JP2014189256A - 車両駆動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができ、駆動効率を向上できる車両駆動システムを提供すること。
【解決手段】前輪Wf又は後輪Wrに超過スリップが発生したことを取得するスリップ取得部61と、超過スリップが発生したことを取得していないことに基づいて、減算スリップポイントを時間離散的に算出する減算スリップポイント算出部69と、減算スリップポイントを積算し積算スリップポイントを経時的に算出する積算スリップポイント算出部63と、積算スリップポイントに基づいて2WDとAWDとを切り替える駆動状態切替部64と、を備える車両駆動システム10である。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両駆動システムに関する。詳しくは、スリップ発生時に車両の駆動状態を切り替える車両駆動システムに関する。
従来、車両の前輪又は後輪にスリップが発生したときに、2輪駆動状態(以下、「2WD」という。)から4輪駆動状態(以下、「AWD」という。)への切り替えを行い、スリップ状態が解消した時点から予め定めた4輪駆動継続時間が経過するまでの間、AWDを継続する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、前輪と後輪の車輪速差に基づいてスリップ量(スリップの大きさ、度合)を算出し、各スリップ発生時に算出されたスリップ量の積算値に応じて、4輪駆動継続時間の延長時間を決定することが開示されている。
特開2008−120119号公報
しかしながら、上述したように従来では、スリップ発生時のスリップ量の積算値に応じて4輪駆動継続時間を可変にしているものの、この4輪駆動継続時間を決定するに際して、スリップが発生していない状況は一切考慮されていない。そのため、一旦スリップが発生した後に、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態であるにも関わらず、AWDを無駄に長時間継続することで、燃費や電費(以下、「駆動効率」という。)が悪化するおそれがあった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができ、駆動効率を向上できる車両駆動システムを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、車両(例えば、後述の車両3)の前輪(例えば、後述の前輪Wf,Wf)及び後輪(例えば、後述の後輪Wr(RWr,LWr)のいずれか一方である第1駆動輪を駆動する第1駆動装置(例えば、後述の第1駆動装置1)と、前記車両の前輪及び後輪のいずれか他方である第2駆動輪を駆動する第2駆動装置(例えば、後述の第2駆動装置2)と、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御し、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪の駆動状態を制御する制御装置(例えば、後述のECU6)と、を備える車両駆動システム(例えば、後述の車両駆動システム10)を提供する。
本発明の車両駆動システムでは、前記制御装置は、前記第1駆動輪又は前記第2駆動輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得するスリップ取得手段(例えば、後述のスリップ取得部61)と、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないことに基づいて、減算スリップポイントを時間離散的に算出する減算スリップポイント算出手段(例えば、後述の減算スリップポイント算出部69)と、前記減算スリップポイントを積算し、積算スリップポイントを経時的に算出する積算スリップポイント算出手段(例えば、後述の積算スリップポイント算出部63)と、前記積算スリップポイントに基づいて、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との双方で前記車両を駆動する双方輪駆動状態(AWD)と、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪のうちいずれか一方のみで前記車両を駆動する一方輪単独駆動状態(2WD)と、を切り替える駆動状態切替手段(例えば、後述の駆動状態切替部64)と、を備えることを特徴とする。
本発明では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する。そして、減算スリップポイントを積算し、経時的に算出された積算スリップポイントに基づいて、双方輪駆動状態(AWD)と一方輪単独駆動状態(2WD)とを切り替える。
これにより、スリップが発生していない状況を考慮して、AWDと2WDとの切り替えができる。そのため、一旦スリップが発生した後に、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態となった場合には、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
また、本発明によれば、車両の駆動状態の切替制御にポイント制を採用することで、異なる物理量(例えば、スリップ量、駆動力、時間等)を同一の基準に並べ直して計算・管理できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、前記超過スリップが発生したことを取得されていない駆動輪の駆動力に相関のある駆動力相関値に基づいて、前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述のスリップ不発生時駆動力減算部691による図11のフローチャートに示す処理)が好ましい。
この発明では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、スリップが発生したことを取得されていない駆動輪の駆動力に相関のある駆動力相関値に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生時の駆動輪の駆動力に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記駆動力相関値が大きいときに、前記駆動力相関値が小さいときに比べて大きな前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述の図11のステップS314に示す処理)が好ましい。
この発明では、駆動力相関値が大きいときに、駆動力相関値が小さいときに比べて大きな減算スリップポイントを算出する。ここで、駆動力相関値が大きいということは、明らかに路面が高μ状態であることを意味する。
これにより、駆動力相関値が大きく、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態となった場合に、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを確実に行うことができるため、AWD継続時間をより減少でき、駆動効率をより向上できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、該取得していない状況が継続されたときの継続時間である不発生継続時間に基づいて、前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述のスリップ不発生継続時間減算部692による図13のフローチャートに示す処理)が好ましい。
この発明では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、スリップを取得していない状況が継続されたときの継続時間である不発生継続時間に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生継続時間に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、前記車両に生じている横加速度に相関のある横加速度相関値に基づいて、前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述のスリップ不発生時横G減算部693による図15のフローチャートに示す処理)が好ましい。
この発明では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、車両に生じている横加速度相関値に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生時の車両に生じている横加速度に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記横加速度相関値が大きいときに、前記横加速度相関値が小さいときに比べて大きな前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述の図15のステップS333に示す処理)が好ましい。
この発明では、横加速度相関値が大きいときに、横加速度相関値が小さいときに比べて大きな減算スリップポイントを算出する。ここで、横加速度相関値が大きいということは、明らかに路面が高μ状態であることを意味する。
これにより、横加速度相関値が大きく、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態となった場合に、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを確実に行うことができるため、AWD継続時間をより減少でき、駆動効率をより向上できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、車速に相関のある車速相関値に基づいて、前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述のスリップ不発生時車速減算部694による図17のフローチャートに示す処理)が好ましい。
この発明では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、車速に相関のある車速相関値に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生時の車速に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
この場合、前記減算スリップポイント算出手段は、前記車速相関値が小さいときに、前記車速相関値が大きいときに比べて大きな前記減算スリップポイントを算出すること(例えば、後述の図17のステップS343に示す処理)が好ましい。
この発明では、車速相関値が小さいときに、車速相関値が大きいときに比べて大きな減算スリップポイントを算出する。
これにより、車速相関値が小さいときは、仮にスリップが発生したとしても車両の挙動が大きく乱れることはないため、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを確実に行うことができるため、AWD継続時間をより減少でき、駆動効率をより向上できる。
この場合、前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントが第1閾値(例えば、後述の第1閾値)以上であるときに前記双方輪駆動状態に切り替え、前記積算スリップポイントが前記第1閾値未満であるときに前記一方輪単独駆動状態に切り替えること(例えば、後述の図7のステップS5〜13に示す処理)が好ましい。
この発明では、車両の駆動状態を、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに双方輪駆動状態(AWD)に切り替え、積算スリップポイントが第1閾値未満であるときに一方輪単独駆動状態(2WD)に切り替える。
ここで、一般的に車両は、2WD、AWDの順に、車両安定性が増す一方で駆動効率が悪化する。これに対してこの発明によれば、より適切なタイミングで2WDとAWDを切り替えできるため、車両安定性を確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
この場合、前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに、前記一方輪単独駆動状態への切り替えを禁止すること(例えば、後述の図20のステップS5〜6Aに示す処理)が好ましい。
この発明では、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときには、一方輪単独駆動状態(2WD)への切り替えを禁止する。
これにより、より適切なタイミングで2WDへの切り替えを禁止できるため、車両安定性をより確保できる。
この場合、前記前輪を前記第1駆動輪とし、前記後輪を前記第2駆動輪としたときに、前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントに基づいて、前記前輪のみで前記車両を駆動する前輪単独駆動状態(FWD)と、前記後輪のみで前記車両を駆動する後輪単独駆動状態(RWD)と、前記前輪と前記後輪との双方で前記車両を駆動する双方輪駆動状態(AWD)と、を切り替えるものであり、且つ、前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに前記双方輪駆動状態に切り替え、前記積算スリップポイントが前記第1閾値より小さい第2閾値以上且つ前記第1閾値未満であるときに前記前輪単独駆動状態に切り替え、前記積算スリップポイントが前記第2閾値未満であるときに前記後輪単独駆動状態に切り替えること(例えば、後述の図7のステップS5〜13に示す処理)が好ましい。
この発明では、車両の駆動状態を、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに双方輪駆動状態(AWD)に切り替え、積算スリップポイントが第1閾値より小さい第2閾値以上且つ第1閾値未満であるときに前輪単独駆動状態(FWD)に切り替え、積算スリップポイントが第2閾値未満であるときに後輪単独駆動状態(RWD)に切り替える。
ここで、一般的に車両は、RWD、FWD、AWDの順に車両安定性が増す一方で、2WD(RWD、FWD)、AWDの順に、駆動効率が悪化する。これに対してこの発明によれば、より適切なタイミングでRWD、FWD及びAWDを切り替えることができるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
この場合、前記前輪を前記第1駆動輪とし、前記後輪を前記第2駆動輪としたときに、前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントに基づいて、前記前輪のみで前記車両を駆動する前輪単独駆動状態(FWD)と、前記後輪のみで前記車両を駆動する後輪単独駆動状態(RWD)と、前記前輪と前記後輪との双方で前記車両を駆動する双方輪駆動状態(AWD)と、を切り替えるものであり、且つ、前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに、前記前輪単独駆動状態及び前記後輪単独駆動状態への切り替えを禁止し、前記積算スリップポイントが前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるときに、前記後輪単独駆動状態への切り替えを禁止すること(例えば、後述の図20のステップS5〜6Aに示す処理)が好ましい。
この発明では、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止し、積算スリップポイントが第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるときに後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止する。
ここで、上述した通り一般的に車両は、RWD、FWD、AWDの順に車両安定性が増す一方で、2WD(RWD、FWD)、AWDの順に、駆動効率が悪化する。これに対してこの発明によれば、より適切なタイミングでFWDやRWDへの切り替えを禁止できるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
この場合、前記第1駆動装置は駆動源として内燃機関(例えば、後述の内燃機関4)を備え、前記第2駆動装置は駆動源として電動機(例えば、後述の電動機2A,2B)のみを備えることが好ましい。
この発明では、第1駆動装置を、駆動源として内燃機関を備えるものとし、第2駆動装置を、駆動源として電動機のみを備えるものとする。即ち、前輪の駆動源として少なくとも内燃機関を備え、後輪の駆動源として電動機のみを備えるものとする。このような車両では、RWD、FWD、AWDの順に駆動効率が悪化するところ、この発明によれば、より適切なタイミングでRWD、FWD及びAWDを切り替えできるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
この場合、前記制御装置は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得したことに基づいて、加算スリップポイントを取得する加算スリップポイント取得手段(例えば、後述の加算スリップポイント算出部68)をさらに備え、前記積算スリップポイント算出手段は、前記減算スリップポイントに加えて前記加算スリップポイントを積算すること(例えば、後述の図7のステップS2及び4に示す処理)が好ましい。
この発明では、スリップが発生したことに基づいて加算スリップポイントを取得する。また、取得した加算スリップポイントを減算スリップポイントに加えて積算することで、積算スリップポイントを算出する。
これにより、さらに適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことでき、駆動効率をさらに向上できる。
本発明によれば、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができ、駆動効率を向上できる車両駆動システムを提供できる。
本発明の第1実施形態に係る車両駆動システムを搭載した車両を示す図である。 上記実施形態に係る第2駆動装置の縦断面図である。 図2に示す第2駆動装置の部分拡大図である。 上記実施形態に係る車両の走行状態における電動機の状態と切離機構の状態を示す図である。 上記実施形態に係るECUの構成を示す機能ブロック図である。 上記実施形態に係る加減スリップポイント算出部の構成を示す機能ブロック図である。 上記実施形態に係る駆動状態切替制御の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る加算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係るスリップ発生時駆動力加算部に記憶された駆動力加算スリップポイント算出テーブルを示す図である。 上記実施形態に係るスリップ発生継続時間加算部に記憶された時間加算スリップポイント算出テーブルを示す図である。 上記実施形態に係る駆動力減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係るスリップ不発生時駆動力減算部に記憶された駆動力減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。 上記実施形態に係る時間減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係るスリップ不発生継続時間減算部に記憶された時間減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。 上記実施形態に係る横G減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係るスリップ不発生時横G減算部に記憶された横G減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。 上記実施形態に係る車速減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係るスリップ不発生時車速減算部に記憶された車速減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。 上記実施形態に係る駆動状態切替制御の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第2実施形態に係る駆動状態切替制御の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第2実施形態以降の説明において、第1実施形態と共通する構成、ステップについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両駆動システムを搭載した車両を示す図である。本実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両3は、ハイブリッド車両である。図1に示すように、車両3に搭載された車両駆動システム10は、第1駆動装置1と、第2駆動装置2と、これらの駆動装置を制御する制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)6と、PDU(パワードライブユニット)8と、バッテリ9と、を備える。
第1駆動装置1は、車両3の前部に設けられ、第1駆動輪としての前輪Wf,Wfを駆動する。第1駆動装置1は、内燃機関(ENG)4と、電動機5と、トランスミッション7と、を備える。内燃機関4と電動機5は、直列に接続されており、これら内燃機関4と電動機5のトルクが、トランスミッション7を介して前輪Wf,Wfに伝達される。
内燃機関4は、例えば直列4気筒エンジンであり、燃料を燃焼させることでハイブリッド車両3を走行させるためのトルクを発生する。内燃機関4のクランクシャフトは、電動機5の出力軸に連結されている。
電動機5は、例えば3相交流モータであり、バッテリ9に蓄えられた電力により、車両3を走行させるためのトルクを発生する。電動機5は、インバータを備えるPDU8を介してバッテリ9に接続されており、内燃機関4の駆動力をアシストする。
トランスミッション7は、内燃機関4で発生したトルクを所望の変速比での回転数及びトルクに変換し、前輪Wf,Wfに伝達する。
第2駆動装置2は、車両3の後部に設けられ、第2駆動輪としての後輪Wr(RWr,LWr)を駆動する。第2駆動装置2は、電動機2A,2Bを備える。これら電動機2A,2Bのトルクが、後輪Wr(RWr,LWr)に伝達される。
電動機2A,2Bは、電動機5と同様に、例えば3相交流モータであり、バッテリ9に蓄えられた電力により、車両3を走行させるためのトルクを発生する。また、電動機2A,2Bは、インバータを備えるPDU8を介してバッテリ9に接続されており、ECU6からの制御信号がPDU8に入力されることで、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が制御される。
なお、4つの前輪Wf,Wf、後輪Wr(RWr,LWr)の各々には、図示しない摩擦ブレーキが設けられている。この摩擦ブレーキは、例えば、油圧式のディスクブレーキで構成される。運転手がブレーキペダルを踏み込むと、踏込力が油圧シリンダ等を介してブレーキパッドに増幅して伝達され、各駆動輪に取り付けられているブレーキディスクとブレーキパッドとの間に摩擦力が生じることで、各駆動輪の制動が行われる。
第2駆動装置2について、さらに詳しく説明する。なお、第2駆動装置2については、本願出願人により出願されて公開された特開2010−235051号公報に詳しく記載されている。
図2は、本実施形態に係る第2駆動装置2の縦断面図である。図3は、図2に示す第2駆動装置2の部分拡大図である。図2及び図3に示すように、第2駆動装置2は、車両3の各後輪RWr,LWrに駆動力を伝える出力軸10A,10Bを有し、各々、車幅方向に同軸上に配置される。これら出力軸10A,10Bは、各後輪RWr,LWrの車軸に接続される。減速機ケース11の内部には、出力軸10A,10Bを駆動する電動機2A,2Bと、電動機2A,2Bの駆動回転を減速する遊星歯車式減速機12A,12Bとが、出力軸10A,10Bと同軸上に配置される。
減速機ケース11の左右両端側内部には、電動機2A,2Bのステータ14A,14Bが固定され、ステータ14A,14Bの内周側には環状のロータ15A,15Bが回転可能に配置される。ロータ15A,15Bの内周部には、出力軸10A,10Bの外周を囲繞する円筒軸16A,16Bが結合され、この円筒軸16A,16Bが出力軸10A,10Bと同軸で相対回転可能に支持される。減速機ケース11の端部壁17A,17Bには、ロータ15A,15Bの回転位置情報を検出するレゾルバ20A,20Bが設けられる。
遊星歯車式減速機12A,12Bは、サンギヤ21A,21Bと、このサンギヤ21に噛合される複数のプラネタリギヤ22A,22Bと、これらのプラネタリギヤ22A,22Bを支持するプラネタリキャリア23A,23Bと、プラネタリギヤ22A,22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A,24Bと、を備え、サンギヤ21A,21Bから電動機2A,Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A,23Bを通して出力される。なお、遊星歯車式減速機12A,12Bの詳細については、特開2010−235051号公報を参照されたい。
減速機ケース11とリングギヤ24Aの間には円筒状の空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A,24Bに対する制動を行う油圧ブレーキ60が、第2ピニオン26Aと径方向でオーバーラップし、第1ピニオン27Aと軸方向でオーバーラップして配置される。油圧ブレーキ60は、減速機ケース11の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Aの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36が軸方向に交互に配置され、これらのプレート35,36が環状のピストン37によって係合及び開放操作される。
ピストン37は、減速機ケース11と支持壁39と円筒状支持部42間に形成された環状のシリンダ室38に進退自在に収容されており、シリンダ室38への高圧オイルの導入によってピストン37を前進させ、シリンダ室38からオイルを排出することによってピストン37を後退させる。油圧ブレーキ60はオイルポンプに接続される。
なお、油圧ブレーキ60及びピストン37の詳細については、特開2010−235051号公報を参照されたい。
減速機ケース11とリングギヤ24Bの間にも円筒状の空間部が確保されており、その空間部内には、リングギヤ24A,24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置される。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させて構成され、そのインナーレース51がリングギヤ24Bのギヤ部28Bと一体に構成される。またアウターレース52は、減速機ケース11の内周面により位置決めされるとともに、回り止めされている。
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A,2Bの駆動力で前進走行する際に係合してリングギヤ24A,24Bの回転をロックするように構成される。より具体的には、一方向クラッチ50は、リングギヤ24A,24Bに作用するトルクの作用方向によってリングギヤ24A,24Bをロック又は切り離すように構成され、車両3が前進する際のサンギヤ21A,21Bの回転方向を正転方向とするとリングギヤ24A,24Bに逆転方向のトルクが作用する場合に、リングギヤ24A,24Bの回転をロックする。
このように構成された第2駆動装置2は、遊星歯車式減速機12A,12Bが中央部で軸方向に対向し、遊星歯車式減速機12Aのリングギヤ24Aと遊星歯車式減速機12Bのリングギヤ24Bとが連結され、連結されたリングギヤ24A,4Bは、減速機ケース11の円筒状支持部42に軸受43を介して回転自在に支持される。また、遊星歯車式減速機12Aの外径側と減速機ケース11との間の空間には油圧ブレーキ60が設けられ、遊星歯車式減速機12Bの外径側と減速機ケース11との間の空間には一方向クラッチ50が設けられ、油圧ブレーキ60と一方向クラッチ50との間であって軸受34の外径側には、油圧ブレーキ60を作動するピストン37が配置される。
以上の構成を備えた第2駆動装置2の通常走行時の動作について説明する。
図4は、車両の走行状態における電動機2A,2Bの状態と切離機構(一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60)の状態を示す図である。図4におけるフロントは前輪Wf,Wfを駆動する第1駆動装置1を表し、リアは後輪Wr(RWr,LWr)を駆動する第2駆動装置2を表し、○が作動(駆動、回生含む)を意味し、×が非作動(停止)を意味する。また、MOT状態は第2駆動装置2の電動機2A,2Bの状態を表す。さらに、切離機構のONはリングギヤ24A,24Bがロックされることを意味し、OFFはリングギヤ24A,24Bがフリー状態であることを意味する。また、OWCは一方向クラッチ50を意味し、BRKは油圧ブレーキ60を意味する。
先ず、停車中は、前輪Wf,Wf側の第1駆動装置1、後輪Wr(RWr,LWr)側の第2駆動装置2はいずれも停止しているため、電動機2A,2Bは停止し、切離機構も非作動状態となっている。
次いで、キーポジションをONにした後、EV発進時は、第2駆動装置2の電動機2A,2Bが駆動する。このとき、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
続いて加速時には、第1駆動装置1と第2駆動装置2いずれも駆動する双方輪(4輪)駆動状態(AWD)となり、このときも、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A,Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
低・中速域のEVクルーズでは、モータ効率が良いため第1駆動装置1が非作動状態で、第2駆動装置2のみが駆動する後輪単独駆動状態(RWD)となる。このときも、切離機構は一方向クラッチ50によりロックされ、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
一方、高速域の高速クルーズでは、エンジン効率が良いため第1駆動装置1による前輪単独駆動状態(FWD)となる。このとき、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60を作動しないため、電動機2A,2Bは停止する。
また、自然減速する場合も、切離機構の一方向クラッチ50が切り離される(OWCフリー)とともに油圧ブレーキ60を作動しないため、電動機2A,2Bは停止する。
一方、減速回生する場合、例えば第1駆動装置1の駆動力により駆動する場合は、切離機構の一方向クラッチ50は切り離される(OWCフリー)が、油圧ブレーキ60を係合することで、電動機2A,2Bで回生充電がなされる。
通常走行では、摩擦ブレーキに対する制動制御と協調して電動機2A,2Bで回生して走行エネルギーを回収するが、緊急制動の要求(例えば、ABS作動時)には、電動機2A,2Bの回生を禁止して、摩擦ブレーキによる制動制御を優先する。この場合、一方向クラッチ50は切り離された状態(OWCフリー)となり、油圧ブレーキ60を作動させないことで、電動機2A,2Bを停止させる。
後進走行の場合は、第1駆動装置1が停止し、第2駆動装置2が駆動して後輪単独駆動状態(RWD)となるか、又は第1駆動装置1と第2駆動装置2いずれも駆動する双方輪駆動状態(AWD)となる。このとき、電動機2A,2Bは逆転方向に回転し、切離機構の一方向クラッチ50は切り離される(OWCフリー)が、油圧ブレーキ60を接続することで、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
次に、本実施形態に係る制御装置としてのECU6の構成について説明する。
ECU6は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下、「CPU」という。)と、を備える。この他、ECU6は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、PDU8や内燃機関4等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
以上のようなハードウェア構成からなるECU6は、車両3の駆動状態を切り替える駆動状態切替制御を実行する。ここで、図5は、本実施形態に係るECU6の構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように、ECU6には、車輪速センサ91、アクセル開度センサ92、エンジン回転数センサ93、モータ電流センサ94、横Gセンサ95、車速センサ96、舵角センサ97及びヨーレートセンサ98等の各種センサの検出信号が入力され、PDU8及び内燃機関(ENG)4に制御信号を出力する。
また、ECU6は、駆動状態切替制御を実行するためのモジュールとして、スリップ取得部61と、加減スリップポイント算出部62と、積算スリップポイント算出部63と、駆動状態切替部64と、安定走行判定部65と、を備える。以下、各モジュールの機能について説明する。
スリップ取得部61は、第1駆動輪としての前輪Wf,Wf又は第2駆動輪としての後輪Wr(RWr,LWr)に、所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する。具体的には、スリップ取得部61は、車輪速センサ91により検出された前輪Wf,Wfと後輪Wr(RWr,LWr)の車輪速差に基づいて、超過スリップが発生したことを取得する。スリップ取得部61は、超過スリップが発生したことを取得したときはスリップ判定フラグを「1」に設定し、超過スリップが発生したことを取得していないときはスリップ判定フラグを「0」に設定する。
ここで、車両3は、高μ状態の乾燥路においても常に駆動輪に微小なスリップを発生させながら走行しているとみなすこともできる。そのため、本実施形態における「超過スリップ」とは、このような微小なスリップを除外するものである。以下、超過スリップの発生を、単にスリップの発生ともいう。
加減スリップポイント算出部62は、超過スリップが発生したことをスリップ取得部61が取得したこと又は取得していないことに基づいて、加算スリップポイント又は減算スリップポイントである加減スリップポイントを時間離散的に算出する。即ち、加減スリップポイント算出部62は、超過スリップが発生したことをスリップ取得部61が取得したことに基づいて、加算スリップポイントを算出する。また、超過スリップが発生したことをスリップ取得部61が取得していないことに基づいて、減算スリップポイントを算出する。
ここで、図6は、本実施形態に係る加減スリップポイント算出部62の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、加減スリップポイント算出部62は、超過スリップが発生したことをスリップ取得部61が取得したとき、即ちスリップ判定フラグが「1」のときに、超過スリップが発生した駆動輪の駆動力に相関のある駆動力相関値に基づいて、加減スリップポイントを算出する。
ここで、駆動力相関値としては、例えば、車輪(一輪)駆動力、車輪(一輪)トルク、車輪を駆動する第1駆動装置1及び第2駆動装置2の駆動力、車輪を駆動する第1駆動装置1及び第2駆動装置2のトルクが挙げられるが、以下では車輪(一輪)駆動力を例に挙げて説明する。
具体的には、図6に示すように加減スリップポイント算出部62は、加算スリップポイント算出部68と、減算スリップポイント算出部69と、を備える。加減スリップポイント算出部62は、スリップ判定フラグが「1」のときに、加算スリップポイント算出部68でプラス値の加算スリップポイントを算出し、算出された加算スリップポイントを積算スリップポイント算出部63に送信する。
また、加減スリップポイント算出部62は、スリップ判定フラグが「0」のときに、減算スリップポイント算出部69でマイナス値の減算スリップポイントを算出し、算出された減算スリップポイントを積算スリップポイント算出部63に送信する。
加算スリップポイント算出部68は、スリップ発生時駆動力加算部681と、スリップ発生継続時間加算部682と、を備える。加算スリップポイント算出部68は、これら各加算部で算出したプラス値の各加算スリップポイントを合算することで、加算スリップポイントを算出する。
スリップ発生時駆動力加算部681は、スリップ発生時の一輪駆動力[N]に応じて、予め作成されて記憶された後述の駆動力加算スリップポイント算出テーブル(図9参照)を検索することで、加算スリップポイントとしての駆動力加算スリップポイントを算出する。スリップ発生時駆動力加算部681は、第1閾値を超えない範囲で、スリップ発生時の一輪駆動力が低駆動力であるほど、大きな駆動力加算スリップポイントを算出する。
ここで、本明細書において一輪駆動力とは、車両3の4輪それぞれの駆動力のうち、最大の駆動力を意味する。一輪駆動力は、センサにより検出される他、例えば、アクセル開度センサ92により検出されたアクセル開度、エンジン回転数センサ93により検出されたエンジン回転数、電動機5,2A,2Bそれぞれに設けられたモータ電流センサ94により検出された各モータ電流等に基づいて推定されて、取得される。
また、第1閾値は、双方輪駆動状態(AWD)と一方輪単独駆動状態(2WD)との切り替えの指標として、適切な値に予め設定される。なお、この第1閾値は、後述の第2閾値よりも大きな値に設定される。
スリップ発生継続時間加算部682は、スリップ発生継続時間[秒]、即ちスリップ判定フラグ「1」の継続時間に応じて、予め作成されて記憶された後述の時間加算スリップポイント算出テーブル(図10参照)を検索することで、加算スリップポイントとしての時間加算スリップポイントを算出する。スリップ発生継続時間加算部682は、時間加算スリップポイントの積算値が後述の第1閾値を超えるまでは、スリップ発生継続時間が長いほど大きな時間加算スリップポイントを算出し、当該積算値が第1閾値を超えた後は、ほぼ0の時間加算スリップポイントを継続して算出する。
また図6に示すように、減算スリップポイント算出部69は、スリップ不発生時駆動力減算部691と、スリップ不発生継続時間減算部692と、スリップ不発生時横G減算部693と、スリップ不発生時車速減算部694と、を備える。減算スリップポイント算出部69は、これら各減算部で算出したマイナス値の各減算スリップポイントを合算することで、減算スリップポイントを算出する。
スリップ不発生時駆動力減算部691は、スリップ不発生時の一輪駆動力[N]に応じて、予め作成されて記憶された後述の駆動力減算スリップポイント算出テーブル(図12参照)を検索することで、減算スリップポイントとしての駆動力減算スリップポイントを算出する。スリップ不発生時駆動力減算部691は、スリップ不発生時の一輪駆動力が所定値未満では駆動力減算スリップポイントを0と算出し、所定値以上では絶対値が比較的大きな一定の駆動力減算スリップポイントを算出する。
スリップ不発生継続時間減算部692は、スリップ不発生継続時間[秒]、即ちスリップ判定フラグ「0」の継続時間に応じて、予め作成されて記憶された後述の時間減算スリップポイント算出テーブル(図14参照)を検索することで、減算スリップポイントとしての時間減算スリップポイントを算出する。スリップ不発生継続時間減算部692は、スリップ不発生継続時間によらず、絶対値が比較的小さな一定の時間減算スリップポイントを算出する。
スリップ不発生時横G減算部693は、スリップ不発生時に横Gセンサ95により検出された横Gに応じて、予め作成されて記憶された後述の横G減算スリップポイント算出テーブル(図16参照)を検索することで、減算スリップポイントとしての横G減算スリップポイントを算出する。スリップ不発生時横G減算部693は、スリップ不発生時の横Gが所定値未満では横G減算スリップポイントを0と算出し、所定値以上では絶対値が比較的大きな一定の横G減算スリップポイントを算出する。
スリップ不発生時車速減算部694は、スリップ不発生時に車速センサ96により検出された車速に応じて、予め作成された記憶された後述の車速減算スリップポイント算出テーブル(図18参照)を検索することで、減算スリップポイントとしての車速減算スリップポイントを算出する。スリップ不発生時車速減算部694は、スリップ不発生時の車速が所定値未満では絶対値が比較的大きな一定の車速減算スリップポイントを算出し、所定値以上では車速減算スリップポイントを0と算出する。
積算スリップポイント算出部63は、加算スリップポイント算出部68で算出された加算スリップポイントと、減算スリップポイント算出部69で算出された減算スリップポイントと、を積算することで、積算スリップポイントを経時的に算出する。
図5に戻って、駆動状態切替部64は、積算スリップポイント算出部63で算出された積算スリップポイントに基づいて、第1駆動輪としての前輪Wf,Wfと第2駆動輪としての後輪Wr(RWr,LWr)のうちいずれか一方のみで車両3を駆動する一方輪単独駆動状態(2WD)と、第1駆動輪としての前輪Wf,Wfと第2駆動輪としての後輪Wr(RWr,LWr)の双方で車両3を駆動する双方輪駆動状態(AWD)と、を切り替える。一方輪単独駆動状態としては、前輪Wf,Wfのみで車両3を駆動する前輪単独駆動状態(FWD)と、後輪Wr(RWr,LWr)のみで車両3を駆動する後輪単独駆動状態(RWD)があり、駆動状態切替部64は、前輪単独駆動状態(FWD)と、後輪単独駆動状態(RWD)と、双方輪駆動状態(AWD)の切り替えを実行する。
具体的には、駆動状態切替部64は、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに、スリップAWD要求フラグを「1」に設定し、車両3の駆動状態を双方輪駆動状態(AWD)に切り替える。また、駆動状態切替部64は、積算スリップポイントが第1閾値未満であり、且つ後述の安定走行判定フラグが「1」のときに、スリップAWD要求フラグを「0」に設定し、車両3の駆動状態を一方輪単独駆動状態(2WD)に切り替える。
駆動状態切替部64は、積算スリップポイントが第2閾値以上であるときに、RWD禁止要求フラグを「1」に設定し、車両3の駆動状態を前輪単独駆動状態(FWD)に切り替える。また、駆動状態切替部64は、積算スリップポイントが第2閾値未満であるときに、RWD禁止要求フラグを「0」に設定し、車両3の駆動状態を後輪単独駆動状態(RWD)に切り替える。
ここで、第2閾値は、前輪単独駆動状態(FWD)と後輪単独駆動状態(RWD)との切り替えの指標として、適切な値に予め設定される。なお、この第2閾値は、上述の第1閾値よりも小さな値に設定される。
安定走行判定部65は、車両3が安定走行しているか否かを判定する。具体的には、スリップAWD要求フラグが「1」である場合において、舵角センサ97、ヨーレートセンサ98、車速センサ96及び車輪速センサ91等の検出値や当該検出値を用いた推定値に基づいて、車両3が安定走行しているか否かを判定する。安定走行判定部65は、車両3が安定走行していると判定したときは安定走行判定フラグを「1」に設定し、安定走行していないと判定したときは安定走行判定フラグを「0」に設定する。
次に、本実施形態に係るECU6で実行される駆動状態切替制御について説明する。
図7は、本実施形態に係る駆動状態切替制御の手順を示すフローチャートである。この制御処理は、ECU6で繰り返し実行される。
ステップS1では、スリップ判定フラグが「1」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合には、スリップの発生を取得したためステップS2に進み、加算スリップポイントを算出した後、ステップS4に進む。NOの場合には、スリップが発生していないためステップS3に進み、減算スリップポイントを算出した後、ステップS4に進む。
ステップS4では、積算スリップポイントの前回値に対して、ステップS2で算出した加算スリップポイント又はステップS3で算出した減算スリップポイントを積算し、積算スリップポイントを算出する。その後、ステップS5に進む。
ステップS5では、ステップS4で算出した積算スリップポイントが第1閾値以上であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS6に進み、NOの場合にはステップS7に進む。
ステップS6では、スリップAWD要求フラグを「1」に設定し、本処理を終了する。これにより、AWDへの切り替えが実行され、又はAWDが維持される。
ステップS7では、スリップAWD要求フラグが「1」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS8に進み、NOの場合にはステップS11に進む。
ステップS8では、車両3が安定走行しているか否かを判定する。車両3が安定走行していると判定したときは安定走行判定フラグを「1」に設定し、安定走行していないと判定したときは安定走行判定フラグを「0」に設定する。
ステップS9では、ステップS8の安定走行判定により設定された安定走行判定フラグが「1」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合には車両3の安定性が確保できているためステップS10に進み、スリップAWD要求フラグを「0」に設定した後、ステップS11に進む。これにより、2WD、即ちFWD又はRWDへの切り替えが実行される。
ステップS9の判別がNOの場合には、車両3の安定性が確保できていないためステップS6に進み、スリップAWD要求フラグを「1」に設定し、本処理を終了する。これにより、AWDが維持される。
ステップS11では、ステップS4で算出した積算スリップポイントが第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS12に進み、NOの場合にはステップS13に進む。
ステップS12では、RWD禁止要求フラグを「1」に設定し、本処理を終了する。これにより、RWDへの切り替えが禁止され、FWDへの切り替えが実行され、又はFWDが維持される。
ステップS13では、RWD禁止要求フラグを「0」に設定し、本処理を終了する。これにより、FWD若しくはRWDへの切り替えが実行され、又はFWD若しくはRWDが維持される。
なお、ステップS8とステップS9の車両3の安定走行に基づいたステップは、省略してもよい。
次に、図7のステップS2で実行される本実施形態に係る加算スリップポイント算出処理について説明する。本実施形態に係る加算スリップポイント算出処理では、駆動力加算スリップポイント算出処理及び時間加算スリップポイント算出処理により各加算スリップポイントを算出した後、算出された各加算スリップポイントを合算する処理が実行される。
図8は、本実施形態に係る加算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS21では、スリップ判定フラグが「1」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS22に進み、NOの場合にはステップS26に進んで加算スリップポイントを「0」にリセットし、本処理を終了する。
ステップS22では、今回処理が初回であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS23に進み、NOの場合にはステップS25に進む。
ステップS23では、スリップ発生時の一輪駆動力から加算スリップポイントをテーブル検索する。具体的には、スリップ発生時の一輪駆動力に応じて、予め作成されてスリップ発生時駆動力加算部681に記憶された駆動力加算スリップポイント算出テーブルを検索することで、駆動力加算スリップポイントを算出する。その後、ステップS24に進む。
ここで、図9は、スリップ発生時駆動力加算部681に記憶された駆動力加算スリップポイント算出テーブルを示す図である。図9において、横軸は一輪駆動力[N]を表し、縦軸はプラス値の駆動力加算スリップポイントを表している。
図9に示すように、駆動力加算スリップポイント算出テーブルは、第1閾値を超えない範囲で、スリップ発生時の一輪駆動力が低駆動力であるほど、駆動力加算スリップポイントが比例して大きくなるように設定される。これは、スリップが発生している場合において、一輪駆動力が低駆動力であるほど路面が低μ状態であることから、駆動力加算スリップポイントをより大きく設定することで、AWDに早期に切り替えるため、又はAWD走行時間を長く確保するためである。ただし、一輪駆動力がある程度高くなると、駆動力加算スリップポイントが一定となるように設定される。
図8に戻って、ステップS24では、スリップ発生継続時間初期値を設定し、本処理を終了する。具体的には、例えば後述する図10のY軸切片で示されるように、スリップ発生継続時間が0秒のときの時間加算スリップポイントの積算値、即ちスリップ発生継続時間初期値を、0としてもよい。
ステップS25では、スリップ発生継続時間から加算スリップポイントをテーブル検索し、本処理を終了する。具体的には、スリップ発生継続時間に応じて、予め作成されてスリップ発生継続時間加算部682に記憶された時間加算スリップポイント算出テーブルを検索することで、時間加算スリップポイントを算出する。
ここで、図10は、スリップ発生継続時間加算部682に記憶された時間加算スリップポイント算出テーブルを示す図である。図10において、横軸は、スリップ発生継続時間[秒]を表し、縦軸はプラス値の時間加算スリップポイントの積算値を表している。即ち、離散的な1回ごとの純粋な時間加算スリップポイントは、図10中の互いに隣接する一方の点における時間加算スリップポイントの積算値と、他方の点における時間加算スリップポイントの積算値との差分によって表される。
図10に示すように、時間加算スリップポイント算出テーブルは、時間加算スリップポイントの積算値が第1閾値を超えるまでは、スリップ発生継続時間が長いほど時間加算スリップポイントが大きくなるように設定される。これは、スリップ発生継続時間が短過ぎる場合にはスリップ誤判定の可能性があることから、時間加算スリップポイントをより小さく設定することで、路面が高μ状態であるにも関わらず無駄にAWDに切り替えてしまうのを回避するためである。
なお、双方輪駆動状態(AWD)要求応答時間内となるように、スリップ発生継続時間に応じた時間加算スリップポイントが設定される。
また、時間加算スリップポイントの積算値が第1閾値を超えた後は、ほぼ0の時間加算スリップポイントが継続して算出され、時間加算スリップポイントの積算値が一定となるように設定される。これは、時間加算スリップポイントの積算値が第1閾値を過大に超えてしまうと、双方輪駆動状態(AWD)の継続時間が長過ぎてしまい、駆動効率(燃費、電費)が悪化するためである。
次に、図7のステップS3で実行される本実施形態に係る減算スリップポイント算出処理について説明する。本実施形態に係る減算スリップポイント算出処理では、駆動力減算スリップポイント算出処理、時間減算スリップポイント算出処理、横G減算スリップポイント算出処理及び車速減算スリップポイント算出処理により各減算スリップポイントを算出した後、算出された各減算スリップポイントを合算する処理が実行される。
図11は、本実施形態に係る駆動力減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS311では、積算スリップポイントが0よりも大きいか否かを判別する。この判別がYESで積算スリップポイントが溜まった状態である場合には、ステップS312に進む。この判別がNOで積算スリップポイントが溜まっていない状態である場合には、ステップS315に進んで減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。これにより、積算スリップポイントが0のときに、減算スリップポイントとして0しか算出しないため、積算スリップポイントがマイナス値となるのが回避される。
ステップS312では、スリップ判定フラグが「0」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS313に進み、スリップ不発生時の一輪駆動力を取得した後、ステップS314に進む。この判別がNOの場合には、ステップS315に進んで減算スリップポイントを0として本処理を終了する。
ステップS314では、ステップS313で取得された一輪駆動力から、減算スリップポイントをテーブル検索して本処理を終了する。具体的には、スリップ不発生時の一輪駆動力に応じて、予め作成されてスリップ不発生時駆動力減算部691に記憶された駆動力減算スリップポイント算出テーブルを検索することで、駆動力減算スリップポイントを算出する。
ここで、図12は、スリップ不発生時駆動力減算部691に記憶された駆動力減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。図12において、横軸は一輪駆動力[N]を表し、縦軸はマイナス値の駆動力減算スリップポイントを表している。
図12に示すように、駆動力減算スリップポイント算出テーブルは、スリップ不発生時の一輪駆動力が所定値未満では、駆動力減算スリップポイントが0となるように設定され、所定値以上では、絶対値が比較的大きな一定の駆動力減算スリップポイントとなるように設定される。これは、スリップが発生していない場合において、一輪駆動力が高駆動力であるほど路面が確実に高μ状態であることから、駆動力減算スリップポイントをより大きく設定することで、不要なAWD走行を回避するためである。また、低μ状態であるにも関わらず2WDへの切り替えを実行してしまうのを回避するためである。
図13は、本実施形態に係る時間減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS321では、積算スリップポイントが0よりも大きいか否かを判別する。この判別がYESで積算スリップポイントが溜まった状態である場合には、ステップS322に進む。この判別がNOで積算スリップポイントが溜まっていない状態である場合には、ステップS325に進んでスリップ不発生継続時間カウンタ値SNT_CNTを0にリセットするとともに、減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。これにより、積算スリップポイントが0のときに、減算スリップポイントとして0しか算出しないため、積算スリップポイントがマイナス値となるのが回避される。
ステップS322では、スリップ判定フラグが「0」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS323に進み、スリップ不発生継続時間カウンタ値SNT_CNTをインクリメントした後、ステップS324に進む。この判別がNOの場合には、ステップS325に進んでスリップ不発生継続時間カウンタ値SNT_CNTを0にリセットするとともに、減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。
ステップS324では、ステップS323でインクリメントされたスリップ不発生継続時間カウンタ値SNT_CNTから、減算スリップポイントをテーブル検索して本処理を終了する。具体的には、スリップ不発生継続時間カウンタ値SNT_CNT、即ちスリップ不発生継続時間[秒]に応じて、予め作成されてスリップ不発生継続時間減算部692に記憶された時間減算スリップポイント算出テーブルを検索することで、時間減算スリップポイントを算出する。
ここで、図14は、スリップ不発生継続時間減算部692に記憶された時間減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。図14において、横軸はスリップ不発生継続時間[秒]を表し、縦軸はマイナス値の時間減算スリップポイントを表している。
図14に示すように、時間減算スリップポイント算出テーブルは、スリップ不発生継続時間によらず、絶対値が比較的小さな一定の時間減算スリップポイントとなるように設定される。これは、スリップ不発生継続時間に伴って、徐々に積算スリップポイントを減少させるためである。
図15は、本実施形態に係る横G減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS331では、積算スリップポイントが0よりも大きいか否かを判別する。この判別がYESで積算スリップポイントが溜まった状態である場合には、ステップS332に進む。この判別がNOで積算スリップポイントが溜まっていない状態である場合には、ステップS334に進んで減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。これにより、積算スリップポイントが0のときに、減算スリップポイントとして0しか算出しないため、積算スリップポイントがマイナス値となるのが回避される。
ステップS332では、スリップ判定フラグが「0」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS333に進み、この判別がNOの場合にはステップS334に進んで減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。
ステップS333では、スリップ不発生時の横Gから減算スリップポイントをテーブル検索して本処理を終了する。具体的には、スリップ不発生時の横Gに応じて、予め作成されてスリップ不発生時横G減算部693に記憶された横G減算スリップポイント算出テーブルを検索することで、横G減算スリップポイントを算出する。
ここで、図16は、スリップ不発生時横G減算部693に記憶された横G減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。図16において、横軸は横Gを表し、縦軸はマイナス値の横G減算スリップポイントを表している。
図16に示すように、横G減算スリップポイント算出テーブルは、スリップ不発生時の横Gが所定値未満では横G減算スリップポイントが0となるように設定され、所定値以上では絶対値が比較的大きな一定の横G減算スリップポイントとなるように設定される。これは、スリップが発生していない場合において、横Gが大きいほど路面が確実に高μ状態であることから、横G減算スリップポイントをより大きく設定することで、不要なAWD走行を回避するためである。また、低μ状態であるにも関わらず2WDへの切り替えを実行してしまうのを回避するためである。
図17は、本実施形態に係る車速減算スリップポイント算出処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS341では、積算スリップポイントが0よりも大きいか否かを判別する。この判別がYESで積算スリップポイントが溜まった状態である場合には、ステップS342に進む。この判別がNOで積算スリップポイントが溜まっていない状態である場合には、ステップS344に進んで減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。これにより、積算スリップポイントが0のときに、減算スリップポイントとして0しか算出しないため、積算スリップポイントがマイナス値となるのが回避される。
ステップS342では、スリップ判定フラグが「0」であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS343に進み、この判別がNOの場合にはステップS344に進んで減算スリップポイントを0とし、本処理を終了する。
ステップS343では、スリップ不発生時の車速から減算スリップポイントをテーブル検索して本処理を終了する。具体的には、スリップ不発生時の車速に応じて、予め作成されてスリップ不発生時車速減算部694に記憶された車速減算スリップポイント算出テーブルを検索することで、車速減算スリップポイントを算出する。
ここで、図18は、スリップ不発生時車速減算部694に記憶された車速減算スリップポイント算出テーブルを示す図である。図18において、横軸は車速を表し、縦軸はマイナス値の車速減算スリップポイントを表している。
図18に示すように、車速減算スリップポイント算出テーブルは、スリップ不発生時の車速が所定値未満では絶対値が比較的大きな一定の車速減算スリップポイントとなるように設定され、所定値以上では車速減算スリップポイントが0となるように設定される。これは、車速が所定値未満の低車速では仮にスリップが発生した場合でも車両の挙動を大きく乱すことが無いので、車速減算スリップポイントの絶対値を比較的大きな一定の値とし、高車速では反対に車速減算スリップポイントを0とすることで、AWDから2WDへの切り替えをより適切なタイミングで実行するためである。
次に、本実施形態に係る駆動状態切替制御の一例について説明する。図19は、本実施形態に係る駆動状態切替制御の一例を示すタイムチャートである。
図19において、「積算スリップポイント」の行における+側(図19における上側)の棒グラフは加算スリップポイントを表し、−側(図19における下側)の棒グラフは減算スリップポイントを表し、折れ線グラフは積算スリップポイントを表している。
先ず、RWD(EV)発進後の時刻t1において、スリップの発生が取得されてスリップ判定フラグが「1」に設定されたことに応じて、加算スリップポイントの算出が開始される。このとき、低駆動力(図9に示すように加算スリップポイントは大きい。)の状態でスリップが発生しているため、加算スリップポイントの算出値は大きい。そのため、加算スリップポイントの積算値である積算スリップポイントが第1閾値以上となり、これに応じてスリップAWD要求フラグが「1」に設定され、AWDへの切り替えが実行される。同時に、当然、積算スリップポイントは第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるため、RWD禁止要求フラグが「1」に設定される。
加算スリップポイントの算出は、スリップ判定フラグが「0」に設定される時刻t2まで継続される。また、時刻t1からt2までの間、スリップ発生継続時間に基づいて算出されたプラス値の加算スリップポイントが積算されることで、積算スリップポイントが増加していく。
時刻t2において、スリップの発生が取得されず、スリップ判定フラグが「0」に設定されたことに応じて、加算スリップポイントの算出が終了され、その代わりに減算スリップポイントの算出が開始される。このとき、高車速(図18に示すように減算スリップポイントは小さい。)で低駆動力(図12に示すように減算スリップポイントは小さい。)の状態であるため、減算スリップポイントの算出値は小さい。
減算スリップポイントの算出は、積算スリップポイントが0になる時刻t3まで継続され、時刻t2からt3までの間、スリップ不発生継続時間に基づいて算出されたマイナス値の減算スリップポイントが積算されることで、積算スリップポイントが減少していく。なお、時刻t3では、積算スリップポイントが既に第1閾値未満であるものの、安定走行判定フラグが「0」であるため、スリップAWD要求フラグが「1」のままでAWD走行が維持される。
時刻t4において、積算スリップポイントが第1閾値未満であり、安定走行判定フラグが「1」であることに応じて、スリップAWD要求フラグが「0」に設定される。また、積算スリップポイントが第2閾値未満であることに応じて、RWD禁止要求フラグが「0」に設定される。これにより、FWD又はRWDへの切り替えが実行される。
時刻t5において、再びスリップの発生が取得されてスリップ判定フラグが「1」に設定されたことに応じて、加算スリップポイントの算出が開始される。このとき、高駆動力(図9に示すように加算スリップポイントは小さい。)の状態でスリップが発生しているため、加算スリップポイントの算出値は小さい。そのため、加算スリップポイントの積算値である積算スリップポイントは第1閾値未満であるため、スリップAWD要求フラグは「0」のままである。一方、積算スリップポイントは第2閾値以上であるため、RWD禁止要求フラグが「1」に設定され、RWDへの切り替えが禁止される。これにより、t5以前にRWDであった場合には、FWDへの切り替えが実行される。
時刻t6において、スリップの発生が取得されず、スリップ判定フラグが「0」に設定されたことに応じて、加算スリップポイントの算出が終了され、その代わりに減算スリップポイントの算出が開始される。このとき、高車速(図18に示すように減算スリップポイントは小さい。)で高駆動力(図12に示すように減算スリップポイントは大きい。)の状態であるため、減算スリップポイントの算出値は大きい。また、積算スリップポイントは第1閾値未満であるため、スリップAWD要求フラグは「0」のままである。
時刻t7において、積算スリップポイントが第2閾値未満となったことに応じて、RWD禁止要求フラグが「0」に設定され、FWD又はRWDへの切り替えが実行される。
時刻t8において、再びスリップの発生が取得されてスリップ判定フラグが「1」に設定されたことに応じて、加算スリップポイントの算出が開始される。このとき、低駆動力(図9に示すように加算スリップポイントは大きい。)でのスリップ発生であるため、加算スリップポイントの算出値は大きい。そのため、加算スリップポイントの積算値である積算スリップポイントが第1閾値以上となり、これに応じてスリップAWD要求フラグが「1」に設定され、AWDへの切り替えが実行される。同時に、当然、積算スリップポイントは第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるため、RWD禁止要求フラグが「1」に設定される。
時刻t9において、スリップの発生が取得されず、スリップ判定フラグが「0」に設定されたことに応じて、加算スリップポイントの算出が終了され、その代わりに減算スリップポイントの算出が開始される。このとき、低車速(図18に示すように減算スリップポイントは大きい。)で低駆動力(図12に示すように減算スリップポイントは小さい。)の状態でスリップが発生していないため、減算スリップポイントの算出値は大きい。
減算スリップポイントの算出は、積算スリップポイントが0になる時刻t10まで継続され、時刻t9からt10までの間、算出された減算スリップポイントが積算されることで、積算スリップポイントが減少していく。なお、時刻t10では、積算スリップポイントが既に第1閾値未満であるものの、安定走行判定フラグが「0」であるため、スリップAWD要求フラグが「1」のままでAWD走行が維持される。
時刻t11おいて、積算スリップポイントが第1閾値未満であり、安定走行判定フラグが「1」であることに応じて、スリップAWD要求フラグが「0」に設定される。また、積算スリップポイントが第2閾値未満であることに応じて、RWD禁止要求フラグが「0」に設定される。これにより、FWD又はRWDへの切り替えが実行される。
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する。そして、減算スリップポイントを積算し、経時的に算出された積算スリップポイントに基づいて、双方輪駆動状態(AWD)と一方輪単独駆動状態(2WD)とを切り替える。
これにより、スリップが発生していない状況を考慮して、AWDと2WDとの切り替えができる。そのため、一旦スリップが発生した後に、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態となった場合には、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
また、本実施形態によれば、車両3の駆動状態の切替制御にポイント制を採用することで、異なる物理量(例えば、スリップ量、駆動力、時間等)を同一の基準に並べ直して計算・管理できる。
また本実施形態では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、スリップが発生したことを取得されていない駆動輪の駆動力に相関のある駆動力相関値に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生時の駆動輪の駆動力に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
また本実施形態では、駆動力相関値が大きいときに、駆動力相関値が小さいときに比べて大きな減算スリップポイントを算出する。ここで、駆動力相関値が大きいということは、明らかに路面が高μ状態であることを意味する。
これにより、駆動力相関値が大きく、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態となった場合に、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを確実に行うことができるため、AWD継続時間をより減少でき、駆動効率をより向上できる。
また本実施形態では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、スリップを取得していない状況が継続されたときの継続時間である不発生継続時間に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生継続時間に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
また本実施形態では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、車両に生じている横加速度相関値に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生時の車両に生じている横加速度に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
また本実施形態では、横加速度相関値が大きいときに、横加速度相関値が小さいときに比べて大きな減算スリップポイントを算出する。ここで、横加速度相関値が大きいということは、明らかに路面が高μ状態であることを意味する。
これにより、横加速度相関値が大きく、明らかに路面が高μ状態でAWDが不要な状態となった場合に、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを確実に行うことができるため、AWD継続時間をより減少でき、駆動効率をより向上できる。
また本実施形態では、スリップが発生していないことに基づいて減算スリップポイントを算出する際に、車速に相関のある車速相関値に基づいて、減算スリップポイントを算出する。
これにより、従来のような単純な時間経過に基づいた駆動状態遷移ではなく、スリップ不発生時の車速に基づいたポイントの算出及び積算による駆動状態遷移とすることができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことができるため、AWD継続時間を減少でき、駆動効率を向上できる。
また本実施形態では、車速相関値が小さいときに、車速相関値が大きいときに比べて大きな減算スリップポイントを算出する。
これにより、車速相関値が小さいときは、仮にスリップが発生したとしても車両の挙動が大きく乱れることはないため、速やかにAWDから2WDへの切り替えができる。従って、より適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを確実に行うことができるため、AWD継続時間をより減少でき、駆動効率をより向上できる。
また本実施形態では、車両の駆動状態を、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに双方輪駆動状態(AWD)に切り替え、積算スリップポイントが第1閾値未満であるときに一方輪単独駆動状態(2WD)に切り替える。
ここで、一般的に車両は、2WD、AWDの順に、車両安定性が増す一方で駆動効率が悪化する。これに対して本実施形態によれば、より適切なタイミングで2WDとAWDを切り替えできるため、車両安定性を確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
また本実施形態では、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときには、一方輪単独駆動状態(2WD)への切り替えを禁止する。
これにより、より適切なタイミングで2WDへの切り替えを禁止できるため、車両安定性をより確保できる。
また本実施形態では、車両の駆動状態を、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに双方輪駆動状態(AWD)に切り替え、積算スリップポイントが第1閾値より小さい第2閾値以上且つ第1閾値未満であるときに前輪単独駆動状態(FWD)に切り替え、積算スリップポイントが第2閾値未満であるときに後輪単独駆動状態(RWD)に切り替える。
ここで、一般的に車両は、RWD、FWD、AWDの順に車両安定性が増す一方で、2WD(RWD、FWD)、AWDの順に、駆動効率が悪化する。これに対してこの発明によれば、より適切なタイミングでRWD、FWD及びAWDを切り替えることができるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
また本実施形態では、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止し、積算スリップポイントが第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるときに後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止する。
ここで、上述した通り一般的に車両は、RWD、FWD、AWDの順に車両安定性が増す一方で、2WD(RWD、FWD)、AWDの順に、駆動効率が悪化する。これに対してこの発明によれば、より適切なタイミングでFWDやRWDへの切り替えを禁止できるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
また本実施形態では、第1駆動装置1を、駆動源として内燃機関4を備えるものとし、第2駆動装置2を、駆動源として電動機2A,2Bのみを備えるものとする。即ち、前輪Wf,Wfの駆動源として少なくとも内燃機関4を備え、後輪Wr(RWr,LWr)の駆動源として電動機2A,2Bのみを備えるものとする。このような車両3では、RWD、FWD、AWDの順に駆動効率が悪化するところ、本実施形態によれば、より適切なタイミングでRWD、FWD及びAWDを切り替えできるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をさらに向上できる。
また本実施形態では、スリップが発生したことに基づいて加算スリップポイントを取得する。また、取得した加算スリップポイントを減算スリップポイントに加えて積算することで、積算スリップポイントを算出する。
これにより、さらに適切なタイミングで車両の駆動状態の切り替えを行うことでき、駆動効率をさらに向上できる。
また本実施形態では、スリップが発生した駆動輪の駆動力に相関のある駆動力相関値に基づいて、加算スリップポイントを算出する。そして、算出された加減スリップポイントの積算値である積算スリップポイントに基づいて、一方輪単独駆動状態(2WD)と双方輪駆動状態(AWD)とを切り替える。
これにより、従来のように単純にスリップ量の積算値に応じて駆動状態を切り替えるのではなく、スリップが発生した駆動輪の駆動力に基づいて駆動状態を切り替えるため、より適切なタイミングで車両3の駆動状態を切り替えることができる。
例えば、スリップ量が同一である場合、低駆動力でスリップが発生したときの方が路面がより低μ状態である可能性が高い。これに対して本実施形態によれば、スリップが発生した駆動輪の駆動力に応じて駆動状態を切り替えることができるため、路面が低μ状態でAWDが必要な状態であるにも関わらずAWDから2WDへの切り替えを行うのを抑制でき、車両安定性を確保できる。
また、スリップ量が同一である場合、高駆動力でスリップが発生したときの方が路面がより高μ状態である可能性が高い。これに対して本実施形態によれば、スリップが発生した駆動輪の駆動力に応じて駆動状態を切り替えることができるため、路面が高μ状態でAWDが不要な状態であるにも関わらず2WDからAWDへの切り替えを行うのを抑制できるとともに、AWDを無駄に長時間継続するのを抑制でき、駆動効率を向上できる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る車両駆動システムは、第1実施形態に係る車両駆動システム10と比べて、駆動状態切替部の構成のみが異なる。
具体的には、本実施形態に係る駆動状態切替部は、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに、2WD禁止要求フラグを「1」に設定し、一方輪単独駆動状態(2WD)、即ち前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止する。これにより、車両3の駆動状態は双方輪駆動状態(AWD)となる。
また、本実施形態に係る駆動状態切替部は、積算スリップポイントが第1閾値未満であり、且つ安定走行判定フラグが「1」のときに、2WD禁止要求フラグを「0」に設定し、一方輪単独駆動状態(2WD)、即ち前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを許容する。これにより、前輪単独駆動状態(FWD)又は後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えが実行される。
なお、本実施形態に係る駆動状態切替部は、第1実施形態に係る駆動状態切替部64と同様に、積算スリップポイントが第2閾値以上であるときに、RWD禁止要求フラグを「1」に設定し、車両3の駆動状態を前輪単独駆動状態(FWD)に切り替える。また、積算スリップポイントが第1閾値よりも小さい第2閾値未満であるときに、RWD禁止要求フラグを「0」に設定し、車両3の駆動状態を後輪単独駆動状態(RWD)に切り替える。
図20は、本実施形態に係る駆動状態切替制御の手順を示すフローチャートである。この制御処理は、ECUで繰り返し実行される。
本実施形態に係る駆動状態切替制御は、第1実施形態に係る駆動状態切替制御のステップS6、7及び10を、それぞれステップS6A、7A及び10Aに変更した以外は、同一の処理内容となっている。
ステップS6Aでは、ステップS5において積算スリップポイントが第1閾値以上であると判別されたことに応じて、2WD禁止要求フラグを「1」に設定し、本処理を終了する。これにより、一方輪単独駆動状態(2WD)、即ち前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えが禁止され、車両3の駆動状態は双方輪駆動状態(AWD)となる。
また、ステップS7Aでは、ステップS5において積算スリップポイントが第1閾値以上であると判別されたことに応じて、2WD禁止要求フラグが「1」であるか否かを判別する。
また、ステップS10Aでは、ステップS9において安定走行判定フラグが「1」であると判別されたことに応じて、2WD禁止要求フラグを「0」に設定する。これにより、前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えが許容され、前輪単独駆動状態(FWD)又は後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えが実行される。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。
より詳しくは、本実施形態では、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときには、一方輪単独駆動状態(2WD)への切り替えを禁止する。これにより、より適切なタイミングで2WDへの切り替えを禁止できるため、車両安定性をより確保できる。
また本実施形態では、積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに前輪単独駆動状態(FWD)及び後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止し、積算スリップポイントが第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるときに後輪単独駆動状態(RWD)への切り替えを禁止する。上述した通り、一般的に車両は、RWD、FWD、AWDの順に車両安定性が増す一方で、2WD(RWD、FWD)、AWDの順に、駆動効率が悪化する。これに対して本実施形態によれば、より適切なタイミングでFWDやRWDへの切り替えを禁止できるため、車両安定性をより確保できるとともに、駆動効率をより向上できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態における加算スリップポイント算出部68では、スリップが発生したことをスリップ取得部61が取得したことに基づいて、加算スリップポイントを時間離散的に算出したが、これに限定されない。例えば、スリップ発生時に一度だけ、加算スリップポイントを設定して取得するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、後輪の駆動源を電動機2A,2Bのみとしたが、エンジン駆動であってもよい。
また、上記実施形態では、後輪側の第2駆動装置2を2つの電動機2A,2Bを具備する2モータ方式としたが、1モータ方式であってもよい。
また、上記実施形態では、横Gを横Gセンサにより検出したが、横Gに相関のある値(横G相関値)であれば特に限定されない。例えば、ヨーレートYrと車速Vの積として横Gを算出(横G=Yr×V)してもよい。即ち、横Gを直接的に示す値の代わりに、横Gを間接的に示す値(上記例であれば、ヨーレートYr又は車速V)に基づいて制御してもよい。この場合でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また上記実施形態では、車速を車速センサにより検出したが、車速に相関のある値(車速相関値)であれば特に限定されない。例えば、モータ回転数、エンジン回転数、ミッション回転数等から車速を算出し、算出された車速に基づいて制御してもよい。この場合でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
1…第1駆動装置
2…第2駆動装置
2A,2B…電動機
3…車両
4…内燃機関
5…電動機
6…ECU(制御装置、スリップ取得手段、減算スリップポイント算出手段、積算スリップポイント算出手段、駆動状態切替手段、加算スリップポイント取得手段)
7…トランスミッション
8…PDU
9…バッテリ
10…車両駆動システム

Claims (14)

  1. 車両の前輪及び後輪のいずれか一方である第1駆動輪を駆動する第1駆動装置と、
    前記車両の前輪及び後輪のいずれか他方である第2駆動輪を駆動する第2駆動装置と、
    前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御し、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪の駆動状態を制御する制御装置と、を備える車両駆動システムであって、
    前記制御装置は、
    前記第1駆動輪又は前記第2駆動輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得するスリップ取得手段と、
    前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないことに基づいて、減算スリップポイントを時間離散的に算出する減算スリップポイント算出手段と、
    前記減算スリップポイントを積算し、積算スリップポイントを経時的に算出する積算スリップポイント算出手段と、
    前記積算スリップポイントに基づいて、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との双方で前記車両を駆動する双方輪駆動状態と、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪のうちいずれか一方のみで前記車両を駆動する一方輪単独駆動状態と、を切り替える駆動状態切替手段と、を備えることを特徴とする車両駆動システム。
  2. 請求項1に記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、前記超過スリップが発生したことを取得されていない駆動輪の駆動力に相関のある駆動力相関値に基づいて、前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  3. 請求項2に記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記駆動力相関値が大きいときに、前記駆動力相関値が小さいときに比べて大きな前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  4. 請求項1から3いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、該取得していない状況が継続されたときの継続時間である不発生継続時間に基づいて、前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  5. 請求項1から4いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、前記車両に生じている横加速度に相関のある横加速度相関値に基づいて、前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  6. 請求項5に記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記横加速度相関値が大きいときに、前記横加速度相関値が小さいときに比べて大きな前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  7. 請求項1から6いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得していないときに、車速に相関のある車速相関値に基づいて、前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  8. 請求項7に記載の車両駆動システムにおいて、
    前記減算スリップポイント算出手段は、前記車速相関値が小さいときに、前記車速相関値が大きいときに比べて大きな前記減算スリップポイントを算出することを特徴とする車両駆動システム。
  9. 請求項1から8いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに前記双方輪駆動状態に切り替え、前記積算スリップポイントが前記第1閾値未満であるときに前記一方輪単独駆動状態に切り替えることを特徴とする車両駆動システム。
  10. 請求項1から8いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに、前記一方輪単独駆動状態への切り替えを禁止することを特徴とする車両駆動システム。
  11. 請求項1から8いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記前輪を前記第1駆動輪とし、前記後輪を前記第2駆動輪としたときに、
    前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントに基づいて、前記前輪のみで前記車両を駆動する前輪単独駆動状態と、前記後輪のみで前記車両を駆動する後輪単独駆動状態と、前記前輪と前記後輪との双方で前記車両を駆動する双方輪駆動状態と、を切り替えるものであり、且つ、
    前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに前記双方輪駆動状態に切り替え、前記積算スリップポイントが前記第1閾値より小さい第2閾値以上且つ前記第1閾値未満であるときに前記前輪単独駆動状態に切り替え、前記積算スリップポイントが前記第2閾値未満であるときに前記後輪単独駆動状態に切り替えることを特徴とする車両駆動システム。
  12. 請求項1から8いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記前輪を前記第1駆動輪とし、前記後輪を前記第2駆動輪としたときに、
    前記駆動状態切替手段は、前記積算スリップポイントに基づいて、前記前輪のみで前記車両を駆動する前輪単独駆動状態と、前記後輪のみで前記車両を駆動する後輪単独駆動状態と、前記前輪と前記後輪との双方で前記車両を駆動する双方輪駆動状態と、を切り替えるものであり、且つ、
    前記積算スリップポイントが第1閾値以上であるときに、前記前輪単独駆動状態及び前記後輪単独駆動状態への切り替えを禁止し、前記積算スリップポイントが前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上であるときに、前記後輪単独駆動状態への切り替えを禁止することを特徴とする車両駆動システム。
  13. 請求項11又は12に記載の車両駆動システムにおいて、
    前記第1駆動装置は駆動源として内燃機関を備え、
    前記第2駆動装置は駆動源として電動機のみを備えることを特徴とする車両駆動システム。
  14. 請求項1から13いずれかに記載の車両駆動システムにおいて、
    前記制御装置は、前記超過スリップが発生したことを前記スリップ取得手段が取得したことに基づいて、加算スリップポイントを取得する加算スリップポイント取得手段をさらに備え、
    前記積算スリップポイント算出手段は、前記減算スリップポイントに加えて前記加算スリップポイントを積算することを特徴とする車両駆動システム。
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