JP2014101663A - 重力式防波堤 - Google Patents

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Ryuta Tanaka
隆太 田中
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喜昭 菊池
Shohei Kawabe
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Abstract

【課題】比較的簡単な構成でありながら、想定外の津波等の大きなエネルギーに伴う荷重が作用しても、一瞬ですべての機能を失うことのない粘り強い構成を有する重力式防波堤を提供する。
【解決手段】地盤2上に設けられたマウンド3上に配設された防波用の重量構造物4と、該重量構造物4の前面側と後面側とのうちの少なくとも一方側における該重量構造物4から離間した位置に、その重量構造物4とは非連結状態で配設された、鉛直方向に延びる支持構造体5と、これら重量構造物4と支持構造体6との間に充填され、上記重量構造物4からの水平方向の力を上記支持構造体5に伝達する充填材とを有し、上記支持構造体5は、上記重量構造物4が配設されたマウンド3から上端側が上方に突出した状態で地盤2に打設されていると共に、上記充填材6は、該支持構造体5の突出部分5aと重量構造物4との間の空間に充填されたものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばコンクリート製のケーソン等により形成された重力式防波堤に関するものであり、さらに詳しくは、津波等の大きなエネルギーを有する波に対して粘り強い構造を有する重力式防波堤に関するものである。
重力式防波堤として広く知られているコンクリート製のケーソンを用いた防波堤は、該ケーソンの中に砂利や水を充填してその重さにより、波等のエネルギーによって作用する荷重に抵抗する構造物であり、その重力により該ケーソンが設置された地盤や地盤上に盛られたマウンドとの間に生じる摩擦力で安定を図っているのが通常である。
ところで、上述のような重力式防波堤は、通常は供用期間中に発生する確率の高い、台風や発達した低気圧等による波浪(高潮含む)、あるいは地震による津波等のエネルギーに伴う荷重に対しては安全性が保てるように設計されている。
しかしながら、想定以上のエネルギーに伴う荷重が作用した場合には、上述のケーソンと地盤あるいはマウンドとの間の摩擦力が不足することで滑動破壊などが生じてしまうことがある。
実際、2011年に発生した東日本大震災においては、想定以上の大きさの津波が発生し、想定以上の荷重がケーソンに作用したため、該ケーソンが押し流されマウンド上から滑落して破壊が進む滑動破壊などが発生して、防波堤の機能を一瞬にして失う程に破壊されて甚大な被害を受け、防波堤としての機能を全く担保できない事態が生じた。
このため、従来の設計で想定された津波等のエネルギーに伴う荷重が作用した場合において、ある程度の被害を受けたとしても防波堤としての機能を急激に失うような破壊を避け、防波堤の機能を少しでも維持できるような粘り強い防波堤の構造が要求されている。
これを受け、図11に示すように、重力式の防波堤11において、地盤12上に形成したマウンド13上に配設したケーソン等の重量構造物14の後面側(港内側)に、裏込め石を積み上げて傾斜面状に形成した補強台15を設け、これにより重量構造物14の移動を抑える防波堤の補強構造が提案されている。
しかしながら、この補強構造によれば、補強台15の重量に応じてより大きな荷重に抵抗することができるものの、この補強構造を有する防波堤11の場合の破壊形式は滑動破壊に代表されるような、一旦破壊が始めると一瞬にして機能を失う破壊となる。即ち、津波等によって重量構造物に大きな荷重が作用して、この荷重を受けるはずの補強台が該荷重に耐えられずに破壊されると、重量構造物は一気に滑動して押し流され、防波堤の機能を即刻失うため、粘り強い構造とは言い難い。
しかも、港内側に裏込め石を積み上げて補強台15を形成する方法では、港内の有効面積を減少させてしまう他、各所の水深を変化させてしまうため、港湾内の運用を大幅に変更する必要が生じる可能性が高く、港湾施設の活用において多くの制約が出てしまう等の問題を発生させるおそれがある。
また、粘り強い構造の提案としては、上述のものの他に鋼管杭や鋼矢板などの高い靭性を有する鋼製建材を活用する方法が存在する。
例えば、特許文献1には、鋼管矢板等を用いてセルを形成し、該セル内に中詰め土を充填する護岸構造が記載されている。この特許文献1の技術は、新たに護岸構造に係る構造物を構築する場合には非常に有用で粘り強い構造を実現することができる、ケーソンを用いた重量式の防波堤の構造には適用できない。
特許文献2には、ケーソンの前面側及び後面側に鋼矢板あるいは鋼管矢板で構成される壁状構造体を打設し、この壁状構造体とケーソンとを連結する護岸構造物が記載されている。
しかしながら、この護岸構造物は、構造安定性については問題がないものの、壁状構造体とケーソンを連結しているため、この点の構成が複雑で設置工事が非常に面倒になる上、設置コストも上昇するという欠点がある。更に説明を加えれば、上記特許文献2の技術は護岸構造物であって、ケーソンの前面側が海や川である一方で後面側は陸地であることから、設置工事は護岸側の陸地からアクセスして比較的容易に行うことができるため、設置工事の簡略化は必須ではない。一方、前面側及び後面側の両側を有無に挟まれた海域に設置される防波堤の場合、上記護岸構造物の場合に比べ、設置工事がそもそも非常に大掛かりで難度も高いため、上述のようなケーソンと壁状構造体とを連結するような工事は手数面でもコスト面でも非常に大きな負担となる。そのため、このような連結工事なしでも性能を担保可能な技術は、当該技術者からも大きなニーズがある。
しかも、この特許文献2の技術は、ケーソンの前面側が海や川で後面側は陸地である護岸に供するものであって、前面側及び背面側共に海に面している防波堤とは粘り強い構造に係る基本的な考え方が全く異なるため、この技術を防波堤にそのまま採用することはできない。
特開2003−253644号公報 特開平9−13343号公報
本発明の技術的課題は、比較的簡単な構成でありながら、想定外の津波等の大きなエネルギーに伴う荷重が作用しても、一瞬ですべての機能を失うことのない粘り強い構成を有する重力式防波堤を提供することにある。
如上に鑑み、本発明者らは、ケーソン等の重量構造物を備えた防波堤において粘り強い構成を見出すべく、鋭意研究した結果、重量構造物の前面側や後面側を地盤に打設した鋼矢板や鋼管矢板等の支持構造体によって支持させて、該支持構造体に該重量構造物からの水平方向の力を受け止めさせることが有効であることを見出した。
一方で、図12に示すように、地盤21上に形成したマウンド22上に載置した重量構造物23の直近に、該重量構造物23を支持する支持構造体24を、その上端側の一部をマウンド22から突出させ、且つその突出部分21aを重量構造物23に直接的に接触させた状態で地盤に打設した場合、支持構造体24の打設に伴う地盤性状の変化の影響を重量構造物23が受けてしまい、地盤21やマウンド22が緩んで重量構造物23の設置が不安定になったり、滑動しやすくなったりする危険性がある。しかも、このような事態を防ぐためにはそれなりの工事が必要になるため、打設中における架設工事等が煩雑になる可能性がある。
さらに、支持構造体24が重量構造物23に直接的に接触している場合には、図13に示すように、津波等のエネルギーに伴う荷重(図中の白抜きの矢印)によって重量構造物23が支持構造体24の方向に動いた際に、該重量構造物23からの力を受け止めた支持構造体24は、重量構造物23に押されて該重量構造物23の方向に凸となるように湾曲する弾性変形を生じる。
このとき、支持構造体24の突出部分24aにおいては、該突出部分24aがその背面側のマウンド22や地盤21の一部を押圧してその部分を破壊する。また、支持構造体24の埋設部分においては、支持構造体24の弾性変形によって該支持構造体24の近傍、即ち重量構造物23の直下の地盤21やマウンド22において拘束圧力の解放による強度の低下や滑り破壊が引き起こされるため、結果として、重量構造物23が滑動したり沈み込んだりすることが発明者らの解析でわかった。
この問題を解決するため、発明者らが更なる検討を重ねた結果、上記支持構造体を重量構造物から離間させた上で、これら支持構造体と重量構造物との間に砂利や砕石等の充填材を充填し、重量構造物からの水平方向の力を該充填材を介して間接的に支持構造体に伝達、受け止めさせることが有効であるとの知見を得た。そして、重量構造物の支持を十分に行いながらも、支持構造体の打設や支持構造体に弾性変形に伴う問題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決するため、本発明の重力式防波堤は、地盤上又は地盤上に設けられたマウンド上に配設された防波用の重量構造物と、該重量構造物の前面側と後面側とのうちの少なくとも一方側における該重量構造物から離間した位置に、その重量構造物とは非連結状態で配設された、鉛直方向に延びる支持構造体と、これら重量構造物と支持構造体との間に充填され、上記重量構造物からの水平方向の力を上記支持構造体に伝達する充填材とを有し、上記支持構造体は、地盤又はマウンドから上端側が上方に突出した状態で地盤に打設されていると共に、上記充填材は、該支持構造体の突出部分と重量構造物との間の空間に充填されていて、上記支持構造体に該充填材から伝達された上記重量構造物からの水平方向の力を受け止めさせて該重量構造物を支持させることを特徴とするものである。
本発明においては、上記支持構造体における地盤又はマウンドからの突出した部分の高さは、地盤又はマウンド上に配設された状態の上記重量構造物の鉛直方向の高さよりも低いものとすることができる。
また、本発明においては、上記重量構造物は地盤上に設けられた高さHのマウンド上に配設されていて、上記支持構造体は、該重量構造物の底面の高さから該支持構造体の先端までの深さ方向の距離をDとした場合に、上記重量構造物の相対する面からの離間距離Lが、2H≦L≦D/2の範囲となる位置に配設されていることが好ましい。
本発明によれば、重量構造物からの水平方向の力を受け止めて該重量構造物を支持する支持構造体を、重量構造物と連結することなく離間させて配置すると共に、これらの支持構造体と重量構造物との間の空間に充填材を充填したことにより、重量構造物からの水平方向の力を受け止めて破壊を可及的に抑止する。その一方で、仮に支持構造体に重量構造物からの力が作用したとしても、該支持構造体の打設時の影響、あるいは支持構造体の弾性変形に伴う地盤やマウンドの緩みが最小限に抑えられるため、支持構造体の打設や弾性変形に起因する重量構造物の滑動や沈み込みを抑止することができる。
これにより、想定外の津波等の大きなエネルギーに伴う荷重が作用し、重量構造物が移動したとしても、支持構造体及び充填材により、該重量構造物の滑落や沈み込みに起因する防波堤の完全な破壊が抑えられて、一瞬ですべての防波堤機能を失うことのない粘り強い構成の重力式防波堤を得ることができる。
本発明に係る重力式防波堤の一実施の形態を模式的に示す断面図である。 同平面図である。 水平方向の荷重の荷重分散の説明をするための模式図である。ただし、支持構造体における重量構造物から離間距離が小さい場合を示している。 同じく水平方向の荷重の荷重分散の説明をするための模式図である。ただし、支持構造体における重量構造物から離間距離が大きい場合を示している。 重量構造物の下面側の応力よる荷重の荷重分散の説明をするための模式図である。 同じく重量構造物の下面側の応力よる荷重の荷重分散の説明をするための模式図である。ただし、支持構造体の根入れ長さが小さい場合を示している。 本発明に係る重力式防波堤の、図1とは異なる実施の形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る重力式防波堤のさらに異なる実施の形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る重力式防波堤において余盛りをした状態を模式的に示す断面図である。 実施例の結果を示すグラフである。ただし、縦軸は、重量構造物(ケーソン)の単位重量あたりに作用した作用した荷重の大きさ(荷重/ケーソン自重)を、横軸は重量構造物の水平方向の変位量(水平変位量)をそれぞれ示している。 従来の重量式防波堤の補強構造の一例を模式的に示す断面図である。 重量式防波堤を補強するに際して、支持構造体を重量構造物に接触させた状態で打設した場合を模式的に示す断面図である。 図12の構造において、重量構造物に荷重が作用した状態を説明する断面図である。
図1及び図2は、本発明の重力式防波堤の一実施の形態を示すもので、この実施の形態の防波堤1は、海中の地盤2上に形成されたマウンド3の上に配設された防波用の重量構造物4と、該重量構造物4の後面側に、該重量構造物4とは非連結状態で配設された、鉛直方向に延びる支持構造体5と、これら重量構造物4と支持構造体5との間に充填された充填材6とを備えている。
なお、本発明において、重量構造物の前面側とは、基本的に、陸地とは相反する方向(港湾の場合は港の外側方向)、重量構造物の後面側とは、基本的に、陸地と対向する方向(港湾の場合は港の内側方向)を指している。また、この発明における防波堤は、重量構造物の前面側及び後面側が海に面しているものを指し、さらには、いわゆる波除堤を概念的に含むものとする。
上記重量構造物4は、例えばコンクリート製の箱状に形成されて内部に砕石等が充填されたケーソン、あるいはコンクリートで形成された段積みブロック等であり、基本的に、自身の重量によって波から受ける荷重を受け止めて抵抗するものである。
この実施の形態においては、略直方体状に形成されたコンクリート製のケーソンを用いており、上端側の一部が海面Sから上方に突出した状態で上記マウンド3上に載置されている。さらに、図2に示すように、上記防波堤1は、この重量構造物4としてのケーソンを、一定の間隔を空けた状態で横方向に複数並設させた態様となっている。
また、上記マウンド3は、海中の地盤2の上に砕石等を所定の高さにまで盛って形成したもので、上端部は平坦面となっていて上記重量構造物を安定的に載置することができるようになっている。
上記支持構造体5は、上記重量構造物4からの水平方向の力を受け止めて該重量構造物4を支持する機能を有するもので、この実施の形態においては、複数の鋼管杭を各種継手あるいは鋼板等によって相互に連結することにより形成された、全体として一連の壁状の構成となっていて、図2に示すように、防波堤の長手方向に沿うように該防波堤の全長にわたって延設されたものとなっている。
この実施の形態の場合、隣接する重量構造物4,4の間に隙間が形成されているが、この支持構造体5はこの隙間部分で途切れることなく、全体として一連に形成されたものとなっている。
また、上記支持構造体5は、上記重量構造物4、さらに具体的には該重量構造物4の後面から一定の距離だけ離間した位置において、上記マウンド3を貫通した状態で地盤2に打設されている。
さらに、この支持構造体5は、上端側の一部がマウンド3の上面から上方に向けて突出した状態で地盤2に打設されていて、上記充填材6は、該支持構造体5の突出部分5aと上記重量構造物4の後面側との間の空間内に充填されている。したがって、この実施の形態においては、上記支持構造体5における突出部分5aの高さが、実質的に充填材6の厚さ(鉛直方向の高さ)となる。
なお、この支持構造体5は、上記重量構造物4や充填材6との間で連結されておらず、また、重量構造物4や充填材6から上端側を押圧される等、重量構造物4や充填材6によって下方向に直接的に押圧されてもいない。
上記充填材6は、上記重量構造物4からの水平方向の力を上記支持構造体5に伝達するものであり、したがって、上記支持構造体5は、実際にはこの充填材6を介して間接的に重量構造物4からの水平方向の力が伝達され、その力を受け止めることにより該重量構造物4を支持していることになる。
この充填材6は、砂利や砕石等を含むもので、上記マウンド3上における上記支持構造体5と重量構造物4とに囲まれた上方開口の空間内に充填されている。この実施の形態の場合、上記充填材6は、基本的に上記支持構造体5に沿って一連に配設されていて、上記重量構造物4における隣接する重量構造物4,4の間に隙間が形成されている部分に対しても充填された態様となっている。
また、この充填材6は、支持構造体5と重量構造物4との間に充填されているのみであり、支持構造体5と重量構造物4とのいずれとも固定的な連結は一切されてはいない。
なお、上記充填材6は、上述のように砂利や砕石を含んだものであるが、この充填材6の具体的な構成としては、砕石等で形成された層の上端面に、該砕石等が舞い上がらないようにするための被覆ブロックを配設したものとすることが望ましい。
この場合、砕石等で形成される層を、その上端面が上記支持構造体の上端の高さよりも、被覆ブロックの厚さ分だけ低くなるように形成し、該砕石等で形成された層の上端面に被覆ブロックを載置することにより、充填材が形成されることとなる。
ところで、上記支持構造体5は、上述のように重量構造物4から離間した位置に打設されているが、このように離間させたのは次の理由からである。
即ち、既に述べたように、上記支持構造体の上端側の一部をマウンドから突出させて、その突出部分を重量構造物に直接的に接触させた状態で打設した場合には、支持構造体の打設に伴う地盤性状の変化を重量構造物自体が受けてしまう可能性がきわめて高い。そうすると、地盤やマウンドが緩んで重量構造物の設置が不安定になったり、滑動しやすくなったりする危険性がある上、これを防ぐための何らかの措置をとるために工事を行う必要性が生じ、設置工事が煩雑になるという問題がある。
さらに深刻な問題として、図7に示すように支持構造体が重量構造物に直接的に接触している場合、重量構造物が支持構造体の方向に動いた際に、該重量構造物からの力を受け止めた支持構造体は重量構造物から押されて、図8に示すように、該重量構造物から離れる方向(図7上においては右側方向)に弾性変形を生じるが、この弾性変形が地盤やマウンドに与える影響がきわめて大きいことが挙げられる。
即ち、支持構造体が重量構造物からの力によって弾性変形を生じたときには、該支持構造体の突出部分においては、該突出部分がその背面側(重量構造物との接触側とは反対の面側)でマウンド部分を大きな力で押圧するため、そのマウンドの押圧部分を破壊する。
一方、支持構造体の上端側が重量構造物によって該重量構造物から離れる方向に押されることにより、支持構造体は全体として重量構造物の方向(図7上においては左側方向)に凸となるように湾曲する弾性変形を生じる。そのため、支持構造体の地盤やマウンドへの埋設部分においては、支持構造体のこの弾性変形によって重量構造物側の地盤やマウンドを押圧することになる。そうすると、支持構造体に接触あるいは近傍する該支持構造体の重量構造物側に位置する地盤やマウンドにおいては、その押圧力によって剪断応力が発生し、拘束圧力の解放による強度低下や滑り破壊が引き起こされる。
この結果、地盤やマウンドが破壊されたことに起因する重量構造物の滑動や沈み込みが発生するため、津波等による想定外の大きな荷重が重量構造物に作用し続けた場合には、防波堤は短時間で崩壊し、崩壊後においては防波機能を一瞬にして失う可能性がきわめて高い。
そのため、本発明では、上記支持構造体を重量構造物からあえて離間させることにより、支持構造体の弾性変形に起因する地盤やマウンドの破壊を可及的に抑止するようにしている。その一方で、相互に離間している支持構造体と重量構造物との間に充填材を充填し、重量構造物からの水平方向の力を該充填材を介して間接的に支持構造体に伝達できるようにすることにより、支持構造体に重量構造物からの力を確実に受け止めさせ、該重量構造物を支持できるようにしている。
さらに、上記支持構造体5における重量構造物4との間の離間距離については、具体的には次のようにして決定される。
即ち、上記重量構造物4が載置されたマウンド3の高さをH、重量構造物4の底面の高さから支持構造体5の先端までの深さ方向の距離(この実施の形態の場合、支持構造体5におけるマウンド3を含む地盤への根入れ長さ)をDとした場合、支持構造体5における上記重量構造物4の相対する面(この場合、重量構造物4の後面)からの離間距離Lは、2H≦L≦D/2の範囲内に収まるように決定される。
以下、上記離間距離Lの範囲をこのような範囲に決定した理由について詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、重量構造物4の前面側から非常に大きな荷重が作用した場合には、該重量構造物4は後面側に動こうとして充填材6を押し込むため、その荷重は該充填材6を通じて支持構造体5におけるマウンド3からの突出部分5aに伝達される。
このとき、充填材6やマウンド3に十分な高さがある場合には、支持構造体5が重量構造物4から離間していることにより、マウンド3内において重量構造物4からの荷重が分散して伝達する。そのため、実際に充填材6を介して支持構造体5の突出部分5aに伝達される荷重は、重量構造物4から充填材6に向けて出力される荷重よりも小さくなる。
ここで、荷重の伝達については、地盤2やマウンド3の物性の影響など複数の要因が影響するものの、設計上においては、勾配1/2の分散角αで荷重分散が行われると仮定することが一般的である。
そこで、本発明者らは、このような荷重分散の効果を最大限に生かすことができる離間距離を見出すべく鋭意研究を行った。
この結果、図3に示すように上記支持構造体5が重量構造物4に非接触状態で近接して配置される場合には、マウンド3内においては重量構造物4からの荷重分散が生じるものの、支持構造体5においてその分散した荷重を受ける受圧面Aの範囲が小さいため、支持構造体5で享受できる荷重分散の効果はそれほど大きなものとはなりにくいことがわかった。つまり、荷重は比較的狭い範囲に高い圧力として、支持構造体5の上端側に集中して作用するため、大きな変形を生じる等、支持構造体の安定という観点からは決して好ましい傾向とはならない。
そのため、支持構造体5のマウンド3からの突出部分5aには、支持構造体5が重量構造物4に接触している場合に比べると小さいものの、未だに大きめの荷重が作用することがわかった。
逆に、図4に示すように、支持構造体5と重量構造物4との離間距離が大きい場合、支持構造体5における分散した荷重を受ける受圧面Aの範囲が大きくなるため、荷重分散の効果を十分に得て、作用する圧力を低下させることができる。しかしながら、支持構造体5と重量構造物4との離間距離が大きくなりすぎて、分散角αの延長線mが地盤2にまで至る場合、この地盤2の部分では荷重分散が効果的に行われないことがわかった。
これは、充填材6やマウンド3が人工的に形成・設置された砕石等であるのに対して、砂や粘土等の材料からなる土構造である現地盤2は比較的軟らかく、荷重伝達には貢献しにくいためであると考えられる。
これにより、上記重量構造物4が充填材を押し込む際に発生する水平方向の荷重についての荷重分散は、比較的硬い材料である充填材6やマウンド3において専ら行われることとなるため、荷重分散に係る荷重に対する支持構造体5の受圧面は、最大で充填材6やマウンド3の高さに相当する部分となる可能性が高いことがわかった。
したがって、荷重分散の効果を最大限に享受可能とするためには、支持構造体5の受圧面が、充填材6やマウンド3の高さに相当する範囲となるように該支持構造体5の離間距離を特定することが肝要となることがわかった。
上記結果から、重量構造物4からの水平方向の力に対して荷重分散の効果を最大限に利用するという観点においては、重量構造物4からの離間距離Lは、マウンドの高さHとの関係においては、少なくともL≧2Hの範囲とすることが望ましいという結論に至った。
なお、上記離間距離Lについては、この範囲を超えるものとしても荷重分散の効果をそれ以上享受することは難しいが、逆に荷重分散の効果自体は喪失しないと考えられる。
一方、重量構造物4に津波等に伴う荷重が作用した場合において、その水平方向の荷重による重量構造物4の回転あるいは重量構造物4の自重に起因して発生する、該重量構造物4の下面側の応力は、重量構造物4の下のマウンド3や地盤2の中を伝達する。
一般に、地盤材料は拘束圧により破壊強度が上昇することが知られており、この観点からは、重量構造物の自重に起因する応力作用範囲において地盤の変形を抑止することにより拘束効果を発揮させることで、強度が向上する。つまり、図5に示すように、この場合の応力伝達においても荷重分散の効果を利用してマウンド3や地盤2に対する拘束圧Fを発生させ、これらマウンド3や地盤2の強度の増強を図ることが可能である。
ここで、一般的な地盤やマウンドの強度は、地盤あるいはマウンドを形成する材料の拘束圧や自重による拘束効果の影響を大きく受けるが、上記支持構造体5は、その剛性によって地盤2やマウンド3の材料に対して拘束効果を付与し、これら地盤2やマウンド3の強度増加に寄与することがわかっている。ただし、支持構造体5の配置や根入れ長さが不適切であると、重量構造物の下面から応力が伝達される範囲の拘束効果を期待できず、地盤やマウンドの強度増加の効果が薄い。
例えば、図6に示すように、支持構造体5の根入れ長さが小さい場合は、荷重分散の際の分散角β(この場合においても、分散角βは勾配1/2(したがって、正面視においては勾配2)と考える。)の延長線が支持構造体と交差しない状態となる。そうすると、重量構造物の下面から応力伝達を受ける地盤あるいはマウンドは、支持構造体による拘束効果の影響を受けにくくなることがわかった。
また、支持構造体5の重量構造物4からの離間距離が大きすぎる場合には、支持構造体による拘束抑制の影響を受けにくく、分散した荷重伝達範囲が支持構造体に到達しないため、上述した拘束効果による強度上昇の効果を享受できない可能性がある。
これにより、支持構造体5によって重量構造物4の下面からの応力伝達による地盤2あるいはマウンド3の拘束効果を効果的に得るためには、少なくとも荷重分散の際の分散角βの延長線nが支持構造体5と交差する必要があることがわかった。
この結果、重量構造物4の下面からの応力伝達において、荷重分散の効果を有効に利用して地盤2あるいはマウンド3の拘束効果を効果的に享受するという観点からは、支持構造体5の重量構造物4からの離間距離Lは、重量構造物4の底面の高さから支持構造体5の先端までの深さ方向の距離Dとの関係においては、少なくともL≦D/2の範囲とすることが望ましいという結論に至った。
以上のように、上記支持構造体5における重量構造物4から離間距離について、重量構造物4からの水平方向の力に対して荷重分散の効果を最大限に利用するという観点、及び重量構造物4の下面からの応力伝達において荷重分散の効果を有効に利用して地盤2あるいはマウンド3の拘束効果を得るという観点を総合して勘案した結果、この離間距離Lは、2H≦L≦D/2の範囲内とすることが望ましいことがわかる。
したがって、この実施の形態においては、支持構造体5の重量構造物4の後面からの離間距離Lを、2H≦L≦D/2の範囲内に収まるように決定して、仮に津波等の大きなエネルギーの波によって重量構造物4が想定外の大きな荷重を受けた場合であっても、荷重分散の効果を有効に利用して、防波堤全体としてより一層粘り強い構造を実現できるようにしている。
また、上記支持構造体5におけるマウンド3から突出した突出部分5aの高さ、即ち打設した支持構造体5の上端の高さは、マウンド3上に載置した状態の重量構造物4の高さよりも低くなっている。図1に示すものの場合、支持構造体5の突出部分5aの突出高さは重量構造物4の高さの半分以下であり、したがって、支持構造体5及び充填材6は、いずれも全体として海中に位置した状態となっている。
このように支持構造体5の突出部分5aの突出高さを、マウンド3上に載置した状態の重量構造物4の高さよりも低くしたのは、主に支持構造体は、重量構造物からの水平荷重を支持し、該重量構造物の滑動などの水平変位を抑制する効果を得るためのものであって、少なくともその効果を確保することができる構造であればよいからである。また、支持構造体5の突出部分5aの突出高さは、重量構造物の重心高さや、波からの荷重などの分布荷重における重心高さよりも高くすることも考えられるが、コストの観点からは、重量構造物の水平変位を抑制する効果が確保できる範囲内で、できる限り低くすることが求められるためである。
ただし、上述のように、支持構造体5における突出部分5aの高さは実質的に充填材6の厚さに相当することになるため、少なくとも、充填材6が重量構造物4からの水平方向の力を確実且つ安定的に支持構造体5に伝達することができる程度の強度を付与可能な突出量を確保できるように、支持構造体5の上端の高さを設定することが肝要である。
上記構成を有する防波堤を施工するにあたっては、まず地盤2上に所定の高さのマウンド3を形成して、該マウンド3上に重量構造物4を載置、配設する。
このときのマウンド3及び重量構造物4については、新たに新設してもよいが、既設のマウンド及び重量構造物であってもよく、したがって、既に構築済みの防波堤のマウンド及び重量構造物を利用することができる。
その後、上記重量構造物4の後面側における該重量構造物4から離間した位置に、上記支持構造体5を、その重量構造物4とは非連結状態、且つ該重量構造物4が配設されたマウンド3から上端側が上方に突出した状態で地盤2に鉛直方向に打設する。
この場合においては、上記支持構造体5は、この支持構造体5におけるマウンド3から突出した突出部分5aの高さが、該マウンド3上に配設された状態の重量構造物4の鉛直方向の高さよりも低くなるようを打設することが好ましい。
さらに、上記支持構造体5は、マウンドの高さをH、支持構造体5における重量構造物4の底面の高さから該支持構造体5の先端までの深さ方向の距離Dとの関係において、上記重量構造物4の後面からの離間距離Lが、2H≦L≦D/2の範囲となる位置に配設することが好ましい。
そして、最後に、上記支持構造体5の突出部分5aと重量構造物4との間の空間に、充填材6の材料となる砕石等を投入するなどすることにより該充填材6の充填を行い、これにより粘り強い構造の防波堤1が完成することとなる。
このように、上記構成を有する防波堤1によれば、重量構造物4からの水平方向の力を受け止めることにより該重量構造物4を支持する支持構造体5を、重量構造物4と連結することなく離間した状態で配設し、これらの支持構造体5と重量構造物4との間の空間に充填材6を充填したことにより、この支持構造体5が重量構造物4からの水平方向の力を受け止めるため、重量構造物4の滑動等による防波堤1の破壊を可及的に抑止することができる。
その一方で、上記支持構造体5は、重量構造物4から離間した位置に設けたことにより、該支持構造体5の打設によって重量構造物4の直下の地盤2やマウンド3に性状変化を与えることが抑えられる。しかも、支持構造体5に重量構造物4からの力が作用して該支持構造体5が変形したとしても、その変形によって地盤2やマウンド3が破壊することを抑えることができる。したがって、支持構造体5の打設や弾性変形が地盤2やマウンド3に与える影響に起因する重量構造物2の滑動や沈み込みを抑止することができる。
これにより、想定外の津波等の大きなエネルギーに伴う荷重が重量構造物4に作用し、その荷重により重量構造物4が移動したとしても、該重量構造物の滑落や沈み込みに起因する防波堤の完全な破壊が抑えられるため、一瞬ですべての防波堤機能を失うことのない粘り強い構成の重力式防波堤を得ることができる。
しかも、重量構造物4や支持構造体5、充填材6を相互に連結する必要がなく、また全体としても構成が比較的簡易であるため、連結を要し構成が複雑な従来に比べて施工がきわめて容易であり、これにより、施工工事の手間を省くことができ、さらにこれに伴って施工コストも抑えることができるという利点がある。
上記実施の形態においては、重量構造物4の後面側にのみ支持構造体5及び充填材6を配設しているが、支持構造体は、重量構造物の前面側に配設してもよい。
さらには、図7に示すように、上記支持構造体及び充填材は、重量構造物の前面側及び背面側の両方に配設してもよい。このように、支持構造体及び充填材を重量構造物の前面側及び後面側の両方に設けた場合には、津波等の引き波の際にも本発明の効果を発揮するため、津波対策としては非常に有用である。
また、上記実施の形態においては、上記支持構造体5は、マウンド3を貫通した状態で地盤2に打設されているが、図8に示すように、支持構造体はマウンド外において地盤に直接打設してもよい
なお、図7及び図8中の、地盤やマウンド、さらには重力式防波堤を形成する重量構造物、支持構造体、充填材の各構成については、基本的に上記実施の形態と実質的に同じであり、また同様の作用効果を奏するため、同じの符号を付して詳細な説明は省略する。
さらに、上記実施の形態においては、重量構造物4を地盤2上に形成したマウンド3上に載置しているが、地盤表面の形状や地盤性状等の各種条件によっては重量構造物は地盤上に直接載置するようにしてもよい。
上記実施の形態では、支持構造体5における重量構造物4からの離間距離Lを、マウンドの高さH、重量構造物の底面の高さから支持構造体の先端までの深さ方向の距離Dとの関係において、2H≦L≦D/2の範囲内で決定するようにしていたが、支持構造体は重量構造物から離間した状態で配設することができれば、離間距離を必ずしもこのような範囲内で決定する必要はなく、状況に応じて任意に決定することができる。
また、上記支持構造体5における地盤2又はマウンド3からの突出した突出部分5aの高さについては、上記実施の形態のように、地盤又はマウンド上に配設された状態の上記重量構造物の鉛直方向の高さの半分以下である必要はなく、また必ずしも重量構造物の鉛直方向の高さよりも低くする必要もなく、適当に設定することができる。
さらに、支持構造体5における地盤2への打設に際しては、通常の鋼管杭等とは異なり、支持構造体の下端側を必ずしも地盤の支持層にまで根入れする必要はなく、根入れ深さあるいは根入れ量については、周囲の環境等、各種条件に応じて、支障のない範囲内で任意に設定することができる。
また、上記実施の形態においては、支持構造体5を、複数の鋼管杭を各種継手あるいは鋼板等を用いて相互連結し、全体として壁状に形成した構成のものとしているが、例えば鋼矢板等を用いて壁状に形成した構成であってもよい。あるいは、この支持構造体としては、複数の鋼管杭を一定間隔で打設して、隣接する鋼管杭の間に空間が形成された櫛状の態様とし、これらの鋼管の間の空間を通じて海水が流通できる構成としてもよい。
上記実施の形態においては、充填材6の材料として砕石等を含んだ例を示しているが、この充填材の材料としては、海中において上記重量構造物からの水平方向の力を上記支持構造体に伝達することができれば、例えば重量構造物と支持構造体との間の空間の大きさに適合するように形成したコンクリート塊を用いる等、任意の材料を用いることができる。
さらに、上記実施の形態においては、充填材6の厚さ(鉛直方向の高さ)を、上記支持構造体5における突出部分5aの高さと実質的に同じとしているが、充填材の厚さは必ずしも支持構造体の突出部分の高さと同じ高さとする必要はない。例えば、充填材の厚さを、充填材が重量構造物からの水平方向の力を確実且つ安定的に支持構造体に伝達することができる程度の強度を確保できる範囲内において、支持構造体の突出部分の高さよりも低くしてもよい。この場合、上記充填材の材料である砕石等の流出が抑えられるという利点がある。
また、上記充填材に対しては、図9に示すように、防波堤全体の補強を兼ねて、砂利や砕石、土等により余盛り(図9中の符号7)を行うことにより、充填材全体を被覆して該充填材の流出を防止するようにしてもよい。ただし、余盛りについては、港湾内の運用にできるだけ影響を与えない範囲で行うことが肝要である。なお、図9中の、地盤やマウンド、さらには重力式防波堤を形成する重量構造物、支持構造体、充填材の各構成については、基本的に上記実施の形態と実質的に同じであり、また同様の作用効果を奏するため、同じの符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明に係る重力式防波堤の効果を確認するため、本発明の構造を有する防波堤と、本発明の構成を有さない防波堤とについて、地盤やマウンドの破壊状況を解析して比較する実験を行った。
具体的に、この実験では、高さ3mのマウンド上に載置した重量構造物(高さ19m、奥行き18m、横幅1.0m)の後面側に、該重量構造物の後面から4.5m離間した位置に支持構造体を配設し、これら重量構造物と支持構造体との間に充填材を充填した構成(以下、本発明例1という。)と、9.0m離間した位置に支持構造体を配設して、これら重量構造物と支持構造体との間に充填材を充填した構成(以下、本発明例2という。)と、重量構造物に支持構造体の上端側(マウンドからの突出部分)を直接接触させた構成(即ち、図12の構成。以下、比較例1という。)と、さらに支持構造体を備えていない無補強の構成(比較例2)について、重量構造物の前面側に水平方向の荷重を作用させ、該荷重を徐々に大きくしていった。そして、粘り強い構成であるか否かの評価を行った。
上記実験において、本発明例1,2及び比較例1,2は、重量構造物及びマウンド並びに支持構造体については、いずれの例についても相互に同形同大、且つ同じ材質のものを用いた。なお、本発明例1,2については、充填材の材質は同じものとした。
また、本発明例1,2及び比較例1は、支持構造体は、複数の鋼管矢板(φ1000mm)、鋼板(板厚16mm)で連結して壁状に形成した構成の高さが26mのものを用い、上端側がマウンドから1m突出するように地盤にそれぞれ打設した。
なお、本発明例1,2における支持構造体の重量構造物に対する離間距離は、いずれも
重量構造物の後面から支持構造体の前面(重量構造物と対向する面)の間の距離である。
さらに、各例については、重量構造物(ケーソン)の単位重量あたりに作用する荷重の大きさと、その荷重に応じた重量構造物の水平方向(前後方向)の変位量との関係を調べることにより、荷重に対する抵抗力と粘り強さを評価した。
結果を図10に示す。
図7に示すように、本発明例1,2と比較例1,2とを比較すると、同じ変位量においては、本発明例1,2は比較例1,2よりも大きな荷重に耐えていることから、本発明例1,2の場合は比較例よりも大きな抵抗力を発揮していることがわかる。なお、比較例2については、比較例1と比べても抵抗力に乏しく、一定以上の荷重が作用すると滑動してしまい、抵抗力が上昇しなくなっていた。
しかも、本発明例1,2は、作用する荷重が増加しても、防波堤の破壊が生じることなく、その荷重増加に追随して変位量も増加していることから、大きな荷重にも粘り強く耐えていることがわかる。
これにより、本発明例1,2の場合は、比較例1,2に比べ、高いレベルの抵抗力を有しながら、非常に粘り強く耐えることができるといえる。
したがって、本発明によれば、大きな荷重が作用したとしても、一瞬ですべての機能を失うことのない粘り強い構成を実現することができることが実証された。
なお、本発明例1,2との比較では、離間距離が大きい本発明例2の方が本発明例1よりも高い対向力と粘り強さを有していた。
これは、本発明例2は離間距離が本発明例1よりも大きく、水平方向の荷重伝達に際して、十分な分散効果が得られているためである。実際、マウンド高さ3mに対して、離間距離が9mであることから、支持構造体における重量構造物からの離間距離Lは、マウンドの高さHとの関係において、上述した望ましい離間距離の条件L≧2Hを満たしている。
一方、本発明例1は離間距離が比較的短く、本発明例2に比べるとそれほど大きな分散効果を得ることができず、支持構造体(鋼管矢板)の上端部(頭部)側に比較的集中的な荷重が作用するため、変形量が大きい。
実際、マウンド高さ3mに対して離間距離4.5mというのは、支持構造体における重量構造物からの離間距離Lは、マウンドの高さHとの関係において、上述した望ましい離間距離の条件L≧2Hを満たしていない。
1 防波堤
2 地盤
3 マウンド
4 重量構造物
5 支持構造体
6 充填材

Claims (3)

  1. 地盤上又は地盤上に設けられたマウンド上に配設された防波用の重量構造物と、該重量構造物の前面側と後面側とのうちの少なくとも一方側における該重量構造物から離間した位置に、その重量構造物とは非連結状態で配設された、鉛直方向に延びる支持構造体と、
    これら重量構造物と支持構造体との間に充填され、上記重量構造物からの水平方向の力を上記支持構造体に伝達する充填材とを有し、
    上記支持構造体は、地盤又はマウンドから上端側が上方に突出した状態で地盤に打設されていると共に、上記充填材は、該支持構造体の突出部分と重量構造物との間の空間に充填されていて、
    上記支持構造体に該充填材から伝達された上記重量構造物からの水平方向の力を受け止めさせて該重量構造物を支持させることを特徴とする重力式防波堤。
  2. 上記支持構造体における地盤又はマウンドからの突出した部分の高さは、地盤又はマウンド上に配設された状態の上記重量構造物の鉛直方向の高さよりも低いことを特徴とする請求項1に記載の重力式防波堤。
  3. 上記重量構造物は地盤上に設けられた高さHのマウンド上に配設されていて、上記支持構造体は、該重量構造物の底面の高さから該支持構造体の先端までの深さ方向の距離をDとした場合に、上記重量構造物の相対する面からの離間距離Lが、2H≦L≦D/2の範囲となる位置に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の重力式防波堤。
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