、電機子巻線のインダクタンス成分が過渡応答に大きな影響を及ぼしている。このため、本発明では、インダクタンス成分を考慮して電流増加に必要とされる印加電圧の増加分を予め補正したd軸電流を求め、瞬時に磁束を弱める弱め磁束制御を開始することで印加電圧の飽和を回避し、安定的でかつ高速な過渡応答特性を維持するようにしている。
請求項1に係るモータ制御装置の発明では、電圧ベクトル演算部の弱め磁束制御部は、指令q軸電流からq軸電流を減算したq軸電流偏差を補償するために必要とされる所要電圧を演算し、所要電圧が所定の制限電圧を超過したときに指令d軸電流を負側に増加させるように制御する。したがって、指令トルクまたは指令電流が増加して必要とされる所要電圧が制限電圧を超過した時点で迅速に弱め磁束制御を開始して、実際の印加電圧が制限電圧まで増加して瞬時的に飽和することを回避できる。これにより、指令に対応した電流値まで短時間で到達でき、安定的でかつ高速な過渡応答特性を実現できる。
請求項2に係る発明では、弱め磁束制御部は、q軸電流偏差にq軸インダクタンスを乗算し制御サイクルタイムで除算して所要電圧を演算するので、電機子巻線のインダクタンス成分を考慮して高精度に所要電圧を演算できる。
請求項3に係る発明では、弱め磁束制御部は、所要電圧が制限電圧を超過した超過分に対応して、指令d軸電流を負側に増加させる調整量を決定するので、実際の印加電圧が飽和することを確実に回避できる。
請求項4に係る発明では、電圧ベクトル演算部は、q軸電流偏差に基づいた比例積分制御により指令q軸電圧を演算するq軸演算部と、所要電圧が制限電圧を超過した超過分に対応して指令d軸電流を負側に増加させる調整量を決定する弱め磁束制御部と、d軸指令電流に調整量を考慮した後にd軸電流を減算してd軸電流偏差を求め、比例積分制御により指令d軸電圧を演算するd軸演算部と、を有する。本発明は、上述するように比例積分制御で指令電圧を演算する方式と、弱め磁束制御部とを組み合わせることにより、安定的でかつ高速な過渡応答特性を実現する効果が顕著になる。
実施形態のモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。 電圧ベクトル演算部の内部構成を示すブロック図である。 従来技術のモータ制御装置の電圧ベクトル演算部の内部構成を示すブロック図である。 実施形態および従来技術において、電流指令が増加したときのd軸電流およびq軸電流の変化をシミュレーションした結果を示す図である。
本発明の実施形態のモータ制御装置1について、図1〜図4を参考にして説明する。図1は、実施形態のモータ制御装置1の全体構成を示すブロック図である。モータ制御装置1は、ソフトウェアで動作するコンピュータを含んで構成されており、制御対象は三相同期モータ9、制御量はモータ9に印加する三相電圧Vu、Vv、Vwである。
三相同期モータ9は、図略の回転子コアに磁石を埋め込み、図略の固定子コアに電機子巻線を巻回して構成した埋込磁石同期モータであり、これに限定されない。モータ制御装置1は、外部から受け取った指令トルクTqに等しいトルクをモータ9から出力すべく、内部演算を行って三相電圧Vu、Vv、Vwを制御する。指令トルクTqの符号に付された上付きの*は指令の数値を意味し、以下、他の符号でも同様に*は指令の数値を意味する。モータ制御装置1は、2個の電流検出手段2v、2w、角速度検出手段3、検出電流変換部4、電流指令演算部5、電圧ベクトル演算部6、指令電圧変換部7、および電力変換手段8で構成されている。
2個の電流検出手段2v、2wは、モータ9の電機子巻線に接続された三相の入力線91u、91v、91wのうちのV相入力線91vおよびW相入力線91wにそれぞれ設けられている。電流検出手段2v、2wは、例えば周知の変流器や分路抵抗器などを用いて構成でき、V相電流IvおよびW相電流Iwを検出して、その検出信号を検出電流変換部4に出力する。なお、検出電流変換部4は、三相電流Iu、Iv、Iwのベクトル和がゼロであることを利用して、三相目のU相電流Iuを演算する。
角速度検出手段3は、三相同期モータ9の回転子の回転位相θを検出する角度センサ31、および回転位相θを電気角の角速度ωに変換する角速度変換部32で構成されている。角度センサ31は、例えば公知のレゾルバなどを用いて構成でき、検出した回転位相θを角速度変換部32に送出する。角速度変換部32は、2回の検出によって求めた回転位相θの変化量を経過時間で除算して(時間微分に相当)角速度ωを演算し、検出電流変換部4および指令電圧変換部7に出力する。
検出電流変換部4は、角速度ωを用いた公知の変換式により、三相電流Iu、Iv、Iwを回転子の磁石の回転位置を基準とするdq座標軸上のd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換し、電圧ベクトル演算部6に出力する。
電流指令演算部5は、外部から受け取った指令トルクTqを指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqに変換し、電圧ベクトル演算部6に指令する。この変換処理は、例えば予め設定された変換テーブルを用いて行うことができる。また、指令電流として指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqを外部から直接受け取り、電圧ベクトル演算部6にスルーする構成であってもよい。
電圧ベクトル演算部6は、d軸電流Id、q軸電流Iq、指令d軸電流Id、および指令q軸電流Iqに基づいて、指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを演算し、指令電圧変換部7に指令する。電圧ベクトル演算部6は、後で詳述するように、比例積分制御により指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを演算するd軸演算部61およびq軸演算部62、ならびに本発明の弱め磁束制御部63を有している。
指令電圧変換部7は、角速度ωを用いた公知の変換式により、指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを三相電圧Vu、Vv、Vwに変換し、電力変換手段8に指令する。
電力変換手段8は、三相電圧Vu、Vv、Vwを実際に生成して電機子巻線に印加する。電力変換手段8は、例えば、図略のバッテリおよびパルス幅変調回路で構成することができる。パルス幅変調回路は、バッテリの直流出力電圧の正負の極性を切替え制御するとともに、通電時間幅をパルス幅変調(PWM)により制御し、電圧実効値を調整して指令された三相電圧Vu、Vv、Vwを生成する。ここで、三相電圧Vu、Vv、Vwがバッテリの直流出力電圧を越えることはなく、直流出力電圧は本発明の制限電圧Vlimに相当する。仮に、直流出力電圧を越える大きさの三相電圧Vu、Vv、Vwが指令されても、実際の印加電圧は制限電圧Vlimで飽和する。
次に、dq座標軸上で表現される電圧方程式について説明する。公知のように、磁石埋込型の三相同期モータ9では、次の電圧方程式が成り立つ。
Figure 2013187931
一般的に、指令トルクTqが一定の定常状態では、電圧方程式中でトルクの発生に寄与しないd軸電流Idは概ねゼロに制御され、一方、q軸電流Iqは指令トルクTqの大きさに対応した概ね一定値に制御される。
上記の電圧方程式をq軸電圧Vqについて展開表示すると、次式で示されるように4つの項を加算した式になる。
Vq=ωLd・Id+R・Iq+pLq・Iq+ωΨ
ここで、定常状態から指令トルクTqが増加した直後を考えると、右辺第1項の(ωLd・Id)はd軸電流が概ねゼロであるので無視できる。右辺第2項の(R・Iq)は、大きな指令トルクTqに対応する大きなq軸電流Iqを巻線抵抗R成分に抗して流すのに必要とされる所要電圧を意味する。また、右辺第3項の(pLq・Iq)は、大きなq軸電流Iqをq軸インダクタンスLq成分に抗して流すのに必要とされる所要電圧を意味する。さらに、右辺第4項の(ωΨ)は、磁石の磁束Ψによって発生する電機子反作用に抗するために必要とされる電圧である。
したがって、指令トルクTqが増加したときに、右辺第2項および第3項に相当するq軸電圧Vqの増加分が必要となり、印加電圧が制限電圧Vlimで飽和するおそれがある。これに対し、磁石の磁束Ψを等価的に減少させて右辺第4項を小さくする弱め磁束制御を行うことで、q軸電圧Vqの増加を抑制して電圧飽和を回避できる。すなわち、d軸電流Idを負の方向に増加させ、磁石の磁束Ψを打ち消すように電流磁界を発生させる。さらに、q軸電流Iqの増加によって演算されるq軸電圧Vqが制限電圧Vlimを超過した超過分Voverの大小に対応して、負のd軸電流Idの調整量Iadjを大小調整することで、確実に電圧飽和を回避できる。
このような考え方に基づいて、実施形態では電圧ベクトル演算部6の内部構成を定めている。図2は、電圧ベクトル演算部6の内部構成を示すブロック図である。図示されるように、電圧ベクトル演算部6は、q軸演算部62、弱め磁束制御部63、およびd軸演算部61で構成されている。
q軸演算部62は、図2のブロック図の下側に示された加算器621およびq軸比例積分制御器622(q軸PI制御器)によって構成されており、左側から右側へと演算を行う。加算器621は、q軸指令電流Iqからq軸電流Iqを減算してq軸電流偏差ΔIqを求め、q軸比例積分制御器622(q軸PI制御器)および弱め磁束制御部63の乗算器631に出力する。q軸比例積分制御器622は、q軸電流偏差ΔIqを用い、次の演算式で指令q軸電圧Vq(t)を求めて出力する。
Figure 2013187931
弱め磁束制御部63は、図2のブロック図の中央に示された乗算器631、加算器632、および調整量制御器633で構成されており、下側から上側へと演算を行う。乗算器631は、q軸電流偏差ΔIqに係数Kを乗算して所要電圧Vreqを求め、加算器632に出力する。係数Kは、q軸インダクタンスLqを制御サイクルタイムΔTで除算した値であり、所要電圧Vreqは次式で求められる。
Vreq=Lq×ΔIq/ΔT
この式は、インダクタンスLの電圧vと電流iの関係を示す次の一般式に一致している。
v=L×di/dt
加算器632は、制限電圧Vlimから所要電圧Vreqを減算して電圧の超過分Vover(負値)を求め、調整量制御器633に出力する。調整量制御器633は、超過分Voverに対応して、指令d軸電流Idを負側に増加させる調整量Iadjを決定する。調整量制御器633は、図2に定性的に示されるように、超過分Voverが発生していないときには調整量Iadjをゼロとする。また、調整量制御器633は、超過分Voverが発生しているときには、超過分Vover(負値)に対応して負側に増加する調整量Iadj(負値)を求め、d軸演算部61の加算器611に出力する。なお、調整量制御器633の特性は、制御対象となるモータ9に対応して予め設定しておくようにする。
d軸演算部61は、図2のブロック図の上側に示された加算器611、加算器612、およびd軸比例積分制御器613(d軸PI制御器)で構成されており、左側から右側へと演算を行う。加算器611は、d軸指令電流Idに調整量Iadj(負値)を加算して調整d軸指令電流Id**を求め、加算器612に出力する。加算器612は、調整d軸指令電流Id**からd軸電流Idを減算してd軸電流偏差ΔIdを求め、d軸比例積分制御器613(d軸PI制御器)に出力する。d軸比例積分制御器613は、次の演算式により、指令d軸電圧Vd(t)を求めて出力する。
Figure 2013187931
次に、実施形態のモータ制御装置1の作用および効果について、従来技術と比較して説明する。従来技術のモータ制御装置は、電圧ベクトル演算部6Xの内部構成が実施形態と異なり、他の部位2v、2w、3、4、5、7、8は実施形態と同じである。図3は、従来技術のモータ制御装置の電圧ベクトル演算部6Xの内部構成を示すブロック図である。図示されるように、従来技術の電圧ベクトル演算部6Xは、d軸演算部65およびq軸演算部66で構成され、弱め磁束制御部63を備えていない。
従来技術のd軸演算部65で、加算器651は、d軸指令電流Idからd軸電流Idを減算してd軸電流偏差ΔIdを求め、d軸比例積分制御器652(d軸PI制御器)に出力する。d軸比例積分制御器652は、実施形態と同様の比例積分制御により、指令d軸電圧Vd(t)を求めて出力する。
同様に、従来技術のq軸演算部66で、加算器661は、q軸指令電流Iqからq軸電流Iqを減算してq軸電流偏差ΔIqを求め、q軸比例積分制御器662(q軸PI制御器)に出力する。q軸比例積分制御器662は、実施形態と同様の比例積分制御により、指令q軸電圧Vq(t)を求めて出力する。
図4は、実施形態および従来技術において、電流指令(q軸電流指令Iq)が増加したときのd軸電流Id1、Id2、およびq軸電流Iq1、Iq2の変化をシミュレーションした結果を示す図である。図4の横軸は時間t(sec)、縦軸は電流(%)を表し、実施形態におけるd軸電流Id1およびq軸電流Iq1を実線で示し、従来技術におけるd軸電流Id2およびq軸電流Iq2を破線で示している。シミュレーションの条件としては、時刻t0でq軸電流指令Iqが0%から100%に増加し、d軸電流指令Idが0%で不変の場合を設定した。
シミュレーションの結果、実施形態では、d軸電流Id1は時刻t0から負の方向に増加して弱め磁束制御が開始され、d軸電流Id1の負値が時刻t1まで継続している。一方、q軸電流Iq1は、時刻t0から概ね直線的に増加し、時刻t1を過ぎてからq軸電流指令Iqの100%に接近して増加傾向が鈍化し、時刻t2で概ね100%に到達している。
これに対し従来技術では、d軸電流Id2は時刻t0から正の方向に若干増加して弱め磁束制御は行われず、d軸電流Id2の正値が長く継続している。一方、q軸電流Iq2は、時刻t0から概ね直線的に増加するのは実施形態と同様であるが、増加傾向の鈍化が早く始まる。このため、q軸電流Iq2が概ね100%に到達するのは実施形態の時刻t2よりもかなり遅れた時刻t3になっている。
したがって、両者を比較すると実施形態のほうが指令電流に相当する電流値100%に短時間で到達しており、高速な過渡応答特性を実現できた。また、実施形態において、q軸電流Iq1のオーバーシュートや振動などの不安定現象は発生しておらず、指令電流の増加に対応して安定的に応答している。
なお、特許文献1に例示される弱め磁束制御を行う従来技術では、電力変換部7から指令される三相電圧Vu、Vv、Vwが制限電圧Vlimを超過してから、初めて弱め磁束制御を開始することになる。これに対し本発明では、指令電流が増加した時点で迅速に弱め磁束制御を開始することができる。つまり、従来技術が電圧飽和を検出してのフィードバック制御であるのに対し、本発明は電圧飽和を予測するフィードフォワード制御ということができ、従来よりも高速な応答特性を可能としている。
さらに、実施形態のモータ制御装置1の弱め磁束制御部63は、q軸電流偏差ΔIqにq軸インダクタンスLqを乗算し制御サイクルタイムΔTで除算して所要電圧Vreqを演算するので、電機子巻線のインダクタンス成分を考慮して高精度に所要電圧Vreqを演算できる。加えて、弱め磁束制御部63は、所要電圧Vreqが制限電圧Vlimを超過した超過分Voverに対応して、指令d軸電流Idを負側に増加させる調整量Iadjを決定するので、実際に印加する三相電圧Vu、Vv、Vwが飽和することを確実に回避できる。
また、電圧ベクトル演算部6は、比例積分制御方式のd軸演算部61およびq軸演算部62と、弱め磁束制御部63とで構成されるので、安定的でかつ高速な過渡応答特性を実現する効果が顕著になる。
なお、d軸演算部61およびq軸演算部62は、比例積分制御方式に限定されず、その他の制御方式を用いることもできる。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
1:モータ制御装置
2v、2w:電流検出手段
3:角速度検出手段 31:角度センサ 32:角速度変換部
4:検出電流変換部
5:電流指令演算部
6:電圧ベクトル演算部
61:d軸演算部 611:加算器 612:加算器
613:d軸比例積分制御器 62:q軸演算部 621:加算器
622:q軸比例積分制御器 63:弱め磁束制御部 631:乗算器
632:加算器 633:調整量制御器
7:指令電圧変換部
8:電力変換手段
9:三相同期モータ
6X:従来技術の電圧ベクトル演算部 65:d軸演算部 66:q軸演算部
Tq:指令トルク Id:指令d軸電流 Iq:指令q軸電流
Vd:指令d軸電圧 Vq:指令q軸電圧
Vu、Vv、Vw:三相電圧 Iv、Iw:V相およびW相電流
θ:回転位相 ω:角速度
Id:d軸電流 Id**:調整d軸指令電流 ΔId:d軸電流偏差
Iq:q軸電流 ΔIq:q軸電流偏差
Vlim:制限電圧 Vreq:所要電圧 Vover:超過分
Iadj:調整量

Claims (4)

  1. 回転子に磁石を有し固定子に電機子巻線を有する三相同期モータの前記電機子巻線に流れる三相電流を検出する電流検出手段と、
    前記回転子が回転する角速度を検出する角速度検出手段と、
    検出した三相電流を、前記回転子の磁石の回転位置を基準とするdq座標軸上のd軸電流およびq軸電流に変換する検出電流変換部と、
    外部からの指令トルクまたは指令電流を前記dq座標軸上の指令d軸電流および指令q軸電流に変換する電流指令演算部と、
    前記d軸電流、前記q軸電流、前記指令d軸電流、および前記指令q軸電流に基づいて、前記dq座標軸上の指令d軸電圧および指令q軸電圧で表される指令電圧を演算する電圧ベクトル演算部と、
    前記指令d軸電圧および前記指令q軸電圧を三相電圧に変換する指令電圧変換部と、
    前記三相電圧を生成して前記電機子巻線に印加する電力変換手段と、を備えるモータ制御装置であって、
    前記電圧ベクトル演算部は、前記指令q軸電流から前記q軸電流を減算したq軸電流偏差を補償するために必要とされる所要電圧を演算し、前記所要電圧が所定の制限電圧を超過したときに前記指令d軸電流を負側に増加させるように制御する弱め磁束制御部を含むモータ制御装置。
  2. 請求項1において、前記弱め磁束制御部は、前記q軸電流偏差にq軸インダクタンスを乗算し制御サイクルタイムで除算して前記所要電圧を演算するモータ制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記弱め磁束制御部は、前記所要電圧が前記制限電圧を超過した超過分に対応して、前記指令d軸電流を負側に増加させる調整量を決定するモータ制御装置。
  4. 請求項1において、前記電圧ベクトル演算部は、
    前記q軸指令電流から前記q軸電流を減算してq軸電流偏差を求め、前記q軸電流偏差に基づいた比例積分制御により前記指令q軸電圧を演算するq軸演算部と、
    前記q軸電流偏差にq軸インダクタンスを乗算し制御サイクルタイムで除算して前記所要電圧を演算し、前記所要電圧が前記制限電圧を超過した超過分に対応して、前記指令d軸電流を負側に増加させる調整量を決定する弱め磁束制御部と、
    前記d軸指令電流に前記調整量を考慮した後に前記d軸電流を減算してd軸電流偏差を求め、前記d軸電流偏差に基づいた比例積分制御により前記指令d軸電圧を演算するd軸演算部と、を有するモータ制御装置。
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