JP2014122131A - 高純度炭化珪素粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アチソン炉で焼成した高純度炭化珪素粉末の製造方法であって、炭化珪素の焼成物からカーボンを含む炭化珪素のインゴットを回収するインゴット回収工程と、該インゴットを粉砕して1mm以下の粉砕物とする粉砕工程と、該粉砕物を水と混合してスラリーとし、該スラリーに捕収剤および起泡剤を添加して浮遊選鉱処理を行う浮遊選鉱処理工程と、該浮遊選鉱処理によって沈鉱として分離された炭化珪素を回収する炭化珪素回収工程と、該浮遊選鉱処理によって浮鉱として分離されたカーボンを回収するカーボン回収工程とを備えることを特徴とする高純度炭化珪素粉末の製造方法。
【選択図】図3
Description
炭化珪素を工業的に量産する技術としては、珪素(Si)を含む珪酸質原料(例えば硅砂)と炭素を含む炭素質原料(例えば石油コークス)を原料とし、アチソン炉において1600℃以上で加熱することで、直接還元反応によって炭化珪素を製造する方法が知られている。
他方、この特許文献1においては、酸化以外の分離除去方法として浮選法が挙げられている。しかしながら浮選法についての詳細な記載はいっさいなく、さらに酸化による除去方法以外の方法は処理工程中に不純物が混入しやすく実用的でないと記載されている。
[2]前記粉砕工程の後、あるいは炭化珪素回収工程の後に、炭化珪素を無機酸に浸漬して金属不純物を溶解除去する酸処理工程と酸処理した浸漬物を水で洗浄する水洗浄工程とをさらに備えることを特徴とする[1]に記載の高純度炭化珪素粉末の製造方法である。
[3]前記カーボン回収工程によって回収されたカーボンを、炭化珪素の製造用原料の一部として使用する、あるいはアチソン炉の発熱体の原料の一部として使用することを特徴とする[1]または[2]に記載の高純度炭化珪素粉末の製造方法である。
[4]前記炭化珪素の製造用原料が、ケイ酸アルカリ水溶液とカーボンを混合することによって製造された、カーボン含有沈降性シリカであることを特徴とする[3]に記載の高純度炭化珪素粉末の製造方法である。
本発明で回収された高純度炭化珪素粉末はパワー半導体向けの単結晶用原料及び治具の他、高純度用途のセラミックス焼結体の原料として用いることができる。
(アチソン炉での炭化珪素の製造)
本発明の高純度炭化珪素粉末は、アチソン炉を用いて、珪酸質原料と炭素質原料を混合してなる炭化珪素製造用原料を加熱して得られる。炭素質原料と珪酸質原料の混合モル比(C/SiO2)が2.5〜4.0である。
珪酸質原料としては、例えば天然のケイ砂およびケイ石粉、人造ケイ石粉、シリカフューム、非晶質シリカ等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
炭素質原料としては、例えば石油コークス、石炭ピッチ、カーボンブラック、各種有機樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、純度の観点からカーボンブラックが好ましい。
また、炭化珪素製造用原料として、ケイ酸アルカリ水溶液とカーボンを混合することによって製造された、カーボン含有沈降性シリカを用いることもできる。
発熱体の形態は、電気を通すことができればよく、粉状でも棒状でもよい。また、棒状の場合、該棒状体の形態も特に限定されず、円柱状でも角柱状でもよい。
図1はアチソン炉1の長手方向の断面図であり、図2はアチソン炉1の長手方向に垂直な方向の断面図である。
アチソン炉1は大気開放型であり、炉本体2の断面が略U字状である炉であり、両端に電極芯3(3’)を有している。長手方向の中央部には発熱体6が電極芯3を結ぶように設置され、発熱体6の周りには炭化珪素製造用原料4が充填されている。また、炭化珪素製造用原料4は炉本体2の内部空間にかまぼこ状に収容される。
電極芯3間に電流を流し、発熱体6を通電加熱することで、発熱体6の周囲において下記式(1)で示される直接還元反応が起こり、炭化珪素(SiC)のインゴット5が生成される。
SiO2+3C → SiC+2CO (1)
上記反応が行われる温度は好ましくは1600〜3000℃、より好ましくは1600〜2500℃である。
焼成後、発熱体の周囲に円筒状に生成した炭化珪素のインゴット5を回収する。従来は、人手によって、焼成物の色、形状などから炭化珪素のインゴット相当部分を分離し、さらに固着しているカーボン部分をそぎ落とす作業を行うことによって、未反応のカーボンをほとんど含まない炭化珪素のインゴットを回収していた。従来の作業において回収されるインゴット中のカーボン含有率としては、0.3%程度であり、1質量%を超えることはなかった。しかし、本発明においては、多少のカーボンが固着したままのインゴットでよく、これによって回収作業の労力を大幅に軽減することができる。
本発明において回収されるインゴット中のカーボン含有率は、20質量%程度まで含まれていたとしても浮遊選鉱処理工程で除去可能であるが、以後の処理工程の負担、あるいは残留カーボン含有率等を考慮すれば、10質量%以下であることが好ましい。
上記の回収物(カーボンを含む炭化珪素のインゴット)を粉砕する。粉砕は、ボールミルなど各種粉砕装置を用いて行う。粉砕物は篩いなどを用いて1mm以下に粒度調製される。より好ましくは、0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。粒度が1mm以上の場合、以後の浮遊選鉱工程で効率よくカーボンを分離することができない。
上記の粉砕物を水と混合し、撹拌槽にてスラリーとして調製する。スラリー濃度としては、5質量%〜30質量%が好ましい。スラリーには捕収剤および起泡剤が加えられ、浮遊選鉱処理が行われる。この他に浮遊選鉱助剤として、pH調整剤、凝集剤、分散剤などを添加することができる。なお、用いられる水は特に限定されるものではなく、水道水等を用いてもよいが、イオン交換水がより好ましい。以下で記載する水についても同様である。本工程のフローを以下に記す。
まず、撹拌槽において調製されたスラリーに捕収剤を添加し十分撹拌する。捕収剤には、浮遊選鉱機でカーボンを浮鉱側に回収するため、ケロシン、軽油等が用いられる。
次に、このスラリーを浮遊選鉱機に供給し、起泡剤を添加するとともに空気を導入して気泡を発生させ、スラリーに含まれるカーボンを気泡に付着させて浮上させる。起泡剤には、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコール等が用いられる。
浮上したカーボンは浮鉱として気泡とともに取り除かれる。一方、炭化珪素は沈鉱として浮遊選鉱機の下層部に沈降する。
浮遊選鉱機から排出された炭化珪素を含む沈鉱はフィルタープレスなどで固液分離され、ケークとして回収する。回収物の酸処理を行わない場合は、回収物を乾燥処理し、炭化珪素粉末を得る。
炭化珪素回収工程で回収されたケークを無機酸の溶液に浸漬して、酸処理を行う。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸又はフッ酸などが使用できるが、塩酸が特に好ましい。この酸処理によって、炭化珪素中の金属不純物を溶出させて除去する。特に、鉄など金属製粉砕媒体で粉砕処理を行った場合は、金属が磨耗して不純物として混入するため、酸処理を行うことによってこれらを除去することが必要となる。酸処理した浸漬物は、水を用いて十分洗浄される。
酸処理については、浮遊選鉱処理工程の前に行うこともできる。その場合、炭化珪素インゴットの粉砕物を無機酸の溶液に浸漬して、酸処理を行う。この場合、無機酸の溶液の上層に浮上した一部のカーボンを除去することもできる。酸溶液は水に比べて比重が大きいことからカーボンがより浮上しやすいため、酸処理時にカーボンの一部を除去することは有効である。特にカーボン含有率が大きい場合は、後工程となる浮遊選鉱処理の負担を軽減する意味で効果的である。
なお、炭化珪素のインゴットの粉砕がセラミック媒体で行われた場合など、浮遊選鉱による炭化珪素中のカーボンを除去するのみで必要十分な高純度化処理が可能な場合は、必ずしも酸処理を行わなくてもよい。
一方、浮遊選鉱機から排出されたカーボンを含む浮鉱は、ろ過分離装置などで固液分離される。回収されたカーボンは、乾燥処理後、炭化珪素製造用の炭素質原料の一部として用いることができる。また、アチソン炉の発熱体の原料の一部としても使用することができる。さらに、カーボン含有沈降性シリカを製造するための炭素質原料として使用することもできる。
炭化珪素粉末中のカーボンの含有率は0.1%以下に調製されることが好ましく、さらに0.01%以下が好ましい。
金属不純物として、アルミニウム(Al)、鉄(Fe),およびチタン(Ti)のそれぞれの含有率は30ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。
非晶質シリカ(太平洋セメント(株)製、商品名「シレックスピュア」)と、カーボンブラック(東海カーボン(株)製、商品名「シーストV」)を混合モル比(C/SiO2)が3.0となるよう配合し、炭化珪素製造用の混合原料とした。この混合原料及び発熱体用黒鉛をアチソン炉の中へ収容した後、通電加熱して焼成し、炭化珪素のインゴットを生成させた。焼成物から一部にカーボンを含む炭化珪素のインゴット部分を回収し、以下の実験に供した。
アチソン炉で焼成されたカーボンを含む炭化珪素のインゴットをボールミルにて粉砕し、0.5mmの篩いを通したものを、粉砕物とした。この粉砕物50g(カーボン含有率:9.40%)に、イオン交換水500mLを攪拌しながら添加してスラリーを調製した。このスラリーに補収剤としてのケロシンを0.5mL加えてミキサーで10分間攪拌して、炭化珪素中のカーボンの表面を疎水化した。疎水化後、スラリーを浮遊選鉱機に導入し、起泡剤としてMIBC(メチルイソブチルカルビノール)を0.1mg添加して気泡を発生させ、発生させた気泡に付着・浮上したカーボンをオーバーフローとして除去し、浮遊選鉱機内に沈降した残渣(炭化珪素)を回収した。回収した残渣はさらに塩酸にて酸処理し、水で洗浄された後、再び回収した。
炭化珪素のインゴットを、従来どおり、インゴットに付着したカーボンを丁寧に除去して回収した。この炭化珪素のインゴットを実施例と同様に粉砕し、粉砕物を得た。この粉砕物のカーボン含有率は0.34%であった。その後、塩酸にて酸処理し、水で洗浄後、回収した。
本発明の実施例による炭化珪素粉末は、カーボンをほとんど含有せず、金属不純物量も低い値であった。一方、比較例ではカーボンを0.22%含有し、金属不純物量も実施例に比べ高い値を示した。
2 炉本体(耐火レンガ)
3、3’ 電極芯
4 炭化珪素製造用原料
5 炭化珪素
6 発熱体用黒鉛
Claims (4)
- アチソン炉で焼成した高純度炭化珪素粉末の製造方法であって、
炭化珪素の焼成物からカーボンを含む炭化珪素のインゴットを回収するインゴット回収工程と、
該インゴットを粉砕して1mm以下の粉砕物とする粉砕工程と、
該粉砕物を水と混合してスラリーとし、該スラリーに捕収剤および起泡剤を添加して浮遊選鉱処理を行う浮遊選鉱処理工程と、
該浮遊選鉱処理によって沈鉱として分離された炭化珪素を回収する炭化珪素回収工程と、
該浮遊選鉱処理によって浮鉱として分離されたカーボンを回収するカーボン回収工程とを備えることを特徴とする高純度炭化珪素粉末の製造方法。 - 前記粉砕工程の後、あるいは前記炭化珪素回収工程の後に、炭化珪素を無機酸に浸漬して金属不純物を溶解除去する酸処理工程と酸処理した浸漬物を水で洗浄する水洗浄工程とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の高純度炭化珪素粉末の製造方法。
- 前記カーボン回収工程によって回収されたカーボンを、炭化珪素の製造用原料の一部として使用する、あるいはアチソン炉の発熱体の原料の一部として使用することを特徴とする請求項1または2に記載の高純度炭化珪素粉末の製造方法。
- 前記炭化珪素の製造用原料が、ケイ酸アルカリ水溶液とカーボンを混合することによって製造された、カーボン含有沈降性シリカであることを特徴とする請求項3に記載の高純度炭化珪素粉末の製造方法。
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