JP2014155335A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流電源と平滑コンデンサとの接続を遮断した後、トルクを発生させることなく平滑コンデンサの残電荷を放電(ディスチャージ)可能な交流電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】3相のうち1相のセンサ相(W相)に流れる電流を検出する電動機制御装置において、制御部15の電圧指令演算部22は、交流電動機2を励磁するd軸電流を非ゼロとするように、dq軸電流指令id*、iq*に基づく演算によりd軸電圧指令基準値vd_refを演算する。また、交流電動機2にトルクを付与するq軸電流をゼロとするように、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロ値として演算する。電圧指令補正部30は、デッドタイム補正値演算部32等から取得した情報に基づき、電圧指令演算部22が演算したdq軸電圧指令基準値のうち少なくともd軸電圧指令基準値vd_refを補正し、インバータ12に出力する。
【選択図】図5

Description

本発明は、3相のうち1相の相電流を電流センサにより検出して交流電動機の通電を制御する交流電動機の制御装置に関する。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請から車両の動力源として交流電動機を搭載した電気自動車やハイブリッド自動車が注目されている。例えば、ハイブリッド自動車においては、二次電池等からなる直流電源と交流電動機とを、インバータ等で構成された電力変換装置を介して接続し、直流電源の直流電圧をインバータで交流電圧に変換して交流電動機を駆動するようにしたものがある。
このようなハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される交流電動機の制御装置において、相電流を検出する電流センサを1相のみに設け、1相の電流検出値に基づき推定した電流推定値をフィードバックすることで交流電動機の通電を制御する「1相制御」の技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。電流センサを1相のみに設けることで、電流センサの数を減らし、インバータの3相出力端子近傍の小型化や交流電動機の制御系統のコスト低減を図っている。
一方、停車時の安全確保等の目的で、直流電源と、インバータの入力部において直流電源に対して並列に接続される平滑コンデンサとの接続を遮断した後、平滑コンデンサに残った電荷を放電させる「ディスチャージ」の技術が知られている。例えば特許文献2には、永久磁石モータの停止時、トルクに寄与しないd軸にのみ非ゼロ電流を流し、トルクに寄与するq軸には実質的に電流を流さないことで、モータを回転させるトルクを発生させることなくディスチャージを行う技術が開示されている。
特開2008−86139号公報 特許第3289567号公報
特許文献1の技術に基づく電流フィードバック制御によれば、センサ相(例えばW相)の電流検出値、及び他の2相(例えばU相とV相)の推定値をdq変換して得られるdq軸電流推定値をdq軸電流指令id*、iq*に対してフィードバックする。
しかし、交流電動機の停止時には、相電流の時間変化が無くなるため、センサ相の電流検出値から実機情報を得ることができなくなり、交流電動機の駆動制御が不安定となるおそれがある。したがって、例えば特許文献2のようなディスチャージにおいて、トルクを発生させないようにdq軸電流を制御しつつ、平滑コンデンサの残電荷を適切に放電させることが困難であるにも関わらず、この点に関して一切言及されていない。
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する交流電動機の制御装置において、直流電源と平滑コンデンサとの接続を遮断した後、トルクを発生させることなく平滑コンデンサの残電荷を放電可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
本発明は、直流電源に接続されているとき3相の交流電動機を駆動するインバータと、インバータの入力部において直流電源に対して並列に接続される平滑コンデンサと、交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサと、インバータを構成するブリッジ接続された複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて交流電動機の通電を制御する制御手段とを備える交流電動機の制御装置に係る発明である。
この交流電動機の制御装置は、直流電源と平滑コンデンサとの接続が遮断され、交流電動機の回転数がゼロとなる停止時において、平滑コンデンサの残電荷を交流電動機の巻線にて熱として放電させるディスチャージ処理を実行する。
ここで、直流電源とインバータの入力部に設けられた平滑コンデンサとの接続を遮断することは、すなわち直流電源とインバータとの接続を遮断することであり、さらに、直流電源と交流電動機の制御装置全体との接続を遮断することを意味する。
制御手段は、このディスチャージ処理のための構成として、電圧指令演算手段と、電圧指令補正手段とを有している。
電圧指令演算手段は、交流電動機を励磁するd軸電流を非ゼロとするように、dq軸電流指令に基づく演算によりd軸電圧指令基準値を演算し、交流電動機にトルクを付与するq軸電流をゼロとするように、q軸電圧指令基準値をゼロ値として演算する。
電圧指令補正手段は、電圧指令演算手段が演算したd軸電圧指令基準値及びq軸電圧指令基準値のうち少なくともd軸電圧指令基準値を補正し、インバータに出力する。
これにより、本発明の交流電動機の制御装置は、q軸電圧指令をゼロとしq軸電流を流さないことでトルクの発生を回避しつつ、d軸電圧指令を非ゼロとしd軸電流を流すことで、交流電動機の巻線に3相電流を流し、平滑コンデンサの残電荷によるエネルギをジュール熱として消費させ、残電荷を放電させることができる。
また、交流電動機や交流電動機の制御装置等に関する物理的な要因等により、電圧指令演算手段によって演算された電圧指令と、指令通りのトルクが得られる電圧指令とが乖離することがある。そこで、電圧指令補正手段は、電圧指令の乖離を是正するべく電圧指令基準値を補正する。例えば、電圧指令補正手段は、デッドタイムによる電圧誤差を補正する「デッドタイム補正」を実行する。
デッドタイム補正を行う構成では、制御手段はデッドタイム補正値演算手段を有する。
デッドタイム補正値演算手段は、インバータを構成する高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子とのオン/オフを切り替える時、同一相の高電位側スイッチング素子及び低電位側スイッチング素子が共にオフする期間である「デッドタイム」に起因する電圧誤差に応じたデッドタイム補正値を、d軸成分のみからなりq軸成分がゼロの電圧値として算出する。
電圧指令補正手段は、デッドタイム補正値をd軸電圧指令基準値に加算する。
交流電動機の停止時を含む低回転域、低トルク域では、デッドタイムによる電圧誤差の影響が特に大きい。そのため、デッドタイム補正をしない場合、d軸電圧指令に基づく3相交流電圧を印加しているにもかかわらず、インバータ及び交流電動機の巻線にd軸電流が流れないような状況が起こり得る。そこで、電圧誤差に応じたデッドタイム補正値を加算することで、インバータ及び交流電動機の巻線にd軸電流が流れるように制御することができる。よって、ディスチャージ処理を好適に行うことができる。
本発明では、インバータと交流電動機とは常に接続されていることを前提としており、インバータに電流が流れることと交流電動機の巻線に電流が流れることとは、ほぼ同義である。また、平滑コンデンサの残電荷によるエネルギを放出させる主体は交流電動機であることから、以下、電流が流れる対象については主に交流電動機に注目して説明する。
電圧指令補正手段は、さらに別の補正を実行してもよい。ただし、ディスチャージ処理は、巻線に電流を流し、平滑コンデンサの残電荷を所定期間内に熱として放電することができればよく、電流の精度がそれ程要求されるわけではない。したがって、多種類の補正を行わなくても問題はない。
本発明の一実施形態による交流電動機の制御装置が適用される電動機駆動システムの構成を示す図である。 本発明の一実施形態による交流電動機の制御装置の全体構成図である。 交流電動機の低回転時における1相制御の問題点を説明する相電流波形の模式図である。 交流電動機の停止時における(a)センサ値非ゼロ時(iw_sns≠0)、(b)センサ値ゼロ時(iw_sns≒0)の電流波形の模式図である。 本発明の一実施形態による交流電動機の制御装置において、「センサ値非ゼロ時」における制御部の構成を示すブロック図である。 フィードフォワード電圧指令演算の問題点を説明する電流、電圧波形図である。 2相のセンサ値によるフィードバック制御での電流、電圧波形図である。 (a)デッドタイムを説明する模式図、(b)デッドタイム補正値のベクトル図である。 ディスチャージ処理におけるデッドタイム補正の効果を示す電圧波形図である。 本発明の一実施形態による「センサ値非ゼロ時」のディスチャージ処理のフローチャートの前段である。 本発明の一実施形態によるディスチャージ処理のフローチャートの後段である。 本発明の一実施形態による交流電動機の制御装置において、「センサ値ゼロ時」における制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による「センサ値ゼロ時」のディスチャージ処理のフローチャートの前段である。
以下、本発明による交流電動機の制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に、複数の実施形態に共通の構成について、図1、図2を参照して説明する。この実施形態による「交流電動機の制御装置」としての電動機制御装置10は、ハイブリッド自動車を駆動する電動機駆動システムに適用される。
[交流電動機の制御装置の構成]
図1に示すように、電動機駆動システム1は、交流電動機2、直流電源8、及び電動機制御装置10等を備える。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えたハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
交流電動機2は、例えば変速機等のギア4を介して車軸5に接続される。これにより、交流電動機2の駆動力は、ギア4を介して車軸5を回転させることにより、駆動輪6を駆動する。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている。インバータ12には、図示しない昇圧コンバータによる直流電源8の昇圧電圧が入力される。
車両制御回路9は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらを接続するバスライン等を備えている。車両制御回路9は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、電動車両全体を制御する。
車両制御回路9は、いずれも図示しないアクセルセンサからのアクセル信号、ブレーキスイッチからのブレーキ信号、及び、シフトスイッチからのシフト信号等の各種センサやスイッチ等から信号を取得可能に構成されている。車両制御回路9は、取得されたこれらの信号等に基づいて車両の運転状態を検出し、運転状態に応じたトルク指令値trq*を電動機制御装置10に出力する。また、車両制御回路9は、エンジン3の運転を制御する図示しないエンジン制御回路に対し、指令信号を出力する。
図2に示すように、電動機制御装置10は、平滑コンデンサ11、インバータ12、電流センサ13、及び「制御手段」としての制御部15を備える。
平滑コンデンサ11は、インバータ12の入力部に直流電源8に対して並列に接続され、インバータ入力電圧VHの脈動を抑制し、平滑化する。
インバータ12は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。6つのスイッチング素子は、交流電動機2の各相に対応して設けられ、高電位側スイッチング素子(以下、「上SW」という。)、及び低電位側スイッチング素子(以下、「下SW」という。)からなる。同一相の上SWと下SWとは直列に接続される
スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。制御部15のPWM信号生成部25から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてスイッチング素子のオン/オフが制御される。これにより、インバータ12は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ12により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
電源リレー19は、直流電源8と平滑コンデンサ11との接続を開閉可能である。電源リレー19は、半導体式リレーでも機械式リレーでもよい。加えて、リレーは直流電源8の正極側、負極側のどちらか一方或いは両方に設けて良いし、更には直流電源8と電動機制御装置10との接続時に流れ得る突入電流対策用の抵抗を接続する為のリレーを追加してもよく、その構成は限定しない。また、電動車両に搭載される場合において、電源リレー19は、イグニションスイッチと連動して開閉するようにしてもよい。
直流電源8と平滑コンデンサ11との接続を遮断することは、すなわち直流電源8とインバータ12との接続を遮断することであり、さらに、直流電源8と電動機制御装置10全体との接続を遮断することを意味する。直流電源8と平滑コンデンサ11とが接続されているとき、昇圧コンバータによる昇圧電圧がインバータ入力電圧VHとなる。一方、電源リレー19により直流電源8と平滑コンデンサ11との接続を遮断したとき、平滑コンデンサ11に残った電荷による電極間電圧がインバータ入力電圧VHとなる。この場合、インバータ入力電圧VHは、インバータ12及び交流電動機2の巻線に電流が流れることにより低下し、平滑コンデンサ11の電荷が全て放電されると、インバータ入力電圧VHはゼロとなる。
電流センサ13は、交流電動機2のいずれか1相に設けられる。電流センサ13が設けられる相を「センサ相」という。電流センサ13は、センサ相の相電流を検出し、電流検出値を制御部15に出力する。「センサ相の電流検出値」を、適宜「センサ値」という。
本実施形態では、電流センサ13がW相に設けられている構成を前提として説明する。すなわち、「W相」は「センサ相」と同義である。なお、他の実施形態では、U相又はV相をセンサ相としてもよい。
回転角センサ14は、交流電動機2の図示しないロータ近傍に設けられ、電気角θeを検出し、制御部15に出力する。また、回転角センサ14により検出された電気角θeに基づき、交流電動機2のロータの回転数Nが算出される。以下、「交流電動機2のロータの回転数N」を、単に「交流電動機2の回転数N」という。
本実施形態の回転角センサ14は、レゾルバであるが、その他の実施形態では、ロータリエンコーダ等、他種のセンサを用いてもよい。
制御部15は、マイクロコンピュータ等により構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部15は、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理により、交流電動機2の動作を制御する。
電動機制御装置10は、回転角センサ14が検出した電気角θeに基づく交流電動機2の回転数N、及び、車両制御回路9からのトルク指令値trq*に応じて、交流電動機2を「電動機としての力行動作」により電力を消費し、又は「発電機としての回生動作」により電力を生成する。具体的には、回転数N及びトルク指令値trq*の正負によって、以下の4つのパターンで動作を切り替える。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*>0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*<0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、直流電源8側から供給される直流電力を交流電力に変換してトルクを出力する(力行動作する)ように、交流電動機2を駆動する。
一方、回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*<0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*>0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電動機2が発電した交流電力を直流電力に変換し、直流電源8側へ供給することにより、回生動作する。
本発明の実施形態では、電流センサ13を1相のみに設けることで、2相又は3相に電流センサを設ける構成に比べ、電流センサの数を減らし、インバータ12の3相出力端子近傍の小型化や交流電動機2の制御系統のコスト低減を図ることができる。
その反面、交流電動機2の通電を制御するにあたり、1相のセンサ値に基づく「1相制御」を行う必要がある。1相制御にはいくつかの方法があるが、いずれの制御方法でも、2相のセンサ値に基づく2相制御に比べて実機情報が乏しくなる傾向がある。
低回転時における1相制御の問題点について、図3を参照して説明する。
図3は、W相電流波形について、回転数Nの違いによる、電流センサ13のサンプリング間隔Tsと、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwとの関係を模式的に示した図である。(a)は高回転時、(b)は中回転時、(c)は低回転時の相電流波形を示す。ここでの「高回転、中回転、低回転」は、相対的な意味でのみ用い、具体的な回転数を意味しない。また、サンプリング間隔Tsは、回転数Nによらず一定とする。
高回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが比較的大きな値となっており、実機情報がよく反映されるため、比較的精度の高い1相制御が可能である。
中回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが高回転時よりも減少するため、実機情報がやや不足し、1相制御での精度が低下する。
低回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwがさらに減少し、電流変化量Δiwがゼロに近くなる。そのため、実機情報が乏しくなり、1相制御では、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
例えば、特許文献1(特開2008−86139号公報)による1相制御技術では、dq軸電流指令を逆dq変換して得られる3相電流指令値のうちセンサ相以外の2相の電流指令値を推定値として扱い、電流フィードバック制御する。この技術において、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが小さくなると、電流推定値に反映される実機情報が乏しくなり、電流推定値の推定精度が更に低下する。よって、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
また特開2004−159391号公報による1相制御技術では、センサ相をU相とすると、U相の電流検出値(Iu)を「dq軸電流指令から得られる電流指令位相角と電気角から生成したU相電流基準角(θ’)」で除して電流振幅(Ia)を算出し、この電流振幅を、U相電流基準角から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じて他の2相の電流推定値Iv、Iwを算出する。
この技術においても、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが小さくなると、実機情報が電流振幅(Ia)に反映されにくくなり、他の2相の電流推定値の推定精度が更に低下する。よって、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
次に、例えば電動車両において、停車時の安全確保等の目的で行われる「ディスチャージ」について説明する。ディスチャージとは、直流電源8と平滑コンデンサ11との接続を遮断した後、平滑コンデンサ11の残電荷を放電させることをいう。
ここで、一般に電流とジュール熱との関係は、式(1)により表される。Pはジュール熱、Rは負荷抵抗、Iは電流を示す。
P=R×I2 ・・・(1)
平滑コンデンサ11の残電荷により交流電動機2に電流を流すと、d軸成分の電流は交流電動機2の巻線にてジュール熱として消費される。一方、q軸成分の電流は、交流電動機2を回転させるトルクを発生させる。
特にハイブリッド自動車等の電動車両に適用される電動機制御装置10では、ディスチャージ時にトルクを発生させると、ユーザの意図に反して交流電動機2が回転することとなり好ましくない。そこで、ディスチャージ時には、トルクに寄与しないd軸にのみ電流を流し、トルクに寄与するq軸には実質的に電流を流さないよう、d軸及びq軸電流を制御する必要がある。
しかし、上述のように、フィードバック制御を基本とした従来の1相制御技術では、交流電動機の停止時に相電流の時間変化が無くなったとき、センサ相の電流検出値から得られる実機情報が乏しくなる。そのため、トルクを発生させないようにd軸及びq軸電流を制御しつつ、平滑コンデンサの残電荷を適切に放電させることが困難であるにも関わらず、この点に関して一切言及されていない。
[制御部の構成と作用効果]
そこで、本発明の一実施形態による電動機制御装置10は、直流電源8とインバータ12との接続を遮断した後、トルクを発生させることなく平滑コンデンサ11の残電荷を放電する「ディスチャージ処理」を実行可能な制御部15の構成を特徴としている。
ディスチャージ処理は、通常に交流電動機2を駆動するとき(以下、「通常駆動時」という。)とは異なり、平滑コンデンサ11の残電荷による電極間電圧をインバータ入力電圧VHとして、この残電荷を放電し、インバータ入力電圧VHがゼロとなるまで交流電動機2の巻線に電流を流す処理である。
以下、制御部15の構成及び作用効果を説明する前に、交流電動機2の停止時における相電流波形について図4を参照して説明する。交流電動機2が停止した状態では、電気角θeは一定となり、電気角速度ωは0[rad/s]となる。このとき、各相の電流値は、交流電動機2の停止位置の電気角θe及び電流指令位相φに応じて決まる。電流指令位相φが一定とすれば、図4に示すように、各相の電流値は一定の直流となる。
図4(a)、(b)において、U相電流iu、V相電流ivは実電流を示し、実際には検出されない。W相については電流センサ13が検出したセンサ値iw_snsを示す。
なお、3相の相電流にはキルヒホッフの法則により、式(2)が成立している。
iu+iv+iw=0 ・・・(2)
センサ値iw_snsは、図4(a)に示すように、非ゼロとなるとき(以下、「センサ値非ゼロ時」という。)と、図4(b)に示すように、ゼロとなるとき(以下、「センサ値ゼロ時」という。)とがある。そこで、以下の制御部15についての説明は、「センサ値非ゼロ時」と「センサ値ゼロ時」とに分けて説明する。
ここで、センサ値iw_snsについて「ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみでなく、検出誤差や機器の分解能を考慮し、実質的に0[A]と同等の範囲の値を含む。また、「非ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみを除くのではなく、実質的に0[A]と同等の範囲以外の値を意味する。
(センサ値非ゼロ時)
まず、センサ値非ゼロ時にディスチャージ処理を実行する制御部15の構成及び作用効果について、図5〜図12を参照して説明する。
図5に示すように、制御部15は、dq軸電流指令演算部21、電圧指令演算部22、電圧指令補正部30、逆dq変換部24、PWM信号生成部25、3相電流指令演算部31、デッドタイム補正値演算部32、振幅補正係数演算部33、電圧低下レート監視部34、及び電気角移動量演算部35を有する。
電圧指令演算部22、及び電圧指令補正部30は、特許請求の範囲に記載の「電圧指令演算手段」、及び「電圧指令補正手段」を構成する。また、デッドタイム補正値演算部32、振幅補正係数演算部33、電圧低下レート監視部34、及び電気角移動量演算部35は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「デッドタイム補正値演算手段」、「振幅補正係数演算手段」、「電圧低下レート監視手段」、及び「電気角移動量演算手段」を構成する。
dq軸電流指令演算部21は、通常制御時には、車両制御回路9から取得したトルク指令値trq*に基づき、予め記憶されているマップを参照して、或いは演算により、交流電動機2の回転座標系(dq座標系)におけるd軸電流指令id*、及びq軸電流指令iq*を生成する。以下、「d軸電流及びq軸電流」を「dq軸電流」のように表す。
一方、ディスチャージ時には、トルクを発生させないためにトルク指令値trq*はゼロであり、dq軸電流指令id*、iq*は発生しない。そこで、ディスチャージ処理では、トルク指令に拠らず、ディスチャージ要求に応じて、予め記憶しておいた一意のdq軸電流指令を生成する。
電圧指令演算部22は、電圧方程式を用いて、d軸電圧指令基準値vd_refを演算する。まず、電動機の電圧方程式は、一般に式(3.1)、(3.2)で表される。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(3.1)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(3.2)
記号は、以下のとおりである。
Ra:電機子抵抗
Ld、Lq:d軸自己インダクタンス、q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
ここで、交流電動機2の機器定数である電機子抵抗Ra、d軸自己インダクタンスLd、q軸自己インダクタンスLq、及び電機子鎖交磁束ψは、固定値としてもよいし、計算にて算出してもよい。また、実際の特性に近い値や実測値をマップ化しておき、トルク指令値trq*、又はd軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*に基づいて演算してもよい。
また、過渡特性を表す時間微分(d/dt)項を無視し、dq軸電圧としてdq軸電圧指令vd*、vq*を用い、dq軸電流としてdq軸電流指令id*、iq*を用いると、式(3.1)、(3.2)は、式(4.1)、(4.2)のように書き換えられる。
vd*=Ra×id*−ω×Lq×iq* ・・・(4.1)
vq*=Ra×iq*+ω×Ld×id*+ω×ψ・・・(4.2)
さらに、式(4.1)、(4.2)においてω=0[rad/s]のとき、式(4.3)、(4.4)のとおり電機子抵抗Ra項のみが残る。そのため、d軸電圧指令vd*はd軸電流指令id*のみによって、q軸電圧指令vq*はq軸電流指令iq*のみによって決まる。
vd*=Ra×id*・・・(4.3)
vq*=Ra×iq*・・・(4.4)
ディスチャージ処理では、原則として交流電動機2は停止しており、ω=0となるはずである。電圧指令演算部22は、角速度算出部23にて電気角θeを変換して得られた電気角速度ωを取得し、ω=0であることを確認する。そして、電圧指令演算部22は、d軸電圧指令について、式(4.3)のd軸電圧指令vd*をd軸電圧指令基準値vd_refに置き換えた式(4.3’)を用いて演算する。
vd_ref=Ra×id*・・・(4.3’)
この演算を、「フィードフォワード電圧指令演算」と呼ぶ。また、フィードフォワード電圧指令演算によって演算された電圧項をフィードフォワード項と呼び、図中「FF項」と示す。また、d軸電圧指令「基準値」とは、その後、補正を経て最終的なd軸電圧指令vd*を生成するための基準となる補正前の値という意味である。
さらに、電圧指令演算部22は、トルクの発生に寄与するq軸電流をゼロとすべく、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロ値として演算する。
次に、電圧指令補正部30は、電圧指令演算部22が演算したフィードフォワード項であるd軸電圧指令基準値vd_ref及びq軸電圧指令基準値vq_refのうち、少なくともd軸電圧指令基準値vd_refを補正し、d軸電圧指令vd*及びq軸電圧指令vq*を生成する。この補正は、デッドタイム補正値演算部32、振幅補正係数演算部33、電圧低下レート監視部34、及び電気角移動量演算部35から取得する情報に基づいて段階的に行われる。詳しくは後述する。
電圧指令補正部30が生成したdq軸電圧指令vd*、vq*は、逆dq変換部24に入力される。逆dq変換部24では、回転角センサ14から取得される電気角θeに基づき、dq軸電圧指令vd*、vq*を、U相電圧指令vu*、V相電圧指令vv*、及びW相電圧指令vw*に変換する。
PWM信号生成部25では、インバータ12のスイッチング素子のオン/オフの切替えに係るPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを、3相電圧指令vu*、vv*、vw*、及び、インバータ12に印加される入力電圧VHに基づいて算出する。
そして、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ12のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加される。
これにより、通常駆動時には、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。一方、ディスチャージ処理では、原則としてトルクを出力せず、交流電動機2の巻線にジュール熱を発生させる。
続いて、電圧指令補正部30が、dq軸電圧指令基準値のうち少なくともd軸電圧指令基準値vd_refを補正する構成について順に詳しく説明する。
本実施形態では、電圧指令補正部30による補正のうち最も重要な補正が「デッドタイム補正」である。この後、ディスチャージ処理におけるデッドタイム補正について説明する前に、まず、通常制御時にデッドタイム補正をしない場合の問題点について、図6、図7を参照して説明する。
図6は、センサを1相のみに設けた構成で、「ω=0」での電圧方程式である式(4.3)、(4.4)を用い、dq軸電流指令id*、iq*及び電機子抵抗Raに基づいて演算されたdq軸電圧指令vd*、vq*を「補正なし」で逆dq変換して得られる3相電圧指令に基づく3相交流電圧を交流電動機2に印加した場合のdq軸電流を示している。通常駆動時であるため、d軸のみでなくq軸電圧指令についてもフィードフォワード演算している点が、本実施形態の電圧指令演算部22による演算とは異なる。
図6(a)、(b)においては、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*を破線で示し、交流電動機2に流れるd軸実電流id及びq軸実電流iqを実線で示している。また、図6(c)、(d)においては、フィードフォワード項であるd軸電圧指令vd*(FF)及びq軸電圧指令vq*(FF)を2点鎖線で示している。
図6(a)、(b)からわかるように、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*は、いずれも非ゼロであるにもかかわらず、交流電動機2には、d軸実電流id及びq軸実電流iqが流れていない。
一方、図7は、電流センサを2相に設け、2相の電流検出値に基づいてフィードバック制御(2相制御)した場合のdq軸電流を示している。3相のうち2相の電流検出値を取得すれば、キルヒホッフの法則(式(2)参照)により、他の1相の電流値を推定できるため、実機情報を十分に反映したフィードバック制御が可能である。ここでは、実機情報が不足する1相制御での問題点を示す図6との対比として図7を参照する。
図7(a)、(b)中の記号は、図6(a)、(b)と同様である。図7(c)、(d)においては、2相制御によるd軸電圧指令vd*(FB)及びq軸電圧指令vq*(FB)を2点鎖線で示し、それらの平均値vd_mean、vq_meanを1点鎖線で示している。さらに、参照として、図6におけるd軸電圧指令vd*(FF)及びq軸電圧指令vq*(FF)を、図7のレンジに換算して示している。このように、フィードフォワード項の電圧指令は、2相フィードバック制御による電圧指令に比べて、絶対値として格段に小さい。
図7(a)、(b)からわかるように、交流電動機2には、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*に追従したd軸実電流id及びq軸実電流iqが流れており、精度良く制御が実行されていることがわかる。
この図6、図7の違いの主な要因は、デッドタイムによる電圧誤差によるものと考えられる。どのようなインバータの構成においてもデッドタイムによる電圧誤差は少なからず発生すると考えられる。したがって、2相に電流センサを設けた構成であっても、仮にフィードバック制御をしなければ、実電流は電流指令に対し不足するはずである。しかし、2相制御では、電流センサが検出した実電流と電流指令との偏差を無くすようにフィードバック制御がなされるため、デッドタイムに起因する不足電圧がひとりでに生成され、その結果、デッドタイムの影響を無くすことができる。
それに対し、フィードフォワード電圧指令演算で演算されたフィードフォワード項を補正しない場合には、デッドタイムに起因する不足電圧を補填することができない。その結果、図6に示すように、dq軸電流指令id*、iq*に応じたdq軸実電流id、iqが、交流電動機2に流れないという状態に陥る。よって、通常駆動時には、停止状態からの始動に必要な印加電圧を確保することができず、また、ディスチャージ処理では、交流電動機2への電流供給を可能とするために必要な印加電圧を確保することができない。
そこで、デッドタイム補正値演算部32は、デッドタイムに起因する電圧誤差に応じたデッドタイム補正値vd_dtを演算する。電圧指令補正部30は、式(5)により、d軸電圧指令基準値vd_refにデッドタイム補正値vd_dtを加算し、d軸電圧指令第1補正値vd_ref_comp1を得る。この補正を「デッドタイム補正」という。
vd_ref_comp1=vd_ref+vd_dt・・・(5)
デッドタイム補正の技術的思想、及び効果について図8、図9を参照して説明する。
U相に対応する上SW及び下SWのオン/オフの切り替えを図8(a)に示す。上SWがオンであり下SWがオフである状態から、上SWがオフであり下SWがオンである状態への切り替えに際し、上SW及び下SWが共にオンすることによる上下短絡を防ぐため、上SW及び下SWが共にオフするデッドタイムTdtが設けられている。デッドタイムTdtは、スイッチング素子設計により、予め所定の値に設定されている。スイッチング素子のオン期間に対するデッドタイムTdtの占める割合により電圧誤差量が決まる。
なお、下SWがオンであり上SWがオフである状態から、下SWがオフであり上SWがオンである状態への切り替え、及び、U相以外のV相、W相についても同様である。
デッドタイム補正値演算部32は、式(6)により、3相のデッドタイム補正値vu_dt、vw_dt、vv_dtの絶対値を算出する。式中のfcは、PWM信号生成に用いる三角波の周波数であり、VHはインバータ入力電圧である。
|vu_dt|=|vv_dt|=|vw_dt|=Tdt×fc×VH
・・・(6)
また、3相のデッドタイム補正値vu_dt、vv_dt、vw_dtの正負は、3相電流指令演算部31にて、電気角θeに基づくdq軸電流指令id*、iq*の逆dq変換により演算された3相電流指令iu*、iv*、iw*の正負と一致するように決定される。なお、W相については、電流指令iw*に代えて、電流検出値iw_snsを参照して正負を決定してもよい。
さらに、デッドタイム補正値演算部32は、電流指令振幅Iaに対するd軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*の比率に対応して、3相のデッドタイム補正値vu_dt、vv_dt、vw_dtを合成した合成デッドタイム補正値V_dtを、d軸デッドタイム補正値vd_dt及びq軸デッドタイム補正値vq_dtに変換する。ここで、q軸電流指令iq*は0であり、d軸電流指令id*は電流指令振幅Iaに等しい。したがって、式(7.1)、(7.2)のとおり、デッドタイム補正値V_dtはd軸に100%分配されることとなる。
vd_dt=V_dt×(id*/Ia)=V_dt ・・・(7.1)
vq_dt=V_dt×(iq*/Ia)=0 ・・・(7.2)
なお、合成デッドタイム補正値V_dtは式(6)の3相のデッドタイム補正値に基づく値であることから、変換係数Kを用いて、式(7.3)として直接表すこともできる。
V_dt = K×Tdt×fc×VH ・・・(7.3)
こうして、図8(b)に示すd軸デッドタイム補正値vd_dtが生成される。また、q軸デッドタイム補正値vq_dtはゼロとされる。
電圧指令補正部30は、上述の式(5)により、d軸デッドタイム補正値vd_dtをd軸電圧指令基準値vd_refに加算する。これにより、交流電動機2への電流供給を可能とするために必要な電圧指令を確保することができる。また、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロのまま維持することで、トルクの発生を回避することができる。
次に、図9は、デッドタイム補正を実施した実験データを示す。図9(a)は、ディスチャージ処理におけるインバータ入力電圧VHの低下を示し、図9(b)は、ディスチャージ処理において、フィードフォワード電圧指令演算で得られたd軸電圧指令(フィードフォワード項)にデッドタイム補正をしたときの電圧指令波形を示す。図中、「FF」はフィードフォワード項の電圧指令波形、「FF−DT」はフィードフォワード項にデッドタイム補正をした電圧指令波形である。「FB」は2相のセンサ値に基づくフィードバック制御による電圧指令波形であり、ここでは正しくディスチャージ処理がなされた場合の電圧指令波形とみなす。
時刻t1にてディスチャージ処理が開始されると、d軸の負方向にFB値がステップ状に増加しているにもかかわらず、FF値は変化していない。しかし、デッドタイム補正をしたFF−DT値は、FB値と同様にステップ状に増加している。
その後、インバータ入力電圧VHの低下に伴い、FB値及びFF−DT値は漸減する。時刻t2では、FB値が発散する電圧にまで低下する。時刻t3でインバータ入力電圧VHがゼロとなるとともに、FF−DT値は、FF値に一致する。
このように、フィードフォワード項をデッドタイム補正することにより、通常駆動時には停止時からの始動に必要な印加電圧を確保することができ、ディスチャージ処理では、交流電動機2への電流供給を可能とするために必要な印加電圧を確保することができる。
次に、振幅補正について説明する。振幅補正係数演算部33は、3相電流指令演算部31にて演算されたW相の電流指令iw*と電流センサ13が検出したW相の電流検出値iw_snsとを取得し、式(8)により、W相の電流指令iw*と電流検出値iw_snsとの比率である振幅補正係数Kaを算出する。
Ka=iw*/iw_sns ・・・(8)
ここでは、「センサ値非ゼロ時」であることを前提として説明しているので、式(8)の分母である電流検出値iw_snsがゼロとなる「ゼロ割り」を考慮する必要はない。また、理想的には、交流電動機2の停止時には電圧位相と電流位相とは等しくなるため、センサ値非ゼロ時には電流指令iw*も非ゼロとなる。したがって、式(8)の分子である電流指令iw*がゼロとなる「ゼロ掛け」を考慮する必要もない。
電圧指令補正部30は、式(9)により、デッドタイム補正後のd軸電圧指令第1補正値vd_ref_comp1(式(5)参照)に振幅補正係数Kaを乗算し、d軸電圧指令第2補正値vd_ref_comp2を得る。この補正を「振幅補正」という。
vd_ref_comp2=Ka×vd_ref_comp1
=Ka×(vd_ref+vd_dt)・・・(9)
式(4.3’)の演算における電機子抵抗Raの温度特性によるばらつきや、実際のデッドタイムのばらつきなど、交流電動機2や電動機制御装置等に関する物理的な要因等により、指令通りのトルクが得られる電圧指令が演算した電圧指令と乖離する可能性がある。そこで、この振幅補正の意義は、センサ相の電流検出値iw_snsに基づく振幅補正係数Kaを用いることで、実際の駆動状態を反映した補正をするということにある。
また、電圧低下レート監視部34は、ディスチャージ中のインバータ入力電圧VHが所定範囲の低下レートで低下しているか否かを監視する。電圧低下レート監視部34によって、インバータ入力電圧VHの低下レートが所定の範囲からはずれたと判断されたとき、電圧指令補正部30は、現在のd軸電圧指令、すなわち、振幅補正後のd軸電圧指令第2補正値vd_ref_comp2をさらに補正する。
本来、ディスチャージにより、インバータ入力電圧VHは、図9(a)のように時間とともに低下するはずである。しかし、実際の低下レートが狙いからはずれた場合、電圧指令補正部30は、現在のd軸電圧指令をさらに補正することで、インバータ入力電圧VHの低下レートが所定範囲内になるように調整する。
ここで、d軸電圧の調整幅は適宜設定してよい。例えば、機器の最小調整単位である1LSBずつd軸電圧指令を増加又は減少させてもよい。或いは、インバータ入力電圧VHの大きさによって調整幅を変更してもよい。また、「所定範囲」は、電圧低下レート監視部34が計算で算出してもよく、時間に対する基準線をマップに格納しておき、マップを参照するようにしてもよい。この基準線は線形でも非線形でもよい。
また、電気角移動量演算部35は、ディスチャージ開始時の電気角θstからの電気角移動量Δθeを演算する。電圧指令補正部30は、電気角移動量演算部35から取得した電気角移動量Δθeに応じてq軸電圧指令基準値vq_refを補正する。
本来、ディスチャージ処理では、トルクを発生させないことを狙いとしているが、例えば回転角センサ14の検出誤差等の要因により、ディスチャージ中にトルクが発生し、電気角θeが移動する可能性が想定される。
そこで、電圧指令補正部30は、電気角移動量Δθeを打ち消す方向にq軸電流を流すように、q軸電圧指令基準値vq_refを補正することで、ディスチャージ終了時の電気角θeがディスチャージ開始時の電気角θstに一致するように調整する。
このq軸電圧の調整は、「電気角θeの移動はトルクの発生による回転である」との考察に基づく。すなわち、電気角移動量Δθeの正負により発生トルクの方向を推定し、電気角移動量Δθeの大きさにより発生トルクの大きさを推定する。
ここで、q軸電圧の調整幅は適宜設定してよい。例えば、ディスチャージ開始時の電気角θstから現在の電気角θeを差し引いた電気角移動量Δθeが負の場合、q軸電圧指令基準値vq_refを1LSBずつ増加させ、電気角移動量Δθeが正の場合、q軸電圧指令基準値vq_refを1LSBずつ減少させるという方法で、q軸電圧を調整することができる。或いは、電気角移動量Δθeの大きさによって調整幅を変更してもよい。
次に、センサ値非ゼロ時のディスチャージ処理について、図10、図11のフローチャートを参照して説明する。フローチャートの説明で、記号「S」はステップを意味する。
S01では、回転角センサ14から取得した電気角θeに基づき回転数Nを取得する。そして、取得した回転数N、或いは電気角速度ωがゼロであることを確認する。
S02では、ディスチャージ開始時の電気角θstを保持する。
S03では、3相電流指令演算部31にて、電気角θeに基づきdq軸電流指令id*、iq*を逆dq変換して、3相電流指令iu*、iv*、iw*を演算する。
S04では、デッドタイム補正値演算部32にて、d軸電圧指令についてのデッドタイム補正値vd_dtを演算する。
S05では、電流センサ13からセンサ相の電流検出値iw_snsを取得する。ここで、W相の電流指令iw*及び電流検出値iw_snsは、共に非ゼロであるとする。そして、W相の電流指令iw*を電流検出値iw_snsで除し、振幅補正係数Kaを算出する。
S06では、電圧指令演算部22にて、d軸電流指令id*に基づき、ω=0の場合の電圧方程式である式(4.3’)を用いてd軸電圧指令基準値vd_refを演算する。また、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロ値として演算する。
電圧指令補正部30は、S07にて、d軸電圧指令基準値vd_refにデッドタイム補正値vd_dtを加算する(デッドタイム補正)。さらにS08にて、デッドタイム補正後のd軸電圧指令に振幅補正係数Kaを乗算する(振幅補正)。
S09では、電圧低下レート監視部34にて、ディスチャージ中、インバータ入力電圧VHが所定範囲の低下レートで低下しているか否か判断する。
S09でYESの場合、電圧指令補正部30は、S10にて、d軸電圧指令を現在の値で維持して、d軸電圧指令vd*として確定する。
S10でNOの場合、電圧指令補正部30は、S11にて、インバータ入力電圧VHが所定範囲の低下レートで低下するように、現在のd軸電圧指令を補正し、d軸電圧指令vd*として確定する。
S12では、電気角移動量演算部35にて演算されたディスチャージ中の電気角移動量Δθeが非ゼロであるか、すなわち、トルクが発生したか否か判断する。
S12でNOの場合、電圧指令補正部30は、S13にて、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロで維持し、q軸電圧指令vq*として確定する。
S12でYESの場合、電圧指令補正部30は、S14にて、電気角移動量Δθeを打ち消す方向にq軸電圧指令基準値vq_refを補正し、q軸電圧指令vq*として確定する。
S15では、逆dq変換部24にて、dq軸電圧指令vd*、vq*を3相電圧指令vu*、vv*、vw*に変換する。S16では、3相電圧指令vu*、vv*、vw*をインバータ12に指令し、交流電動機2に3相交流電圧を印加する。
そして、最後のステップであるS17では、インバータ入力電圧VHがゼロとなる。言い換えれば、平滑コンデンサ11の残電荷がゼロとなる。
以上で、制御部15によるディスチャージ処理を終了する。
(センサ値ゼロ時)
次に、センサ値ゼロ時にディスチャージ処理を実行する制御部15の構成について、図12のブロック図、及び図13のフローチャートを参照し、センサ値非ゼロ時の場合の構成と異なる点のみを説明する。
センサ値iw_snsがゼロの場合、式(8)において「ゼロ割り」となるため振幅補正係数Kaを算出することができない。したがって、図12に示すように、センサ値ゼロ時にディスチャージ処理を実行する場合の制御部15は、振幅補正係数演算部33を有していない。また、図13に示すディスチャージ処理のフローチャートの前段においては、センサ値ゼロ時のフローチャートの前段(図10)に対し、振幅補正係数Kaを算出するS05、及び、振幅補正係数Kaを乗算するS08のステップが無い。
ディスチャージ処理は、巻線に電流を流し、平滑コンデンサ11の残電荷を所定期間内に熱として放電することができればよく、電流の精度がそれ程要求されるわけではない。したがって、振幅補正を行わなくても問題はない。
その他の構成やステップは、センサ値非ゼロ時と同様である。
(作用効果)
本実施形態の電動機制御装置の作用効果について説明する。
(1)ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両を停車させる場合、安全確保の為、直流電源8とインバータ12との接続を遮断した後、トルクを発生させることなく、平滑コンデンサ11の残電荷を放電させることが求められる。
しかし、フィードバック制御を基本とした従来の1相制御技術では、交流電動機の停止時に相電流の時間変化が無くなったとき、センサ相の電流検出値から実機情報を得ることができない。そのため、トルクを発生させないようにdq軸電流を制御しつつ、平滑コンデンサの残電荷を適切に放電させることが困難であるにも関わらず、この点に関して一切言及されていない。
それに対し本実施形態の制御部15は、電圧指令演算部22にて、電圧方程式に基づきd軸電圧指令基準値vd_refを非ゼロ値として演算し、且つ、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロ値として演算する。また、電圧指令補正部30は、各補正情報に基づき少なくともd軸電圧指令基準値vd_refを補正する。
q軸電圧指令をゼロとしq軸電流を流さないことでトルクの発生を回避しつつ、d軸電圧指令を非ゼロとしd軸電流を流すことで、平滑コンデンサ11の残電荷によるエネルギをジュール熱として消費させ、残電荷を放電させることができる。
(2)本実施形態のデッドタイム補正値演算部32は、d軸電圧指令について、デッドタイムに起因する電圧誤差に応じたデッドタイム補正値vd_dtを演算する。電圧指令補正部30は、デッドタイム補正値演算部32が演算したデッドタイム補正値vd_dtをd軸電圧指令基準値vd_refに加算する。
交流電動機2の停止時を含む低回転域、低トルク域では、デッドタイムによる電圧誤差の影響が特に大きい。そのため、デッドタイム補正をしない場合、d軸電圧指令に基づく電圧を印加しているにもかかわらず、交流電動機2にd軸電流が流れないような状況が起こり得る。そこで、電圧誤差に応じたデッドタイム補正値vd_dtを加算することで、インバータ12にd軸電流が流れるようにすることができる。よって、ディスチャージ処理を好適に行うことができる。
(3)本実施形態の振幅補正係数演算部33は、W相の電流指令iw*を電流検出値iw_snsで除し、振幅補正係数Kaを算出する。電圧指令補正部30は、デッドタイム補正後のd軸電圧指令に、さらに振幅補正係数Kaを乗算する。
式(4.3’)の演算における電機子抵抗Raの温度特性によるばらつきや、実際のデッドタイムのばらつきなど、交流電動機や交流電動機の制御装置等に関する物理的な要因等により、指令通りのトルクが得られる電圧指令が演算値と乖離する可能性がある。そこで、センサ値iw_snsに基づく振幅補正係数Kaを用いることで、実際の電圧値を反映した補正をすることができる。よって、d軸電圧指令vd*をより好ましい値に設定することができる。
(4)本実施形態の電圧低下レート監視部34は、ディスチャージ中のインバータ入力電圧VHが所定範囲の低下レートで低下しているか否か判断する。インバータ入力電圧VHの低下レートが所定範囲からはずれたと判断されたとき、電圧指令補正部30は、上記補正後のd軸電圧指令を調整する。これにより、d軸電圧指令vd*をさらに好ましい値に設定することができる。
(5)本実施形態の電気角移動量演算部35は、ディスチャージ開始時の電気角θeに対するディスチャージ中の電気角移動量Δθeを演算する。電圧指令補正部30は、この電気角移動量Δθeを打ち消す方向にq軸電圧指令基準値vq_refを補正する。これにより、q軸電圧指令vq*をより好ましい値に設定することができる。
(6)本実施形態の制御部15は、交流電動機2の停止位置におけるセンサ値iw_snsが非ゼロであるかゼロであるかによって、振幅補正係数Kaを用いた振幅補正を実行する構成と、振幅補正を実行しない構成とを適宜選択可能である。
これにより、センサ値iw_snsが非ゼロの場合は、振幅補正を実行することで、補正値の精度を向上させることができる。一方、センサ値iw_snsがゼロの場合、又は電流指令iw * がゼロの場合は、振幅補正係数Kaの演算時の「ゼロ割り」又は「ゼロ掛け」による演算エラーを回避ずることができる。なお、センサ値iw_snsが非ゼロの場合であっても、振幅補正を実行しない構成を適宜選択してもよい。
(その他の実施形態)
(ア)電流センサにより相電流を検出するセンサ相は、上記実施形態のW相に限らず、U相又はV相としてもよい。また、3相座標での電気角θeの基準をU相軸以外の相の軸としてもよい。
(イ)上記実施形態の電圧指令補正部30は、電圧指令演算部22が演算したdq軸電圧指令基準値vd_ref、vq_refに対し、センサ値非ゼロ時には4種類、センサ値ゼロ時には3種類の補正を行い、dq軸電圧指令vd*、vq*として確定している。センサ値ゼロ時の3種類とは、デッドタイム補正、電圧低下レート監視によるd軸補正、電気角移動量に応じたq軸補正をいい、センサ値非ゼロ時にはこれに振幅補正が加わる。
しかし、ディスチャージ処理は、平滑コンデンサ11の残電荷を所定期間内に放電することができればよく、電流の精度がそれ程要求されるわけではない。したがって、他の実施形態では、例えば、より簡易的にデッドタイム補正のみを実行することとしてもよい。また、各補正の順序は、適宜変更してもよい。さらに、本実施形態の補正に代えて、他の補正を実行してもよい。
上記実施形態では、電流指令と機器定数を用いてdq軸電圧指令基準値vd_ref、vq_refを計算していたが、電流指令やその他の情報を引数に、実測等に基づき予め記憶しておいたマップを参照することで演算してもよい。またマップに関しては、デッドタイム補正等を含めた値を格納しておいてもよい。
(ウ)センサ値iw_snsがゼロのとき、振幅補正係数Kaを例えば「1」に固定した上で、センサ値非ゼロの場合と同様に振幅補正を実行するようにしてもよいし、補間直前の値を引き継いでもよいし、フィルタ処理等で演算を継続することより補間してもよく、その補間方法は限定しない。また、振幅補正係数Kaに上下限値を設定してもよい。
(エ)回転角センサは、電気角θeを検出し制御部へ出力する形態に限らず、ロータ回転角(機械角)θmを検出して制御部へ出力し、制御部の内部にて電気角θeに換算してもよい。
(オ)上記実施形態では、制御に用いる電流を検出する「制御用電流センサ」を1相に設ける例について説明した。他の実施形態では、制御用電流センサの他に、制御用電流センサの異常を監視するための独立した「監視用電流センサ」をセンサ相、又はセンサ相以外の相に設けてもよい。例として、1相に制御用電流センサと監視用電流センサを設けた1相2チャンネルの構成や、1相に制御用電流センサを設け、それ以外の相のいずれか1相に監視用電流センサを設けた2相1チャンネルの構成等を採用してもよい。いずれの構成においても、どの相にいくつの電流センサを設けてもよい。
(カ)上記実施形態の交流電動機は、永久磁石式同期型の三相交流電動機であったが、他の実施形態では、誘導電動機やその他の同期電動機であってもよい。また、上記実施形態の交流電動機は、電動機としての機能及び発電機としての機能を併せ持つ所謂モータジェネレータであったが、他の実施形態では、発電機としての機能を持たなくてもよい。
交流電動機は、エンジンに対して電動機として動作し、エンジンの始動を行うように構成されていてもよい。また、エンジンを設けなくてもよい。さらに、交流電動機を複数設けてもよいし、複数の交流電動機における動力を分割する動力分割機構等をさらに設けてもよい。
(キ)本発明による交流電動機の制御装置は、上記実施形態のようにインバータと交流電動機を1組設けたシステムに限らず、インバータと交流電動機を2組以上設けたシステムに適用してもよい。また、1台のインバータに複数台の交流電動機を並列接続させた電車等のシステムに適用してもよい。
(ク)本発明による交流電動機の制御装置は、図1に示す構成のハイブリッド自動車の交流電動機に限定されず、どのような構成の電動車両の交流電動機に適用してもよい。また、電動車両以外の交流電動機に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
2・・・交流電動機、
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)、
11・・・平滑コンデンサ、
12・・・インバータ、
13・・・電流センサ、
15・・・制御部(制御手段)、
22・・・電圧指令演算部(電圧指令演算手段)、
30・・・電圧指令補正部(電圧指令補正手段)、
32・・・デッドタイム補正値演算部(デッドタイム補正値演算手段)、
33・・・振幅補正係数演算部(振幅補正係数演算手段)、
34・・・電圧低下レート監視部(電圧低下レート監視手段)、
35・・・電気角移動量演算部(電気角移動量演算手段)。

Claims (5)

  1. 直流電源(8)に接続されているとき、3相の交流電動機(2)を駆動するインバータ(12)と、
    前記インバータの入力部において前記直流電源に対して並列に接続される平滑コンデンサ(11)と、
    前記交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサ(13)と、
    前記インバータを構成するブリッジ接続された複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて前記交流電動機の通電を制御する制御手段(15)と、
    を備え、
    前記直流電源と前記平滑コンデンサとの接続が遮断され、前記交流電動機の回転数がゼロとなる停止時において、前記平滑コンデンサの残電荷を前記交流電動機の巻線にて熱として放電させるディスチャージ処理を実行する交流電動機の制御装置(10)であって、
    前記制御手段は、
    前記交流電動機を励磁するd軸電流を非ゼロとするように、dq軸電流指令に基づく演算によりd軸電圧指令基準値を演算し、前記交流電動機にトルクを付与するq軸電流をゼロとするように、q軸電圧指令基準値をゼロ値として演算する電圧指令演算手段(22)と、
    前記電圧指令演算手段が演算した前記d軸電圧指令基準値及び前記q軸電圧指令基準値のうち少なくとも前記d軸電圧指令基準値を補正し、前記インバータに出力する電圧指令補正手段(30)と、を有していることを特徴とする交流電動機の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記インバータを構成する高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子とのオン/オフを切り替える時、同一相の前記高電位側スイッチング素子及び前記低電位側スイッチング素子が共にオフする期間であるデッドタイムに起因する電圧誤差に応じたデッドタイム補正値を、d軸成分のみからなりq軸成分がゼロの電圧値として算出するデッドタイム補正値演算手段(32)を有し、
    前記電圧指令補正手段は、前記デッドタイム補正値を前記d軸電圧指令基準値に加算するデッドタイム補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記センサ相の電流検出値が非ゼロの場合、前記センサ相の電流指令と電流検出値との比率である振幅補正係数を算出する振幅補正係数演算手段(33)を有し、
    前記電圧指令補正手段は、前記デッドタイム補正後のd軸電圧指令に前記振幅補正係数を乗算する補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記平滑コンデンサの残電荷量に基づくインバータ入力電圧について、ディスチャージ中のインバータ入力電圧が所定範囲の低下レートで低下しているか否かを監視する電圧低下レート監視手段(34)を有し、
    当該電圧低下レート監視手段により、インバータ入力電圧の低下レートが所定範囲からはずれたと判断されたとき、前記電圧指令補正手段は、インバータ入力電圧が所定範囲の低下レートで低下するように、現在のd軸電圧指令をさらに補正することを特徴とする請求項2または3に記載の交流電動機の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記交流電動機の停止位置の電気角について、ディスチャージ開始時からの移動量を演算する電気角移動量演算手段(35)を有し、
    前記電圧指令補正手段は、前記電気角移動量演算手段によって演算された電気角移動量を打ち消す方向に前記q軸電圧指令基準値を補正することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
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