JP2014157662A - 電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 二次電池の劣化を抑制しつつ、二次電池の出力が過度に制限されることを抑制する。
【解決手段】 電池システムは、二次電池(1)の充放電時における電流値を検出する電流センサ(202)と、二次電池の放電電力が上限値を超えないように二次電池の放電を制御するコントローラ(300)と、を有する。コントローラは、電流センサを用いて検出された充放電状態から評価値を算出する。評価値は、二次電池の放電による塩濃度の偏りに伴って二次電池の内部抵抗を上昇させる劣化成分を評価するための値である。コントローラは、評価値に関する値が第1閾値に到達することに応じて、上限値を低下させる。また、コントローラは、二次電池の内部抵抗に関する値が第2閾値よりも小さいとき、第1閾値を上昇させる。
【選択図】 図8
【解決手段】 電池システムは、二次電池(1)の充放電時における電流値を検出する電流センサ(202)と、二次電池の放電電力が上限値を超えないように二次電池の放電を制御するコントローラ(300)と、を有する。コントローラは、電流センサを用いて検出された充放電状態から評価値を算出する。評価値は、二次電池の放電による塩濃度の偏りに伴って二次電池の内部抵抗を上昇させる劣化成分を評価するための値である。コントローラは、評価値に関する値が第1閾値に到達することに応じて、上限値を低下させる。また、コントローラは、二次電池の内部抵抗に関する値が第2閾値よりも小さいとき、第1閾値を上昇させる。
【選択図】 図8
Description
本発明は、二次電池に応じて、二次電池の出力性能を向上させることができる電池システムに関する。
特許文献1に記載の技術では、ハイレート放電による二次電池の劣化を抑制するために、二次電池の劣化を評価する評価値を規定し、評価値が目標値を超えているときに、二次電池の放電(出力)を制限するようにしている。
特許文献1に記載の技術において、目標値を固定してしまうと、二次電池の放電が過度に制限されてしまうことがある。二次電池には、製造バラツキが発生することがあり、製造バラツキに伴って、二次電池の出力性能にもバラツキが発生することがある。
ここで、すべての二次電池において、ハイレート放電による劣化を抑制する観点に基づいて、目標値を固定してしまうと、二次電池によっては、評価値が目標値に到達しているにもかかわらず、ハイレート放電による劣化を許容できることがある。この場合には、評価値が目標値を超えていることにより、二次電池の放電が制限されてしまう。すなわち、二次電池の出力性能を十分に発揮できなくなる。
本発明である電池システムは、二次電池の充放電時における電流値を検出する電流センサと、二次電池の放電電力が上限値を超えないように二次電池の放電を制御するコントローラと、を有する。コントローラは、電流センサを用いて検出された充放電状態から評価値を算出する。評価値は、二次電池の放電による塩濃度の偏りに伴って二次電池の内部抵抗を上昇させる劣化成分を評価するための値である。
ここで、コントローラは、評価値に関する値が第1閾値に到達することに応じて、上限値を低下させる。また、コントローラは、二次電池の内部抵抗に関する値が第2閾値よりも小さいとき、第1閾値を上昇させる。
本発明では、評価値に関する値が第1閾値に到達することに応じて、上限値を低下させており、言い換えれば、評価値に関する値が第1閾値に到達しなければ、上限値を低下させないことになる。ここで、上限値を低下させることにより、二次電池の放電(出力)が制限される。
二次電池の内部抵抗に関する値が第2閾値よりも小さいときには、内部抵抗の上昇を許容することができる。言い換えれば、二次電池の放電(出力)を制限せずに、上述した劣化成分に起因する内部抵抗の上昇を許容することができる。そこで、本発明では、第1閾値を上昇させることにより、評価値に関する値を第1閾値に到達しにくくして、二次電池の放電(出力)が制限されにくくしている。これにより、二次電池の出力性能を向上させることができる。
また、第1閾値を上昇させるときには、内部抵抗に関する値が第2閾値に到達していない。すなわち、内部抵抗に関する値が第2閾値に到達していないことを確認しながら、第1閾値を上昇させている。これにより、二次電池の内部抵抗が増加しすぎていないことを確認でき、二次電池を保護しながら、二次電池の出力性能を向上させることができる。
上述したように、本発明では、二次電池の実際の内部抵抗を把握しながら、第1閾値を変更しているため、二次電池の出力性能にバラツキが発生しているときであっても、このバラツキに応じた出力性能を確保することができる。すなわち、二次電池毎に、出力性能を十分に発揮させることができる。
内部抵抗に関する値が第2閾値に到達するときには、第1閾値を低下させることができる。第1閾値を低下させれば、評価値に関する値が第1閾値に到達しやすくなり、上限値の低下によって、二次電池の放電(出力)を制限することができる。二次電池の放電を制限すれば、塩濃度の偏りを抑制でき、塩濃度の偏りに伴う内部抵抗の上昇を抑制することができる。
評価値に関する値としては、評価値自体を用いることができる。また、評価値が目標値を超えるときにおいて、目標値を超える評価値を積算した値(積算値)を、評価値に関する値として用いることもできる。積算値としては、目標値および評価値の差分を積算した値であってもよいし、目標値を超えたときの評価値自体を積算した値であってもよい。ここで、評価値に関する値に応じて、第1閾値を設定すればよい。
内部抵抗に関する値としては、上述した劣化成分に起因する値を用いることができる。また、内部抵抗に関する値としては、上述した劣化成分(第1劣化成分という)と、二次電池を構成する材料の摩耗によって二次電池の内部抵抗を上昇させる劣化成分(第2劣化成分という)とに起因する値を用いることもできる。
二次電池の内部抵抗には、第1劣化成分に起因する内部抵抗と、第2劣化成分に起因する内部抵抗とが含まれることがある。上述したように、本発明では、塩濃度の偏りに伴う内部抵抗の上昇を許容するようにしているため、内部抵抗に関する値としては、少なくとも、第1劣化成分に起因する内部抵抗が含まれていればよい。
ここで、内部抵抗に関する値として、第1劣化成分だけに起因する値を用いるときには、二次電池の内部抵抗から、第2劣化成分に起因する内部抵抗を減算すればよい。第2劣化成分は、二次電池を使用している期間から推定することができる。
また、第1劣化成分は、塩濃度の偏りによって発生するため、塩濃度の偏りが解消されれば、第1劣化成分が発生しなくなる。したがって、第1劣化成分が発生していない状態において、二次電池の内部抵抗を算出すれば、この内部抵抗は、第2劣化成分に起因する内部抵抗となる。このように、第2劣化成分に起因する内部抵抗を学習することもできる。
内部抵抗に関する値としては、内部抵抗の値自体を用いることもできるし、抵抗変化率を用いることもできる。抵抗変化率は、劣化前における二次電池の内部抵抗(Rini)と、劣化後における二次電池の内部抵抗(Rc)との比(Rc/Rini)で表すことができる。ここで、二次電池の劣化が進行するほど、抵抗変化率は、1よりも上昇する。
二次電池は、車両に搭載することができる。二次電池を放電したときの電気エネルギを運動エネルギに変換すれば、この運動エネルギを用いて車両を走行させることができる。また、二次電池としては、リチウムイオン二次電池を用いることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本実施例である電池システムの構成を示す図である。図1に示す電池システムは、車両に搭載することができる。車両としては、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)およびEV(Electric Vehicle)がある。なお、二次電池を充放電するシステムであれば、本発明を適用することができる。
HVは、車両を走行させるための動力源として、後述する組電池に加えて、内燃機関又は燃料電池といった他の動力源を備えている。PHVでは、HVにおいて、外部電源からの電力を用いて組電池を充電できる。EVは、車両の動力源として、組電池だけを備えており、外部電源からの電力供給を受けて、組電池を充電することができる。外部電源とは、車両の外部において、車両とは別に設けられた電源(例えば、商用電源)である。
組電池100は、電気的に直列に接続された複数の二次電池1を有する。単電池としての二次電池1には、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などがある。二次電池1の数は、組電池100の要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。
二次電池1の正極は、イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵および放出できる材料で形成される。正極の材料としては、例えば、コバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムを用いることができる。二次電池1の負極は、イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵および放出できる材料で形成される。負極の材料としては、例えば、カーボンを用いることができる。二次電池1を充電するとき、正極は、イオンを電解液中に放出し、負極は、電解液中のイオンを吸蔵する。また、二次電池1を放電するとき、正極は、電解液中のイオンを吸蔵し、負極は、イオンを電解液中に放出する。
本実施例の組電池100では、すべての二次電池1が電気的に直列に接続されているが、これに限るものではない。すなわち、組電池100には、電気的に並列に接続された複数の二次電池1を含めることもできる。監視ユニット201は、組電池100の電圧値Vbを検出したり、各二次電池1の電圧値Vbを検出したりし、検出結果をコントローラ300に出力する。
組電池100を構成する複数の二次電池1が、複数の電池ブロックに分けられているとき、監視ユニット201は、各電池ブロックの電圧値Vbを検出することもできる。各電池ブロックは、電気的に直列に接続された複数の二次電池1によって構成されており、複数の電池ブロックが電気的に直列に接続されることにより、組電池100が構成される。
電流センサ202は、組電池100に流れる電流値Ibを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。本実施例では、放電時の電流値Ibを正の値(Ib>0)とし、充電時の電流値Ibを負の値(Ib<0)としている。本実施例では、組電池100の正極端子と接続された正極ラインPLに、電流センサ202を設けているが、これに限るものではない。すなわち、電流センサ202は、電流値Ibを検出することができればよい。例えば、組電池100の負極端子と接続された負極ラインNLに、電流センサ202を設けることができる。また、複数の電流センサ202を設けることもできる。
温度センサ203は、組電池100(二次電池1)の温度Tbを検出し、検出結果をコントローラ300に出力する。温度センサ203の数は、適宜設定することができる。ここで、複数の温度センサ203を用いれば、互いに異なる位置に配置された複数の二次電池1の温度Tbを検出することができる。
コントローラ300は、メモリ300aを有しており、メモリ300aは、コントローラ300が所定処理(例えば、本実施例で説明する処理)を行うための各種の情報を記憶している。本実施例では、メモリ300aが、コントローラ300に内蔵されているが、コントローラ300の外部にメモリ300aを設けることもできる。
正極ラインPLには、システムメインリレーSMR−Bが設けられている。システムメインリレーSMR−Bは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。負極ラインNLには、システムメインリレーSMR−Gが設けられている。システムメインリレーSMR−Gは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。
システムメインリレーSMR−Gには、システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204が電気的に並列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pおよび電流制限抵抗204は、電気的に直列に接続されている。システムメインリレーSMR−Pは、コントローラ300からの制御信号を受けることにより、オンおよびオフの間で切り替わる。電流制限抵抗204は、組電池100を負荷(具体的には、インバータ205)と接続するときに、突入電流が流れることを抑制するために用いられる。
組電池100をインバータ205と接続するとき、コントローラ300は、まず、システムメインリレーSMR−Bをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗204に電流が流れることになる。
次に、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替えるとともに、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が完了し、図1に示す電池システムは、起動状態(Ready-On)となる。コントローラ300には、車両のイグニッションスイッチに関する情報が入力され、コントローラ300は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わることに応じて、図1に示す電池システムを起動する。
一方、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったとき、コントローラ300は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。これにより、組電池100およびインバータ205の接続が遮断され、図1に示す電池システムは、停止状態(Ready-Off)となる。
インバータ205は、組電池100からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ206に出力する。モータ・ジェネレータ206としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータ206は、インバータ205からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ206によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達され、車両を走行させることができる。
車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ206は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。インバータ205は、モータ・ジェネレータ206が生成した交流電力を直流電力に変換し、直流電力を組電池100に出力する。これにより、組電池100は、回生電力を蓄えることができる。
本実施例では、組電池100をインバータ205に接続しているが、これに限るものではない。具体的には、組電池100およびインバータ205を接続する電流経路において、昇圧回路を設けることができる。昇圧回路は、組電池100の出力電圧を昇圧し、昇圧後の電力をインバータ205に出力することができる。また、昇圧回路は、インバータ205の出力電圧を降圧し、降圧後の電力を組電池100に出力することができる。
二次電池1の充電又は放電が継続的に行われると、充放電時の電流レート(特に、ハイレート)によっては、二次電池1の内部抵抗が増加し、二次電池1の入出力性能が急激に低下し始める現象が発生することがある。この現象が継続して発生すると、二次電池1が劣化してしまうことがあり、このような劣化をハイレート劣化とよぶ。ハイレート劣化の要因の1つとしては、ハイレートでの充電又は放電が継続的に行われることにより、二次電池1の電解液中の塩濃度が偏ってしまうことが考えられる。ハイレート充電およびハイレート放電では、塩濃度の偏り状態が相反する状態となる。
本実施例では、ハイレート劣化を抑制できるように、二次電池1(組電池100)の充放電を制御している。特に、本実施例では、ハイレート放電による劣化を抑制するために、二次電池1の放電を制御している。
ここで、本実施例では、ハイレート劣化を評価するための値として、評価値D(N)を規定している。そして、評価値D(N)に基づいて、ハイレート劣化を抑制するための充放電制御を行っている。
評価値D(N)に基づく充放電制御について、図2および図3に示すフローチャートを用いて説明する。図2および図3に示す処理は、予め設定された時間間隔(サイクルタイム)で繰り返して行われる。図2および図3に示す処理は、コントローラ300によって実行される。
ステップS101において、コントローラ300は、電流センサ202の出力信号に基づいて、電流値Ibを検出する。組電池100を放電しているときには、電流値Ibが正の値になり、組電池100を充電しているときには、電流値Ibが負の値になる。
ステップS102において、コントローラ300は、ステップS101の処理で検出された電流値Ibに基づいて、組電池100のSOC(State Of Charge)を算出(推定)する。SOCは、満充電容量に対する、現在の充電容量の割合である。コントローラ300は、組電池100を充放電したときの電流値Ibを積算することにより、組電池100のSOCを算出することができる。
一方、監視ユニット201によって検出された組電池100の電圧値Vbに基づいて、組電池100のSOCを推定することもできる。組電池100のSOCは、組電池100のOCV(Open Circuit Voltage)と対応関係があるため、SOCおよびOCVの対応関係を予め求めておけば、OCVからSOCを特定することができる。OCVは、組電池100の電圧値Vb(CCV:Closed Circuit Voltage)と、組電池100の内部抵抗による電圧変化量とから求めることができる。
ここで、組電池100を充放電していないときであれば、監視ユニット201を用いて、組電池100のOCVを検出することができる。なお、組電池100のSOCを推定する方法は、上述した方法に限るものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。
ステップS103において、コントローラ300は、温度センサ203の出力信号に基づいて、組電池100の温度Tbを検出する。ステップS104において、コントローラ300は、ステップS102の処理で算出したSOCと、ステップS103の処理で検出した電池温度Tbとに基づいて、忘却係数を算出する。忘却係数は、二次電池1の電解液中のイオンの拡散速度に対応する係数である。忘却係数は、下記式(1)の条件を満たす範囲で設定される。
上記式(1)において、Aは、忘却係数を示し、Δtは、図2および図3に示す処理を繰り返して行うときのサイクルタイムを示す。
例えば、コントローラ300は、図4に示すマップを用いて、忘却係数Aを特定することができる。図4において、縦軸は、忘却係数Aであり、横軸は、組電池100の温度Tbである。図4に示すマップは、実験等によって予め取得することができ、メモリ300aに記憶しておくことができる。
図4に示すマップにおいて、ステップS102の処理で算出したSOCと、ステップS103の処理で検出した電池温度Tbとを特定することにより、忘却係数Aを特定することができる。イオンの拡散速度が速いほど、忘却係数Aが大きくなる。このため、図4に示すように、組電池100の温度Tbが同じであれば、組電池100のSOCが高いほど、忘却係数Aが大きくなる。また、組電池100のSOCが同じであれば、組電池100の温度Tbが高くなるほど、忘却係数Aが大きくなる。
ステップS105において、コントローラ300は、評価値Dの減少量D(−)を算出する。評価値Dの減少量D(−)は、前回(直近)の評価値D(N−1)を算出したときから、1回のサイクルタイムΔtが経過するまでの間において、イオンの拡散に伴う塩濃度の偏りの減少に応じて算出される。例えば、コントローラ300は、下記式(2)に基づいて、評価値Dの減少量D(−)を算出することができる。
上記式(2)において、AおよびΔtは、上記式(1)と同様である。D(N−1)は、前回(直近)に算出された評価値を示す。初期値としての評価値D(0)は、例えば、0とすることができる。
上記式(1)に示すように、「A×Δt」の値は、0から1までの値である。したがって、「A×Δt」の値が1に近づくほど、評価値Dの減少量D(−)が大きくなる。言い換えれば、忘却係数Aが大きいほど、又は、サイクルタイムΔtが長いほど、評価値Dの減少量D(−)が大きくなる。なお、減少量D(−)の算出方法は、本実施例で説明した方法に限定されるものではなく、塩濃度の偏りの減少を特定することができる方法であればよい。
ステップS106において、コントローラ300は、メモリ300aに予め記憶された電流係数を読み出す。ステップS107において、コントローラ300は、ステップS102の処理で算出された組電池100のSOCと、ステップS103の処理で検出した電池温度Tbとに基づいて、限界値を算出する。
例えば、コントローラ300は、図5に示すマップを用いて、限界値を算出することができる。図5に示すマップは、実験等によって予め取得することができ、メモリ300aに記憶しておくことができる。図5において、縦軸は、限界値であり、横軸は、組電池10の温度Tbである。図5に示すマップにおいて、ステップS102の処理で算出したSOCと、ステップS103の処理で検出した電池温度Tbとを特定することにより、限界値を特定することができる。
図5に示すマップでは、組電池100の温度Tbが同じであれば、組電池100のSOCが高いほど、限界値が大きくなる。また、組電池100のSOCが同じであれば、組電池100の温度Tbが高いほど、限界値が大きくなる。
ステップS108において、コントローラ300は、評価値Dの増加量D(+)を算出する。評価値Dの増加量D(+)は、前回(直近)の評価値D(N−1)を算出したときから、1回のサイクルタイムΔtが経過するまでの間において、放電に伴う塩濃度の偏りの増加に応じて算出される。例えば、コントローラ300は、下記式(3)に基づいて、評価値Dの増加量D(+)を算出することができる。
上記式(3)において、Bは、電流係数を示し、ステップS106の処理で取得した値が用いられる。Cは、限界値を示し、ステップS107の処理で取得した値が用いられる。Ibは、電流値を示し、ステップS101の処理で検出した値が用いられる。Δtは、サイクルタイムである。
上記式(3)から分かるように、電流値Ibが大きいほど、又は、サイクルタイムΔtが長いほど、評価値Dの増加量D(+)は大きくなる。なお、増加量D(+)の算出方法は、本実施例で説明した算出方法に限定されるものではなく、塩濃度の偏りの増加を特定することができる方法であればよい。
ステップS109において、コントローラ300は、今回のサイクルタイムΔtにおける評価値D(N)を算出する。評価値D(N)は、下記式(4)に基づいて算出することができる。
上記式(4)において、D(N)は、今回のサイクルタイムΔtにおける評価値であり、D(N−1)は、前回(直近)のサイクルタイムΔtにおける評価値である。初期値としての評価値D(0)は、例えば、0に設定することができる。D(−)は、評価値Dの減少量を示し、ステップS105の処理で算出した値が用いられる。D(+)は、評価値Dの増加量を示し、ステップS108の処理で算出された値が用いられる。
本実施例では、上記式(4)に表すように、塩濃度の偏りの増加量D(+)と、塩濃度の偏りの減少量D(−)とを考慮して、評価値D(N)を算出することができる。これにより、ハイレート劣化の要因と考えられる塩濃度の偏りの変化(増減)を、評価値D(N)に適切に反映させることができる。したがって、組電池100の状態がハイレート劣化の生じる状態にどの程度近づいているのかを、評価値D(N)に基づいて把握することができる。
本実施例では、組電池100に対して、評価値D(N)を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、各二次電池1又は各電池ブロックに対して、評価値D(N)を算出することもできる。この場合には、二次電池1又は電池ブロックに応じて、評価値D(N)が異なることもある。評価値D(N)にバラツキが発生しているときには、例えば、最も大きい評価値D(N)を特定し、この評価値D(N)に基づいて、後述する制御を行うことができる。
ステップS110において、コントローラ300は、ステップS109の処理で算出した評価値D(N)が予め定められた目標値Dtar(+)よりも大きいか否かを判別する。目標値Dtar(+)は、放電によるハイレート劣化が発生し始める評価値D(N)よりも小さい値に設定され、予め設定しておくことができる。評価値D(N)が目標値Dtar(+)よりも大きければ、ステップS111の処理に進む。一方、評価値D(N)が目標値Dtar(+)よりも小さければ、ステップS117の処理に進む。
本実施例では、図6に示すように、目標値Dtar(+)は、評価値D(N)のプラス側において設定されている。目標値Dtar(+)は、正の値である。図6は、評価値D(N)の変化(一例)を示す図である。図6において、縦軸は評価値D(N)であり、横軸は時間である。
ステップS111において、コントローラ300は、評価値D(N)の積算を行う。具体的には、図6に示すように、評価値D(N)が目標値Dtar(+)よりも大きいとき、評価値D(N)のうち、目標値Dtar(+)よりも大きい部分(図6のハッチング領域)について、積算を行う。評価値D(N)が目標値Dtar(+)よりも大きくなるたびに、積算処理が行われる。評価値D(N)が目標値Dtar(+)よりも大きいときには、評価値D(N)および目標値Dtar(+)の差分が積算され、積算値ΣDex(N)が得られる。積算される評価値D(N)は、正の値であるため、積算値ΣDex(N)も正の値となる。
本実施例では、積算値ΣDex(N)を算出するときに、評価値D(N)および目標値Dtar(+)の差分を積算しているが、これに限るものではない。具体的には、評価値D(N)が目標値Dtar(+)よりも大きいときには、評価値D(N)および目標値Dtar(+)の差分ではなく、評価値D(N)自体を積算することができる。この場合には、評価値D(N)自体を積算することを考慮して、後述する閾値Eを設定すればよい。
ステップS112において、コントローラ30は、積算値ΣDex(N)が閾値Eよりも小さいか否かを判別する。閾値(本発明の第1閾値に相当する)Eは、放電によるハイレート劣化を許容するための上限値であって、正の値である。すなわち、積算値ΣDex(N)が閾値Eを超えるまでは、ハイレート劣化を許容することができる。言い換えれば、積算値ΣDexが閾値Eを超える場合には、ハイレート劣化を許容できないため、後述するように、組電池100の放電を制限することになる。
ハイレート劣化は、塩濃度の偏りによって発生するが、塩濃度の偏りは、二次電池1の温度Tb、SOCや電流値Ibに依存する。このため、評価値D(N)や積算値ΣDex(N)も、二次電池1の温度Tb、SOCや電流値Ibに依存する。したがって、二次電池1の温度Tb、SOCや電流値Ibに応じて、閾値Eを設定することができる。
具体的には、まず、電池温度Tb、SOCおよび電流値Ibの少なくとも1つと、閾値Eとの対応関係を、実験などによって予め求めておくことができる。この対応関係を用いれば、電池温度Tb、SOCおよび電流値Ibの少なくとも1つを特定することにより、閾値Eを特定することができる。図2に示す処理では、ステップS101〜S103の処理において、電流値Ib、SOCおよび電池温度Tbが取得されるため、この取得した情報を用いて、閾値Eが特定される。
本実施例では、後述するように、閾値Eを固定せず、抵抗変化率grの変化に応じて、閾値Eを変更している。上述したように、電池温度Tb、SOCおよび電流値Ibの少なくとも1つを、閾値Eと対応づけている場合には、電池温度Tb、SOCおよび電流値Ibの少なくとも1つから特定される閾値Eを、抵抗変化率grの変化に応じて変更する。
ステップS112において、積算値ΣDex(N)が閾値Eよりも小さいときには、ステップS113の処理に進む。一方、積算値ΣDex(N)が閾値Eよりも大きいときには、ステップS114の処理に進む。
ステップS113において、コントローラ300は、組電池100の放電制御に用いられる出力制限値Wout_limを最大値Wout_maxに設定する。出力制限値Wout_limは、組電池100の放電を許容する上限電力値[kW]である。コントローラ300は、組電池100の出力電力が出力制限値Wout_limよりも高くならないように、組電池100の出力(放電)を制御する。
最大値Wout_maxは、予め決めておくことができる。組電池100の出力を制限するときには、出力制限値Wout_limが最大値Wout_maxよりも小さい値に設定される。出力制限値Wout_limは、最大値Wout_maxおよび最小値の間で変化させることができる。出力制限値の最小値は、例えば、0[kW]とすることができる。この場合には、組電池100の放電が行われなくなる。
ステップS114において、コントローラ300は、出力制限値Wout_limを最大値Wout_maxよりも小さい値に設定する。ステップS112からステップS114の処理に進むときには、ハイレート劣化を許容できない状態となっているため、出力制限値Wout_limを低下させることにより、組電池100の出力を制限する。ここで、出力制限値Wout_limを低下させるほど、組電池100の出力が制限されることになる。
例えば、コントローラ300は、積算値ΣDex(N)および閾値Eの差分に応じて、最大値Wout_maxに対して出力制限値Wout_limを減少させる量を設定することができる。具体的には、コントローラ300は、下記式(5)に基づいて、出力制限値Wout_limを算出することができる。
上記式(5)において、Lは、係数を示す。Eは、ステップS112の処理で説明した閾値を示す。上記式(5)に示す「L×(E−ΣDex(N))」の値は、出力制限値Wout_limを減少させる量を示しており、係数Lを変化させることにより、出力制限値Wout_limの減少量を調整することができる。具体的には、車両のドライバビリティを考慮して、減少量を調整することができる。
ステップS115において、コントローラ300は、組電池100の出力制御に関する指令をインバータ205に送信する。この指令には、ステップS113又はステップS114の処理で設定された出力制限値Wout_limに関する情報が含まれる。これにより、組電池100の出力電力が、出力制限値Wout_limを超えないように、組電池100の出力が制御される。
ステップS116において、コントローラ300は、今回の評価値D(N)および積算値ΣDex(N)をメモリ300aに記憶する。評価値D(N)をメモリ300aに記憶することにより、評価値D(N)の変化を監視することができる。また、積算値ΣDex(N)をメモリ300aに記憶することにより、次回の評価値D(N+1)が目標値Dtar(+)よりも大きくなったときに、積算値ΣDex(N)を更新することができる。
ステップS110の処理からステップS117の処理に進んだとき、コントローラ300は、評価値D(N)をメモリ300aに記憶する。ステップS110からステップS117の処理に進むときには、積算値ΣDex(N)が算出されないため、今回の評価値D(N)だけがメモリ300aに記憶される。これにより、評価値D(N)の変化を監視することができる。
上述したように、図2および図3に示す処理によれば、積算値ΣDex(N)が閾値Eに到達しないように、二次電池1の出力制御(フィードフォワード制御)が行われる。
本実施例によれば、積算値ΣDex(N)が閾値Eよりも大きいときには、組電池100の出力を制限することにより、放電によるハイレート劣化を抑制することができる。組電池100の出力を制限すれば、塩濃度の偏りを抑制することができる。ここで、ハイレート劣化は、塩濃度の偏りによって発生するため、塩濃度の偏りを抑制することにより、ハイレート劣化を抑制することができる。
このように組電池100の出力を制限することにより、閾値Eよりも小さくなる方向に、積算値ΣDex(N)を変化させることができる。一方、積算値ΣDex(N)が閾値Eに到達するまでは、出力制限値Wout_limが最大値Wout_maxに設定されたままであるため、組電池100の出力電力を最大限に確保することができる。
本実施例では、サイクルタイムΔtごとに評価値D(N)をメモリ300aに記憶し、メモリ300aに記憶された前回(直近)の評価値D(N−1)を用いて、今回の評価値D(N)を算出しているが、これに限るものではない。例えば、電流値Ibの履歴に基づいて、評価値D(N)を算出することができる。
電流値Ibが変化することに応じて、評価値D(N)が変化するため、電流値Ibの履歴を取得しておけば、評価値D(N)を算出することができる。例えば、電流値Ibの履歴だけをメモリ300aに記憶しておき、電流値Ibの履歴を用いて、特定のサイクルタイムΔtにおける評価値D(N)を算出することができる。
また、本実施例では、積算値ΣDex(N)が閾値Eを超えたときに、組電池100の出力を制限しているが、これに限るものではない。具体的には、評価値D(N)が目標値Dtar(+)を超えたときに、組電池100の出力を制限することができる。組電池100の出力を制限するときには、上記式(5)と同様に、出力制限値Wout_limを算出することができる。
具体的には、上記式(5)において、閾値Eの代わりに目標値Dtar(+)を用い、積算値ΣDex(N)の代わりに評価値D(N)を用いることができる。評価値D(N)が目標値Dtar(+)を超えることに応じて、組電池100の出力を制限するときには、閾値Eを変更する場合と同様に、抵抗変化率grの変化に応じて、目標値Dtar(+)を変更することができる。
次に、閾値Eを変更する処理について説明する。本実施例では、以下に説明するように、二次電池1の抵抗変化率grを算出し、抵抗変化率grおよび閾値Rの関係に応じて、閾値Eを変更している。ここで、閾値(本発明の第2閾値に相当する)Rは、抵抗変化率grに関する値である。
まず、抵抗変化率grは、下記式(6)で表すことができる。
上記式(6)において、Riniは、二次電池1が初期状態にあるときの内部抵抗であり、Rcは、現在の二次電池1の内部抵抗である。初期状態とは、二次電池1が劣化していない状態であり、例えば、二次電池1を製造した直後の状態である。二次電池1が劣化していないときには、二次電池1の内部抵抗がRiniとなり、抵抗変化率grは、「1」のままである。一般的に、二次電池1を使用し続けるほど、二次電池1の内部抵抗が上昇するため、二次電池1を使用し続ければ、抵抗変化率grは「1」よりも大きくなる。
内部抵抗Riniは、予め求めておくことができ、内部抵抗Riniに関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。内部抵抗Rcは、後述するように、二次電池1の電流値Ibや電圧値Vbに基づいて算出することができる。内部抵抗Rcを算出すれば、抵抗変化率grを算出することができる。
本実施例では、上記式(6)から算出された抵抗変化率grが閾値Rよりも大きくなったことを確認した後に、ハイレート劣化を抑制する制御が開始される。ここで、閾値Rは、二次電池1の使用(充放電)を許容することができる抵抗変化率grの最大値を基準として設定される値である。二次電池1の抵抗変化率grが最大値に到達したとき、二次電池1は、使用できない状態となる。
具体的には、抵抗変化率grの最大値を閾値Rとしてもよいし、抵抗変化率grの最大値よりも所定値だけ低い値を閾値Rとしてもよい。ここで、閾値Rとして、抵抗変化率grの最大値よりも低い値に設定しておけば、閾値Rおよび最大値の間にマージンを設けることができ、実際の抵抗変化率grが最大値を超えてしまうことを抑制できる。閾値Rは、二次電池1の入出力特性などを考慮して、予め設定することができ、閾値Rに関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
二次電池1の内部抵抗は、二次電池1の温度やSOCに応じて変化する。このため、抵抗変化率grに関する閾値Rも、二次電池1の温度TbやSOCに応じて設定しておくことができる。具体的には、閾値Rと、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方との対応関係を示すマップを、実験などによって予め定めておくことができる。
このマップを用いれば、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方を特定することにより、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方に対応する閾値Rを特定することができる。なお、閾値Rと、電池温度TbおよびSOCの少なくとも一方との対応関係を示すマップは、メモリ300aに記憶しておくことができる。
二次電池1の内部抵抗には、上述したハイレート劣化に伴う内部抵抗の他に、摩耗劣化に伴う内部抵抗が含まれる。摩耗劣化とは、二次電池1を使用し続けることにより、二次電池1を構成する材料が劣化することである。摩耗劣化によって、二次電池1の内部抵抗が上昇すれば、抵抗変化率grも上昇する。一方、ハイレート劣化は塩濃度の偏りによって発生するため、塩濃度の偏りが緩和されれば、ハイレート劣化に伴う内部抵抗が低下し、抵抗変化率grも低下する。
このため、二次電池1の劣化状態にハイレート劣化および摩耗劣化が混在しているとき、抵抗変化率grは、上昇したり、低下したりする。摩耗劣化は、解消しない劣化成分であるため、摩耗劣化に伴う内部抵抗は、上昇し続ける。一方、ハイレート劣化に伴う内部抵抗は、塩濃度の偏りに応じて、上昇したり、低下したりする。したがって、ハイレート劣化および摩耗劣化が混在する二次電池1では、抵抗変化率grが上昇したり、低下したりする。
本実施例において、コントローラ300は、抵抗変化率grが閾値Rを超えるまでは、閾値Eを上昇させるようにしている。そして、抵抗変化率grが閾値Rを超えたとき、コントローラ300は、閾値Eを低下させるようにしている。
抵抗変化率grが閾値Rに到達していなければ、ハイレート劣化に伴う内部抵抗の上昇を許容することができる。すなわち、抵抗変化率grが閾値Rを超えていなければ、二次電池1の出力制限を緩和することができる。上述したように、二次電池1の出力制限値Wout_limは、積算値ΣDex(N)および閾値Eの大小関係に応じて設定される。
ここで、閾値Eを上昇させれば、積算値ΣDex(N)が閾値Eに到達しにくくなり、二次電池1の出力制限が行われなくなる。すなわち、二次電池1の出力制限値Wout_limを最大値Wout_maxに設定することができる。したがって、抵抗変化率grが閾値Rに到達していないときには、閾値Eを上昇させることができる。このように、閾値Eを上昇させて、二次電池1の出力制限を緩和することにより、二次電池1の出力性能を向上させることができる。
なお、抵抗変化率grに基づいて、目標値Dtar(+)を変更する場合には、抵抗変化率grが閾値Rに到達していない間において、目標値Dtar(+)を上昇させることができる。目標値Dtar(+)を上昇させれば、評価値D(N)が目標値Dtar(+)を超えにくくなり、二次電池1の出力が制限されることを抑制できる。すなわち、評価値D(N)が目標値Dtar(+)を超えていなければ、出力制限値Wout_limを最大値Wout_maxに設定することができ、二次電池1の出力性能を向上させることができる。
図2および図3に示す制御を行うときにおいて、閾値Eを固定値に設定してしまうと、二次電池1の出力が過度に制限されてしまうことがある。二次電池1には、製造バラツキが発生することがあり、この製造バラツキに起因して、二次電池1の劣化状態にもバラツキが発生することがある。製造された、すべての二次電池1を保護しようとするときには、想定上、最も劣化しやすい二次電池1を基準として、閾値(固定値)Eを設定することができる。また、劣化状態がばらつく複数の二次電池1の中で、例えば、劣化状態が中央値を示す二次電池1を基準として、閾値(固定値)Eを設定することができる。
上述したように、二次電池1の劣化状態にバラツキが発生しているときには、積算値ΣDex(N)が閾値(固定値)Eに到達していても、二次電池1によっては、ハイレート劣化を更に許容することができることがある。ハイレート劣化を許容することができるにもかかわらず、積算値ΣDex(N)が閾値(固定値)Eに到達することに応じて、二次電池1の出力を制限してしまうと、二次電池1の出力性能を十分に発揮させることができなくなってしまう。この場合には、二次電池1の出力を過度に制限していることになり、二次電池1の出力性能を向上させることができない。
そこで、本実施例では、実際の二次電池1の劣化状態を示す抵抗変化率grを監視し、抵抗変化率grが閾値Rを到達していなければ、閾値Eを上昇させるようにしている。このように閾値Eを変更すれば、実際の二次電池1の劣化状態を考慮して、出力制御を行うことができる。これにより、二次電池1の抵抗変化率grが閾値Rよりも低いことを確認して二次電池1を保護しながら、二次電池1の出力性能を最大限に発揮させることができる。
閾値Eを変更する処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。ここで、図7に示す処理は、コントローラ300によって実行される。また、図7に示す処理は、図2および図3に示す処理が行われる周期(サイクルタイムΔt)で行うことができる。
ステップS201において、コントローラ300は、二次電池1の抵抗変化率grを算出する。ここで、抵抗変化率grを算出する方法については、後述する。ステップS202において、コントローラ300は、ステップS201の処理で算出した抵抗変化率grが閾値Rよりも高いか否かを判別する。抵抗変化率grが閾値Rよりも高いとき、コントローラ300は、ステップS203の処理を行う。一方、抵抗変化率grが閾値Rよりも低いとき、コントローラ300は、ステップS204の処理を行う。
ステップS203において、コントローラ300は、今回設定される閾値Eを、前回設定された閾値Eよりも低下させる。ここで、閾値Eを低下させる量は、適宜設定することができる。閾値Eを低下させすぎると、積算値ΣDex(N)が閾値Eに到達しやすくなり、出力制限値Wout_limが過度に低下しやすくなる。これにより、例えば、二次電池1の出力を用いて車両を走行させるときのドライバビリティに悪影響を与えてしまうおそれがある。
このため、抵抗変化率grが閾値Rに対して低下していることを確認しながら、閾値Eを徐々に低下させることが好ましい。例えば、閾値Eは、一定の変化率で低下させることができる。また、閾値Eの変化率(低下率)を異ならせることもできる。ここで、抵抗変化率grおよび閾値Rの差分が小さくなるほど、閾値Eの変化率(低下率)を高くすることができる。言い換えれば、抵抗変化率grおよび閾値Rの差分が大きくなるほど、閾値Eの変化率(低下率)を低くすることができる。
ステップS204において、コントローラ300は、今回設定される閾値Eを、前回設定された閾値Eよりも上昇させる。ここで、閾値Eを上昇させる量は、適宜設定することができる。例えば、閾値Eは、一定の変化率で上昇させることができる。また、閾値Eの変化率(上昇率)を異ならせることもできる。例えば、抵抗変化率grおよび閾値Rの差分が大きくなるほど、閾値Eの変化率(上昇率)を高くすることができる。言い換えれば、抵抗変化率grおよび閾値Rの差分が小さくなるほど、閾値Eの変化率(上昇率)を低くすることができる。
ステップS205において、コントローラ300は、閾値Eを設定する。閾値Eの設定内容は、ステップS203又はステップS204の処理に応じて異なる。設定された閾値Eに関する情報は、メモリ300aに記憶され、図2及び図3に示す処理を次回行うときに用いられる。図7に示す処理では、抵抗変化率grが閾値Rを超えることに応じて、閾値Eを低下させる制御(フィードバック制御)が行われる。
図8には、図2,図3および図7に示す処理を行ったときの抵抗変化率grおよび閾値Eの変化(一例)を示す。図8に示すように、二次電池1が初期状態(時間0)にあるとき、抵抗変化率grは「1」である。また、二次電池1が初期状態(時間0)にあるとき、閾値Eは、初期値E_iniに設定されている。初期値E_iniは、適宜設定することができる。
例えば、上述したように、最も劣化しやすい二次電池1を基準として、初期値E_iniを設定することができる。また、劣化状態が中央値を示す二次電池1を基準として、初期値E_iniを設定することができる。初期値E_iniに関する情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
時間0から時間t1までは、抵抗変化率grが上昇せず、「1」のままである。また、時間0から時間t1までの間、閾値Eは、初期値E_iniのままである。そして、時間t1以降において、抵抗変化率grが「1」よりも上昇すると、閾値Eは、初期値E_iniよりも上昇する。
本実施例では、抵抗変化率grが「1」よりも高くなったときに、閾値Eを上昇させているが、これに限るものではない。具体的には、抵抗変化率grが「1」のままであっても、閾値Eを上昇させ始めることができる。図8に示す例では、抵抗変化率grが「1」よりも上昇したことを確認した後に、閾値Eを上昇させている。
時間t1以降では、抵抗変化率grが上昇し続けているが、抵抗変化率grは、閾値Rに到達していない。このため、閾値Eは、初期値E_iniに対して上昇し続ける。時間t2において、抵抗変化率grが閾値Rに到達すると、閾値Eは低下し始める。上述したように、閾値Eを低下させることにより、二次電池1の出力が制限されやすくなる。
二次電池1の出力を制限すれば、ハイレート劣化に伴う内部抵抗を低下させやすくなり、抵抗変化率grを低下させやすくなる。図8に示す例では、時間t2以降において、閾値Eを低下させることにより、抵抗変化率grが低下して、閾値Rから離れる。
抵抗変化率grが低下し、時間t3において、抵抗変化率grが閾値Rから所定量だけ離れたことを確認すれば、閾値Eを低下させる処理を停止させることができる。すなわち、時間t3以降では、閾値Eの低下処理を停止させたときの値に、閾値Eを維持することができる。そして、抵抗変化率grが閾値Rよりも低いことを確認すれば、閾値Eを上昇させることができる。図8に示す例では、時間t4よりも前に、閾値Eを上昇させている。
時間t4において、抵抗変化率grが閾値Rに到達すれば、上述したように、閾値Eの上昇が停止し、閾値Eは低下し始める。ここで、抵抗変化率grが閾値Rに到達したときに、閾値Eを上昇させる処理を停止させ、このときの値に閾値Eを維持することもできる。ただし、この場合には、抵抗変化率grが閾値Rを超えやすい状態となってしまう。このため、図8に示すように、抵抗変化率grが閾値Rに到達した後には、抵抗変化率grが閾値Rに対して所定量だけ低下するまで、閾値Eを低下させることが好ましい。
また、抵抗変化率grが閾値Rを超えてしまっても、抵抗変化率grが閾値Rに到達したときに設定されている閾値Eに基づいて、図2および図3に示す出力制御が行われているため、抵抗変化率grが急激に上昇してしまうことを抑制できる。
仮に、抵抗変化率grが急激に上昇したときには、これに応じた出力制限を行わなければならず、出力制限値Wout_limが急激に低下してしまうことがある。この場合には、二次電池1の出力を用いて車両を走行させるときのドライバビリティに悪影響を与えてしまうことがある。本実施例のように、抵抗変化率grの急激な上昇を抑制すれば、出力制限値Wout_limの急激な低下を抑制することができる。これにより、ドライバビリティに対する悪影響を低減することができる。
本実施例では、抵抗変化率grを算出し、抵抗変化率grに基づいて、閾値Eを変更しているが、これに限るものではない。上記式(6)を用いて説明したように、抵抗変化率grは、二次電池1が初期状態にあるときの内部抵抗Riniと、現在の二次電池1の内部抵抗Rcとから算出される。ここで、抵抗変化率grは、内部抵抗Rcに応じて変化する。このため、抵抗変化率grの代わりに、内部抵抗Rcに基づいて、閾値Eを変更することもできる。
内部抵抗Rcに基づいて閾値Eを変更するときには、閾値Rの代わりに、閾値Rに相当する二次電池1の内部抵抗を用いることができる。二次電池1が初期状態にあるときの内部抵抗Riniが分かれば、閾値Rに相当する内部抵抗を特定することができる。
次に、抵抗変化率grを算出する方法について説明する。上述したように、二次電池1の劣化には、ハイレート劣化および摩耗劣化が混在している。このため、二次電池1の内部低抵抗Rcを算出すれば、ハイレート劣化および摩耗劣化に起因した抵抗変化率grを算出することができる。一方、摩耗劣化に起因する抵抗変化率grを特定(推定)すれば、ハイレート劣化に起因する抵抗変化率grを算出することができる。
図7に示す処理では、抵抗変化率grとして、ハイレート劣化および摩耗劣化に起因する抵抗変化率grを用いたり、ハイレート劣化に起因する抵抗変化率grを用いたりすることができる。ここで、抵抗変化率grの低下は、ハイレート劣化の解消に起因するため、閾値Eの変更に用いられる抵抗変化率grとしては、ハイレート劣化を含む抵抗変化率grを用いればよい。
ここで、抵抗変化率grの内容に応じて、閾値Rを適宜設定すればよい。ハイレート劣化および摩耗劣化に起因する抵抗変化率grを用いたときの閾値Rは、ハイレート劣化に起因する抵抗変化率grを用いたときの閾値Rよりも高くなる。
二次電池1の内部抵抗Rcは、二次電池1の電流値Ibおよび電圧値Vbから算出することができる。具体的には、二次電池1を充放電しているときにおいて、電流センサ202の出力に基づいて電流値Ibを検出するとともに、監視ユニット201の出力に基づいて電圧値Vbを検出する。そして、電流値Ibおよび電圧値Vbを座標軸とした座標系において、検出した電流値Ibおよび電圧値Vbの関係をプロットする。
二次電池1を充放電しているときには、電流値Ibが分散するため、座標系にプロットされた複数の点(Ib−Vbの関係)に近似する直線を算出すれば、近似直線の傾きが二次電池1の内部抵抗Rcとなる。二次電池1が初期状態にあるときの内部抵抗Riniを予め測定しておけば、内部抵抗Rcを算出するたびに、抵抗変化率grを算出することができる。
一方、二次電池1の内部抵抗Rcは、下記式(7)に基づいて算出することもできる。
上記式(7)において、CCV(Closed Circuit Voltage)は、通電中の二次電池1の電圧値であり、OCV(Open Circuit Voltage)は、非通電中の二次電池1の電圧値である。Ibは、二次電池1に流れる電流値であり、Rcは、二次電池1の内部抵抗である。
上記式(7)によれば、二次電池1を充電又は放電しているとき、電圧値CCVは、電圧値OCVに対して、「Ib×Rc」の分だけ変化する。具体的には、充電時の電流値Ibは負の値となるため、二次電池1を充電しているときの電圧値CCVは、電圧値OCVに対して、「Ib×Rc」の分だけ上昇する。また、放電時の電流値Ibは正の値となるため、二次電池1を放電しているときの電圧値CCVは、電圧値OCVに対して、「Ib×Rc」の分だけ低下する。
上記式(7)によれば、電圧値CCV,OCVおよび電流値Ibを検出することにより、内部抵抗Rcを算出することができる。二次電池1を充放電せずに、放置している状態であれば、二次電池1の電圧値OCVを測定することができる。
ここで、二次電池1には、通電に伴う分極が発生するため、分極が解消されている状態において、二次電池1の電圧値OCVを測定することが好ましい。例えば、分極が解消される時間(分極解消時間)を実験などによって予め求めておけば、二次電池1の通電を停止してから分極解消時間が経過した後に、二次電池1の電圧値OCVを測定することができる。
二次電池1の電圧値OCVを測定した後に、一定の電流値Ibで二次電池1を充電又は放電すれば、二次電池1の電圧値CCVを検出することができる。二次電池1の通電前に測定した電圧値OCVと、二次電池1を充電又は放電しているときに検出した電流値(一定値)Ibおよび電圧値CCVとを、上記式(7)に代入すれば、内部抵抗Rcを算出することができる。
外部電源からの電力を用いて、二次電池1を充電するときには、定電流の下で二次電池1の充電が行われる。このため、二次電池1を充電する前又は後に、二次電池1の電圧値OCVを測定し、二次電池1を充電したときの電圧値CCVを検出すれば、上記式(7)に基づいて、二次電池1の内部抵抗Rcを算出することができる。
二次電池1が初期状態にあるときの内部抵抗Riniを予め求めておけば、上記式(7)を用いて、二次電池1の内部抵抗Rcを算出するたびに、抵抗変化率grを算出することができる。
上述したように算出された内部抵抗Rcは、ハイレート劣化および摩耗劣化を含む二次電池1の内部抵抗となる。ハイレート劣化に伴う内部抵抗を把握するときには、以下に説明するように、ハイレート劣化および摩耗劣化を含む内部抵抗から、摩耗劣化に伴う内部抵抗を減算すればよい。
摩耗劣化に伴う内部抵抗は、時間の経過とともに上昇する。このため、実験などによって、摩耗劣化に伴う内部抵抗と、経過時間との関係を予め求めておくことができる。経過時間は、二次電池1を初めて使用してからの時間とすることができる。ここで、摩耗劣化に伴う内部抵抗と経過時間との対応関係を示す情報は、メモリ300aに記憶しておくことができる。
現在までの経過時間を計測すれば、この経過時間に対応する、摩耗劣化に伴う内部抵抗を特定することができる。そして、ハイレート劣化および摩耗劣化を含む内部抵抗Rcから、摩耗劣化に伴う内部抵抗を減算すれば、ハイレート劣化に伴う内部抵抗を算出することができる。ここでは、摩耗劣化に伴う内部抵抗を経過時間から推定しているが、以下に説明するように、摩耗劣化に伴う内部抵抗を学習することもできる。
ハイレート劣化は、二次電池1の内部における塩濃度の偏りによって発生する。このため、塩濃度の偏りが解消されれば、ハイレート劣化を解消させることができる。塩濃度の偏りは、二次電池1を充放電せずに、放置することによって解消させることができる。そこで、塩濃度の偏りを解消させることができる時間(例えば、最大時間)を実験などによって予め求めておけば、この解消時間が経過することを確認することにより、ハイレート劣化が解消されていることを判別できる。
ハイレート劣化が解消していることを確認した後に、上述したように二次電池1の内部抵抗Rcを算出すれば、この内部抵抗Rcは、摩耗劣化に伴う内部抵抗となる。このように、摩耗劣化に伴う内部抵抗を学習しておけば、学習後に算出される内部抵抗Rcに基づいて、ハイレート劣化に伴う内部抵抗を特定することができる。
具体的には、ハイレート劣化が発生したときに算出される内部抵抗Rcは、摩耗劣化に伴う内部抵抗(学習値)よりも高くなる。このため、算出した内部抵抗Rcから、摩耗劣化に伴う内部抵抗(学習値)を減算すれば、ハイレート劣化に伴う内部抵抗を特定することができる。
摩耗劣化に伴って内部抵抗が変化する時間は、ハイレート劣化に伴って内部抵抗が変化する時間よりも長い。このため、摩耗劣化に伴う内部抵抗を学習した後では、摩耗劣化に伴う内部抵抗は、ハイレート劣化に伴う内部抵抗よりも変化しにくい。そこで、摩耗劣化に伴う内部抵抗を学習しておけば、上述したように、ハイレート劣化に伴う内部抵抗を特定することができる。ここで、摩耗劣化に伴う内部抵抗を学習しておくことにより、ハイレート劣化に伴う内部抵抗の推定精度を向上させることができる。
一方、以下に説明する電池モデルを用いて、二次電池1の抵抗変化率grを算出(推定)することができる。まず、電池モデルについて説明する。
図9は、二次電池1の構成を示す概略図である。二次電池1は、負極(電極ともいう)12と、セパレータ14と、正極(電極ともいう)15とを有する。セパレータ14は、負極12および正極15の間に位置しており、電解液を含んでいる。図9に示す座標軸xは、電極の厚み方向における位置を示す。
負極12および正極15のそれぞれは、球状の活物質18の集合体で構成されている。二次電池1を放電するとき、負極12の活物質18の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を放出する化学反応が行われる。また、正極15の活物質18の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e-を吸収する化学反応が行われる。一方、二次電池1を充電するとき、正極12および負極15における活物質18の界面上では、上述した化学反応と逆の化学反応が行われる。
負極12は、銅などで構成された集電板13を有しており、集電板13は、二次電池1の負極端子11nと電気的に接続されている。正極15は、アルミニウムなどで構成された集電板16を有しており、集電板16は、二次電池1の正極端子11pと電気的に接続されている。負極12および正極15の間でのリチウムイオンLi+の授受によって、二次電池1の充放電が行われ、充電電流Ib(Ib<0)または放電電流Ib(Ib>0)が生じる。
二次電池1の放電時には、負極12から放出されたリチウムイオンLi+は、拡散および泳動によって正極15に移動して、正極15に吸収される。このとき、電解液内におけるリチウムイオンLi+の拡散に遅れが生じると、負極12内の電解液では、リチウムイオンLi+濃度(すなわち電解液の塩濃度)が増加する。一方、正極15内の電解液では、リチウムイオンLi+濃度が減少する。この様子を図10に示す。図10に示した平均塩濃度とは、二次電池1の全体において、電解液の塩濃度が均一になったときの値である。例えば、二次電池1の長時間の放置によって、電解液の塩濃度を均一にすることができる。
図11は、電解液塩濃度および反応抵抗の関係を示す。反応抵抗は、活物質18の界面において反応電流が発生したときに、等価的に電気抵抗として作用する抵抗であり、言い換えれば、電極表面におけるリチウムイオンLi+の出入りに関する抵抗成分である。反応抵抗は、電荷移動抵抗とも呼ばれる。
図11に示す特性図によれば、反応抵抗は、電解液塩濃度の関数であることが分かる。特に、電解液塩濃度が閾値cthよりも高い領域では、電解液塩濃度の変化に対して反応抵抗の変化は緩やかである。また、電解液塩濃度が閾値cthよりも低い領域では、電解液塩濃度の変化に対して反応抵抗の変化が急である。すなわち、電解液塩濃度が閾値cthよりも低い領域では、電解液塩濃度が閾値cthよりも高い領域と比較して、電解液塩濃度に対する反応抵抗の変化率が大きい。
図10および図11を考慮すると、放電時に正極15内での電解液塩濃度が減少した場合であっても、正極15内の電解液塩濃度が閾値cthよりも高いときには、反応抵抗の低下はほとんど生じないことが分かる。一方、正極15内の電解液塩濃度が閾値cthよりも低いときには、正極15内での電解液塩濃度の低下は、反応抵抗の増加を招くことが分かる。
このような反応抵抗の増加の要因として、例えば、図12Aに示すように、電解液の平均塩濃度が減少することによって、正極内の電解液塩濃度が閾値cthよりも低くなることが考えられる。また、例えば、図12Bに示すように、放電が繰り返されて累積的に正極内の電解液塩濃度が低下することによって、正極内の電解液塩濃度が閾値cthよりも低くなることが考えられる。
放電時に正極15内の電解液塩濃度が低下することによって、反応抵抗が上昇する場合を例示したが、充電時にも、負極12内の電解液塩濃度が低下することによって、反応抵抗が上昇する。反応抵抗と、電極12,15での電子e-の移動に対する純電気的な抵抗(純抵抗)とを併せたものが、二次電池1をマクロに見た場合の電池抵抗(内部抵抗)における直流抵抗成分に相当する。
本実施例に用いられる基礎的な電池モデル式は、下記式(8)〜(18)からなる基礎方程式で表される。図13は、電池モデル式で用いられる変数および定数の一覧表を示す。
以下に説明するモデル式中の変数および定数に関して、添字eは電解液中の値であることを示し、sは活物質中の値であることを示す。添字jは、正極および負極を区別するものであり、jが1であるときには正極における値を示し、jが2であるときには負極における値を示す。正極および負極における変数又は定数を包括的に表記する場合には、添字jを省略する。また、時間の関数であることを示す(t)の表記、電池温度の依存性を示す(T)の表記、あるいは、局所SOCθの依存性を示す(θ)等について、明細書中では表記を省略することもある。変数又は定数に付された記号♯は、平均値を表わす。
上記式(8),(9)は、電極(活物質)における電気化学反応を示す式であり、バトラー・ボルマーの式と呼ばれる。
電解液中のリチウムイオン濃度保存則に関する式として、下記式(10)が成立する。活物質内のリチウム濃度保存則に関する式として、下記式(11)の拡散方程式と、下記式(12),(13)に示す境界条件式が適用される。下記式(12)は、活物質の中心部における境界条件を示し、下記式(13)は、電解液と接触する活物質の界面(以下、単に「界面」ともいう)における境界条件を示す。
活物質界面における局所的なリチウム濃度分布である局所SOCθjは、下記式(14)で定義される。下記式(14)中のcsejは、下記式(15)に示されるように、正極および負極の活物質界面におけるリチウム濃度を示している。csj,maxは、活物質内での限界リチウム濃度を示している。
電解液中の電荷保存則に関する式として、下記式(16)が成立し、活物質中の電荷保存則に関する式として、下記式(17)が成立する。活物質界面での電気化学反応式として、電流密度I(t)と、反応電流密度jj Liとの関係を示す下記式(18)が成立する。
上記式(8)〜(18)の基礎方程式で表される電池モデル式は、以下に説明するように、簡易化することができる。電池モデル式の簡易化により、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
負極12および正極15のそれぞれにおける電気化学反応を一様なものと仮定する。すなわち、各電極12,15において、x方向における反応が均一に生じるものと仮定する。また、各電極12,15に含まれる複数の活物質での反応が均一と仮定するので、各電極12,15の活物質を、1個の活物質モデルとして取り扱う。これにより、図9に示す二次電池1の構造は、図14に示す構造にモデリングすることができる。
図14に示す電池モデルでは、充放電時における活物質モデル18p(j=1)および活物質モデル18n(j=2)の表面における電極反応をモデリングすることができる。また、図14に示す電池モデルでは、活物質モデル18p,18nの内部におけるリチウムの拡散(径方向)と、電解液中のリチウムイオンの拡散(濃度分布)とをモデリングすることができる。さらに、図14に示す電池モデルの各部位において、電位分布や温度分布をモデリングすることができる。
図15に示すように、各活物質モデル18p,18nの内部におけるリチウム濃度csは、活物質モデル18p,18nの半径方向の座標r(r:各点の中心からの距離、rs:活物質の半径)上での関数として表すことができる。ここで、活物質モデル18p,18nの周方向における位置依存性は、無いものと仮定している。図15に示す活物質モデルは、界面での電気化学反応に伴う、活物質の内部におけるリチウム拡散現象を推定するために用いられる。活物質モデル18p,18nの径方向にN分割(N:2以上の自然数)された各領域(k=1〜N)について、リチウム濃度cs,k(t)が、後述する拡散方程式に従って推定される。
図14に示す電池モデルによれば、基礎方程式(8)〜(13),(15)は、下記式(8’)〜(13’),(15’)で表すことができる。
上記式(10’)では、電解液の濃度を時間に対して不変と仮定することによって、cej(t)が一定値であると仮定する。また、活物質モデル18n,18pに対しては、拡散方程式(11)〜(13)が極座標方向の分布のみを考慮して、上記拡散方程式(11’)〜(13’)に変形される。上記式(15’)において、活物質の界面におけるリチウム濃度csejは、図15に示したN分割領域のうちの最外周の領域におけるリチウム濃度csi(t)に対応する。
電界液中の電荷保存則に関する上記式(16)は、上記式(10’)を用いて、下記式(19)に簡易化される。すなわち、電解液の電位φejは、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる電解液中の平均電位φej♯は、下記式(19)を電極厚さLjで積分した下記式(20)によって求められる。
負極12については、下記式(19)に基づいて、下記式(21)が成立する。このため、電解液平均電位φe2♯と、負極12およびセパレータ14の境界における電解液電位との電位差は、下記式(22)で表される。正極15については、電解液平均電位φe1♯と、正極15およびセパレータ14の境界における電解液電位との電位差は、下記式(23)で表される。
活物質中の電荷保存則に関する上記式(17)についても、下記式(24)に簡易化することができる。すなわち、活物質の電位φsjについても、xの二次関数として近似される。過電圧ηj♯の算出に用いる活物質中の平均電位φsj♯は、下記式(24)を電極厚さLjで積分した下記式(25)によって求められる。このため、正極15に関して、活物質平均電位φs1♯と、活物質18pおよび集電板16の境界における活物質電位との電位差は、下記式(26)で示される。同様に、負極12については、下記式(27)が成立する。
図16は、二次電池の端子電圧V(t)と、上述のように求めた各平均電位との関係を示す。図16において、セパレータ14では、反応電流密度jj Liが0であるため、セパレータ14での電圧降下は、電流密度I(t)に比例し、Ls/κs eff・I(t)となる。
また、各電極中における電気化学反応を一様と仮定したことにより、極板の単位面積当たりの電流密度I(t)と反応電流密度(リチウム生成量)jj Liとの間には、下記式(28)が成立する。
図16に示す電位関係および上記式(28)に基づいて、電池電圧V(t)については、下記式(29)が成立する。下記式(29)は、図16に示す下記式(30)の電位関係式を前提とする。
次に、平均過電圧η♯(t)を算出する。jj Liを一定にするとともに、バトラー・ボルマーの関係式において、充放電効率を同一として、αajおよびαcjを0.5とすると、下記式(31)が成立する。下記式(31)を逆変換することにより、平均過電圧η♯(t)は、下記式(32)により求められる。
図16を用いて平均電位φs1、φs2を求め、求めた値を上記式(29)に代入する。また、上記式(32)から求めた平均過電圧η1♯(t)、η2♯(t)を上記式(30)に代入する。この結果、上記式(8’)、(28)、(9’)に基づいて、電気化学反応モデル式に従った電圧−電流関係モデル式(M1a)が導出される。
リチウム濃度保存則(拡散方程式)である上記式(11’)および境界条件式(12’),(13’)によって、活物質モデル18p,18nについての活物質拡散モデル式(M2a)が求められる。
モデル式(M1a)の右辺第1項は、活物質表面での反応物質(リチウム)濃度により決定される開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を示し、右辺第2項は、過電圧(η1♯−η2♯)を示し、右辺第3項は、電池電流による電圧降下を示す。すなわち、二次電池1の直流純抵抗が,上記式(M1a)中のRd(T)で表わされる。
上記式(M2a)において、反応物質であるリチウムの拡散速度を規定するパラメータとして用いられる拡散係数Ds1、Ds2は温度依存性を有する。したがって、拡散係数Ds1、Ds2は、例えば、図17に示すマップを用いて設定することができる。図17に示すマップは、予め取得しておくことができる。
図17において、横軸の電池温度Tbは、温度センサ203を用いて取得された温度である。図17に示すように、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度Tbの低下に応じて低下する。言い換えれば、拡散係数Ds1、Ds2は、電池温度Tbの上昇に応じて上昇する。
拡散係数Ds1、Ds2について、電池温度Tbの依存性だけでなく、局所SOCθの依存性を考慮してもよい。この場合、電池温度Tb、局所SOCθおよび拡散係数Ds1、Ds2の関係を示すマップを予め用意しておけばよい。
上記式(M1a)に含まれる開放電圧U1は、図18Aに示すように、局所SOCθの上昇に応じて低下する。また、開放電圧U2は、図18Bに示すように、局所SOCθの上昇に応じて上昇する。図18Aおよび図18Bに示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθに対応した開放電圧U1、U2を特定することができる。
上記式(M1a)に含まれる交換電流密度i01、i02は、局所SOCθおよび電池温度Tbの依存性を有する。したがって、交換電流密度i01、i02、局所SOCθおよび電池温度Tbの関係を示すマップを予め用意しておけば、局所SOCθおよび電池温度Tbから、交換電流密度i01、i02を特定することができる。
直流純抵抗Rdは、温度の依存性を有する。したがって、直流純抵抗Rdおよび電池温度Tbの関係を示すマップを予め用意しておけば、電池温度Tbから直流純抵抗Rdを特定することができる。なお、上述したマップについては、二次電池1に関する周知の交流インピーダンス測定等の実験結果に基づいて作成することができる。
図14に示す電池モデルは、さらに簡略化することができる。具体的には、電極12,15の活物質として、共通の活物質モデルを用いることができる。図14に示す活物質モデル18n,18pを、1つの活物質モデルとして扱うことにより、下記式(33)に示すような式の置き換えができる。下記式(33)では、正極15および負極12の区別を示す添字jが省略される。
モデル式(M1a)、(M2a)は、下記式(M1b)、(M2b)で表すことができる。また、1つの活物質モデルを用いた電池モデルでは、電流密度I(t)および反応電流密度jj Liの関係式として、上記式(28)の代わりに、下記式(28’)が適用される。
上記式(M1a)中のarcsinh項を一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1c)が得られる。このように線形近似することにより、演算負荷を低減したり、演算時間を短縮したりすることができる。
上記式(M1c)では、線形近似の結果、右辺第2項も、電流密度I(t)および反応抵抗Rrの積で示される。反応抵抗Rrは、上記式(34)に示されるように、局所SOCθおよび電池温度Tbに依存する交換電流密度i01,i02から算出される。したがって、上記式(M1c)を用いるときには、局所SOCθ、電池温度Tbおよび交換電流密度i01,i02の関係を示すマップを予め用意しておけばよい。上記式(M1c)および上記式(34)によれば、上記式(35)が得られる。
上記式(M1b)における右辺第2項のarcsinh項を線形近似すれば、下記式(M1d)が得られる。
上記式(M1b)は、下記式(M1e)として表すことができる。
上記式(M1e)に含まれる直流抵抗変化率grは、下記式(36)で示される。
上記式(36)において、Ranは、初期状態における二次電池1の直流抵抗であり、Raは、使用後(充放電後)における二次電池1の直流抵抗である。直流抵抗変化率grは、上記式(6)で表される抵抗変化率grに相当する。
上記式(M1e)は、一次近似(線形近似)することにより、下記式(M1f)で表される。
図19は、コントローラ300の内部構成を示す概略図である。電池状態推定部310は、拡散推定部311と、開放電圧推定部312と、電流推定部313と、パラメータ設定部314と、境界条件設定部315とを含む。図19に示す構成において、電池状態推定部310は、上記式(M1f)および上記式(M2b)を用いることにより、電流密度I(t)を算出し、算出結果を抵抗変化率算出部320に出力する。
本実施例では、上記式(M1f)を用いて電流密度I(t)を算出しているが、これに限るものではない。具体的には、上記式(M1a)〜(M1e)のいずれかと、上記式(M2a)又は(M2b)との任意の組み合わせに基づいて、電流密度I(t)を算出することができる。本実施例では、抵抗変化率grを用いているため、上記式(M1a)〜(M1d)を用いるときには、これらの式のうち、arcsinh項又は、arcsinh項を一次近似(直線近似)した項において、電流密度I(t)に抵抗変化率grを乗算するものとする。
拡散推定部311は、上記式(M2b)を用い、境界条件設定部315で設定された境界条件に基づいて、活物質内部でのリチウム濃度分布を算出する。境界条件は、上記式(12’)又は(13’)に基づいて設定される。拡散推定部311は、上記式(14)を用い、算出したリチウム濃度分布に基づいて局所SOCθを算出する。拡散推定部311は、局所SOCθに関する情報を開放電圧推定部312に出力する。
開放電圧推定部312は、拡散推定部311が算出した局所SOCθに基づいて、各電極12,15の開放電圧U1,U2を特定する。具体的には、開放電圧推定部312は、図18Aおよび図18Bに示すマップを用いることにより、開放電圧U1,U2を特定することができる。開放電圧推定部312は、開放電圧U1,U2に基づいて、二次電池1の開放電圧を算出することができる。二次電池1の開放電圧は、開放電圧U1から開放電圧U2を減算することによって得られる。
パラメータ設定部314は、電池温度Tbおよび局所SOCθに応じて、電池モデル式で用いられるパラメータを設定する。電池温度Tbとしては、温度センサ203による検出温度Tbを用いる。局所SOCθは、拡散推定部311から取得される。パラメータ設定部314で設定されるパラメータとしては、上記式(M2b)中の拡散定数Ds、上記式(M1f)中の電流密度i0および直流抵抗Rdがある。
電流推定部313は、下記式(M3a)を用いて、電流密度I(t)を算出(推定)する。下記式(M3a)は、上記式(M1f)を変形した式である。下記式(M3a)において、開放電圧値U(θ,t)は、開放電圧推定部312で推定された開放電圧値U(θ)である。電圧値V(t)は、監視ユニット201を用いて取得した電池電圧Vbである。Rd(t)およびi0(θ,T,t)は、パラメータ設定部314で設定された値である。上記式(M3a)中のgrは、抵抗変化率算出部320が算出した抵抗変化率grである。
なお、上記式(M1a)〜(M1e)のいずれの式を用いる場合であっても、上述した式(M3a)と同様の方法によって、電流密度I(t)を算出することができる。
境界条件設定部315は、上記式(28)又は(28’)を用いて、電流推定部313によって算出された電流密度I(t)から反応電流密度(リチウム生成量)jj Liを算出する。そして、境界条件設定部315は、上記式(13’)を用いて、上記式(M2b)における境界条件を更新する。
抵抗変化率算出部320は、上記式(36)で表される抵抗変化率grを算出する。具体的には、抵抗変化率算出部320は、下記式(37)を用いて、抵抗変化率grを算出する。
直流抵抗Raは、局所SOCθおよび電池温度Tbの変化に応じて変化する。したがって、初期状態にある二次電池1を用いた実験を行うことにより、直流抵抗Ra、局所SOCθおよび電池温度Tbの関係を示すマップを予め取得しておくことができる。このマップは、メモリ300aに格納することができる。直流抵抗Raは、局所SOCθや電池温度Tbの変化だけでなく、二次電池1の使用(充放電)に伴う経年劣化によっても変化する。
上記式(37)において、開放電圧U(θ)は、開放電圧推定部312によって推定された値であり、V(t)は、監視ユニット201から得られた電池電圧Vbである。Ranは、電池温度Tbおよび局所SOCθを特定することにより、電池温度Tb、局所SOCθおよび直流抵抗Raの関係を示すマップから特定される値である。電流密度I(t)は、電流センサ202による測定電流値Ibを単位極板面積で除算した値である。
上述したように、電池モデルを用いることにより、二次電池1の抵抗変化率grを算出することができる。そして、上述したように、抵抗変化率grの変化に基づいて、閾値Eを変更することができる。ここで、ハイレート劣化に起因する抵抗変化率grを把握するときには、上述したように算出された抵抗変化率grから、摩耗劣化に起因する抵抗変化率grを減算すればよい。摩耗劣化に起因する抵抗変化率grは、上述したように、経過時間から推定することができる。
一方、電池モデルによって推定された電流密度I(t)と、電流センサ202によって検出された電流値Ibに対応する電流密度との間に誤差が発生しているときには、この誤差に基づいて、ハイレート劣化に伴う内部抵抗を推定することができる。ここで、電池モデルによって推定された電流密度を推定電流密度といい、電流センサ202によって検出された電流値Ibに対応する電流密度を測定電流密度という。
例えば、電解液の塩濃度(リチウムイオン濃度)の拡散方程式を簡易化することにより、電極内の電解液における塩濃度変化は、下記式(38),(39)によって推定することができる。
上記式(38),(39)において、Δceは、負極内における電解液の塩濃度と、正極内における電解液の塩濃度との差である(図10参照)。Deffは、電解液の有効拡散係数であり、εeは、電解液の体積分率であり、t+ 0はリチウムイオンLi+の輸率であり、Fはファラデー定数である。Δtは、電流密度の推定処理を行う時間間隔(時間刻み)であり、Δxは拡散距離(図10参照)である。Tbは電池温度であり、I(t)は電流密度である。
例えば、二次電池1を放電するとき、塩濃度差Δceは、図10に示すように、負極での塩濃度の増加量と、正極での塩濃度の減少量との合計となる。塩濃度の増加量および減少量は、平均塩濃度に対する変化量である。
上記式(38),(39)によって推定された電極間での電解液の塩濃度差Δceと、電流推定誤差(Im−Ir)との相関を図20に示す。ここで、Imは推定電流密度であり、Irは測定電流密度である。図20によれば、塩濃度差Δceが大きくなるときに、電流推定誤差が大きくなる傾向がある。
したがって、塩濃度差Δceが大きいときの電流推定誤差(Im−Ir)の値を、ハイレート劣化に伴う内部抵抗として利用することができる。ここで、塩濃度差Δceが大きいという条件としては、例えば、塩濃度差Δceの値が、予め設定された所定値以上であるという条件、または、塩濃度差Δceの値が、予め設定された所定範囲内に存在するという条件がある。
本実施例では、推定電流密度Imおよび測定電流密度Irの差分を用いているが、これに限るものではなく、推定電流密度Imおよび測定電流密度Irの比を用いることもできる。
塩濃度差Δceが大きい領域において電流推定誤差(Im−Ir)が発生するのは、電極内での電解液の塩濃度が低下することによって発生する電池抵抗の上昇分が、実際の二次電池1と電池モデルとで異なるからであると考えられる。一方、電池抵抗の上昇に起因する電圧変化量ΔVは、実際の二次電池1と電池モデルとで等しい。このため、実際に発現する電池抵抗の増加分をRrとし、電池モデルにおける電池抵抗の増加分をRmとすると、下記式(40)が成り立つ。
本実施例では、上記式(40)に関連して、下記式(41)を定義する。
ΔV(t1)は、二次電池1の電圧降下量を示す。Ir(t1)は、電流センサ202によって検出された電流値Ibから得られた電流密度であり、Rr(t1)は、電流値Ibが得られたときの二次電池1の内部抵抗である。Im(t1)は、電流推定部313によって推定された電流密度I(t)であり、Rm(t1)は、電流推定部313によって推定された電流密度I(t)に対応する二次電池1の内部抵抗である。
Im(t0)は、二次電池1を放置することによってハイレート劣化が解消したときの電流密度であり、Rm(t0)は、電流密度Im(t0)に対応する二次電池1の内部抵抗である。
上記式(41)において、下記式(42)の関係が成り立つ。
上記式(42)において、内部抵抗Rm(t1)には、ハイレート劣化に伴う内部抵抗が含まれる可能性がある。このため、内部抵抗Rm(t1)は、ハイレート劣化が発生していないときの内部抵抗Rm(t0)よりも高くなる。
上記式(M1f)によれば、上記式(41)を下記式(43)で表すことができる。
上記式(43)において、ハイレート劣化に影響を与えない成分に関する値(I×Rd)は省略する。また、温度T(t0)を温度T(t1)と仮定する。このように仮定すると、上記式(43)は、下記式(44)で表される。
上記式(44)は、下記式(45)に変形することができる。
上記式(45)によれば、抵抗変化率gr(t1),gr(t0)を算出しておき、電流推定部313によって電流密度I(t1)を推定すれば、ハイレート劣化が発生していないときの電流密度I(t0)を推定することができる。
ハイレート劣化に伴う抵抗上昇量ΔRhは、下記式(46)で示すように、ハイレート劣化を含む内部抵抗Rrと、ハイレート劣化を含まない電池抵抗Rr0との差分に相当する。
上記式(46)の両辺に電流値Irを乗算すれば、下記式(47)に示すように、ハイレート劣化に伴う電圧変化量ΔVhrを算出することができる。
推定電流密度Imから算出される推定抵抗Rmについて、ハイレート劣化の影響が小さく、無視できるものと仮定すると、抵抗Rr0は、推定抵抗Rmと見なすことができる。このため、上記式(46),(47)は、下記式(48),(49)で表される。
一方、ハイレート劣化は、推定電流Imおよび測定電流Irの誤差として観察できるため、ハイレート劣化に伴う電圧変化量ΔVhmは、下記式(50)で表される。
上記式(50)において、ΔIは、電流推定誤差である。
測定値としての電圧降下量ΔVhrと、推定値としての電圧降下量ΔVhmとが等しいと仮定すると、上記式(48)〜式(50)から下記式(51)が得られる。
上記式(51)から下記式(52)が得られる。
また、上記式(41)を用いれば、ハイレート抵抗上昇量ΔRh(t1)を、下記式(53)で表すことができる。
上記式(53)に含まれる補正係数ξは、下記式(54)で表される。
上記式(54)によれば、抵抗変化率gr(t1), gr(t0)と、電流推定部313によって推定された電流密度Im(t1)とに基づいて、ハイレート劣化が発生していないときの電流密度Im(t0)を算出することができる。電流密度Im(t0)を算出すれば、上記式(41)に基づいて、電池抵抗Rm(t0)を算出(推定)することができる。すなわち、電圧変化量ΔV(t1)を電流密度Im(t0)で除算すれば、内部抵抗Rm(t0)を算出することができる。
電流密度Im(t0)および内部抵抗Rm(t0)を算出できれば、上記式(53)を用いて、ハイレート抵抗上昇量ΔRh(t1)を算出することができる。ハイレート抵抗上昇量ΔRh(t1)を算出すれば、上述したように、ハイレート抵抗上昇量ΔRh(t1)の変化に応じて、閾値Eを変更することができる。
100:組電池、1:二次電池、201:監視ユニット、202:電流センサ、
203:温度センサ、204:電流制限抵抗、205:インバータ、
206:モータ・ジェネレータ、300:コントローラ、300a:メモリ
SMR−B,SMR−G,SMR−P:システムメインリレー、
PL:正極ライン、NL:負極ライン
203:温度センサ、204:電流制限抵抗、205:インバータ、
206:モータ・ジェネレータ、300:コントローラ、300a:メモリ
SMR−B,SMR−G,SMR−P:システムメインリレー、
PL:正極ライン、NL:負極ライン
Claims (9)
- 二次電池の充放電時における電流値を検出する電流センサと、
前記二次電池の放電電力が上限値を超えないように前記二次電池の放電を制御するコントローラと、を有し、
前記コントローラは、
前記二次電池の放電による塩濃度の偏りに伴って前記二次電池の内部抵抗を上昇させる劣化成分を評価するための評価値を、前記電流センサを用いて検出された充放電状態から算出し、
前記評価値に関する値が第1閾値に到達することに応じて、前記上限値を低下させ、
前記二次電池の内部抵抗に関する値が第2閾値よりも小さいとき、前記第1閾値を上昇させる、
ことを特徴とする電池システム。 - 前記コントローラは、前記評価値が前記第1閾値に到達することに応じて、前記上限値を低下させることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
- 前記コントローラは、目標値を超える前記評価値を積算した積算値が前記第1閾値に到達することに応じて、前記上限値を低下させることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
- 前記コントローラは、前記劣化成分に起因する前記内部抵抗が前記第2閾値よりも小さいとき、前記第1閾値を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池システム。
- 前記コントローラは、前記劣化成分と、前記二次電池を構成する材料の摩耗によって前記二次電池の内部抵抗を上昇させる劣化成分とに起因する前記内部抵抗が前記第2閾値よりも小さいとき、前記第1閾値を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池システム。
- 前記コントローラは、劣化前における前記二次電池の内部抵抗と、劣化後における前記二次電池の内部抵抗との比で表される抵抗変化率が前記第2閾値よりも小さいとき、前記第1閾値を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の電池システム。
- 前記コントローラは、前記内部抵抗に関する値が前記第2閾値に到達することに応じて、前記第1閾値を低下させることを特徴とする請求項1に記載の電池システム。
- 前記二次電池は、車両を走行させる運動エネルギに変換される電気エネルギを出力することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の電池システム。
- 前記二次電池は、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電池システム。
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