JP2014201818A - めっき鋼板の耐パウダリング性評価方法 - Google Patents

めっき鋼板の耐パウダリング性評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易かつ高精度なめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法を提供する。【解決手段】めっき鋼板1に工具2、3を用いて成形を施して、めっき鋼板1の表面の少なくとも一部に圧縮ひずみを生じさせることでパウダリングを発生させ、めっき剥離量を測定することによりめっき鋼板の耐パウダリング性を評価する方法であって、めっき鋼板1の表面の圧縮ひずみ量が9%以上となる領域12が、成形過程において工具2、3によって挟持されないめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。【選択図】 図3

Description

本発明は、めっき鋼板の耐パウダリング性評価方法に係り、特に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パウダリング性の高精度な評価方法に関する。
従来、自動車、家電、建築材料等の鋼材製品における耐食性の向上を目的として、表面処理鋼板が広く使用されてきた。中でも、自動車用鋼板においては、防錆およびプレス成形性の観点から、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、「GA鋼板」という。)が多く使用されている。GA鋼板は、通常、鋼板を亜鉛浴中に浸漬した後、合金化熱処理を行うことで製造される。
しかしながら、GA鋼板は、めっき層が実質的にZn−Fe金属間化合物で構成されるため、硬く脆いという性質があり、プレス成形時の変形によって、表面の亜鉛めっきが粉末状に剥離する、いわゆる「パウダリング」が生じるという問題がある。パウダリングが発生すると、剥離しためっき粉が成形品に付着することによって、押込み疵、金型への損傷、塗装時の外観劣化等、様々な問題を誘発する。
GA鋼板の耐パウダリング性を評価する方法として、耐パウダリング性との間に良好な相関関係があるめっき層中のFe濃度(以下、「合金化度」という。)を指標とする方法がある。しかしながら、合金化度を求めるためには比色法、発光法、吸光法等の化学分析を行う必要があり、この方法では時間およびコストが極めてかかるという欠点がある。
より簡易な方法として、プレス成形を模擬した簡易成形試験を行い実際に剥離しためっき量を測定する方法があり、これまでにも様々な提案がなされている。
特許文献1には、GA鋼板に曲げ加工を施し、加工部にセロテープ(登録商標)を貼り付けた後にテープ内面に剥離付着した亜鉛粉末量を、蛍光X線分析等を用いて定量的に測定する方法が開示されている。
また、特許文献2および3には、GA鋼板の曲げ試験または曲げ・曲げ戻し試験を自動化することにより作業の効率化を可能とした試験装置が開示されている。
さらに特許文献4には、金型の形状を改良した円筒絞り試験を行い、側壁部のめっき剥離性を調査することによって、より実際の成形に近い条件で耐パウダリング性を評価する方法が開示されている。
特開昭57−17841号公報 特開平11−6827号公報 実開昭63−135150号公報 特開昭55−35210号公報
特許文献1に記載の方法では、テープに付着しためっき量をX線分析により定量するため、時間およびコストがかかるという問題がある。また、特許文献2〜4に記載の曲げ試験および円筒絞り成形試験について、本発明者らが実施した詳細な調査から、下記のような問題があることが分かった。
(i)曲げ試験による耐パウダリング性評価
図1は、曲げ試験による耐パウダリング性評価結果の精度を示した図である。曲げ試験による耐パウダリング性評価においては、GA鋼板の曲げ試験を行い、曲げ部にテープを貼り付けて剥がした時のテープに付着しためっき剥離幅(mm)を耐パウダリング性の指標とした。
なお、曲げ試験は、JIS Z 2248(2006)で規定される、曲げ角度90°のVブロック法を用いて行い、押金具の先端部の半径は2mm、試験力は30kN、試行回数は3回とした。また、供試材には、合金化度8.0〜11.8%の板厚0.7mmの270MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(鉄鋼連盟規格:JAC270D)を用いた。
上述のように、耐パウダリング性とめっきの合金化度との間には密接な関係が存在する。しかしながら、図1を見ると、合金化度が9.6〜11%の範囲において、めっき剥離幅に有意な差が認められない。また、結果に大きなばらつきが存在し、精度の高い評価方法とは言い難い。
(ii)円筒絞り成形試験による耐パウダリング性評価
図2は、円筒絞り成形試験による耐パウダリング性評価結果の精度を示した図である。円筒絞り成形試験は、半径50mmの円板状のGA鋼板に対して、外縁部を中空円筒状のダイスおよびホルダーを用いて押さえ圧12kNで押さえ、中心部を半径25mmの円筒形パンチでダイスの方向へ19mm進行させて、GA鋼板を外縁にフランジを有する円筒形容器に成形することで行った。試行回数は3回とした。
上記の曲げ試験と同様に、供試材には、合金化度8.0〜11.8%の板厚0.7mmの270MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(鉄鋼連盟規格:JAC270D)を用いた。そして、精密量りを用いて成形前後での重量を測定し、成形に伴うめっき剥離量を算出し、耐パウダリング性の指標とした。
図2を見ると、合金化度の増加に伴い、めっき剥離量が増加する傾向は認められるものの、測定結果にばらつきが大きく、精度の高い評価方法とは言えないことが分かる。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、簡易かつ高精度なめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、以下の知見を得るに至った。
(a)曲げ試験を行う場合、JIS Z 2248(2006)で規定されるように、試験片を押金具と支えまたはVブロックとで押曲げるのが一般的である。めっき鋼板のパウダリングは圧縮変形により生じるため、一般的な曲げ試験では、曲げ部の内側、すなわち押金具と試験片との接触点およびその付近でパウダリングが生じることになる。
(b)剥離しためっきが曲げ成形中に金具で押込まれ、高い面圧を受けると、金具または試験片にめっき粉が再付着してしまう。そのため、耐パウダリング性が適切に評価できていないと考えられる。
(c)円筒絞り成形試験を行う場合、パウダリングは成形された円筒形容器の側壁部および外縁のフランジ部で生じる。側壁部およびフランジ部は円筒絞り成形の際、ポンチとダイスおよびダイスとホルダーとで強い面圧を受けることになるため、剥離しためっき粉の再付着が起きてしまう。さらに、側壁部はポンチまたはダイスと摺動するため、それに起因しためっきの燐片状の剥離(以下、「フレーキング」という。)が生じる可能性がある。そのため、パウダリングに起因した剥離量のみを適切に評価できていないと考えられる。
(d)めっき鋼板の表面にパウダリングを生じさせるためには、種々の工具を用いて成形加工を行うこととなる。その際、めっき鋼板の工具で挟持される部分でパウダリングが生じるような成形方法を用いてめっき剥離量を測定するのでは、めっき粉の再付着によりめっき鋼板の耐パウダリング性を正しく評価することはできない。
(e)すなわち、成形に際して工具で挟持される部分でパウダリングがほとんど発生しないような条件で成形加工を行うことで、めっき粉の再付着等の問題が生じずに耐パウダリング性を適切に評価できるようになる。
本発明は、上記の知見を基礎としてなされたものであり、下記のめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法を要旨とする。
(1)めっき鋼板に工具を用いて成形を施して、該めっき鋼板の表面の少なくとも一部に圧縮ひずみを生じさせることでパウダリングを発生させ、めっき剥離量を測定することによりめっき鋼板の耐パウダリング性を評価する方法であって、
該めっき鋼板の表面の圧縮ひずみ量が9%以上となる領域が、成形過程において該工具によって挟持されないことを特徴とするめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。
(2)円板状に加工しためっき鋼板を、逆円錐形のダイスと先端形状が半球状のパンチとでコニカルカップ状にプレス成形することで、前記めっき鋼板に前記成形が施されることを特徴とする上記(1)に記載のめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。
(3)前記円板状に加工しためっき鋼板と前記パンチとの間に、前記めっき鋼板より板厚の厚い円板状の鋼板を介在させた状態でプレス成形を行うことを特徴とする上記(2)に記載のめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。
本発明によれば、めっき鋼板の表面にパウダリングを発生させる成形を行うに際して、剥離しためっき粉の再付着が生じることがないため、めっき剥離量を簡易かつ高精度に測定することが可能である。
曲げ試験による耐パウダリング性評価結果の精度を示した図である。 円筒絞り成形試験による耐パウダリング性評価結果の精度を示した図である。 コニカルカップ成形試験を説明する図である。 板厚0.5mmのめっき鋼板を適切にコニカルカップ成形できた試験条件の範囲を示す図である。 板厚0.6mmのめっき鋼板を適切にコニカルカップ成形できた試験条件の範囲を示す図である。 しわ抑制用鋼板を用いた場合の、板厚0.5mmのめっき鋼板を適切にコニカルカップ成形できた試験条件の範囲を示す図である。 本発明に係る耐パウダリング性評価方法によるめっき剥離量と合金化度との関係を示す図である。 本発明に係る耐パウダリング性評価方法によるテープ剥離した後のテープ画像と合金化度との関係を示す図である。
1.めっき鋼板の成形
めっき鋼板にパウダリングを発生させるためには、めっき鋼板の表面の少なくとも一部に、圧縮ひずみ量が9%以上となる領域を形成するような成形を施さなければならない。圧縮ひずみ量を9%以上とする理由は以下の通りである。
JIS Z 2249(2010)で規定されるコニカルカップ試験方法を用いて、めっき鋼板をコニカルカップ状に成形し、成形品にテープを貼り付けることで、パウダリングが生じる箇所を特定した。そして、実験と同じ条件の有限要素法の数値解析を行い、実験でパウダリングが生じた箇所における最小主ひずみを読み取ったところ、圧縮ひずみ量が9%であることが分かった。
上述のように、成形過程において、パウダリングが生じた個所が工具によって高い面圧を受けると、剥離しためっき粉がめっき鋼板または工具に再付着してしまい、正確なめっき剥離量の測定が困難になる。
したがって、本発明に係る耐パウダリング性評価方法においては、成形によるめっき鋼板の表面の圧縮ひずみ量が9%以上となる領域が、成形過程において工具によって挟持されない必要がある。なお、本発明において、「挟持される」とは、鋼板の両面側から工具による力が加わり、高い面圧を受けている状態をいい、片面側のみが工具に接触している状態は除くものとする。
また、耐パウダリング性に著しく劣るめっき鋼板では、圧縮ひずみ量が約3%でもパウダリングがわずかに生じる場合がある。そのため、剥離しためっき粉の再付着の問題をより確実に防止するためには、成形によるめっき鋼板の表面の圧縮ひずみ量が3%以上となる領域が、成形過程において工具によって挟持されないことが好ましい。
本発明における耐パウダリング性評価方法で用いられるめっき鋼板の成形については、上記の条件を満たす成形であれば特に制限はない。例えば、図3に示すように、円板状に加工しためっき鋼板1を、逆円錐形のダイス2と先端形状が半球状のパンチ3とでコニカルカップ状にプレス成形することで、めっき鋼板に上記の条件を満足する成形を施すことができる。
ダイス2とパンチ3とによるプレス成形では、めっき鋼板は外縁側ほど、円周方向に高い圧縮ひずみ量を受け、半球状のパンチ3と接触する中心付近は引張ひずみを受けることになる。そのため、図3の右側に示される、めっき鋼板がダイスとパンチとで挟持される部分11は、圧縮ひずみが小さく、パウダリングがほとんど発生しない。一方、外縁側のパウダリングが発生する圧縮ひずみ量が9%以上となる領域12は、パンチと接触することがないため、面圧がほとんどかからず剥離しためっき粉の再付着等の問題が生じることがない。
成形に用いられる工具の形状および寸法について特に制限は設けないが、JIS Z 2249(2010)で規定されるコニカルカップ試験方法で使用されるダイスおよびパンチを用いることができる。この際、圧縮変形が生じる面積、つまり耐パウダリング性を評価する面積をできる限り大きくとるには、割れやしわが生じない範囲で、工具および試験片寸法をできるだけ大きくすることが望ましい。例えば、JIS Z 2249(2010)で規定されるコニカルカップ試験方法では、27型の工具を用いることが望ましい。
高精度の耐パウダリング性の評価を行うためには、一定の条件での成形が望ましく、成形に際してコニカルカップにしわが生じるのを抑制するのが望ましい。そのためには、試験片となるめっき鋼板の直径は、JIS Z 2249(2010)で規定される試験片直径より小さくするのが望ましい。JIS Z 2249(2010)で規定される試験片の直径dとパンチ直径dとの間には、概ね下記(I)式の関係が成り立つ。
=3×d−2 ・・・(I)
したがって、本発明の評価方法に用いられるめっき鋼板の直径dは、パンチ直径dとの間で、下記(II)式の関係を満たすことが望ましい。一方、dがdに対して小さすぎると耐パウダリング性を評価する面積が小さくなり過ぎるため、下記(III)式を同時に満足することが望ましい。
<3×d−2 ・・・(II)
≧1.5×d ・・・(III)
図4および5は、JIS Z 2249(2010)で規定される形状・寸法の工具に対して、種々の寸法の円板状めっき鋼板を用いた際にしわが生じずにコニカルカップ成形できた範囲を示したものである。なお、成形試験には合金化度8.0〜11.8%の270MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(鉄鋼連盟規格:JAC270D)を用い、図4に示した試験の供試材の板厚は0.5mm、図5に示した試験の供試材の板厚は0.6mmとした。
図4および5に示された範囲の条件でコニカルカップ成形を行うことで、簡易かつ高精度の耐パウダリング性の評価が可能となる。
さらに、めっき鋼板とパンチとの間に、しわ抑制用の鋼板を介在させた状態でプレス成形を行うことで、試験片のめっき鋼板の変形がしわ抑制用鋼板の変形に追従することにより、より確実にしわの発生を抑制することができるようになる。しわ抑制用の鋼板を利用する場合、しわ抑制用鋼板単体でコニカルカップ成形した際にしわが生じない板厚であり、かつ、試験片のめっき鋼板と同じ円板状であって、前記めっき鋼板より板厚の厚い鋼板を用いるのが良い。
また、しわ抑制用の鋼板の寸法は、試験片のめっき鋼板の直径と同じであることが好ましい。これは、しわ抑制用の鋼板が試験片のめっき鋼板よりも小さいと、しわ抑制用の鋼板が当たっていない外縁から、しわが発生しやすいためである。一方、しわ抑制用の鋼板が試験片のめっき鋼板よりも大きいと、しわ抑制用の鋼板が試験片のめっき鋼板から離れた状態で材料がダイス3にセットされるため、しわ抑制用の鋼板が先に円錐状に変形する。そのため、成形初期では、試験片のめっき鋼板の外縁部がしわ抑制用鋼板と接触しない状態で変形するので、試験片のめっき鋼板の外縁からしわが発生しやすくなる。
加えて、試験片のめっき鋼板がしわを発生させる駆動力に抗するために、しわ抑制用の鋼板の引張強さは、試験片のめっき鋼板以上の引張強さを有していることが好ましい。さらに、しわ抑制用の鋼板は、評価結果にしわ抑制用の鋼板のパウダリングが混入しないように、非めっき材であることが好ましい。
図6は、同じ直径のめっき鋼板としわ抑制用鋼板とを重ねた状態で、めっき鋼板がダイス側、しわ抑制用鋼板がパンチ側になるようにプレス成形した際の、しわが生じずにコニカルカップ成形できた範囲を示したものである。なお、供試材は、図4に示した試験と同じ合金化度8.0〜11.8%の板厚0.5mmの270MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(鉄鋼連盟規格:JAC270D)であり、しわ抑制用の鋼板は板厚1.4mmの590MPa級の鋼板とした。
図4および6を比較すると、しわ抑制用鋼板を用いることによって、しわを生じずにコニカルカップ成形可能な寸法範囲が広がることが分かる。
また、JIS Z 2249(2010)に規定のコニカルカップ試験方法では、カップの底部が破断するまで成形を行うとされているが、耐パウダリング性の評価においては、コニカルカップは破断させない方が望ましい。そのため、成形ストロークLは適宜調整することが好ましい。
成形ストロークLが大きすぎる場合、成形過程でコニカルカップが破断するおそれがある。また、破断しなかったとしてもめっき鋼板がダイスから抜け落ちてしまうと耐パウダリング性を評価する部分である円錐部がなくなってしまうおそれがある。一方、安定的に圧縮ひずみを9%以上生じさせ、かつ、試行回数間のバラつきを抑制するには、パンチ3の半球部分の一部が、ダイス2下側の開口部まで進入していることが好ましい。そのため、成形ストロークLの範囲は、下記(IV)式を満足することが望ましい。
(d−d)/2×tan((180°−θ)/2)≦L≦(d−d)/2×tan((180°−θ)/2)+d/2+(d/2−d×π/4) ・・・(IV)
形成速度について特に制限はないが、作業効率および破断防止の観点からは10〜200mm/sとするのが好ましく、30〜180mm/sとするのがより好ましい。
2.めっき剥離量の測定
本発明における耐パウダリング性評価方法で用いられるめっき剥離量の測定方法については、特に制限はなく、例えば以下に示す方法を用いることができる。
(A)剥離重量の測定
成形前後の重量差から剥離しためっき粉の重量を測定する方法である。具体的には、以下の手順により行う。
まず成形前のめっき鋼板を超音波洗浄等により脱脂し、精密量りを用いて重量の測定を行う。次に必要に応じて潤滑油等を塗布した後、成形を行う。そして、再度超音波洗浄等により脱脂処理と同時にパウダリングにより剥離しためっき粉を除去する。最後に精密量りを用いて重量の測定を行い、成形の前後の重量差を計算する。
(B)テープ剥離法
成形品のパウダリング発生個所にテープを貼り付けて、テープに付着しためっき粉の色の濃淡から耐パウダリング性を評価する方法である。この方法を用いる場合、上述の曲げ試験による評価では、パウダリングが曲げ部のみのわずかな領域で発生するため、測定者によるばらつきが生じ得る。しかし、コニカルカップ成形試験による評価では、カップ内側の広い部分にパウダリングが発生するため、測定者によるばらつきを低減でき、かつ、カップ外縁ほど大きな圧縮ひずみが生じて、圧縮ひずみが傾斜的に分布するので、広い範囲の合金化度の材料に対して精度の高い評価が可能となる。
また、テープの画像をスキャンしてPCに取り込み、適宜画像処理を行うことで測定者間の誤差をより低減させることが可能となる。この方法では、例えば、テープの色の濃淡を256段階で判定した後、任意の閾値を設けて二諧調処理して濃い部分と薄い部分とに区分し、その面積率を耐パウダリング性の指標として評価することができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
合金化度が異なる6種類のめっき鋼板を用いてコニカルカップ成形試験を行い、耐パウダリング性評価方法の精度の検証を行った。供試材は、いずれも板厚0.7mm、めっき目付量が50〜60g/mの270MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(鉄鋼連盟規格:JAC270D)であり、合金化度がそれぞれ、8.0%、9.6%、10.6%、11.0%、11.0%および11.8%である。
コニカルカップ成形試験には、JIS Z 2249(2010)で規定される27型の工具を用いた。すなわち、ダイス開き角度θが60°、ダイス穴直径dが32mm、パンチ直径dが26.99mmである。一方、試験片であるめっき鋼板の直径dは、27型の試験片直径である78mmより小さい56mmとした。
成形ストロークLは、コニカルカップの破断が生じないように33.2mmとし、成形速度は1、10、100および500mm/sの4種類で試験を実施した。
めっき剥離量の測定は、前述の(A)剥離重量の測定(成形前後の試験片の重量比較)および(B)テープ剥離法(テープ画像の2値化処理)の2種類により行った。
図7は、それぞれの成形速度でのめっき剥離量(mg)と合金化度(%)との関係を示した図である。なお、図中のエラーバーは、試行回数は3回での標準偏差を示したものである。
図7から明らかなように、いずれの成形速度においても合金化度の増加に伴い、めっき剥離量が増加する傾向が明瞭に認められ、さらにばらつきも小さく、特に成形速度が10および100mm/sの時にばらつきが極めて小さくなった。したがって、本発明に係る耐パウダリング性の評価方法は精度が高いことが分かる。
また、図8は、成形速度10mm/sでコニカルカップ成形した時の、カップ内側面をテープ剥離した後のテープ画像と合金化度(%)との関係を示した図である。なお、画像の2値化処理においては、テープの色の濃淡を256段階で判定した後、170以上を白、169以下を黒と判定し、黒色面積率を算出した。このように、テープ剥離法によっても、めっき鋼板の耐パウダリング性を定量的に精度良く評価できることが分かる。
本発明によれば、めっき鋼板の表面にパウダリングを発生させる成形を行うに際して、剥離しためっき粉の再付着が生じることがないため、めっき剥離量を簡易かつ高精度に測定することが可能である。
1.めっき鋼板
2.ダイス
3.パンチ
11.工具によって挟持される部分
12.圧縮ひずみ量が9%以上となる領域
L:成形ストローク
θ:ダイス開き角度
:めっき鋼板の直径
:パンチ直径
:ダイス穴直径

Claims (3)

  1. めっき鋼板に工具を用いて成形を施して、該めっき鋼板の表面の少なくとも一部に圧縮ひずみを生じさせることでパウダリングを発生させ、めっき剥離量を測定することによりめっき鋼板の耐パウダリング性を評価する方法であって、
    該めっき鋼板の表面の圧縮ひずみ量が9%以上となる領域が、成形過程において該工具によって挟持されないことを特徴とするめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。
  2. 円板状に加工しためっき鋼板を、逆円錐形のダイスと先端形状が半球状のパンチとでコニカルカップ状にプレス成形することで、前記めっき鋼板に前記成形が施されることを特徴とする請求項1に記載のめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。
  3. 前記円板状に加工しためっき鋼板と前記パンチとの間に、前記めっき鋼板より板厚の厚い円板状の鋼板を介在させた状態でプレス成形を行うことを特徴とする請求項2に記載のめっき鋼板の耐パウダリング性評価方法。
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