JP2014155335A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3相のうち1相のセンサ相(W相)に流れる電流を検出する電動機制御装置において、制御部15の電圧指令演算部22は、交流電動機2を励磁するd軸電流を非ゼロとするように、dq軸電流指令id*、iq*に基づく演算によりd軸電圧指令基準値vd_refを演算する。また、交流電動機2にトルクを付与するq軸電流をゼロとするように、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロ値として演算する。電圧指令補正部30は、デッドタイム補正値演算部32等から取得した情報に基づき、電圧指令演算部22が演算したdq軸電圧指令基準値のうち少なくともd軸電圧指令基準値vd_refを補正し、インバータ12に出力する。
【選択図】図5
Description
しかし、交流電動機の停止時には、相電流の時間変化が無くなるため、センサ相の電流検出値から実機情報を得ることができなくなり、交流電動機の駆動制御が不安定となるおそれがある。したがって、例えば特許文献2のようなディスチャージにおいて、トルクを発生させないようにdq軸電流を制御しつつ、平滑コンデンサの残電荷を適切に放電させることが困難であるにも関わらず、この点に関して一切言及されていない。
この交流電動機の制御装置は、直流電源と平滑コンデンサとの接続が遮断され、交流電動機の回転数がゼロとなる停止時において、平滑コンデンサの残電荷を交流電動機の巻線にて熱として放電させるディスチャージ処理を実行する。
ここで、直流電源とインバータの入力部に設けられた平滑コンデンサとの接続を遮断することは、すなわち直流電源とインバータとの接続を遮断することであり、さらに、直流電源と交流電動機の制御装置全体との接続を遮断することを意味する。
電圧指令演算手段は、交流電動機を励磁するd軸電流を非ゼロとするように、dq軸電流指令に基づく演算によりd軸電圧指令基準値を演算し、交流電動機にトルクを付与するq軸電流をゼロとするように、q軸電圧指令基準値をゼロ値として演算する。
電圧指令補正手段は、電圧指令演算手段が演算したd軸電圧指令基準値及びq軸電圧指令基準値のうち少なくともd軸電圧指令基準値を補正し、インバータに出力する。
デッドタイム補正値演算手段は、インバータを構成する高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子とのオン/オフを切り替える時、同一相の高電位側スイッチング素子及び低電位側スイッチング素子が共にオフする期間である「デッドタイム」に起因する電圧誤差に応じたデッドタイム補正値を、d軸成分のみからなりq軸成分がゼロの電圧値として算出する。
電圧指令補正手段は、デッドタイム補正値をd軸電圧指令基準値に加算する。
本発明では、インバータと交流電動機とは常に接続されていることを前提としており、インバータに電流が流れることと交流電動機の巻線に電流が流れることとは、ほぼ同義である。また、平滑コンデンサの残電荷によるエネルギを放出させる主体は交流電動機であることから、以下、電流が流れる対象については主に交流電動機に注目して説明する。
最初に、複数の実施形態に共通の構成について、図1、図2を参照して説明する。この実施形態による「交流電動機の制御装置」としての電動機制御装置10は、ハイブリッド自動車を駆動する電動機駆動システムに適用される。
図1に示すように、電動機駆動システム1は、交流電動機2、直流電源8、及び電動機制御装置10等を備える。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えたハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、及び、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている。インバータ12には、図示しない昇圧コンバータによる直流電源8の昇圧電圧が入力される。
平滑コンデンサ11は、インバータ12の入力部に直流電源8に対して並列に接続され、インバータ入力電圧VHの脈動を抑制し、平滑化する。
スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。制御部15のPWM信号生成部25から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてスイッチング素子のオン/オフが制御される。これにより、インバータ12は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ12により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。
直流電源8と平滑コンデンサ11との接続を遮断することは、すなわち直流電源8とインバータ12との接続を遮断することであり、さらに、直流電源8と電動機制御装置10全体との接続を遮断することを意味する。直流電源8と平滑コンデンサ11とが接続されているとき、昇圧コンバータによる昇圧電圧がインバータ入力電圧VHとなる。一方、電源リレー19により直流電源8と平滑コンデンサ11との接続を遮断したとき、平滑コンデンサ11に残った電荷による電極間電圧がインバータ入力電圧VHとなる。この場合、インバータ入力電圧VHは、インバータ12及び交流電動機2の巻線に電流が流れることにより低下し、平滑コンデンサ11の電荷が全て放電されると、インバータ入力電圧VHはゼロとなる。
本実施形態では、電流センサ13がW相に設けられている構成を前提として説明する。すなわち、「W相」は「センサ相」と同義である。なお、他の実施形態では、U相又はV相をセンサ相としてもよい。
本実施形態の回転角センサ14は、レゾルバであるが、その他の実施形態では、ロータリエンコーダ等、他種のセンサを用いてもよい。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
一方、回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*<0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*>0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電動機2が発電した交流電力を直流電力に変換し、直流電源8側へ供給することにより、回生動作する。
その反面、交流電動機2の通電を制御するにあたり、1相のセンサ値に基づく「1相制御」を行う必要がある。1相制御にはいくつかの方法があるが、いずれの制御方法でも、2相のセンサ値に基づく2相制御に比べて実機情報が乏しくなる傾向がある。
図3は、W相電流波形について、回転数Nの違いによる、電流センサ13のサンプリング間隔Tsと、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwとの関係を模式的に示した図である。(a)は高回転時、(b)は中回転時、(c)は低回転時の相電流波形を示す。ここでの「高回転、中回転、低回転」は、相対的な意味でのみ用い、具体的な回転数を意味しない。また、サンプリング間隔Tsは、回転数Nによらず一定とする。
中回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが高回転時よりも減少するため、実機情報がやや不足し、1相制御での精度が低下する。
低回転時は、サンプリング間隔Tsにおける電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwがさらに減少し、電流変化量Δiwがゼロに近くなる。そのため、実機情報が乏しくなり、1相制御では、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
この技術においても、電気角移動量Δθe及び電流変化量Δiwが小さくなると、実機情報が電流振幅(Ia)に反映されにくくなり、他の2相の電流推定値の推定精度が更に低下する。よって、交流電動機2の駆動制御が不安定になる。
ここで、一般に電流とジュール熱との関係は、式(1)により表される。Pはジュール熱、Rは負荷抵抗、Iは電流を示す。
P=R×I2 ・・・(1)
平滑コンデンサ11の残電荷により交流電動機2に電流を流すと、d軸成分の電流は交流電動機2の巻線にてジュール熱として消費される。一方、q軸成分の電流は、交流電動機2を回転させるトルクを発生させる。
しかし、上述のように、フィードバック制御を基本とした従来の1相制御技術では、交流電動機の停止時に相電流の時間変化が無くなったとき、センサ相の電流検出値から得られる実機情報が乏しくなる。そのため、トルクを発生させないようにd軸及びq軸電流を制御しつつ、平滑コンデンサの残電荷を適切に放電させることが困難であるにも関わらず、この点に関して一切言及されていない。
そこで、本発明の一実施形態による電動機制御装置10は、直流電源8とインバータ12との接続を遮断した後、トルクを発生させることなく平滑コンデンサ11の残電荷を放電する「ディスチャージ処理」を実行可能な制御部15の構成を特徴としている。
ディスチャージ処理は、通常に交流電動機2を駆動するとき(以下、「通常駆動時」という。)とは異なり、平滑コンデンサ11の残電荷による電極間電圧をインバータ入力電圧VHとして、この残電荷を放電し、インバータ入力電圧VHがゼロとなるまで交流電動機2の巻線に電流を流す処理である。
図4(a)、(b)において、U相電流iu、V相電流ivは実電流を示し、実際には検出されない。W相については電流センサ13が検出したセンサ値iw_snsを示す。
なお、3相の相電流にはキルヒホッフの法則により、式(2)が成立している。
iu+iv+iw=0 ・・・(2)
ここで、センサ値iw_snsについて「ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみでなく、検出誤差や機器の分解能を考慮し、実質的に0[A]と同等の範囲の値を含む。また、「非ゼロ」というとき、厳密な0[A]のみを除くのではなく、実質的に0[A]と同等の範囲以外の値を意味する。
まず、センサ値非ゼロ時にディスチャージ処理を実行する制御部15の構成及び作用効果について、図5〜図12を参照して説明する。
図5に示すように、制御部15は、dq軸電流指令演算部21、電圧指令演算部22、電圧指令補正部30、逆dq変換部24、PWM信号生成部25、3相電流指令演算部31、デッドタイム補正値演算部32、振幅補正係数演算部33、電圧低下レート監視部34、及び電気角移動量演算部35を有する。
一方、ディスチャージ時には、トルクを発生させないためにトルク指令値trq*はゼロであり、dq軸電流指令id*、iq*は発生しない。そこで、ディスチャージ処理では、トルク指令に拠らず、ディスチャージ要求に応じて、予め記憶しておいた一意のdq軸電流指令を生成する。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(3.1)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(3.2)
Ra:電機子抵抗
Ld、Lq:d軸自己インダクタンス、q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
vd*=Ra×id*−ω×Lq×iq* ・・・(4.1)
vq*=Ra×iq*+ω×Ld×id*+ω×ψ・・・(4.2)
vd*=Ra×id*・・・(4.3)
vq*=Ra×iq*・・・(4.4)
vd_ref=Ra×id*・・・(4.3’)
次に、電圧指令補正部30は、電圧指令演算部22が演算したフィードフォワード項であるd軸電圧指令基準値vd_ref及びq軸電圧指令基準値vq_refのうち、少なくともd軸電圧指令基準値vd_refを補正し、d軸電圧指令vd*及びq軸電圧指令vq*を生成する。この補正は、デッドタイム補正値演算部32、振幅補正係数演算部33、電圧低下レート監視部34、及び電気角移動量演算部35から取得する情報に基づいて段階的に行われる。詳しくは後述する。
そして、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ12のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加される。
これにより、通常駆動時には、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。一方、ディスチャージ処理では、原則としてトルクを出力せず、交流電動機2の巻線にジュール熱を発生させる。
本実施形態では、電圧指令補正部30による補正のうち最も重要な補正が「デッドタイム補正」である。この後、ディスチャージ処理におけるデッドタイム補正について説明する前に、まず、通常制御時にデッドタイム補正をしない場合の問題点について、図6、図7を参照して説明する。
図6(a)、(b)からわかるように、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*は、いずれも非ゼロであるにもかかわらず、交流電動機2には、d軸実電流id及びq軸実電流iqが流れていない。
図7(a)、(b)からわかるように、交流電動機2には、d軸電流指令id*及びq軸電流指令iq*に追従したd軸実電流id及びq軸実電流iqが流れており、精度良く制御が実行されていることがわかる。
vd_ref_comp1=vd_ref+vd_dt・・・(5)
U相に対応する上SW及び下SWのオン/オフの切り替えを図8(a)に示す。上SWがオンであり下SWがオフである状態から、上SWがオフであり下SWがオンである状態への切り替えに際し、上SW及び下SWが共にオンすることによる上下短絡を防ぐため、上SW及び下SWが共にオフするデッドタイムTdtが設けられている。デッドタイムTdtは、スイッチング素子設計により、予め所定の値に設定されている。スイッチング素子のオン期間に対するデッドタイムTdtの占める割合により電圧誤差量が決まる。
なお、下SWがオンであり上SWがオフである状態から、下SWがオフであり上SWがオンである状態への切り替え、及び、U相以外のV相、W相についても同様である。
|vu_dt|=|vv_dt|=|vw_dt|=Tdt×fc×VH
・・・(6)
また、3相のデッドタイム補正値vu_dt、vv_dt、vw_dtの正負は、3相電流指令演算部31にて、電気角θeに基づくdq軸電流指令id*、iq*の逆dq変換により演算された3相電流指令iu*、iv*、iw*の正負と一致するように決定される。なお、W相については、電流指令iw*に代えて、電流検出値iw_snsを参照して正負を決定してもよい。
vd_dt=V_dt×(id*/Ia)=V_dt ・・・(7.1)
vq_dt=V_dt×(iq*/Ia)=0 ・・・(7.2)
なお、合成デッドタイム補正値V_dtは式(6)の3相のデッドタイム補正値に基づく値であることから、変換係数Kを用いて、式(7.3)として直接表すこともできる。
V_dt = K×Tdt×fc×VH ・・・(7.3)
電圧指令補正部30は、上述の式(5)により、d軸デッドタイム補正値vd_dtをd軸電圧指令基準値vd_refに加算する。これにより、交流電動機2への電流供給を可能とするために必要な電圧指令を確保することができる。また、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロのまま維持することで、トルクの発生を回避することができる。
その後、インバータ入力電圧VHの低下に伴い、FB値及びFF−DT値は漸減する。時刻t2では、FB値が発散する電圧にまで低下する。時刻t3でインバータ入力電圧VHがゼロとなるとともに、FF−DT値は、FF値に一致する。
Ka=iw*/iw_sns ・・・(8)
ここでは、「センサ値非ゼロ時」であることを前提として説明しているので、式(8)の分母である電流検出値iw_snsがゼロとなる「ゼロ割り」を考慮する必要はない。また、理想的には、交流電動機2の停止時には電圧位相と電流位相とは等しくなるため、センサ値非ゼロ時には電流指令iw*も非ゼロとなる。したがって、式(8)の分子である電流指令iw*がゼロとなる「ゼロ掛け」を考慮する必要もない。
vd_ref_comp2=Ka×vd_ref_comp1
=Ka×(vd_ref+vd_dt)・・・(9)
本来、ディスチャージにより、インバータ入力電圧VHは、図9(a)のように時間とともに低下するはずである。しかし、実際の低下レートが狙いからはずれた場合、電圧指令補正部30は、現在のd軸電圧指令をさらに補正することで、インバータ入力電圧VHの低下レートが所定範囲内になるように調整する。
本来、ディスチャージ処理では、トルクを発生させないことを狙いとしているが、例えば回転角センサ14の検出誤差等の要因により、ディスチャージ中にトルクが発生し、電気角θeが移動する可能性が想定される。
このq軸電圧の調整は、「電気角θeの移動はトルクの発生による回転である」との考察に基づく。すなわち、電気角移動量Δθeの正負により発生トルクの方向を推定し、電気角移動量Δθeの大きさにより発生トルクの大きさを推定する。
S01では、回転角センサ14から取得した電気角θeに基づき回転数Nを取得する。そして、取得した回転数N、或いは電気角速度ωがゼロであることを確認する。
S02では、ディスチャージ開始時の電気角θstを保持する。
S03では、3相電流指令演算部31にて、電気角θeに基づきdq軸電流指令id*、iq*を逆dq変換して、3相電流指令iu*、iv*、iw*を演算する。
S05では、電流センサ13からセンサ相の電流検出値iw_snsを取得する。ここで、W相の電流指令iw*及び電流検出値iw_snsは、共に非ゼロであるとする。そして、W相の電流指令iw*を電流検出値iw_snsで除し、振幅補正係数Kaを算出する。
電圧指令補正部30は、S07にて、d軸電圧指令基準値vd_refにデッドタイム補正値vd_dtを加算する(デッドタイム補正)。さらにS08にて、デッドタイム補正後のd軸電圧指令に振幅補正係数Kaを乗算する(振幅補正)。
S09でYESの場合、電圧指令補正部30は、S10にて、d軸電圧指令を現在の値で維持して、d軸電圧指令vd*として確定する。
S10でNOの場合、電圧指令補正部30は、S11にて、インバータ入力電圧VHが所定範囲の低下レートで低下するように、現在のd軸電圧指令を補正し、d軸電圧指令vd*として確定する。
S12でNOの場合、電圧指令補正部30は、S13にて、q軸電圧指令基準値vq_refをゼロで維持し、q軸電圧指令vq*として確定する。
S12でYESの場合、電圧指令補正部30は、S14にて、電気角移動量Δθeを打ち消す方向にq軸電圧指令基準値vq_refを補正し、q軸電圧指令vq*として確定する。
そして、最後のステップであるS17では、インバータ入力電圧VHがゼロとなる。言い換えれば、平滑コンデンサ11の残電荷がゼロとなる。
以上で、制御部15によるディスチャージ処理を終了する。
次に、センサ値ゼロ時にディスチャージ処理を実行する制御部15の構成について、図12のブロック図、及び図13のフローチャートを参照し、センサ値非ゼロ時の場合の構成と異なる点のみを説明する。
センサ値iw_snsがゼロの場合、式(8)において「ゼロ割り」となるため振幅補正係数Kaを算出することができない。したがって、図12に示すように、センサ値ゼロ時にディスチャージ処理を実行する場合の制御部15は、振幅補正係数演算部33を有していない。また、図13に示すディスチャージ処理のフローチャートの前段においては、センサ値ゼロ時のフローチャートの前段(図10)に対し、振幅補正係数Kaを算出するS05、及び、振幅補正係数Kaを乗算するS08のステップが無い。
ディスチャージ処理は、巻線に電流を流し、平滑コンデンサ11の残電荷を所定期間内に熱として放電することができればよく、電流の精度がそれ程要求されるわけではない。したがって、振幅補正を行わなくても問題はない。
その他の構成やステップは、センサ値非ゼロ時と同様である。
本実施形態の電動機制御装置の作用効果について説明する。
(1)ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両を停車させる場合、安全確保の為、直流電源8とインバータ12との接続を遮断した後、トルクを発生させることなく、平滑コンデンサ11の残電荷を放電させることが求められる。
しかし、フィードバック制御を基本とした従来の1相制御技術では、交流電動機の停止時に相電流の時間変化が無くなったとき、センサ相の電流検出値から実機情報を得ることができない。そのため、トルクを発生させないようにdq軸電流を制御しつつ、平滑コンデンサの残電荷を適切に放電させることが困難であるにも関わらず、この点に関して一切言及されていない。
q軸電圧指令をゼロとしq軸電流を流さないことでトルクの発生を回避しつつ、d軸電圧指令を非ゼロとしd軸電流を流すことで、平滑コンデンサ11の残電荷によるエネルギをジュール熱として消費させ、残電荷を放電させることができる。
交流電動機2の停止時を含む低回転域、低トルク域では、デッドタイムによる電圧誤差の影響が特に大きい。そのため、デッドタイム補正をしない場合、d軸電圧指令に基づく電圧を印加しているにもかかわらず、交流電動機2にd軸電流が流れないような状況が起こり得る。そこで、電圧誤差に応じたデッドタイム補正値vd_dtを加算することで、インバータ12にd軸電流が流れるようにすることができる。よって、ディスチャージ処理を好適に行うことができる。
式(4.3’)の演算における電機子抵抗Raの温度特性によるばらつきや、実際のデッドタイムのばらつきなど、交流電動機や交流電動機の制御装置等に関する物理的な要因等により、指令通りのトルクが得られる電圧指令が演算値と乖離する可能性がある。そこで、センサ値iw_snsに基づく振幅補正係数Kaを用いることで、実際の電圧値を反映した補正をすることができる。よって、d軸電圧指令vd*をより好ましい値に設定することができる。
これにより、センサ値iw_snsが非ゼロの場合は、振幅補正を実行することで、補正値の精度を向上させることができる。一方、センサ値iw_snsがゼロの場合、又は電流指令iw * がゼロの場合は、振幅補正係数Kaの演算時の「ゼロ割り」又は「ゼロ掛け」による演算エラーを回避ずることができる。なお、センサ値iw_snsが非ゼロの場合であっても、振幅補正を実行しない構成を適宜選択してもよい。
(ア)電流センサにより相電流を検出するセンサ相は、上記実施形態のW相に限らず、U相又はV相としてもよい。また、3相座標での電気角θeの基準をU相軸以外の相の軸としてもよい。
(イ)上記実施形態の電圧指令補正部30は、電圧指令演算部22が演算したdq軸電圧指令基準値vd_ref、vq_refに対し、センサ値非ゼロ時には4種類、センサ値ゼロ時には3種類の補正を行い、dq軸電圧指令vd*、vq*として確定している。センサ値ゼロ時の3種類とは、デッドタイム補正、電圧低下レート監視によるd軸補正、電気角移動量に応じたq軸補正をいい、センサ値非ゼロ時にはこれに振幅補正が加わる。
上記実施形態では、電流指令と機器定数を用いてdq軸電圧指令基準値vd_ref、vq_refを計算していたが、電流指令やその他の情報を引数に、実測等に基づき予め記憶しておいたマップを参照することで演算してもよい。またマップに関しては、デッドタイム補正等を含めた値を格納しておいてもよい。
(エ)回転角センサは、電気角θeを検出し制御部へ出力する形態に限らず、ロータ回転角(機械角)θmを検出して制御部へ出力し、制御部の内部にて電気角θeに換算してもよい。
交流電動機は、エンジンに対して電動機として動作し、エンジンの始動を行うように構成されていてもよい。また、エンジンを設けなくてもよい。さらに、交流電動機を複数設けてもよいし、複数の交流電動機における動力を分割する動力分割機構等をさらに設けてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)、
11・・・平滑コンデンサ、
12・・・インバータ、
13・・・電流センサ、
15・・・制御部(制御手段)、
22・・・電圧指令演算部(電圧指令演算手段)、
30・・・電圧指令補正部(電圧指令補正手段)、
32・・・デッドタイム補正値演算部(デッドタイム補正値演算手段)、
33・・・振幅補正係数演算部(振幅補正係数演算手段)、
34・・・電圧低下レート監視部(電圧低下レート監視手段)、
35・・・電気角移動量演算部(電気角移動量演算手段)。
Claims (5)
- 直流電源(8)に接続されているとき、3相の交流電動機(2)を駆動するインバータ(12)と、
前記インバータの入力部において前記直流電源に対して並列に接続される平滑コンデンサ(11)と、
前記交流電動機の3相のうち1相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサ(13)と、
前記インバータを構成するブリッジ接続された複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて前記交流電動機の通電を制御する制御手段(15)と、
を備え、
前記直流電源と前記平滑コンデンサとの接続が遮断され、前記交流電動機の回転数がゼロとなる停止時において、前記平滑コンデンサの残電荷を前記交流電動機の巻線にて熱として放電させるディスチャージ処理を実行する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記制御手段は、
前記交流電動機を励磁するd軸電流を非ゼロとするように、dq軸電流指令に基づく演算によりd軸電圧指令基準値を演算し、前記交流電動機にトルクを付与するq軸電流をゼロとするように、q軸電圧指令基準値をゼロ値として演算する電圧指令演算手段(22)と、
前記電圧指令演算手段が演算した前記d軸電圧指令基準値及び前記q軸電圧指令基準値のうち少なくとも前記d軸電圧指令基準値を補正し、前記インバータに出力する電圧指令補正手段(30)と、を有していることを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 前記制御手段は、前記インバータを構成する高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子とのオン/オフを切り替える時、同一相の前記高電位側スイッチング素子及び前記低電位側スイッチング素子が共にオフする期間であるデッドタイムに起因する電圧誤差に応じたデッドタイム補正値を、d軸成分のみからなりq軸成分がゼロの電圧値として算出するデッドタイム補正値演算手段(32)を有し、
前記電圧指令補正手段は、前記デッドタイム補正値を前記d軸電圧指令基準値に加算するデッドタイム補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記制御手段は、前記センサ相の電流検出値が非ゼロの場合、前記センサ相の電流指令と電流検出値との比率である振幅補正係数を算出する振幅補正係数演算手段(33)を有し、
前記電圧指令補正手段は、前記デッドタイム補正後のd軸電圧指令に前記振幅補正係数を乗算する補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記制御手段は、前記平滑コンデンサの残電荷量に基づくインバータ入力電圧について、ディスチャージ中のインバータ入力電圧が所定範囲の低下レートで低下しているか否かを監視する電圧低下レート監視手段(34)を有し、
当該電圧低下レート監視手段により、インバータ入力電圧の低下レートが所定範囲からはずれたと判断されたとき、前記電圧指令補正手段は、インバータ入力電圧が所定範囲の低下レートで低下するように、現在のd軸電圧指令をさらに補正することを特徴とする請求項2または3に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記制御手段は、前記交流電動機の停止位置の電気角について、ディスチャージ開始時からの移動量を演算する電気角移動量演算手段(35)を有し、
前記電圧指令補正手段は、前記電気角移動量演算手段によって演算された電気角移動量を打ち消す方向に前記q軸電圧指令基準値を補正することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
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