JP2014201045A - 多層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れた多層構造体の提供。【解決手段】ポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有する多層構造体であって、上記ポリアミド層(A)が、ジアミン構成単位がキシリレンジアミン(a−1)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)に由来する構成単位を含むポリアミド(a)を含有し、上記ポリエーテルポリアミド層(B)が、ジアミン構成単位がポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含むポリエーテルポリアミド(b)を含有する多層構造体である。【選択図】なし

Description

本発明は、耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れた多層構造体に関する。
酸素による食品の変質、腐敗、酸化等の劣化を抑制するために、酸素バリア性を有する樹脂が食品包装材料として用いられている。中でも酸素バリア性に優れる樹脂として、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)が知られており、幅広い種類の食品の包装材料として用いられている。
一方で、MXD6は柔軟性に劣り耐ピンホール性が悪いため、耐ピンホール性の悪化を改善しつつ、高いガスバリア性を示す食品包装材料とするために様々な検討が行われている。例えば、特許文献1では、特定の脂肪酸系ビスアミドと変性ポリオレフィンとを特定の割合で含有するポリアミド層を、MXD6層の両面に積層させた積層フィルムが提案されている。また上記ポリアミド層として、特許文献1の実施例ではナイロン6が用いられており、ナイロン6/接着剤/MXD6/接着剤/ナイロン6の層構成で、各層の厚みが45/5/50/5/45μmの未延伸シートを2軸延伸機で厚さ15μmに延伸した積層フィルムが開示されている。
特開2007−136874号公報
しかしながら、ナイロン6は酸素バリア性に劣るため、MXD6層は一定以上の厚みが必要であった。また、積層フィルムの層間密着性を得るには、接着剤層を介してナイロン6とMXD6とを積層する必要があった。このように耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度の全てに満足できる積層フィルムまでには至っておらず、酸素バリア性を有する積層フィルムの上記特性について改善の余地があった。
本発明は、MXD6等の酸素バリア性を有するポリアミド層を有し、かつ耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れた多層構造体を提供することを課題とする。
本発明者らは、シート、フィルム等の多層構造体において、該多層構造体の少なくとも1層を特定のポリエーテルポリアミド層とすることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の多層構造体に関する。
<1> ポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有する多層構造体であって、
上記ポリアミド層(A)が、ジアミン構成単位がキシリレンジアミン(a−1)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)に由来する構成単位を含むポリアミド(a)を含有し、
上記ポリエーテルポリアミド層(B)が、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含むポリエーテルポリアミド(b)を含有する多層構造体。
Figure 2014201045
(式中、x+zは1〜60、yは1〜50を表し、−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。)
<2> シート又はフィルムである上記多層構造体。
本発明は、多層構造体の少なくとも1層が特定のポリエーテルポリアミド層を有することにより、耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れた多層構造体を提供することができ、更に食品包装材料として好適な、上記特性を有するシート及びフィルムを提供することができる。
本発明の多層構造体は、少なくともポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を構成層として有するものであり、以下に具体的態様の例について説明する。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、本発明の多層構造体の効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨であり、具体的には、各層を構成する成分全体の約80質量%以上、好ましくは90質量%以上100質量%以下の範囲を占める成分である。ただし、「主成分とする」とは、上記含有量に特定するものではない。
[ポリアミド層(A)]
ポリアミド層(A)は、ポリアミド(a)を主成分として含む層であり、ポリアミド(a)は、ジアミン構成単位がキシリレンジアミン(a−1)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)に由来する構成単位を含む。
本発明の多層構造体は上記ポリアミド層(A)を含むことで、優れた酸素バリア性を多層構造体に付与することができる。
(ジアミン構成単位)
ジアミン構成単位中における、キシリレンジアミン(a−1)に由来する構成単位の含有量は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。
キシリレンジアミン(a−1)としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物が好ましく、メタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物がより好ましく、メタキシリレンジアミンが更に好ましい。
キシリレンジアミン(a−1)としてメタキシリレンジアミンを用いる場合、得られるポリアミドは、酸素バリア性がより向上し、かつ結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れたものとなる。
また、キシリレンジアミン(a−1)として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物を用いる場合には、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合は、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは1〜80モル%以下、更に好ましくは1〜70モル%以下、より更に好ましくは5〜70モル%である。
ポリアミド(a)を構成するジアミン構成単位は、上述したように、キシリレンジアミン(a−1)に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン化合物に由来する構成単位を含んでもよい。
キシリレンジアミン(a−1)以外のジアミン構成単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。これらのジアミン化合物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、またキシリレンジアミンと併用してもよい。
(ジカルボン酸構成単位)
ジカルボン酸構成単位中における、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)に由来する構成単位の含有量は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できる。これらの中でも結晶性、高弾性の観点から、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、結晶性、高弾性に加えてガスバリア性の観点からはアジピン酸がより好ましい。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
ポリアミド(a)を構成するジカルボン酸構成単位は、上述したように、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)以外に用いることができるジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、また炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸と併用してもよい。
また、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)とイソフタル酸との混合物を使用する場合、ポリアミド樹脂(A)の耐熱性及び成形加工性を向上させることができる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)とイソフタル酸とのモル比(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)/イソフタル酸)は、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
(ポリアミド(a)の物性)
ポリアミド(a)の融点は、耐熱性及び溶融成形性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜260℃の範囲である。融点は、示差走査熱量計を用いて測定される。
ポリアミド(a)の相対粘度は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは1.7〜4.0の範囲、より好ましくは1.9〜3.8の範囲である。相対粘度は、試料0.2gを96質量%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
本発明において上記ポリアミド(a)として、好ましくはポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリメタキシリレンアジパミドイソフタラミド(MXD6I)等が用いられる。
上記ポリアミド(a)のなかでも、キシリレンジアミン(a−1)がメタキシリレンジアミンであり、α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)がアジピン酸であるMXD6が特に好適である。MXD6を上記ポリアミド(a)として用いることで、本発明の多層構造体に、より優れたガスバリア性を付与することでき、加えて強度、弾性率、成形加工性等を向上させることができる。
[ポリエーテルポリアミド層(B)]
ポリエーテルポリアミド層(B)は、ポリエーテルポリアミド(b)を主成分として含む層である。ポリエーテルポリアミド(b)は、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含む、ポリエーテルポリアミドである。
本発明の多層構造体は上記ポリエーテルポリアミド層(B)を含むことで、多層構造体に柔軟性を付与でき、耐ピンホール性に優れ、またポリエーテルポリアミド層(B)自体が酸素バリア性を示すことから、ポリアミド層(A)とともに積層することにより、更に優れた酸素バリア性を示す多層構造体とすることができる。また、ポリエーテルポリアミド層(B)は接着性を有することから、接着剤層を有さなくとも多層構造体は層間密着強度に優れるものとなる。
Figure 2014201045
式中、x+zは1〜60、yは1〜50を表し、−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。
(ジアミン構成単位)
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含む。
上記ジアミン構成単位中における、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位の合計含有量は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%、より更に好ましくは90〜100モル%である。
〈ポリエーテルジアミン化合物(b−1)〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)に由来する構成単位を含む。上記一般式(1)における(x+z)は1〜60であり、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20、より更に好ましくは2〜15である。また、yは1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。x、y、zの値が上記範囲より大きい場合、溶融重合の反応途中に生成するキシリレンジアミンとジカルボン酸とからなるオリゴマーやポリマーとの相溶性が低くなり、重合反応が進行しづらくなる。
また、上記一般式(1)における−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。
ポリエーテルジアミン化合物(b−1)の数平均分子量は、好ましくは180〜7000、より好ましくは200〜5000、更に好ましくは300〜3500、より更に好ましくは400〜2500、より更に好ましくは500〜1800である。ポリエーテルジアミン化合物の数平均分子量が上記範囲内であれば、柔軟性やゴム弾性等の機能を発現し、屈曲時にピンホールの発生を抑制できるポリマーを得ることができる。
上記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)は、ガスバリア性、耐ピンホール性及び層間密着強度がより優れる多層構造体とする観点から、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表されるポリエーテルジアミン化合物であることが好ましい。
Figure 2014201045
一般式(1−1)中、x1+z1は1〜60、y1は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。
一般式(1−2)中、x2+z2は1〜60、y2は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。
上記一般式(1−1)における(x1+z1)の数値は1〜60であり、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20、より更に好ましくは2〜15である。また、y1の数値は1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
上記一般式(1−2)における(x2+z2)の数値は1〜60であり、好ましくは2〜40、より好ましくは2〜30、更に好ましくは2〜20、より更に好ましくは2〜15である。また、y2の数値は1〜50であり、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
なお、これらのポリエーテルジアミン化合物(b−1)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(1−1)で表されるポリエーテルジアミン化合物の数平均分子量は、好ましくは204〜7000、より好ましくは250〜5000、更に好ましくは300〜3500、より更に好ましくは400〜2500、より更に好ましくは500〜1800である。
上記一般式(1−2)で表されるポリエーテルジアミン化合物の数平均分子量は、好ましくは180〜5700、より好ましくは200〜4000、更に好ましくは300〜3000、より更に好ましくは400〜2000、より更に好ましくは500〜1800である。
〈キシリレンジアミン(b−2)〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、キシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含む。キシリレンジアミン(b−2)としては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物が好ましく、メタキシリレンジアミン、又はメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物がより好ましく、メタキシリレンジアミンが更に好ましい。
キシリレンジアミン(b−2)がメタキシリレンジアミンに由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは、柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れたものとなる。
キシリレンジアミン(b−2)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物に由来する場合、得られるポリエーテルポリアミドは柔軟性、結晶性、溶融成形性、成形加工性、強靭性に優れ、更に高耐熱性、高弾性率を示す。
キシリレンジアミン(b−2)として、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物を用いる場合には、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンの総量に対するパラキシリレンジアミンの割合は、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。パラキシリレンジアミンの割合が上記範囲であれば、得られるポリエーテルポリアミドの融点が、該ポリエーテルポリアミドの分解温度に近接せず好ましい。
ポリエーテルポリアミド(b)のジアミン構成単位中におけるポリエーテルジアミン化合物(b−1)に由来する構成単位の割合は、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは1〜30モル%、更に好ましくは1〜25モル%、更により好ましくは1〜8モル%である。ポリエーテルポリアミド(b)のジアミン構成単位中におけるポリエーテルジアミン化合物(b−1)に由来する構成単位の割合が上記範囲内であれば、得られるポリアミド樹脂組成物は、柔軟性、ガスバリア性、耐ピンホール性、及び層間密着強度に優れたものとなる。
〈その他のジアミン化合物〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジアミン構成単位は、上述したように、前記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジアミン化合物に由来する構成単位を含んでもよい。
ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)以外のジアミン構成単位を構成しうるジアミン化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(ジカルボン酸構成単位)
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジカルボン酸構成単位は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含む。
上記ジカルボン酸構成単位中における、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位の含有量は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%である。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を例示できる。これらの中でも結晶性、高弾性の観点から、アジピン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、結晶性、高弾性に加えてガスバリア性の観点からはアジピン酸がより好ましい。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
〈その他のジカルボン酸〉
ポリエーテルポリアミド(b)を構成するジカルボン酸構成単位は、上述したように、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含むが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他のジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)以外のジカルボン酸構成単位を構成しうるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)とイソフタル酸との混合物を使用する場合、ポリエーテルポリアミド(b)の耐熱性及び成形加工性を向上させることができる。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)とイソフタル酸とのモル比(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)/イソフタル酸)は、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
(ポリエーテルポリアミド(b)の物性)
ポリエーテルポリアミド(b)は、キシリレンジアミン(b−2)と炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)とから形成される高結晶性のポリアミドブロックをハードセグメントとし、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)由来のポリエーテルブロックをソフトセグメントとすることで、溶融成形性及び成形加工性に優れる。更に得られたポリエーテルポリアミドは強靭性、柔軟性、結晶性、耐熱性、ガスバリア性、耐ピンホール性、及び層間密着強度等に優れる。
ポリエーテルポリアミド(b)の相対粘度は、成形性及び他の樹脂との溶融混合性の観点から、好ましくは1.1〜3.0の範囲、より好ましくは1.1〜2.9の範囲、更に好ましくは1.1〜2.8の範囲である。相対粘度は、試料0.2gを96%硫酸20mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
ポリエーテルポリアミド(b)の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは170〜270℃の範囲、より好ましくは175〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜270℃の範囲、更に好ましくは180〜260℃の範囲である。融点は、示差走査熱量計を用いて測定される。
ポリエーテルポリアミド(b)の引張破断伸び率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性の観点から、好ましくは100%以上、より好ましくは200%以上、更に好ましくは250%以上、更に好ましくは300%以上である。
ポリエーテルポリアミド(b)の引張弾性率(測定温度23℃、湿度50%RH)は、柔軟性及び機械強度の観点から、好ましくは100MPa以上、より好ましくは200MPa以上、更に好ましくは300MPa以上、更に好ましくは400MPa以上、更に好ましくは500MPa以上である。
引張弾性率及び引張破断伸び率の測定は、JIS K7161に準じて行われる。
ポリエーテルポリアミド(b)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000〜50000、より好ましくは3000〜30000、更に好ましくは5000〜25000、より更に好ましくは7000〜22000である。
なお、ポリエーテルポリアミド(b)の数平均分子量(Mn)は、実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
(ポリエーテルポリアミド(b)の製造)
ポリエーテルポリアミド(b)の製造は、特に限定されるものではなく、任意の方法、重合条件により行うことができる。例えば、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)等のジアミン)とジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)等のジカルボン酸)とからなる塩を水の存在下に加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法によりポリエーテルポリアミド(b)を製造することができる。また、ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)等のジアミン)を溶融状態のジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)等のジカルボン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によってもポリエーテルポリアミド(b)を製造することができる。この場合、反応系を均一な液状態で保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
この際、ジアミン成分のうち、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)については、ジカルボン酸成分とともに予め反応槽内に仕込んでおいてもよい。ポリエーテルジアミン化合物(b−1)を予め反応槽内に仕込んでおくことで、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)の熱劣化を抑制することができる。その場合もまた、反応系を均一な液状態で保つために、ポリエーテルジアミン化合物(b−1)以外のジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
ジアミン成分(ポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)等のジアミン)と、ジカルボン酸成分(炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)等のジカルボン酸)とのモル比(ジアミン成分/ジカルボン酸成分)は、好ましくは0.9〜1.1の範囲、より好ましくは0.93〜1.07の範囲、更に好ましくは0.95〜1.05の範囲、更に好ましくは0.97〜1.02の範囲である。モル比が上記範囲内であれば、高分子量化が進行しやすくなる。
重合温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは160〜280℃、更に好ましくは170〜270℃である。重合温度が上記温度範囲内であれば、重合反応が速やかに進行する。また、モノマーや重合途中のオリゴマー、ポリマー等の熱分解が起こりにくいため、得られるポリエーテルポリアミドの性状が良好なものとなる。
重合時間は、ジアミン成分を滴下し始めてから通常1〜5時間である。重合時間を上記範囲内とすることにより、ポリエーテルポリアミド(b)の分子量を十分に上げることができ、更に得られたポリエーテルポリアミドの着色を抑えることができる。
ポリエーテルポリアミド(b)は、リン原子含有化合物を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造されることが好ましい。溶融重縮合法としては、常圧で溶融させたジカルボン酸成分中にジアミン成分を滴下し、縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が好ましい。
ポリエーテルポリアミド(b)の重縮合系内には、その特性が阻害されない範囲で、リン原子含有化合物を添加できる。添加できるリン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられ、これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、良好な外観及び成形加工性の観点から、ポリエーテルポリアミド(b)中のリン原子濃度換算で、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは5〜1000ppm、更に好ましくは10〜1000ppmである。
また、ポリエーテルポリアミド(b)の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリマーの着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリマーのゲル化を招くおそれがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。重縮合系内にアルカリ金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数をリン原子含有化合物のモル数で除した値が0.5〜1となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.55〜0.95であり、更に好ましくは0.6〜0.9である。上記範囲内であると、リン原子含有化合物のアミド化反応促進を適度に抑制する効果があり、反応を抑制しすぎることにより重縮合反応速度が低下し、ポリマーの熱履歴が増加してポリマーのゲル化が増大することを避けることができる。
溶融重縮合で得られたポリエーテルポリアミド(b)は、一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合してもよい。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置及びナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。
[層構成及び成形方法]
本発明の多層構造体は、ポリアミド層(A)(以下、(A)層と略記することがある)及びポリエーテルポリアミド層(B)(以下、(B)層と略記することがある)を、それぞれ1層又は2層以上有することができる。具体的には、以下に示すような層構成が挙げられ、押出機を用いて多層ダイにより共押出する層構成であることが好ましい。
(1)2種2層構成;具体的には、(A)層/(B)層、(B)層/(A)層など。
(2)2種3層構成;具体的には、(A)層/(B)層/(A)層、(B)層/(A)層/(B)層など。
(3)2種4層構成;具体的には、(A)層/(B)層/(A)層/(B)層、(B)層/(A)層/(B)層/(A)層など。
なお、本明細書において、例えばX/Y/Zの表記は、ことわりのない限り空気に曝される側からX、Y、Zの順に積層していることを示す。また、多層構造体が(A)層を複数層有する場合、複数の(A)層は同一でも異なっていてもよく、(B)層についても同様である。
また、本発明の多層構造体が食品包装材料として適用される場合、耐ピンホール性及び酸素バリア性の点から、(A)層の両面に(B)層を積層させた、(B)層、(A)層、(B)層の順の層構成を少なくとも有することが好ましい。
本発明の多層構造体の総厚みは、用途に応じ適宜特定すればよいが、食品包装材料のフィルムに適用する場合、耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度の点から、3〜500μmであることが好ましく、3〜300μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが更に好ましい。
また、上記のように食品包装材料のフィルムに適用する場合、(A)層の厚みは、1〜200μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、3〜50μmであることが更に好ましい。(A)層の厚みが、1μm以上であれば、十分な酸素バリア性を発揮することができ、200μm以下であれば酸素バリア性と耐ピンホール性のバランスに優れたフィルムとすることができる。
また、上記のように食品包装材料のフィルムに適用する場合、(B)層の厚みは、1〜499μmであることが好ましく、1〜300μmであることがより好ましく、2〜100μmであることが更に好ましい。(B)層の厚みが、1μm以上であれば十分な酸素バリア性と耐ピンホール性を発揮することができ、499μm以下であればフィルムとする際の成形性に優れる。
更に、(A)層の厚みに対する(B)層の厚みの割合は、0.01〜100であることが好ましく、0.1〜30であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましい。(A)層の厚みに対する(B)層の厚みが、0.01以上であれば酸素バリア性と耐ピンホール性のバランスに優れ、かつ優れた層間密着強度を有するフィルムとすることができ、100以下であればフィルムとする際の成形性にも優れる。
多層構造体の成形方法は特に限定されるものではなく、公知の技術を採用して製造することができる。例えば、各層を構成する樹脂ごとにそれぞれの樹脂を溶融混練し、多層構造に成形できるダイから各溶融樹脂を積層、押出し、未延伸の多層構造体とする。この未延伸の多層構造体を、所望の大きさの成形体となるよう同時二軸延伸又は遂次二軸延伸することによって多層構造体を製造することができる。更に、寸法安定性を与えるために200℃程度で熱処理してもよい。
また、本発明の多層構造体には、前述のポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)の他に、本発明の効果を損なわず必要に応じた特性を付与するために押出成形可能な樹脂層を設けることができる。
上記樹脂層としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂から形成されるものが挙げられる。
また、本発明の多層構造体を構成する前述のポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)、並びに必要に応じ設けることができる上記樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、フィラー、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、繊維状強化剤、可塑剤、潤滑剤、耐熱剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、添加剤の含有量は、その種類に応じた通常の含有量の範囲で用いればよい。
また(B)層/(A)層/(B’)層として積層する場合、(B)層、(A)層、(B’)層の各層に添加される添加剤の種類、量が異なっても良い。
本発明の多層構造体は、前述のポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有するものであり、耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れる特性を有する。そのため、上記多層構造体は、パウチ、絞り容器、ケーシング、ピロー包装等の食品包装材料として用いられるシート及びフィルムとして好適である。
以下の実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において各種評価は以下の方法により行った。
(1)酸素バリア性(酸素透過量)
JIS K7126に準拠し、OX−TRAN(登録商標)2/21(MOCON社製)を用い、23℃、60%RHの条件で、作製した総厚み25μmの延伸フィルムの酸素透過量(単位:cc/m2・atm・day)を測定した。
(2)耐ピンホール性(ピンホール数)
作製した総厚み25μmの延伸フィルムを210mm角に切削し、ゲルボフレックス(理学工業株式会社製)を用いて、ゲルボフレックスの軸方向を測定方向とし、23℃、60%RHでの環境下で、1000回屈曲時におけるピンホールの数を測定した。ピンホールの測定は、ピンホールテスター(微弱電流放電法)を用いて行った。
(3)層間密着強度(層間剥離の有無)
JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠し、(B)層にカッターで2mm間隔の碁盤の目状に100目の切り込みを入れ、セロハンテープ(登録商標、ニチバン株式会社製)を切り込み部分に貼り付け、5分以内に60度に近い角度で0.5〜1.0秒で確実に引き離し、(B)層の剥離状況を確認した。
上記100目のうち1目でも剥がれた場合、剥離有りと評価した。
また、製造例における各種測定は以下の方法により行った。
(1)相対粘度(ηr)
試料0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で撹拌溶解し、完全に溶解させ、溶液を調製した。その後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に当該溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96質量%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から下式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)数平均分子量(Mn)
まず試料を、フェノールとエタノールとの混合溶媒(フェノール/エタノール=4/1(体積比))、及びベンジルアルコール溶媒にそれぞれ溶解させ、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液の中和滴定により求めた。数平均分子量は、アミノ末端基濃度及びカルボキシル末端基濃度の定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2×1,000,000/([NH2]+[COOH])
[NH2]:アミノ末端基濃度(μeq/g)
[COOH]:カルボキシル末端基濃度(μeq/g)
(3)示差走査熱量測定(ガラス転移温度、結晶化温度及び融点)
示差走査熱量の測定はJIS K7121、K7122に準じて行った。示差走査熱量計(株式会社島津製作所製、商品名:「DSC−60」)を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度Tg、結晶化温度Tch及び融点Tmを求めた。
[ポリエーテルアミドの製造]
実施例におけるポリエーテルポリアミド層(B)を形成するポリエーテルアミドとして、以下の製造例で製造したものを使用した。
(製造例1)ポリエーテルポリアミドb1の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸650.37g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6125g及び酢酸ナトリウム0.4266gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)588.04g、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)ED−900、米国HUNTSMAN社のカタログによれば、前記一般式(1−2)における−OR1−が−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−であり、x2+z2の概数が6.0、y2の概数が12.5であり、概略分子量は900である)115.46gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドを得た。相対粘度=1.62、[COOH]=49.02μeq/g、[NH2]=95.5μeq/g、Mn=13840、Tg=68.1℃、Tch=121.6℃、Tm=234.1℃。
(製造例2)ポリエーテルポリアミドb2の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.60g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.5933g及び酢酸ナトリウム0.4133gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)516.52g、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)XTJ−542、米国HUNTSMAN社のカタログによれば、前記一般式(1−1)における−OR1−が−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−であり、x1+z1の概数が6.0、y1の概数が9.0であり、概略分子量は1000である)199.60gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドを得た。相対粘度=1.53、[COOH]=39.78μeq/g、[NH2]=106.93μeq/g、Mn=13632、Tg=76.0℃、Tch=114.7℃、Tm=234.3℃。
(製造例3)ポリエーテルポリアミドb3の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸613.83g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6242g及び酢酸ナトリウム0.4348gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)380.41gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)163.03g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)XTJ−542、詳細は上記と同様)210.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドを得た。相対粘度=1.53、[COOH]=79.95μeq/g、[NH2]=100.38μeq/g、Mn=11091、Tg=80.5℃、Tch=113.4℃、Tm=252.6℃。
(製造例4)ポリエーテルポリアミドb4の製造
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.6g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.683g及び酢酸ナトリウム0.476gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)490.3g、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、Jeffamine(登録商標)XTJ−542、詳細は上記と同様)400.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドを得た。相対粘度=1.38、[COOH]=110.17μeq/g、[NH2]=59.57μeq/g、Mn=11783、Tg=71.7℃、Tch=108.3℃、Tm=232.8℃。
[実施例1〜4]
ポリアミド層(A)を形成するポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学株式会社製、商品名:「MXナイロン S6007」、相対粘度2.7、融点237℃)、及びポリエーテルポリアミド層(B)を形成する前記ポリエーテルポリアミドb1〜b4を表1に示すとおり用い、2台の押出機と、(B)層/(A)層/(B)層の順に積層するフィードブロックを備えた多層フィルム押出成形機にて、各層の厚みが90/45/90μmで総厚み225μmの未延伸多層フィルムを成形した。
上記未延伸多層フィルムをバッチ式の同時二軸延伸機にて縦3倍、横3倍に延伸し、210℃で熱固定処理を行い、各層の厚みが10/5/10μmで総厚み25μmの延伸多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムについて、前述の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、(B)層として、ポリエーテルポリアミド層(B)の替わりにナイロン6(宇部興産株式会社製、商品名:「UBEナイロン 1024B」)を用いた以外は、同様に行い延伸多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムについて、前述の評価を行い、結果を表1に示した。
Figure 2014201045
実施例1〜4では、ピンホール及び層間剥離が生じず、優れた酸素バリア性を有する多層フィルムが得られた。このことから、ポリアミド層及びポリエーテルポリアミド層を有する多層構造とすることにより、耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れる多層構造体となることがわかる。
また、比較例1の酸素バリア性から、ナイロン6との多層構造体の場合、MXD6層は一定以上の厚みが必要となることがわかるが、実施例1〜4の多層フィルムであれば比較例1と同じMXD6層の厚みで、より高い酸素バリア性を示すことがわかる。さらに、比較例1の多層フィルムは接着剤層がないため層間剥離が生じたが、実施例1〜4の多層フィルムは接着剤層がなくとも層間剥離が生じず、層間密着強度に優れることがわかる。
本発明の多層構造体は、耐ピンホール性、酸素バリア性及び層間密着強度に優れる特性を有することから、パウチ、絞り容器、ケーシング、ピロー包装等の食品包装材料として用いられるシート及びフィルムとして好適である。

Claims (9)

  1. ポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を有する多層構造体であって、
    上記ポリアミド層(A)が、ジアミン構成単位がキシリレンジアミン(a−1)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(a−2)に由来する構成単位を含むポリアミド(a)を含有し、
    上記ポリエーテルポリアミド層(B)が、ジアミン構成単位が下記一般式(1)で表されるポリエーテルジアミン化合物(b−1)及びキシリレンジアミン(b−2)に由来する構成単位を含み、ジカルボン酸構成単位が炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)に由来する構成単位を含むポリエーテルポリアミド(b)を含有する多層構造体。
    Figure 2014201045
    (式中、x+zは1〜60、yは1〜50を表し、−OR1−は各々独立に−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表し、−OR2−は−OCH2CH2CH2CH2−又は−OCH2CH2−を表す。)
  2. ポリエーテルジアミン化合物(b−1)が、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表される、請求項1に記載の多層構造体。
    Figure 2014201045
    (一般式(1−1)中、x1+z1は1〜60、y1は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。
    一般式(1−2)中、x2+z2は1〜60、y2は1〜50を表し、−OR1−は−OCH2CH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−又は−OCH2CH(CH3)−を表す。)
  3. キシリレンジアミン(b−2)が、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物である、請求項1又は2に記載の多層構造体。
  4. α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸(b−3)が、アジピン酸、セバシン酸及びこれらの混合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造体。
  5. ポリアミド(a)が、ポリメタキシリレンアジパミドである、請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造体。
  6. ポリアミド層(A)及びポリエーテルポリアミド層(B)を、それぞれ1層又は2層以上有する、請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造体。
  7. ポリエーテルポリアミド層(B)、ポリアミド層(A)、ポリエーテルポリアミド層(B)の順の層構成を少なくとも有する、請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造体。
  8. ポリアミド層(A)の厚みが1〜200μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の多層構造体。
  9. シート又はフィルムである、請求項1〜8のいずれかに記載の多層構造体。
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