JP2014009714A - 転がり軸受 - Google Patents

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智弘 元田
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Abstract

【課題】各種の工作機械等において、加工効率及び生産性向上のために、主軸の回転及び周辺機器の送り等の高速化が進んでも、耐焼付き性に優れた転がり軸受を、提供する。
【解決手段】内輪と外輪と転動体を有する転がり軸受において、前記転がり軸受の内輪または外輪の少なくとも一つに、質量%でCr:0.5〜2.5%を含有する鋼を用い、転動体に酸化物系セラミックスを使用することを特徴とする転がり軸受。前記内輪または外輪の少なくとも1つは、質量%で更にC:0.2〜1.2%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.5%、Mo:1.5%以下、V:2.0%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を用いることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は転がり軸受に関し、特に耐焼付き性能の改善を図るものである。
近年、各種の工作機械は、加工効率及び生産性向上のために、マシニングセンタを中心として、主軸の回転及び周辺機器の送り等の高速化が進んでおり、ユーザーの工作機械に対する高速化の要求は、ますます強くなってきている。グリース潤滑によるメンテナンスフリーの要求も強いが、高速化が望まれる場合、主軸は、ジェット潤滑やオイルエアー潤滑等の油潤滑で潤滑される。工作機械用の主軸に使用される軸受では、オイル潤滑の場合、Dmn値[Dm:転動体のピッチ円径(mm)、n;回転数(min−1)]で、300万を越えるものも出てきている。これに対応するための転がり軸受の課題は、例えば、寿命低下への対策、発熱増大への対策、高速回転下での焼付きへの対策、振動増大への対策、騒音上昇への対策など数多くある。
そこで特許文献1において、転動体に浸炭窒化を施し、表面硬度を上げることで、耐焼付き性を向上させている。
特開2002−364648号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、耐焼付き性が十分でない場合がある。そこで、本発明は、各種の工作機械等において、加工効率及び生産性向上のために、主軸の回転及び周辺機器の送り等の高速化が進んでも、耐焼付き性を維持することが可能な転がり軸受を、提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、下記の転がり軸受を提供する。
(1)内輪と外輪と転動体を有する転がり軸受において、前記転がり軸受の内輪または外輪の少なくとも一つに、質量%でCr:0.5〜2.5%を含有する鋼を用い、転動体に酸化物系セラミックスを使用した転がり軸受。
(2)前記内輪または外輪の少なくとも1つは、質量%で更にC:0.2〜1.2%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.5%、Mo:1.5%以下、V:2.0%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼を用いた転がり軸受。
(3)前記、酸化物系セラミックスは、ジルコニア、アルミナ、もしくはその両者の複合セラミックスを含有する転がり軸受。
(4)前記、複合セラミックスは、アルミナ(Al2O3)成分と、ジルコニア(ZrO2)成分またはイットリア(Y2O3)を1.5モル%以上、5モル%以下の範囲で含有するイットリアージルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分=5〜50:50〜95の割合で含むアルミナ−ジルコニア系複合材料。
本発明では、耐焼付き性に優れた転がり軸受を、提供することができる。
本発明の一実施形態に係る転がり軸受の概略構成についてアンギュラ玉軸受を例にとって示す断面図である。 各材料の焼き付きを生じた荷重の測定結果(相手材料は、表2の丸1)である。 相手材料のCr量を変化させたときの耐荷重能比の測定結果(Si3N4と表2の丸1の焼き付き荷重を1としたときの比)である。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受10の概略構成について、アンギュラ玉軸受を例にとって示す断面図である。図1において、アンギュラ玉軸受10には、外輪1と内輪2とが対向して設けられ、外輪1と内輪2との間には、複数の転動体3としての玉が転動自在に配置されるとともに、転動体3を保持する保持器4が設置されている。また、外輪1または内輪2の少なくとも一つに、質量%でCr:0.5〜2.5%を含有する鋼を用い、図1では、高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2材を用いている。また、転動体3の材質としては、酸化物系セラミックスを用いており、保持器4の材質としては、例えば、樹脂を用いることができる。
前記内輪または外輪の少なくとも1つは、質量%で更にC:0.2〜1.2%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.5%、Mo:1.5%以下、V:2.0%以下を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼を用いても良い。また前記、酸化物系セラミックスは、ジルコニア、アルミナ、もしくはその両者の複合セラミックスでも良い。また前記、複合セラミックスは、アルミナ(Al2O3)成分と、ジルコニア(ZrO2)成分またはイットリア(Y2O3)を1.5モル%以上、5モル%以下の範囲で含有するイットリアージルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分=5〜50:50〜95の割合で含むアルミナ−ジルコニア系複合材料でも良い。
次に、鋼に含有することが好ましい各元素について説明する。
[Cr:0.5質量% 〜2.5質量%]
クロムCrは、焼入性を高め、熱処理後の強度や転動疲労強度の向上に寄与する。しかしながら、酸化物系セラミックスとの摩擦の場合、Cr量が多い場合、耐荷重能が低下することが分かっている。そのため、Crは0.5質量%以上〜2.5質量%以下、好ましくは、1質量%〜2質量%が望ましい。
[C:0.2質量%〜1.2質量%]
転がり軸受として要求される清浄度を得るためには炭素Cは0.20質量%以上が必要である。また、炭素Cが1.2質量%を越えると、残留オーステナイトが増加して軸受の寸法安定性を低下させたり、共晶炭化物を形成して短寿命になったりする。清浄度を向上し、残留オーステナイト過多防止、共晶炭化物形成防止のためには炭素C含有量が0.20質量%以上1.2質量%
以下、好ましくは0.35質量% 以上1.1質量% 以下が望ましい。
[Si:0.1質量%〜1.5質量]
ケイ素(Si)は、Mnと同様に製鋼時に脱酸剤として作用する。また、Cr、Mnと同様に焼入性を向上させるとともに、基地のマルテンサイト化を強化し、軸受寿命の向上に有効な元素である。さらに、焼戻し軟化抵抗性を高める作用も有している。ただし、多量に添加すると、鍛造性、冷間加工性、被削性、及び浸炭処理性を低下させる場合がある。このような理由から、合金鋼中のSiの含有量は0.1質量%以上1.5質量%以下とする必要がある。より好ましくは、0.2質量%以上0.7質量%以下とすることが好ましい。
[Mn:0.1質量%〜1.5質量%]
マンガンMnは、シリコンSiと同様に製鋼時の脱酸のために必要な元素であり、0.1質量%以上添加される。また、マンガンMnは焼入性を高め、熱処理後の強度や転動疲労寿命の向上にも寄与する。しかし、添加量が多すぎると、寸法安定性に有害な残留オーステナイトが生成したり、加工性も劣化したりするので、1.5質量%
以下であることが望ましい。
[Mo:1.5質量% 以下]
モリブデンMoは、焼入性を高め、熱処理後の強度及び転動疲労寿命の向上に寄与するので選択的に添加されるが、多量に炭化されると素材コストが高くなり、加工性も低下するので、その上限は1.5質量%であることが望ましい。
〔V:2.0%以下〕
バナジウムVは、炭化物や炭窒化物を形成してこれらに固溶したり、VC等の微細炭化物やV(C、N)等の微細な炭窒化物を形成するため、強度及び耐摩耗性を向上させるために有効な元素である。また、Vは、Cr及びMoと同様に、C及びN等の侵入型固溶元素を動き難くして組織を安定化させるとともに、応力場への水素集積に起因する早期剥離を抑制するために有効な元素でもある。この効果を得るために、Vの含有率は出来る限り多くすることが好ましいが、含有率が多すぎると、冷間加工性及び被削性が低下することによるコストの上昇を招いたり、粗大な共晶炭化物や共晶炭窒化物を形成して、転がり疲労寿命及び強度を低下させる場合がある。よって、Vの含有率の上限は、2.0%であることが好ましい。
[転動体について]
転動体としては、セラミックスを使用する。これは、鋼と比較して比重が低く、高速回転時に軸受に負荷される遠心力が小さくなること、加えて、鋼と異種材であるため、焼付きを生じにくいためである。
また、セラミックスとしては、酸化物系のセラミックスが望ましい。酸化物系セラミックスは、ジルコニア、アルミナ、およびそれらの複合材料が挙げられる。また、より好ましくは、ジルコニア−アルミナの複合材料が良い。その比率は、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分=5〜50:50〜95であることが好ましく、10〜30:70〜90であることがより好ましく、20:80であることが最も好ましい。 ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分が90質量%より多くなると(すなわち、アルミナ成分が10質量%より少ない)、強靭化機構が発現し難くなり、全体的な強度が低下する可能性がある。また、ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分が70質量%より少なくなると(すなわち、アルミナ成分が30質量%より多い)、脆いアルミナが全体に占める割合が大きくなり、全体的な強度が低下する可能性がある。そのため、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分=10〜30:70〜90であることがより好ましく、20:80であることが最も好ましい。
上記の強靭化機構は、以下のように理解される。焼結から室温まで冷却される際の体積収縮の差からアルミナ焼結粒子には圧縮の、ジルコニア焼結粒子やイットリア‐ジルコニア焼結粒子には引張の残留応力が付与され、残留応力の分布の違いから亀裂がアルミナ粒子を迂回して進展する。更に、亀裂先端部の応力集中により、イットリア‐ジルコニア焼結粒子の相転移(正方晶→単斜晶)に伴う体積膨張によって、亀裂先端部に圧縮応力が作用すること、また、アルミナ焼結粒子への圧縮応力が負荷され、亀裂の進展が阻害されることで強度が向上する。
さらにイットリア‐ジルコニア成分においては、イットリアを1.5モル%以上5モル%以下の割合で含み、特にイットリアの含有量が3モル%であることが最も好ましい。ジルコニアにイットリアを添加し固溶させると、構造中に酸素空孔が形成され、立方晶及び正方晶が室温でも安定、または準安定となり強度が向上するが、そのときのジルコニア中のイットリア含有量の適正量が1.5〜5モル%である。イットリア含有量が1.5モル%未満では正方晶からなる焼結体が得られず、モル%を超えると正方晶が減少して立方晶が主体となるため、相転移による強度向上作用が発現し難い可能性がある。
[潤滑油および添加剤について]
[潤滑油について]
潤滑油としては、特に限定されるものでないが、好ましくは、攪拌抵抗や転がり粘性抵抗を下げるために、40℃における動粘度が100mm2/sec以下、より好ましくは50mm2/sec以下である基油が望ましい。
具体例としては、鉱油系、合成油系の潤滑油などが挙げられる。前記鉱油系潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製などを適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油を用いることができる。
前記合成油系潤滑油基としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油などが挙げられる。
前記炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセントエチレンオリゴマーなどのポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物などが挙げられる。
前記芳香族油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼンなどのアルキルベンゼンあるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレンなどのアルキルナフタレンなどが挙げられる。
前記エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジベート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレートなどのジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの芳香族エステル油、さらにはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネートなどのポリオールエステル油、さらにはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などが挙げられる。
前記エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテルなどのポリグルコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテルなどのフェニルエーテル油などが挙げられる。
その他の合成潤滑基油としてはトリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル油などが挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
表1に示す条件で四球試験を行った。回転球に、窒化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア(80%)−アルミナ(20%)複合材料を用い、固定球に鋼を用いた。
Figure 2014009714
また、試験に用いた鋼の組成表を表2に示す。
Figure 2014009714
回転数3000min−1(すべり速度0.86m/s)の結果を図1に示す。この結果より、酸化物系セラミックス(アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ複合材)を用いた方が、窒化ケイ素より、高い荷重で焼付きを生じていることが分かる。
次に、図2に鋼のCr量を変化させ、四球試験により評価を行った結果を示す。図は、窒化ケイ素と表2の丸1の焼付き荷重を1としたときの比率で表示している。
その結果、鋼中のCr量が増えると、耐荷重能(焼付きを生じる荷重)が低下していることが分かる。すなわち、酸化物系セラミックの耐焼付き特性は、鋼中のCr量に影響を受け、鋼中のCr量が低い方が、耐荷重能が高いことがわかる。
1 内輪
2 外輪
3 転動体
4 保持器
5 軸体
6 ハウジング
10 転がり軸受

Claims (4)

  1. 内輪と外輪と転動体を有する転がり軸受において、前記転がり軸受の内輪または外輪の少なくとも一つに、質量%でCr:0.5〜2.5%を含有する鋼を用い、転動体に酸化物系セラミックスを使用することを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記内輪または外輪の少なくとも1つは、質量%で更にC:0.2〜1.2%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.5%、Mo:1.5%以下、V:2.0%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼を用いることを特徴とする請求項1の転がり軸受。
  3. 前記、酸化物系セラミックスは、ジルコニア、アルミナ、もしくはその両者の複合セラミックスを含有することを特徴とする請求項1または2の転がり軸受。
  4. 前記、複合セラミックスは、アルミナ(Al2O3)成分と、ジルコニア(ZrO2)成分またはイットリア(Y2O3)を1.5モル%以上、5モル%以下の範囲で含有するイットリアージルコニア成分とを、質量比で、アルミナ成分:ジルコニア成分またはイットリア‐ジルコニア成分=5〜50:50〜95の割合で含むアルミナ−ジルコニア系複合材料を用いることを特徴とする請求項3の転がり軸受。
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