以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の要部の概略構成を示す模式的な断面図である。
画像形成装置100は、像担持体としての円筒状(ドラム型)の電子写真感光体(感光体)1を有する。感光体1は、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光体1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、帯電手段としての帯電装置2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、転写装置としての中間転写ユニット5が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としての感光体クリーナ6が配置されている。
中間転写ユニット5は、中間転写体としての無端状のベルトである中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は、駆動ローラ52、二次転写対向ローラ53、従動ローラ54に張設されている。中間転写ベルト51は、駆動ローラ52に回転駆動力が伝達されることで、図中矢印R2方向に回転(循環移動)する。中間転写ベルト51の内周面側において、感光体1と対向する位置には、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ55が配置されている。一次転写ローラ55は、中間転写ベルト51を介して感光体1に押圧されており、中間転写ベルト51と感光体1とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)T1が形成されている。中間転写ベルト51の外周面側において、二次転写対向ローラ53と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ56が配置されている。二次転写ローラ56は、中間転写ベルト51を介して二次転写対向ローラ53に押圧されており、中間転写ベルト51と二次転写ローラ56とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)T2が形成されている。
また、画像形成装置100には、転写材Pを二次転写部T2へと供給する転写材供給装置(図示せず)、転写材Pにトナー像を定着させる定着手段としての定着装置10などが設けられている。
画像形成時には、回転する感光体1の表面が、帯電装置2によって所定の極性(本実施形態では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電した感光体1の表面は、露光装置3によって画像情報に応じて走査露光される。これにより、感光体1の表面に露光画像パターンに対応した静電潜像(静電像)が形成される。感光体1上に形成された静電潜像は、後述する現像装置4の現像スリーブ41と感光体1とが対向する現像領域(現像部)Dにおいて、現像装置4によってトナー像として現像される。現像装置4は、現像スリーブ41上に現像剤による磁気穂を形成し、この磁気穂を現像領域Dに搬送する。そして、本実施例では、現像領域Dにおいて、磁気穂を感光体1の表面に摺擦させると共に、現像スリーブ41に現像バイアスを印加することにより、現像剤中のトナーを感光体1上の静電潜像の画像部に供給して、静電潜像を現像する。なお、現像剤の磁気穂を感光体1に接触させずに近接させて、磁気穂から静電潜像にトナーを転移させる構成であってもよい。また、本実施形態では、現像装置4は、像担持体上の静電潜像を反転現像方式により現像する。すなわち、一様に帯電処理された後に露光によって電位の絶対値が低下した感光体1上の画像部(露光部)に、感光体1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーを付着させることで、静電潜像をトナー像として現像する。現像装置4の構成及び動作については、後述して更に詳しく説明する。
感光体1上に形成されたトナー像は、一次転写部T1において、一次転写ローラ55の作用により、感光体1の周速と略等速で移動する中間転写ベルト51上に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ55には、一次転写電源(図示せず)から現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性で所定の電位の一次転写バイアスが印加される。中間転写ベルト51上に形成されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ56の作用により、中間転写ベルト51と二次転写ローラ56とに挟持されて搬送される転写材P上に転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ56には、二次転写電源(図示せず)から現像時のトナーの帯電極性とは逆極性で所定の電位の二次転写バイアスが印加される。転写材Pは、中間転写ベルト51上のトナー像と同期がとられて転写材供給装置によって二次転写部T2まで搬送されてくる。
トナー像が転写された転写材Pは、中間転写ベルト51から分離されて定着装置10へと搬送される。転写材Pは、定着装置10において加熱ローラ11と加圧ローラ12とによって挟持されて搬送される過程で加熱及び加圧され、その上にトナー像が固着画像として定着される。トナー像が定着された転写材Pは、その後最終的な画像出力物として画像形成装置100の装置本体の外部に排出される。
また、一次転写工程後に中間転写ベルト51に転写されずに感光体1上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーナ6によって感光体1上から除去されて回収される。これにより、感光体1は、繰り返し画像形成に供される。さらに、二次転写工程後に転写材Pに転写されずに中間転写ベルト51上に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段(図示せず)によって中間転写ベルト51上から除去されて回収される。これにより、中間転写ベルト51は、繰り返し画像形成に供される。
なお、画像形成装置100は、上述の感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ55、感光体クリーナ6などからなる画像形成手段を複数組有し、カラー画像の形成が可能とされていてよい。例えば、複数の画像形成手段としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成部が中間転写ベルト51の被画像転写面の移動方向に沿って配置されていてよい。この場合、例えばフルカラー画像の形成時には、各画像形成部で各感光体1上に形成された各色のトナー像が、各一次転写部T1において中間転写ベルト51上に重ね合わせるようにして一次転写される。その後、中間転写ベルト51上のカラー画像用の多重トナー像は、二次転写部T2において転写材P上に一括して二次転写される。
本実施形態では、感光体1として、導電性基体上にa−Si感光層を形成した、回転可能な円筒状のa−Si感光体1を用いた。感光体1は、駆動手段としての駆動用モーター(図示せず)により、図中矢印R1方向に所定の周速で回転駆動される。
本実施形態では、帯電装置2は、磁気ブラシ帯電方式のものである。磁気ブラシ帯電方式の帯電装置は、回転可能な円筒状の帯電スリーブと、その内部に配置されるマグネットローラとを有して構成される。帯電スリーブは、その表面に形成された磁性体粒子の穂立ち(帯電磁気ブラシ)を搬送しながら、感光体1の表面に接触させる。そして、この帯電スリーブに所定の帯電バイアスが印加されることで、感光体1の表面は典型的には注入帯電方式で帯電させられる。磁気ブラシ帯電方式の帯電装置を用いることにより、放電生成物による画像流れやミクロな帯電ムラを大幅に改善することができる。
露光装置3としては、原稿画像を投影するアナログ露光装置と、レーザースキャナやLEDアレイなどのデジタル露光装置とがあるが、本実施形態ではデジタル露光装置、特に、レーザースキャナを用いた。
2.現像装置
次に、本実施形態の現像装置4の構成について更に詳しく説明する。図2は、本実施形態の現像装置4の一例の構成を示す模式的な断面図である。
現像装置4は、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての回転可能な円筒状の現像スリーブ41と、現像スリーブ41の内部(中空部)に固定配置された、磁界発生手段としての円柱状の永久磁石で構成されたマグネットローラ42と、を有する。これら現像スリーブ41とマグネットローラ42とで、現像領域Dに現像剤を供給する現像部材43が構成される。現像スリーブ41は、感光体1との間に所定の間隔(空隙)をあけるように感光体1に対向して配置されている。また、本実施形態では、現像スリーブ41は、現像スリーブ41と感光体1との間の最近接距離が300μmとなるように配置されている。
ここで、現像スリーブ41の長手方向(回転軸線方向)は、感光体1の長手方向(回転軸線方向)と略平行である。また、マグネットローラ42は、現像スリーブ41の内周面との間に所定の間隔(空隙)を開けるようにして、現像スリーブ41と略同心的に配置されており、現像スリーブ41の長手方向(回転軸線方向)の略全域に渡って延在する。
また、現像装置4は、トナーとキャリアとを備えた二成分現像剤を収容する現像容器46を有する。現像容器46には、感光体1と対向する位置に開口部46aが設けられており、この開口部46aから一部が露出するようにして現像スリーブ41が配置されている。本実施形態では、現像スリーブ41は現像容器46に回転可能に支持され、一方マグネットローラ42は現像容器46に固定されている。また、現像容器46の内部には、現像剤を攪拌すると共に現像スリーブ41に向けて搬送する、攪拌搬送部材としてのスクリュー45が配置されている。
また、現像スリーブ41の回転方向(図中矢印R3方向)において開口部46aの上流側の現像容器46の縁部に位置して、現像剤規制部材としての規制ブレード44が配置されている。規制ブレード44は、現像スリーブ41との間に所定の間隔(空隙)をあけるように現像スリーブ41に対向して配置されている。また、規制ブレード44は、現像スリーブ41の長手方向(回転軸線方向)の略全域に渡って対向するように延在する。
さらに、現像スリーブ41の回転方向(図中矢印R3方向)において規制ブレード44より下流、かつ、現像領域Dより上流に、導電性部材7が配置されている。導電性部材7は、現像スリーブ41との間に所定の間隔(空隙)をあけるように現像スリーブ41と対向して配置されている。また、導電性部材7は、現像スリーブ41の長手方向(回転軸線方向)の略全域に渡って対向するように延在する。
現像スリーブ41には、現像バイアス(現像電圧)を印加するための現像バイアス印加手段(第1の電源)としての現像電源(発信装置)8が接続されている。現像電源8は、波形信号発振器81と、波形信号発振器81により発生した信号を増幅して現像スリーブ41に現像バイアスを印加する高圧電源82と、を有する。
より具体的には、本実施形態では、現像バイアスとして、DC電圧−330Vに、周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kVの矩形波を重畳した振動電圧を用いた。本発明者らの検討によると、現像バイアスの交流成分のピーク間電圧は、0.7kV〜1.8kVであることが好ましい。現像バイアスの交流成分のピーク間電圧が1.8kVより大きいと、放電跡が発生し易い。放電跡とは、ピーク間電圧が大きいことにより、現像領域に強い電界がかかり、現像装置4内に取り込まれた低い電気抵抗の材料などを介して放電を誘発し、感光体1の層の一部が絶縁破壊されることにより生じる感光体の傷である。上記低い電気抵抗の材料とは、例えば現像スリーブ41の削り粉などである。一方、現像バイアスの交流成分のピーク間電圧が0.7kVより小さいと、感光体1上でトナーの再配置が行われ難くなるために、急激に画像均一性が低下し易い。また、現像バイアスの交流成分の周波数は4kHz〜12kHzであることが好ましい。現像バイアスの交流成分の周波数が12kHzより大きいと、現像バイアスの極性の変化にトナーが追従し難くなり、文字再現性の低下や画像均一性の低下などを引き起こし易い。一方、現像バイアスの交流成分の周波数が4kHzより小さいと、現像領域におけるトナーの再配置の回数が減少するために、急激に画像均一性が低下し易い。なお、現像バイアスの波形は、矩形波に限定されるものではない。例えば、正弦波などの他の波形であってもよい。
本実施形態では、現像スリーブ41は、図中矢印R3方向へ回転駆動される。すなわち、現像領域Dにおいて、現像スリーブ41の表面の移動方向と感光体3の表面の移動方向は同方向である。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、現像領域Dにおいて、現像スリーブ41の表面と感光体1の表面とが逆方向に移動するように現像スリーブ41及び感光体1が回転駆動される構成としてもよい。
なお、現像領域Dとは、感光体1及び現像スリーブ41のそれぞれの表面の移動方向における、静電潜像の現像に寄与する領域である。より詳細には、現像領域Dとは、現像スリーブ41及び感光体1の回転を止めた状態で現像を行った際にトナーの転移が生じ得る、感光体1上の領域及び対応する現像スリーブ41上の領域を指す。
図2に示す例では、マグネットローラ42は、その周方向に、複数の磁極として、磁極S1、N2、S2、N3、N1を有する。これら磁極S1、N2、S2、N3、N1は、現像スリーブ41の回転方向とは逆方向(現像領域Dを現像剤が通過する方向とは逆方向)にこの順番で配置されている。
なお、磁極名の「S」は磁石のS極であることを示し、「N」は磁石のN極であることを示す。また、本明細書では、理解を容易とするために、マグネットローラ42上の磁極に対応する現像スリーブ41上の位置を、単に、現像スリーブ41上の当該磁極の位置と呼ぶことがある。
図2に示す例では、磁極S1は、現像スリーブ41の周方向において現像領域Dに対応する磁極(現像極、現像主極)である。より詳細には、現像領域Dに対応する(或いは存在する)磁極とは、マグネットローラ42の複数の磁極のうち、現像領域Dで現像に供される現像剤の穂立ち(磁気穂)を磁力で現像スリーブ41上に保持する磁極であって、現像スリーブ41の周方向において感光体1に最も近い磁極である。換言すれば、現像領域Dに対応する磁極は、感光体1に最近接又は接触する現像剤の穂立ちを現像スリーブ41上に形成する磁極である。本実施形態では、現像極S1により現像スリーブ41上に形成された現像剤の穂立ちは、現像領域Dにおいて感光体1に接触する。なお、磁極が現像剤の穂立ちを現像スリーブ41上に保持する或いは現像スリーブ41上に形成するとは、当該磁極が当該現像剤の穂立ちの現像スリーブ41側の端部(基端部)に隣接していることをいう。
現像スリーブ41の回転方向において磁極S1の上流側に隣接して磁極(トナー付勢極)N2が配置されている。すなわち、トナー付勢極N2は、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1の1極上流の磁極である。
図2に示す例では、トナー付勢極N2に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂が接触する位置に、導電性部材7が配置されている。
本実施形態では、導電性部材7は、少なくとも現像スリーブ41の外周面に対向する面(本実施形態では全体)が、現像スリーブ41の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た場合に、現像スリーブ41と略同心円の円弧形状になっている。すなわち、本実施形態では、導電性部材7の少なくとも現像スリーブ41の外周面に対向する面は、現像スリーブ外周面の曲率と略同一の曲率を有する。そして、この導電性部材7は、導電性部材7の現像スリーブ41側の面と現像スリーブ41の外周面との間の距離(最近接距離)Lが600μmになるように配置されている。
なお、本実施形態では、導電性部材7は、現像スリーブ41の回転方向において現像領域Dに対応する現像極S1から1極上流のトナー付勢極N2に対向する位置に配置したが、これに限定されるものではない。導電部材7は、現像スリーブ41の回転方向において現像領域Dに対応する現像極S1から奇数極上流の所定の磁極に対向する位置に配置すればよい。理由については後述する。
導電性部材7には、後述するトナー付勢バイアス(トナー付勢電圧)を印加するためのトナー付勢バイアス印加手段(第2の電源)としてのトナー付勢電源(発信装置)9が接続されている。トナー付勢電源9は、波形信号発振器91と、波形信号発振器91により発生した信号を増幅して導電性部材7にトナー付勢バイアスを印加する高圧電源92と、を有する。
より具体的には、本実施形態では、トナー付勢バイアスとして、DC電圧−530Vを用いた。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。トナー付勢バイアスについて詳しくは後述する。
また、図2に示す例では、現像スリーブ41の回転方向においてトナー付勢極N2の上流側に隣接して磁極(規制極)S2が配置されている。すなわち、規制極S2は、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1の2極上流の磁極である。図2に示す例では、この規制極S2に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂が接触する位置に、規制ブレード44が配置されている。規制ブレード44は、磁極S2による磁力と協働して現像スリーブ41上の現像剤の層厚を規制する。
ここで、磁極に対向しているとは、当該磁極の法線方向の磁束密度のピーク位置を通るマグネットローラ42の半径方向の直線上に位置している場合だけではなく、同直線上よりも現像スリーブ41の回転方向の上流側、下流側にずれて位置している場合も含む。概略、当該磁極による磁力によって現像スリーブ41上で立ち上がった(完全に立ち上がる前のものも含む)磁気穂の先端(現像スリーブ41の半径方向外側)を通るマグネットローラ42の半径方向の直線上に位置していればよい。典型的には、当該磁極の法線方向の磁束密度のピーク位置を通るマグネットローラ42の半径方向の直線を基準として、マグネットローラ42の周方向に±30°程度の範囲に位置していることが想定される。
また、図2に示す例では、現像スリーブ41の回転方向において規制極S2の上流側に隣接して磁極N3が配置され、その磁極N3の上流側に隣接して磁極N1が配置されている。磁極N3において、現像スリーブ41上に現像剤が汲み上げられる。また、磁極N3、N1は隣接する反発磁極であり、現像スリーブ41上の現像剤は、これら磁極N3、N1間で現像スリーブ41上から剥離されて、現像容器46の内部の現像剤と混合される。
なお、マグネットローラ42の磁極の配置は、図2に示す例に限定されるものではない。以下更に詳しく説明する本発明の要件を備えていれば、マグネットローラ42の具体的な磁極の配置は適宜変更することができ、例えば後述する実施例1(図4)のような磁極配置であってもよい。
3.従来例における現像剤の挙動
次に、本発明の理解を容易にするために、本実施形態の現像装置4における現像剤の挙動を説明する前に、従来例の現像装置における現像剤の挙動を説明する。
前述のように、本発明者らの検討により、低抵抗キャリアを使用した場合、印字率(画像比率)の高い画像を連続出力した際に、感光体上の静電潜像の画像部に対するキャリア付着が発生しやすくなることがあることがわかった。ここで、キャリア付着とは、本来なら感光体には磁気穂からトナーのみが付着すべきであるところ、キャリアが付着してしまう現象である。
上記キャリア付着が発生しやすくなる原因は、次のように考えられる。キャリアの電気抵抗に比べて、トナーの電気抵抗ははるかに高い。そのため、低抵抗キャリアを使用した場合、現像剤の電気抵抗はそもそも低いのに加え、トナーの消費に伴い、現像剤の電気抵抗は更に低抵抗化する。このため、現像剤を介して、現像スリーブから感光体に電荷が注入され易くなる。その結果、例えば負帯電性のトナーを用いる場合、本来キャリアは正極性に帯電すべきところ、キャリアが負極性に帯電するようになり(ネガ化)、感光体上の静電潜像の画像部に付着する。
そこで、本発明者らは、低抵抗キャリアを使用した場合に、現像剤の電気抵抗を上げるために、現像剤のトナー濃度(T/D比)を増加させて検討した。しかし、この場合、長期に渡りキャリア付着を抑制することは困難であった。キャリア付着は、現像剤中に僅かな電流パスさえあれば起こり得るため、低抵抗キャリアを使用する場合にはこれを抑制することは困難であった。
一方、高抵抗キャリアを使用した場合、長期に渡りキャリア付着は改善されるものの、現像性が低下することがあった。そこで、本発明者らは、高抵抗キャリアを使用した場合に、現像剤の電気抵抗を下げるために、T/D比を減少させて検討した。しかし、この場合、現像性を改善することは困難であった。これは、トナー量を減少することにより現像剤の電気抵抗は低抵抗化し電界は強まるものの、現像剤中のトナー量が絶対的に不足するためであると考えられる。また、逆に現像剤中のトナー量を増加させるために、T/D比を増加させて検討した。しかし、この場合も、現像性を改善することは困難であった。これは、トナー量は増加するものの、現像剤の電気抵抗が更に高抵抗化するためであると考えられる。
表1は、以上の現像性とキャリア付着の評価結果を、許容レベルを「○」、許容されないレベルを「×」としてまとめたものである。表1中、「低T/D比」、「高T/D比」は、それぞれ基準とした「Ref」に対してT/D比が低い場合、高い場合を示す。評価結果を示す欄の「/」の前「○」又は「×」が現像性の結果であり、後がキャリア付着の結果である。
本発明者らは、上述の評価結果に係る現象を詳細に検証するために、高速ビデオカメラ(Photron社製 FASTCAM SA1)を使用し、現像領域におけるトナーの挙動を観測した。
その結果、現像スリーブ上の磁気穂において、現像バイアスにより現像スリーブ側から感光体側へと飛翔し易いトナーは、主に感光体の近傍のトナーであることがわかった。この理由は、次のように考えられる。
図28は、平行平板間に誘電体(キャリア)を置いたときの、静電場における空間電位分布の計算結果である。計算は、ラプラス方程式を使用し、数値解析手法として一般的な差分法を用いて行った(第59回日本画像学界技術講習会「スプレッドシートによるお手軽電界計算」)。
図28に示すとおり、平行平板間の空間内に誘電体(キャリア)が置かれ、平行平板間に電圧が印加されたとき、周囲の空間よりも誘電率の大きい誘電体(キャリア)の内部では、等電位線の間隔が疎になる。その結果、平板(感光体)と誘電体(キャリア)の先端との間の空間に作られる等電位線の間隔が密になる。つまり、磁気穂に存在するトナーの中では、感光体の近傍のトナーに対し、より強い電界が働くと考えられ、その結果、感光体の近傍のトナーが飛翔し易いものと考えられる。
実際に、表1の低T/D比で現像性が許容レベルに達しなかった条件において、現像後のキャリアを観察した結果、現像スリーブの近傍のキャリアにはトナーが被覆しているのに対し、感光体の近傍のキャリアにはトナーがほぼ被覆していなかった。このことから、低T/D比において現像性が許容レベルに達しなかった理由は、感光体の近傍のトナー数が絶対的に不足するためと考えられる。
以上のように、低抵抗キャリアを使用した場合、長期に渡りキャリア付着を抑制することが困難であるために、現像性の改善とキャリア付着の抑制との両立は困難である。そのため、現像性の改善とキャリア付着の抑制とを両立するためには、高抵抗キャリアを使用する場合の現像性を改善することが望まれる。
上述のように、現像性を改善するためには、「現像剤の電気抵抗を下げること」、「トナー量を増加すること」の両者が望まれるが、単にT/D比を制御するだけでは、これら両者が相反する効果として働き、両立することは困難である。
4.本実施形態における現像剤の挙動
次に、本実施形態の現像装置4における現像剤の挙動について説明する。
図3は、図2に示す例における現像スリーブ41上の規制極S2の位置から現像極S1の位置までの現像剤の挙動を、現像スリーブ41の表面の移動方向に展開して模式的に示す。
トナーtとキャリアcとを備えた現像剤(二成分現像剤)は、現像スリーブ41が図中矢印R3の方向へ回転することにより、現像スリーブ41と、磁極S2に対向する位置に配置された規制ブレード44との隙間へと搬送される。そして、現像スリーブ41上の現像剤は、現像スリーブ41が更に回転することにより、現像スリーブ41と規制ブレード44との隙間において層厚の規制を受け、所望の量の現像剤が現像スリーブ41上にコートされる(P101)。
その後、層厚の規制を受けた現像スリーブ41上の現像剤は、現像スリーブ41が更に回転することにより、磁極N2に対向する位置に配置された導電性部材7と現像スリーブ41との間に搬送される(P102)。このとき、本実施形態では、磁極N2の磁力により現像スリーブ41の表面から立ち上がった磁気穂Mが、導電性部材7と接触する。
ここで、本実施形態では、少なくとも画像形成時には、導電性部材7に接触した現像スリーブ41上の磁気穂M中のトナーtを、導電性部材7側から現像スリーブ41側へと移動させるように、現像スリーブ41と導電性部材7との間に電位差が形成される。すなわち、そのような電位差が、現像電源8から現像バイアスが印加されている現像スリーブ41との間で形成されるように、トナー付勢電源9から導電性部材7にトナー付勢バイアスが印加される。そのため、導電性部材7と現像スリーブ41との間には、トナーtが導電性部材7側から現像スリーブ41側へ移動するような電界E1が形成される。その結果、この電界E1の作用を受けて、導電性部材7の近傍のトナーtは現像スリーブ41の近傍へと移動する(P103)。
その後、現像スリーブ41上の磁気穂Mは、現像スリーブ41が更に回転することにより、導電性部材7と現像スリーブ41との間から搬送される(P104)。そして、磁極S1の位置に近付くに伴い、磁極N2と磁極S1との間の1極分で図中上下が反転(半回転)する(P105)。これは、磁気穂Mが、現像スリーブ41の移動に伴い磁極N2の磁力線に沿って倒れ込み、次いで磁極S1の磁力線に沿って再び立ち上がるからである。この際、磁気穂Mは、磁極により近い側を基端部として、その反対側の先端部が倒れ込み或いは立ち上がるので、現像スリーブ41上で、現像スリーブ41の回転方向と同方向の回転運動を行い、図中上下が反転する。ここで、磁気穂Mが反転するとは、一連の磁気穂Mが厳密に回転することのみを意味するものではない。先の磁極の位置から後の磁極の位置に移動する際に、先の磁極の位置で現像スリーブ41から遠位の端部側にあった現像剤(キャリアc)が近位の端部側に移動する割合がその逆よりも相対的に多ければよい。
このとき、導電性部材7と現像スリーブ41との間の電界E1の作用により現像スリーブ41の近傍に移動した磁気穂M中のトナーtは、キャリアc上や磁気穂M間に拘束されることにより、ほぼその移動された状態で保持される。そのため、その磁気穂M中で現像スリーブ41の近傍で保持されていたトナーtは、磁気穂Mが反転することによって、今度は感光体1の近傍に配置されることになる。
その後、現像スリーブ41上の磁気穂Mは、現像スリーブ41が更に回転することにより、現像領域Dにおいて、感光体1と現像スリーブ41との間に配置される。このとき、本実施形態では、磁極S1の磁力により現像スリーブ41の表面から立ち上がった磁気穂Mが、感光体1と接触する。そして、現像領域Dにおいて、現像スリーブ41上の磁気穂M中のトナーtは、感光体1と現像スリーブ41との間の電界(現像電界)E2の作用を受けて、現像スリーブ41側から感光体1側へと移動する(P106)。
以上のように、本実施形態では、現像領域Dにおいて、絶対的なトナー量を変えることなく、現像スリーブ41の近傍のトナー量を減少させ、かつ、感光体1の近傍のトナー量を増加させることが可能になるため、現像性を改善することができる。つまり、上述のように、磁気穂に存在するトナーの中では、感光体1の近傍のトナーに対し、より強い電界が働く。そのような強い電界が作用する部位のトナー量が増加することにより、より多くのトナーを感光体1上に移動させることが可能になると考えられる。また、現像スリーブ41の近傍のトナー量が減少すると、通常トナーが磁性キャリアに比べて5桁以上高抵抗であるため、現像剤の電気抵抗は急激に下がる。そして、現像剤の電気抵抗が下がると、感光体1の近傍の電位は現像スリーブ41の電位に近付くため、電界強度がより強まる。その結果、より多くのトナーを感光体1上に移動させることが可能になると考えられる。これらが相乗的に作用することで、現像領域Dにおいて、絶対的なトナー量を変えることなく、より多くのトナーを感光体1上に移動させることができると考えられる。
ここで、トナーを導電性部材7側から現像スリーブ41側へと移動させるためには、導電性部材7に、現像時のトナーの帯電極性(本実施例では負極性)と同極性で絶対値が現像バイアスの直流成分の電位よりも大きい電位のトナー付勢バイアスを印加する。すなわち、トナー付勢バイアスの直流成分の電位を、現像バイアスの直流成分の電位よりも、現像時のトナーの帯電極性側に高くする。本実施形態では、トナー付勢バイアスはDC電圧であるが、直流成分と交流成分とを重畳した振動電圧であってもよい(第2の実施形態参照)。
本実施形態では、現像電源8、トナー付勢電源9などによって、トナー付勢極により形成された現像剤担持体上の現像剤の穂立ち中のトナーを導電性部材側から現像剤担持体側へ移動させる電位差を形成する電位差形成手段が構成される。
また、本発明者らの検討によると、トナーを導電性部材7側から現像スリーブ41側へ移動させるために導電性部材7と現像スリーブ41との間に形成される最大の電界強度Eは、1.0×104〜2.0×104V/cmであることが好ましい。ここで、上記最大の電界強度Eは、導電性部材7と現像スリーブ41との間に形成されるトナーを導電性部材7側から現像スリーブ41側へと移動させる電界が最大となるときの電界強度である。また、導電性部材7と現像スリーブ41との最近接距離をLとする。また、本実施形態では、現像時のトナーの帯電極性は負極性であり、トナー付勢バイアスは現像時のトナーの帯電極性と同極性のDC電圧であり、現像バイアスは現像時のトナーの帯電極性と同極性のDC電圧とAC電圧とを重畳した振動電圧である。したがって、本実施形態では、上記最大の電界強度Eは、次式で求められる。
電界強度E=
((現像バイアスの正極性のピーク値)−(導電性部材に印加するDC電圧))/距離L
上記電界強度Eが2.0×104V/cmより大きいと、トナーが現像スリーブ41の近傍に過剰に偏在し易くなり、磁気穂内でキャリアに拘束されないトナーや、現像スリーブ41に直接付着するトナーが増加する。このようなトナーは、付着力が無いか又は非常に弱いために、現像領域Dにおいてかぶり(感光体上の非画像部に意図しないトナーが付着する現象)を発生させ易い。一方、上記電界強度Eが1.0×104より小さいと、トナーがキャリアから飛翔できず、現像スリーブ41の近傍に偏在し難くなり、現像性が改善し難い。
5.実施例等
<実施例及び比較例の現像装置>
本発明に従う実施例1(図4)の現像装置4Aと、比較例としての比較例1(図5)及び比較例2(図6)の現像装置4B、4Cとを使用して、現像性とキャリア付着を評価した。図4、図5、図6は、それぞれ実施例1、比較例1、比較例2の現像装置4A、4B、4Cの構成を示す模式的な断面図である。なお、各現像装置4A、4B、4Cにおいて、図2を参照して説明した現像装置4のものと同一又はそれに対応する要素には同一符号を付している。
実施例1(図4)の現像装置4Aは、図2に示す現像装置4とはマグネットローラ42の具体的な磁極配置が異なるが、その他の構成は実質的に図2に示す現像装置4と同じである。実施例1の現像装置4Aでは、マグネットローラ42は、その周方向に、複数の磁極として、磁極S1、N2、S2、N3、S3、S4、N1を有する。これら磁極S1、N2、S2、N3、S3、S4、N1は、現像スリーブ41の回転方向とは逆方向にこの順番で配置されている。そして、実施例1の現像装置4Aでは、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1から1極上流のトナー付勢極N2に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂と接触する位置に、導電性部材7が配置されている。導電性部材7は、支持体71に固定されている。また、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1の3極上流の規制極N3に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂が接触する位置に、規制ブレード44が配置されている。
比較例1(図5)の現像装置4Bは、導電性部材7の配置が次のように変更されていることを除いて、実施例1の現像装置4Aと実質的に同じ構成とされている。比較例1の現像装置4Bでは、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1から2極上流のトナー付勢極S2に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂と接触する位置に、導電性部材7が配置されている。導電性部材7は、支持体71に固定されている。
比較例2(図6)の現像装置4Cは、導電性部材7及び支持体41が設けられていないことを除いて、実施例1の現像装置4Aと実質的に同じ構成とされている。
<評価実験>
まず、上述の本実施形態の画像形成装置100に、上述の実施例1、比較例1、比較例2の各現像装置4A、4B、4Cを実装し、ベタ画像を形成する際の現像性、キャリア付着についての評価実験を行った。
二成分現像剤としては、粒径rcが35μmのキャリアと、粒径rtが5.5μmの負帯電性(ネガ帯電性)のトナーと、を混合してなるものを用いた。現像剤のトナー濃度(T/D比)xは8%とした。キャリアの真密度ρcは3.5g/cm3、キャリアの体積抵抗率は1×1010Ω・cm、トナーの真密度ρtは1.0g/cm3、トナーの体積抵抗率は1×1018Ω・cmであった。なお、各パラメータの測定方法は後述する。
ベタ画像の形成時に、感光体1は、図中矢印R1方向に1000mm/sで回転させた。ベタ画像は、帯電、露光の各工程を経て、現像領域Dにおける未露光部の感光体1の表面電位(暗電位)が−480V、露光部の感光体1の表面電位(明電位)が−130Vであった。
一方、現像スリーブ41は、図中矢印R3方向に1500mm/sで回転させた。また、ベタ画像の形成時に、現像スリーブ41には、現像電源8から、DC電圧−330Vに、周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kVの矩形波を重畳した現像バイアスを印加した。また、ベタ画像の形成時に、導電性部材7には、トナー付勢電源9から、DC電圧−530Vを印加した。
実施例1、比較例1の各現像装置4A、4Bの、比較例2の現像装置4Cに対する現像性、キャリア付着の評価結果を表2に示す。
実施例1の現像装置4Aでは、比較例2の現像装置4Cに比べて現像性が改善した。一方、比較例1の現像装置4Bでは、比較例2の現像装置4Cに比べて現像性が低下した。また、実施例1の現像装置4A、比較例1の現像装置4Bともに、キャリア付着については許容レベルであることが確認された。なお、各評価方法は後述する。
上述のような結果が得られた理由について、次のように考えられる。図7は、実施例1の現像装置4Aにおける現像スリーブ41上の規制極N3の位置から現像極S1の位置までの現像剤の挙動を、現像スリーブ41の表面の移動方向に展開して模式的に示す。同様に、図8は、比較例1の現像装置4Bにおける現像剤の挙動、図9は比較例2の現像装置4Cにおける現像剤の挙動を示す。
図7に示すように、実施例1の現像装置4Aでは、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1から1極上流のトナー付勢極N2に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂Mと接触する位置に、導電性部材7が配置されている。また、少なくとも画像形成時には、導電性部材7に接触した現像スリーブ41上の磁気穂M中のトナーtを、導電性部材7側から現像スリーブ41側へと移動させるように、トナー付勢電源9から導電性部材7にトナー付勢バイアスが印加される。その後、現像スリーブ41上の磁気穂Mは、現像極S1の位置に近付くに伴い図中上下が反転する。そのため、現像領域Dにおいて、現像スリーブ41の近傍のトナー量が減少し、かつ、感光体1の近傍のトナー量が増加する。その結果、比較例2の現像装置4C(図9)の場合に比べて、現像スリーブ41の近傍の現像剤の電気抵抗は低下し、かつ、感光体1の近傍のトナー量が増加するため、現像性が改善するものと考えられる。一方、キャリアの電気抵抗が高いために、電荷注入によるキャリア付着は抑制することができる。
図8に示すように、比較例1の現像装置4Bでは、現像スリーブ41の回転方向において現像極S1から2極上流のトナー付勢極N2に対向し、かつ、現像スリーブ41上の磁気穂Mと接触する位置に、導電性部材7が配置されている。また、少なくとも画像形成時には、導電性部材7に接触した現像スリーブ41上の磁気穂M中のトナーtを、導電性部材7側から現像スリーブ41側へと移動させるように、トナー付勢電源9から導電性部材7にトナー付勢バイアスが印加される。しかし、その後、比較例1では、現像スリーブ41上の磁気穂Mは、磁極S1の位置に近付くに伴い、磁極S2と磁極N2との間の1極分で図中上下が反転し、更に磁極N2と磁極S1との間の1極分で図中上下が反転し、全部で1回転する。そのため、現像領域Dにおいて、現像スリーブ41の近傍のトナー量が増加し、感光体1の近傍のトナー量が減少してしまう。その結果、比較例2の現像装置4C(図9)の場合に比べて、現像スリーブ41の近傍の現像剤の電気抵抗は上昇し、かつ、感光体1の近傍のトナー量が減少するため、現像性が低下するものと考えられる。
なお、図9に示すように、比較例2の現像装置4Cでは、導電性部材7は設けられておらず、現像スリーブ41上で磁気穂M中のトナーを移動させるトナー付勢バイアスは印加されない。したがって、現像領域Dに搬送される磁気穂M中のトナーtは、有意に感光体1側に偏在させられることはない。
次に、実施例1の現像装置4Aを用い、体積抵抗率の異なるキャリアを使用して、上記同様の評価実験を行った。結果を表3に示す。
体積抵抗率が107Ω・cm以下のキャリアでは、電荷注入によるキャリア付着を抑制することが困難となり、現像性の改善との両立が困難であることがわかった。つまり、体積抵抗率が108Ω・cm以上、典型的には108〜1010Ω・cmの高抵抗キャリアを用いるのが好ましい。
以上のように、実施例1によれば、現像極から奇数極上流のトナー付勢極の位置において、画像形成時に、トナーが導電性部材7側から現像スリーブ41側へ移動するように、導電性部材7に電圧を印加する。これにより、トナー付勢極の位置における磁気穂M中のトナーtは、現像スリーブ41の近傍に偏在する。その後、トナー付勢極の位置と現像極の位置との間を磁気穂Mが回転しながら搬送されることにより、現像極における磁気穂M中のトナーは、感光体1の近傍に偏在する。これにより、現像領域Dにおいて、絶対的なトナー量を変えることなく、現像スリーブ41の近傍のトナー量を減少させ、かつ、感光体1の近傍のトナー量を増加させることが可能になる。そのため、現像性を改善することができる。したがって、高抵抗キャリアを用いて長期に渡りキャリア付着を抑制できると共に、現像性の改善を図ることができる。
ここで、少なくとも現像スリーブの回転方向において現像極から上流側にトナー付勢極までの磁極は、交互に異極とされる。また、トナー付勢極は、現像スリーブの回転方向において現像極から奇数極上流に配置されていれば、現像スリーブの回転に伴い磁気穂が反転を繰り返し、結果的に現像極の位置で感光体の近傍のトナー量を増加することができる。ただし、トナー付勢極の位置で現像スリーブの近傍に移動させられたトナーを極力その状態で保持したまま磁気穂を現像極の位置まで搬送するためには、上記奇数は、好ましくは5以下、より好ましくは3又は1、最も好ましくは1である。
なお、本実施形態では、導電性部材は、現像スリーブの外周面の曲率と略同じ曲率を有する形状とされているが、本発明はこれに限定されるものではない。典型的には、本実施形態と同様に、導電性部材の少なくとも現像スリーブの外周面に対向する面が、現像スリーブの外周面に沿う方向に湾曲される。また、例えば、図10に示すような円柱形状又は円筒形状の導電性部材7であってもよい。この場合、導電性部材7は、通常、現像スリーブ41の外径よりも小さい外径を有し、その軸線方向が現像スリーブ41の回転軸線方向に沿って、典型的には略平行となるように配置される。また、図11に示すような内部に磁界発生手段としてのマグネットローラ72が固定配置されている円筒形状の導電性部材7であってもよい。この場合、導電性部材7の内部のマグネットローラ72の磁極のうち、現像スリーブ41の内部のマグネットローラ42に対向する磁極は、該現像スリーブ42内の対向する磁極とは異極とする。また、図12に示すように、現像剤規制部材(規制ブレード)44が導電性部材7の機能を有する構成としても構わない。
また、本実施形態では、導電性部材7は、現像スリーブ41上の磁気穂Mが接触する位置に配置されているが、これに限定されるものではない。磁気穂M中のトナーtを現像スリーブ41側に移動させる電界を作用させ得るのであれば、導電性部材7は該磁気穂Mに接触していなくてもよく、該磁気穂Mに近接して配置されていてもよい。
<各パラメータの測定方法>
・キャリアの体積抵抗率:
図13は、キャリアの体積抵抗率の測定に用いた装置の概要を示す模式図である。アルミニウム製の円筒体(以下「Alドラム」という。)201に、キャリアcを単体(すなわち、トナーを含まない。)を収容した現像装置202の現像スリーブ203を対向させる。このとき、Alドラム201と現像スリーブ203との最近接距離を実機(すなわち、上記実施例及び比較例)と同等に保つ。そして、Alドラム201と現像スリーブ203とを、それぞれ所定の周速で回転させながら、Alドラム201と現像スリーブ203との間に高圧電源(NF社製 HVA4321)204により、AC電圧(Sin波)を印加する。このとき、Sin波の周波数をスイープさせ、印加電圧に対する応答電流を電流計205で計測することにより、インピーダンスを測定することができる。なお、Sin波のピーク電圧は、上記Alドラム201と現像スリーブ202との最近接位置における電界強度が2×104V/cmになるように設定した。ここでは、誘電体測定システム501(ソーラトロン社製 126096W)により計測を行った。
解析方法は次のとおりである。周波数を1Hzから10kHzまでスイープした際の各測定値(実部と虚部)をプロットしたコールコールプロットから、解析ソフト(ソーラトロン社製 ZView)を用いて等価回路(RCの並列回路)でフィッテングする。これにより、磁性キャリアの抵抗成分と静電容量成分を求めることができる。この抵抗値、及びキャリア体積(接触面積×最近接距離)から、キャリアの体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。
・トナーの体積抵抗率
直径φ=6mm、測定電極板面積=0.283cm2、圧力=1500gの錘を用い、圧力=96.1kPa、測定時の粉体層厚=0.5〜1.0mmとして、次のような測定を行った。すなわち、400Vの直流電圧を微小電流計(YHP4140pA・METER/DC・VOLTAGE・SOUCE)で電流値を測定し、測定した電流値より体積抵抗値を算出した。
・現像剤のトナー濃度(T/D比)x:
現像スリーブに担持された現像剤を0.3g程度取り、水と界面活性剤(例えばヤシノミ洗剤)の混合液に混ぜ、溶融したトナーとキャリアを分離し、それぞれの重量を測定することにより求めた。
・真密度ρ:
乾式自動密度計(島津製作所社製 アキュピック1330)によって測定し求めた。
なお、上記実施例及び比較例で使用したトナーの真密度ρtは1.0g/cm3、キャリアの真密度ρcは3.5g/cm3であった。
・キャリアの粒径rc:
粒度分布測定機(日機装社製 マイクロトラックMT3300EX)によって体積平均粒径を測定し求めた。
なお、上記実施例及び比較例で使用したキャリアの粒径rcは35μmであった。
・トナー粒径rt:
精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製 Multisizer3)によって重量平均粒径を測定し求めた。
なお、上記実施例及び比較例で使用したトナー粒径rtは5.5μmであった。
<評価方法>
・現像性評価:
表面電位計(TREK社製 MODEL344)により、現像前後の電位差ΔVを計測した。この表面電位計は、感光体1の表面の移動方向において現像領域Dの下流側で感光体1及び感光体1上のトナー像の表面電位を計測できるように、上記実施例及び比較例では現像装置4の下部に取り付けた。そして、比較例2の現像装置4Cで測定されたΔVに対して、増加した場合は「○:許容レベル」、同等又は減少した場合は「×:許容されないレベル」として評価を行った。
・キャリア付着評価:
ベタ画像を連続出力した際に、感光体上のトナー像をテーピングした(すなわち、ベタ画像が形成されている感光体上に粘着性テープを貼着した後に剥がした)。その後、テープのトナー像が付着している面の1cm2程度の領域(テーピング領域)を顕微鏡(オリンパス社製 光学顕微鏡)により観察し、付着しているキャリアの個数をカウントした。そして、次の評価基準に従って、キャリア付着評価を行った。
2個/1cm2以下:○(許容レベル)
2個/1cm2超:×(許容されないレベル)
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態のものと同じである。したがって、第1の実施形態のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施形態では、現像装置は、複数の現像剤担持体として2個の現像スリーブを有し、現像剤を感光体の表面の移動方向において上流側の現像スリーブから下流側の現像スリーブへ受け渡す構成とされている。
そして、上流側の現像スリーブが、下流側の現像スリーブ上の磁気穂中のトナーを移動させて、下流側の現像領域における磁気穂中のトナーを感光体側に偏在させるための導電性部材の機能を有する。これにより、特に、下流側の現像スリーブによる現像性を向上する。下流側の現像スリーブは、感光体上の静電潜像を最終的に現像するものであるので、この下流側の現像スリーブによる現像性を向上することは、画像を改善する上で重要である。
本実施形態の現像装置の構成及び動作については、下記の実施例2において更に詳しく説明する。
<実施例及び比較例の現像装置>
本発明に従う実施例2(図14)の現像装置4Dと、比較例としての比較例3(図15)、比較例4(図16)及び比較例5(図17)の現像装置4E、4F、4Gとを使用して、現像性とキャリア付着を評価した。図14、図15、図16、図17は、それぞれ実施例2、比較例3、比較例4、比較例5の現像装置4D、4E、4F、4Gの構成を示す模式的な断面図である。
実施例2(図14)の現像装置4Dは、複数の現像剤担持体として上流側現像スリーブ(第2の現像剤担持体)41aと下流側現像スリーブ(第1の現像剤担持体)41bとの2個の現像スリーブを有する。上流側現像スリーブ41aは、感光体1の表面の移動方向の上流側において、現像容器46の開口部46aから一部が露出するようにして回転可能に配置されている。また、下流側現像スリーブ41bは、感光体1の表面の移動方向の下流側において、現像容器46の開口部46aから一部が露出するようにして回転可能に配置されている。上流側現像スリーブ41a、下流側現像スリーブ41bのそれぞれの長手方向(回転軸線方向)は、感光体1の長手方向(回転軸線方向)と略平行である。なお、本実施形態では、感光体1の表面の移動方向は、感光体1との対向部における上流側及び下流側の現像スリーブ41a、41bによる現像剤の搬送方向と略同一である。
上流側現像スリーブ41a、下流側現像スリーブ41bは、それぞれ同方向である図中矢印R3a、R3b方向へ回転駆動される。上流側現像領域Da、下流側現像領域Dbにおいて、上流側現像スリーブ41a、下流側現像スリーブ41bの表面の移動方向と感光体3の表面の移動方向は同方向である。また、上流側現像スリーブ41aと下流側現像スリーブ41bとの対向部において、上流側現像スリーブ41aと下流側現像スリーブ41bの表面の移動方向は逆方向である。
上流側現像スリーブ41aには、現像バイアス印加手段(第2の電源)としての上流側現像電源(発信装置)9が接続されている。上流側現像電源9は、波形信号発振器91と、波形信号発振器91により発生した信号を増幅して上流側現像スリーブ41aにバイアスを印加する高圧電源92と、を有する。後述するように、この上流側現像電源9は、トナー付勢バイアス印加手段としても機能する。また、下流側現像スリーブ41bには、現像バイアス印加手段(第1の電源)としての下流側現像電源8が接続されている。下流側現像電源8は、波形信号発振器81と、波形信号発振器81により発生した信号を増幅して現像スリーブ41にバイアスを印加する高圧電源82と、を有する。
上流側現像スリーブ41aの内部には、上流側マグネットローラ(第2の磁界発生手段)42aが固定配置され、下流側現像スリーブ41bの内部には、下流側マグネットローラ(第1の磁界発生手段)42bが固定配置されている。上流側マグネットローラ42aは、その周方向に、複数の磁極として、磁極S11、N12、S12、N13、S13、S14、N11を有する。これら磁極S11、N12、S12、N13、S13、S14、N11は、上流側現像スリーブ41aの回転方向とは逆方向にこの順番で配置されている。また、下流側マグネットローラ42bは、その周方向に、複数の磁極として、磁極S21、N22、N23、S22、N21を有する。これら磁極S21、N22、N23、S22、N21は、下流側現像スリーブ41bの回転方向とは逆方向にこの順番で配置されている。
上流側現像スリーブ41aと上流側マグネットローラ42aとで、上流側現像部材43aが構成され、下流側現像スリーブ41bと下流側マグネットローラ42bとで、下流側現像部材43bが構成される。
そして、実施例2の現像装置4Dでは、上流側現像スリーブ41bは、次のような位置に配置されている。すなわち、下流側現像スリーブ41bの回転方向において下流側現像領域(第1の現像領域)Dbに対応する磁極(下流側現像極)S21から1極上流のトナー付勢極N22に対向し、かつ、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂と接触する位置である。
この下流側現像スリーブ41b上の磁極N22の位置には、上流側現像スリーブ41a上の磁極S14の位置が対向している。これら上流側現像スリーブ41a上の磁極S14と下流側現像スリーブ41b上の磁極N22とは異極である。これら第2の現像剤担持体上の磁極(受け渡し極)S14の位置と、第1の現像剤担持体上の磁極(トナー付勢極)N22の位置との間で、現像剤が受け渡される。
また、実施例2の現像装置4Dでは、規制ブレード44は、次のような位置に配置されている。すなわち、上流側現像スリーブ41aの回転方向において上流側現像極S11の3極上流の規制極N13に対向し、かつ、上流側現像スリーブ41a上の磁気穂が接触する位置である。
また、少なくとも画像形成時には、下流側現像スリーブ41bと上流側現像スリーブ41aとの間に、次のような電位差が形成される。すなわち、上流側現像スリーブ41aに接触した下流側現像スリーブ41b上の磁気穂M中のトナーtを、上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側へと移動させるような電位差である。より詳細には、そのような電位差が、下流側現像スリーブ41bとの間で形成されるように、トナー付勢手段としても機能する上流側現像電源9から上流側現像スリーブ41a7にトナー付勢バイアスとしても機能する現像バイアスが印加される。このとき下流側現像スリーブ41bには、下流側現像電源8から現像バイアスが印加されている。
なお、本実施形態(実施例及び比較例)では、感光体1の外径、上流側及び下流側現像スリーブ41a、41bの外径は、それぞれ第1の実施形態におけるものと同じである。また、本実施形態(実施例及び比較例)では、上流側及び下流側現像スリーブ41a、41bと感光体1との間の最近接距離はそれぞれ300μmである。また、本実施形態(実施例及び比較例)では、上流側現像スリーブ41aと下流側現像スリーブ41bとの間の最近接距離は600μmである。
また、本実施形態では、下流側現像電源8、上流側現像電源9などによって、第1の現像剤担持体上の現像剤の穂立ち中のトナーを第2の現像剤担持体側から第1の現像剤担持体側へ移動させる電位差を形成する電位差形成手段が構成される。
比較例3(図15)の現像装置4Eは、下流側マグネットローラ42bの磁極の配置が次のように変更されていることを除いて、実施例2の現像装置4Dと実質的に同じ構成とされている。比較例3の現像装置4Eでは、下流側マグネットローラ42bは、その周方向に、複数の磁極として、磁極N21、S22、N22、N23、S23、N24、S21を有する。これら磁極N21、S22、N22、N23、S23、N24、S21は、下流側現像スリーブ41bの回転方向とは逆方向にこの順番で配置されている。
そして、比較例3の現像装置4Eでは、上流側現像スリーブ41aは、次のような位置に配置されている。すなわち、下流側現像スリーブ41bの回転方向において下流側現像極N21から2極上流のトナー付勢極N22に対向し、かつ、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂と接触する位置である。この下流側現像スリーブ41b上の磁極N22の位置には、上流側現像スリーブ41a上の磁極S14の位置が対向している。これら上流側現像スリーブ41a上の受け渡し極S14の位置と、下流側現像スリーブ41b上のトナー付勢極N22の位置との間で、現像剤が受け渡される。なお、比較例3において、上流側マグネットローラ42aの磁極の配置は実施例2と同じである。また、比較例3では、実施例2と同様に、少なくとも画像形成時には、下流側現像スリーブ41bと上流側現像スリーブ41aとの間に電位差が形成される。
比較例4(図16)の現像装置4F、比較例5(図17)の現像装置4Gは、下流側、上流側の各現像スリーブ41b、41a間に電位差が形成されないことを除いて、それぞれ実施例2の現像装置4D、比較例3の現像装置4Eと実質的に同じ構成とされている。すなわち、比較例4の現像装置4F、比較例5の現像装置4Gでは、共通の現像電源8から上流側及び下流側現像スリーブ41a、41bに、共通の現像バイアスが印加される。
<評価実験>
実施例1、比較例3〜5の各現像装置4D、4E、4F、4Gにおいて用いた現像バイアスは次のとおりである。
・実施例2(現像装置4D):
上流側現像電源9
DC:−380V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
下流側現像電源8
DC:−230V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
なお、上流側現像電源9の出力の波形と下流側現像電源8の出力の波形は同期させられており、両出力の電位差は実質的に一定に保たれている。
・比較例3(現像装置4E):
上流側現像電源9
DC:−380V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
下流側現像電源8
DC:−230V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
なお、上流側現像電源9の出力の波形と下流側現像電源8の出力の波形は同期させられており、両出力の電位差は実質的に一定に保たれている。
・比較例4(現像装置4F):
現像電源8
DC:−330V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
・比較例5(現像装置4G):
現像電源8
DC:−330V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
その他の条件は、第1の実施形態において説明した評価実験と同様である。
実施例2の現像装置4Dの比較例4の現像装置4Fに対する、また比較例3の現像装置4Eの比較例5の現像装置4Gに対する現像性、キャリア付着の評価結果を表4に示す。
実施例2の現像装置4Dでは、比較例4の現像装置4Fに比べて現像性が改善した。一方、比較例3の現像装置4Eでは、比較例5の現像装置4Gに比べて現像性が低下した。また、実施例2の現像装置4D、比較例3の現像装置4Eともに、キャリア付着については許容レベルであることが確認された。
上述のような結果が得られた理由について、次のように考えられる。図18は、実施例2の現像装置4Dにおける現像剤の挙動を、上流側及び下流側現像スリーブ41a、41bの表面の移動方向に展開して模式的に示す。同様に、図19は、比較例3の現像装置4Eにおける現像剤の挙動、図20は、比較例4の現像装置4Fにおける現像剤の挙動、図21は、比較例5の現像装置4Gにおける現像剤の挙動を示す。
図18に示すように、実施例2の現像装置4Dでは、上流側現像スリーブ41a上の上流側現像領域(第2の現像領域)Daに対応する磁極(上流側現像極)S11の位置に搬送された磁気穂Mは、上流側現像領域Daにおいて、感光体1に接触する。そして、上流側現像領域Daで、上流側現像スリーブ41a上の磁気穂M中のトナーtは、感光体1と上流側現像スリーブ41aとの間の電界E3の作用を受けて、上流側現像スリーブ41a側から感光体1側へと移動する。上流側現像領域Daで、感光体1上の静電潜像に応じて、上流側現像スリーブ41a上の磁気穂M中のトナーtが消費される。その後、上流側現像スリーブ41a上の磁気穂Mは、上流側現像スリーブ41a上の磁極S11と磁極N11との間の1極分で図中上下が反転し、更に上流側現像スリーブ41a上の磁極N11と磁極S14との間の1極分で反転し、全部で1回転する。上流側現像スリーブ41a上の磁極S14の位置まで搬送された磁気穂Mは、上流側現像スリーブ41aと下流側現像スリーブ41bとの間の電界E1の下、下流側現像スリーブ41b上の磁極N22の位置に受け渡される。このとき、上流側現像スリーブ41aに接触した下流側現像スリーブ41b上の磁気穂M中のトナーtは、電界E1の作用を受けて、上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側へと移動する。その後、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂Mは、下流側現像スリーブ41b上の磁極N22と磁極21との間の1極分で図中上下が反転する。下流側現像スリーブ41b上の下流側現像極S21の位置に搬送された磁気穂Mは、下流側現像領域Dbにおいて、感光体1に接触する。そして、下流側現像領域Dbで、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂M中のトナーtは、感光体1と下流側現像スリーブ41bとの間の電界E2の作用を受けて、下流側現像スリーブ41b側から感光体1側へと移動する。
このように、実施例2の現像装置4Dでは、下流側現像極S21から1極上流のトナー付勢極N22に対向し、かつ、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂Mと接触する位置に、上流側現像スリーブ41aが配置されている。また、少なくとも画像形成時には、トナーtを上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側へと移動させるように、上流側現像電源9から上流側現像スリーブ41aに現像バイアスが印加される。その後、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂Mは、下流側現像スリーブ41b上の下流側現像極S21の位置に近付くに伴い、図中上下が反転する。そのため、下流側現像領域Dbにおいて、下流側現像スリーブ41bの近傍のトナー量が減少し、かつ、感光体1の近傍のトナー量が増加する。その結果、比較例4の現像装置4F(図20)の場合と比較すると、下流側現像スリーブ41bの近傍の現像剤の電気抵抗は低下し、かつ、感光体1の近傍のトナー量が増加するため、現像性が改善するものと考えられる。一方、キャリアの電気抵抗が高いために、電荷注入によるキャリア付着は抑制することができる。
図19に示すように、比較例3の現像装置4Eでは、下流側現像極N21から2極上流のトナー付勢極N22に対向し、かつ、下流側現像スリーブ41b上の磁気穂Mと接触する位置に、上流側現像スリーブ41aが配置されている。また、少なくとも画像形成時には、トナーtを上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側へと移動させるように、上流側現像電源9から上流側現像スリーブ41aに現像バイアスが印加される。しかし、その後、比較例3では、磁気穂Mは、下流側現像極N21の位置に近付くに伴い、磁極N22と磁極S22との間の1極分で図中上下が反転し、更に磁極S22と磁極N21との間の1極分で図中上下が反転し、全部で1回転する。そのため、下流側現像領域Dbにおいて、下流側現像スリーブ41bの近傍のトナー量が増加し、感光体1の近傍のトナー量が減少してしまう。その結果、比較例5の現像装置4G(図21)の場合と比較すると、下流側現像スリーブ41bの近傍の現像剤の電気抵抗は上昇し、かつ、感光体1の近傍のトナー量が減少するため、現像性が低下するものと考えられる。
なお、図20、図21に示すように、比較例4、5の各現像装置4F、4Gでは、下流側現像スリーブ41bと上流側現像スリーブ41aとの間に電位差が形成されない。そのため、上流側現像領域Daにおいて上流側現像スリーブ41a上の磁気穂Mからトナーtが消費された後、下流側現像領域Dbに至るまで、実質的に磁気穂M中のトナーtが一方の端部側から他方の端部側へと移動させられることはない。したがって、下流側現像領域Dbに搬送される磁気穂M中のトナーtは、上流側現像領域Daで磁気穂Mからトナーtが消費された状態と比較して有意に感光体1側に偏在させられることはない。
次に、実施例2の現像装置4Dを用い、体積抵抗率の異なるキャリアを使用して、上記同様の評価実験を行った。結果を表5に示す。
体積抵抗率が107Ω・cm以下のキャリアでは、電荷注入によるキャリア付着を抑制することが困難となり、現像性の改善との両立が困難であることがわかった。
以上のように、実施例2によれば、下流側現像領域Dbに対応する磁極から奇数極上流の磁極の位置において、画像形成時に、トナーが上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側へ移動するように、上流側現像スリーブ41aに電圧を印加する。すなわち、トナーは、第2の現像スリーブ側から第1の現像スリーブ側に移動させられる。これにより、トナー付勢極の位置における磁気穂M中のトナーは、下流側現像スリーブ41bの近傍に偏在する。その後、トナー付勢極と下流側現像極との間を磁気穂Mが回転しながら搬送されることにより、下流側現像極における磁気穂M中のトナーは、感光体1の近傍に偏在する。これにより、下流側現像領域Dbにおいて、絶対的なトナー量を変えることなく、下流側現像スリーブ41bの近傍のトナー量を減少させ、かつ、感光体1の近傍のトナー量を増加させることが可能になる。そのため、現像性を改善することができる。したがって、高抵抗キャリアを用いて長期に渡りキャリア付着を抑制できると共に、現像性の改善を図ることができる。
ここで、上流側現像スリーブに対して、更に第1の実施形態と同様にして、導電性部材を配置してもよい。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、第1、第2の実施形態のものと同じである。したがって、第1、第2の実施形態のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施形態では、第2の実施形態と同様に現像装置が複数の現像剤担持体として2個の現像スリーブを有する構成において、上流側の現像スリーブが内蔵するマグネットローラの磁極の配置を変更して、現像性の改善に好ましい条件を更に詳細に探った。
本実施形態の現像装置の構成及び動作については、下記の実施例3において更に詳しく説明する。
<実施例及び比較例の現像装置>
本発明に従う実施例3(図22)の現像装置4Hと、比較例としての比較例6(図23)の現像装置4Iとを使用して、現像性とキャリア付着を評価した。図22、図23は、それぞれ実施例3、比較例6の現像装置4H、4Iの構成を示す模式的な断面図である。
実施例3(図22)の現像装置4Hは、上流側マグネットローラ42aの磁極の配置が次のように変更されていることを除いて、第2の実施形態で説明した実施例2の現像装置4D(図14)と実質的に同じ構成とされている。実施例3の現像装置4Hでは、上流側マグネットローラ42aは、その周方向に、複数の磁極として、磁極N11、S12、N12、S13、S11を有する。これら磁極N11、S12、N12、S13、S11は、上流側現像スリーブ41aの回転方向とは逆方向にこの順番で配置されている。そして、実施例3では、上流側現像スリーブ41aの回転方向において、下流側現像スリーブ41bへ現像剤を受け渡す受け渡し極S11から1極上流に、上流側現像極N11が配置されている。なお、実施例2の現像装置4D(図14)では、上流側現像スリーブ41aの回転方向において、受け渡し極S14から2極上流に、上流側現像極S11が配置されていた。また、実施例3では、実施例2と同様に、少なくとも画像形成時には、下流側現像スリーブ41bと上流側現像スリーブ41aとの間に電位差が形成される。
比較例6(図23)の現像装置4Iは、下流側現像スリーブ41bと上流側現像スリーブ41aとの間に電位差が形成されないことを除いて、実施例3の現像装置4Hと実質的に同じ構成とされている。すなわち、比較例6の現像装置4Iでは、共通の現像電源8から上流側及び下流側現像スリーブ41a、41bに、共通の現像バイアスが印加される。
<評価実験>
実施例3、比較例6の各現像装置4H、4Iにおいて用いた現像バイアスは次のとおりである。
・実施例3(現像装置4H):
上流側現像電源9
DC:−380V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
下流側現像電源8
DC:−230V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
なお、上流側現像電源9の出力の波形と下流側現像電源8の出力の波形は同期させられており、両出力の電位差は実質的に一定に保たれている。
・比較例6(現像装置4I)
現像電源8
DC:−330V
AC:矩形波(周波数6kHz、ピーク間電圧1.5kV)
その他の条件は、第1の実施形態において説明した評価実験と同様である。
実施例3の現像装置4Hの比較例6の現像装置4Iに対する現像性、キャリア付着の評価結果を表6に示す。
実施例3の現像装置4Hでは、比較例6の現像装置4Iに比べて現像性は改善したものの、その効果は限定的であった。すなわち、実施例2の現像装置4Dの方が、実施例3の現像装置4Hよりも、現像性の改善効果は大きかった。
上述のような結果が得られた理由について、次のように考えられる。図24は、実施例3の現像装置4Hにおける現像剤の挙動を、上流側及び下流側現像スリーブ41a、41bの表面の移動方向に展開して示す。同様に、図25は、比較例6の現像装置4Iにおける現像剤の挙動を示す。
図24に示すように、実施例3の現像装置4Hでは、上流側現像スリーブ41aの回転方向において受け渡し極S11から1極上流の、上流側現像極N11の位置において、磁気穂M中のトナーtが消費される。この上流側現像領域Daでは、上流側現像スリーブ41a上の磁気穂M中のトナーtは、上流側現像スリーブ41a側から感光体1側へと移動させられる。その後、その磁気穂Mは上流側現像極N11と受け渡し極S11との間の1極分で反転する。そのため、受け渡し極S11の位置に搬送される磁気穂Mは、相対的に上流側現像スリーブ41aの近傍のトナー量が多く、下流側現像スリーブ41b側のトナー量が少ない状態となっている。したがって、受け渡し極S11の位置とトナー付勢極N22の位置との間において、電界E1の作用により、上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側に十分な量のトナーtを移動させることができないことがある。そのため、比較例6の現像装置4I(図25)の場合と比較して、現像剤の改善効果が限定的になることがあるものと考えられる。
これに対し、実施例2の現像装置4D(図18)では、上流側現像領域Daで磁気穂M中のトナーtが上流側現像スリーブ41a側から感光体1側へと移動させられた後、その磁気穂Mは上流側現像極S11と受け渡し極S14との間の2極分で全体で1回転する。そのため、受け渡し極S14の位置に搬送される磁気穂Mは、相対的に上流側現像スリーブ41aの近傍のトナー量が少なく、下流側現像スリーブ41b側のトナー量が多い状態となっている。したがって、受け渡し極S14の位置とトナー付勢極N22の位置との間において、電界E1の作用により、上流側現像スリーブ41a側から下流側現像スリーブ41b側に十分な量のトナーtを移動させやすいものと考えられる。
以上のように、上流側現像極は、上流側現像スリーブ41aから下流側現像スリーブ41bへ現像剤を受け渡す受け渡し極から偶数極上流に位置することが好ましい。これにより、現像性をより効果的に改善することができる。
ここで、少なくとも上流側現像スリーブの回転方向において受け渡し極から上流側現像極までの磁極は、交互に異極とされる。また、上流側現像極は、上流側現像スリーブの回転方向において受け渡し極から偶数極上流に配置されていればよい。これにより、上流側現像スリーブの回転に伴い磁気穂が反転を繰り返し、結果的に受け渡し極の位置で下流側現像スリーブの近傍のトナー量を増加することができる。ただし、上流側現像極の位置で上流側現像スリーブの近傍に移動させられたトナーを極力その状態で保持したまま磁気穂を受け渡し極の位置まで搬送するためには、上記偶数は、好ましくは6以下、より好ましくは4又は2、最も好ましくは2である。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態のものと同じである。したがって、第1の実施形態のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の現像装置において、現像剤のトナー濃度(T/D比)xを変更して、現像性の改善に好ましい条件を更に詳細に探った。
<評価実験>
第1の実施形態で説明した実施例1の現像装置4Aと実質的に同じ構成の現像装置を用い、使用する現像剤のトナー濃度xを変えてベタ画像を出力した。その結果、現像剤のトナー濃度xが高いとき、ベタ画像の均一性が低下することがわかった。
図26は、正常なベタ画像(図26(a))と、均一性が低下した不良画像(図26(b))を模式的に示す。正常画像の均一性が高いのに対し、不良画像の画像先端は濃く、均一性が低い。画像先端の長さyは現像スリーブ41の周長に一致することから、次のような理由が考えられる。
図27は、現像剤のトナー濃度xが高い場合における現像スリーブ41上の規制極S2の位置から現像極S1の位置までの現像剤の挙動を示す。現像剤のトナー濃度xが高い場合、キャリアcの表面をトナーtが十分被覆している。そのため、トナー付勢極N2においてトナーtを現像スリーブ41側に移動させた際に、キャリアcを被覆できずに現像スリーブ41上に直接付着するトナーtが増加する。このトナーtは、付着力が弱く、キャリアcを被覆するトナーtに比べて移動し易い。そのため、現像スリーブ41の1周分の画像先端が濃くなると考えられる。つまり、ベタ画像の均一性を低下させないためには、キャリアcの表面に対するトナーtの被覆量に好ましい上限があると考えられる。そこで、キャリアcを被覆するトナーtの割合として、下記式1で表される被覆率S(%)を導入した。
上記において、ρcはキャリアの真密度(g/cm3)、rcはキャリアの粒径(μm)、ρtはトナーの真密度(g/cm3)、rtはトナーの粒径(μm)、xは現像剤のトナー濃度(T/D比)(%)である。ただし、それぞれの単位については、上記式1のディメンジョンが合うように代入するものとする。
上記式1は、次のようにして導かれる。キャリアの表面積(πrc 2)に対して、被覆するトナー個数をN(個)とすると、前記被覆率とは、前記キャリア表面積に対するトナー断面積の総和(Nπrt 2/4)の割合であり、S=Nrt 2/4rc 2×100(%)である。一方、T/D比xは現像剤質量に対するトナー質量の割合であり、x=(ρtVt×100)/(ρtVt+ρcVc)である。ここで、Vtはトナーの総体積、Vcはキャリアの総体積である。キャリアに対してN倍のトナー個数が被覆しているので、Vt/Vc=N(rt/rc)3であるため、N=xρcrc 3/ρtrt 3(100−x)が導かれ、被覆率Sが式1で表わされる。したがって、上記式1により算出される被覆率S(%)は、磁気穂M中のキャリアcがトナーtにより被覆されている割合を代表することができる。
ρc=3.5g/cm3、rc=35μm、ρt=1.0g/cm3、rt=5.5μmの二成分現像剤を用いて、ベタ画像の均一性を評価した結果を表7に示す。図26(a)に示すようなベタ画像の均一性が良好な画像が形成された場合を「○(良好)」、図26(b)に示すようなベタ画像の均一性が低下した画像が形成された場合を「×(不良)」とした。
ρc=3.5g/cm3、rc=23μm、ρt=1.0g/cm3、rt=5.5μmの二成分現像剤を用いて、ベタ画像の均一性を評価した結果を表8に示す。評価方法は表7の場合と同じである。
表7、表8に示す結果から、上記式1で表わされる被覆率S(%)が50%より大きいと、現像スリーブ41上に直接付着するトナーtが増加するために、ベタ画像の均一性が低下することがあることがわかった。
以上のように、導電性部材7でトナーを移動させる構成において、上記式1で表わされる被覆率S(%)を50(%)以下にすることが好ましい。これにより、トナー付勢極の位置において、トナーが過剰に現像スリーブ41の近傍に偏在して現像スリーブ41上に直接付着することによるベタ画像均一性の低下を抑制することができる。なお、この被覆率S(%)は、通常5(%)以上である。