JP2013253153A - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び光学部材 - Google Patents

エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐熱劣化性及び耐吸湿性等の硬化物特性に特に優れ、また、取り扱い性が良好であり、光学部材の分野に特に有用なエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物を提供する。
【解決手段】
Figure 2013253153

(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂及び硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等の硬化物特性に優れ、また取り扱い性にも優れたエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。また、本発明は、該エポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物に関するものである。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度及び電気的特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子用材料、光学部材等、様々な分野で使用されている。特に、光学部材の分野では、LED,有機EL等の発光装置、太陽電池、CCD、赤外線センサー、ピックアップレンズ等の受光装置、光配電板、光学コネクター、レンズ等のような光学半導体関連部材等の用途において幅広く使用されている。
特に、光学部材の分野においてはエポキシ樹脂を使用した製品が高温に曝されるため、耐熱性や耐熱劣化性に優れることが求められる。また、エポキシ樹脂を使用している部材が空気中の水分を吸収することにより、亀裂が発生する等の製品劣化の問題があるため、耐吸湿性も求められる。
光学部材の分野で従来広く使用されてきたエポキシ樹脂として、汎用性の高いビスフェノールA型エポキシ樹脂や水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂等があるが、いずれも耐熱性、耐熱劣化性と耐吸湿性とが両立せず、従来のエポキシ樹脂では耐熱性、耐熱劣化性と耐吸湿性のいずれかが悪いものが多かった。
一方、特許文献1において、分子配向性が高いエポキシ樹脂であり、その硬化物において強靭性、耐湿性に優れるものが記載されている。特に、特許文献1の実施例においてはビスフェノールZ型エポキシ樹脂が製造されている。
特開2007−254579号公報
本発明者らの検討によれば、特許文献1の実施例1において製造されているビスフェノールZ型エポキシ樹脂では従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂や水素添加ビスフェノールA型エポキシと比べて耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等のバランスにおいて優れるものの、更なる物性向上が必要である。また、特許文献1には実施例1のビスフェノールZ型エポキシ樹脂が「半固形」であることが記載されており、取り扱い性においてもより良好なものが求められる。
上記の諸問題点を鑑み、本発明は耐熱性、耐熱劣化性及び耐吸湿性等の硬化物特性に特に優れ、また、取り扱い性が良好であり、光学部材の分野に特に有用なエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物を提供することを課題とするものである。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が上記課題を解決することを見出したものである。即ち本発明の要旨は
以下の[1]〜[8]に存する。
[1] 下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
Figure 2013253153
(上記式(1)において、Aは上記式(2)で表される化学構造を含み、Rは水素原子又は上記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数の平均値であり0以上150以下である。上記式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
[2] 下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂。
Figure 2013253153
(上記式(4)において、R1’〜R はそれぞれ互いに異なっていてもよく、水素
原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
[3] エポキシ当量が200〜30,000g/当量である、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂。
[4] [1]乃至[3]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物。
[5] 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.01〜200重量部含む、[4]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[6] 前記硬化剤が、酸無水物系硬化剤、カチオン重合開始剤、有機リン化合物、アミン系硬化剤及び第3級アミンからなる群のうちの少なくとも1つである、[4]又は[5]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] [4]乃至[6]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
[8] [4]乃至[6]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物からなる光学部材。
本発明によれば、耐熱性、耐熱劣化性及び耐吸湿性等の硬化物特性に特に優れ、かつ取り扱い性に優れたエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物が提供される。また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記の特長を有するため、光学部材の分野に特に有用に適用することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔エポキシ樹脂〕
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表されることを特徴とする。本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、耐熱劣化性及び耐吸湿性の硬化物特性に特に優れるという特長を有する。本発明のエポキシ樹脂がこれらの特長を有する理由は定かではないが、優れた耐熱性及び耐熱劣化性は式(2)中のシクロドデシル基の剛直な骨格によるものと推定され、また、優れた耐吸湿性は式(2)中のシクロドデシル基が立体的に嵩高いことにより、エポキシ樹脂全体に対し、吸湿の起こり易いフェノール由来の構造部分の占有体積が従来のエポキシ樹脂と比較して相対的に小さいことによるものと推定される。
Figure 2013253153
(上記式(1)において、Aは上記式(2)で表される化学構造を含み、Rは水素原子又は上記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数の平均値であり0以上150以下である。上記式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
<化学構造>
前記式(1)において、Aは前記式(2)で表される化学構造を含む。前述の通り、式(2)中のシクロドデシル基により、本発明のエポキシ樹脂は耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等に優れたものとなる。なお、前記式(1)において、n=0の場合には、式(1)中のAは式(2)で表される構造である。
また、前記式(1)中のAは前記式(2)で表される構造単位以外のものを含んでいてもよい。ただし、本発明の効果を得る観点からは、式(1)中のA全体に対して、前記式(2)で表される構造単位が好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、また、その上限は100モル%である。特に好ましくは100モル%で式(2)で表される構造単位を含有することが好ましい。なお、A全体に対する式(2)で表される構造単位の量は後述する原料のモル比によって決定されるものとする。また、式(1)中のAとして、式(2)以外の化学構造の例は後述する製造方法において、例示するものが挙げられる。
前記式(2)中、R〜Rはそれぞれ互いに異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。ここで、R〜Rにおける「炭素数1〜20の炭化水素基」としては炭素数1〜20である、任意の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれ、これらの中でも、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、1−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が好ましいものとして挙げられる。R〜Rとして最も好ましいのは、耐熱性の観点では水素原子であり、耐熱劣化性及び耐吸湿性の観点ではメチル基である。
前記式(2)において、R〜Rの置換位置は下記式(2)’におけるb〜fの位置のいずれであってもよいが、R〜Rが炭素数1〜20の炭化水素基である場合、置換位置はb、c、e、fの位置であることが好ましく、b及び/又はfの位置であることがより好ましい。また、前記式(2)において、シクロドデシル基の置換位置はb〜fの位置のいずれであってもよいが、シクロドデシル基に基づく耐熱性を効率的に得る観点から好ましくはdの位置である。
Figure 2013253153
(上記式(2)’において、R〜Rは前記式(2)における定義と同様である。)
前記式(1)中、nは繰り返し数であり、平均値である。nの値は0以上であり、また、取り扱い性を良好なものとする観点から300以下である。nの値は好ましくは0.15以上であり、一方、エポキシ樹脂の取り扱い性を更に良好なものとする観点から好ましくは100以下であり、より好ましくは80以下であり、更に好ましくは50以下であり、特に好ましくは20以下であり、最も好ましいのは5以下である。n数は後掲の実施例において説明する方法により求めることができる。
<物性・特性>
[エポキシ当量]
本発明のエポキシ樹脂は、式(2)の骨格に基づいた耐熱性、耐熱劣化性、対吸湿性等の物性を得る観点から、エポキシ当量が200g/当量以上が好ましく、220g/当量以上がより好ましく、一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、30,000g/当量以下が好ましく、10,000g/当量以下がより好ましく、6,000g/当量以下が更に好ましく、1,000g/当量以下が特に好ましい。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
[軟化点]
本発明のエポキシ樹脂の軟化点は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。一方、軟化点は、120℃であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。軟化点が上記下限値以上であると、エポキシ樹脂が融着するブロッキングが起こりにくく、常温(25℃)での取り扱い性が良好となる傾向にある。一方、軟化点が上記上限値以下であると、取り扱い性、作業性が良好となるために好ましい。なお、本発明において、エポキシ樹脂の軟化点とは、JIS K−7234 環球法に基づく値を意味し、また、エポキシ樹脂の軟化点が30℃以上であることを常温で固形であるものと定義する。
[粘度]
本発明において、コーンプレート型粘度測定機で測定した150℃におけるエポキシ樹脂の粘度で表した場合、エポキシ樹脂の取り扱い性の観点からは粘度が高いほうが好ましく、より具体的には好ましくは50mPa・s以上であり、より好ましくは100mPa・s以上である。一方、上限については特に制限はないが、通常、1,000mPa・s
以下である。
[全塩素含有量]
本発明のエポキシ樹脂は、特に電気・電子部品に用いる場合、全塩素含有量が0.2質量%以下であることが好ましい。全塩素含有量が0.2質量%以下であると、アルミニウム等の金属材料と共に用いた際の金属の腐食が発生しにくくなるために好ましい。全塩素含有量の下限については特に制限はないが、通常、0.01質量%以上である。なお、エポキシ樹脂の全塩素含有量は硝酸銀溶液等で滴定することにより求めることができる。
<エポキシ樹脂の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂の製造方法については特に制限はないが、例えば、以下に説明する一段法による製造方法、二段法による製造方法、アリル化反応を経由する製造方法等が挙げられる。これらの方法について以下に詳述する。
[一段法による製造方法]
本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂は、下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られることを特徴とする。
Figure 2013253153
(上記式(4)において、R1’〜R はそれぞれ互いに異なっていてもよく、水素
原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
前記式(4)において、R1’〜R はそれぞれ前記式(2)におけるR〜R
と同様のものであり、その好ましい種類についても同様である。また、R1’〜R
の置換位置についても同様である。
一段法により本発明のエポキシ樹脂を製造する場合、原料として少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを用いるが、式(4)で表されるフェノール化合物以外のジヒドロキシ化合物(本発明において「その他のジヒドロキシ化合物」と称することがある。)を用いてもよい。ただし、本発明の効果を高める観点から前記式(4)で表されるフェノール化合物の割合は、原料として用いる全ジヒドロキシ化合物に対して好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、また、その上限は100モル%であり、特に好ましいのは100モル%である。なお、本発明における「ジヒドロキシ化合物」とは2価フェノール化合物と2価アルコールとの総称である。
その他のジヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、ビスフェノールAF等のビスフェノール類;3,3−5,5−テトラアルキルビフェノール、4,4−ビフェノール等のビフェノール類;エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が挙げられる。
原料として用いるジヒドロキシ化合物はその水酸基1当量当たり、通常、0.8〜20モル当量、好ましくは0.9〜15モル当量、より好ましくは1.0〜10モル当量に相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。エピハロヒドリンの量が上記下限値以上であると高分子量化反応を制御しやすく、適切な溶融粘度とすることができるために好ましい。一方、エピハロヒドリンの量が上記上限以下であると生産効率が向上する傾向にあるために好ましい。
次いで、その溶液を撹拌しながら、これに原料の水酸基1当量当たり通常、0.5〜2.0モル当量、より好ましくは0.7〜1.8モル当量、更に好ましくは0.9〜1.6モル当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が上記下限以上であると、未反応の水酸基と生成したエポキシ樹脂が反応しにくく、高分子量化反応を制御しやすいために好ましい。また、アルカリ金属水酸化物が上記上限以下あると、副反応による不純物が生成しにくいために好ましい。
この反応は、常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は通常、常圧下の反応の場合は好ましくは20〜150℃ 、より好ましくは30〜120℃、更に好ましくは35
〜100℃であり、減圧下の反応の場合は好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、更に好ましくは35〜80℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物が低減しやすいために好ましい。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜7時間、更に好ましくは1〜6時間かけて少量ずつを断続的又は連続的に添加する。添加時間が上記下限以上であると急激に反応が進行するのを防ぐことができ、反応温度の制御がしやすくなるために好ましい。添加時間が上記上限以下であると塩素不純物が生成しにくくなるために好ましく、また、経済性の観点からも好ましい。全反応時間は通常、1〜15時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩; ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−ト
リス( ジメチルアミノメチル) フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4− メチ
ルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類; アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
更に、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の全塩素含有量を低減する必要がある場合には再処理して十分に全塩素含有量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液を加えて好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50〜100℃の温度で好ましくは0.1〜15時間、より好ましくは0.3〜12時間、更に好ましくは0.5〜10時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂を得ることができる。反応温度が上記下限以上であり、また、反応時間が上記下限以上であると再閉環反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であり、また、反応時間が上記上限以下であると反応を制御しやすいために好ましい。
[二段法による製造方法]
本発明のエポキシ樹脂は、少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物及び/又は該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂(例えば、本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂)を原料として用い、2段法により反応させて得ることもできる。
二段法により本発明のエポキシ樹脂を製造する場合、原料として少なくとも前記式(4)で表されるフェノール化合物及び/又は該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂を用いるが、前述したその他のジヒドロキシ化合物及び/又は該その他のジヒドロキシ化合物を原料として得られた2官能エポキシ樹脂を併用してもよい。ただし、本発明の効果を高める観点から前記式(4)で表されるフェノール化合物及び該フェノール化合物を用いて得られた2官能エポキシ樹脂の合計の割合は、原料として用いる全ジヒドロキシ化合物及び全2官能エポキシ樹脂の合計に対して好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、また、その上限は100モル%である。特に好ましいのは100モル%である。
その他のジヒドロキシ化合物としては、「一段法による製造方法」の項目において挙げたものをいずれも使用することができる。また、その他のジヒドロキシ化合物を原料として得られた2官能エポキシ樹脂とは、その他のジヒドロキシ化合物をエピハロヒドリンと反応させて得られた2官能エポキシ樹脂等が該当する。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2官能エポキシ樹脂としては、その末端基不純物である加水分解塩素濃度が200ppm以下であることが好ましく、また、αグリコール基濃度が100meq/kg以下であることが好ましい。2官能エポキシ樹脂は加水分解塩素濃度が200ppm以下であったり、αグリコール基濃度が100meq/kg
以下であると、高分子量化させやすくなるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の製造において、上記の2官能エポキシ樹脂とジヒドロキシ化合物の使用量は、その配合当量比で、(エポキシ基):(水酸基)=1:0.90〜1.10となるようにするのが好ましい。この当量比が上記範囲であると高分子量化を進行させやすくなるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物;酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機リン化合物の具体例としては、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらの中でもテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが好ましい。
環状アミン類の具体例としては、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5等が挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
以上に挙げた触媒の中でも第4級アンモニウム塩が好ましい。また、触媒は1種のみを使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
触媒の使用量は反応固形分中、通常0.001〜1重量%であるが、アルカリ金属化合物を使用すると得られるエポキシ樹脂中にアルカリ金属分が残留し、それを使用した電子・電気部品の絶縁特性を悪化させるおそれがあるため、エポキシ樹脂中のリチウム、ナトリウム及びカリウムの原子含有量の合計が通常、60ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
また、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等を触媒として使用した場合も、得られるエポキシ樹脂中にこれらが触媒残渣として残留し、アルカリ金属分の残留と同様にプリント配線板の絶縁特性を悪化させるおそれがあるので、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が好ましくは300ppm以下であり、また、エポキシ樹脂中のリンの含有量が好ましくは300ppm以下である。更に好ましくは、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が200ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が200ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、反応用の溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。溶媒は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジオキサン等が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応における固形分濃度は35〜95重量%が好ましい。また、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶媒を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶媒は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂とビスフェノール系化合物との重合
反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
[アリル化合物の酸化による製造方法]
本発明のエポキシ樹脂の製造方法の1つとして、前記式(4)で表されるフェノール化合物に対してアリル化反応によりアリル基を導入してアリル化合物とし、更に該アリル基に対して酸化反応させることによりエポキシ樹脂とする方法が挙げられる。
エポキシ樹脂の前駆体であるアリル化合物は、前記式(4)で表されるフェノール化合物とアリルクロライドを反応させることにより得ることができる。
アリル化反応において、式(4)で表されるフェノール化合物に対するアリルクロライドの使用割合は、特に限定されるものではないが、式(4)で表されるフェノール化合物の水酸基1モルに対し、アリルクロライドとして、通常、0.8〜2モル当量、好ましくは0.9〜1.2モル当量である。アリルクロライドの使用量が上記下限値以上であると、原料が十分に反応しやすくなる傾向があるために好ましく、一方、上記上限値以下であると、塩素含有量が低減する傾向にあるために好ましい。
アリル化反応の温度は、特に限定されるものではないが、通常、40℃以上、好ましくは45℃以上であり、一方、通常、100℃以下、好ましくは80℃以下である。また、アリル化反応の圧力は、特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)でも可能であるが、アリルクロライドは沸点が低いため(沸点45℃)、閉鎖系で反応を行うのが好ましい。閉鎖系で反応を行う場合には、通常、加圧状態となるために内圧が常圧以上であり、通常、1MPa以下、好ましくは0.3MPa以下である。
アリル化反応は、無溶媒又は溶媒中で、通常、塩基類存在下に行われる。溶媒としては、特に限定されないが、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の非プロトン性無極性溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;水等があげられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、特にコストの面から、安価な溶媒と混合して用いてもよい。
また、非プロトン性極性溶媒を用いると、核へのアリル化が低減し、目的とするアリル化合物の選択性が向上し、同様に不純物の核への反応も同様に抑制されるため、塩素含有量の少ない高純度のアリル化合物が得られる傾向があり好ましい。非プロトン性極性溶媒の中でも、誘電率が20以上のもの、更に好ましくは30以上であるのが好ましく、これらに該当するものとしては、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホン、テトラメチルウレア、ヘキサメチルスルホアミド、テトラメチレンスルホン等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、N,N’−ジメチルホルムアミド(誘電率38)、N−メチルピロリドン(誘電率32)、ジメチルスルホキシド(誘電率47)等が挙げられ、更にはN,N’−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。また、コストの面から、これらの溶媒を安価な極性溶媒と混合して用いることも可能であり、例えばN,N’−ジメチルホルムアミドはアセトン(誘電率20)と混合して用い
ることもできる。
アリル化反応は、通常、塩基の存在下行なわれるが、塩基としては、特に限定されるものではないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウム、金属カリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、トリメチルアミン等のアミン類、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等のアニリン類等の有機塩基が挙げられる。なお、溶媒の種類によっては、塩基により分解するものもあるため、溶媒との組み合わせを考慮して用いる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトンを用いる場合には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。また、反応を密閉系で行う場合には、反応の進行によりガスの発生を伴わないものが好ましい。
上記反応工程を経て得られたアリル化合物を含む反応液は、これを以下の方法で精製することにより精製アリル化合物を製造することができる。アリル化合物の精製方法としては、アリル化合物が固体の場合は晶析、懸洗、分液、吸着、昇華等が挙げられ、アリル化合物が液体の場合は分液、吸着、蒸留等が挙げられる。
分液による精製は、水と水に不溶又は難溶な有機溶媒を組み合わせる場合と、お互いに混合しない複数の有機溶媒同士を組み合わせる場合がある。水と水に不溶又は難溶な有機溶媒の組み合わせとしては、例えば酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、n−へキサン等の有機溶媒と水の組み合わせが挙げられる。お互いに混合しない複数の有機溶媒同士の組合せとしては例えばN,N’−ジメチルホルムアミドと
n−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタン、ジイソプロピルエーテル、キシレンのうち少なくともひとつとの組合せ、ジメチルスルホキシドとn−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタン、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、キシレンのうち少なくともひとつとの組合せ、アセトニトリルとn−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタン、シクロへキサン、シクロペンタンのうち少なくともひとつとの組合せ、メタノールとn−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタンのうち少なくともひとつとの組合せがある。
晶析による精製には、アリル化反応終了後、水洗、ろ過等の方法により系内の無機塩を除去した後、溶媒を減圧留去する、又は留去することなしに、冷却して晶析させる方法、化合物の溶解度の低い溶媒、いわゆる貧溶媒を加え析出する方法、化合物の溶解度の高い溶媒、いわゆる易溶媒と貧溶媒を組み合わせて析出する方法、反応終了後、無機塩を除去することなく水を加えて晶析させる方法等のいずれでも良い。溶媒としては有機溶媒、水、又はその混合物、有機溶媒同士を組み合わせる等、いずれでもよく、化合物の溶解度により適切なものを選択する。有機溶媒としては、酢酸エチル等のエステル類、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の非プロトン性溶媒、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n−ブタノ
ール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。また、水や有機溶媒を加えて晶析させる際に、未反応のアリルクロライド類、副生する低沸化合物を減圧留去しながら、晶析を行ってもよい。
懸洗による精製には、化合物の溶解度の低い溶媒、いわゆる貧溶媒を用いる。好ましい貧溶媒は化合物により異なるが、メタノール等のアルコール類等の極性の高いものや、逆にヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等極性の低い脂肪族炭化水素が上げられる。水溶性の溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等が挙げられ、これらは水と混和して用いることができる。溶媒量は少なすぎる場合は精製効果が十分ではなく、多過ぎる場合には、回収率の
低下につながる。懸洗終了後、固形物をろ過回収し、乾燥することによって目的物を得ることができる。
吸着による精製は、含塩素系不純物と吸着剤として、活性炭、活性白土、モレキュラーシーブス、アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂等が挙げられる。
これらの精製法の中でも、操作法の点からは、アリル化合物の性状に関わらず分液法、吸着法が好ましい。アリル化合物が固体の場合は晶析法が有効である。かくして得られた精製アリル化合物は、一般的にエポキシ樹脂よりも、酸、塩基、熱に対し安定であるため、精製処理が容易であり、又、エポキシ樹脂よりも極性が低い傾向があり、有機溶媒に対し高い溶解度を有しており、後述の精製工程のうち分液、抽出、吸着等の処理が容易である。
(酸化反応)
先に説明した工程により得られたアリル化合物に対して酸化剤を用いて酸化反応させることにより本発明のエポキシ樹脂を得ることができる。
酸化反応によるアリル基のエポキシ化の方法としては、非塩素系(塩素を含有しない)酸化剤を用いることが好ましく、有機過酸を用いる方法、及び、触媒存在下過酸化水素を反応させる方法が挙げられる。有機過酸としては過酢酸、過安息香酸、ターシャルブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等が挙げられ、その中でも調製、後処理の容易な過酢酸が好ましい。有機過酸を用いる場合には、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基を系内に添加することにより、系内の酸性度の調整を行ってもよい。
過酸化水素は、酸化反応において触媒を酸化する酸化剤として作用する(以下、触媒と過酸化水素を合わせて酸化剤組成物と称することがある。)。過酸化水素は通常、過酸化水素水として用い、市販の過酸化水素水をそのまま、又はそれを水で希釈して用いることができる。過酸化水素水の濃度としては、特に制限されないが、通常1重量%以上、好ましくは20重量%以上であり、通常60重量%以下である。より好ましくは、入手のしやすさや、安全性の問題、釜効率等を考慮して、35重量%以上、45重量%以下が好ましい。
過酸化水素の使用量は、特に制限されるものではないが、通常、原料として使用するアリル化合物中の二重結合1モルに対し、0.5倍モル以上、好ましくは0.8倍モル以上、通常10倍モル以下、好ましくは3倍モル以下用いる。
・触媒
酸化反応の触媒として、触媒金属、触媒アンモニウム塩、触媒リン酸類(ここでいう「触媒リン酸類」とは触媒として用いられるリン酸及び/又はリン酸化合物の総称である。)等が挙げられる。
触媒金属としては、タングステン酸或いはタングステン酸の塩(以下、タングステン酸類という)、モリブデン或いはモリブデン酸の塩(以下、モリブデン酸類という)、又はそれらの混合物が挙げられる。このうち価格や入手のしやすさからタングステン酸類が好ましい。
前記タングステン酸類としては、具体的には例えば、タングステン酸;タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム等のタングステン酸塩;前記タングステン酸塩の水和物;12−タングストリン酸、18−タングストリン酸等のリンタングステン酸;12−タングストケイ酸、12−タングストホウ酸又は金属タ
ングステン等が挙げられ、タングステン酸、タングステン酸塩、12−タングストリン酸が好ましい。
前記モリブデン酸類としては、モリブデン酸;モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム等のモリブデン酸塩;前記モリブデン酸塩の水和物等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の点で、タングステン酸、又はタングステン酸ナトリウム及びその水和物が好ましい。
前記した触媒金属は、単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。また、酸化反応における触媒金属の使用量は、使用する基質等の性質により適宜調節することができ、特に制限されないが、原料として使用するアリル化合物中に含まれる二重結合1モルに対してタングステン原子換算で通常0.001モル以上、好ましくは0.005モル以上、通常1.0モル以下、好ましくは0.10モル以下である。
触媒アンモニウム塩としては、例えば、硫酸水素テトラへキシルアンモニウム、硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素エチルトリオクチルアンモニウム、硫酸水素セチルピリジニウム等が挙げられるが、硫酸水素テトラへキシルアンモニウム、硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム等が好ましい。これら硫酸水素第4級アンモニウムは単独で使用しても、二種以上を混合使用してもよい。その使用量はアリル化合物に含まれる二重結合1モルに対して通常、0.0001〜10モル%、好ましくは0.01〜5モル%の範囲から選ばれる。
触媒リン酸類としては、例えば、リン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸エステル等が挙げられる。これらのなかでもリン酸が好ましい。また、リン酸類の使用量は、特に限定されるものではないが、該リン酸類に含まれるリンの当量として、使用する触媒金属成分中の金属1原子に対して通常0.1倍モル以上、好ましくは0.2倍モル以上、通常2.0倍モル以下、好ましくは1.0倍モル以下である。
・溶媒
酸化反応は、溶媒中で行うこともできる。使用する溶媒としては、反応に関与しないものであれば、特に限定はしないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物;N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’− ジメチルアセトアミド等のアミド類、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン
等のウレア類;水及びこれら溶媒の混合物が挙げられ、水、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、及びこれら溶媒の混合物が好ましい。更に好ましくは、水及びトルエンが挙げられる。
溶媒の使用態様としては、特に限定されるものではないが、反応に用いるアリル化合物が、溶解していても、懸濁状態でもよいが、通常、反応温度条件下で溶媒に溶解していることが好ましい。また、溶媒の使用量は、化合物の溶解度によるが、溶媒量の増大に従い、反応速度が低下する場合が多いため、通常、アリル化合物の0.1倍量以上、好ましくは0.5倍量、通常10倍量以下であり、好ましくは3倍量以下が好ましい。
・酸化剤組成物の物性
酸化反応において、触媒金属、触媒アンモニウム塩、触媒リン酸類のそれぞれの使用量は前述の通りであるが、触媒金属、触媒アンモニウム塩、触媒リン酸類の使用量の比率は、反応液の水層のpHが通常2以上であり、好ましくは3以上であり、通常6以下であり、好ましくは5以下になるようにするのが好ましい。上記下限値以上であると、エポキシ基の開環反応が進行しにくくなるために好ましい。また、上記上限値以下であると、反応速度が適切となる傾向にあるために好ましい。必要に応じてリン酸、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン等の有機塩基を添加してpH調整を行うことができる。
酸化反応においては緩衝液を使用することもできる。緩衝液の種類としては、反応を阻害しないものであれば、目的のpHに合わせた緩衝液を適宜用いることができるが、本反応においてはリン酸塩水溶液を用いることが好ましい。また、場合によっては先のタングステン酸類を組み合わせて緩衝液としてもよい。
・反応操作
酸化反応の製造方法における具体的な反応操作方法としては、特に限定されるものではないが、アリル化合物に、過酸化水素、触媒等を加え、また必要に応じ有機溶媒、緩衝液を加えればよい。各成分の添加、混合順序は、反応が阻害されない限り限定されるものではないが、酸化反応及び過酸化水素分解の際に発熱する場合が多いことから、各成分を添加した後に過酸化水素を徐々に添加する、又は、予めタングステン化合物及び/又はモリブデン化合物を酸化するのに必要な量の過酸化水素を添加し、タングステン過酸化物とした後、残りの過酸化水素を徐々に添加する方法が好ましい。過酸化水素の添加方法としては、分割して添加しても、連続で除々に添加してもよい。
・反応条件
酸化反応の製造方法における反応温度は、反応が阻害されない限り、特に限定されないが、通常10℃以上、好ましくは35℃以上、通常90℃以下、好ましくは75℃以下である。上記下限値以上であると、反応速度が速くなる傾向にあるために好ましく、一方、上記上限値以下であると、安全性の観点から好ましい。
反応時間は反応温度、触媒量、原料の種類等によって適宜選択でき、特に限定されるものではないが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは4時間以上であり、通常48時間以下、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間以下である。なお、酸化反応は、安全上の観点から、常圧、窒素気流下で行うことが好ましい。
(精製)
上記の方法で得られたエポキシ樹脂は、必要に応じ、更に精製してもよい。具体的な精製方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜使用することができる。エポキシ樹脂が固形又は半固形の場合は晶析、懸洗、分液、吸着、昇華等が挙げられ、エポキシ樹脂が液状の場合は分液、吸着、蒸留が挙げられる。
分液による精製は、水と水に不溶又は難溶な有機溶媒を組み合わせる場合と、互いに混合しない複数の有機溶媒同士を組み合わせる場合がある。水と水に不溶又は難溶な有機溶媒の組み合わせとしては、例えば酢酸エチル、トルエン、ジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、n−へキサン等の有機溶媒と水の組み合わせが挙げられる。お互いに混合しない複数の有機溶媒同士の組合せとしては例えばN,N’−ジメチルホルムアミドとn
−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタン、ジイソプロピルエーテル、キシレンのうち少
なくともひとつとの組合せ、ジメチルスルホキシドとn−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタン、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、キシレンのうち少なくともひとつとの組合せ、アセトニトリルとn−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタン、シクロへキサン、シクロペンタンのうち少なくともひとつとの組合せ、メタノールとn−ヘプタン、n−へキサン、n−ペンタンのうち少なくともひとつとの組合せがある。
晶析による精製には、溶媒を減圧留去する、又は留去せずに、冷却して晶析させる方法、化合物の溶解度の低い溶媒、いわゆる貧溶媒を加え析出する方法、化合物の溶解度の高い溶媒、いわゆる易溶媒と貧溶媒を組み合わせて析出する方法、反応終了後、水を加えて晶析させる方法等のいずれであってもよい。
晶析に用いる溶媒としては有機溶媒、水、又はそれらの混合物、有機溶媒同士を組み合わせる等、いずれでもよく、化合物の溶解度により適切なものを選択すればよい。有機溶媒としては、酢酸エチル等のエステル類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等の非プロトン性溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
懸洗による精製には、通常、化合物の溶解度の低い溶媒、いわゆる貧溶媒が用いられる。好ましい貧溶媒は化合物により異なるが、メタノール等のアルコール類等の極性の高いものや、逆にプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等極性の低い脂肪族炭化水素が上げられる。水溶性の溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等が挙げられ、これらは水と混合して用いることができる。溶媒量は少なすぎる場合は精製効果が十分ではなく、多すぎる場合には、回収率の低下につながる。懸洗終了後、固形物を濾過により回収し、更に乾燥することによって目的物を得ることができる。
吸着による精製は、含塩素系不純物と吸着剤として、活性炭、活性白土、モレキュラーシーブス、アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂等が挙げられる。
以上に挙げた精製方法の中でも、操作法の簡便さの観点からは、エポキシ樹脂の性状に関わらず分液法、吸着法が好ましい。特に、精製するエポキシ樹脂が固体の場合には晶析法が有効である。
〔エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含む。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、無機フィラー、カップリング剤等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等に優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
<硬化剤>
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂100重量
部に対して好ましくは0.01〜200重量部である。また、より好ましくは150重量部以下であり、更に好ましくは100重量部以下であり、特に好ましくは80重量部以下である。一方、より好ましくは0.05重量部以上である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合には、硬化剤の含有量が固形分としての全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.01〜200重量部である。また、より好ましくは150重量部以下であり、更に好ましくは100重量部以下であり、特に好ましくは80重量部以下であり、一方、より好ましくは0.05重量部以上である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。好ましいものとしては酸無水物系硬化剤、カチオン重合開始剤、有機リン化合物、アミン系硬化剤、第3級アミン等が挙げられる。以下、酸無水物系硬化剤、カチオン重合開始剤、有機リン化合物及びその他の使用可能な硬化剤の例を挙げる。
[酸無水物系硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性の観点から酸無水物系硬化剤を用いることが好ましい。酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物の変性物としては、例えば、上述した酸無水物をグリコールで変性したもの等が挙げられる。ここで、変性に用いることのできるグリコールの例としては、エチレンギリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;ポリエチレンギリコール、ポリプロピレングリコール、ポチテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルリコールを用いることもできる。
酸無水物の変性物においては、酸無水物1モルに対してグリコール0.4モル以下で変性させることが好ましい。変性量が上記上限値以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、作業性が良好となる傾向にあり、また、エポキシ樹脂との硬化反応の速度も良好となる傾向にある。
以上で挙げた酸無水物硬化剤は1種のみでも2種以上を任意の組み合わせ及び配合量で組み合わせて用いてもよい。酸無水物系硬化剤を用いる場合には、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
[カチオン重合開始剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性の観点からカチオン重合開始剤を用いることが好ましい。酸無水物系硬化剤としては酸無水物及び酸無水物の変性物が挙げられる。カチオン重合開始剤としては、熱によりカチオン種及び/又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤、光によりカチオン種及び/又はルイス酸を発生する光カチオン重合開始剤等が挙げられる。なお、熱カチオン重合開始剤と光重合開始剤との間には明確な区分はなく、熱及び光のいずれに対しても硬化剤として作用するものもある。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩ホスホニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩系カチオン重合開始剤;アルミニウム錯体とシラノール化合物との組み合わせ、アルミニウム錯体とビスフェノールSとの組み合わせ等のアルミニウム錯体複合系カチオン重合開始剤等が挙げられる。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン系化合物等が挙げられる。
カチオン重合開始剤は市販品として入手することができる。例えば、3M社製FC−520、ユニオン・カーバイド社製UVR−6990、UVR−6974、ジェネラルエレクトリック社製UVE−1014、UVE−1016、デグッサ社製KI−85旭電化社製SP−15、SP−170、三新科学工業社製SI−60L、SI−80L、SI−100L等が挙げられる。
以上で挙げたカチオン重合開始剤の中でも、オニウム塩が、取り扱い性の観点から好ましい。更に、オニウム塩の中でもジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩が特に好ましい。
カチオン重合開始剤は1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、カチオン重合開始剤は、本発明のエポキシ樹脂100質量部に対し、0.01〜15質量部で用いることが好ましく、0.05〜5重量部で用いることがより好ましい。カチオン重合開始剤の使用量が上記範囲内であるとエポキシ樹脂硬化物の耐熱性が良好となる傾向にあるために好ましい。
[有機リン化合物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機リン化合物を用いると硬化反応が促進されるために好ましい。有機リン化合物としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等のホスホニウム塩等が挙げられる。なお有機リン化合物は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上で挙げた有機リン化合物は1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、有機リン化合物はエポキシ樹脂組成物中の本発明のエポキシ樹脂と有機リン化合物との合計100重量部に対して0.1〜50重量部
で用いることが好ましく、0.5〜30重量部で用いることがより好ましい。
[アミン系硬化剤]
アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上で挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、アミン系硬化剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
[第3級アミン]
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
以上で挙げた第3級アミンは1種のみで用いても2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、第3級アミンは、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
[その他の硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤として、酸無水物系硬化剤、カチオン重合開始剤及び有機リン化合物、アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)、第3級アミン以外のものとしては、例えば、アミド系硬化剤、フェノール系硬化剤、イミダゾール類、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素ア
ミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。以上に挙げたその他の硬化剤は1種のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、テルペンジフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、テルペンフェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、石油系重質油又はピッチ類とホルムアルデヒド重合物とフェノール類とを酸触媒の存在下に重縮合させた変性フェノール樹脂等の各種のフェノール化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の多官能型エポキシ樹脂(本発明において「多官能型エポキシ樹脂」とは3官能以上のエポキシ樹脂を意味する。)等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分中の他のエポキシ樹脂の配合量は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、一方、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは95重量%以下である。他のエポキシ樹脂の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができ、特に本発明のエポキシ樹脂そのものよりも更に耐熱性に優れた材料を得ることができる。一方、他のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、本発明のエポキシ樹脂の効果が十分に発揮され、低吸湿性を得ることができる。
<溶剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立し
て同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
<その他の成分>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、保存安定性向上のための紫外線防止剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、無機フィラー、カップリング剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、顔料、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる(以下、「本発明の硬化物」と称する)。本発明の硬化物は、耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等の硬化物特性に優れるものである。
本発明の硬化物を得る方法は特に制限されないが、通常、エポキシ樹脂及び硬化剤、必要に応じて配合されるその他の成分を混合した後、光及び/又は熱により硬化反応を進行させることで得ることができる。より具体的には、エポキシ樹脂及び硬化剤、必要に応じて配合されるその他の成分を通常、40〜120℃で加熱溶融しながら均一に混合する方法、硬化剤の予備反応を行いながらエポキシ樹脂組成物を調整し、得られたエポキシ樹脂組成物を通常、100〜200℃で0.1〜20分間成形硬化させ、更に、硬化性能の向上を図るために、通常、70〜200℃の温度で0.1〜10時間の範囲で後硬化を行う方法等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂を硬化剤により硬化してなる硬化物は、耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等に優れ、良好な硬化物特性を示すものである。ここでいう「硬化」とは通常、エポキシ樹脂及び硬化剤、必要に応じて配合されるその他の成分を混合した後、熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5〜95%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化又は半硬化させて硬化物又は半硬化物とする際のエポキシ樹脂組成物の硬化方法は特に制限されず、エポキシ樹脂組成物中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常、40〜120℃で加熱溶融しながら均一に混合する方法、硬化剤の予備反応を行いながらエポキシ樹脂組成物を調整し、得られたエポキシ樹脂組成物を通常、100〜200℃で0.1〜20分間成形硬化させ、更に、硬化性能の向上を図るために、通常、70〜200℃の温度で0.1〜10時間の範囲で後硬化を行う方法等が挙げられる。
樹脂半硬化物を作製する際には、加熱等により形状が保てる程度にエポキシ樹脂組成物
の硬化反応を進行させる。エポキシ樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、樹脂半硬化物中に5質量%以下の溶剤が残留することもある。
〔用途〕
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等の硬化物特性に優れ、また、本発明のエポキシ樹脂は取り扱い性にも優れるものである。このため、LED、有機EL等の発光装置;太陽電池、CCD、赤外線センサー、ピックアップレンズ等の受光装置;光配電板、光学コネクター、レンズ等の光学半導体関連部材等の各種光学部材の用途において特に有用であるが、その用途はこれらに制限されず、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等の様々な用途に好適に適用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔エポキシ樹脂の物性測定方法・性能評価方法〕
以下の実施例で得られたエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物の物性の測定方法及び性能の評価方法は次の通りである。
<n数>
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の条件で測定した。得られた面積%の比からn数を算出した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
<エポキシ当量>
JIS K−7236に従って測定した。
<軟化点>
JIS K−7234 環球法により測定した。
<粘度>
コーンプレート型粘度測定機を用いて150℃におけるエポキシ樹脂の粘度を測定した。
〔硬化物の物性測定方法・性能評価方法〕
<耐熱性>
TMA法(5℃/分で昇温)によりガラス転移温度Tgを測定した。このTgの値が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
<耐熱劣化性>
縦20cm、横20cm、厚さ8mmの軟質ガラス板の片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付けたものを2枚作製した。フィルムを貼り付けたガラス板1枚をフィルムが上になるように置き、その上に外径4mm、内径2mmのシリコーンチューブをU字状に置いた。更に厚さ2mmの金属製の板をガラス板の4隅に置き、あらかじめ作製したフィルムを貼り付けたもう一枚のガラス板をフィルムが下面になるように重ね合わせ、小型万力で締めて固定した。そこにエポキシ樹脂組成物を注ぎ、オーブン中にて100℃で3時間、次いで、140℃で3時間硬化させて、厚さ2mmのエポキシ樹脂硬化物を得た。この方法で作成した硬化物をダイヤモンドカッターで一辺6cm角にカットして試験片を得た。
試験片を、オーブンの中(Air雰囲気中)に150℃で100時間放置した後、オーブンから取り出し、室温で冷却後、色差計を用いて色差計(日本電色工業製 ZE2000)を用いて、耐熱劣化試験前後の色差YI値(Yellow Index)を測定した。この値が小さい程、耐熱劣化性に優れることを示す。
<耐吸湿性>
厚さ3mmのステンレス製鋼板を直径50mmの円形に打ち抜いた試験片作成用治具を使用して、この治具(鋼板)の片面にポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付け、オーブンの中に設置した。そこにエポキシ樹脂組成物を注ぎ、オーブン中にて100℃で3時間、次いで、140℃で3時間硬化させて直径50mm、厚さ3mmの円盤状の硬化物を得てこれを試験片とした。
試験片を85℃、湿度85%に72時間放置した後の吸湿率を下記式で算出した。吸湿率の値が小さいほど、耐吸湿性に優れることを示す。
吸湿率=[{(試験片を85℃、湿度85%に72時間放置した後の試験片の重量)
−(処理前の試験片の重量)}/(処理前の試験片の重量)]×100
〔エポキシ樹脂の製造〕
<実施例1−1>
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた2L容ガラス製フラスコに、予め40℃に加熱した1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン(前記式(2)で表されるフェノール化合物であり、R及びRがメチル基であり、R及びRがそれぞれ2位に置換し、シクロドデシル基が4位に結合しているもの。)170g、イソプロピルアルコール193.3g、エピクロルヒドリン496.6g(1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの水酸基1モル当たり6モル)、水69.0gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48%水酸化ナトリウム水溶液85.8gを1.5時間かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で0.5時間保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂を、メチルイソブチルケトンを330gに溶解させ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液4.65gを加え、65℃の温度で1時間反応させた。その後、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。ついで減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、エポキシ樹脂210gを得た。得られたエポキシ樹脂について、エポキシ当量、軟化点及び粘度を測定した。これらの分析値を表−1に示す。
<実施例1−2>
原料として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(前記式(2)で表されるフェノール化合物であり、R及びRが水素原子であるもの。)227.7g、イソプロピルアルコール325.5g、エピクロルヒドリン836.6g(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの水酸基1モル当たり7モル)、水106.4gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48%水酸化ナトリウム水溶液123.8gを用いた以外は実施例1−1と同様にして粗製エポキシ樹脂を得た。また、この粗製エポキシ樹脂を、メチルイソブチルケトンを450gに溶解させ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液6.34gを加えて反応させた以外は実施例1−1と同様にして目的とするエポキシ樹脂276gを得た。得られたエポキシ樹脂について、エポキシ当量、軟化点及び粘度を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
<比較例1−1>
原料として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)211.7g、イソプロピルアルコール397.5g、エピクロルヒドリン1021.8g(1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサンの水酸基1モル当たり6モル)、水123.3gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48%水酸化ナトリウム水溶液151.2gを用いた以外は実施例1−1と同様にして粗製エポキシ樹脂を得た。また、この粗製エポキシ樹脂を、メチルイソブチルケトンを450gに溶解させ、48質量%水酸化ナトリウム水溶液6.34gを加えて反応させた以外は実施例1−1と同様にして目的とするエポキシ樹脂260gを得た。なお、ここで得られたエポキシ樹脂は、特開2007−254579号公報の実施例1に記載のエポキシ樹脂と類似するものである。得られたエポキシ樹脂について、エポキシ当量、軟化点及び粘度を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
<比較例1−2及び比較例1−3>
比較例1−2においてはビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製 JER(登録商標)828US)を用い、また、比較例1−3おいては水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製 JER(登録商標)YX8000)を用いた。これらについて、エポキシ当量、軟化点及び粘度を測定した。これらの測定結果を表−1に示す。
Figure 2013253153
〔エポキシ樹脂組成物及び硬化物の製造〕
<実施例2−1>
実施例1−1で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量;257g/当量、軟化点;94℃)100重量部、酸無水物系硬化剤として無水メチルヘキサヒドロフタル酸(新日本理
化社製 商品名:MH−700、酸無水物当量165g/当量))64重量部を、温度110℃で均一になるまで混合し、続いて有機リン化合物としてメチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート(日本化学工業社製 商品名;ヒシコーリンPX−4MP)1.0重量部を添加し、攪拌、溶解してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を減圧下で脱泡した後、各評価試験の試験片作製用の型の中に流し込み、オーブン中にて100℃で3時間、次いで140℃で3時間硬化させ硬化物を得た。この硬化物の評価結果を表−2に示す。
<実施例2−2、比較例2−2〜2−4>
エポキシ樹脂の種類と酸無水物系硬化剤の配合量を表−1に示すように変える以外は、それぞれ実施例2−1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂組成物を得た。また、実施例2−1と同様に硬化物を得た。各々の硬化物の評価結果を表−2に示す。
Figure 2013253153
〔結果の評価〕
表−1の結果より、比較例1−1のエポキシ樹脂が半固形、比較例1−2及び比較例1−3のエポキシ樹脂が液状であるのに対し、実施例1−1及び実施例1−2のエポキシ樹脂は30℃以上の軟化点を有し、固形であった。よって、比較例1−1〜1−3のエポキシ樹脂と比べて実施例1−1及び1−2のエポキシ樹脂は取り扱い性に優れることがわかる。
次に、表−2の結果より、本発明のエポキシ樹脂に該当するものを用いた実施例2−1及び2−2は耐熱性、耐熱劣化性及び耐吸湿性のすべてに優れることがわかる。一方、比較例2−1は耐熱性及び耐熱劣化性が劣っており、比較例2−2は耐熱性、耐熱劣化性及び耐吸湿性が劣っており、更に、比較例2−3は耐熱性及び耐熱劣化性が劣っていることが明らかである。
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐熱劣化性、耐吸湿性等の硬化物特性に優れ、また、本発明のエポキシ樹脂は取り扱い性にも優れるものである。このため、LED、有機EL等の発光装置;太陽電池、CCD、赤外線センサー、ピックアップレンズ等の受光装置;光配電板、光学コネクター、レンズ等の光学半導体関連部材等の各種光学部材の用途において特に有用であるが、その用途はこれらに制限されず、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等の様々な用途に好適に適用することができる。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
    Figure 2013253153
    (上記式(1)において、Aは上記式(2)で表される化学構造を含み、Rは水素原子又は上記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数の平均値であり0以上150以下である。上記式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
  2. 下記式(4)で表されるフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂。
    Figure 2013253153
    (上記式(4)において、R1’〜R はそれぞれ互いに異なっていてもよく、水素
    原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
  3. エポキシ当量が200〜30,000g/当量である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含む、エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.01〜200重量部含む、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記硬化剤が、酸無水物系硬化剤、カチオン重合開始剤、有機リン化合物、アミン系硬化剤及び第3級アミンからなる群のうちの少なくとも1つである、請求項4又は5に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  8. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる光学部材。
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