JP2014169193A - ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料及びその製造方法 - Google Patents

ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】化学からエレクトロニクスまで様々な技術分野で利用価値の高い材料物性を備え、多種多様なナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された新規な炭素材料及びその製造方法を提供し、また、この複合炭素材料でコーティングされた耐熱性材料からなる構造物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ナノカーボン12を構成する一部の炭素原子を金属13中に一旦溶解させ、そのフラックス中の炭素原子12,14をグラファイト構造として再構成する。その結果、ナノカーボン12とグラフェンまたはグラファイト15,16,17が強固な化学結合を介して結び付けられ、ナノカーボン12とグラフェンまたはグラファイト15,16,17が渾然一体となった構造を有する複合炭素材料20を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノカーボンと、グラファエン(またはgraphene;グラフェン)もしくはグラファイトが複合した炭素材料及びその製造方法に関し、特に、炭素材料を中間材料として使用し、軽量・高強度の構造材が必要とされる宇宙、航空、防衛、自動車分野、土木建築、スポーツ・レジャー用品、X線関連の医療器具などの産業分野に適用されるナノカーボンと、グラフェンもしくはグラファイトとの複合材、絶縁体材料を表面強化のためにコーティングする化学、材料などの産業分野に適用されるナノカーボンと、グラフェンもしくはグラファイトが複合した材料、ならびに、次世代のエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、スピントロニクスなどの産業分野に適用されるナノカーボンと、グラフェンもしくはグラファイトが複合した材料と、その製造方法に関する。
炭素材料は、sp混成軌道を持つ炭素からなるダイヤモンド系、sp混成軌道を持つ炭素からなるグラファイト(もしくは黒鉛)系、sp混成軌道を持つ炭素からなるカルビン(またはポリイン)系などの同素体とその複合系からなる極めて多種多様な材料群を構成する。今迄に、ダイヤモンド、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料などの炭素材料が産業上利用される一方で、他方、近年のナノサイエンス・ナノテクノロジーの発展に伴い、ナノカーボンと呼ばれる新規炭素材料が注目を浴び、その応用展開に期待が集まっている。
ナノカーボンとはその空間的な大きさを表す次元の少なくとも1つがナノスケールで規定される炭素同素体である。例えば、構成炭素の混成状態で分類すると、次の3種類となる。すなわち、sp炭素系では、直径が4〜5nmのダイヤモンド微粒子であるナノダイヤモンド、sp炭素系では、C60に代表される大きさが分子サイズのフラーレン、原子層2次元薄膜であるグラフェン、グラフェン片の酸化物である酸化グラフェン、グラフェンを直径がナノメートルオーダーの円筒形に丸めた単層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの入れ子構造を持つ多層カーボンナノチューブ、グラフェンをナノメートルサイズの円錐形に丸めた構造を持つカーボンナノホーン、sp炭素系では直線鎖状分子のカルビン(またはポリイン)がナノカーボンとして名を連ねている。
また、ナノカーボンを定義通りに次元性の観点から分類すると、次の3種類になる。すなわち、3次元ともナノサイズの群(0次元系)にはフラーレン、ナノダイヤモンド、カーボンナノホーン、2次元がナノサイズの群(1次元系)にはカルビン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、1次元がナノサイズの群(2次元系)にはグラフェン、酸化グラフェンが含まれる。
上記ナノカーボンは構成炭素の混成状態と次元性に由来して、それぞれが独特の電子的、光学的、機械的、化学的性質を呈する。
例えば、電気伝導性の観点から見ると、フラーレン結晶は絶縁体もしくは半導体、ナノダイヤモンド凝集体は表面に吸着する水分子の有無に依存するが基本的に絶縁体もしくは半絶縁体、カーボンナノホーン凝集体は金属的な良導体、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブはその螺旋度、直径や入れ子状態に依存して半導体もしくは金属的な良導体、グラフェンは無限平面の場合は金属的な良導体、2次元中の1次元がナノサイズの場合は、その端構造に依存して金属的な良導体もしくは半導体、酸化グラフェン凝集体は酸化・還元状態に依存するが基本的に絶縁体もしくは半絶縁体である。
また、機械的強度に着目すると、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、グラフェンはsp混成炭素原子が蜂の巣上に配列し、隣接する炭素原子同士が強固な共有結合で結びついていることに由来して、剛性に指標であるヤング率は1TPa(テラパスカル)を超え、破壊限界強度も物質中最高レベルである。
さらに、電子物性的には、単層カーボンナノチューブやグラフェンは、電界によるキャリアの移動のし易さの指標である移動度が既存半導体と比較して桁違いに大きく、また、電子のスピン状態を維持できる距離の指標であるスピン拡散長も2桁以上大きい。特にグラフェンは、その移動度は理論上1×10cm/Vsという値を持ち、また、そのスピン拡散長は10μm程度と、それぞれ物質中最高レベルに達する。上述の如く、ナノカーボンの物性は多様性に富むと伴に、それぞれが卓越していることから、既存材料の物理的・物質的限界を打破する新規材料として、化学からエレクトロニクスに渡る幅広い産業分野での応用が期待されている。
近年、ナノカーボンの産業上の重要性を鑑み、その研究開発が進められる一方で、他方、ナノカーボンを組み合わせた材料、すなわち、ナノカーボン複合材料に関する技術も盛んに報告されている。例えば、グラフェンとカーボンナノチューブが電気的に連結した複合構造体に関する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。また、メカノケミカル処理によりアモルファス炭素を介して連結されたカーボンナノチューブの網目構造に関する技術が特許文献3に開示されている。さらに、グラフェン片とカーボンナノチューブを溶液分散により混合したグラフェン/カーボンナノチューブに関する技術が特許文献4、特許文献5、ならびに特許文献6に開示されている。
特開2011−105583公報 (第3−4頁、図1) 特開2011−110694公報 (第3−4頁、図1) 特許第3823784号公報 (第3−5頁、図12) 特開2011−26194公報 (第2−4頁、図2) 特開2011−198749公報 (第2−4頁、図8) 特開2011−198750公報 (第2−4頁、図8)
しかしながら、特許文献1〜6のナノカーボンを複合化する技術に代表される従来技術にはいくつかの問題がある。
第1の問題点は従来技術で製造されるナノカーボン複合材料が構造的に脆弱であることである。この原因は従来技術ではナノカーボン同士が非常に弱いファンデルワールス力のみで凝集しているに過ぎず、炭素原子のsp(n=1、2、3)混成による共有結合に基づく化学結合を介して一体化できないことに起因する。その理由は複合化の工程において黒鉛化(グラファイト化、グラフェン化を含む)が行われないことにある。
例えば、特許文献1及び2に開示される技術では、グラフェン上の金属触媒層を介してカーボンナノチューブを成長させる製造工程が必要である。そのために製造後、グラフェンとカーボンナノチューブ間には金属が残り、不純物を含んだナノカーボン複合材になってしまう。また、製造後に必要に応じて金属触媒層を除去する工程も示されるが、グラフェンとカーボンナノチューブ間の連結部位が消失するため、実質上両者は分離してバラバラになってしまう。
一方、特許文献3に開示される技術では、多層カーボンナノチューブ外層をメカノケミカル処理によりアモルファス化し、そのアモルファス炭素残渣により隣接する多層カーボンナノチューブ内層同士を連結する。しかし、黒鉛化の工程がないため、アモルファス炭素残渣同士、もしくはアモルファス炭素残渣と多層カーボンナノチューブ内層との間には強固な化学結合は存在せず、結果として複合化材料の機械的強度が非常に弱い。
さらに、特許文献3〜6に開示される技術においては、カーボンナノチューブ膜をグラフェン分散液で浸漬後、乾燥させるだけで、やはり、黒鉛化の工程を含まない。従って、カーボンナノチューブとグラフェンの間には炭素−炭素間の共有結合を含む化学結合が欠如しているため、他の特許文献の技術同様、構造的に非常に脆弱である。
第2の問題点は多種多様なナノカーボン複合材料を従来技術では提供できないことにある。この原因は従来技術がカーボンナノチューブとグラフェンの複合化に特化していることに起因する。その理由は従来技術がカーボンナノチューブの性質に深く依存しているためである。
例えば、特許文献1及び2に開示される技術では、金属触媒によるカーボンナノチューブ成長を利用している。そのため、一般に成長機構や製造工程が異なる他のナノカーボン、例えば、フラーレン、ナノダイヤモンド、酸化グラフェンなどには適用できない。また、特許文献3の技術では、多層カーボンナノチューブが入れ子構造を持つことを利用しているので、これ以外のナノカーボンには適用不可である。
第3の問題点は従来技術のナノカーボン複合材料は産業上の利用範囲が非常に限定的なことである。この原因はナノカーボンを複合化して得られる利点が特定目的に特化しているか、もしくは利点がそもそも欠如していることに起因する。その理由はナノカーボン複合化による相乗的効果、相補的効果、派生的効果が従来技術では殆ど期待できないためである。
例えば、特許文献1及び2に開示される技術は主に回路技術に特化することが想定されているため、構造強化の目的には使用できない。
また、特許文献3に開示される技術は電気的・機械的特性に劣るアモルファス炭素とカーボンナノチューブを複合化させているため、産業的利用価値が乏しい。すなわち、この従来技術は多層カーボンナノチューブをただ単に劣化させ、それが持つ優れた特長を帳消しにしていると見なすことも可能である。
さらに、特許文献3〜6に開示される技術はグラフェン片とカーボンナノチューブを溶液プロセスにより混合したに過ぎない。すなわち、この従来技術は容易類推の範疇に属する上、複合化に伴う相乗的効果、相補的効果、派生的効果が不明である。
従って、本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。
本発明の第1の目的は、産業上利用価値の高い材料物性を備え、フラーレン、ナノダイヤモンド、カルビン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、カーボンナノホーンなど多種多様なナノカーボンが利用可能である、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された新規炭素材料及びその製造方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、上述の新規複合炭素材料でコーティングされた耐熱性材料からなる構造物及びその製造方法を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料であって、前記ナノカーボンとグラフェンまたは前記グラファイトが炭素−炭素間の共有結合またはグラファイト面間のファンデルワールス結合を介して一体化した構造を有する、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料である。
また、本発明の第2の態様は、耐熱性材料が前記のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料でコーティングされている構造物である、耐熱性材料からなる構造物である。
また、本発明の第3の態様は、(a)金属をナノカーボンに接触させ、前記金属を加熱することで、前記金属中に前記ナノカーボンの表面の炭素を溶解させる工程と、(b)前記金属を冷却することで、前記金属に接触させた前記ナノカーボンの表面に前記金属中の前記炭素をグラフェンまたはグラファイトとして析出させることで、前記ナノカーボンと前記グラフェンまたはグラファイトが一体化した構造を形成する工程と、(c)前記構造から前記金属を除去する工程とを含む、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法である。
さらに、本発明の第4の態様は、前記のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法において、前記(a)工程は、さらに、前記ナノカーボンを耐熱性材料からなる構造物上に配置することを含み、前記(b)工程は、さらに、前記構造により前記耐熱性材料からなる構造物をコーティングすることを含む、耐熱材料からなる構造物の製造方法である。
本発明の効果は、構造的に強靭である、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された新規炭素材料及びその製造方法を提供することができることである。
(a)−1,(a)−2,(b)−1,(b)−2,(c)−1,(c)−2,(d)−1,(d)−2,(e)−1,(e)−2,(f)−1,(f)−2及び(g)−1,(g)−2は本発明の第1の実施の形態によるナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料及びその製造方法の工程を示す斜視図及び断面図である。 (a)−1,(a)−2及び(b)−1,(b)−2は、本発明の第2の実施の形態によるフラーレンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の構造を示す図である。 (a),(b)及び(c)は本発明の第3の実施の形態によるナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造工程を構造とともに示す図である。 (a),(b)及び(c)は、本発明の第4の実施の形態によるカルビン(ポリイン)とグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造の説明を各物質の構造に基づいて説明した図である。 (a)−1,(a)−2及び(b)−1,(b)−2は、本発明の第5の実施の形態によるカーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造方法を各物質の構造に基づいて説明するのに供せられる図である。 (a)は本発明の第6の実施の形態によるカーボンナノチューブ複合炭素材料の2次元的構造の例、(b)はその3次元的構造の例を示す図である。 (a),(b),(c)及び(d)は、本発明の第7の実施の形態による酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造工程を構造に基づいて説明するのに供せられる図である。 (a)及び(b)は本発明の実施例1による複合化前後のサファイア(0001)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真、ならびに、(c)及び(d)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜のラマンスペクトルを示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施例2によるフッ化フラーレンC6036とグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(単結晶石英(0001)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a)及び(b)は、本発明の実施例3によるナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(炭素繊維強化炭素複合材料基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a)及び(b)は、本発明の実施例4によるナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(ガラス状炭素基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a),(b),(c)及び(d)は、本発明の実施例5によるナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(サファイア(0001)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真とラマンスペクトルを示す図である。 (a)及び(b)は本発明の実施例6による単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(炭素繊維強化炭素複合材料基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a),(b),(c)及び(d)は本発明の実施例7による単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(サファイア(0001)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真とラマンスペクトルを示す図である。 (a),(b),(c)及び(d)は本発明の実施例7による単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(サファイア(0001)基板上)の光学顕微鏡像、SEM像を夫々示す写真、ならびに、ラマンマッピング像を示す写真である。 (a)及び(b)は、本発明の実施例8による単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(サファイア(1−100)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a)及び(b)は本発明の実施例9による単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(単結晶石英(0001)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a),(b),(c)及び(d)は本発明の実施例10による単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(炭化ケイ素(6H−SiC(0001)/C面)基板上)の光学顕微鏡像とSEM像を示す写真である。 (a)及び(b)は本発明の実施例11による多層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(炭素繊維強化炭素複合材料基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a),(b),(c)及び(d)は本発明の実施例12による多層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(サファイア(0001)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真とラマンスペクトルを示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施例13による酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(炭素繊維強化炭素複合材料基板上)の光学顕微鏡像を示す写真である。 (a),(b),(c)及び(d)は、本発明の実施例14による酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(サファイア(0001)基板上)の光学顕微鏡像を示す写真とラマンスペクトルを示す図である。 (a),(b),(c)及び(d)は、本発明の実施例15によるカーボンナノホーンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料(炭素繊維強化炭素複合材料基板上)の光学顕微鏡像を示す写真とラマンスペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態及び実施例等に記載される材料や方法に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図1(a)−1,(a)−2,(b)−1,(b)−2,(c)−1,(c)−2,(d)−1,(d)−2,(e)−1,(e)−2,(f)−1,(f)−2及び(g)−1,(g)−2は本発明の第1の実施の形態によるナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料及びその製造方法の工程を夫々示す斜視図及び断面図である。
図1(g)−1,(g)−2を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料20は、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが渾然一体となった新構造を有する複合炭素材料である。この炭素材料20は、次のように構成される。
まず、図1(d)−1、図1(d)−2を参照すると、金属材料13とナノカーボン12とを接触させて加熱処理すると、ナノカーボンを構成する一部の炭素原子がフラックス(高温用の溶媒)として用いる金属中に一旦溶解し、その金属中の炭素原子がグラファイト構造として再構成される。その結果、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが、炭素原子のsp(n=1、2、3)混成による共有結合に基づく化学結合、及びグラファイト面間のファンデルワールス力に基づく化学結合を介して強固に結び付けられ、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが渾然一体となった新構造を有する複合炭素材料が得られる。
本発明の第1の実施の形態による新規複合炭素材料は、複合する元のナノカーボングラフェンまたはグラファイトと比較して、産業上の利用価値が著しく向上する。なぜなら、複合化に伴い、両者の好ましい性質をさらに互いに高める相乗的効果、一方の好ましくない性質を他方が補う相補的効果、さらには、両者に元々ない全く新しい性質を生む派生的効果が生まれるからである。
例えば、上記の相乗的効果の例としては次のような場合が考えられる。半導体型の単層カーボンナノチューブ膜のシート抵抗は単独では単層カーボンナノチューブ同士間の接触抵抗に支配されるが、単層カーボンナノチューブ間の接触部位をグラフェン化すれば、単層カーボンナノチューブ膜の半導体性を保ちつつ接触抵抗は著しく低減することが可能である。また、相補的効果の例としては、カーボンナノホーン凝集体は単独では構造的に脆いが、強固な共有結合を介してグラフェンと一体化することで機械的強度を増大することが挙げられる。さらに、派生的効果が期待される例としては、C60などのフラーレンもしくはカルビンと、グラフェンの複合化による超伝導性の発現が挙げられる。
なお、本発明の第1の実施の形態によるナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料20の製造方法によれば、後に詳細に説明するように、グラフェンまたはグラファイトと複合化するナノカーボンは2種類以上でも対応可能である。
グラフェンまたはグラファイトと複合化するナノカーボンが2種類以上の場合には、更なる相乗的・相補的・派生的効果が期待できる。
次の、本発明の第1の実施の形態によるナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料の製造方法について、具体的に説明する。本発明の第1の実施の形態によるナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料の製造方法は、第1の工程乃至第6の工程を有している。
第1の工程では、まず、図1(a)−1及び(a)−2に示すように、構造物11を用意する。構造物11はその表面が必ずしも平坦である必要はなく、3次元的構造を有しても構わない。また、構造物1は耐熱性のある材料から選択可能であり、主に以下の6つの群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
構造物11の第1群は、カルビン、ダイヤモンド、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料などの炭素材料である。
また、第2群は、石英(SiO)、アルミナやサファイア(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア(ZrO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などの酸化物である。
また、第3群は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)などの窒化物である。
第4群は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)。炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)などの炭化物である。
第5群は、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)などのフッ化物である。
第6群は、雲母(マイカ)、ダイヤモンドなどのその他の耐熱材料である。
次に、第2工程では、図1(b)−1及び(b)−2に示すように、構造物11の表面にナノカーボン12を配置する。
ナノカーボン12としては、フラーレン、ナノダイヤモンド、カルビン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、カーボンナノホーンからなる群から少なくとも1つが選択可能である。
ナノカーボン12の配置の方法としては、次の3つの方法が適宜利用できる。
第1の配置方法は、真空蒸着法、分子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、レーザー蒸発法などの乾式法である。この方法は、出来合いのナノカーボンの配置のほか、ナノカーボンのその場(in situ)成長に利用する目的で用いられる。
第2の配置方法は、滴下法、スピンコート法、ディップコート法などの湿式法である。この方法はナノカーボンを溶媒に溶解もしくは懸濁させることで利用可能である。
第3の配置方法は、吹付塗布法、エアースプレー塗布法、電着塗布法、静電塗布法などである。この方法はナノカーボンを大面積の凹凸のある表面に配置するのに適する。
次に、図1(c)−1及び(c)−2に示すように、第3の工程として、ナノカーボン12上に金属13を配置する。また、必要に応じて、図1(d)−1及び(d)−2に示すように金属13上に炭素含有材料14を配置する。
金属13は、後述の通り、加熱時にナノカーボン12または炭素含有材料14を構成する炭素を溶解させ、冷却時に溶解炭素をグラフェンまたはグラファイトとして析出させるフラックス(高温用の溶媒)としての役割がある。
金属13としては、例えばガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)の群から選ばれる少なくとも1つを用いることが出来る。
炭素含有材料14は、複合炭素材料を構成するグラフェンまたはグラファイトを成長させる時の補助的な炭素源である。ナノカーボン12から供給される炭素では不十分な場合、複合炭素材料中、ナノカーボンに対するグラフェンまたはグラファイトの割合を増加させたい場合などに適宜使用する。
炭素含有材料14としては、基本的に炭素を含む材料ならば何でも良い。但し、炭素含有率が20%以上のものが望ましく、さらに、ほぼ炭素のみで構成される上記炭素同素体がより望ましい。以下の5つの群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
炭素含有材料14の第1群は、無定形炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、カルビン、単層ならびに多層カーボンナノチューブ、C60やC70に代表されるフラーレン、ダイヤモンド、ナノダイヤモンドなどの炭素同素体である。
第2群は、メタロセン、ナフタレン、アントラセン、ペンタセンなどの低分子有機化合物である。
第3群は、テフロン(登録商標)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、ポリエチレンなどの人工高分子有機化合物である。
第4群は、タンパク質、DNA、RNA等の核酸、脂質、多糖類などの天然高分子有機化合物である。なお、脂質としては:アシルグリセロール、蝋、セラミド等のアルコールと脂肪酸のエステルである単純脂質;スフィンゴリン脂質、グリセロリン脂質等のリン脂質、スフィンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質等の糖脂質、リポタンパク質、スルホ脂質 等の分子中にリン酸や糖を含む脂質で、一般にスフィンゴシンまたはグリセリンが骨格となる複合脂質;または、脂肪酸、テルペノイド、ステロイド 、カロテノイド等の単純脂質や複合脂質から、加水分解によって誘導される化合物で生体中で遊離して存在するイソプレノイドも含む誘導脂質のいずれであっても良い。
一方、多糖類としては、アミロース、アミロペクチンなどのデンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、及びキシログルカンなどを例示することができる。
第5群は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)。炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)などの炭素を含む無機化合物である。
第4の工程として、加熱処理を行う。この際、ナノカーボン12、金属13、ならびに炭素含有材料14が配置された構造物1を適当な蓋付きの容器内に収納する。これは加熱時に金属13の流動や蒸散を防ぐためである。加熱を行うと、図1(e)−1及び(e)−2に示すように金属13が溶融し、ナノカーボン12の間隙に含浸する。同時に、ナノカーボン12または炭素含有材料14を構成する炭素の一部が金属13に溶解する。この溶解炭素がナノカーボンと一体化するグラフェンまたはグラファイトの原料となる。
加熱する手段としては、次の3つの方法を適宜用いることが可能である。
第1の加熱方法は、電気炉、赤外線ランプによる加熱方法である。
第2の加熱方法は、高周波誘導加熱装置を用いる加熱方法である。
第3の加熱方法は、マイクロ波誘電加熱装置を利用する加熱方法である。
第1、第2,および第3の加熱方法の内のいずれの加熱方法においても、加熱温度の条件は次の通りである。
加熱する温度は、600℃以上が必要で、800℃以上が望ましく、1000℃以上がより好ましい。
ここで、600℃という温度範囲の下限は、グラフェン化またはグラファイト化に最低限必要な温度に対応する。加熱する温度を上昇させると、グラフェンまたはグラファイトの品質が向上する。グラフェンやグラファイトの品質はラマンスペクトルに現れるDバンドとGバンドの強度比であるD/G比を指標として定量化可能で、D/G比は低い程、グラフェンまたはグラファイトの品質が高い。例えば、加熱温度を800℃以上にすると、D/G比≦0.2である、高品質なグラフェンまたはグラファイトを形成することが可能である。さらに、加熱温度が1000℃以上であれば、D/G比≦0.1である、特に高品質なグラフェンまたはグラファイトを得ることが出来る。
第5の工程では、冷却処理を行う。冷却を行うと、金属13に溶解した炭素がグラフェンまたはグラファイト15、16ならびに17として、ナノカーボン12と一体化して析出する。グラフェンまたはグラファイト15はナノカーボン12を融合する場合、グラフェンまたはグラファイト16はナノカーボン12の表面を被覆する場合、グラフェンまたはグラファイト17はナノカーボン12の間隙を埋める場合である。その際、グラフェンまたはグラファイト15、16ならびに17はナノカーボン12と化学結合を介して原子レベルで一体化している。この化学結合は炭素原子間のsp(n=1、2、3)混成による共有結合に基づく共有結合とグラファイト構造面間のファンデルワールス結合の組み合わせなので、極めて強固で頑強である。結果として、図1(f)−1及び(f)−2に示すように、ナノカーボン12とグラフェンまたはグラファイト15、16ならびに17が渾然一体となった新構造が形成される。
第5の工程の冷却処理の条件は次の通りである。
単位時間当たりの降下温度、すなわち、冷却速度は小さい程、高品質のグラフェン、またはグラファイトが得られる。例えば、加熱した温度から400℃までの範囲で、100℃/分以下が必要で、10℃/分以下が望ましく、1℃/分以下がより好ましい。なお、400℃以下では自然放熱による冷却で構わない。
ここで、100℃/分以下という冷却速度の上限は、金属3中の溶解炭素がアモルファスとして析出させないために許される最高速度である。例えば、冷却速度を10℃/分以下にすると、D/G比≦0.2である、高品質なグラフェンまたはグラファイトを形成することが可能である。さらに、冷却速度が1℃/分以下であれば、D/G比≦0.1である、特に高品質なグラフェンまたはグラファイトを得ることが出来る。
但し、複合炭素材料中に格子欠陥を意図的に導入する場合は急冷が用いられる。例えば、後述する通り、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料中の金属型単層カーボンナノチューブの半導体化には冷却速度を100℃/分以上が好ましい。
第6の工程として、金属13及び炭素含有材料14を除去する。金属13の除去は溶融状態で物理的に吸引すればよい。また、金属13は酸・アルカリ処理で化学的に溶解除去することもできる。
以上の第1乃至第6の工程によって、図1(g)−1及び(g)−2に示すよう最終的に、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料20が得られる。また、同時にナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料20でコーティングされた耐熱性材料からなる構造物19が得られる。
金属13の残渣を溶解する酸としては、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)などを用いることが可能である。金属13がガリウムやアルミニウムのような両性金属の場合は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液を用いることも可能である。洗浄は適当な加温のもと、洗浄液に全体を浸漬すると、洗浄効果が高い。
なお、使用後の金属13はフラックスとして再利用可能である。特に、価格の高いガリウム(Ga)やレアメタルであるインジウム(In)を利用する場合、フラックスの再生は製造コストを顕著に低下させる効果がある。
次に、本発明の第2の実施の形態として、各種ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された炭素材料の構造、ならびに物性と応用を詳細に説明する。
図2は、フラーレンとグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の構造図である。図2(a)−1、(a)−2は、それぞれ、複合化前の構造を示す正面図と断面図であり、図2(b)−1、(b)−2は、それぞれ、複合化後の構造を示す正面図と断面図である。
複合化前に孤立していたフラーレン分子21は、本発明の製造方法を適用すると、グラフェンまたはグラファイト23と化学結合を介して融合したフラーレン22に構造変化し、総体として、フラーレンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料30が得られる。ここでは代表的な構造例を示したが、図1を参照しながら説明した通り、実際の構造は、図2(b)−1、(b)−2に示すフラーレン分子22とグラフェンまたはグラファイト23が共有結合を介して連結した構造、フラーレン結晶をグラフェンまたはグラファイトが被覆した構造、フラーレン結晶の粒界がグラフェンまたはグラファイトで穴埋めされた構造などから構成され、それらが2次元もしくは3次元的に組み合わさって1つの構造を成す。
フラーレン複合炭素材料30は物性的特長としては主に次の3つが挙げられる。
第1に、機械的強度が非常に高いことである。なぜなら、フラーレン複合炭素材料24の構造は、炭素原子のsp(n=1、2、3)混成に基づく化学結合やグラファイト面間のファンデルワールス力に基づく化学結合で支持されるためである。これらの強固な化学結合のお陰で、フラーレン複合炭素材料30は、通常のフラーレン固体で得られない、表面強化材や構造強化材として機能する。
第2に、通常のフラーレン固体は絶縁性もしくは半導体性を呈するのに対し、フラーレン複合炭素材料30は金属性を帯び、さらには超伝導性も期待できる。この物性は複合炭素材料24を構成ずるグラフェンまたはグラファイト23の性質に由来し、ディスプレイ等の透明電極や超伝導デバイスへ応用できる。
第3に、複合炭素材料30はフラーレンを母体にしているため、純粋なフラーレンと接した場合、その界面に不純物準位やショットキー障壁が生じ難い。従って、フラーレンチャネル電界効果トランジスタのエクステンション部を本発明で製造すれば、接触抵抗が顕著に低減するため、素子性能の大幅な向上に繋がる。また、同様の理由で、フラーレン複合炭素材料30はフラーレン利用有機太陽電池の集電材料としての利用が見込まれる。
図3(a),(b)及び(c)は、本発明の第3の実施の形態によるナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造工程を構造とともに示す図である。
図3(a)に示すように、適当な構造物11を用意し、図3(b)に示すように、適当な方法でナノダイヤモンド32を構造物11上に配置する。
次いで、第1の実施の形態で述べた本発明の製造方法を適用すると、図3(c)に示すように、グラフェンまたはグラファイト31と、一部もしくは全体がグラファイト化したナノダイヤモンド34から成るナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料40が得られる。ナノダイヤモンド複合炭素材料40は、共有結合またはファンデルワールス結合を介して、2次元的もしくは3次元的に一体化している。
ナノダイヤモンド複合炭素材料40は、その母体のナノダイヤモンド32が絶縁性または半導体性であることに由来して、フラーレン複合炭素材料30同様の物性と応用を持つ。
ナノダイヤモンド複合炭素材料40の特有の物性としては次の2点が挙げられる。
第1点は母体のナノダイヤモンドに由来する超硬質性である。バルクのダイヤモンドはヤング率が〜1TPaと最も剛性の高い物質の1つであり、ナノダイヤモンドもこの機械的特性を継承する。ただ、通常のナノダイヤモンド材料は、大きさがナノサイズの超微粒子粒子が弱いファンデルワールス力で凝集しているだけなので、その高い剛性を利用することは困難である。しかしながら、本発明で複合化すると、ナノダイヤモンドはグラフェンまたはグラファイト中に固定化されるので、その超硬質性を発揮することが可能となる。従って、ナノダイヤモンド複合炭素材料40は、様々な材料表面の磨耗を防いだり、逆に、様々な材料表面を研磨することに利用することが出来る。
第2点はナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトとの界面状態に由来する光物性である。ダイヤモンド構造のみから成るナノダイヤモンドの場合、可視から近赤外領域の光に対して透明であるのに対し、グラフェンまたはグラファイトと複合したナノダイヤモンドの場合、可視から近赤外領域において界面状態に由来する光吸収が起こる。例えば、ナノダイヤモンド複合炭素材料40に適当な電極を配して、光照射下、電気測定を行うと光電流が観測される。従って、ナノダイヤモンド複合炭素材料40はフォトディテクタや太陽電池に利用することが可能である。
図4(a),(b)及び(c)は、本発明の第4の実施の形態によるカルビン(ポリイン)とグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造の説明を各物質の構造に基づいて説明した図である。図4(a)で示す参照符号「41」と「42」はそれぞれカルビンの共鳴構造1及び2である。第1の実施の形態で示した本発明の製造方法を適用すると、図4(b)で示すグラフェンまたはグラファイト43が成長し、これがカルビン42と化学反応により結合し、最終的に、図4(c)で示すように、カルビン部分44とグラフェンまたはグラファイト部分44から構成される複合炭素材料50が合成される。
図4(c)ではカルビン複合炭素材料50の基本的な骨格構造を示したが、実際には、カルビン部分44は隣接する別のグラフェンまたはグラファイトと、2次元的もしくは3次元的に連結した構造をとる。
カルビン単体は熱力学的にも化学的にも不安定であるが、グラフェンまたはグラファイトと複合することで安定化される。この安定化は、グラフェンまたはグラファイトによる空間的な遮蔽とπ電子共役系の伸張によりもたらされる。これにより、カルビンの産業利用の道が拓かれる。また、カルビン複合炭素材料50は、カルビン部分44の1次元的構造に由来して、超伝導体として機能すると期待され、超伝導デバイスや超伝導送電線への応用が見込まれる。
図5(a)−1,(a)−2及び(b)−1,(b)−2は、本発明の第5の実施の形態によるカーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造方法を各物質の構造に基づいて説明するのに供せられる図である。図5(a)−1は、複合化前の構造を示す正面図、図5(a)−2は、複合化前の構造を示す断面図、図5(b)−1は複合化後の構造を示す正面図、及び図5(b)−2は、複合化後の構造を示す断面図である。
複合化前に散在していたカーボンナノチューブ51は、本発明の製造方法を適用すると、グラフェンまたはグラファイト53と化学結合を介して一体化したカーボンナノチューブ52に構造変化し、総体として、ナノチューブ51とグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料60が得られる。
ここでは代表的な構造例を示したが、図1を用いて説明したように、実際の構造は、図5(b)−1、及び(b)−2に示すカーボンナノチューブ52とグラフェンまたはグラファイト53が共有結合を介して連結した構造、カーボンナノチューブ凝集体をグラフェンまたはグラファイトが被覆した構造、ナノチューブ凝集体の間隙がグラフェンまたはグラファイトで穴埋めされた構造などから構成される。
図6(a)は本発明の第6の実施の形態によるカーボンナノチューブ複合炭素材料の2次元的構造の例、図6(b)はその3次元的構造の例を示す図である。それぞれ、参照符号「61」はカーボンナノチューブ、参照符号「62」はグラフェンまたはグラファイト、参照符号「70」はカーボンナノチューブ複合炭素材料であり、本発明で示されるカーボンナノチューブ複合炭素材料70は2次元的、3次元的な広がりを持つことが示される。
カーボンナノチューブ複合炭素材料70は、複合化していない通常のカーボンナノチューブ凝集体と比較すると、次の3点の物性で特徴付けられる。
第1点は機械的特性の顕著な向上である。すなわち、通常のカーボンナノチューブ凝集体は弱いファンデルワールス力でのみで集合しているに過ぎないので、構造的に脆弱であるのに対し、ナノチューブ複合炭素材料70は、炭素原子のsp(n=1、2、3)混成による共有結合またはグラファイト面間のファンデルワールス結合を介して、カーボンナノチューブ61とグラフェンまたはグラファイト62とが2次元もしくは3次元的に渾然一体となっているため、構造的に強靭である。
さらに、本発明によるグラフェン化・グラファイト化に伴い、カーボンナノチューブの開口部が穴埋めされるため、耐熱性、耐薬品性、耐酸化性、耐スパッタ性も向上する。従って、本発明はカーボンナノチューブ膜の構造強化の目的に利用することが可能で、さらに様々な材料表面のコーティング技術に応用できる。
また、図6(b)に示す網目構造は、恰もカーボンナノチューブ61が梁と柱、グラフェンまたはグラファイト62が壁として働く柔構造であるため、カーボンナノチューブ複合炭素材料70はスポンジの如く復元性に富む。従って、カーボンナノチューブ複合炭素材料70は耐衝撃のクッション材料やフレキシブルエレクトロニクス材料として利用することが可能である。
第2点は電気的特性の改善である。例えば、通常の半導体型単層カーボンナノチューブ膜のシート抵抗は単層カーボンナノチューブ同士間の接触抵抗に支配されるのに対し、本発明によりグラフェンと複合化すると、単層カーボンナノチューブ間のグラフェン化により、単層カーボンナノチューブは半導体性を保ちつつ、その接触抵抗は著しく低減する。
第3点は金属型単層カーボンナノチューブの半導体化である。通常、単層カーボンナノチューブは半導体型:金属型=3:1の混合物として得られる。半導体型の単層カーボンナノチューブのみを利用するには特別な方法で分離するしかない。しかしながら、本発明の第1の実施の形態による工程を適用すると、加熱時、単層カーボンナノチューブは構成炭素の一部をフラックス溶解により一旦失い、格子欠陥を持つようになる。冷却時、この格子欠陥は通常フラックス溶解炭素で穴埋めされるが、急冷すると、格子欠陥が残る。この格子欠陥により、金属型の単層カーボンナノチューブは半導体化する。
従って、本発明によれば、半金分離によらず、半導体型単層カーボンナノチューブを得ることが可能となる。これはトランジスタのチャネルとして利用することができる。
図7(a),(b),(c)及び(d)は、本発明の第7の実施の形態による酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合化された炭素材料の製造工程を構造に基づいて説明するのに供せられる図である。図7(a)は酸化グラフェン71を示し、グラフェン骨格が酸化された結果、カルボキシル基(−COOH)、カルボニル基(>C=O)、水酸基(−OH)、エポキシ基(>O)、アルデヒド基(−CHO)などの官能基が導入された構造を持つ。
本発明の第1の実施の形態で説明した製造工程を適用すると、図7(b)で示すように、加熱による熱的効果またはフラックスとして利用する金属への溶解効果により、上記官能基の一部もしくは全部が酸化グラフェンから脱離し、構成炭素が一部欠損した構造を持つ酸化グラフェン72へ構造変化する。
さらに、この格子欠陥はフラックスとして用いる金属に溶解した炭素の一部で修復され、図7(c)で示すように、格子欠陥の一部もしくは全部が穴埋めされた構造を持つ酸化グラフェン73へ構造変化する。
これらの構造変化と同時に、フラックスとして用いる金属に溶解した炭素の一部はグラフェンまたはグラファイト75として成長し、図7(d)で示すように、酸化グラフェン71、官能基が脱離した酸化グラフェン72、または格子欠陥が修復された酸化グラフェン73をグラフェンまたはグラファイト75が融合することで、最終的に、酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料80が得られる。
酸化グラフェン73はグラファイト粉末を強力な酸化剤で酸化することで合成される。上述のように、構造上、多数の酸素含有官能基がグラフェン骨格に導入され、構成元素の比率は酸素/炭素〜1程度であることが知られている。そのため、酸化グラフェンとグラフェンとは物性が大幅に異なり、両者は対極的な性質を呈する。例えば、電気的な特性の観点からは、グラフェンが金属的な良導体であるのに対し、酸化グラフェンは酸化−還元状態に応じて絶縁体と金属の中間的性質を持ち、例えば、グラフェンと酸化型の酸化グラフェンの電気伝導率の比は10以上に達する。また、光物性的な観点からは、グラフェンは基本的に金属でバンドギャップがないので、全く発光しないのに対し、酸化グラフェンはその大きさ等に依存して、紫外から可視、近赤外領域で強い蛍光(量子収率:約7%)を発するという顕著な相違がある。さらに、化学的な観点からは、グラフェン片はどんな溶媒中でも分散が困難で沈殿してしまうが、酸化グラフェンは親水基を持つため、親水性溶媒に分散可能で安定な懸濁液が得られる。なお、この酸化グラフェン懸濁液を紙漉きして得られるグラフェンペーパーはバルクとしての破壊強度が顕著に大きく、世界最強の紙として知られる。ただ、グラフェンペーパーを構成する酸化グラフェン間の結合は比較的弱いので、通常の紙と同様、機械的磨耗に脆弱で親水性溶媒や湿気に曝すと分解してしまう。しかしながら、本発明で得られる酸化グラフェン複合炭素材料80は、グラフェンペーパーの長所を残しつつ、短所を克服することが可能である。
なぜなら、酸化グラフェン複合炭素材料80の場合、物性を担う母体は酸化グラフェンである一方、他方、それを構成する酸化グラフェン間はグラフェンで構造上補完されているからである。従って、各種エンジンや電子回路の放熱・熱遮蔽材、加熱や赤外線源用の抵抗体、再生医療や製薬における細胞培地やバイオセンサー用基板、各種電子機器の電磁シールド、バッテリやスーパーキャパシター用の電極や導電補助材など、グラフェンペーパーの利用が期待される産業分野において、酸化グラフェン複合炭素材料80はグラフェンパーパーを凌駕する材料として位置付けられる。この他、上述のナノカーボン複合炭素材料と同様の産業上の応用が見込める。
カーボンナノホーンはグラフェンシートを円錐形に丸めた構造をとり、直径が2〜5ナノメートル、長さ40〜50ナノメートルで不規則な形状を持っている。また、それが数百本寄り集まって直径100ナノメートル程度の球形凝集体を形成するナノカーボンである。本発明で得られる、カーボンナノホーンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料は個々のカーボンナノホーンが化学結合を介してグラフェンまたはグラファイトにより連結した材料である。
カーボンナノホーンは高比表面積、高分散性、及び高導電性といった特性を持つことから、カーボンナノチューブや酸化グラフェンと同様の分野で産業利用が期待されているが、カーボンナノホーンは飛散し易い粉末でナノ粒子の一種であるため、その使用に当たっては環境毒性が懸念されている。しかしながら、本発明を適用すれば、個々のカーボンナノホーンはグラフェンまたはグラファイトにより固定化されるため、外部環境への飛散・漏洩を防止できる。従って、本発明で得られるカーボンナノホーンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料はカーボンナノホーンの産業上利用可能性を大いに高める。
前節での議論は他のナノカーボンにも当てはまる。すなわち、グラフェンまたはグラファイトによるナノカーボンの固定化は本発明の要諦であり、ナノカーボン一般が持つ、飛散・漏洩のし易さに由来する環境リスクは、本発明を用いることで払拭することができるため、ナノカーボンの産業上利用を飛躍的に促進する。
以上説明したように、本発明の第1乃至第7の実施の形態による新規複合炭素材料は、複合する元のナノカーボン材料と比較して、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、耐酸化性、耐スパッタ性が顕著に向上していることから、様々な構造物のコーティング技術に応用可能である。
また、本発明の第1乃至第7の実施の形態によれば、構造的に強靭である、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された新規炭素材料及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の第1乃至第7の実施の形態によれば、フラーレン、ナノダイヤモンド、カルビン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、カーボンナノホーンなど多種多様なナノカーボンが利用可能である、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された新規炭素材料及びその製造方法を提供することできる。
また、本発明の第1乃至第7の実施の形態によれば、複合化による相乗的効果、相補的効果、派生的効果が顕著である、ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合された新規炭素材料及びその製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の第1乃至第7の実施の形態によれば、上述の新規複合炭素材料でコーティングされた耐熱性のある構造物及びその製造方法を提供できる。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例ではフラーレンC60と単層グラフェンが複合した炭素材料を単結晶サファイア(Al(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、C60のトルエン溶液(0.1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶サファイア(0001)基板(10×10×0.5mm)上にC60を製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、C60塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、C60塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から500℃まで加熱して60分間同温度を保持、500℃から最高温度1100℃まで60分間掛けて加熱、次いで500℃まで60分間掛けて冷却、この1100℃加熱・500℃冷却を9回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、C60複合炭素材料が作製されたサファイア基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図8(a)及び(b)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真、ならび図8(c)及び(d)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜のラマンスペクトルを示す図である。図8(a)及び(c)が複合化前のC60塗布膜の場合、一方、図8(b)及び(d)が複合化後のC60複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図8(a)の複合化前の膜は非常に均一であるのに対し、図8(b)の複合化後の膜には視認可能な構造が現れる。この構造はC60と単層グラフェンが複合した結果である。この観察結果は次のラマンスペクトルの測定結果からも支持される。
図8(c)の複合前は、C60に特徴的な1465cm−1付近のラマンバンドが支配的であるのに対し、図8(d)で示すように複合後は単層グラフェンに特徴的な1580cm−1付近のGバンドと2700cm−1付近の2Dバンドが支配的になる。単層グラフェン由来のラマンバンドの出現は、本発明の適用により単層グラフェンが成長していることを意味する。また、複合後、C60由来のラマンバンドはマイナー成分となると伴に、図8(d)に示すように、1475cm−1へ10cm−1高波数シフトする。
60由来のラマンバンドの高波数シフトは、本発明の適用によりC60が構造変化したことを意味し、グラフェンと化学結合を介して一体化したためと解釈される。なお、上記とは別の実験で、作製の加熱温度を上昇させると、C60と厚膜のグラファイトが複合することが確認されている。
本実施例で得られたサファイア基板上C60複合炭素材料膜は可視から近赤外領域で透明(透過率:85%以上)であり、シート抵抗は1kΩ/sq.以下であった。このシート抵抗は複合前のC60塗布膜のそれと比較すると、約7桁の低減であり、顕著な電気的特性の向上が見られた。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、フラーレンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、このフラーレン複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例2)
本実施例ではフラーレンの一種であるフッ化フラーレンC6036とグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶石英(SiO(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、C6036のクロロベンゼン溶液(0.1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶石英(0001)基板(10×10×0.5mm)上にC6036を製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、C6036塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、C6036塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から400℃まで加熱して60分間同温度を保持、400℃から最高温度1000℃まで60分間掛けて加熱、次いで60分間掛けて400℃まで冷却、この1000℃加熱・400℃冷却を9回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、C6036複合炭素材料が作製された石英基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図9は複合化前後の単結晶石英(0001)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前のC6036塗布膜の場合、(b)が複合化後のC6036複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
実施例1のC60の場合と同様、図9(a)で示す複合化前の膜は非常に均一であるのに対し、図9(b)に示す複合化後の膜では識別可能な構造が観察される。この構造はC6036とグラフェンまたはグラファイトが融合したものと結論される。この結論はラマンスペクトルの測定結果からも支持される。
本実施例で得られた石英(0001)基板上C6036複合炭素材料膜は、単体のC6036膜と比較して、顕著な化学的特性の向上が見られた。複合前のC6036塗布膜石英基板と複合後のC6036複合炭素材料膜石英基板上に30%フッ酸(HF)を滴下したところ、前者ではフッ酸がC6036塗布膜を浸透し、石英が浸食され、最終的には、C6036塗布膜は基板から剥がれてしまうのに対し、後者では1日経ってもC6036複合炭素材料膜の剥離は全くなく、膜下の石英の侵食は確認されなかった。これはC6036複合炭素材料膜が化学的侵食を防止するコーティング材として機能することを意味する。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、フラーレンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、このフラーレン複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例3)
本実施例ではナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を炭素繊維強化炭素複合材料上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、ナノダイヤモンドの水溶液(5mg/ml)を用意し、スピンコーターにより炭素繊維強化炭素複合材料基板(15×15×1mm)上にナノダイヤモンドを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、ナノダイヤモンド塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、ナノダイヤモンド塗布基板上にフラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持、800℃まで加熱、800℃から最高温度1400℃まで30分間掛けて加熱、次いで800℃まで30分間掛けて冷却、この1400℃加熱・800℃冷却を7回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、ナノダイヤモンド複合炭素材料が作製された炭素繊維強化炭素複合材料基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図10は複合化前後の炭素繊維強化炭素複合材料基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前のナノダイヤモンド塗布膜の場合、(b)が複合化後のナノダイヤモンド複合炭素材料膜の場合をそれぞれ示している。
図10(a)に示すように、複合前では薄膜干渉が見られるのに対し、図10(b)に示すように、複合後では干渉色が消失し、金属光沢を呈するようになる。この観察結果は屈折率の質的変化、すなわち、絶縁体から金属への変化で説明される。一般に、物質の屈折率は次式の複素数で表現される:N=n+ik(N:複素屈折率、n:屈折率、k:消光係数)。ダイヤモンドは絶縁体なので複素屈折率は実数部のみ、すなわち、n=2.42、k=0であり、屈折率が高く、透過光が減衰しないので、鮮やかな干渉色を呈し易い。一方、グラフェンもしくはグラファイトは金属なので複素屈折率は虚数部も含み、n=2.67、k=1.34(500nm付近の可視光の場合)であり、屈折率は高いものの、透過光が大きく減衰するので、干渉色は現れない。上記(a)から(b)への変化はナノダイヤモンド膜中でグラフェン化またはグラファイト化が進行したことに由来すると解釈できる。この解釈はラマンスペクトルの測定結果からも支持され、複合前ではナノダイヤモンド由来のラマンバンドのみ観測されるのに対し、複合後はナノダイヤモンド由来のラマンバンドは劣勢となり、グラフェンまたはグラファイト由来のラマンバンドが優勢になる。従って、本発明の適用により、ナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料が形成されたと結論付けられる。
本実施例で得られた炭素繊維強化炭素複合材料基板上ナノダイヤモンド複合炭素材料膜において、顕著な機械的特性の向上が見られた。複合前のナノダイヤモンド塗布膜と複合後のナノダイヤモンド複合炭素材料膜の磨耗試験を行ったところ、前者では柔らかい紙で拭うだけで、基板から膜が剥離してしまうのに対し、後者ではダイヤモンド微粒子研磨剤で基板ごと削り取らない限り、膜を除去することは出来なかった。これはナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが強固な化学結合により結びついていることの証左である。また、ナノダイヤモンド複合炭素材料は、基板の炭素繊維強化炭素複合材料と比較しても、研磨レート(単位時間当たりの研磨量)が約4分の1へと低減し、磨耗に対する耐久性の著しい向上が確認された。これはナノダイヤモンド複合炭素材料膜が耐摩耗性の高いコーティング材として機能することを意味する。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、ナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、このナノダイヤモンド複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例4)
本実施例ではナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料をガラス状炭素上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、ナノダイヤモンドの水溶液(5mg/ml)を用意し、スピンコーターによりガラス状炭素基板(15×15×0.5mm)上にナノダイヤモンドを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、ナノダイヤモンド塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、ナノダイヤモンド塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別のガラス状炭素基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して30分間同温度を保持、300℃から最高温度1300℃まで30分間掛けて加熱、次いで1100℃まで180分間掛けて冷却、さらに700℃まで60分間掛けて冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、ナノダイヤモンド複合炭素材料が作製されたガラス状炭素基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図11は複合化前後のガラス状炭素基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前のナノダイヤモンド塗布膜の場合、(b)が複合化後のナノダイヤモンド複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図11(a)に示すように、複合前では、実施例3同様、薄膜干渉が見られるのに対し、図11(b)に示すように、複合後では干渉色が消失すると伴に、ガラス状炭素に元々あるボイド(微小な空洞)が消失し、金属光沢を呈する均一な表面となる。この現象は、実施例3の説明通り、本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の適用によりナノダイヤモンド膜中でグラフェン化またはグラファイト化が進行したためと説明される。また、表面ボイドの消失はそれらがグラフェンまたはグラファイトで穴埋めされたためと説明できる。これらの説明はラマンスペクトルの測定結果からも支持される。
本実施例で得られたガラス状炭素基板上ナノダイヤモンド複合炭素材料膜において、耐酸化性の顕著な向上が見られた。複合前のナノダイヤモンド塗布膜と複合後のナノダイヤモンド複合炭素材料膜を30分間、800℃で空気酸化したところ、前者では完全に膜が消失してしまうのに対し、後者では膜厚の減少は約30%に留まった。これはナノダイヤモンド複合炭素材料膜が耐酸化性の高いコーティング材として機能することを意味する。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、ナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、このナノダイヤモンド複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例5)
本実施例ではナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶サファイア(Al(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、ナノダイヤモンドの水溶液(5mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶サファイア(0001)基板(10×10×0.5mm)上にナノダイヤモンドを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、ナノダイヤモンド塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、ナノダイヤモンド塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源としてガラス状炭素基板を配置した(第1及び第2の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して30分間同温度を保持、300℃から最高温度1300℃まで30分間掛けて加熱、次いで1100℃まで180分間掛けて冷却、さらに700℃まで60分間掛けて冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、ナノダイヤモンド複合炭素材料が作製されたサファイア基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図12(a)及び(b)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真ならび図12(b)及び(c)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜のラマンスペクトルを示す図である。図12(a)、(c)が複合化前のナノダイヤモンド塗布膜の場合、図12(b)、(d)が複合化後のナノダイヤモンド複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図12(a)に示すように、複合前では比較的均一であるものの、基板表面に存在する微小なゴミ近辺に薄膜干渉が見られる。一方、図12(b)に示すように、複合後では干渉色は全く見られず、結晶性グラファイトに特徴的な金属光沢を伴う鏡面となる。
複合後の金属光沢の出現は、実施例1または2で説明した通り、本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の適用によりナノダイヤモンド膜中でグラフェン化またはグラファイト化が進行したためと解釈される。また、この解釈は次に述べるラマンスペクトルの測定結果からも支持される。
図12(c)に示すように、複合前のラマンスペクトルでは、ダイヤモンド構造の全体対称振動に帰属される1326cm−1付近のラマンバンド、ナノダイヤモンドを被覆するグラファイト構造のGバンドに帰属される1600cm−1付近のラマンバンドと、ナノダイヤモンドに特徴的なラマンバンドのみが観測されるのに対し、
図12(d)に示すように、複合後のラマンスペクトルでは、グラファイト構造に特徴的な1580cm−1付近のGバンドと2700cm−1付近の2Dバンドのほか、グラファイト構造に格子欠陥があるとラマン活性になる、1350cm−1付近のDバンドが支配的である。一般に、欠陥由来のDバンドはグラファイト構造のサイズが小さい程、そのラマン強度は大きくなる。
図12(d)の場合、Dバンド強度は他のナノカーボン複合炭素材料と比較して異常に大きく、D/G比から判断すると、グラファイト構造のサイズは約5nmである。この数値はナノダイヤモンドの大きさ(粒径:約4.5nm)とほぼ同じであることから、グラフェンまたはグラファイトはナノダイヤモンドにより、その成長が律速され、その大きさは5nm程度に制限されていると考えられる。従って、図12(a)から図12(b)への変化は、バルクのナノダイヤモンド膜上をバルクのグラフェンまたはグラファイト膜が単純に被覆しているという描像ではなく、ナノサイズのグラフェンまたはグラファイトが個々のナノダイヤモンドを被覆したり、ナノダイヤモンド間の間隙を穴埋めしたり、ナノダイヤモンド同士を連結しているという描像が妥当である。
本実施例で得られたサファイア(0001)基板上ナノダイヤモンド複合炭素材料膜は可視領域において光応答性を示す。サファイア(0001)基板上ナノダイヤモンド塗布膜ならびにサファイア(0001)基板上ナノダイヤモンド複合炭素材料膜に金蒸着により電極を形成し、それぞれ2端子素子を作製した。ナノダイヤモンド複合炭素材料膜の場合、2端子間に1mVのバイアス電圧を印加の下、電流測定を行ったところ、ハロゲンランプからの可視光(パワー密度:1W/cm程度)を照射すると光電流が観測され、照射しない場合より電流値は約25%増加した。一方、ナノダイヤモンド塗布膜の場合、同条件で光電流は全く観測されなかった。この現象は、ナノダイヤモンド複合炭素材料膜からなる2端子素子はショットキー障壁型のフォトダイオードを構成しており、複合化によるシート抵抗の劇的な減少でフォトダイオードとして動作したと説明される。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、ナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、このナノダイヤモンド複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例6)
本実施例では単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を炭素繊維強化炭素複合材料上に作製した結果について述べる。
図1示す製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下の通り作製を行った。
第1に、単層カーボンナノチューブの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより炭素繊維強化炭素複合材料基板(15×15×1mm)上に単層カーボンナノチューブを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、単層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、単層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して30分間同温度を保持、300℃から最高温度1100℃まで30分間掛けて加熱、次いで800℃まで90分間掛けて冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製された炭素繊維強化炭素複合材料基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図13は複合化前後の炭素繊維強化炭素複合材料基板上膜の光学顕微鏡像で、(a)が複合化前の単層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、(b)が複合化後の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合である。
図13(a)に示すように、複合化前では、単層カーボンナノチューブが下地の炭素繊維を被覆し、その膜は青白い干渉色を発している一方、他方、図13(b)に示すように、複合化後では、黄金色の金属光沢を呈する表面が現れる。この現象は、実施例3で説明したように、本発明の適用により単層カーボンナノチューブ中でグラフェン化またはグラファイト化が進行したためである。このグラフェン化またはグラファイト化はラマンスペクトルの測定からも支持される。本発明で得られる単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は、液中での超音波振動によっても、構成要素である単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトへ分解することは非常に困難である。故に、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトは化学結合を介して強固に融合していると考えられる。また、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜を炭素繊維強化炭素複合材料基板から剥離することも極めて難しい。従って、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は下地の炭素繊維とも化学結合を介して一体化していると思われる。
本発明で作製される、炭素繊維強化炭素複合材料基板上の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は顕著な耐スパッタ性を有する。真空中、100eVに加速した、2.5mA/cmのイオン電流密度のXe+イオンを単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜に照射したところ、ラマンスペクトルのD/G比の変化から見積もられるスパッタ収率(Xe+イオン1個当たりスパッタされる炭素原子の数)は2.3×10-7であった。同条件で、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜が形成されていない炭素繊維強化炭素複合材料と比較して6桁以上低く、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は著しい耐スパッタ性を発揮することが明らかとなった。スパッタ耐性の顕著な向上は、Xe+イオンの運動エネルギーを単層カーボンナノチューブが自らの弾性変形の仕事に変換し、その際に発生する熱エネルギーを、単層カーボンナノチューブを補間する、熱伝導性の高いグラフェンまたはグラファイトを介して速やかに散逸するためと説明される。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、この単層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例7)
本実施例では単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶サファイア(Al(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、単層カーボンナノチューブの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶サファイア(0001)基板(10×10×0.5mm)上に単層カーボンナノチューブを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、単層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、単層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源としてガラス状炭素基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持、300℃から最高温度1300℃まで30分間掛けて加熱、次いで1100℃まで120分間掛けて冷却、さらに700℃まで60分間掛けて冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製されたサファイア基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図14(a)及び(b)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜の光学顕微鏡像(透過光)を示す図、図14(c)及び(d)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜のラマンスペクトルを夫々示す図である。図14(a)、(c)が複合化前の単層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、図14(b)、(d)が複合化後の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合を夫々示している。 図14(a)に示すように、複合化前では、単層カーボンナノチューブが束状に凝集した網目状構造が不明瞭ながら観察される。一方、図14(b)に示す複合化後では、網目状構造が顕在化し、詳細に見ると、網目構造の面を張る、濃淡様々な膜の存在が確認される。この観察結果は、単層カーボンナノチューブの網目状構造の面内にグラフェンが成長していることを意味する。次に述べるラマンスペクトルの測定結果と、後述の図14(c),(d)で示すラマンマッピングの結果もこれを支持する。複合化前後のラマンスペクトルを比較すると、図14(c)に示すように、複合化前では、1596cm−1付近の相対強度の大きいGバンドと2675cm−1付近の相対強度の小さい2Dバンドが現れる。一方、図14(d)に示すように、複合化後では、1590cm−1付近の相対強度の大きいGバンドと2700cm−1付近の相対強度が中程度の2Dバンドが現れる。前者は単層カーボンナノチューブに特徴的なラマンバンドであり、後者は単層カーボンナノチューブとグラフェンに特徴的なラマンバンドの重ねあわせであると解釈できる(グラフェンのラマンスペクトルは1580cm−1付近の相対強度の大きいGバンドと2700cm−1付近の相対強度の大きい2Dバンドを特徴とする)。従って、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトの複合化が支持される。
図15はサファイア(0001)基板上の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の、(a)光学顕微鏡像を示す写真、(b)走査電子顕微鏡(SEM)像((a)とは別の場所)を示す写真、(c)Gバンド(1596cm−1)の強度を指標として画像化したラマンマッピング像((a)と同じ場所)を示す写真、(d)2Dバンド(2700cm−1)とGバンド(1580cm−1)の強度比を指標として画像化したラマンマッピング像((a)と同じ場所)を示す写真である。
図15(a)の光学顕微鏡像では単層カーボンナノチューブとグラフェンの存在を確認するのは困難であるが、2つの指標を用いて黄色の枠内をラマンマッピングすると、単層カーボンナノチューブとグラフェンの存在を独立に明示できる。1つめの指標は1596cm−1のラマン信号をグレースケールで表示するもので、単層カーボンナノチューブのみを抽出して画像化できる。2つめの指標は2700cm−1と1580cm−1のラマン信号の比をグレースケールで表示するもので、グラフェンのみが抽出され画像化される。
図15(c)のラマンマッピング像で白く見える部分が単層カーボンナノチューブであり、束状に凝集して3次元的な網目構造をとっていると考えられる。
図15(d)のラマンマッピング像で白く見える部分がグラフェンであり、黒く見える単層カーボンナノチューブの網目構造の間隙を覆っている。
従って、図14で説明した、単層カーボンナノチューブの網目状構造の面内にグラフェンが成長しているという描像は正しいと証明される。
なお、図14(b)のSEM像による観察からも、単層カーボンナノチューブの網目構造の存在、及び、その網目を埋める、様々な層数のグラフェンの存在が確認される。以上の結果より、本発明による単層カーボンナノチューブ複合炭素材料は、単層カーボンナノチューブとグラフェンが融合した構造であると結論付けられる。
本発明で作製される単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は曲げ変形に対する顕著な復元性を持つ。サファイア(0001)基板上の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜をプラスチック基板に転写し、そのプラスチック基板に対して極率1mm−1の曲げ変形を50回繰り返した。曲げ変形操作の前後でシート抵抗を測定したところ、それぞれ、4.0×10Ω/sq.と4.2×10Ω/sq.であり、たった5%の低下に留まった。この曲げ変形に対する復元性は、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトからなる3次元網目構造が応力を分散することで、膜の局所的な破壊を防いでいるためと考えられる。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、この単層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例8)
本実施例では単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶サファイア(Al(1−100))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、単層カーボンナノチューブの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶サファイア(1−100)基板(10×10×0.5mm)上に単層カーボンナノチューブを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、単層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、単層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源としてガラス状炭素基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から400℃まで加熱して60分間同温度を保持、400℃から最高温度1000℃まで30分間掛けて加熱、次いで400℃まで30分間掛けて冷却、この1000℃加熱・400℃冷却を9回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製されたサファイア基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図16は複合化前後のサファイア(1−100)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前の単層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、(b)が複合化後の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合を夫々示している。なお、像の左右を走る縞模様は基板に元々存在する溝構造である。
図16(a)と図16(b)を比較すると、双方伴に単層カーボンナノチューブが束状に凝集した網目状構造が観察される以外、見かけ上、大きな相違は見られない。しかしながら、複合化前後のラマンスペクトルを測定すると、実施例7と同様の結果が得られことから、サファイア(0001)基板上と同様に、サファイア(1−100)基板上でも、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが一体化した構造が得られることが確認される。
サファイア(1−100)基板上の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は電気的物性の面内異方性を持つ。複合化前の単層カーボンナノチューブ塗布膜の電気伝導率は面内方向に依らず一定であった。一方、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の電気伝導率は、サファイア(1−100)基板の溝構造に垂直な方向で2.3×10S/mであるのに対し、平行な方向では1.1×10S/mであり、縦横比が1:5程度の異方性があった。この現象は、基板の溝方向にグラフェンまたはグラファイトが成長し易いことを反映していると考えられる。従って、適当な基板を選べば、面内異方性のあるナノカーボン複合炭素材料膜が得られる。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、この単層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例9)
本実施例では単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶石英(SiO(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い、以下のように作製を行った。
第1に、単層カーボンナノチューブの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶石英(0001)基板(10×10×0.5mm)上に単層カーボンナノチューブを製膜した。第2に、単層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、単層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源としてガラス状炭素基板を配置した(第1及び第2の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から400℃まで加熱して60分間同温度を保持、400℃から最高温度1000℃まで30分間掛けて加熱、次いで400℃まで30分間掛けて冷却、この1000℃加熱・400℃冷却を9回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製された石英基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図17は複合化前後の単結晶石英(0001)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前の単層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、(b)が複合化後の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図17(a)に示すように、複合化前では、単層カーボンナノチューブが束状に凝集した網目状構造が白く観察される一方、他方、図17(b)に示すように、複合化後では、その網目状構造が黒く観察される。この観察結果は、単層カーボンナノチューブの網目状構造内にグラフェンが成長していることを示唆し、ラマンスペクトルの測定結果もこれを支持する。
単結晶石英(0001)基板上の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は、実施例2と同様に顕著なフッ酸耐性を有し、また、実施例4と同様に高い酸化耐性を持つことが確認されている。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、この単層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例10)
本実施例では単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶炭化ケイ素(6H−SiC(0001)/C面)上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、単層カーボンナノチューブの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶炭化ケイ素(6H−SiC(0001)/C面)基板(10×10×0.45mm)上に単層カーボンナノチューブを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、単層カーボンナノチューブ塗布基板を六方晶系窒化ホウ素製の反応容器に納め、単層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持、300℃から最高温度1050℃まで95分間掛けて加熱、次いで850℃まで100分間掛けて冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製された炭化ケイ素板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図18は複合化前後の単結晶炭化ケイ素(6H−SiC(0001)/C面)基板上膜の光学顕微鏡像(透過光)とSEM像で、(a)が複合化前の単層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、(b)、(c)、(d)が複合化後の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合である。
図18(a)に示すように、複合化前では、単層カーボンナノチューブが束状に凝集した、大きさが数十マイクロメートルの網目状構造が不明瞭ながら観察される。一方、図18(b)に示す複合化後では、(a)とは様相が全く異なり、大きさが数μmから数十μmで様々な膜厚を持つ、グラフェン片またはグラファイト片が連なった燐片状構造が明瞭に観察される。
図18(c)は燐片状構造の一部を観察したSEM像であり、燐片の周辺や表面に単層カーボンナノチューブが存在することが確認される。
図18(d)は燐片の表面を拡大したSEM像であり、数十nmのレベルでも単層カーボンナノチューブは網目構造をとっていることが観察され、網目の一部はグラフェンまたはグラファイトで穴埋めされていることが分かる。これらの観察結果は、単層カーボンナノチューブは数十μmから数十nmの各階層でフラクタル的な網目状構造を持ち、各階層の網目構造面内にグラフェンまたはグラファイトが成長していることを意味する。ラマンスペクトルの測定結果もこの描像を支持する。まとめると、マイクロメートルからナノメートルの広範な範囲において、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトは一体化していると結論できる。
本発明によると、金属型の単層カーボンナノチューブに半導体的性質を付与することが可能である。単結晶炭化ケイ素基板上の単層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜を急冷条件(100℃/分以上)で製造し、この膜をチャネルとする電界効果トランジスタを作製した。このトランジスタの輸送特性を測定したところ、オン/オフ比は平均10であった。単層カーボンナノチューブ塗布膜から作製される電界効果トランジスタのオン/オフ比は平均10であったので、本発明の適用により、4桁の性能向上が得られた。このオン/オフ比の向上は、単層カーボンナノチューブ膜に約25%含まれる金属型の単層カーボンナノチューブが格子欠陥導入により半導体化したためである。従って、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料は電界効果トランジスタの性能向上に貢献し、次世代のエレクトロニクス・オプトロニクス・スピントロニクス分野での活用が望める。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、単層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、単層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例11)
本実施例では多層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を炭素繊維強化炭素複合材料上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、多層カーボンナノチューブの水溶液(10mg/ml)を用意し、スピンコーターにより炭素繊維強化炭素複合材料基板(15×15×1mm)上に多層カーボンナノチューブを製膜した(第1及び第2工程)。
第2に、多層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、多層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持、700℃まで加熱、700℃から最高温度1400℃まで60分間掛けて加熱、次いで700℃まで60分間掛けて冷却、この1400℃加熱・700℃冷却を9回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製された炭素繊維強化炭素複合材料基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図19は複合化前後の炭素繊維強化炭素複合材料基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前の多層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、(b)が複合化後の多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図19(a)に示すように、複合化前では、下地の炭素繊維が目立ち、それを被覆する多層カーボンナノチューブを視認することは困難であるが、多層カーボンナノチューブ塗布後に基板表面の反射率が低下することから、間接的に多層カーボンナノチューブの存在が確認される。
一方、図19(b)に示すように、複合化後では下地の炭素繊維は金属光沢を呈するグラファイトで覆われる様子が見て取れる。この観察結果はラマンスペクトルの測定からも支持され、複合後は結晶性グラファイトに特有のラマンバンドが観測される。また、実施例6の単層カーボンナノチューブの場合と同様に、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜を基板である炭素繊維強化炭素複合材料から剥離することは極めて困難であった。従って、多層カーボンナノチューブはグラフェンまたはグラファイトと複合化すると伴に、その複合膜は下地の炭素繊維とも融合していると結論される。
本発明で作製される、炭素繊維強化炭素複合材料基板上の多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は顕著な耐スパッタ性を有する。真空中、100eVに加速した、2.5mA/cmのイオン電流密度のXe+イオンを多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜に照射したところ、ラマンスペクトルのD/G比の変化から見積もられるスパッタ収率(Xe+イオン1個当たりスパッタされる炭素原子の数)は3.0×10-6であった。同条件で、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜が形成されていない炭素繊維強化炭素複合材料と比較して5桁以上低く、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は著しい耐スパッタ性を発揮することが明らかとなった。スパッタ耐性の顕著な向上は、Xe+イオンの運動エネルギーを多層カーボンナノチューブが自らの弾性変形の仕事に変換し、その際に発生する熱エネルギーを、多層カーボンナノチューブを補間する、熱伝導性の高いグラフェンまたはグラファイトを介して速やかに散逸するためと説明される。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、多層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例12)
本実施例では多層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶サファイア(Al(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、多層カーボンナノチューブの水溶液(10mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶サファイア(0001)基板(10×10×0.5mm)上に多層カーボンナノチューブを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、多層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、多層カーボンナノチューブ塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して30分間同温度を保持、300℃から最高温度1300℃まで30分間掛けて加熱、次いで1100℃まで180分間掛けて冷却、さらに60分間掛けて700℃まで冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料が作製されたサファイア基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図20(a)及び(b)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真ならび図20(c)及び(d)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜のラマンスペクトルを示す図である。図20(a)及び(c)が複合化前の多層カーボンナノチューブ塗布膜の場合、図20(b)及び(d)が複合化後の多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図20(a)に示すように、複合前では、多層カーボンナノチューブ凝集体が束上になって基板表面を覆っている様子が視認される。一方、図10(b)に示すように、複合後では上記の多層カーボンナノチューブ凝集体の間隙を埋めるようにグラフェンまたはグラファイトが成長していることが観察される。
図20(c)及び図20(d)のラマンスペクトルを比較すると、複合化前はD/G比が1以上の欠陥が多いグラファイト構造であるのに対し、複合化後はD/G比がほぼゼロの完全結晶に近いグラファイト構造へと変化していることが分かる。この観察結果は、本発明の適用により、多層カーボンナノチューブの格子欠陥が修復されること、および、多層カーボンナノチューブがグラフェンまたはグラファイトと化学結合を介して一体化していることを意味する。
本実施例で得られたサファイア(0001)基板上多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜は、単体の多層カーボンナノチューブ塗布膜と比較して、顕著な電気的特性の向上が見られた。4端子法による測定を行ったところ、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料膜のシート抵抗は約100Ω/sq.であり、多層カーボンナノチューブ塗布膜のそれと比較して約2桁の改善が見られた。この測定結果は、複合化後、多層カーボンナノチューブ間の接触抵抗がグラフェンまたはグラファイトによる連結により減少したためと考えられる。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、多層カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、多層カーボンナノチューブ複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例13)
本実施例では酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を炭素繊維強化炭素複合材料上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下の通り作製を行った。
第1に、酸化グラフェンの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより炭素繊維強化炭素複合材料基板(15×15×1mm)上に酸化グラフェンを製膜した(第1及び第2工程)。
第2に、酸化グラフェン塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、酸化グラフェン塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から300℃まで加熱して30分間同温度を保持、300℃から最高温度1300℃まで30分間掛けて加熱、次いで1100℃まで120分間掛けて冷却、さらに60分間掛けて700℃まで冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、酸化グラフェン複合炭素材料が作製された炭素繊維強化炭素複合材料基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図21は複合化前後の炭素繊維強化炭素複合材料基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真で、(a)が複合化前の酸化グラフェン塗布膜の場合、(b)が複合化後の酸化グラフェン複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図21(a)の複合前では、青色の薄膜干渉が見られるのに対し、図21(b)の複合後ではその干渉色が消失し、結晶性グラファイト様の金属光沢を呈する表面が出現する。
この現象は、実施例3で説明したように、本発明の適用により酸化グラフェン膜中でグラフェン化またはグラファイト化が進行したためである。
本実施例で得られた炭素繊維強化炭素複合材料基板上酸化グラフェン複合炭素材料膜は、次に示す実験から、機械的振動に対する耐衝撃性を持つことが明らかとなった。複合前の酸化グラフェン塗布膜基板と複合後の酸化グラフェン複合炭素材料膜基板に対して、超音波(40kHz,100W)照射を水中で行ったところ、前者の場合、10秒足らずで酸化グラフェンが水中に分散し、膜が消散する一方、他方、後者の場合、1時間超の超音波分散でも、膜の崩壊や剥離は全く起こらなかった。このことは本発明で得られる炭素繊維強化炭素複合材料基板上酸化グラフェン複合炭素材料中、1つ1つの酸化グラフェンはグラフェンまたはグラファイトと強固な化学結合を介して連結していること、かつ、酸化グラフェン膜と炭素繊維強化炭素複合材料基板の界面もグラフェンまたはグラファイトで架橋されていることを意味する。従って、酸化グラフェン複合炭素材料膜は、機械的振動に対する耐衝撃性の高いコーティング材として機能すると結論できる。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、酸化グラフェン複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例14)
本実施例では酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を単結晶サファイア(Al(0001))上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い以下のように作製を行った。
第1に、酸化グラフェンの水溶液(1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより単結晶サファイア(0001)(10×10×0.5mm)上に酸化グラフェンを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、酸化グラフェン塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、酸化グラフェン塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、300℃から最高温度1000℃まで30分間掛けて加熱、次いで800℃まで120分間掛けて冷却、さらに60分間掛けて400℃まで冷却後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、酸化グラフェン複合炭素材料が作製されたサファイア基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図22(a),(b)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜の光学顕微鏡像ならびに、図22(c),(d)は複合化前後のサファイア(0001)基板上膜のラマンスペクトルを夫々示す図である。図22(a)及び(c)が複合化前の酸化グラフェン塗布膜の場合、図22(b)及び(d)が複合化後の酸化グラフェン複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図22(a)と図22(b)を比較すると、見かけ上、大きな相違は見られず、両者伴に、大きさが数μm程度で形状が不定形の切片が表面に散在していることが観察される。これらは多層酸化グラフェンに由来し、その存在が視認されるのは周りの単層酸化グラフェン由来の膜表面より反射率が高いため、コントラスト上明るく見えるためである。複合化後にこれらが残存していることは、本発明を適用しても、酸化グラフェンはその大きさと形状を維持していることを示唆する。しかしながら、ラマンスペクトル測定によると、複合化前後で酸化グラフェンの構造が大きく変化していることが明らかとなった。
図22(c)に示すように、複合前では、DバンドとGバンドは伴にブロードで、D/G比は1以上とアモルファス的であり、2Dバンドは不明瞭にしか現れない。
一方、図22(d)に示すように、複合後では、DバンドとGバンドは両者とも先鋭化し、D/G比も1以下とグラファイト的であり、2Dバンドは明瞭に現れる。この測定結果は、本発明の適用により、酸化グラフェンの欠陥が補填されると伴に、酸化グラフェン間にグラフェンまたはグラファイトが成長したことを意味する。なお、複合化後でもDバンドが比較的強く現れるのは、酸化グラフェンの欠陥補填が完全ではなく、ある程度、酸化グラフェン様の構造が保持されているためである。なお、本発明の加熱最高温度や冷却速素を加減することにより、酸化グラフェン構造/グラフェン構造の割合を調整きることが確認されている。
本発明による複合化前後の酸化グラフェン塗布膜と酸化グラフェン複合炭素材料膜の発光特性には次のような顕著な相違がある。複合化前の酸化グラフェン塗布膜の蛍光は青色で、最大発光波長は約420nmであるのに対し、酸化グラフェン複合炭素材料膜の蛍光は赤色で、最大発光波長は約680nmであった。また、本発明の加熱最高温度や冷却速素を加減することにより、酸化グラフェン複合炭素材料膜の発光最大波長は可視領域内で調整可能であった。この複合化に伴う発光の長波長化は、酸化グラフェンに内在する、発光中心の炭素クラスター(分子サイズからナノサイズのグラフェン)が、本発明の適用により融合してその大きさが大きくなり、π電子系が拡張、結果として、HOMO(最高被占軌道)−LUMO(最低空軌道)ギャップが減少したためと考えられる。この結果は、酸化グラフェン複合炭素材料膜が波長可変の発光材料として機能することを意味する。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、酸化グラフェン複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
(実施例15)
本実施例ではカーボンナノホーンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を炭素繊維強化炭素複合材料上に作製した結果について述べる。
図1示す本発明の第1の実施の形態による炭素材料の製造方法の第1乃至第6の工程に従い、以下の通り作製を行った。
第1に、カーボンナノホーンの水溶液(0.1mg/ml)を用意し、スピンコーターにより炭素繊維強化炭素複合材料基板(15×15×1mm)上に酸化グラフェンを製膜した(第1及び第2の工程)。
第2に、カーボンナノホーン塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、カーボンナノホーン塗布基板上に、フラックスとしてガリウム(Ga)、その上に補助の炭素源として別の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した(第3の工程)。
第3に、用意した反応容器を電気炉にセットして真空までポンプで排気し、室温から400℃まで加熱して60分間同温度を保持、800℃まで加熱、800℃から最高温度1400℃まで30分間掛けて加熱、次いで800℃まで30分間掛けて冷却、この1400℃加熱・800℃冷却を7回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した(第4及び第5の工程)。
第4に、酸化グラフェン複合炭素材料が作製された炭素繊維強化炭素複合材料基板からガリウムを物理的に除去後、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した(第6の工程)。
図23(a)及び(b)は複合化前後の炭素繊維強化炭素複合材料基板上膜の光学顕微鏡像を示す写真ならびに図23(c)及び(d)は複合化前後の炭素繊維強化炭素複合材料基板上膜のラマンスペクトルを夫々示す図である。図23(a)及び(c)が複合化前のカーボンナノホーン塗布膜の場合、図23(b)及び(d)が複合化後のカーボンナノホーン複合炭素材料膜の場合を夫々示している。
図23(a)と図23(b)を比較すると、見かけ上、大きな変化は見られないが、図23(a)の膜は基板に付着しているだけなので、弱い力で取り去れることが出来るが、図23(b)の膜は基板に密着し、膜と基板の両者は一体化している。この観察結果はカーボンナノホーン膜中ならびにカーボンナノホーン膜と炭素繊維強化炭素複合材料基板の界面において、グラフェン化またはグラファイト化が進行していることを意味する。
図23(c)及び(d)のラマンスペクトルを波形フィッテングにより解析すると、複合化前後でD/G比は約1.6から約1.0へ減少している。このD/G比の減少はこのグラフェン化・グラファイト化の証左である。結論として、本発明の適用により、カーボンナノホーンとカーボンナノホーンの間がグラフェンまたはグラファイトで架橋され、カーボンナノホーンとグラフェンまたはグラファイトが融合した構造が生成することが証明される。
本発明で得られるカーボンナノホーン炭素複合材料は特筆すべき電子放出特性を持つ。カーボンナノホーン膜ならびにカーボンナノホーン炭素複合材料膜をエミッタとする電界放出素子を作製し、電子放出特性を比較評価したところ、電子放出の閾値電界は前者が約0.8kV/mmであるのに対し、後者は約0.2kV/mmと4分の1程度に低減すると伴に、電界強度:1.0kV/mmにおけるエミッション電流は、前者が約5×10−3mA/cmであるのに対し、後者は約5×10−3mA/cmと1桁上昇した。また、カーボンナノホーン炭素複合材料膜の電界放出素子は、電界放出型光源として100lm/Wの光束効率、加速耐久性試験では1万時間の耐久時間を持ち、従来技術のカーボンナノホーン電界放出素子と比較しても遜色ない特性を示した。
上記により、本発明によれば、産業上有用な、カーボンナノホーンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料を作製できること、かつ、このカーボンナノホーン複合炭素材料でコーティングされた構造物が得られることが証明される。
本発明の活用例として、炭素材料からなる中間材料、例えば、釣竿、テニスやバトミントンのラケットなどスポーツ・レジャー用品、各種工業機器やX線関連の医療機器の部材、土木建築や航空宇宙分野の構造材、電機産業における電極などの電子部品などが挙げられる。特に、はやぶさ等の小惑星探査機、気象観測などを目的とした静止衛星に搭載されるイオンエンジンにおいて、イオン加速に使用されるCC材グリッド(電極)のスパッタリングに対する耐摩耗性を向上させる用途に最適である。
また、本発明は絶縁体材料を表面強化のためにコーティングする化学、材料などの産業分野で活用することが可能である。
さらに、本発明によれば、ナノカーボンとグラフェンが持つ例外的な電子物性や光学特性、優れた機械的特性や化学的特性を融合することが可能なので、本発明は次世代のエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、スピントロニクスなどの産業分野での活用が期待される。
11 構造物
12 ナノカーボン
13 金属
14 炭素源
15 ナノカーボンを融合するグラフェンまたはグラファイト
16 ナノカーボンを被覆するグラフェンまたはグラファイト
17 ナノカーボンの間隙を穴埋めするグラフェンまたはグラファイト
19 ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料でコーティングされる構造物
20 ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料
21 フラーレン
22 グラフェンまたはグラファイトと一体化したフラーレン
23 グラフェンまたはグラファイト
30 フラーレンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料
32 ナノダイヤモンド
33 グラフェンまたはグラファイト
34 グラフェンまたはグラファイトと一体化したナノダイヤモンド
40 ナノダイヤモンドとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料
41 カルビンの共鳴構造1
42 カルビンの共鳴構造2
43 グラフェンまたはグラファイト
44 グラフェンまたはグラファイトと一体化したカルビン
45 カルビンと融合したグラフェンまたはグラファイト
50 カルビンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料
51 カーボンナノチューブ
52 グラフェンまたはグラファイトと一体化したカーボンナノチューブ
53 グラフェンまたはグラファイト
60 カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料
61 カーボンナノチューブ
62 グラフェンまたはグラファイト
70 カーボンナノチューブとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料
71 酸化グラフェン
72 官能基が脱離した酸化グラフェン
73 格子欠陥が修復された酸化グラフェン
80 酸化グラフェンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料

Claims (10)

  1. ナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料であって、
    前記ナノカーボンとグラフェンまたは前記グラファイトが炭素−炭素間の共有結合またはグラファイト面間のファンデルワールス結合を介して一体化した構造を有することを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料。
  2. 請求項1に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料において、
    前記ナノカーボンは、フラーレン、ナノダイヤモンド、カルビン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、カーボンナノホーンからなる群から選ばれる少なくとも1つを有することを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料。
  3. 請求項1又は2に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料において、前記炭素材料は金属を不純物として含まないことを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料。
  4. 耐熱性材料が請求項1〜3の内のいずれか一項に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料でコーティングされている構造物であることを特徴とする耐熱性材料からなる構造物。
  5. 請求項4に記載の耐熱性材料からなる構造物において、前記耐熱性材料は、
    炭素材料、窒化物、炭化物、フッ化物、雲母(マイカ)、及びダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1つを有し、
    前記炭素材料は、カルビン、ダイヤモンド、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料の内の少なくとも一種を含み、
    前記窒化物は、石英(SiO)、アルミナやサファイア(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア(ZrO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などの酸化物、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)などの窒化物、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)の内の少なくとも一種を含み、
    前記フッ化物は、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)の内の少なくとも一種を含むことを特徴とする耐熱性材料からなる構造物。
  6. (a)金属をナノカーボンに接触させ、前記金属を加熱することで、前記金属中に前記ナノカーボンの表面の炭素を溶解させる工程と、
    (b)前記金属を冷却することで、前記金属に接触させた前記ナノカーボンの表面に前記金属中の前記炭素をグラフェンまたはグラファイトとして析出させることで、前記ナノカーボンと前記グラフェンまたはグラファイトが一体化した構造を形成する工程と、
    (c)前記構造から前記金属を除去する工程とを含むことを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法。
  7. 請求項7に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法において、前記金属は、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、Cd(カドミウム)からなる群から選ばれる少なくとも1つを有することを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法。
  8. 請求項6または7に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法において、前記(a)工程は、前記金属に炭素含有原料が添加されていることを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法。
  9. 請求項6〜8の内のいずれか一項に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法において、
    前記炭素含有原料は、人工高分子有機化合物、天然高分子有機化合物、炭素を含む無機化合物とを有する群から選ばれる少なくとも1つを有し、前記人工高分子有機化合物は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カルビン、フラーレン、ダイヤモンド、ナノダイヤモンドなどの炭素同素体、メタロセン、ナフタレン、アントラセン、ペンタセンなどの低分子有機化合物、テフロン、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、ポリエチレンを含み、
    前記天然高分子有機化合物は、タンパク質、核酸、脂脂質、多糖類を含み、
    前記炭素を含む無機化合物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)を含むことを特徴とするナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法。
  10. 請求項6〜9の内のいずれか一項に記載のナノカーボンとグラフェンまたはグラファイトが複合した炭素材料の製造方法において、前記(a)工程は、さらに、前記ナノカーボンを耐熱性材料からなる構造物上に配置することを含み、前記(b)工程は、さらに、前記構造により前記耐熱性材料からなる構造物をコーティングすることを含むことを特徴とする耐熱材料からなる構造物の製造方法。
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