JP2013201512A - 静電型スピーカ - Google Patents

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泰明 高野
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Abstract

【課題】自由な立体形状を備え、その表面全体から放音を行う立体面スピーカを新たに提案する。
【解決手段】下方から上方に向かい積層されたカバー12L、電極層115L、接着層114L、クッション層113L、スペーサ112L、振動体層111、スペーサ112U、クッション層113U、接着層114U、電極層115U、カバー12Uを含む積層体31が型DLと型DUにより熱プレス加工され、立体成型される。接着層114は熱可塑性樹脂シートであり、熱プレス加工時に溶けて電極層115とクッション層113とを接着する。一方、スペーサ112Lおよびスペーサ112Uは熱プレス加工前に硬化している熱硬化性樹脂であり、熱プレス加工により変形しない。そのため、熱プレス加工による自由度の高い立体形状を備えながら、加工に伴う音質の低下のない立体面スピーカが得られる。
【選択図】図4

Description

本発明は、静電型スピーカに関する。
静電型スピーカは、平面波により直進性の高い音を発生できるスピーカとして注目されている。静電型スピーカは、導電性を伴うシート状の振動体層の両側に、絶縁性のスペーサを挟んで、導電性を伴うシート状の電極層を配置した構造を備えている。なお、電極層は一般的に、振動体層の振動を妨げないように空気の移動経路として多数の貫通孔を備える。
振動体層と2枚の電極層の各々との間に直流バイアス電圧を印加するとともに、2枚の電極層間に音波形に応じた交流電圧の駆動信号を印加すると、クーロンの法則に従い振動体層と電極層との間に駆動信号に応じた駆動力が生じ、その駆動力により2枚の電極層間で振動する振動体層が音圧を発生する。その結果、音波形に応じた発音が行われる。
静電型スピーカにおいては、上述のように振動体層の自由な振動を可能とするために、振動体層を挟む2枚の電極層を振動体層から隔離配置する必要がある。これらの複層の積層体間の隔離配置を可能とする技術として、例えば特許文献1がある。
特許文献1に記載の音響素子においては、積層体を構成する導電性を備える多孔質層の少なくとも片面上に支持点となる凸部が多数形成されている。それらの凸部がスペーサとして機能するため、別途、スペーサを設けることなく隣接する2層間を隔離することができる。
特許第4527282号公報
静電型スピーカは全体として複数のシート状体を含む積層体として構成されるため、平面型スピーカの利便性に注目が集まっている。すなわち、静電型スピーカは例えばダイナミック型スピーカと比較し薄くできるため、スピーカ機能を備えた宣伝用のパネルやポスターなどに広く利用されている。特に、静電型スピーカの電極層等に可撓性の樹脂シートなどを用いると、静電型スピーカ全体がフレキシブルとなり、巻いたり折り畳んだりすることが可能となる。
このように、静電型スピーカは薄く柔軟性を持たせることができるスピーカとして広く認知されている。これに対し、本願発明者は静電型スピーカの新たな形態として、立体形状を備える静電型スピーカに想到した。すなわち、本発明は自由な立体形状を備え、その表面全体から放音を行う立体面スピーカを新たに提案するものである。
上述した課題を解決するために本発明は、導電性を伴うシートを有する振動体層と、前記振動体層の一方の面に沿って配置され、導電性を伴うシートを有する電極層と、前記振動体層と前記電極層との間に配置され、前記振動体層を前記電極層に対し隔離配置する絶縁性を伴う隔離層とを備え、前記電極層および前記隔離層のうちの少なくとも1つはプレス加工により立体成型されている静電型スピーカを提供する。
また、上記の静電型スピーカにおいて、前記電極層、前記隔離層および前記振動体層のうち少なくとも隣り合う2つが積層された状態で同時にプレス加工により立体成型されている、という構成が採用されてもよい。
また、上記の静電型スピーカにおいて、前記プレス加工は加熱を伴うプレス加工であり、前記プレス加工により立体成型される隣り合う2つには前記隔離層が含まれ、前記隔離層は前記加熱を伴うプレス加工において熱可塑性を示さない、という構成が採用されてもよい。
また、上記の静電型スピーカにおいて、熱可塑性の層を備え、前記プレス加工は加熱を伴うプレス加工であり、前記熱可塑性の層は前記加熱を伴うプレス加工において熱可塑性を示す、という構成が採用されてもよい。
また、上記の静電型スピーカにおいて、前記電極層はプレス加工により立体成型されており、前記電極層は、導電性物質が混入された樹脂フィルム、導電性繊維クロスおよび金属メッシュの少なくとも1つを有する、という構成が採用されてもよい。
また、上記の静電型スピーカにおいて、前記電極層を第1の電極層とし、前記隔離層を第1の隔離層とするとき、前記振動体層からみて前記第1の電極層の配置されている面の反対側の面に沿って配置され、導電性を伴うシートを有する第2の電極層と、前記振動体層と前記第2の電極層との間に配置され、前記振動体層を前記第2の電極層に対し隔離配置する絶縁性を伴う第2の隔離層とを備える、という構成が採用されてもよい。
本発明によれば、自由度の高い立体形状の面スピーカが実現されるため、例えば意匠性の高い面スピーカが得られる。
本発明の一実施形態にかかる静電型スピーカの上面図である。 本発明の一実施形態にかかる静電型スピーカの断面図である。 本発明の一実施形態にかかる静電型スピーカを駆動するための駆動回路およびその周辺部材を示した図である。 本発明の一実施形態にかかる静電型スピーカが立体成型される様子を模式的に示した図である。 本発明にかかる静電型スピーカの利用シーンを例示した図である。
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる静電型スピーカ1の上面図、図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図1および図2においては、直交するX軸、Y軸およびZ軸で方向を示しており、図2に示される静電型スピーカ1の断面を正面から見たときの左右方向をX軸の方向、奥行き方向をY軸の方向、高さ方向をZ軸の方向としている。また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは図面の裏から表に向かう矢印を意味するものとする。また、図中、「○」の中に「×」が記載されたものは図面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
また、図中の各部材の寸法は、各部材の形状や位置関係を容易に理解できるように実際の寸法とは異ならせており、特に図2(および後述の図4の積層体31)においては、高さ方向(Z軸の方向)の長さを実際よりも長く示している。
図1および図2に示されるように、静電型スピーカ1は、駆動回路2(後述)からの電圧の印加により駆動され放音を行う放音部11と、放音部11を収納するカバー12と、駆動回路2と放音部11とを電気的に接続するリード線である3本のケーブル13(ケーブル13A、ケーブル13Bおよびケーブル13C)と、駆動回路2が備えるコネクター24(後述)と互いに係合されてケーブル13と駆動回路2との電気的な接続を確立するコネクター14とを備えている。
カバー12は、放音部11を上からカバーするカバー12Uと、放音部11を下からカバーするカバー12Lを備えている。なお、カバー12Uおよびカバー12Lのように、上下に配置される同種の部材に関しては、それらの符号の後ろに「U」(振動体層111から見て上側に配置される部材)もしくは「L」(振動体層111から見て下側に配置される部材)を付してそれらを区別する。また、それらを区別する必要がない場合、例えばカバー12のように「U」もしくは「L」を付さない。
カバー12は、ポリエチレン等の絶縁性および防湿性を備えた樹脂シートであり、放音部11の大きさより一回り大きい。カバー12Uおよびカバー12Lは各々、放音部11を上方および下方から覆い、放音部11の外側において重ね合わされたそれらの外縁部分において接着層121によりその全周に渡り互いに接着されている。接着層121は熱可塑性の接着剤の層であり、静電型スピーカ1の本体、すなわち放音部11およびカバー12の立体成型時の加熱により溶け、その後の冷却により硬化してカバー12Uとカバー12Lとを接着している。
放音部11は、中心に振動体層111を挟み、上下に同種の部材が順次積層された構造を備えている。具体的には、まず振動体層111の上下には各々、複数のスペーサ112により隔離配置されたクッション層113が配置されている。スペーサ112の外側には、接着層114によりクッション層113に接着された電極層115が配置されている。
振動体層111は、例えば導電性ポリマーを樹脂に混合してシート状に成型した導電樹脂フィルムである。スペーサ112は、たとえば熱硬化性樹脂であり、振動体層111に対しクッション層113を接着するとともに、硬化後はその形状を維持し、クッション層113を振動体層111に対し隔離配置する役割を果たす。
クッション層113は、例えばPET(Poly Ethylene Terephthalate)等を原材料とする不織布であり、スペーサ112とともに、振動体層111の自由な振動を許容しつつ、その外側に配置される電極層115を振動体層111から隔離配置する役割を果たす。すなわち、クッション層113はスペーサ112とともに隔離層を構成する。接着層114は、接着層121と同様に熱可塑性の接着剤の層であり、放音部11およびカバー12の立体成型時の加熱により溶け、その後の冷却により硬化してクッション層113と電極層115とを接着している。なお、接着層114は次に述べる電極層115に開けられた多数の孔を介した空気の移動を妨げないように、電極層115とクッション層113との間に、例えばメッシュ状に配置されている。
電極層115は、振動体層111と同様に、例えば導電性ポリマーを樹脂に混合してシート状に成型した導電樹脂フィルムである。ただし、電極層115には、振動体層111の振動を妨げないように、孔開け加工により多数の孔が空気の移動経路として開けられている。
静電型スピーカ1は、既述のように、放音部11に対する駆動回路2からの電圧の印加を受けるための部材として、ケーブル13A、ケーブル13B、ケーブル13Cおよびコネクター14を備えている。図3は、静電型スピーカ1を駆動するための駆動回路2と、静電型スピーカ1の部材のうち駆動回路2からの電圧の印加を受けるための部材とを示した図である。
図3に示されるように、ケーブル13Aの一端はカバー12に収納された電極層115Uに、ケーブル13Bの一端はカバー12に収納された電極層115Lに、また、ケーブル13Cの一端はカバー12に収納された振動体層111に、各々接続されている。また、ケーブル13A、ケーブル13Bおよびケーブル13Cの他端は各々、コネクター14の1番端子、3番端子、2番端子に接続されている。
図3に示されるように、駆動回路2は、増幅器21、変圧器22、バイアス電源23およびコネクター24を備えている。
増幅器21は、外部から入力される交流の音響信号を増幅して出力する装置であり、その出力端子が変圧器22の一次側コイルに接続されている。すなわち、増幅器21で増幅された交流の音響信号は変圧器22へ供給される。
変圧器22の二次側コイルのセンタータップは駆動回路2のグラウンドGNDに接続されている。また、変圧器22の二次側コイルの一方の端子はコネクター24の1番端子に、他方の端子はコネクター24の3番端子に、各々接続されている。
バイアス電源23は、振動体層111に対して直流で、例えばプラスの所定電圧のバイアス電圧を印加するための電源であり、マイナス側は駆動回路2のグラウンドGNDに、プラス側は保護抵抗として機能する抵抗器Rを介してコネクター24の2番端子に、各々接続されている。
コネクター24は、静電型スピーカ1のコネクター14と互いに係合し、駆動回路2と静電型スピーカ1との間の電気的な接続を確立する。上述のように、コネクター24の1番端子には変圧器22の一方の端子が、3番端子には変圧器22の他方の端子が、2番端子には抵抗器Rを介してバイアス電源23が、各々接続されている。
静電型スピーカ1のコネクター14と駆動回路2のコネクター24が互いに係合すると、各コネクターの同じ番号の端子間が電気的に接続される。その結果、変圧器22の一方の端子は電極層115Uに、変圧器22の他方の端子は電極層115Lに、バイアス電源23は振動体層111に、各々接続される。
コネクター14およびコネクター24が係合されると、直流で、例えばプラスの所定電圧のバイアス電圧が振動体層111に印加される。駆動回路2に外部から音響信号が入力されない状態においては、電極層115Uと電極層115Lとの間に印加される電圧は0Vである。
駆動回路2に交流の音響信号が入力されると、入力された音響信号が増幅器21により増幅された後、変圧器22の一次側に供給され、変圧器22で昇圧されて、電極層115Uおよび電極層115Lに供給される。その際、電極層115Uに対し供給される音響信号と、電極層115Lに対し供給される音響信号とは振幅が同じで極性が逆の信号である。
すなわち、増幅器21にプラスの音響信号が入力されると、電極層115Uにはプラスの電圧が印加され、電極層115Lにはそれと同じ振幅のマイナスの電圧が印加される。その場合、振動体層111と電極層115Uとの間の静電引力が弱まる一方、振動体層111と電極層115Lとの間の静電引力が強くなる。その結果、振動体層111はそれらの静電引力の差に応じて電極層115L側(Z軸の負方向)へと変位する。
また、増幅器21にマイナスの音響信号が入力されると、電極層115Uにマイナスの電圧が印加され、電極層115Lにはそれと同じ振幅のプラスの電圧が印加される。その場合、振動体層111と電極層115Lとの間の静電引力が弱まる一方、振動体層111と電極層115Uとの間の静電引力が強くなる。その結果、振動体層111はそれらの静電引力の差に応じて電極層115U側(Z軸の正方向)へと変位する。
このように、増幅器21に入力される音響信号に応じて振動体層111がZ軸の正方向と負方向への変位を繰り返すことで振動し、その振動状態(振動数、振幅、位相)に応じた音波が振動体層111から音として放出される。なお、バイアス電圧はマイナスであってもよい。その場合は、電極層115に印加される電圧の極性と振動体層111の変位の方向が、バイアス電圧がプラスの場合と逆になる。
静電型スピーカ1の本体、すなわち放音部11およびカバー12は、加熱プレス加工により立体成型されたものである。図4は、放音部11およびカバー12が立体成型される様子を模式的に示した図である。なお、図4に示されるような形状の型DLの上に放音部11およびカバー12を構成するシートの積層体31を載せた場合、各々のシートは可撓性を備えているため、型DLの形状に沿ってそれらが垂れ下がるが、図4においては本発明の概念を分かりやすく示すために、それらの垂れ下がりが生じない状態の積層体31を示している。
放音部11およびカバー12の立体成型のための作業は、例えば以下のように行われる。まず、静電型スピーカ1を製造する作業者は、素材となるシートを円形にカットして、カバー12Uとカバー12L、振動体層111、クッション層113Uとクッション層113L、接着層114Uと接着層114L、および電極層115Uと電極層115Lを準備する。
そのようにカットされる円形シートの直径は、立体成型後に振動体層111、クッション層113および電極層115はその外縁部が揃い、カバー12はそれらより外側に所定の長さだけ長くなるように、例えば試作品から計測された直径である。なお、例えば電極層115Uと電極層115Lのように同種の部材であっても、立体成型時に各々異なる曲率で曲げられるため、それらに用いられるシートの直径は一致しない。また、作業者は、素材となるシート(熱可塑性樹脂シート)をドーナツ状にカットして、接着層121を準備する。
続いて、作業者は平坦な作業台の上にクッション層113Lを載せ、その外側を取り巻くように、所定の高さ(クッション層113Lの厚さ、クッション層113Lと振動体層111との間に維持されるべき間隔、および振動体層111の厚さの合計)のブロックを複数配置する。そして、クッション層113Lの上の所定間隔の格子位置に、基剤と硬化剤との混合により熱硬化を開始した熱硬化性樹脂を定量ずつ載せる。
作業者は、熱硬化性樹脂をクッション層113L上に載せ終わると、速やかに振動体層111を熱硬化性樹脂の載せられたクッション層113Lの上に、それらの中心が一致するように載せ、押え板をその上に載せた後、重しを押え板上に載せる。重しは押え板を押し下げるが、押え板の外縁部がブロックに当たるため、押え板はその高さ以下には下がらない。養生の後、硬化が完了した熱硬化樹脂はスペーサ112Lとなる。
続いて、作業者は作業台の上にクッション層113Uを載せ、その外側を取り巻くように、所定の高さ(クッション層113Lの厚さ、クッション層113Lと振動体層111との間に維持されるべき間隔、振動体層111の厚さ、振動体層111とクッション層113Uとの間に維持されるべき間隔、クッション層113Uの厚さの合計)のブロックを複数配置する。そして、クッション層113Uの上の所定間隔の格子位置に、基剤と硬化剤との混合により熱硬化を開始した熱硬化性樹脂を定量ずつ載せる。
作業者は、熱硬化性樹脂をクッション層113U上に載せ終わると、速やかに、スペーサ112Lにより互いに接着された振動体層111とクッション層113Lを振動体層111が下側となるように、熱硬化性樹脂の載せられたクッション層113Uの上にそれらの中心が一致するように載せ、押え板をその上に載せた後、重しを押え板上に載せる。重しは押え板を押し下げるが、押え板の外縁部がブロックに当たるため、押え板はその高さ以下には下がらない。養生の後、硬化が完了した振動体層111とクッション層113Uとの間の熱硬化樹脂はスペーサ112Uとなる。
続いて作業者は、下側の型DLの上に、中心が一致するように、カバー12L、電極層115L、接着層114L(熱可塑性樹脂メッシュシート)、先に製作したスペーサ112Lおよびスペーサ112Uによって接着されたクッション層113Lと振動体層111とクッション層113Uとのアセンブリ、接着層114U(熱可塑性樹脂メッシュシート)、電極層115U、の順にそれらを積層する。
続いて作業者は、コネクター14を持ってきて、コネクター14から伸びるケーブル13Aを電極層115Uに、ケーブル13Bを電極層115Lに、ケーブル13Cを振動体層111に各々、例えば導電性樹脂の接着剤により接着する。
続いて作業者は、放音部11を構成するシート群の外側に出ているカバー12Lの外縁部の上に、ドーナツ状にカットされた熱可塑性樹脂シートである接着層121を載せる。さらに、それらを上から覆うように、カバー12Uを載せる。その結果、型DLの上に積層体31が載置された状態となる。
その状態で、下側の型DLに対し上側の型DUを押し当て、積層体31をそれらでプレスした状態で、型DLおよび型DUに加熱器Hにより、接着層114および接着層121の熱可塑性樹脂が熱可塑性を示す(溶ける)のに十分な温度および時間の加熱を行う。それにより、接着層114および接着層121は型DLおよび型DUに沿った形状に変形される。
また、振動体層111、クッション層113および電極層115は、上記の加熱プレスにおいて、主に加圧により変形するとともに、加熱によっても多少の熱可塑性を示しその変形が助長される。一方、スペーサ112は耐熱性が高く、プレス時の加熱によっては熱可塑性を示さない。また、スペーサ112は硬度も高く、プレス時の加圧によってはほとんど変形しない。
その後、プレスを続けた状態で加熱器Hによる加熱を停止した後、接着層114および接着層121が硬化するまで冷却を行う。その後、型DUを型DLから引き離し、加熱プレスにより立体形状に成型された放音部11およびカバー12のアセンブリを型DLから取り外す。これにより、立体形状を備える静電型スピーカ1が完成する。
上記のように製造される静電型スピーカ1においては、スペーサ112が加熱プレス加工時にほとんど変形せずにその形状を維持するため、立体成型後の積層体31においても、図2に示されるように、振動体層111に対する電極層115Uおよび電極層115Lの隔離配置が維持される。その結果、面スピーカの形状をプレス加工による自由度の高い立体形状にすることができるとともに、加工による放音能力の低下を伴わない望ましい面スピーカが得られる。
上記の静電型スピーカ1の立体形状はあくまで一例であって、本発明にかかる静電型スピーカは、プレス加工により成型可能な立体形状である限り、あらゆる形状の面スピーカを含むものである。図5は、本発明にかかる他の立体形状の静電型スピーカ(図においては符号1を付している)の利用シーンの例を模式的に示した図である。
図5(a)は、自動車のルーフの形状に成形した本発明にかかる静電型スピーカを自動車のルーフ下面に取り付けた例を示している。この例によれば、車内の人は車で移動中、ルーフから放音される音を楽しむことができる。
図5(b)は、半球状に成形した本発明にかかる静電型スピーカを待合室などの天井下面に取り付けた例を示している。この例によれば、室内の人は天井から下方に全方位的に放音される音を聞くことができる。
図5(c)は、球状に成形した本発明にかかる静電型スピーカを、街頭などに配置した例を示している。この例のスピーカは、全方位的に放音を行う無指向性のスピーカとなる。従って、例えば従来は異なる方角に配置された複数のスピーカで構成されていた街頭放送用のスピーカなどと比較し、本発明によれば、よりシンプルな構成で外観上も優れ、より無指向性の点から性能の高いスピーカが得られる。なお、積層体31を一度のプレス加工により球状に成形することは困難であるが、例えば半球状に成形した2つのパーツを連結することにより、球状のスピーカとすることができる。
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。以下にそれらの変形の例を示す。
(1)上述した実施形態においては、静電型スピーカ1はプッシュプル型であるが、本発明にかかる静電型スピーカはシングル型であってもよい。その場合、放音部11は、振動体層111と、その片側にのみ配置されたスペーサ112、クッション層113、接着層114、電極層115とを含む積層体により構成され、ケーブル13Aもしくはケーブル13Bの一方は不要となる。
(2)積層体31を構成する部材は、必ずしも上述した部材に限られない。積層体31を構成する部材のうち静電型スピーカに必須の構成部は振動体層111と、それに対し隔離配置される電極層115Uおよび電極層115Lのみである。従って、例えばスペーサ112およびクッション層113のいずれか一方により振動体層111に対する電極層115の隔離配置が確保できるのでれば、他方は不要である。また、カバー12を外側カバーとし、その内側に内側カバーを設けるなど、上述した積層体31には含まれない層が追加されてもよい。
(3)積層体31を構成する各部材の素材は上述したものに限られない。例えば、上述した例においては、電極層115の素材としては、孔開け加工の施された導電性ポリマーの混合された樹脂シートが望ましい例として採用されているが、例えば電極層115に導電性繊維クロスや金属メッシュなど、熱プレス加工により導電性の低下や導電性の非均質性が生じにくい他の素材が採用されてもよい。また、プレス加工により導電性の低下や導電性の非均質性があまり生じなければ、樹脂シートに金属を蒸着させた構成の導電性シートに孔開け加工を施したものが電極層115として採用されてもよい。
また、振動体層111の素材としては、孔開け加工の施されていない導電性ポリマーの混合された樹脂シートが望ましい例として採用されているが、例えばプレス加工時に蒸着が剥がれる等の問題が生じないのであれば、樹脂シートに金属を蒸着させた導電性シート等が振動体層111として採用されてもよい。
また、スペーサ112は基剤と硬化剤との混合により硬化する熱硬化性樹脂が採用されるものとしたが、加熱により硬化する熱硬化性樹脂が採用されてもよい。また、プレス加工により変形しない限り、熱硬化性樹脂以外の素材がスペーサ112として採用されてもよい。また、クッション層113は十分なクッション性を備える限り、PET不織布以外のいかなる素材が採用されてもよい。
(4)積層体31がプレスにより立体加工される限り、必ずしも加熱は必要ではない。例えば、電極層115に薄い金属メッシュを用いる場合などは、加熱はあまり成形には貢献せず、プレス加工のみで十分に立体成型が行われる。繊維密度の高い不織布等もプレス加工のみで十分な立体成型が行われる素材である。従って、接着層114および接着層121に熱可塑性樹脂でない素材が採用され、加熱なくプレス加工のみで十分な立体成型が行われるのであれば、加熱は不要である。
(5)接着層114に常温において比較的高い剛性を備える熱可塑性樹脂を採用することにより、立体成型後の静電型スピーカの形状をより安定させる構成が採用されてもよい。その場合、積層体31を構成する他の素材として、プレス加工もしくは熱プレス加工によって一時的に変形しても型から外されるとその形状を十分に維持できないような素材であっても採用することが可能となる。
(6)上述の静電型スピーカ1の製造手順はあくまで一例であって、積層体31を構成する1以上の部材がプレス加工により立体成型される限り、他の如何なる手順で静電型スピーカ1が製造されてもよい。例えば、電極層115L、接着層114Lおよびクッション層113Lを熱プレス加工により立体成型し、電極層115U、接着層114Uおよびクッション層113Uを別途、熱プレス加工により立体成型し、スペーサ112Uおよびスペーサ112Lを各々の面に接着した振動体層111を挟み込んでそれらを上下に組み合わせることにより、本発明にかかる静電型スピーカが製造されてもよい。
1…静電型スピーカ、2…駆動回路、11…放音部、12…カバー、13…ケーブル、14…コネクター、21…増幅器、22…変圧器、23…バイアス電源、24…コネクター、31…積層体、111…振動体層、112…スペーサ、113…クッション層、114…接着層、115…電極層、121…接着層

Claims (6)

  1. 導電性を伴うシートを有する振動体層と、
    前記振動体層の一方の面に沿って配置され、導電性を伴うシートを有する電極層と、
    前記振動体層と前記電極層との間に配置され、前記振動体層を前記電極層に対し隔離配置する絶縁性を伴う隔離層と
    を備え、
    前記電極層および前記隔離層のうちの少なくとも1つはプレス加工により立体成型されている
    静電型スピーカ。
  2. 前記電極層、前記隔離層および前記振動体層のうち少なくとも隣り合う2つが積層された状態で同時にプレス加工により立体成型されている
    請求項1に記載の静電型スピーカ。
  3. 前記プレス加工は加熱を伴うプレス加工であり、
    前記プレス加工により立体成型される隣り合う2つには前記隔離層が含まれ、
    前記隔離層は前記加熱を伴うプレス加工において熱可塑性を示さない
    請求項2に記載の静電型スピーカ。
  4. 熱可塑性の層を備え、
    前記プレス加工は加熱を伴うプレス加工であり、
    前記熱可塑性の層は前記加熱を伴うプレス加工において熱可塑性を示す
    請求項2または3に記載の静電型スピーカ。
  5. 前記電極層はプレス加工により立体成型されており、
    前記電極層は、導電性物質が混入された樹脂フィルム、導電性繊維クロスおよび金属メッシュの少なくとも1つを有する
    請求項1乃至4のいずれかに記載の静電型スピーカ。
  6. 前記電極層を第1の電極層とし、前記隔離層を第1の隔離層とするとき、
    前記振動体層からみて前記第1の電極層の配置されている面の反対側の面に沿って配置され、導電性を伴うシートを有する第2の電極層と、
    前記振動体層と前記第2の電極層との間に配置され、前記振動体層を前記第2の電極層に対し隔離配置する絶縁性を伴う第2の隔離層と
    を備える請求項1乃至5のいずれかに記載の静電型スピーカ。
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