JP2014001091A - アルカリ金属硫化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性を向上できるアルカリ金属硫化物の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造方法であって、反応系に量論比よりも多い量を供給する必要がある原料を用い、第1の純度を有するアルカリ金属硫化物の製造に用いて一部が消費された前記原料を、前記第1の純度より低い第2の純度を有するアルカリ金属硫化物の製造に用いることを特徴とするアルカリ金属硫化物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ金属硫化物の製造方法及びアルカリ金属硫化物の製造装置に関する。
アルカリ金属硫化物を製造する際、従来、原料と有機溶媒からなるスラリー中に気体の原料を吹き込み、アルカリ金属硫化物を製造していた(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の製造方法によって高純度のアルカリ金属硫化物を得るためには、高純度の気体原料を多く使用する必要があった。
特開平7−330312号公報
本発明の目的は、生産性を向上できるアルカリ金属硫化物の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下のアルカリ金属硫化物の製造方法等が提供される。
1.アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造方法であって、
反応系に量論比よりも多い量を供給する必要がある原料を用い、
第1の純度を有するアルカリ金属硫化物の製造に用いて一部が消費された前記原料を、前記第1の純度より低い第2の純度を有するアルカリ金属硫化物の製造に用いることを特徴とするアルカリ金属硫化物の製造方法。
2.前記反応系に量論比よりも多い量を供給する必要がある原料が硫化水素である1に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
3.気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料を溶媒中で反応させて、アルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、
気体の硫黄含有原料を用いて、前記第1の工程で得られたアルカリ金属硫化物の純度を高くする第2の工程とを含み、
前記第2の工程で用いて一部が消費された、前記第2の工程で用いた硫黄含有原料より純度が低い硫黄含有原料を前記第1の工程に用いるアルカリ金属硫化物の製造方法。
4.硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料を溶媒中で反応してアルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、
前記第1の工程により製造されたアルカリ金属硫化物の純度を高くする第2の工程とを含み、
前記第1の工程は0.15MPa未満の圧力下で行い、前記第2の工程は0.15MPa以上の圧力下で行うアルカリ金属硫化物の製造方法。
5.前記第2の工程で製造されたアルカリ金属硫化物の純度をさらに高くする1又は2以上の工程を含み、最もアルカリ金属硫化物の純度を高くする工程を0.15MPa以上の圧力下で行う4に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
6.前記アルカリ金属含有原料が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水硫化リチウム及び水硫化ナトリウムから選択される少なくとも1つであり、前記硫黄含有原料が硫化水素である3〜5のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
7.前記溶媒が炭化水素系有機溶媒である1〜6のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
8.アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造装置であって、
気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を製造する第1の容器と、
前記第1の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度を高める第2の容器と、
前記第2の容器で使用して一部が消費された、前記第2の容器で用いた硫黄含有原料より純度が低い硫黄含有原料を前記第1の容器に搬送するための搬送手段と
を備えるアルカリ金属硫化物の製造装置。
9.アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造装置であって、
気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を製造する第1の容器と、
前記第1の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度を高める第2の容器と、
前記第2の容器の圧力を0.15MPa以上にすることができる加圧手段と
を備えるアルカリ金属硫化物の製造装置。
10.さらに、前記第2の容器で製造したアルカリ金属硫化物よりも高純度のアルカリ金属硫化物を製造する1又は2以上の容器を備え、
最も純度を高くする容器は、容器内の圧力を0.15MPa以上にすることができる9に記載の製造装置。
本発明によれば、生産性を向上できるアルカリ金属硫化物の製造方法が提供できる。
本発明の第1のアルカリ金属硫化物の製造装置の一実施形態を示す図である。 本発明の第1のアルカリ金属硫化物の製造装置の他の実施形態を示す図である。 本発明の第2のアルカリ金属硫化物の製造装置の一実施形態を示す図である。
1.第1のアルカリ金属硫化物の製造方法
本発明の第1のアルカリ金属硫化物の製造方法は、アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造方法において、反応系に量論比よりも多い量を供給する必要がある原料(第1の原料)を用い、第1の純度を有するアルカリ金属硫化物(高純度アルカリ金属硫化物)の製造に用いて一部が消費された前記原料を、前記第1の純度より低い第2の純度を有するアルカリ金属硫化物(低純度アルカリ金属硫化物)の製造に、用いることを特徴とする。
通常、高純度アルカリ金属硫化物を製造するときは、高純度の第1の原料を大量に用いる。しかしながら、本発明では、高純度アルカリ金属硫化物で用いて一部が消費された第1の原料を低純度アルカリ金属硫化物の製造に用いるため、第1の原料の使用量を減らすことができる。低純度アルカリ金属硫化物はさらに純度を上げる工程に付すことができる。
高純度アルカリ金属硫化物の第1の純度は、例えば、50〜99.9重量%、70〜99.9重量%を例示することができ、低純度アルカリ金属硫化物の第2の純度は、例えば20〜95重量%、30〜90重量%を例示することができる。アルカリ金属硫化物の純度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、高純度アルカリ金属硫化物に用いる第1の原料の純度は80体積%以上が好ましい。
第1の原料は、量論比よりも多い量を供給する必要がある。量論比よりも多い量を供給する必要がある原料とは、アルカリ金属硫化物の合成反応に使用される量の1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、また、例えば50倍以下の量を反応系に供給する必要がある原料である。
第1の原料は、常温、常圧で気体であることが好ましい。また、SH基を有するものが好ましい。第1の原料としては、具体的には、アルキルチオール又は硫化水素が挙げられ、好ましくは硫化水素である。
アルカリ金属硫化物は、アルカリ金属元素と硫黄元素を含む化合物であり、式(1)で表される化合物であることが好ましい。
S・・・(1)
式中、Mはアルカリ金属元素であり、aは0.5以上2以下である。
Mとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムが挙げられ、好ましくはリチウム、ナトリウム又はカリウムであり、より好ましくはリチウム又はナトリウムであり、最も好ましくはリチウムである。
aは好ましくは1以上2以下、より好ましくは2である。Sは硫黄を意味する。
式(1)で表される化合物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム等を挙げることができ、好ましくは硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウムであり、さらに好ましくは硫化リチウム、硫化ナトリウムであり、最も好ましくは硫化リチウムである。
上記第1の原料以外の原料(第2の原料)としては、下記式(2)又は(3)で表される化合物が好ましく、式(2)で表される化合物がより好ましい。
OH・・・(2)
SH・・・(3)
式中、Mは上記と同様である。bは0.3以上1以下であり、好ましくは0.5以上1以下であり、さらに好ましくは1である。cは0.3以上1以下であり、好ましくは0.5以上1以下であり、さらに好ましくは1である。
式(2)で表される化合物を用いる場合、含水物を用いることも可能である。この場合、含水量は少ないことが好ましく、具体的には60重量%以下、好ましくは50重量%以下である。尚、含まれている水は、通常、反応中に除去される。
含水を除いた純度が高いことが好ましく、純度が90重量%以上であるとより好ましく、95重量%以上であるとさらに好ましい。
溶媒は、アルカリ金属硫化物を製造することができる溶媒であればよく、例えば、炭化水素系有機溶媒、非プロトン性有機溶媒、水等である。炭化水素系有機溶媒、非プロトン性有機溶媒、水等を1種又はこれらの混合物を用いることができる。最も好ましくは、炭化水素系有機溶媒である。
炭化水素系有機溶媒は、特に制限はないが、水と共沸組成を形成する溶媒が好ましい。炭化水素系有機溶媒は、1種で使用してもよく、2種以上の混合溶媒で使用してもよい。具体的には、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点111℃)、キシレン(p−体(沸点138℃)、m−体(沸点139℃)、o−体(沸点144℃))、エチルベンゼン(沸点136℃)及びドデカン(沸点215℃)から選択される1種又は2種以上の混合物が好適に用いられる。
炭化水素系有機溶媒は、NMP(N−メチルピロリドン)に代表される極性溶媒を使用した場合に生じる不純物による原料のロスを考慮する必要がなくなる。
また、炭化水素系有機溶媒は、強アルカリである水酸化リチウムや、酸である硫化水素との反応性が低く、不純物をほとんど生成しない。そのため、不純物を除去するための精製工程が不要となり、大幅な製造プロセスの簡素化が図れる。
非プロトン性有機溶媒は、一般に、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機硫黄化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、又は混合溶媒として好適に使用することができる。
これらの非プロトン性の極性有機化合物のうち、アミド化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジエチルアセトアミド,N,N−ジプロピルアセトアミド,N,N−ジメチル安息香酸アミド等を挙げることができる。
また、ラクタム化合物としては、例えば、カプロラクタム,N−メチルカプロラクタム,N−エチルカプロラクタム,N−イソプロピルカプロラクタム,N−イソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプロピルカプロラクタム,N−ノルマルブチルカプロラクタム,N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類,N−メチル−2−ピロリドン(NMP),N−エチル−2−ピロリドン,N−イソプロピル−2−ピロリドン,N−イソブチル−2−ピロリドン,N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン,N−ノルマルブチル−2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−2−ピロリドン,N−メチル−3−メチル2−ピロリドン,N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−メチル−34,5−トリメチル−2−ピロリドン,N−メチル−2−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリドン,N−イソプロピル−2−ピペリドン,N−メチル−6−メチル−2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル−2−ピペリドン等を挙げることができる。
また、尿素化合物としては、例えば、テトラメチル尿素,N,N’−ジメチルエチレン尿素,N,N’−ジメチルプロピレン尿素等を挙げることができる。
さらに、有機硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシド,ジフェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスルホラン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェニル−1−オキソスルホラン等を、また、前記環式有機リン化合物としては、例えば、1−メチル−1−オキソホスホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラン,1−フェニル−1−オキソホスホラン等を挙げることができる。
尚、有機硫黄化合物とは、硫黄を含む有機化合物を意味する。
これら各種の非プロトン性極性有機化合物は、それぞれ一種単独で、又は二種以上を混合して、さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混合して、前記非プロトン性有機溶媒として使用することができる。
非プロトン性有機溶媒の中でも、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−アルキルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチル−2−ピロリドンである。
アルカリ金属硫化物は、上記の第1の原料の他は公知の方法で製造できる(特開平7−330312、特開平9−283156号、特開2010−163356等)。高純度アルカリ金属硫化物の製造方法として、例えば、後述する第2のアルカリ金属硫化物の製造方法の第2の工程を用いることができる。低純度アルカリ金属硫化物の製造方法として、例えば、後述する第2のアルカリ金属硫化物の製造方法の第1の工程を用いることができる。
2.第2のアルカリ金属硫化物の製造方法
本発明の第2のアルカリ金属硫化物の製造方法は、気体の硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料を溶媒中で反応させて、アルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、気体の硫黄含有原料を用いて、第1の工程で得られたアルカリ金属硫化物の純度を高くする第2の工程とを含み、第2の工程で用いて一部が消費された、第2の工程で用いた硫黄含有原料より純度が低い硫黄含有原料を第1の工程に用いる。好ましくは、第1の工程と第2の工程を繰り返す。
アルカリ金属硫化物は、第1のアルカリ金属硫化物の製造方法のアルカリ金属硫化物と同様であることからその説明は省略する。
ここで、気体の硫黄含有原料とは、常温、常圧で気体であり硫黄を含む化合物である。ここで、気体の硫黄含有原料はSH基を有するものが好ましい。気体の硫黄含有原料の例として、アルキルチオール又は硫化水素が挙げられ、好ましくは硫化水素である。
また、アルカリ金属含有原料とは、アルカリ金属を含む化合物であり、下記式(2)又は(3)で表される化合物が好ましく、式(2)で表される化合物がより好ましい。
OH・・・(2)
SH・・・(3)
式中、Mは上記と同様である。bは0.3以上1以下であり、好ましくは0.5以上1以下であり、さらに好ましくは1である。cは0.3以上1以下であり、好ましくは0.5以上1以下であり、さらに好ましくは1である。
式(2)で表される化合物を用いる場合、含水物を用いることも可能である。この場合、含水量は少ないことが好ましく、具体的には60重量%以下、好ましくは50重量%以下である。尚、含まれている水は、通常、反応中に除去される。
含水を除いた純度が高いことが好ましく、純度が90重量%以上であるとより好ましく、95重量%以上であるとさらに好ましい。
通常、高純度のアルカリ金属硫化物を製造するときは、高純度の硫黄含有原料を大量に用いる。しかしながら、本発明では、製造を、低純度アルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、高純度アルカリ金属硫化物を製造する第2の工程に分け、高純度アルカリ金属硫化物の製造で用いて一部が使用された硫黄含有原料(高純度アルカリ金属硫化物の製造時より純度が低減したもの)を低純度アルカリ金属硫化物の製造に用いるため、高純度の硫黄含有原料の使用量を減らすことができる。第1の工程では、第2の工程ほど高い純度の硫黄含有原料を用いる必要はない。低純度アルカリ金属硫化物は第2の工程で純度を上げる。
第2の工程で用いる硫黄含有原料は、純度が高いことが好ましく、純度が80体積%以上であると好ましく、純度が98体積%以上であるとより好ましい。
特に、二酸化炭素やアンモニアガス等の不純物の含有量が少ない硫黄含有原料を使用することが好ましい。
また、第1の工程で用いる硫黄含有原料の純度は高くても高くなくてもよい。
第1の工程で使用する硫黄含有原料の純度を高くするためには、第2の工程で使用する硫黄含有原料の量を増やす必要がある。しかしながら、第2の工程での使用量を多くすると、単位硫黄含有原料当たりのアルカリ金属硫化物の生産性が低下し、さらにリアクターの安定性や保温性が低下するため、使用量には最適値が存在する。この最適値は、原料であるアルカリ金属水酸化物の量、溶媒量、リアクターサイズや除熱能力により変化する。
例えば、第1工程で用いる硫黄含有原料の純度は50体積%以上であればよく、好ましくは70体積%以上であればよい。また、例えば、第1の工程で使用する硫黄含有原料の純度は、50体積%以上99体積%以下、又は50体積%以上90体積%以下とすることができる。
尚、不純物としては、メタン、エタン等の炭化水素、水素、酸素、窒素、水分等が挙げられる。これらが不純物として含まれると、反応に有効である硫黄含有原料の分圧が低下するため、好ましくない。
また、第2の工程で純度を高めたアルカリ金属硫化物の純度をさらに高める1又は2以上の工程を備えていてもよい。この場合、上記硫黄含有原料は、最も高純度のアルカリ金属硫化物を製造する工程において初めに用い、その後、アルカリ金属硫化物の純度が高い順に、各工程に用いることができる。
硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料は、それぞれ第1のアルカリ金属硫化物の製造方法における第1の原料と第2の原料に相当し同じ説明が当てはまる。溶媒も第1のアルカリ金属硫化物の製造方法で用いる溶媒と同じである。
アルカリ金属含有原料は、通常、用いる溶媒に溶解して溶液になるか又は分散してスラリー状になる。アルカリ金属含有原料の仕込み量は特に制限はなく、取り扱いや移送を考慮して適切な濃度とすればよい。例えば、溶液(スラリー)における濃度は30重量%以下であることが望ましい。
硫黄含有原料は、例えば、溶液又はスラリーに吹き込むことによりアルカリ金属含有原料と反応させる。
硫黄含有原料の吹き込み速度は、反応系の規模や反応条件等により適宜調整すればよい。例えば、反応容器が1L、スラリー溶液が500g、10wt%である場合、硫黄含有原料は、反応容積(1L)が、0.1分〜100分で入れ替わる吹き込み速度とすることが好ましい。具体的には、0.01N−L/分〜10N−L/分で制御することが好ましい。
また、圧力制御として、消費された原料の気体を圧力低下分のみ供給する手法を用いることもできる。
反応時の圧力は、第1の工程(1段目)と第2の工程(2段目)以降のリアクター(反応器)で同じであってもよいが、2段目以降が高い方が好ましい。
具体的には、2段目以降の反応を0.15MPa以上、好ましくは、0.18MPa以上、より好ましくは0.9MPa以上の加圧条件とすることが好ましい。1段目は、未反応物が多いことから、制約の少ない常圧で行うことが好ましい。
また、これに伴い、2段目以降の反応温度は、通常、1段目よりも高い温度設定となる。具体的には、1段目リアクターの温度は例えば70℃〜180℃であり、2段目以降は、1段目リアクターに対して10℃以上120℃以下の温度設定が好ましい。ここで、常圧は大気圧を意味する。
反応時の温度について、溶媒が炭化水素系有機溶媒の場合を例にして説明する。
反応時の温度は、用いる炭化水素系有機溶媒の沸点と硫化水素の溶解度、反応時の圧力により異なるが、炭化水素系有機溶媒が水と共沸する温度以上で、反応時の圧力下における炭化水素系有機溶媒の沸点以下であることが好ましい。
反応温度としては、例えば70℃〜300℃が好ましい。加熱下で反応させることにより、反応により生じた水をスラリー内から除去することができる。特に、上述した水と共沸組成を形成する溶媒を使用することにより、スラリー内から水を効率よく除去することができる。反応系から速やかに水分を除去することにより、反応系に水分が実質的に存在しない状態とすることができるため、硫化リチウムの結晶成長が進まず、比表面積の大きい硫化リチウムを得ることができる。
反応時間は、各ステップにおいて、アルカリ金属硫化物の純度等反応率を観察しながら決定してもよいが、一般的には、第1の工程と第2の工程を合わせて1時間以上7日以内であり、好ましくは2時間以上5日以内である。反応時間が7日より長い場合、工業的に好ましくない。1時間より短い場合は、純度向上が得られない場合がある。
撹拌は、特に制限されず、均一性が得られればよい。具体的には、アンカー、ヘリカル、ファドラー、マックスブレンド翼等を用いて行うことができる。
また、副生物を除去しつつ反応を行うことが好ましい。
例えば、硫化水素と水酸化リチウムを反応させると水が副生される。副生された水は反応系から蒸発した共沸ガスをコンデンサ等で凝縮することで系外に除去できる。この際、溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)も除去されるが、除去された量を反応系に新たに追加してもよい。これにより、スラリー濃度等を調整できる。尚、コンデンサーは、通常、各リアクターにそれぞれ付与する必要があり、共通化することはできない。
3.第3のアルカリ金属硫化物の製造方法
本発明の第3のアルカリ金属硫化物の製造方法は、硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料を溶媒中で反応してアルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、第1の工程により製造されたアルカリ金属硫化物の純度を高くする第2の工程とを含み、第1の工程は0.15MPa未満の圧力下で行い、第2の工程は0.15MPa以上の圧力下で行う。
硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料は第2のアルカリ金属硫化物の製造方法の硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料と同様であることからその説明は省略する。アルカリ金属硫化物は第1のアルカリ金属硫化物の製造方法のアルカリ金属硫化物と同様であることからその説明は省略する。
本発明では、製造を、低純度アルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、高純度アルカリ金属硫化物を製造する第2の工程に分け、第2の工程のみを高圧で実施する。従って、高純度のアルカリ金属硫化物を製造する際の加圧時間を少なくすることができる。
好ましくは、第1の工程は0.15MPa未満の圧力下で行い、第2の工程は0.18MPa以上の圧力下で行う。より好ましくは、第1の工程は0.15MPa未満の圧力下で行い、第2の工程は0.19MPa以上の圧力下で行う。
また、好ましくは、第1の工程は常圧下で行い、第2の工程は0.15MPa以上の圧力下で行う。より好ましくは、第1の工程は常圧下で行い、第2の工程は0.18MPa以上の圧力下で行う。さらに好ましくは、第1の工程は常圧下で行い、第2の工程は0.19MPa以上の圧力下で行う。
また、第2の工程で得られたアルカリ金属硫化物の純度をさらに高める1又は2以上の工程を備える場合、最も高純度にする工程は好ましくは0.15MPa以上、より好ましくは0.18MPa以上、さらに好ましくは0.19MPa以上、さらに好ましくは0.3MPa以上の圧力下で行う。
第3のアルカリ金属硫化物の製造方法における硫黄含有原料、アルカリ金属含有原料、溶媒は、第2のアルカリ金属硫化物の製造方法と同様である。
本発明において、硫黄含有原料の純度は限定されないが、第2のアルカリ金属硫化物の製造方法と同様にしてもよい。即ち、第2の工程で用いる硫黄含有原料の純度を高くしてもよい。また、第1の工程で用いる硫黄含有原料は、純度の低い硫黄含有原料を用いることもできるし、純度が高い硫黄含有原料を用いることもできる。
尚、硫黄含有原料を第1の工程と第2の工程それぞれに独立して加えてもよいし、第2のアルカリ金属硫化物の製造方法と組み合わせて、第2の工程で使用した硫黄含有原料を第1の工程で使用してもよい。
上記以外の製造方法の条件は、上記第2のアルカリ金属硫化物の製造方法と同様である。
4.第1のアルカリ金属硫化物の製造装置
本発明の第1のアルカリ金属硫化物の製造装置は、硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を有機溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造装置であって、気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を製造する第1の容器と、第1の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度を高める第2の容器と、第2の容器で使用して一部が消費された、第2の容器で用いた硫黄含有原料より純度が低い硫黄含有原料を第1の容器に搬送するための搬送手段とを備える。
硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料は第2のアルカリ金属硫化物の製造方法の硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料と同様であることからその説明は省略する。アルカリ金属硫化物は第1のアルカリ金属硫化物の製造方法のアルカリ金属硫化物と同様であることからその説明は省略する。
本発明の第1のアルカリ金属硫化物の製造装置の一例の概略を図1に示す。
第1のアルカリ金属硫化物の製造装置1は、第1の容器10及び第2の容器110を有する。第1の容器10には、冷却管(コンデンサー)40及びモーター22によって駆動される撹拌翼20が設けられ、第2の容器110には冷却管140及びモーター122によって駆動される撹拌翼120が設けられている。
第1の容器10及び第2の容器110は生成物搬送手段160によって連結されている。生成物搬送手段160によって、第1の容器10で製造されたアルカリ金属硫化物が第2の容器110に搬送される。生成物搬送手段160の第1の容器10側にはバルブ30が設けられ、第2の容器110側にはバルブ130が設けられている。
また、第1の容器10及び第2の容器110は気体原料搬送手段150によって連結されている。気体原料搬送手段150によって、第2の容器110で使用して一部が消費された気体原料(硫黄含有原料;第2の容器110での使用時より純度が低減したもの)を第1の容器10へ搬送する。気体原料搬送手段150は冷却管140を介して第2の容器110と連結されている。また、気体原料搬送手段150には圧力制御弁152が設けられている。
アルカリ金属硫化物の製造装置1を用いてアルカリ金属硫化物を製造する場合、第1の容器10にアルカリ金属含有原料の原料を投入し、攪拌翼20によって撹拌しながら第1の容器10内に硫黄含有原料を流入する。
第1の容器10においてアルカリ金属硫化物が生成する。このとき、反応に用いられなかった硫黄含有原料は外部へ排出される。硫黄含有原料と共に水が排出された場合、水は冷却管40で凝縮される。
バルブ30及びバルブ130を調節することにより、生成したアルカリ金属硫化物は、生成物搬送手段160を経て第2の容器110へ搬入される。
第2の容器110においては、攪拌翼120によって撹拌しながら第2の容器110内に硫黄含有原料を流入してさらに反応を続行させ、アルカリ金属硫化物の純度を高める。反応に用いられなかった硫黄含有原料は冷却管140、気体原料搬送手段150を介して第1の容器10へ搬入され、アルカリ金属硫化物の生成に用いられる。
また、第1のアルカリ金属硫化物の製造装置は、第2の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度をさらに高める1又は2以上の容器を備えていてもよい。
図2に、第3の容器210を備える第1のアルカリ金属硫化物の製造装置1’を示す。
第3の容器210には冷却管240及びモーター222によって駆動される撹拌翼220が設けられている。
また、第2の容器110及び第3の容器210は生成物搬送手段260によって連結されている。生成物搬送手段260の第2の容器110側にはバルブ132が設けられ、第3の容器210側にはバルブ140が設けられている。
また、第2の容器110及び第3の容器210は気体原料搬送手段250によって連結されている。気体原料搬送手段250は冷却管240を介して第3の容器210と連結されている。また、気体原料搬送手段250には圧力制御弁252が設けられている。
第2の容器110で製造されたアルカリ金属硫化物は、生成物搬送手段260によって第3の容器210内に搬送される。
第3の容器210においては、攪拌翼220によって撹拌しながら気体原料を流入し、さらに反応を続行させて、アルカリ金属硫化物の純度を高める。反応に用いられなかった(一部が消費された)硫黄含有原料は冷却管240、気体原料搬送手段250を介して第2の容器110、第1の容器10へ搬入され、アルカリ金属硫化物の生成、高純度化に用いられる。
製造装置1,1’を用いて、第1又は第2のアルカリ金属硫化物の製造方法を実施できる。また第2の容器を加圧容器にして第3のアルカリ金属硫化物の製造方法を組み合わせてもよい。
第1の容器10、第2の容器110としては、通常の反応容器を用いることができる。
リアクター(容器)サイズは、1段目と2段目を同じサイズにする必要はなく、反応率や硫化水素の使用量等から任意のサイズ比に変更可能である。具体的には、1段目/2段目の容積比は、通常0.1倍〜10倍、好ましくは0.2倍〜5倍である。
第3以降の容器を用いる場合も同様である。
また、第1の容器10及び第2以降の容器は、耐圧のために密閉できる容器とすることができる。最も純度を高める容器は、密閉することができ、コンデンサー部分を含めて0.15MPa以上の圧力にすることができる。
気体原料は、リアクターの下流側から上流側へと向流接触させるため、各リアクター間の圧力が異なる場合には、硫黄含有原料を各リアクターに流通させるために圧力制御弁が必要となる。
また、図1に示すように、硫黄含有原料の流通は、コンデンサーを介して行うが好ましいが、2段目以降は、リアクターからコンデンサーを介さずに直接前段へ流通させることも可能である。
また、潜熱の低下抑制のため、気体原料搬入手段150,250の保温を行うことが好ましい。さらに、ボンベ、貯蔵タンク等を用いる場合、安全面で問題がない範囲で、保温を行うことが好ましい。
コンデンサーの温度は、通常、リアクターの設定温度とコンデンサーサイズ、硫黄含有原料流量から設定される。一般的には、リアクター内溶液部温度に対して−5℃〜−150℃が好ましい。より好ましくは、リアクター内温度に対して−10℃〜−100℃である。
尚、冷却しすぎると循環する硫黄含有原料の潜熱が低下し、熱エネルギーを損失するため、低温であるほど良好であるというわけではない。
生成物搬送手段160、260としては通常のものを用いることができる。
2段目以降の反応容器を加圧下とする場合、反応物のスラリー溶液移送は、加圧系への移送となるため、逆流防止のため、加圧ポンプを使用する必要がある。移送は、連続的又は間欠的に行うことができる。
反応が進行し、反応系から原料(例えば、水酸化リチウム)が消失すると、最後段(例えば第2の容器110又は第3の容器210)のリアクターで水の発生が止まる。
本願において、「水の発生が止まる」とは、反応系から蒸発する水分が観測されなくなった状態を意味する。
水の発生が止まった後、通常、最後段のリアクターのみ硫黄含有原料の吹き込みを止め、不活性ガスを吹き込む。不活性ガスの吹き込みにより、系内に残留する硫黄含有原料を取り除くことが可能である。
尚、反応を連続的に継続するには、最後段のリアクターを別に準備して行ってもよい。又は、最後段の1つ前のリアクターを最後段に組み直して、最上流のリアクターを別に準備してもよい。
脱硫化水素後、スラリーの固体成分と有機溶媒を分離し、乾燥することにより、アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)を回収できる。尚、不活性ガス雰囲気下でスラリー状態での保存も可能である。
本発明の製造方法で得られる硫化リチウムは、比表面積が大きいものとなる。具体的に、比表面積が1.0m/g以上とすることができる。これは、アルカリ金属含有原料の粒子内部から水分が蒸発するためであると予想される。
尚、比表面積はBET法により例えばAUTOSORB6を用いて測定する。
5.第2のアルカリ金属硫化物の製造装置
本発明の第2のアルカリ金属硫化物の製造装置は、アルカリ金属硫化物を有機溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造装置であって、気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を製造する第1の容器と、第1の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度を高める第2の容器と、第2の容器の圧力を0.15MPa以上にすることができる加圧手段とを備える。
本発明の第2のアルカリ金属硫化物の製造装置の一例の概略を図3に示す。
アルカリ金属硫化物の製造装置2は、第1の容器510及び第2の容器610を有する。第1の容器510には、冷却管(コンデンサー)540及びモーター522によって駆動される撹拌翼520が設けられ、第2の容器610には冷却管640及びモーター622によって駆動される撹拌翼620が設けられている。また、第2の容器610には加圧手段650が設けられている。
第1の容器510及び第2の容器610は生成物搬送手段550で連結している。生成物搬送手段550の第1の容器510側、及び第2の容器610側それぞれにバルブ530及びバルブ630が設けられている。
アルカリ金属硫化物の製造装置2を用いてアルカリ金属硫化物を製造する場合、第1の容器510にアルカリ金属含有原料を投入し、攪拌翼520によって撹拌しながら第1の容器510内に硫黄含有原料を流入する。
第1の容器510においてアルカリ金属硫化物が生成する。このとき、反応に用いられなかった硫黄含有原料は外部へ排出され、硫黄含有原料と共に水が排出された場合、冷却管540で凝縮される。
バルブ30及びバルブ130を調節することにより、生成したアルカリ金属硫化物は、生成物搬送手段550を経て第2の容器610へ搬入される。
第2の容器610においては、攪拌翼620によって撹拌しながら第2の容器610内に硫黄含有原料を流入してさらに反応を続行させ、アルカリ金属硫化物の純度を高める。このとき、加圧手段650により、第2の容器610内の圧力は0.15MPa以上に加圧される。
反応に用いられなかった硫黄含有原料は外部へ排出され、硫黄含有原料と共に水が排出された場合、冷却管640で凝縮される。
尚、第1の容器510及び第2の容器610は、気体原料搬送手段を設けて連結することにより、第2の容器610において反応に用いられなかった硫黄含有原料を第1の容器510で再度用いてもよい。
アルカリ金属硫化物の製造装置2で用いる各装置は、アルカリ金属硫化物の製造装置1と同様であり、加圧手段650としては、通常のものを用いることができる。
また、第2の容器で製造したアルカリ金属硫化物よりも高純度のアルカリ金属硫化物を製造する1又は2以上の容器を備える場合、最も純度を高くする容器は、密閉することができ、容器内の圧力を0.15MPa以上、好ましくは0.18MPa以上より好ましくは0.2MPa以上にすることができるものであると好ましい。
製造装置2を用いて、第1又は第3のアルカリ金属硫化物の製造方法を実施できる。
実施例1
[硫化リチウムの製造(第1の工程)]
図3に示す装置を用いて、硫化リチウムを製造した。具体的には、窒素気流下、非極性溶媒としてトルエン270gを600mlセパラブルフラスコ510に加え、無水水酸化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)30gを投入し、フルゾーン撹拌翼520により300rpmで撹拌しながら95℃に保持した。スラリー中に硫化水素ガス(99.9体積%、株式会社巴商会製)を200ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコ510からは、水とトルエンの共沸ガスがコンデンサー540に凝縮した。分離した水分はコンデンサー下部において除去した。尚、反応は常圧(約0.005MPa)で行った。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。この後、硫化水素を窒素に切り替え、300ml/分で1時間流通した。その結果、硫化リチウムトルエンスラリー溶液が得られた。この硫化リチウムトルエンスラリー溶液の固形分の一部をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。
得られた粉末を塩酸滴定及び硝酸銀滴定で分析したところ、硫化リチウムの純度は97.0重量%、水酸化リチウムは0.5重量%であった。硫化リチウムの純度は、得られた粉末をグローブボックス内で秤量後、水に溶解し、電位差滴定装置(平沼産業製COM−980)により測定、算出した。
また、X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。
得られた硫化リチウムの比表面積、細孔容積を窒素ガスによるBET法でAUTOSORB6を用いて測定したところ、比表面積は12.7m/g、細孔容積は0.10ml/gであった。
[硫化リチウムの高純度化(第2の工程)]
上記で得られた硫化リチウムトルエンスラリー溶液80gを、コンデンサー640及び撹拌翼620付オートクレーブ0.5L容器610に窒素下で封入し、脱水トルエン170mlを加えた。このスラリー中に硫化水素(99.9体積%、株式会社巴商会製)を200ml/分の供給速度で吹き込みながら内温150℃(約0.2MPa)まで昇温した。
1時間反応後、硫化水素を窒素に切り替えて、300ml/分で1時間流通した。固形分をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。得られた粉末を塩酸滴定及び硝酸銀滴定で分析したところ、硫化リチウムの純度は97.5重量%、水酸化リチウムは0.3重量%であった。
実施例2
実施例1の[硫化リチウムの製造]で製造した硫化リチウムトルエンスラリー溶液80gを、図3の装置におけるコンデンサー640及び撹拌翼620付オートクレーブ0.5L容器610に窒素下で封入し、脱水トルエン170mlを加えた。このスラリー中に硫化水素(99.9体積%、株式会社巴商会製)を200ml/分の供給速度で吹き込みながら内温209℃(約0.85MPa)まで昇温した。
1時間反応後、硫化水素を窒素に切り替え、300ml/分で1時間流通した。固形分をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。得られた粉末を塩酸滴定及び硝酸銀滴定で分析したところ、硫化リチウムの純度は97.8重量%、水酸化リチウムは0.3重量%であった。
実施例3
[硫化リチウムの製造]
図3に示す装置を用いて、硫化リチウムを製造した。具体的には、窒素気流下で非極性溶媒としてトルエン270gを600mlセパラブルフラスコ510に加え、無水水酸化リチウム(本荘ケミカル株式会社製)30gを投入し、フルゾーン撹拌翼520により300rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。スラリー中に硫化水素(99.9体積%、株式会社巴商会製)を200ml/分、窒素ガスを200ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した(即ち、硫化水素と窒素ガスの混合気体を吹き込んでおり、硫化水素の純度は50体積%である)。セパラブルフラスコ510からは、水とトルエンの共沸ガスがコンデンサー540に凝縮した。分離した水分はコンデンサー下部において除去した。尚、反応は常圧で行った。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。この後、硫化水素を窒素に切り替え、300ml/分で1時間流通し、硫化リチウムトルエンスラリー溶液が得られた。この硫化リチウムトルエンスラリー溶液の固形分の一部をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。
得られた粉末を塩酸滴定及び硝酸銀滴定で分析したところ、硫化リチウムの純度は96.8重量%、水酸化リチウムは0.6重量%であった。また、X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。
得られた硫化リチウムの比表面積、細孔容積を窒素ガスによるBET法でAUTOSORB6を用いて測定したところ、比表面積は13.1m/g、細孔容積は0.10ml/gであった。
[硫化リチウムの高純度化]
上記で得られた硫化リチウムトルエンスラリー溶液80gをコンデンサー640及び撹拌翼620付オートクレーブ0.5L容器610に窒素下で封入し、脱水トルエン170mlを加えた。このスラリー中に硫化水素(99.9体積%、株式会社巴商会製)を200ml/分の供給速度で吹き込みながら内温150℃(約0.2MPa)まで昇温した。
1時間反応後、硫化水素を窒素に切り替え、300ml/分で1時間流通した。固形分をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。得られた粉末を塩酸滴定及び硝酸銀滴定で分析したところ、硫化リチウムの純度は97.4重量%、水酸化リチウムは0.4重量%であった。
実施例1〜3から、第2の工程のみを加圧すれば、高純度の硫化リチウムが得られることが分かる。
また、実施例3から第2の工程のみ高純度の硫化水素を用いれば、高純度の硫化リチウムが得られることが分かる。即ち、第1の工程で用いる硫化水素は純度が低くてもよいので、第2の工程で一部が消費された硫化水素を第1の工程に用いること(循環)ができることが分かる。
比較例1
実施例1において、[硫化リチウムの製造]の工程のみを行い、[硫化リチウムの高純度化]の工程を行わなかった以外は実施例1と同様に硫化リチウムを製造した。
比較例2
実施例3において、[硫化リチウムの製造]の工程のみを行い、[硫化リチウムの高純度化]の工程を行わなかったこと以外は実施例3と同様に硫化リチウムを製造した。
本発明の製造方法により得られたアルカリ金属硫化物は、全固体二次電池に使用できる。
1、1’、2 アルカリ金属硫化物の製造装置
10、510 第1の容器
20、120、220、520、620 撹拌翼
22、122、222、522、622 モーター
30、130、132、140、530、630 バルブ
40、140、240、540、640 冷却管(コンデンサー)
110、610 第2の容器
150、250 気体原料搬送手段
152、252 圧力制御弁
160、550 生成物搬送手段
210 第3の容器
260 生成物搬送手段
650 加圧手段

Claims (10)

  1. アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造方法であって、
    反応系に量論比よりも多い量を供給する必要がある原料を用い、
    第1の純度を有するアルカリ金属硫化物の製造に用いて一部が消費された前記原料を、前記第1の純度より低い第2の純度を有するアルカリ金属硫化物の製造に用いることを特徴とするアルカリ金属硫化物の製造方法。
  2. 前記反応系に量論比よりも多い量を供給する必要がある原料が硫化水素である請求項1に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
  3. 気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料を溶媒中で反応させて、アルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、
    気体の硫黄含有原料を用いて、前記第1の工程で得られたアルカリ金属硫化物の純度を高くする第2の工程とを含み、
    前記第2の工程で用いて一部が消費された、前記第2の工程で用いた硫黄含有原料より純度が低い硫黄含有原料を前記第1の工程に用いるアルカリ金属硫化物の製造方法。
  4. 硫黄含有原料とアルカリ金属含有原料を溶媒中で反応してアルカリ金属硫化物を製造する第1の工程と、
    前記第1の工程により製造されたアルカリ金属硫化物の純度を高くする第2の工程とを含み、
    前記第1の工程は0.15MPa未満の圧力下で行い、前記第2の工程は0.15MPa以上の圧力下で行うアルカリ金属硫化物の製造方法。
  5. 前記第2の工程で製造されたアルカリ金属硫化物の純度をさらに高くする1又は2以上の工程を含み、最もアルカリ金属硫化物の純度を高くする工程を0.15MPa以上の圧力下で行う請求項4に記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
  6. 前記アルカリ金属含有原料が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水硫化リチウム及び水硫化ナトリウムから選択される少なくとも1つであり、前記硫黄含有原料が硫化水素である請求項3〜5のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
  7. 前記溶媒が炭化水素系有機溶媒である請求項1〜6のいずれかに記載のアルカリ金属硫化物の製造方法。
  8. アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造装置であって、
    気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を製造する第1の容器と、
    前記第1の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度を高める第2の容器と、
    前記第2の容器で使用して一部が消費された、前記第2の容器で用いた硫黄含有原料より純度が低い硫黄含有原料を前記第1の容器に搬送するための搬送手段と
    を備えるアルカリ金属硫化物の製造装置。
  9. アルカリ金属硫化物を溶媒中で製造するアルカリ金属硫化物の製造装置であって、
    気体の硫黄含有原料と、アルカリ金属含有原料からアルカリ金属硫化物を製造する第1の容器と、
    前記第1の容器で製造したアルカリ金属硫化物の純度を高める第2の容器と、
    前記第2の容器の圧力を0.15MPa以上にすることができる加圧手段と
    を備えるアルカリ金属硫化物の製造装置。
  10. さらに、前記第2の容器で製造したアルカリ金属硫化物よりも高純度のアルカリ金属硫化物を製造する1又は2以上の容器を備え、
    最も純度を高くする容器は、容器内の圧力を0.15MPa以上にすることができる請求項9に記載の製造装置。
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