JP2014201700A - ゴム又はプラスチック用物性改良剤及びその製造方法並びにゴム組成物 - Google Patents

ゴム又はプラスチック用物性改良剤及びその製造方法並びにゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム組成物やプラスチック組成物に添加することで、補強性や粘弾性などの特性を改良することができる新規な物性改良剤を提供する。【解決手段】式(A1)で表される構造(式中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造。nは1〜3の整数。)と、メルカプト基又は保護化メルカプト基を、それぞれ末端に有するポリマーからなる物性改良剤である。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物やプラスチック組成物に配合される物性改良剤、及びその製造方法に関するものである。また、該物性改良剤を配合したゴム組成物に関するものである。
ゴム組成物やプラスチック組成物には、シリカやカーボンブラックなどの補強剤(補強性充填剤とも称される。)が配合されることが多い。かかる補強剤においては、一般に、マトリクスを構成するゴム成分やプラスチック成分に対する分散性を向上したり、補強性を高めたりすることが求められる。
特許文献1には、ゴム中でのシリカの分散性を改良するとともにゴム分子との結合性を向上させて補強性を高めるために、ゴムに充填するシリカにビニルモノマーを含浸させた後、ラジカル重合でポリマーをシリカに被覆することが開示されている。しかしながら、この場合、被覆されたポリマーとシリカとの結合が物理結合によるものであるため、性能は必ずしも十分とはいえない。
特許文献2には、反応性シリル基を2個以上有する(メタ)アクリレートポリマーを、シリカとともにジエン系ゴムに添加することが開示されている。この(メタ)アクリレートポリマーは、シリカとの親和性や反応性を向上して、ジエン系ゴム中におけるシリカの分散性を向上するものではあるが、ジエン系ゴムとの結合によるゴム組成物の特性改良効果は得られない。
特開2006−273588号公報 特開2012−021149号公報
本発明は、ゴム組成物やプラスチック組成物に添加することで、補強性や粘弾性などの特性を改良することができる新規な物性改良剤を提供することを目的とする。
本発明に係るゴム又はプラスチック用物性改良剤は、一方の末端に下記式(A1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造を有するポリマーからなるものである。
Figure 2014201700
式(A1)中、Z及びZはそれぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造である。nは1〜3の整数である。
Figure 2014201700
これらの式中、R11は水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R12は水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R13及びR14はそれぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R15は置換基を有してもよいチアゾリル基又はベンゾチアゾリル基である。また、式(B7)で表されるジスルフィド基を有する場合、前記ポリマーは式(B1)で表されるメルカプト基同士が反応することで2つのポリマー鎖が連結した構造を持つ。
本発明に係るゴム又はプラスチック用物性改良剤の製造方法は、下記式(C1)で表されるラジカル重合開始剤を用いてモノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーのハロゲン末端を、前記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造に置換することを特徴とする。
Figure 2014201700
式(C1)中、Xはハロゲンであり、R、R、R、R、Z、Z及びnは、それぞれ前記式(A1)中のR、R、R、R、Z、Z及びnと同じである。
本発明に係るゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜150質量部と、前記物性改良剤1〜50質量部を含有するものである。
本発明に係る空気入りタイヤは、該ゴム組成物を用いてなるものである。
本発明に係る物性改良剤であると、ポリマーの両末端に特有の官能基を有するので、ゴム組成物やプラスチック組成物に配合したときに、補強性や粘弾性などの特性を改良することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る物性改良剤は、上記式(A1)で表される構造(官能基)と、上記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造(官能基)を、それぞれ末端に有するポリマーからなるものである。
該ポリマーは、その片末端にアルコキシシリル基を有するため、シリカなどの無機酸化物粒子と結合することができる。また、もう一方の末端にメルカプト基又は保護化(即ち、ブロック化)されたメルカプト基を有するため、ゴムやプラスチックなどと結合することができる。なお、保護化メルカプト基の場合、混合時の熱などにより保護基が外れて、ゴムやプラスチックのポリマーと結合する。ジスルフィド基の場合、熱によりS−S結合が切断されて、ゴムやプラスチックのポリマーと結合する。また、式(A1)の構造中に有するチオエーテル基の硫黄原子に不対電子を有しているため、無機酸化物粒子やゴム、プラスチックとの親和性が高い。そのため、チオエーテル基を有していない場合と比べて、無機酸化物粒子表面への固着性が高く、またゴムやプラスチックといったマトリクスへの分散性が向上するものと考えられる。よって、ゴム組成物やプラスチック組成物に無機酸化物粒子とともに配合したときに、無機酸化物粒子とゴムやプラスチックとの結合を強固にしたり、無機酸化物粒子の分散性を向上したりできるものと考えられ、ゴム組成物やプラスチック組成物の物性を改良することができる。
上記式(A1)において、Z及びZは、それぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基を示す。詳細には、Zは、−COO−で表されるエステル基と−S−で表されるチオエーテル基とを結合する2価の基であり、Zは、チオエーテル基と−Si(0R(R3−nで表されるアルコキシシリル基とを結合する2価の基である。好ましくは、Z及びZは、それぞれ独立に、炭素数が1〜20である2価の有機基であり、該有機基は、エーテル結合を含んでもよく、また酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。より好ましくは、Zは、炭素数3〜11のアルキレン基であり、Zは、炭素数1〜3のアルキレン基である。
式(A1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基である。R及びRは、それぞれ、1分子中に複数有する場合、同一でも異なっていてもよい。また、nは1〜3の整数であり、好ましくはn=3である。すなわち、−Si(0R(R3−nで表されるアルコキシシリル基は、トリアルコキシシリル基であることが好ましく、より好ましくはトリエトキシシリル基またはトリメトキシシリル基である。
式(A1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造である。R及びRは、基本的には、それぞれ独立に、水素、炭化水素基またはハロゲンであるが、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を有してもよい。ここで、ハロゲンとしては、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、好ましくは臭素である。ある実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基であり、但しR及びRがともに水素であることはない。アルキル基は、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。アリール基は、より好ましくはフェニル基およびメチルフェニル基である。アリールアルキル基は、より好ましくはベンジル基およびフェネチル基である。R及びRの特に好ましい例はメチル基である。
上記式(A1)で表される構造は、下記式(A2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2014201700
式(A2)において、R及びRは、式(A1)のR及びRと同じである。R及びRは、それぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、ともに水素であることはない。R及びRは、好ましくはそれぞれ独立にメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはともにメチル基である。aは3〜11の整数であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、特に好ましくはn=3である。
上記式(B1)で表される構造が、メルカプト基であり、式(B2)〜式(B6)で表される構造が、保護化されたメルカプト基である。式(B7)で表されるジスルフィド基を有する場合、前記ポリマーは、式(B1)で表されるメルカプト基同士が反応することで2つのポリマー鎖がジスルフィド基を介して連結した構造を持つ。従って、この場合、物性改良剤としてのポリマーは、ジスルフィド基の両側にポリマー鎖が結合し、各ポリマー鎖の末端に式(A1)で表される構造が結合した構造を持つ。このようなジスルフィド基を持つポリマーは、式(B1)のメルカプト基を持つポリマーを酸化剤処理することで合成することができる。
式(B2)で表されるチオエステル基において、R11は、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜7のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基(−CH)、又はヘプチル基(−C15)である。
式(B3)で表されるジチオエステル基において、R12は、水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜7のアルキル基である。
式(B4)で表されるジチオカルバメート基において、R13及びR14は、それぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、それぞれ独立に水素又はメチル基である。ある実施形態において、R13及びR14はともに水素(−H)であり、また、他の実施形態において、R13及びR14はともにメチル基(−CH)である。
式(B5)で表される構造において、R15は、置換基を有してもよいチアゾリル基又はベンゾチアゾリル基であり、具体的には、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、または、これらチアゾリル基またはベンゾチアゾリル基の水素原子の少なくとも1つが置換基で置換された誘導基が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシ基、ビニル基、ハロゲン基などが挙げられる。置換基は、複数有する場合、同一または異なっていてもよく、また置換基の位置および数は任意であって、特に限定されるものではない。
式(B6)で表される構造は、チオシアネート基である。
本実施形態に係る物性改良剤は、下記式(C1)で表されるラジカル重合開始剤を用いて、ラジカル重合可能なモノマーを重合することによりポリマーを合成し、得られたポリマーのハロゲン末端を、上記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造に置換することにより製造することができる。
Figure 2014201700
式(C1)中、R、R、R、R、Z、Z及びnは、それぞれ前記式(A1)中のR、R、R、R、Z、Z及びnと同じである。Xは、ハロゲンであり、例えば、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられ、好ましくは臭素である。
前記ラジカル重合開始剤は、α−ハロエステル基を有し、原子移動ラジカル重合(ATRP)によるリビングラジカル重合開始能を有する開始剤であり、遷移金属錯体の存在下でラジカルが発生し、重合反応が進行する。ラジカル重合開始剤としては、下記式(C2)で表される化合物を用いることがより好ましい。
Figure 2014201700
式(C2)中、R、R、R、R、a、m及びnは、それぞれ前記式(A2)中のR、R、R、R、a、m及びnと同じである。Xは、ハロゲンであり、塩素、臭素またはヨウ素が好ましく、より好ましくは臭素である。
前記ラジカル重合開始剤は、例えば、分子内に炭素−炭素二重結合とラジカル重合開始基としてのα−ハロエステル基とを有する化合物と、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを、エン−チオール反応させることにより合成することができる。反応に際しては、アゾ化合物や有機過酸化物などのラジカル発生剤を反応触媒として用いてもよい。
前記ラジカル重合開始剤を用いて重合するモノマーとしては、ビニルモノマー及び/又はジエン系モノマーが好ましく用いられる。従って、実施形態に係る物性改良剤を構成するポリマーは、ビニルモノマー及び/又はジエン系モノマーをラジカル重合(好ましくはリビングラジカル重合、より好ましくはATRPによるリビングラジカル重合)してなるポリマー(すなわち、ビニル系ポリマー、ジエン系ポリマー、又はそれらの共重合体)であることが好ましい。
ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ニトリル系ビニルモノマー、ビニルエーテル系モノマー及びモノオレフィン系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸のいずれか一方又は双方の意味であり、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドとメタクリルアミドのいずれか一方又は双方の意味である。
スチレン系モノマーとしては、スチレン又はその誘導体が挙げられ、例えば、スチレン、4−アミノスチレン、4−ブロモ−β,β−ジフルオロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−(クロロメチル)スチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、4−イソプロペニルトルエン、4−メトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、4−ニトロスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロビニルスチレン、α−(トリメチルシリルオキシ)スチレン、β−スチレンスルホン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルスチレン、ビニルベンジルシアニド、2−アセトキシスチレン、4−アセトキシスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸又はその誘導体が挙げられ、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ソジウムアクリレート、イソボルニルアクリレート、プロパルギルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソデシルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、トリメチルシリルアクリレート、2,2,2―トリフルオロエチルアクリレート、4−tert―ブチルシクロヘキシルアクリレート、フルオロセイン 0−アクリレート、9−アントラセンメチルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、11−[4−(4−ブチルフェニルアゾ)フェノキシ]ウンデシルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノエイチルエーテルメタクリレート、エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、1H,1H,5H−パーフルオロペンチルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、N−スクシンイミドメタクリレート、3−スルホプロピルカリウムメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、2−(トリメチルシリルオキシ)エチルメタクリレート、3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルメタクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体が挙げられ、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、6−アクリルアミドヘキサン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、trans−3−フェニルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−エチル−N−(4−ピリジルメチル)−2−フェニルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
ニトリル系ビニルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
ビニルエーテル系モノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。
以上例示したモノマーは、いずれか1種類で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記ラジカル重合開始剤を用いてモノマーをリビングラジカル重合させる際には、上記のように遷移金属錯体を触媒として用いることが好ましい。このような遷移金属錯体としては、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体が好ましく、より好ましくは、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケル錯体であり、特には1価の銅錯体が好ましく、アミン/イミン系の多座配位子を有する銅(I)錯体、例えば、ハロゲン化銅(例えば、塩化銅、臭化銅)/アミン錯体が好ましく用いられる。
リビングラジカル重合後のポリマーの構造は、下記式(D1)で表され、片末端に式(A1)で表される官能基を有するとともに、片末端にハロゲン(X)を有する。
Figure 2014201700
式(D1)中のX、R、R、R、R、Z、Z及びnは、それぞれ前記式(C1)中のX、R、R、R、R、Z、Z及びnと同じである。波線部はモノマーをラジカル重合してなるポリマー鎖(好ましくは、ビニル系ポリマー鎖、ジエン系ポリマー鎖、又はこれらの共重合体鎖)を表す。
上記リビングラジカル重合によりポリマーを合成した後、得られたポリマーのハロゲン末端を、上記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造に置換する。置換反応は、上記ポリマーに求核剤を反応させることにより行うことができる。具体的には、式(B1)の構造を導入するためには、上記ポリマーにチオ尿素を反応させ、得られたイソチオ尿素塩をアルカリ加水分解すればよい。また、式(B2)の構造を導入するためには、上記ポリマーにチオ酢酸などのチオカルボン酸を反応させればよい。式(B3)の構造を導入するためには、上記ポリマーにジチオカルボン酸類またはそれらの塩と反応させればよい。式(B4)の構造を導入するためには、上記ポリマーにジチオカルバミン酸類またはそれらの塩と反応させればよい。式(B5)の構造を導入するためには、上記ポリマーに2−メルカプトチアゾールや2−メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプトチアゾール類またはそれらの塩と反応させればよい。式(B6)の構造を導入するためには、上記ポリマーにチオシアン酸類またはそれらの塩と反応させればよい。
式(B7)の構造を導入するためには、式(B1)の構造を導入したポリマーを用いて、そのメルカプト基を酸化剤処理することによりジスルフィド基とすることができる。酸化剤としては過酸化水素水やヨウ素などを用いることができる。
このように式(B1)〜(B7)の構造に置換することにより、実施形態に係る物性改良剤を構成するポリマーが得られる。得られたポリマーは、モノマーをラジカル重合してなるポリマー鎖の一方の末端に式(A1)で表される基が、もう一方の末端に式(B1)〜(B7)のいずれかで表される基が、それぞれ直接結合した構造を持つ。
得られたポリマーの分子量は、用途に応じて適宜に設定することができ、特に限定されないが、数平均分子量(Mn)が、ある実施形態では1000〜500000であり、他の実施形態では5000〜100000であり、更に他の実施形態では1万〜5万である。
本実施形態に係る物性改良剤は、上記のようにして合成されたポリマーからなるものであり、該ポリマー単独でもよいが、その効果を失わない範囲で、溶剤や添加剤などの他の成分を含んでもよい。
本実施形態に係る物性改良剤は、各種のゴム組成物やプラスチック組成物に配合することにより、その物性を改良することができる。具体的には、上記のように、該物性改良剤は、ゴム組成物やプラスチック組成物に無機酸化物粒子とともに配合したときに、無機酸化物粒子とゴムやプラスチックとの結合を強固にしたり、無機酸化物粒子の分散性を向上したりできるので、ゴム組成物やプラスチック組成物の補強性や粘弾性を改良することができる。
本実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴム成分にシリカとともに上記物性改良剤を配合したものである。この場合、物性改良剤は、上記式(A1)の官能基により、シリカ表面のシラノール基と結合して、シリカ表面にグラフトポリマー層を形成する。また、該物性改良剤は、上記式(B1)〜(B7)の官能基により、ジエン系ゴムと結合する。そのため、ジエン系ゴム中でのシリカの分散性を向上させることができるとともに、シリカとジエン系ゴムとの結合を強固にすることができる。よって、ゴム組成物の補強性や動的粘弾性のバランスを改良することができる。
該ゴム組成物におけるジエン系ゴム成分の例としては、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられ、これらはいずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、NR、BR及びSBRからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
補強性充填剤としてのシリカとしては、特に限定されないが、湿式シリカ(含水ケイ酸)が好ましい。シリカのコロイダル特性も、特に限定されないが、BET法による窒素吸着比表面積(BET)が150〜250m/gであるものが好ましく用いられ、より好ましくは180〜230m/gである。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に準拠し測定される。
シリカの配合量は、用途に応じて適宜に設定すればよく、例えば、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜120質量部、更に好ましくは30〜100質量部である。また、物性改良剤の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。物性改良剤の配合量は、シリカの配合量よりも少ないことが好ましい。
該ゴム組成物には、シリカ及び物性改良剤の他に、カーボンブラックなどの他の充填剤、シランカップリング剤、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ質量の2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜15質量%である。加硫剤としては、硫黄が好ましく用いられる。加硫剤の配合量は、特に限定するものではないが、ジエン系ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、及びグアニジン系などの各種加硫促進剤を用いることができ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定するものではないが、ジエン系ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、第一混合段階で、ジエン系ゴム成分に対し、シリカ及び物性改良剤とともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製することができる。
このようにして得られたゴム組成物は、タイヤ用、防振ゴム用、コンベアベルト用などの各種ゴム部材に用いることができる。好ましくは、タイヤ用として用いることであり、乗用車用、トラックやバスの大型タイヤなど各種用途、サイズの空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部、ビード部、タイヤコード被覆用ゴムなどタイヤの各部位に適用することができる。すなわち、該ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせた後、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1:ラジカル重合開始剤の合成]
重合開始剤として、6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネートを、次のようにして合成した。
5−ヘキセン−1−オール(42.6g)とトリエチルアミン(45.8g)とテトラヒドロフラン(0.8L)を混合後、氷冷し、2−ブロモイソブチリルブロミド(100g)を滴下した。その後、反応液を4℃、3時間攪拌し、室温で15時間攪拌した。反応液をろ過し、エバポレーターで濃縮後、ジエチルエーテル(300mL)に溶解させ、それを1Nの塩酸溶液(2×300mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×300mL)、及び蒸留水(2×300mL)の順で洗浄した。その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、エバポレーターにて濃縮させ、シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=15/2)により精製し、濃縮後、下記化学式で表される5−ヘキセニル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物1)を74.2g得た。
Figure 2014201700
次に、化合物1(10.1g)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(9.58g:東京化成工業(株)製)、AIBN(0.194g)、及びトルエン(20g)を混合し、窒素ガスで30分バブリングした後、反応溶液を70℃、3時間保持し、エバポレーターにて濃縮後、下記化学式で表される6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネート(化合物2)を17.2g得た(収率:88%)。
以下のNMR結果から、生成物が下記化学式で表される化合物であることを同定した。1H-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):1.93(s, 6H, (CH3)2BrC-)、4.17(t, 2H, -(O=C)-O-CH2-)、1.70(m, 2H, -(O=C)-O-CH2-CH 2-)、1.43(t, 4H, -(O=C)-O-CH2-CH2-CH 2-CH 2-)、1.60(t, 2H, O=C-O-CH2-CH2-CH2-CH2-CH 2-)、2.5(t, 2H, -CH 2-S-CH2-)、2.53(t, 2H, -CH2-S-CH 2-)、1.69(m, 2H, -CH2-S-CH2-CH 2-)、0.74(t, 2H, -CH 2-Si-(O-CH2-CH3)3)、3.82(q, 6H, -CH2-Si-(O-CH 2-CH3)3)、1.23(t, 9H, -CH2-Si-(O-CH2-CH 3)3).
13C-NMR(400MHz, TMS標準=0.0ppm):30.9((CH3)2BrC-)、55.9((CH3)2BrC-)、171.5(-(O=C)-O-CH2-)、65.9(-(O=C)-O-CH2-)、28.3(-(O=C)-O-CH2-CH2-)、25.9(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2-)、28.4(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2-CH2-)、29.6(-(O=C)-O-CH2-CH2-CH2--CH2-CH2-)、32.0(-CH2-S-CH2-)、35.3(-CH2-S-CH2-)、23.2(-CH2-S-CH2-CH2-)、10.3(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3)、58.4(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3)、18.3(-CH2-Si-(O-CH2-CH3)3).
Figure 2014201700
なお、5−ヘキセン−1−オールに代えて、10−ウンデセン−1−オールを用いることにより、11−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ウンデシル 2−ブロモ−2−メチルプロパネートが得られることも確認した。また、5−ヘキセニル 2−ブロモ−2−メチルプロパネートの代わりに、2−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオン酸アリルを用いることにより、3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)プロピル 2―ブロモ−2−メチルプロパネートが得られることも確認した。これらの化合物も、合成例1で得られた化合物2と同様に、ラジカル重合開始剤として以下のポリマーの重合に用いることができる。
[合成例2:シリル変性ポリマーの重合]
スチレン(30g)、6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル2−ブロモ−2−メチルプロパネート(0.702g)、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン(0.250g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に臭化銅(I)(0.207g)を添加し、100℃で2時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製によりポリマー1(Mn:21000、Mw:26000、Mw/Mn:1.24)を得た。
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)での測定により、ポリスチレン換算にて求めた。詳細には、測定試料は0.2mgをTHF1mLに溶解させたものを用いた。(株)島津製作所製「LC−20DA」を使用し、試料をフィルター透過後、温度40℃、流量0.7mL/分でカラム(Polymer Laboratories社製「PL Gel3μm Guard×2」)を通し、Spectra System社製「RI Detector」で検出した。
[合成例3:シリル変性ポリマーの重合]
ブチルアクリレート(30g)、6−(3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ)ヘキシル2−ブロモ−2−メチルプロパネート(0.570g)、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン(0.203g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に臭化銅(I)(0.168g)を添加し、100℃で2時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製によりポリマー2(Mn:23000、Mw:29000、Mw/Mn:1.26)を得た。
[合成例4:シリル変性ポリマーの末端へのメルカプト基の導入]
ポリマー1(10g)とチオ尿素(0.381g)をジメチルホルムアミド(30g)に混合・溶解し、1時間窒素バブリングした後、100℃で24時間保持した。得られた溶液に、水(1.6g)に水酸化ナトリウム(0.2g)を溶解させた水溶液を添加し、100℃で24時間保持した。95%硫酸(0.2g)を水(1mL)に希釈し、反応溶液に添加し、室温で5時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製により、片末端に式(A2)で表される官能基(但し、R=エチル基、R=R=メチル基、a=6、m=3、n=3)、片末端にメルカプト基を有するポリスチレン(ポリマー3)を得た。
以下のデータから、ポリスチレンの片末端に式(A2)の官能基、片末端にメルカプト基が導入されたことを確認した。
1H-NMR(400MHz,TMS標準=0.0ppm):3.80(a)、6.25〜6.83(b, b’)、6.84〜7.21(c, c’, d)、1.03〜1.66(e)、1.67〜2.01(f)、2.45〜2.60(g, g’)、3.82(h)、1.23(i)。なお、メルカプト基のプロトンピークはスチレン由来のピークに埋もれて検出されてないため、メルカプト基の隣接炭素に結合するプロトンピーク(a)により確認した。
Figure 2014201700
[合成例5:シリル変性ポリマーの末端へのメルカプト基の導入]
ポリマー2(10g)とチオ尿素(0.381g)をジメチルホルムアミド(30g)に混合・溶解し、1時間窒素バブリングした後、100℃で24時間保持した。得られた溶液に、水(1.6g)に水酸化ナトリウム(0.2g)を溶解させた水溶液を添加し、100℃で24時間保持した。95%硫酸(0.2g)を水(1mL)に希釈し、反応溶液に添加し、室温で5時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製により、片末端に式(A2)で表される官能基(但し、R=エチル基、R=R=メチル基、a=6、m=3、n=3)、片末端にメルカプト基を有するポリブチルアクリレート(ポリマー4)を得た。
以下のデータから、ポリブチルアクリレートの片末端に式(A2)の官能基、片末端にメルカプト基が導入されたことを確認した。
1H-NMR(400MHz,TMS標準=0.0ppm):3.38(a)、3.91〜4.13(b)、1.60〜1.72(c)、1.31〜1.42(d)、0.85〜1.00(e)、1.84〜1.98(f)、2.20〜2.40(g)、2.45〜2.60(h, h’)、3.82(i)、1.23(j)。
Figure 2014201700
[合成例6:シリル変性ポリマーの末端への保護化メルカプト基の導入]
ポリマー1(10g)とチオ酢酸(1.900g)をジメチルホルムアミド(30g)に混合・溶解し、1時間窒素バブリングした後、100℃で24時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製により、片末端に式(A2)で表される官能基(但し、R=エチル基、R=R=メチル基、a=6、m=3、n=3)、片末端に式(B2)で表される保護化メルカプト基(但し、R11=メチル基)を有するポリスチレン(ポリマー5)を得た。
以下のデータから、ポリスチレンの片末端に式(A2)の官能基、片末端に保護化メルカプト基が導入されたことを確認した。
1H-NMR(400MHz,TMS標準=0.0ppm):4.08(a)、6.25〜6.83(b, b’)、6.84〜7.21(c, c’、d)、1.03〜1.66(e)、1.67〜2.01(f)、2.27(j)、2.45〜2.60(g, g’)、3.82(h)、1.23(i)。
Figure 2014201700
[合成例7:シリル変性ポリマーの末端への保護化メルカプト基の導入]
ポリマー2(10g)とチオ酢酸(1.900g)をジメチルホルムアミド(30g)に混合・溶解し、1時間窒素バブリングした後、100℃で24時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製により、片末端に式(A2)で表される官能基(但し、R=エチル基、R=R=メチル基、a=6、m=3、n=3)、片末端に式(B2)で表される保護化メルカプト基(但し、R11=メチル基)を有するポリブチルアクリレート(ポリマー6)を得た。
以下のデータから、ポリブチルアクリレートの片末端に式(A2)の官能基、片末端に保護化メルカプト基が導入されたことを確認した。
1H-NMR(400MHz,TMS標準=0.0ppm):3.63(a)、3.91〜4.13(b)、1.60〜1.72(c)、1.31〜1.42(d)、0.85〜1.00(e)、1.84〜1.98(f)、2.20〜2.40(g)、2.45〜2.60(h, h’)、3.82(i)、1.23(j)。なお、S−C(=O)−CHのプロトンピーク(k)はポリマーピークに埋もれて検出されてないため、保護化メルカプト基の隣接炭素に結合するプロトンピーク(a)により確認した。
Figure 2014201700
[合成例8:未変性ポリマーの重合]
スチレン(30g)、2−ブロモ酪酸エチル(0.281g)、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン(0.250g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に臭化銅(I)(0.207g)を添加し、100℃で2時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製によりポリマー7(Mn:21000、Mw:26000、Mw/Mn:1.23)を得た。
[合成例9:未変性ポリマーの重合]
ブチルアクリレート(30g)、2−ブロモ酪酸エチル(0.228g)、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン(0.203g)を混合し、1.5時間窒素バブリングした後、反応溶液に臭化銅(I)(0.168g)を添加し、100℃で2時間保持した。得られた溶液の、エタノールへ再沈精製によりポリマー8(Mn:22000、Mw:28000、Mw/Mn:1.26)を得た。
[ゴム組成物の評価]
ラボミキサー(ラボプラストミル)を使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ジエン系ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・SBR:スチレンブタジエンゴム、JSR(株)製「SBR1502」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」(BET=205m/g)
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニック・デグサ社製「Si69」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1種」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:細井化学工業(株)製「ゴム用粉末硫黄150メッシュ」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
・2次加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
得られた各ゴム組成物について、160℃×20分で加硫して所定形状の試験片を作製し、得られた試験片を用いて、動的粘弾性試験を行い、0℃での動的弾性率E及びtanδ、25℃での動的弾性率E及びtanδ、60℃での動的弾性率E及びtanδを測定した。また、引張試験を行い、弾性率M300を測定した。各測定方法は次の通りである。
・0℃動的弾性率E:UBM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数50Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度0℃の条件で動的弾性率Eを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、Eが大きいことを示す。
・0℃tanδ:UBM社製レオスペクトロメーターE4000を用いて、周波数50Hz、静歪み10%、動歪み2%、温度0℃の条件で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、tanδが大きいことを示す。
・25℃動的弾性率E,25℃tanδ:温度を25℃に変え、その他は0℃動的弾性率E及び0℃tanδと同様にして測定し、指数化した。
・60℃動的弾性率E,60℃tanδ:温度を60℃に変え、その他は0℃動的弾性率E及び0℃tanδと同様にして測定し、指数化した。
・弾性率M300:JIS K6251に準拠した引張試験(ダンベル状3号形)を行って300%伸張時のモジュラスを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、M300が大きく剛性が高い。
Figure 2014201700
結果は表1に示す通りであり、コントロールである比較例1に対し、未変性ポリスチレンを配合した比較例2では、動的弾性率は上昇したものの、60℃でのtanδが上昇していた。60℃のtanδはタイヤ用ゴム組成物において、低発熱性の指標として一般に用いられているものであり、比較例2では、tanδの上昇により発熱しやすく、タイヤとしての低燃費性能に劣る結果となっていた。また、比較例2ではM300が低下しており、補強性に劣る結果となっていた。比較例3では、シリル変性ポリマーであるポリマー1を配合することにより、比較例2に対して更に動的弾性率が上昇し、また、60℃でのtanδの上昇は抑えられていたが、依然として高いレベルにあった。これに対し、シリル基とともにメルカプト基又は保護化メルカプト基を導入したポリマー3,5を用いた実施例1,2では、比較例1及び2に対して動的弾性率が大幅に上昇しており、その一方で、比較例2に対して60でのtanδの上昇が顕著に抑制されており、低燃費性能の悪化が抑えられていた。また、M300が大幅に上昇しており、補強性に優れるものであった。
未変性ポリブチルアクリレートを配合した比較例4では、コントロールである比較例1に対し、特に低温側での動的弾性率が低下し、M300の低下も大きく、また、tanδが全温度域で上昇していた。比較例5では、シリル変性ポリマーであるポリマー2を配合することにより、比較例4に対して、0℃でのtanδを上昇させながら、60℃でのtanδの上昇が抑えられていたが、依然として高いレベルにあった。これに対し、シリル基とともにメルカプト基又は保護化メルカプト基を導入したポリマー4,6を用いた実施例3,4では、比較例1に対して動的弾性率が向上しており、その一方で、比較例4,5に対して60℃でのtanδの上昇が顕著に抑えられていた。また、比較例1,4に対して、0℃でのtanδが顕著に向上していた。0℃でのtanδは、タイヤ用ゴム組成物において、湿潤路面に対するグリップ性能(ウェットスキッド性能)の指標として一般に用いられているものであり、実施例3,4では、比較例1に対して、0℃のtanδが顕著に大きくなることで、ウェットスキッド性能に優れていた。つまり、実施例3,4では、低燃費性能の悪化を抑えつつ、ウェットスキッド性能を顕著に向上できるものであった。また、M300が大幅に上昇しており、補強性に優れるものであった。
以上のように、本実施形態であると、メルカプト基や保護化メルカプト基の導入により、ジエン系ゴムとの結合性が高まり、補強性に優れるとともに、動的粘弾性のバランスに優れる。

Claims (7)

  1. 一方の末端に下記式(A1)で表される構造を有し、他方の末端に下記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造を有するポリマーからなるゴム又はプラスチック用物性改良剤。
    Figure 2014201700
    (式中、Z及びZはそれぞれ独立に少なくとも炭素原子を含む2価の基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲン及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つで構成される構造である。nは1〜3の整数である。)
    Figure 2014201700
    (式中、R11は水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R12は水素又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R13及びR14はそれぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R15は置換基を有してもよいチアゾリル基又はベンゾチアゾリル基である。式(B7)で表されるジスルフィド基を有する場合、前記ポリマーは式(B1)で表されるメルカプト基同士が反応することで2つのポリマー鎖が連結した構造を持つ。)
  2. 前記式(A1)で表される構造が下記式(A2)で表される構造である請求項1記載の物性改良剤。
    Figure 2014201700
    (式中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基である。R及びRはそれぞれ独立に水素又は炭素数1〜3のアルキル基であるが、ともに水素であることはない。aは3〜11の整数であり、mは1〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。)
  3. 前記ポリマーがモノマーをラジカル重合してなるポリマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の物性改良剤。
  4. 前記モノマーが、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ニトリル系ビニルモノマー、ビニルエーテル系モノマー、モノオレフィン系モノマー、及びジエン系モノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載の物性改良剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の物性改良剤の製造方法であって、
    下記式(C1)で表されるラジカル重合開始剤を用いてモノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーのハロゲン末端を、前記式(B1)〜(B7)のいずれかで表される構造に置換する
    ことを特徴とするゴム又はプラスチック用物性改良剤の製造方法。
    Figure 2014201700
    (式中、Xはハロゲンであり、R、R、R、R、Z、Z及びnは、それぞれ前記式(A1)中のR、R、R、R、Z、Z及びnと同じである。)
  6. ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカ10〜150質量部と、請求項1〜4のいずれか1項に記載の物性改良剤1〜50質量部を含有するゴム組成物。
  7. 請求項6記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
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