JP2014208324A - 窒化物半導体光触媒、窒化物半導体電極 - Google Patents

窒化物半導体光触媒、窒化物半導体電極 Download PDF

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孝史 京野
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Abstract

【課題】吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体光触媒を提供する。
【解決手段】III族窒化物半導体層13が支持体17の主面17aとInGa1−XN領域15との間に設けられて、InGa1−XN領域15はGaNのバンドギャップ波長よりも長波長の光を吸収できるので、窒化物半導体光触媒11は吸収波長の下限を長波長に拡大できる。また、InGa1−XN領域15のピエゾ分極PPZがInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有するので、InGa1−XN領域15内で生成された電子・正孔対のうち電子がInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向に流れ、正孔がIII族窒化物半導体層13からInGa1−XN領域15への方向に流れる。これ故に、窒化物半導体光触媒11ではキャリアの移動を容易にできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極に関する。
非特許文献1は、(0001)面サファイア基板上に成長されたGaN及びInGaNの電気化学的性質を開示する。非特許文献2は、COの還元のための光電極を開示する。特許文献1は、光触媒装置を開示する。特許文献2は、光触媒半導体素子を開示する。
特開2012年148250号公報 特開2011年136340号公報
Katsushi FUJII, Kazuhide KUSAKABE and KazuhiroOHKAWA, "Photoelectrochemical Properties of InGaN for H2 Generation from Aqueous Water," Japanese Journal of Applied Physics Vol. 44, No.10, 2005, pp.7433-7435 Satoshi Yotsuhashi, Masahiro Deguchi, Hiroshi Hashiba, Yuji Zenitani, Reiko Hinogami, Yuka Yamada, and Kazuhiro Ohkawa, "Enhanced CO2 reduction capability in an AlGaN/GaN photoelectrode," APPLIED PHYSICS LETTERS 100, 243904 (2012)
特許文献1の光触媒装置では、(0001)面を光触媒面として陽極に用いる。この(0001)面上にInGaNを成長した後に、このInGaN上にGaNを形成する。光触媒面はGaNからなる。これ故に、光吸収波長は、GaNのバンドギャップにより規定される。特許文献2の光触媒半導体素子では、(0001)+c面上にGaNを成長した後に、このGaN上にInGaNを形成する。発明者の検討によれば、このInGaNにおけるピエゾ分極の向きは、特許文献1におけるInGaN上のGaNにおけるピエゾ分極の向きと逆向きである。
非特許文献2では、AlGaN/GaNの2層構造を用いた光電極を開示する。(0001)面サファイア基板上のGaN上にAlGaNが成長される。これ故に、光吸収波長は、AlGaNのバンドギャップにより規定される。これに対して、非特許文献1では、(0001)面サファイア基板上のGaN上にInGaNが成長される。このInGaNにおけるピエゾ分極の向きは、特許文献1におけるInGaN上のGaNにおけるピエゾ分極の向きと逆向きである。
光触媒面としてGaN等を用いることは、GaNのバンドギャップ波長により長波長の光の吸収を提供できない。一方、特許文献2の光触媒半導体素子のように(0001)+c面上に作製されるGaN及びInGaNの積層では、発明者の知見によれば、InGaNにおいて生成された電子・正孔対のうちの一方のキャリア(正孔)は電解液中のイオンと反応する一方で、他方のキャリア(電子)はInGaN内のポテンシャルの傾斜に対抗してInGaN中を移動する。
本発明の一側面は、上記のような背景において為されたものであり、吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体光触媒を提供することを目的とする。また、本発明の別の側面は、吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体電極を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、支持体の主面上に設けられ導電性を有するIII族窒化物半導体層と、量子井戸構造とを備え、前記III族窒化物半導体層は、前記支持体と前記量子井戸構造との間に設けられ、前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、前記量子井戸構造は複数の井戸層及び障壁層を含み、前記井戸層はInGa1−YNを備え、前記井戸層のピエゾ分極は、前記量子井戸構造から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する。
本発明に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、支持体の主面上に設けられ導電性を有するIII族窒化物半導体層と、前記III族窒化物半導体層に第1ヘテロ接合を成しており、前記支持体の前記主面上に設けられたInGa1−XN領域(0<X≦1)とを備える。前記III族窒化物半導体層は前記支持体の前記主面と前記InGa1−XN領域との間に設けられ、前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、前記InGa1−XN領域のピエゾ分極は、前記InGa1−XN領域から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する。
本発明の一側面によれば、吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体光触媒を提供できる。また、本発明の別の側面によれば、吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体電極を提供できる。
図1は、本実施の形態に係る窒化物半導体光触媒の構造を概略的に示す図面である。 図2は、ピエゾ分極とピエゾ電界との関係を示す図面である。 図3は、図1に示された窒化物半導体光触媒のバンド構造を示す図面である。 図4は、InGa1−XN領域からIII族窒化物半導体層への方向に向くピエゾ分極におけるバンド構造を示す図面である。 図5は、ピエゾ分極とc軸傾斜角との関係を概略的に示す図面である。 図6は、太陽光のスペクトルと共に、本実施の形態に係る窒化物半導体光触媒による吸収波長帯を示す図面である。 図7は、光触媒装置、及び光触媒装置における窒化物半導体光触媒及び電極と電解液における電子に係るポテンシャルを示す図面である。 図8は、図1に示された窒化物半導体光触媒のバンド構造を示す図面である。 図9は、実施例2に係る光触媒素子の構造を示す図面である。 図10は、図9に示されるエピタキシャル基板にp層を追加してpin構造を含むエピタキシャル基板を示す図面である。 図11は、バイアス印加フォトルミネッセンスの測定に係る配置、及びバンドの変化を示す図面である。 図12は、上記のように測定されたデバイスのバイアス印加PL測定における波長シフトのバイアス依存性を示す図面である。 図13は、上記のように測定されたデバイスのバイアス印加PL測定における信号強度のバイアス依存性を示す図面である。 図14は、光触媒素子の表面に構造を備える窒化物半導体光触媒を示す図面である。 図15は、n−GaN層の表面に形成される{10−11}面及び{10−10}面に対応する面方位の周期構造を示す図面である。 図16は、結晶成長に係る技術に依らずに界面構造JS及び表面構造SSを作製する工程を概略的に示す図面である。 図17は、窒化物半導体光触媒を作製する方法における主要な工程を示す図面である。 図18は、本実施の形態に係る窒化物半導体光触媒の構造を概略的に示す図面である。 図19は、本実施の形態に係る窒化物半導体光触媒の構造を概略的に示す図面である。 図20は、AlGaN層で隔てられたInGaN井戸層を含む量子井戸構造を示す図面である。 図21は、III族窒化物層で隔てられたInGaN井戸層を含む量子井戸構造を示す図面である。 図22は、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層の働きを説明するための実施例を示す図面であ。 図23は、実施例5におけるInGaN障壁層を含むpin構造を含む基板生産物を示す図面である。 図24は、実施例5におけるAlGaN障壁層を含むpin構造を含む基板生産物を示す図面である。 図25は、デバイス3及びデバイス4の順方向特性を示す図面である。 図26は、量子井戸構造付近のバンド構造のポテンシャルを数値計算するためのモデルの構造を示す図面である。 図27は、図26に示された構造に3種類の面方位を適用したモデルのシミュレーション結果を示す図面である。 図28は、図27に示されたシミュレーション結果を用いて見積もられた内蔵電界を示す図面である。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、(a)支持体の主面上に設けられ導電性を有するIII族窒化物半導体層と、(b)量子井戸構造とを備え、前記III族窒化物半導体層は、前記支持体と前記量子井戸構造との間に設けられ、前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、前記量子井戸構造は複数の井戸層及び障壁層を含み、前記井戸層はInGa1−YNを備え、前記井戸層のピエゾ分極は、前記量子井戸構造から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、III族窒化物半導体層が支持体の主面と量子井戸構造との間に設けられるので、量子井戸構造がGaNのバンドギャップ波長よりも長波長の光を吸収できる。また、量子井戸構造の井戸層のピエゾ分極の向きが量子井戸構造からIII族窒化物半導体層への方向の成分を有するので、この井戸層からキャリアの抜け出しが容易になる。光吸収によって量子井戸構造の井戸層内で生成された電子・正孔対のうち、電子が、井戸層から抜け出してIII族窒化物半導体層に向かう方向に流れ、該電子・正孔対のうち正孔が井戸層から抜け出して電解液に接触する接触面に向かう方向に流れる。このように、電子・正孔対を効果的に分離することで、これらが再結合することを防ぐことができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記障壁層の厚みは0.5nm以上3nm以下であることができる、前記複数の井戸層のうち、前記量子井戸構造の一端及び他端に位置する価電子帯上端(又は伝導帯下端)を結ぶことで定義される内蔵電界の向きは、前記III族窒化物半導体層から前記量子井戸構造への方向の成分を有することができる。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、3nm以下の厚さの障壁層は、隣り合う井戸層を隔てる障壁層を一方の井戸層から他方の井戸層へトンネリングによりキャリアが伝搬することを可能にする。また、0.5nm以上の厚みの障壁層は、該障壁層によって隔てられる隣り合う井戸層はキャリアにとって別個のポテンシャルの井戸として作用する。また、内蔵電界は、量子井戸構造の一端及び他端にそれぞれ位置する第1最外井戸層及び第2最外井戸層の価電子帯上端(又は伝導帯下端)のエネルギー差として定義される内部ポテンシャル差と第1最外井戸層と第2最外井戸層との間隔との比として規定される。前記内蔵電界の向きは、前記III族窒化物半導体層から前記量子井戸構造への方向の成分を有する。このために、前記量子井戸構造において電子・正孔対を効果的に分離できると同時に、キャリアの伝搬が促進される。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、(a)支持体の主面上に設けられ導電性を有するIII族窒化物半導体層と、(b)前記III族窒化物半導体層に第1ヘテロ接合を成しており、前記支持体の前記主面上に設けられたInGa1−XN領域(0<X≦1)とを備える。前記III族窒化物半導体層は前記支持体の前記主面と前記InGa1−XN領域との間に設けられ、前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、前記InGa1−XN領域のピエゾ分極は、前記InGa1−XN領域から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、III族窒化物半導体層が支持体の主面とInGa1−XN領域との間に設けられるので、InGa1−XN領域がGaNのバンドギャップ波長よりも長波長の光を吸収できる。また、InGa1−XN領域のピエゾ分極の向きがInGa1−XN領域からIII族窒化物半導体層に向かう方向であるので、光吸収によってInGa1−XN領域内で生成された電子・正孔対のうち、電子がInGa1−XN領域からIII族窒化物半導体層に向かう方向に流れ、正孔がIII族窒化物半導体層からInGa1−XN領域に向かう方向に流れる。このように、電子・正孔対を効果的に分離することで、これらが再結合することを防ぐことができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記III族窒化物半導体層のバンドギャップは前記InGa1−XN領域のバンドギャップより大きいことができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記InGa1−XN領域は前記主面の面内の方向に圧縮歪みを内包することができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、圧縮歪みの大きさに応じてピエゾ分極の大きさを調整できる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記支持体の前記主面は前記窒化物半導体の半極性面を含むことができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、窒化物半導体の半極性面の面方位に応じてピエゾ分極の大きさを調整できる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記第1ヘテロ接合は、前記III族窒化物半導体層のc軸に直交する基準平面に対して傾斜する部分を有することができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記InGa1−XN領域のIn組成Xはゼロより大きく、0.1以下であることが好ましい。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、In組成Xが0.1以下であるIn組成範囲においては、水素生成に好適な窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極を提供できる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、前記InGa1−XN領域内に設けられた量子井戸を更に備えることができる。前記量子井戸は、量子ドット及び量子井戸構造の少なくともいずれかを含み、前記InGa1−XN領域は前記量子井戸の表面に接触を成すことができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、量子ドット及び量子井戸構造はより長波長の光の吸収を可能にする。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記量子井戸構造は、井戸層及び障壁層を含み、前記量子井戸構造の前記井戸層はInGa1−YN(0<X<Y≦1)を備え、前記量子井戸構造の前記障壁層は前記井戸層のバンドギャップより大きいバンドギャップを有する材料を備えることができ、例えばInGa1−ZN(0<X≦Z<Y)を備える。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、量子井戸構造において、層状のInGa1−YN領域及び/又はInGa1−ZN領域が光吸収に寄与できる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記量子井戸構造は、一又は複数の第2井戸層及び一又は複数の第2障壁層をさらに含み、前記第2井戸層と前記井戸層を合わせた数は、5以上であり、前記第2障壁層はInGa1−YNのバンドギャップより大きな半導体からなり、前記第2井戸層は、前記障壁層及び前記第2障壁層のバンドギャップより小さいInGaNからなることができる。井戸層及び障壁層に第2井戸層及び第2障壁層を加えることで、InGa1−XN領域内に設けられた量子井戸を多重量子井戸構造とすることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、量子井戸構造からIII族窒化物半導体層に向かう方向への成分を有するピエゾ分極の作用により、該方向に直列的に配列された5以上の井戸層を含む量子井戸構造において生成されたキャリアの移動が可能になる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記第2井戸層と前記井戸層を合わせた数は10以上であることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、量子井戸構造からIII族窒化物半導体層に向かう方向への成分を有するピエゾ分極の作用により、該方向に直列的に配列された10以上の井戸層を含む量子井戸構造内において、キャリアの移動が可能になる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記量子井戸構造の前記障壁層は、III族構成元素としてアルミニウムを含む半導体層を含み、前記量子井戸構造の前記第2障壁層は、III族構成元素としてアルミニウムを含む半導体層を含むことができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、第2障壁層に含まれる半導体層は、例えばAlGaN、InAlGaN及び/又はAlNを備えてもよい。また、障壁層に含まれる半導体層は、例えばAlGaN、InAlGaN及び/又はAlNを備えることができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記障壁層の前記半導体層はAlGaNを備え、前記第2障壁層の前記半導体層はAlGaNを備えることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、障壁層のAlGaNは井戸層に圧縮歪みを加えて、井戸層内のピエゾ分極を強める。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記障壁層の前記半導体層の厚さは0.5nm以上3nm以下の範囲にあることが好ましく、前記第2障壁層の前記半導体層は0.5nm以上3nm以下の範囲にあることが好ましい。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、隣り合う井戸層を隔てる障壁層の厚さが3nm以下であるとき、この障壁層は一方の井戸層から他方の井戸層にトンネリングによるキャリア伝搬を可能にする。また、障壁層が0.5nm以上の厚みを有するとき、該障壁層によって隔てられる隣り合う井戸層はキャリアにとって別個のポテンシャルの井戸として作用することを可能にする。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記量子ドットはInGa1−UN(0<X<U≦1)を更に備えることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、量子井戸としての量子ドットは、長波長の光を吸収できることに加えて、InGa1−XN領域は、量子ドットにより生成されたキャリアがIII族窒化物半導体層に向けて伝搬することに役立ち、また正孔が、電解液に接触する接触面に向けて伝搬することに役立つ。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記InGa1−XN領域は、バルク三元InGaNからなり、前記III族窒化物半導体層はGaNからなることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、光吸収によってバルク三元InGaN中において生成された電子・正孔対がバルク三元InGaNを伝搬する。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記InGa1−XN領域には遷移金属が添加されていることが好ましい。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、添加された遷移金属は、光吸収可能な波長帯域を広げるために役立つ。また、遷移金属の添加量が母結晶中にミニバンドを形成する程度になるとき、光吸収可能な波長帯域を広げるために役立つと共にミニバンド自身もキャリア伝導を担う。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、前記支持体の前記主面上に設けられたAlGaN層を更に備えることができる。前記InGa1−XN領域は、前記AlGaN層と前記III族窒化物半導体層との間に設けられ、前記InGa1−XN領域は前記AlGaN層に第2ヘテロ接合を成すことができる。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、InGa1−XN領域が支持体の主面とAlGaN層との間にあるので、AlGaN層は、InGa1−XN領域のバンドギャップと例えば水等の分解する対象の酸化還元準位との大きさの関係に起因する制限を緩めることができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記AlGaN層の膜厚は2nm以上15nm以下であることができる。この窒化物半導体光触媒によれば、AlGaN層の膜厚は2nm以上であるとき、InGa1−XN領域のバンドギャップと例えば水等の分解する対象の酸化還元準位との大きさの関係に起因する制限を緩めるために有効である。また、AlGaN層の膜厚が15nm以下であるとき、InGa1−XN領域からAlGaN層へのキャリアの移動を大きく阻害しない。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記AlGaN層のAl組成はゼロ以上0.2以下であることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、AlGaN層のAl組成がゼロ以上であるとき、例えば水等の分解する対象の酸化還元準位に係る制限を緩和できる。また、AlGaN層のAl組成が0.2以下であるとき、AlGaN層の結晶性悪化に起因する非発光再結合準位の増加により光触媒作用の効率低下を避けることができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、当該窒化物半導体光触媒に照射される光を受ける表面を更に備えることができる。当該窒化物半導体光触媒の前記表面は表面構造を備え、前記表面構造は凹部及び凸部の少なくともいずれか一方を含むことができる。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、表面構造により光の入射面積を増加させることができる。また、表面構造により窒化物半導体光触媒と電解液との接触面積を増加させることができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記第1ヘテロ接合は界面構造を有しており、前記界面構造は凹部及び凸部の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、界面構造により、入射面積や接触面積を増加できる表面構造の形成が容易になる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記支持体、前記III族窒化物半導体層、及び前記InGa1−XN領域は第1軸に沿って配列されており、前記凹部は、前記第1軸に交差する方向に延在する第2軸の方向に延在する一又は複数の溝を含み、前記溝は、前記第1軸に直交する基準平面に対して一方向に傾斜を成す第1面と、前記基準平面に対して他方向に傾斜を成す第2面とを含み、前記凸部は、前記第2軸の方向に延在する一又は複数の峰(リッジ)を含み、前記峰(リッジ)は、前記第1軸に直交する基準平面に対して一方向に傾斜を成す第1面と、前記基準平面に対して他方向に傾斜を成す第2面とを含むことができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、溝や峰(リッジ)の形成を、界面構造及び/又は表面構造の作製に適用可能である。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極は、前記支持体は結晶成長のためのIII族窒化物基板を更に備えることができる。前記III族窒化物基板は単結晶GaNであり、前記III族窒化物半導体層はn型単結晶InGa1−VN(0≦V<X≦1)であることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、電解液に接触を成す窒化物半導体光触媒表面に正孔を提供できると共に、n型単結晶GaNは電子を効果的に流すために役立つ。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記支持体の前記主面は、該支持体の前記窒化物半導体のc面を基準にして傾斜を成しており、前記傾斜の角度が50度以上80度以下、又は130度以上170度以下の範囲にあり、前記支持体の前記主面の前記窒化物半導体は、前記InGa1−XN領域には面内の方向に圧縮歪みを引き起こすことができる。
この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、InGa1−XN領域において負のピエゾ分極を提供できる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記支持体の前記主面は、該支持体の前記窒化物半導体のc面を基準にして傾斜を成しており、前記傾斜の角度が63度以上80度以下であることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、この角度範囲はInの均質な取り込みに優れており、これ故に、高品質なInGaNの成長を可能にする。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記III族窒化物半導体層はn型単結晶GaNであることが好ましい。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば良好な結晶品質のInGa1−XN領域を提供できる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記支持体の前記窒化物半導体のc面と前記支持体の前記主面との成す角度は0度より大きく50度未満、又は100度以上130度未満の範囲にあることができ、前記III族窒化物半導体層はInGa1−XN領域に前記主面の面内の方向に引っ張り歪みを与えることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、このような面方位において、InGa1−XN領域のピエゾ分極の向きをInGa1−XN領域からIII族窒化物半導体層への方向に向けることができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記支持体の前記主面は、前記窒化物半導体のc面を含み、前記III族窒化物半導体層はInGa1−XN領域に前記主面の面内の方向に引っ張り歪みを与えることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、c面においては、InGa1−XN領域のピエゾ分極の向きをInGa1−XN領域からIII族窒化物半導体層への方向に向けることができる。
本発明の一形態に係る窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極では、前記III族窒化物半導体層はInGa1−WN(0<X<W≦1)からなることができる。この窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極によれば、極性面、及び極性面からある程度の角度範囲内のオフ角度で傾斜する半極性面において、InGa1−XN領域に前記主面の面内の方向に引っ張り歪みを引き起こすことができ、前記InGa1−XN領域において負のピエゾ分極を提供できる。
引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の窒化物半導体光触媒、窒化物半導体電極、窒化物半導体光触媒を作製する方法、及び窒化物半導体電極を作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係る窒化物半導体光触媒の構造を概略的に示す図面である。本実施の形態として、窒化物半導体光触媒を説明するけれども、その説明は窒化物半導体電極にも同様に適用される。また、図1では、窒化物半導体光触媒11として直方体の形状にデバイスを描いているけれども、窒化物半導体光触媒11の形状は図1に示されるものに限定されない。
窒化物半導体光触媒11は、導電性のIII族窒化物半導体層13、InGa1−XN領域(0<X≦1)15、及び支持体17を備える。III族窒化物半導体層13は、III族窒化物半導体からなる第1面13a及び第2面13bを有しており、第1面13aは第2面13bの反対側にある。支持体17は、III族窒化物半導体からなる第1面17a及び第2面17bを有しており、第1面17aは第2面17bの反対側にある。III族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域15は支持体17の主面17a上に設けられている。支持体17の主面17aは窒化物半導体からなる。III族窒化物半導体層13は支持体17の主面17aとInGa1−XN領域15との間に設けられる。InGa1−XN領域15は、III族窒化物半導体層13に第1ヘテロ接合J1を成している。InGa1−XN領域15のピエゾ分極はInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有することができ、InGa1−XN領域15のピエゾ分極の向きPPZは、InGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13に向かう方向である。
この窒化物半導体光触媒11によれば、III族窒化物半導体層13が支持体17の主面17aとInGa1−XN領域15との間に設けられるので、InGa1−XN領域15はGaNのバンドギャップ波長よりも長波長の光を吸収できる。また、InGa1−XN領域15のピエゾ分極PPZの向きがInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13に向かう方向であるので、光吸収によってInGa1−XN領域15内で生成された電子・正孔対のうち、電子がInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13に向かう方向に流れ、正孔がIII族窒化物半導体層13からInGa1−XN領域15に向かう方向に流れる。このように、電子・正孔対を効果的に分離することで、これらが再結合することを防ぐことができる。
III族窒化物半導体層13は例えばGaN、AlGaN、InGaN、InAlGaN等であることができ、III族窒化物半導体層13は、InGa1−XN領域15のピエゾ分極PPZの向きがInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13に向くような材料から成る。このとき、支持体17の主面17aは、例えばc面、又は半極性面であることができる。
引き続く説明から理解されるように、まず、InGa1−XN領域15は、その下地のn型III族窒化物半導体層13の主面13aや支持体17の主面17a上に設けられており、InGa1−XN領域15のIII族窒化物は、下地層の面方位に応じた配向を有する。また、光吸収層としてのInGa1−XN領域15はアンドープ、もしくは例えば不純物濃度が2×1017cm−3以下の低いドーピング濃度であることが好ましく、これにより、光吸収層内にバンド曲がりを形成することができ、また、移動度を高めることができる。
第1例では、第1面17aは、III族窒化物半導体からなる半極性面を有する。第2面17bもまた半極性を示すことができる。このとき、第1面13aは半極性を示し、III族窒化物半導体からなる半極性面を有する。第2面13bは半極性を示すことができる。III族窒化物半導体層13はn型単結晶のInGa1−VN(0≦V<X≦1)であることができる。
例えば、ヘテロ接合J1が、III族窒化物半導体層13のc面を基準にして傾斜を成しており、この傾斜角度が50度以上80度以下、又は130度以上170度以下の範囲にあるとき、III族窒化物半導体層13がInGa1−XN領域15の面内の方向に圧縮歪みを引き起こすことができる。この歪みにより、InGa1−XN領域15のピエゾ分極PPZがInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有することができる。
また、支持体17の主面17aが支持体17の窒化物半導体のc面を基準にして傾斜を成しており、この傾斜角度が50度以上80度以下、又は130度以上170度以下の範囲にあるとき、支持体17の主面17aの窒化物半導体は、InGa1−XN領域15の面内方向に圧縮歪みを引き起こすことができる。
これらの窒化物半導体光触媒11によれば、InGa1−XN領域15において負のピエゾ分極を提供できる。
好ましくは、ヘテロ接合J1及び支持体主面17aの傾斜角度が63度以上80度以下であることができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、この角度範囲はInの均質な取り込みに優れており、これ故に、高品質なInGaNの成長を可能にする。また、III族窒化物半導体層13はn型単結晶GaNであることが好ましい。この窒化物半導体光触媒11によれば、良好な結晶品質のInGaN領域を提供できる。
或いは、第2例では、第1面17aは、III族窒化物半導体からなる半極性面を有する。第2面17bもまた半極性を示すことができる。このとき、第1面13aは半極性を示し、III族窒化物半導体からなる半極性面を有する。第2面13bは半極性を示すことができる。
例えば、ヘテロ接合J1が、III族窒化物半導体層13のc面を基準にして傾斜を成しており、この傾斜角度が0度より大きく50度未満、又は100度以上130度未満の範囲にあるとき、III族窒化物半導体層13がInGa1−XN領域15の面内の方向に引っ張り歪みを引き起こすことができる。この歪みにより、InGa1−XN領域15のピエゾ分極PPZがInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有することができる。
また、支持体17の主面17aが支持体17の窒化物半導体のc面を基準にして傾斜を成しており、この傾斜角度が50度未満の範囲にあるとき、支持体17の主面17aの窒化物半導体は、InGa1−XN領域15の面内方向に引っ張り歪みを引き起こす組成を有することができる。また、傾斜角度が例えば10度以上であることができる。c面がすべり面として活性になり、InGa1−XN領域15の面内方向に引っ張り歪みを引き起こすために必要なIII族窒化物半導体層13の組成を、悪影響が出ない範囲におけるミスフィット転位の導入によって提供しやすくなるからである。また、この傾斜角度が100度以上130度未満の範囲にあるときでも、同様の効果が期待できる。
これらの窒化物半導体光触媒11によれば、InGa1−XN領域15において負のピエゾ分極を提供できる。
第2例に係る窒化物半導体光触媒11では、III族窒化物半導体層13はInGa1−WN(0<X<W≦1)からなることができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、極性面(例えば(0001)面)からある程度の角度範囲内のオフ角度で傾斜する半極性面において、InGa1−XN領域に主面の面内の方向に引っ張り歪みを引き起こすことができる。
或いは、第3例では、III族窒化物半導体層13はInGa1−WN(0<X<W≦1)からなることができる。ヘテロ接合J1が、III族窒化物半導体からなる極性面の(0001)面に沿って延在するとき、III族窒化物半導体層13がInGa1−XN領域の面内の方向に引っ張り歪みを引き起こすことができる。この歪みにより、InGa1−XN領域15のピエゾ分極PPZがInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有することができる。
また、第1面17aは、III族窒化物半導体からなる極性面の(0001)面を有する。第2面17bもまた極性面を有することができる。このとき、第1面13aはIII族窒化物半導体からなる極性面の(0001)面を有する。第2面13bも極性面を有することなできる。支持体17の主面17aが、III族窒化物半導体からなる極性面の(0001)面に沿って延在するとき、支持体17の主面17aの窒化物半導体は、InGa1−XN領域15の面内方向に引っ張り歪みを引き起こすことができる。
これらの窒化物半導体光触媒11によれば、InGa1−XN領域15において負のピエゾ分極を提供できる。
第3例に係る窒化物半導体光触媒11では、III族窒化物半導体層13はInGa1−WN(0<X<W≦1)からなることができる。この窒化物半導体光触媒11では、III族窒化物半導体層13は、極性面(例えば(0001)面)において、InGa1−XN領域に主面の面内の方向に引っ張り歪みを引き起こす組成を有する。
InGa1−XN領域15のIn組成Xはゼロより大きく、0.1以下であることが好ましい。この窒化物半導体光触媒11によれば、In組成Xが0.1以下であるIn組成範囲においては、水素生成に好適な窒化物半導体光触媒及び窒化物半導体電極を提供できる。
InGa1−XN領域15は、例えばバルク三元InGaNからなることができ、III族窒化物半導体層13は例えばGaNからなることができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、光吸収によってInGa1−XN領域内で生成された電子・正孔対の伝搬が容易である。
或いは、InGa1−XN領域15は量子井戸19を含むことができる。量子井戸19は長波長の光の吸収を可能にする。具体的には、量子井戸19は、例えば量子井戸構造21及び量子ドット構造23のいずれかによって提供されることができる。InGa1−XN領域15は、III族窒化物半導体層13の第1面13a上に設けられ、InGa1−XN領域15は第1面13aに応じた配向を有する。量子井戸19は、InGa1−XN領域15のc軸の向きに応じた配向を有する。
InGa1−XN領域15は量子井戸19のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより大きなバンドギャップエネルギーを有する。これにより、InGa1−XN領域15が、量子井戸によって吸収される光の波長帯の一部又は全部を遮ることなく、InGa1−XN領域15及び量子井戸19の両方が光吸収に寄与できる。
量子井戸19は歪みを内包し、上記の第1例の構造の半極性面において、この歪みは主面の面内で圧縮方向に作用することが好ましい。III族窒化物半導体層13が二元又は三元のIII族窒化物からなるとき、圧縮歪みは、InGa1−XNよりも小さいインジウム組成の3元InGaN、又はGaNからなるIII族窒化物半導体層13により実現される。
上記の第2例の構造の半極性面において、量子井戸19は歪みを内包し、この歪みは主面の面内で引っ張り方向に作用することが好ましい。III族窒化物半導体層13が三元のIII族窒化物からなるとき、この歪みは、例えばInGa1−XNよりも大きいインジウム組成の3元InGaNからなるIII族窒化物半導体層13により実現される。
また、上記の第3例の構造の極性面において、量子井戸19は歪みを内包し、この歪みは主面の面内で引っ張り方向に作用することが好ましい。III族窒化物半導体層13が三元のIII族窒化物からなるとき、この歪みは、InGa1−XNよりも大きいインジウム組成の3元InGaNからなるIII族窒化物半導体層13により実現される。
支持体17が、InGa1−XN及び量子井戸のIII族窒化物のバンドギャップエネルギーより大きなバンドギャップエネルギーを有するとき、支持体17が、InGa1−XN及び量子井戸によって吸収される光の波長帯の一部又は全部を遮蔽することを避けることができ、InGa1−XN及び量子井戸は支持体17の裏面17bから入射する光を受けることができる。
支持体17は、本実施例では、基板31を備える。基板31は、例えばGaN基板、InGaN基板、GaNと異種材料を接合した貼り合わせ複合基板等であることができる。また、必要な場合には、支持体17は、基板31上に設けられた下地構造33を更に備えることができる。下地構造33は、例えばn型GaN、n型AlGaN、n型InGaN等であることができる。支持体17の第2面17bに電極37を設ける構造では、基板31及び下地構造33が、導電性を有する材料からなることができる。或いは、下地構造33に接触を成すように電極37を設けるようにしてもよい。
図2は、ピエゾ分極とピエゾ電界との関係を示す。ピエゾ分極の向きはピエゾ電界と逆向きであり、半極性面ではc軸の傾斜に応じてピエゾ分極の向きと大きさが変化する。既に説明したように、InGa1−XN領域15のピエゾ分極の向きPPZはInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13に向かう方向である。
この窒化物半導体光触媒11によれば、InGa1−XN領域の量子井戸19は支持体17及びIII族窒化物半導体層13上に設けられており、この量子井戸19において光を吸収してキャリアが生成される。量子井戸19におけるピエゾ分極がn型III族窒化物半導体層13から支持体17への方向に向くとき、量子井戸19で生成されたキャリアが量子井戸から抜け出す観点で、InGa1−XN領域の量子井戸19のバンド障壁が低くなる。
窒化物半導体光触媒11では、量子井戸19は、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物からなり、例えばInGaN、InN等がなることができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、III族構成元素としてインジウムを含むIII族窒化物を量子井戸19に適用するとき、量子井戸19からキャリアの抜け出しを容易にするバンド構造を量子井戸に提供できる。
図3は、図1に示された窒化物半導体光触媒11の形態のバンド構造を示す図面である。InGa1−XN領域15は、図1及び図3の(a)部に示されるように、例えばバルク三元InGaNからなることができる。III族窒化物半導体層13は例えばGaNからなることができ、この窒化物半導体光触媒11によれば、光吸収によってInGa1−XN領域内で生成された電子・正孔対の伝搬が容易である。
量子井戸19は量子井戸構造21及び量子ドット構造23の少なくともいずれかを含む。InGa1−XN領域15は量子井戸19の表面に接触を成すことができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、量子井戸19は、量子井戸構造21及び量子ドット構造23より長波長の光の吸収を可能になる。
量子井戸19が量子井戸構造21によって提供されるとき、図1及び図3の(b)部に示されるように、量子井戸構造21は、量子井戸19を対応する井戸層27aを含み、井戸層27aは一の障壁層と他の障壁層との間に設けられることができる。これ故に、量子井戸構造21は、井戸層27aを隔てる障壁層27bを含む。井戸層27aはInGa1−YN(0<X<Y≦1)を備えることができ、井戸層27aは例えばInGaN、InN等からなることができる。障壁層27bはInGa1−ZN(0<X≦Z<Y≦1)を備えることができ、障壁層27bは例えばGaN又はInGaN等からなることができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、量子井戸構造21において、層状のInGa1−YN領域及び/又はInGa1−ZN領域が光吸収に寄与できる。井戸層27a及び障壁層27bは交互に配列されていることができる。井戸層27aのIn組成Yは例えば0.2以上1.0以下程度の範囲であることができる。障壁層27bがInGaNからなるとき、障壁層27bが光吸収して電子・正孔対を生成できる。障壁層27bのIn組成Zは例えば0.02以上0.12以下程度の範囲であることができる。このIn組成の範囲であるとき、結晶品質の大幅な低下を抑制しながら井戸層27aからのキャリアの抜け出しを容易にすることができる。障壁層27bのIn組成は井戸層27aのIn組成より小さい。障壁層27bは、InGa1−XN領域15と同じ材料からなることができる。
量子ドット構造23は、図1及び図3の(c)部に示されるように、量子井戸19に対応する量子ドット29a(23a、23b、23c、23d)を含み、また量子ドット29aを覆う母材層29bを含む。本実施例では、母材層29bは例えばInGa1−XN領域15であることができる。量子ドット29aは、InGa1−UN(0<X<U≦1)を更に備え、量子ドット29aは、例えばInN又はInGaN等からなることができる。量子ドット29aのサイズは例えば径20nm以上程度の範囲であることができ、また径80nm以下程度の範囲であることができ、量子ドット29aのIn組成は例えば0.2程度に等しいか或いはより大きいことができ、1程度に等しいか或いはより小さいことができる。母材層29bはInGaN等からなることができ、またInGa1−XN領域15と同じ材料からなることができる。量子ドット構造23は多段となるように繰り返していっても良い。母材層29bがInGaNからなるとき、母材層29bが光吸収して電子・正孔対を生成できる。母材層29bのIn組成は量子ドット29aのIn組成より小さい。量子井戸19としての量子ドット29aは、長波長の光を吸収できることに加えて、InGa1−XN領域15は、量子ドット29aにより生成されたキャリアがIII族窒化物半導体層13に向けて伝搬することに役立つ。
この窒化物半導体光触媒11によれば、量子井戸19に接触する三元InGaNでも光の吸収を可能にする。InGaNは可視域のエネルギーの光を吸収できるので、窒化物半導体光触媒11の吸収の光波長範囲を拡大できる。
窒化物半導体光触媒11では、図1及び図3の(d)部に示されるように、InGa1−XN領域15に遷移金属41が添加されていることが好ましい。添加された遷移金属41による準位42aは、光吸収可能な波長帯域を広げるために役立つ。また、遷移金属41の添加量がInGa1−XN領域15の母結晶中にミニバンド42bを形成する程度になるとき、光吸収可能な波長帯域を広げるために役立つと共にミニバンド自身もキャリア伝導を担う。遷移金属41の添加は、既に説明したバルク構造、量子井戸構造21、量子ドット構造29に適用されることができる。量子井戸構造21では、井戸層及び障壁層の少なくともいずれかに添加を行うことができる。量子ドット構造23では、量子ドット29a及び母材層29bの少なくともいずれかに添加を行うことができる。遷移金属としては、例えばチタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)等を適用できる。これらの遷移金属によるバンドギャップ中の準位及び/又はミニバンドを介した2段階の光吸収を利用でき、太陽エネルギーの吸収範囲を拡大できる。
窒化物半導体光触媒11は、必要な場合には、支持体17の主面17a上に設けられたAlGaN層39を更に備えることができる。AlGaN層39は任意的に追加されることができる。InGa1−XN領域15は、AlGaN層39とIII族窒化物半導体層13との間に設けられる。InGa1−XN領域15はAlGaN層15に第2ヘテロ接合J2を成すことができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、InGa1−XN領域15が支持体17の主面17aとAlGaN層39との間にあって、AlGaN層39は、InGa1−XN領域15のバンドギャップと酸化還元準位との大きさの関係に起因する制限を緩めることができる。
AlGaN層39の膜厚は2nm以上15nm以下であることができる。AlGaN層の膜厚は2nm以上であるとき、InGa1−XN領域15のバンドギャップと酸化還元準位との大きさの関係に起因する制限を緩めるために有効である。また、AlGaN層39の膜厚が15nm以下であるとき、InGa1−XN領域15からAlGaN層39へのキャリアの移動を大きく阻害しない。また、AlGaN層39のAl組成はゼロ以上0.2以下であることができる。AlGaN層39のAl組成がゼロより大きいとき、酸化還元準位に係る制限を緩和できる。また、AlGaN層39のAl組成が0.2以下であるとき、AlGaN層の結晶性悪化に起因する非発光再結合準位の増加により光触媒作用の効率低下を避けることができる。
図4を参照しながら、量子井戸19からのキャリアの抜け出し易さとピエゾ分極の向きとの関係を説明する。図4は、InGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向に向くピエゾ分極(以下、「負のピエゾ分極」として参照する)におけるバンド構造を示す図面である。
図4を参照すると、3つの井戸層27a(量子井戸19)とこれらを隔てる5つの障壁層27bを含む。ある一つの量子井戸(最もn領域に近い量子井戸)19に着目するとき、伝導帯においてn側障壁BEN(n)はp側障壁BEN(p)より小さい。これ故に、この量子井戸19において光吸収により電子・正孔対が生成されると、電子Eはより低いn側障壁BEN(n)を越えてn型III族窒化物半導体層13に流れる。ここで、n側障壁BEN(n)は、電子の擬フェルミレベルFE(n)からn側の障壁層の伝導帯までの障壁により規定され、p側障壁BEN(p)は、電子の擬フェルミレベルFE(n)からp側の障壁層の伝導帯までの障壁により規定される。また、価電子帯における量子井戸のバンドオフセットは伝導帯における量子井戸のバンドオフセットより小さいので、量子井戸19において光吸収により電子・正孔対が生成されると、正孔Hは比較的容易に量子井戸19から抜け出して支持体17に流れる。価電子帯においてp側障壁BHN(p)はn側障壁BHN(n)より小さい。
既に説明したように、窒化物半導体光触媒11によれば、InGa1−XN領域15はn型III族窒化物半導体層13及び支持体17上に設けられており、InGa1−XN領域15の量子井戸19(もし、存在するならば、遷移金属準位42a、遷移金属ミニバンド42b)において光を吸収して電子・正孔対が生成される。InGa1−XN領域においてピエゾ分極が負であると共に、量子井戸19においてピエゾ分極が負であるとき、正のピエゾ分極のバンド構造に比べて、電子・正孔対の電子が量子井戸19から容易に抜け出すことを可能にする。伝導帯に関して、InGa1−XN領域の量子井戸19のバンド障壁が低くなる。図4に示されたバンド構造は、光−電気変換に有利である。図4を参照した上記説明は、量子井戸構造21のバンド構造を示しているけれども、この説明は量子ドット構造23にも適用される。
窒化物半導体光触媒11では、InGa1−XN領域15は200nm以下の厚さを有することが好ましく、この範囲であれば、結晶品質の悪化を防ぐことができる。また、InGa1−XN領域15は50nm以上の厚さを有することが好ましく、この範囲であれば、光吸収量を大きくすることができる。
図5は、ピエゾ分極とc軸傾斜角との関係を概略的に示す図面である。窒化物半導体光触媒11におけるピエゾ分極の向き(縦方向のピエゾ分極)は、図5に概略的に示されるけれども、ピエゾ分極が、結晶に内包される歪みに係る現象であるので、負のピエゾ分極を実現する厳格な角度範囲を一般的なものとして実際には決定しがたい場合がある。角度範囲の一例を示せば、GaN上のInGa1−XN領域15に負のピエゾ分極を生じさせるためには、例えば、ヘテロ接合J1が、III族窒化物半導体層13のc面に対して、50度以上80度以下又は130度以上170度以下の範囲の角度で傾斜することができる。また、この角度範囲においては、III族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域15は半極性の下地面上に設けられていると共に、III族窒化物半導体層13は、InGa1−XN領域15に主面の面内の方向に圧縮歪みを与える窒化ガリウム系半導体からなる。この角度は、III族窒化物半導体層13のIII族窒化物のc軸Cx([0001]軸)がIII族窒化物半導体層13の半極性面13aの法線軸NVに対して成す傾斜角として規定される。図1に示される傾斜の角度THは、例えば50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にあることができる。
角度範囲の別の例を示せば、InGa1−XN領域15に負のピエゾ分極を生じさせるためには、例えば、ヘテロ接合J1が、III族窒化物半導体層13のc面に対して、0度以上50度以下或いは0度より大きく50度以下、又は100度以上130度未満の範囲の角度で傾斜することができる。この角度範囲においては、III族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域15は極性又は半極性のGaN下地面上に設けられていると共に、III族窒化物半導体層13が、InGa1−XN領域15に主面の面内の方向に引っ張り歪みを与える窒化ガリウム系半導体からなる。
図5を参照すると、圧縮歪みのInGa1−XN領域15において負のピエゾ分極を実現できる角度範囲は、概略的には50度以上80度以下の角度範囲(第1範囲)、及び130度以上170度以下の角度範囲(第2範囲)に分けられる。第1範囲及び第2範囲のいずれの範囲においても、圧縮歪みのInGa1−XN領域15において負のピエゾ分極を生じさせ、また量子井戸19ではピエゾ分極がバンドオフセットを下げるように作用する。さらに、0度以上50度以下の角度範囲(第3範囲)、及び100度以上130度以下の角度範囲(第4範囲)においては、引っ張り歪みのInGa1−XN領域15において負のピエゾ分極を生じさせ、第3範囲と第2範囲のうちの比較的小さい分極の角度範囲、及び第1範囲と第4範囲では、電子の波動関数WF(n)及び正孔の波動関数WF(p)が量子井戸19において良好に重なり合って、電子・正孔対の生成に有利である。図5の(b)部及び(c)部に示されるように、量子井戸19における電子の波動関数WF(n)及び正孔の波動関数WF(p)の重なりに関して、第1範囲は、第2範囲に比べて電子・正孔対の生成に有利である。
InGaN及びInNの結晶成長の観点で、量子井戸19がGaN及びInGaNのいずれかを備えるとき、傾斜度THはc軸からm軸への方向に規定された63度以上80度以下の角度範囲にあることが好ましい。この角度範囲は、インジウムの均質な取り込みに優れた面方位であり、優れた結晶品質のInGaN又はInNを成長可能である。また、上記の範囲におけるピエゾ分極の極大値が第1範囲において小さいので、波動関数の重なりが大きくなりより効率的に光を吸収できる。
負のピエゾ分極は、例えば結晶成長する基板の面方位により実現できる。再び図1を参照すると、窒化物半導体光触媒11は、基板31を更に備えることができ、基板31は、III族窒化物からなる主面31aを有する。基板31のIII族窒化物のc軸Cxは基板31の主面31aの法線軸NVに対して傾斜を成しており、この傾斜角THが50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にある様にしても良い。n型III族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域15は半極性の主面31aの法線軸NVの方向に配列される。この窒化物半導体光触媒11によれば、III族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域は、半極性基板主面31a上に順に配列されているので、窒化物半導体層13、15、39の表面の面方位は、個々の半導体層の下地の面方位を引き継ぎ、下地の面方位を反映したものとなる。このため、窒化物半導体層13、15、39の表面の面方位は、それぞれの半導体材料の格子定数差に起因する歪みによる微差を除いて、上記個々の角度範囲の角度で傾斜したヘテロ接合J1(J2)を有する窒化物半導体光触媒11を提供できる。
また、基板31のIII族窒化物はGaN及びInGaNのいずれかからなるとき、この主面の面内方向にInGa1−XN領域15が所望の歪みを内包するように、III族窒化物半導体層13、InGa1−XN領域15及びAlGaN層39は基板主面31a上に搭載されている。
この窒化物半導体光触媒11によれば、III族窒化物半導体層13は、GaN又はAlGaNからなることができ、またInGa1−XN領域15、及び量子井戸19は、InGaN及び/又はInNからなることができる。InGa1−XN領域15はIII族窒化物半導体層13より薄いので、これらIII族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域15は、基板主面の法線軸の方向に配列されて、III族窒化物半導体層13は、InGa1−XN領域15とIII族窒化物半導体層13との格子定数の違い(大きさ及び向き)に応じた歪みをInGa1−XN領域15に与える。この歪みにより、InGa1−XN領域15内のピエゾ分極は、負の向きになる。また、量子井戸19がその面内方向に歪みを内包して、ピエゾ分極の向きを利用した量子井戸からキャリアの抜け出しが容易になる。一実施例では、基板31はInGaN基板を含むことができる。窒化物半導体光触媒11がInGaN基板を用いることにより、InGa1−XN領域15と基板31との格子不整合度を低減して、大きな格子不整合度に起因する新たな欠陥の発生を抑制できるIn組成(InGa1−XN領域15のIn組成)の上限を高める。また、別の実施例では、窒化物半導体光触媒11がGaN基板を含むことが好ましい。低転位(例えば転位密度<1×10cm−2)のGaN基板を用いることにより、GaN基板上に成長される半導体層の結晶品質を良好にできる。
図1に示されるように、基板31上には半導体積層35が設けられており、半導体積層35は、III族窒化物半導体層13及びInGa1−XN領域15を備え、必要な場合にはAlGaN層39を備えることができる。基板31のIII族窒化物はn導電性を有することができる。基板31の裏面31bには電極37が設けられ、電極37は裏面31bに良好なオーミック接触を成すことが好ましい。電極37は例えばTi/Al、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ti/Pt等であることができる。
図6は、太陽光のスペクトルと共に、窒化物半導体光触媒11による吸収波長帯を示す。窒化物半導体光触媒11では、例えばInGaNのバンドギャップは、そのIn組成(X=0〜1)に応じて3.4エレクトロンボルト(eV)のGaNから0.7エレクトロンボルト(eV)のInNまで制御可能である。これは、図6に示されるように、波長換算で365nm〜1771nmに対応する。光の吸収はバンドギャップエネルギー以上(つまり、バンドギャップ波長以下)の光に対して生じる。結晶成長の容易性を鑑みるとInGa1−XN領域15の量子井戸による吸収波長域の上限は600nm程度になることが期待される。GaN系半導体を受光層又は光吸収層として太陽光を対象にすると、In組成の高いInGaN及び/又はInNとすることで高い効率が得られることが分かる。例えば、In組成(X≦0.1)であるとき、バルク(単層)InGaN層の吸収波長は、415nm以下である。また、量子ドットや遷移金属ドープを適用するとき、吸収波長域の更なる範囲拡大を期待できる。
(実施例1)
図7の(a)部には、光触媒装置51が示されている。図7の(b)部には、光触媒装置51における窒化物半導体光触媒及び電極と電解液における電子に係るポテンシャルが示されている。窒化物半導体光触媒の表面における価電子帯の上端が、水の酸化電位より下側にあるとき、窒化物半導体光触媒の表面に供給された正孔によって酸化反応が進行する。本実施の形態に係る光触媒によって化学反応を進行させるためには、半導体のバンドギャップの内側に当該化学反応の酸化還元電位が位置することが必要である。同時に、光触媒自体が酸化されないことも必要であり、助触媒(例えばNiO、CoO)を担持して光触媒自体の酸化を抑制してもよい。
具体的には、HO/Oの酸化電位より下側にあるとき、窒化物半導体光触媒の表面に供給された正孔によって水の酸化反応が進行し、酸素(O)が発生する。窒化物半導体光触媒の伝導帯の下端がH2/H+の酸化電位より上側にあるとき、窒化物半導体光触媒から陰極の電極(例えば、白金(Pt))へと輸送された電子によって水の還元反応が進行し、水素(H)が発生する。本実施の形態に係る光触媒によって水を分解するためには、半導体のバンドギャップの内側に水の酸化還元電位が位置することが必要である。
水の酸化還元準位(H/HとO/HOとの差)は1.23eVである。
窒化物半導体光触媒における化学反応は以下のものである。
2HO→O+4H +4e
窒化物半導体光触媒からの電子を受ける電極における化学反応は以下のものである。
4H +4e→2H
窒化物半導体光触媒は、例えばn型GaN層とこのn型GaN層にヘテロ接合を成すアンドープInGaN層とからなるヘテロ接合系を含む。n型GaN層のc面に対して50度以上80度以下の範囲にあるヘテロ接合を含むヘテロ接合系のInGaN層におけるピエゾ分極の向き(負のピエゾ分極)は、このヘテロ接合系がn型GaN層のc面に平行であるヘテロ接合を含むヘテロ接合系のInGaN層におけるピエゾ分極の向き(正のピエゾ分極)と逆向きである。
n型GaN層のc面に対して50度以上80度以下の範囲にあるヘテロ接合を含むヘテロ接合系は、InGaNのバンドの傾斜により、InGaNにおいて生成された正孔が窒化物半導体光触媒の表面に向かい、生成された電子がn型GaN層に向かう。また、最表面又は最表面近傍にInGaNがあるので、利用できる太陽エネルギーの範囲を広げることができる。水の電気分解により酸素/水素の発生を行う実施例では、InGaN領域のIn組成が高いとき、窒化物半導体光触媒の最表面の半導体材料の伝導帯の下端がH/Hの酸化電位を割り込むとき水素(H)の発生が生じなくなるので、図8の(a)部に示されるように、最表面を構成するInGaN領域のIn組成は大きくても0.1程度であることがよい。図8の(b)部に示されるように、InGaN領域に薄いAlGaNを設けてより大きなバンドギャップで最表面を構成することもできる。
(実施例2)
図9は、実施例2に係る光触媒素子の構造を示す。これらの光触媒素子は、(20−21)面GaN基板を用いて作製される。GaN基板の主面の法線軸は、このGaNのc軸に対してc軸([0001]軸)とm軸とにより規定される基準面内でc軸からm軸の方向に75度の角度で傾斜している。このGaN基板では、(0001)面はガリウム面(Ga面)であり、この面は基板主面に対して約75度の角度を成す。一方のGaN基板にはその主面上に結晶成長を行い、他方のGaN基板にはその裏面に結晶成長を行う。(000−1)面は窒素面(N面)であり、この面は基板裏面に対して75度の角度を成す。
図9の(a)部に示される光触媒素子を以下のように作製する。(20−21)面GaN基板を準備する。このGaN基板の表面を熱処理する。このGaN基板を成長炉に配置して、有機金属気相成長法により、光触媒素子のための半導体層の結晶成長を行う。有機金属原料としてTMG、TMI、TMAを用い、ドーパントのためにSiHを用いる。成長炉において、GaN表面のサーマルクリーニングを行う。このサーマルクリーニングの条件は、アンモニア(NH3)及び水素(H2)を含む雰囲気、摂氏1050度、及び10分間である。次いで、GaN表面上にn−GaN層を摂氏1100度の温度で成長し、この厚さは2μmであり、n型ドーパント濃度は2×1018cm−3である。n−GaN層上に、本実施例では摂氏840度の温度でアンドープInGaN層を成長する。この受光層としてのInGaN層のIn組成は0.08である。これらの工程により、エピタキシャル基板が作製される。GaN基板の裏面にn側電極を蒸着し、n側電極はTi/Al/Ti/Auからなる。また、n側電極をTi/Al/Ti/Ptのように水素生成に好適な金属とすることで、光触媒素子の裏面から水素を発生させる構成としてもよい。これらの工程により、基板生産物が作製される。この構造の光触媒素子は、波長410nmまでの範囲の光を吸収できる。
この構造によれば、In0,08Ga0,92N領域に負のピエゾ分極を発生でき、In0,08Ga0,92N領域において生成された正孔が表面へ移動することを促進でき、これにより、光触媒素子における水素生成効率が向上する。
図9の(b)部に示される光触媒素子を以下のように作製する。(20−21)面GaN基板を準備する。成長炉において、このGaN基板の表面を同様に熱処理する。次いで、GaN表面上にn−GaN層を摂氏1100度の温度で成長し、この厚さは2μmであり、n型ドーパント濃度は2×1018cm−3である。このn−GaN層上に光吸収層を成長する。光吸収層は、例えば3周期の多重量子井戸構造を有する。多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)並びに、母材層及び障壁層を兼ねるInGaN層(厚さ15nm、In組成0.02)を備える。InGaN井戸の成長温度は摂氏790度であり、母材層の成長温度は摂氏840度である。これらの工程により、エピタキシャル基板が作製される。GaN基板の裏面にn側電極を蒸着し、n側電極はTi/Al/Ti/Auからなる。これらの工程により、基板生産物が作製される。この構造の光触媒素子は、波長520nmまでの範囲の光を吸収できる。
この構造によれば、多重量子井戸構造に負のピエゾ分極を発生でき、In0,08Ga0,92N領域において正孔が表面へ移動することを促進でき、これにより、光触媒素子における水素生成効率が向上する。これに加えて、In0,30Ga0,70N井戸層に負のピエゾ分極を発生でき、井戸層からのキャリア取り出しが容易になる。
図10に示されるように、図9の(b)部に示されるエピタキシャル基板にp層を追加してpin構造を含むエピタキシャル基板を作製する。p型ドーパントのためにCpMgを用いる。この類似するエピタキシャル基板を用いて、バイアス印加フォトルミネッセンス(PL)による評価を行う。この評価により、ピエゾ分極の向きとその効果を見積もる。
これまでの同様に(20−21)面GaN基板を準備する。成長炉において、このGaN基板の表面を同様に熱処理する。次いで、GaN表面上にn−GaN層を摂氏1100度の温度で成長し、この厚さは2μmである。このn−GaN層上に光吸収層を成長する。光吸収層は、例えば3周期の多重量子井戸構造を有する。多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)並びに母材層及び障壁層を兼ねるInGaN層(厚さ15nm、In組成0.02)を備える。これらの工程の後に追加して、摂氏1000度において、光吸収層上にp−GaN層を成長し、この厚さは50nmであり、p型ドーパント濃度は1×1020cm−3である。これらの工程により、エピタキシャル基板が作製される。
p−GaN層上にp側電極を蒸着し、p側電極はNi/Auからなる半透明電極である。蒸着において、Ni層の厚さは例えば5nmであり、Au層の厚さは例えば10nmである。p側電極上にはパッド電極を蒸着する。パッド電極はTi/Auからなる。p側電極とパッド電極のパターン形成のための加工にはフォトリソグラフィを適用する。GaN基板の裏面にn側電極を蒸着し、n側電極はTi/Alからなる。これらの工程により、基板生産物が作製される。これを「デバイス1」として参照する。
(20−21)面の裏面に対応する(20−2−1)面GaN基板を準備すると共に、上記と同様のエピタキシャル積層を(20−2−1)面GaN基板上に形成する。このエピタキシャル基板上に、同様に電極を作製する。これを「デバイス2」として参照する。
上記のように作製された基板生産物を用いて、図11に示される配置で、バイアス印加フォトルミネッセンスの測定を行う。励起光として、ArSHG励起レーザ(波長244nm)を用いる。井戸層におけるピエゾ分極(厳密には、ピエゾ分極と自発分極とが合わさった内部分極)の向きを決定するために、基板生産物から半導体チップを作製すると共にこのチップを実装して、このデバイスにバイアス印加PL測定を温度100Kで行う。バイアス印加PLでは、図11の(a)部のように、デバイスに外部電圧を加えながら、Ni/Au電極に励起光を照射し、Ni/Au電極を介して外部に放出されるPLを検出する。この測定により、デバイスの井戸層のピエゾ分極の向きに関する情報が得られる。
この測定において、デバイスの井戸層におけるピエゾ分極が正に強い場合は、図11の(b)部のように、バイアス印加PL測定において順バイアス時にレッドシフトを示す。また、図11の(c)部のように、デバイスの井戸層のピエゾ分極が弱いか或いは負の場合は、バイアス印加PL測定において順バイアス時にブルーシフトを示す。
図12は、上記のように測定されたデバイスのバイアス印加PL測定における波長シフトのバイアス依存性を示す。図12において、縦軸はPL波長を示し、横軸は印加バイアスを示す。このバイアス印加PL測定において、図10に示される(20−21)面上デバイスは、外部バイアスの増加に伴ってブルーシフトを示す。これはピエゾ分極が負であることを意味する。一方、(20−2−1)面上デバイスは、外部バイアスの増加に伴ってレッドシフトを示す。これはピエゾ分極が正であることを意味する。これらの結果は、本実施の形態において説明されたIII族窒化物半導体光触媒素子における負のピエゾ分極が正孔輸送の促進と太陽エネルギー利用範囲の拡大を同時に提供できることを表している。
図13は、上記のように測定されたデバイスのバイアス印加PL測定における信号強度のバイアス依存性を示す。縦軸は信号強度を示し、横軸は印加バイアスを示す。バイアス印加PL測定は、絶対温度100度において行われるので、InGaN領域における非発光再結合はある程度は抑制されている。これ故に、PL強度は、キャリアの逃げにくさを反映している。印加バイアスが小さいか負であるとき、光触媒素子が低いPL強度を示す。一方、(20−21)面上デバイスではこのような印加バイアス依存性は見られていない。これは、(20−21)面上のヘテロ接合を有する光触媒素子においてよりキャリアが逃げやすいことを意味しており、井戸層のピエゾ分極が負であることに起因している。
これらの実施例から、負のピエゾ分極のInGaN中により小さいバンドギャップのInGaN井戸層を含む多重量子井戸構造を備える光触媒素子では、キャリア取り出しを大きく損ねることなく太陽エネルギー利用範囲を拡大することができる。
n−GaN層の成長において、摂氏1100度のGaN成長に替えて、摂氏1200度のGaN成長を適用して、このn−GaN層の表面を原子間力顕微鏡を用いて観察すると共に、断面透過型電子顕微鏡を用いて観察する。これらの観察の結果、摂氏1200度のGaN表面には、GaNのa軸方向に延びる周期的なうねりが形成されており、このうねりはc面から約65度の角度で傾斜した面と、c面から約88度の角度で傾斜した面とで構成されている。これらの面は、それぞれ、(10−11)面と(10−10)面に近い面と見積もられる。うねりの凹凸構造の高さは40nm〜1μmの範囲で分布している。うねりの形成は、相対的に容易に成長される面方位が成長温度を上げたことにより現れやすくなり、これが表面のうねりとして観察されるものであると考えられる。
このような下地上にInGaN光吸収層を成長することにより、電解液に接触する表面積を拡大できる光触媒素子を提供できる。このとき、光触媒素子の表面の凹凸における各面が負のピエゾ分極を有するとき、これら各面において正孔輸送の促進が発現する。
(実施例3)
量子ドットを成長するために、以下の成長条件を用いる。n−GaN層の半極性面上に、摂氏790度の温度、InGaN(In組成0.3の成膜条件)InGaNを1〜2モノレイヤを成長する時間で、有機Ga原料(例えばTMG)、有機In原料(例えばTMI)及び窒素原料(例えばアンモニア)を成長炉に供給して、所望のモノレイヤを成長する。有機Ga原料供給を止める一方で、有機In原料(例えばTMI)及び窒素原料(例えばアンモニア)を成長炉に供給しながら、成長炉の温度を摂氏840度に上昇させる。この成長中断中に歪みがドライビングフォースとなって量子ドットが自己形成される。この量子ドットを形成した後に、母材層を成長する。母材層は例えばInGaNであることができ、この実施例では、母材層の厚さは20nmである。量子ドットの密度、形状はTMI流量、中断時間、昇温温度、昇温レートなどで制御できる。光触媒に好適な条件は、十分な光吸収を実現するために、量子ドットの面密度1×1010〜1×1012cm−2、量子ドットの直径20〜80nm、量子ドットの高さ2〜10nmである。量子ドットにおけるピエゾ分極が量子ドット光吸収層からn型III族窒化物半導体層への方向に向くとき、本実施例の量子ドットにおいても吸収したキャリアの取り出しを容易にできる。必要な場合には、量子ドットの形成及び母材層の成長を繰り返すことができる。
(実施例4)
図14は、光触媒素子の表面に構造を備える窒化物半導体光触媒を示す図面である。図14の(a)部及び(b)部に示されるように、窒化物半導体光触媒11は、当該窒化物半導体光触媒11に照射される光を受ける表面11aを備える。この窒化物半導体光触媒11の表面11aは表面構造SSを備えることができる。この表面構造SSは凸部SS1及び凹部SS2の少なくともいずれか一方を含むことができる。この窒化物半導体光触媒11によれば、表面構造SSにより光の入射面積を増加させることができる。また、表面構造SSにより窒化物半導体光触媒11と電解液との接触面積を増加させることができる。
図14の(a)部に示されるように、窒化物半導体光触媒11の第1ヘテロ接合J1は界面構造JSを有することができる。この界面構造JSは凸部JS1及び凹部JS2の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。界面構造JSにより、入射面積や接触面積を増加できる表面構造SSの形成が容易になる。
窒化物半導体光触媒11では、支持体17、III族窒化物半導体層13、及びInGa1−XN領域15は第1軸(例えば図1のAx1)に沿って配列されている。引き続いて、表面構造SSを説明するが、その説明は界面構造JSにも適用される。
表面構造SSに関しては、凸部SS1は、第1軸Ax1に交差する方向に延在する第2軸Ax2の方向に延在する一又は複数の峰(リッジ)を含む。峰(リッジ)は、少なくとも2つの面、例えば第1面及び第2面を含むことができる。峰(リッジ)の第1面は、第1軸Ax1に直交する基準平面に対して一方向に傾斜を成し、峰(リッジ)の第2面は、この基準平面に対して他方向に傾斜を成す。峰に関して一方向は他方向の反対向きである。
凹部SS2は、第2軸Ax2の方向に延在する一又は複数の溝を含むことができる。凹部SS2は、第2軸Ax2の方向に延在する一又は複数の溝を含むことができる。この溝は、少なくとも2つ面、例えば第1面及び第2面を含むことができる。凹部SS2の第1面は、第1軸Ax1に直交する基準平面に対して一方向に傾斜を成す。凹部SS2の第2面は、この基準平面に対して他方向に傾斜を成す。溝に関して一方向は他方向の反対向きである。
溝は、一方向に配列されることができ、また峰(リッジ)は一方向に配列されることができる。また、溝及び峰(リッジ)は交互に配列されることができる。
この窒化物半導体光触媒11によれば、溝や峰(リッジ)の形成を、界面構造及び/又は表面構造の作製に適用可能である。
図14に示される窒化物半導体光触媒11では、GaN基板の主面が、c面から約60度程度(例えば55度〜75度)の角度で傾斜するとき、溝及び峰を構成する2つの構成面の面方位も、負のピエゾ分極を提供できる範囲(傾斜角50度〜90度)になると考えられる。
例えば{20−21}面GaN基板を用いるときには、図15に示されるようなn−GaN層(例えば層13)の表面に、{10−11}面及び{10−10}面(つまり、m面)に対応する面方位の周期構造を形成できる。この周期構造において、上記の面方位を有する個々の面は、a軸方向に延在する面を有する。これらの面は、a軸方向に直交する方向に配列される。このような周期構造は、結晶成長において成長温度を増やしたり、或いは成長圧力を増やしたりすることにより形成できる。{10−11}面、負のピエゾ分極を提供できる。
結晶成長に係る技術に依らずに界面構造JS及び表面構造SSを作製するためには、図16に示されるように、絶縁膜マスクを用いた選択成長を利用できる。例えば、図16の(a)部に示されるように、窒化カリウム系半導体(例えばGaN)上に、選択成長用マスクを形成する。このマスクは、ストライプ状パターン又は格子状パターン等を有することができる。図16の(b)部に示されるように、このマスクを用いて選択成長を行うと共に、さらにこのマスクを埋め込むように結晶成長を行うことにより、溝及び峰を形成することができる。
引き続き、窒化物半導体光触媒を作製する方法を説明する。図17は、窒化物半導体光触媒を作製する方法における主要な工程を示す図面である。この作製方法において理解を容易にするために、可能な場合には図1に合わせた参照符号を用いる。
工程S101では、光吸収のためのInGaN領域15におけるピエゾ分極の向きを見積もるために、III族窒化物半導体からなる基板主面のための一又は複数の傾斜角を選択する。例えば実施例2では、(20−21)面を選択している。工程S102では、選択された傾斜角を有しIII族窒化物半導体からなる基板主面の基板を準備する。例えば図5の横軸に示された角度範囲のいずれかの角度を選択できる。工程S103では、基板の基板主面上に、InGa1−XN領域15及びn型III族窒化物半導体層13、更にはp型III族窒化物半導体層を形成して、基板生産物(又はエピタキシャル基板)を準備する。この準備は、例えば図10に示されるように、pin構造を含むエピタキシャル積層を形成する。工程S104では、基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を基板生産物にバイアスを印加しながら行って、基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得る。例えば図11に示されるような測定系を用いてPLスペクトルを測定できる。工程S105では、測定されたバイアス依存性から、基板主面の選択された傾斜角の各々においてInGaN領域15におけるピエゾ分極の向きの見積もりを行う。例えば図12に示されるPLスペクトルのバイアス依存性から、ピエゾ分極の向きの見積もりが可能である。工程S106では、ピエゾ分極の向きの見積もりに基づき、窒化物半導体光触媒11の作製のための成長基板31の面方位を選択する。面方位の選択については、例えば基板主面31aに対応する傾斜角及び基板主面の裏面に対応する傾斜角のいずれかの使用を見積りに基づき判断するようにしてもよい。また、図5の横軸に示された角度範囲のいずれかの角度を選択できる。工程S107では、窒化物半導体光触媒11のための半導体積層35を成長基板31の主面31a上に形成する。この成長は、例えば実施例1、実施例2及び実施例3のように行われることができる。この後の工程において、成長基板31の裏面31bに電極37を形成する。これら一連の工程により、窒化物半導体光触媒11が完成される。続く工程では、例えば集光を利用する場合に光触媒素子用の基板生産物を個々の半導体素子に分離することができる。
この方法において、見積もり用基板の主面及び成長基板の主面はIII族窒化物半導体(例えばGaN)からなる。好適には、見積もり用基板及び成長基板はIII族窒化物半導体基板からなる。面方位を規定する角度は、例えば基板主面とIII族窒化物半導体の(0001)面との成す角度によって規定されることができ、或いは例えば基板主面31aの法線軸NVとc軸Cxとの成す角度によって規定されることができる。半導体積層35は、実施例や実施形態に開示されるように、導電性のIII族窒化物半導体領域13及びInGa1−XN領域15を備える。ここで、InGa1−XN領域15は、III族窒化物半導体領域13に接合を成す。量子井戸19、27a及び母材層(又は障壁層)27bの各々はIII族窒化物半導体のc軸Cxに延びる基準軸に直交する面から傾斜した基準平面Scに沿って延びている。InGa1−XN領域15は歪みを内包し、例えばGaN上に設けられたInGaN及びInNの少なくともいずれかを備えるとき、InGa1−XN領域15は主面の面内方向に歪み(例えば圧縮歪み又は引っ張り歪み)を内包する。III族窒化物半導体領域13は一又は複数のn型III族窒化物半導体層を含むことができる。InGa1−XN領域15は量子井戸構造及び量子ドット構造の少なくともいずれかを含むことができる。
この作製方法によれば、基板生産物のフォトルミネッセンスの測定を基板生産物にバイアスを印加しながら行うので、基板生産物のフォトルミネッセンスのバイアス依存性を得ることができる。フォトルミネッセンスのバイアス依存性は、ピエゾ分極の向きに関する情報を含む。ピエゾ分極の向きの見積りに基づき、基板主面に対応する傾斜角及び基板主面の裏面に対応する傾斜角のいずれかの使用を判断できる。この後に、半導体素子の作製のための成長基板31の面方位を選択する。この成長基板31の主面上31aに光触媒11のための半導体積層35を形成するので、光触媒11の作製において、光吸収領域におけるピエゾ分極の向きを適切な方向に選択可能になる。
この作製方法は、ピエゾ分極の向きの見積もりから、ピエゾ分極の正負の符号に応じて複数の傾斜角を含む角度範囲の区分けを行う工程を備えることができる。好適な実施例では、作製方法における判断は、InGa1−XN領域15におけるピエゾ分極がInGa1−XN領域15からIII族窒化物半導体層13への方向に向むように行われる。
図18は、本実施の形態に係る窒化物半導体光触媒の構造を概略的に示す図面である。図18において、本実施の形態として窒化物半導体光触媒を説明するけれども、その説明は窒化物半導体電極にも同様に適用される。また、図18では、窒化物半導体光触媒11として直方体の形状にデバイスを描いているけれども、窒化物半導体光触媒11の形状は図18に示されるものに限定されない。窒化物半導体光触媒11は、導電性のIII族窒化物半導体層13、光吸収層14、及び支持体17を備える。光吸収層14は、図1を参照しながら説明したように、InGa1−XN領域15を備えることができ、或いは量子井戸構造21、55を備えることができる。図18において、InGa1−XN領域(0<X≦1)15を含む半導体層は光吸収層として働いている。また、図18において、井戸層27aのピエゾ分極は、量子井戸構造21からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有し、井戸層27aは負のピエゾ分極を有する。支持体17は基板31を備えることができ、基板31の裏面31bには裏面電極37が設けられる。窒化物半導体光触媒には入射光Lが入射する。
量子井戸19として量子井戸構造21に替えて量子井戸構造55が窒化物半導体光触媒11に適用される。量子井戸構造55が窒化物半導体光触媒11に提供されるとき、図18及び図19に示されるように、量子井戸構造55は、複数の井戸層57aを含み、井戸層57aの各々は量子井戸19に対応する。井戸層及び第2井戸層の各々は、量子井戸構造55内における一の障壁層と他の障壁層との間に設けられることができる。量子井戸構造55では、隣り合う井戸層57aは障壁層57bによって隔てられる。井戸層57aは例えばInGa1−YN(0<Y≦1)を備えることができ、井戸層57aは例えばInGaN、InN等からなることができる。吸収波長において所望の上限を得るために、井戸層27aのIn組成Yは例えば0.2以上1.0以下程度の範囲であることができる。井戸層57aのピエゾ分極は、光吸収層14からIII族窒化物半導体層13への方向の成分を有し、井戸層57aは負のピエゾ分極を有する。
量子井戸構造55において井戸層57aを隔てる障壁層57bは、III族構成元素としてアルミニウムを含む半導体層を含むことができる。障壁層57bは、具体的には、InT1AlS1Ga1−T1−S1N(0≦T1<1、0<S1≦1、0<T1+S1≦1)を備え、障壁層57bは例えばAlGaN又はInAlGaN、AlN等を備えることができる。AlGaNは井戸層に圧縮歪みを加えて、井戸層内のピエゾ分極を強めることができる。InAlGaNは障壁層のバンドギャップとは独立に、井戸層に加える圧縮歪みを所望の範囲に調整することができる。障壁層57bのバンドギャップは井戸層57aのバンドギャップより大きい。井戸層57a及び障壁層57bは、互いにヘテロ接合を形成する。井戸層57aは、障壁層57bに第3ヘテロ接合J3を成している。井戸層57aがInGa1−YNを備えるとき、この井戸層に隣接する障壁層57bは引っ張り歪みを内包する。このような井戸層57aのピエゾ分極PPZWは、InGa1−XN領域15と同様な方向の成分を有しており、その向きは、量子井戸構造55からIII族窒化物半導体層13に向かう方向である。障壁層57bのピエゾ分極PPZBは、窒化物半導体光触媒11が電解液に接していない形態において、正の方向、つまり、ピエゾ分極PPZWと逆向きの方向の成分を有する。なお、量子井戸構造21において、障壁層27bは、具体的には、InT2AlS2Ga1−T2−S2N(0≦T2≦1、0≦S2≦1、0<T2+S2≦1)を備えるができ、既に示された例示に加えて、障壁層27bは例えばAlGaN、InAlGaN、AlN等を備えることができる。
図18を再び参照すると、図1と同様に、III族窒化物半導体層13のIII族窒化物のc軸Cx([0001]軸)がIII族窒化物半導体層13の半極性面13aの法線軸NVに対して成す傾斜角として規定される。図18に示される傾斜の角度THは、図1と同様に、例えば50度以上80度以下又は130度以上170度以下の角度範囲にあることができる。これに応じて、第3ヘテロ接合J3は、III族窒化物のc軸Cxに直交する基準面に対して、角度THで傾斜する。また、複数の井戸層57aのうち、最もIII族窒化物半導体層13に近い井戸層は、障壁層57cにヘテロ接合J4を成すことができる。障壁層57cは、例えばAlGaNを備えることができる。或いは、障壁層57cは、障壁層57bと異なる材料、例えばInGaNを備えることができ、障壁層57cの材料がInGaNを備えるとき、障壁層57cのIn組成は井戸層57aのIn組成より小さい。なお、障壁層57cは、InGa1−XN領域15と同じ材料を備えることができる。
この実施例では、障壁層57cは、InGaN井戸層にヘテロ接合J4を成す。このInGaN井戸層は、正方向のピエゾ分極PPZBを有するAlGaN障壁層にヘテロ接合J3を成すと共に、負方向のピエゾ分極PPZWを有する。このように、InGaN井戸層は、正方向のピエゾ分極PPZBを有するAlGaN障壁層に接合するので、InGaN層における大きなバンド傾斜を有しており、このようなバンド下端(例えば伝導帯下端)の傾斜は、InGaN井戸層から障壁層57cへのキャリア抜け出し(例えば、電子の抜け出し)を容易にする。
また、複数の井戸層57aのうち、最もIII族窒化物半導体層13から遠い井戸層は、障壁層57dにヘテロ接合J5を成すことができる。障壁層57dは、例えばAlGaNを備えることができる。或いは、障壁層57dは、障壁層57bと異なる材料、例えばInGaNを備えることができ、障壁層57dの材料がInGaNを備えるとき、障壁層57dのIn組成は井戸層57aのIn組成より小さい。障壁層57dは、InGa1−XN領域15と同じ材料を備えることができる。
障壁層57dは、InGaN井戸層にヘテロ接合J5を成す。このInGaN井戸層は、正方向のピエゾ分極PPZBを有するAlGaN障壁層にヘテロ接合J3を成すと共に負方向のピエゾ分極PPZWを有する。このInGaN井戸層は正方向のピエゾ分極PPZBを有するAlGaN障壁層に接合するので、InGaN層におけるバンドの傾斜が大きくなっており、バンド上端(例えば価電子帯の上端)の大きな傾斜は、InGaN井戸層から障壁層57dへのキャリア抜け出し(例えば、正孔の抜け出し)を容易にする。
量子井戸構造55において井戸層57aの数は5以上であることが好ましい。この窒化物半導体光触媒11によれば、量子井戸構造55からIII族窒化物半導体層13に向かう方向への成分を有するピエゾ分極、つまり負のピエゾ分極のInGaNのお陰により、該方向に直列的に配列された5以上の井戸層を含む量子井戸構造55内においても、該量子井戸構造55内で生成されたキャリアの移動が可能になる。井戸層57a/障壁層57bがInGaN/AlGaNの組み合わせを備えるとき、負のピエゾ分極のInGaN及びAlGaNによるバンド曲がりの増強の作用によりキャリア抜け出しが容易になり、量子井戸構造55は、より多数の井戸層57aを含む量子井戸構造を実用的なデバイスに付与することができ、量子井戸構造55は、10以上の井戸層57aを含むことができる。
好ましい実施例では、障壁層57bは、薄いAlGaNを備える。薄いAlGaNは、該障壁層57bが隔てる2つの井戸層57a間でトンネリングによるキャリアの輸送を可能にする。障壁層57bの半導体層の厚さは、一例を示せば、0.5nm以上3nm以下の範囲にあることが好ましい。障壁層57bが3nm以下の厚さを有するとき、隣り合う井戸層を隔てる障壁層を一方の井戸層から他方の井戸層へトンネル効果によりキャリアが伝搬することを可能にする。また、障壁層57bが0.5nm以上の厚みを有するとき、該障壁層によって隔てられる隣り合う井戸層はキャリアにとって別個のポテンシャル井戸として作用する。
図19の(a)部及び(b)部は、量子井戸構造55がInGaN障壁層を含む形態におけるバンドダイアグラムを示す。図19の(a)部の形態では、触媒素子が電解液61に接しており、これにより触媒素子の光吸収層14が空乏化している。障壁層が厚い場合、各井戸層57aのエネルギー準位の傾きは、空乏化によるバンド曲がりの影響を大きく受けるため、量子井戸構造55内のキャリア輸送を促進可能な向き(図中で各井戸層57aのエネルギー準位を結ぶ線の傾きが右肩上がり)にある。
図19の(b)部の形態では、量子井戸構造55の井戸層57aに挟まれる障壁層57bの厚さが井戸層57aと同程度に薄くなっており、例えば井戸層の厚さを基準に、+3nmから−3nmの範囲にあってもよい。このとき、各井戸層57aの間の電子・正孔の移動がトンネリングにより生じやすくなる。この形態では、量子井戸構造55に占める井戸層57aの割合が増えるため、各井戸層57aのエネルギー準位の傾きは、各井戸層57aのピエゾ分極の影響を強く受ける。この形態においても、井戸層57aが負のピエゾ分極を有する量子井戸構造では、障壁層57bを薄くしても、各井戸層57aのエネルギー準位の傾きは、依然として、量子井戸構造55においてキャリア(電子59a、正孔59b)の輸送TPを促進可能な向き(図中で各井戸層57aのエネルギー準位を結ぶ線の傾きが右肩上がり)にある。すなわち、井戸層57aが負のピエゾ分極を有する量子井戸構造では、各井戸層57aの間におけるキャリアのトンネリング確率の向上と、量子井戸構造55におけるキャリア輸送の促進を両立することができる。
また、図20は、AlGaN層で隔てられたInGaN井戸層を含む量子井戸構造を示す。この量子井戸構造において、最も外側の障壁層は、InGaN井戸層を隔てるAlGaN層のバンドギャップよりも小さいバンドギャップのIII族窒化物を備え、一例を示せばInGaNを備える。InGaN井戸層を隔てる薄いAlGaN層は、一方のInGaN井戸層から他方のInGaN井戸層へのキャリア(電子59a、正孔59b)の移動がトンネリングTNにより生じる確率を高めることができる。よって、AlGaNの適用によって障壁層のバンドギャップが大きくなっても、量子井戸構造におけるキャリアの移動は大きく阻害されない。図20に示される量子井戸構造では、以下の寄与が得られる:該量子井戸構造において生成されたキャリアがAlGaN障壁層をトンネリングにより移動する寄与;及び、該量子井戸構造全体としての内蔵電界の向きによりキャリアの輸送が促進される寄与。
図21の(a)部は、InGaN層で隔てられたInGaN井戸層を含む量子井戸構造を示す。最も外側の障壁層は、井戸層のInGaNのバンドギャップよりも大きなバンドギャップのIII族窒化物を備え、一例を示せばInGaNを備え、例えば、InGaN障壁層と同程度の組成のInGaNを備えることができる。図21の(a)部に示される量子井戸構造では、最も外側の井戸層内のキャリア、例えば電子は、バンド障壁△Ec(InGaN)を熱励起により乗り越えて、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層の伝導帯下端に移動する。バンド障壁△Ec(InGaN)は、InGaN井戸層における負のピエゾ分極とInGaN障壁層とによって規定される量子準位(量子井戸構造における量子準位)QL(InGaN)と、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層のバンド障壁とに依存する。本形態の量子井戸構造では、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層がInGaNを備えること、及びInGaN井戸層が負のピエゾ分極を有すること、の働きにより、小さい熱励起エネルギーによりキャリア遷移が可能になる。
図21の(b)部は、AlGaN層で隔てられたInGaN井戸層を含む量子井戸構造を示す。最も外側の障壁層は、InGaN井戸層を隔てるAlGaN層のバンドギャップより小さいバンドギャップのIII族窒化物を備え、一例を示せば、このIII族窒化物はInGaNを備える。図21の(b)部に示される量子井戸構造では、最も外側の井戸層内のキャリア、例えば電子は、バンド障壁△Ec(AlGaN)を熱励起により乗り越えて、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層の伝導帯下端に移動する。バンド障壁△Ec(AlGaN)は、InGaN井戸層における負のピエゾ分極とAlGaN障壁層とによって規定される量子準位(量子井戸構造における量子準位)QL(AlGaN)と、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層のバンド障壁とに依存する。本形態の量子井戸構造は、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層がInGaNを備えること、及びInGaN井戸層が負のピエゾ分極を有すること、さらに、InGaN井戸層の負のピエゾ分極がAlGaN障壁層からの応力により強められること、の働きで、より小さい熱励起エネルギーによりキャリアの遷移が可能になる。
また、図21の(b)部に示される量子井戸構造では、触媒素子が電解液に接触していないときに、InGaN井戸層のピエゾ分極が負である一方で、AlGaN障壁層のピエゾ分極が正である。量子井戸構造の全体としてのピエゾ分極の正負とは独立して、正のピエゾ分極を有する障壁層は、AlGaN障壁層と同様の寄与をInGaN井戸層に対して与える。これ故に、正のピエゾ分極を有するAlGaN障壁層に係る上記説明は、正のピエゾ分極を有するIII族窒化物、例えばInAlGaN、AlNを備える障壁層にも適用される。
図22を参照しながら、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層の働きについて説明する。図22の(a)部に示されるように、量子井戸構造55では、最も外側の井戸層に外側から接する半導体層が、AlGaN障壁層と同程度のアルミムウム組成及び厚さを有するAlGaN層を備えることができる。この実施例では、最も外側の障壁層が、負のピエゾ分極のInGaN井戸層に接触を成すAlGaN層と、この層に外側から接するInGaN層とを備えることができる。AlGaN層の厚さは、外側InGaN層の厚さより小さくてもよい。なお、図22の(a)部及び(b)部に示される量子井戸構造は、単一のInGaN井戸層を備えるけれども、その技術的寄与は、複数のInGaN井戸層及び障壁層を含む量子井戸構造へも適用される。複数のInGaN井戸層及び障壁層を含む量子井戸構造の場合、障壁層をこの実施例のような形態として、InGaN障壁層のうち井戸層に接触する部分のみを薄いAlGaN層とするようにしてもよい。
図22の(b)部は、バンド障壁△Ec1(InGaN)は、AlGaNを備えずInGaN障壁層及びInGaN井戸層を有する量子井戸構造を示す。量子井戸構造では、この井戸層内のキャリア、例えば電子は、バンド障壁△Ec1(InGaN)を熱励起により乗り越えて、井戸層に外側から接する半導体層の伝導帯下端に移動する。バンド障壁△Ec1(InGaN)は、InGaN井戸層における負のピエゾ分極及びInGaN障壁層によって規定される量子準位(量子井戸構造における量子準位)QL1(InGaN)と、井戸層に外側から接するInGaN障壁層のバンド障壁とに依存する。
図22の(a)部に示される量子井戸構造では、井戸層内のキャリア、例えば電子は、バンド障壁△Ec1(AlGaN)を熱励起により乗り越えて、この井戸層に外側から接する半導体層の伝導帯下端に移動する。バンド障壁△Ec1(AlGaN)は、InGaN井戸層における負のピエゾ分極とAlGaN障壁層とによって規定される量子準位(量子井戸構造における量子準位)QL1(AlGaN)と、AlGaN障壁層に外側から接するInGaN障壁層のバンドギャップとの差として規定される。本形態の量子井戸構造は、井戸層に外側から接する半導体層がAlGaNを備えること、及びInGaN井戸層における負のピエゾ分極を有すること、さらに、InGaN井戸層の負のピエゾ分極がAlGaN障壁層からの応力により強められること、の働きで、より小さい熱励起エネルギーによりキャリアの遷移が可能になる。井戸層に外側から接するAlGaN層の厚さが小さいので、InGaN井戸層から抜け出すキャリアは、薄いAlGaN層をトンネルリング可能である。最も外側の障壁層にAlGaN及びInGaNの組み合わせを適用する形態によれば、バンド障壁△Ec1(AlGaN)をバンド障壁△Ec1(InGaN)より小さくできる。
(実施例5)
図23に示されるように、図9の(b)部に示されるエピタキシャル基板にp層を追加してpin構造を含むエピタキシャル基板を作製する。追加されたp層は、触媒素子が電解液中に置かれて電解液の接触により光吸収層が空乏化することを模擬するために設けられる。図23に示される構造の素子を「デバイス3」として参照する。デバイス3は、以下のように作製される。これまでと同様に(20−21)面GaN基板を準備する。成長炉において、このGaN基板の表面を同様に熱処理する。次いで、GaN表面上にn−GaN層を摂氏1100度の温度で成長し、この厚さは2μmである。このn−GaN層上に光吸収層を成長する。光吸収層は、例えば3周期の多重量子井戸構造を有する。多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)、これらの井戸層を隔てる内側障壁層(厚さ2.5nm、In組成0.02のアンドープInGaN)と、最も外側の井戸層に外側から接触を成す外側障壁層(厚さ15nm、In組成0.02のアンドープInGaN)を備える。これらの工程の後に追加して、摂氏1000度において、光吸収層上にp−GaN層を成長し、この厚さは50nmであり、p型ドーパント濃度は1×1020cm−3である。これらの工程により、エピタキシャル基板が作製される。p−GaN層上にp側電極を蒸着し、p側電極はNi/Auからなる半透明電極である。蒸着において、Ni層の厚さは例えば5nmであり、Au層の厚さは例えば10nmである。p側電極上にはパッド電極を蒸着する。パッド電極はTi/Auからなる。p側電極とパッド電極のパターン形成のための加工にはフォトリソグラフィを適用する。GaN基板の裏面にn側電極を蒸着し、n側電極はTi/Alからなる。これらの工程により、基板生産物が作製される。これを既に説明したように「デバイス3」として参照する。
次いで、図24に示されるように、図9の(b)部に示されるエピタキシャル基板にp層を追加してpin構造を含むエピタキシャル基板を作製する。図24に示される構造の素子を「デバイス4」として参照する。デバイス4は、多重量子井戸構造の点で、デバイス3と異なる。デバイス4では、デバイス3と同様に、n−GaN層上に光吸収層を成長する。光吸収層は、例えば10周期の多重量子井戸構造を有する。この多重量子井戸構造は、井戸層(In組成0.3及び厚さ3nmのアンドープInGaN)、これらの井戸層を隔てる内側障壁層(厚さ2.5nm、Al組成0.05のアンドープAlGaN)と、最も外側の井戸層に外側から接触を成す外側障壁層(厚さ15nm、In組成0.02のアンドープInGaN)を備える。
デバイス3及びデバイス4の各々は、その触媒素子の表面にアノード電極を設けており、この表面から可視光(図23及び図24におけるLOUT)を照射して、これらの触媒素子への外部印加電圧がゼロボルトである条件において、触媒素子からの光電流を測定する。光LOUTを提供する光源として高圧UVランプを用いる。この高圧UVランプからの紫外線をフィルタを通過させカットして、主にh線(405nm)とg線(436nm)を含む照射光を生成する。このように生成された可視光は、井戸層で選択的に吸収される。
光電流の測定結果を示す。
デバイス3の光電流密度:0.5mA/cm
デバイス4の光電流密度:1.0mA/cm
この結果は、AlGaNで隔てられる量子井戸の数(QW数)の増加によって、触媒素子における光吸収量が増加して、光電流密度が向上されたと考えられる。
デバイス3及びデバイス4の順方向特性を測定する。図25は、デバイス3及びデバイス4の順方向特性を示す。順方向電圧は、例えばパッド電極に印加する電圧として規定される。図25の結果によれば、デバイス3及びデバイス4の量子井戸数が互いに異なるけれども、デバイス3及びデバイス4の順方向電圧はほぼ同等である。
デバイス4は、10層の井戸層を含むことに加えて、AlGaN障壁層を含む。図25における順方向電圧の比較は、障壁層として十分薄いAlGaNをトンネル効果により通過することによるキャリア輸送が生じて、多数の井戸層とこれらを隔てるAlGaNとによってキャリアの移動が大きく妨げられることがないことを示している。したがって、III族構成原子としてAlを備える障壁層を用いて、キャリアの移動を阻害することなく、量子井戸構造の井戸層の数を増加させることができる。III族構成原子としてAlを備える障壁層と井戸層数増加との組み合わせは、触媒素子における光電流の向上に有効である。
(実施例6)
量子井戸構造におけるキャリア輸送と障壁層の厚さとの関係を調査するために、図26に示される素子構造に関して、量子井戸構造付近のバンド構造のポテンシャルを数値計算により見積もった。この計算において、外部印加電圧はゼロボルトである。このシミュレーション計算において、触媒素子が電解液に接触することをシミュレーション計算に取り込むために、触媒素子のための計算モデルは、10層の井戸層(In0.3Ga0.7N)を含む多重量子井戸構造と、n型GaN層(厚さ200nm、2×1018cm−3のドナー濃度)とに加えて、p型GaN層(厚さ200nm、2×1019cm−3のアクセプタ濃度)を含む。触媒素子のためのシミュレーションは、多重量子井戸構造が厚さ15nmのGaN障壁層を含むモデル_1、及び多重量子井戸構造が厚さ2.5nmのGaN障壁層を含むモデル_2を用いて行われた。これらのモデルにおいては、単純化のために障壁層にGaNを用いている。また、異なるピエゾ分極を有するInGaN井戸層を模擬するために、触媒素子のためのエピ構造を成長する面の面方位として、(0001)面、(20−21)面、及び(000−1)面を、上記の個々のモデルに適用した。
図27は、これらのモデルのシミュレーション結果を示す。モデル名は、障壁層の厚さ、及び面方位によって以下のように関連づけられる。
図面番号、モデル名、 障壁層の厚さ、面方位。
(a)部、モデル_11、15nm、 (0001)面。
(b)部、モデル_12、15nm、 (20−21)面。
(c)部、モデル_13、15nm、 (000−1)面。
(d)部、モデル_21、2.5nm、(0001)面。
(e)部、モデル_22、2.5nm、(20−21)面。
(f)部、モデル_23、2.5nm、(000−1)面。
(20−21)面及び(000−1)面上のInGaN井戸層のピエゾ分極は負である。
図27の(a)部、図27の(b)部、及び図27の(c)部に示す障壁層が厚い場合、各井戸層のエネルギー準位の傾きはキャリア輸送に適切な向き(図中で各井戸層のエネルギー準位を結ぶ線の傾きが右肩上がり)である。障壁層が薄い場合、図27の(d)部では各井戸層のエネルギー準位の傾きがキャリア輸送に不適切な向き(図中で各井戸層のエネルギー準位を結ぶ線の傾きが右肩下がり)となっている。これは、多重量子井戸構造に占める井戸層の割合が増加すると、各井戸層のエネルギー準位の傾きが各井戸層のピエゾ分極の影響を強く受けるためである。図27の(d)部に示す(0001)面上では、井戸層のピエゾ分極が正であるために、トンネル効果を利用したキャリア輸送促進のために障壁層を薄くしても、キャリアは多重量子井戸構造において有効に輸送されない。図27の(e)部、及び図27の(f)部に示す井戸層のピエゾ分極が負の面方位の場合は、障壁層を薄くしても光吸収層内の電界はキャリア輸送に適切な向きに維持されている。
図28は、図27に示されたシミュレーション結果を用いて見積もられた内蔵電界を示す。ここで、量子井戸構造における内部ポテンシャル差は、該量子井戸構造の一端及び他端にそれぞれ位置する第1最外井戸層及び第2最外井戸層の価電子帯上端(又は伝導帯下端)のエネルギー差として定義され、内蔵電界は、内部ポテンシャル差と、量子井戸構造における第1最外井戸層と第2最外井戸層との間隔との比として規定される。第1最外井戸層及び第2最外井戸層は、それぞれ、量子井戸構造の一端及び他端に位置する。より具体的には、内蔵電界は、図27の(e)に示されるように、n側半導体に最も近い井戸層の伝導帯の底の電位とp側半導体に最も近い井戸層の伝導帯の底の電位との差(△V)と、n側半導体に最も近い井戸層とp側半導体に最も近い(n側半導体から最も遠い)井戸層との距離(△D)との比(△V/△D)によって規定される。
(0001)面上の触媒素子は、障壁層の幅を狭くすると、内蔵電界が負に転じる。これ故に、外部印加電圧がゼロボルトではキャリアは輸送されない。これは、外部回路に触媒素子から光電流を取り出すことができないことを意味する。一方、(20−21)面上と(000−1)面上の触媒素子のように、井戸層のピエゾ分極が負である量子井戸構造では、障壁層の幅を狭くしても正の内蔵電界が維持される。これ故に、(20−21)面上と(000−1)面上の量子井戸構造では、薄い障壁層によるトンネル効果を利用したキャリア輸送促進と、内蔵電界によるキャリア輸送促進の両立が可能である。(20−21)面はInの均質な取り込みに優れた角度範囲にあり、より高品質なInGaNの成長が可能である。
(付記_1)
量子井戸構造21、55が井戸層27a、57aを隔てる障壁層27b、57bを含むとき、障壁層27bの厚さが、井戸層27aの厚さに等しいか、或いは小さいことが好ましい。薄い障壁層は、量子井戸構造21、55内において生成された電子・正孔のトンネリングによる輸送を可能にする。
(付記_2)
障壁層27b、57bはIII族窒化物材料からなることが好ましく、このIII族窒化物材料は、該障壁層が無歪みのときの(つまり、障壁層の材料に固有の)a軸方向の格子定数が井戸層が無歪みのときのa軸方向の格子定数より小さい。
(付記_3)
障壁層27b、57bは、InAlGa1−T−SN(0≦T<1、0<S≦1、0<T+S≦1)からなることができる。障壁層27bの材料がIII族構成元素としてアルミニウムを備えることにより、井戸層のピエゾ分極を強めることができ、井戸層に大きなピエゾ分極を与えると、量子井戸構造からのキャリアの抜け出しを容易にできる。
本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。
以上説明したように、本実施の形態によれば、吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体光触媒を提供できる。また、本実施の形態によれば、吸収波長の下限を長波長に拡大できると共にキャリアの移動を容易にできる窒化物半導体電極を提供できる。
11…窒化物半導体光触媒、13…III族窒化物半導体層、15…InGa1−XN領域、13a…半極性面、17…支持体、19…量子井戸、21…量子井戸構造、23…量子ドット構造、27a…井戸層、27b…障壁層、31…基板、35…半導体積層、37…裏面電極、39…AlGaN層、L…入射光、PPZ…ピエゾ分極。

Claims (32)

  1. 窒化物半導体光触媒であって、
    支持体の主面上に設けられ導電性を有するIII族窒化物半導体層と、
    前記III族窒化物半導体層に第1ヘテロ接合を成しており、前記支持体の前記主面上に設けられたInGa1−XN領域(0<X≦1)と、
    を備え、
    前記III族窒化物半導体層は前記支持体の前記主面と前記InGa1−XN領域との間に設けられ、
    前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、
    前記InGa1−XN領域のピエゾ分極は、前記InGa1−XN領域から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する、窒化物半導体光触媒。
  2. 前記InGa1−XN領域のIn組成Xはゼロより大きく、0.1以下である、請求項1に記載された窒化物半導体光触媒。
  3. 前記支持体の前記主面は、前記窒化物半導体の半極性面を含む、請求項1又は請求項2に記載された窒化物半導体光触媒。
  4. 前記第1ヘテロ接合は、前記III族窒化物半導体層のc軸に直交する基準平面に対して傾斜する部分を有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  5. 前記InGa1−XN領域は前記主面の面内の方向に圧縮歪みを内包する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  6. 前記III族窒化物半導体層のバンドギャップは前記InGa1−XN領域のバンドギャップより大きい、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  7. 前記InGa1−XN領域内に設けられた量子井戸を更に備え、
    前記量子井戸は、量子ドット及び量子井戸構造の少なくともいずれかを含む、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  8. 前記量子井戸構造は、井戸層及び障壁層を含み、
    前記量子井戸構造の前記井戸層はInGa1−YN(0<X<Y≦1)を備え、
    前記量子井戸構造の前記障壁層はInGa1−YNのバンドギャップより大きな半導体からなる、請求項7に記載された窒化物半導体光触媒。
  9. 前記量子井戸構造は、一又は複数の第2井戸層及び一又は複数の第2障壁層をさらに含み、
    前記第2井戸層と前記井戸層を合わせた数は5以上であり、
    前記第2障壁層はInGa1−YNのバンドギャップより大きな半導体からなり、
    前記第2井戸層は、前記障壁層及び前記第2障壁層のバンドギャップより小さいInGaNからなる、請求項8に記載された窒化物半導体光触媒。
  10. 前記第2井戸層と前記井戸層を合わせた数は10以上である、請求項9に記載された窒化物半導体光触媒。
  11. 前記量子井戸構造の前記障壁層は、III族構成元素としてアルミニウムを含む半導体層を含み、
    前記量子井戸構造の前記第2障壁層は、III族構成元素としてアルミニウムを含む半導体層を含む、請求項9又は請求項10に記載された窒化物半導体光触媒。
  12. 前記障壁層の前記半導体層はAlGaNを備え、
    前記第2障壁層の前記半導体層はAlGaNを備える、請求項11に記載された窒化物半導体光触媒。
  13. 前記障壁層の前記半導体層の厚さは0.5nm以上3nm以下の範囲にあり、
    前記第2障壁層の前記半導体層は0.5nm以上3nm以下の範囲にある、請求項11又は請求項12に記載された窒化物半導体光触媒。
  14. 前記量子ドットはInGa1−UN(0<X<U≦1)を備える、請求項7に記載された窒化物半導体光触媒。
  15. 前記InGa1−XN領域は、バルク三元InGaNからなり、
    前記III族窒化物半導体層はGaNからなる、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  16. 前記InGa1−XN領域には遷移金属が添加されている、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  17. 前記支持体の前記主面上に設けられたAlGaN層を更に備え、
    前記InGa1−XN領域は、前記AlGaN層と前記III族窒化物半導体層との間に設けられ、
    前記InGa1−XN領域は前記AlGaN層に第2ヘテロ接合を成す、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  18. 前記AlGaN層の膜厚は2nm以上15nm以下である、請求項17に記載された窒化物半導体光触媒。
  19. 前記AlGaN層のAl組成はゼロ以上0.2以下である、請求項17又は請求項18に記載された窒化物半導体光触媒。
  20. 当該窒化物半導体光触媒に照射される光を受ける表面を更に備え、
    当該窒化物半導体光触媒の前記表面は表面構造を備え、
    前記表面構造は凹部及び凸部の少なくともいずれか一方を含む、請求項1〜請求項19のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  21. 前記第1ヘテロ接合は界面構造を有しており、
    前記界面構造は凹部及び凸部の少なくともいずれか一方を含む、請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  22. 前記支持体、前記III族窒化物半導体層、及び前記InGa1−XN領域は第1軸に沿って配列されており、
    前記凹部は、前記第1軸に交差する方向に延在する第2軸の方向に延在する一又は複数の溝を含み、
    前記溝は、前記第1軸に直交する基準平面に対して一方向に傾斜を成す第1面と、前記基準平面に対して他方向に傾斜を成す第2面とを含み、前記溝に関して前記一方向は前記他方向の反対向きであり、
    前記凸部は、前記第2軸の方向に延在する一又は複数の峰を含み、
    前記峰は、前記第1軸に直交する基準平面に対して一方向に傾斜を成す第1面と、前記基準平面に対して他方向に傾斜を成す第2面とを含み、前記峰に関して前記一方向は前記他方向の反対向きである、請求項21に記載された窒化物半導体光触媒。
  23. 前記支持体は結晶成長のためのIII族窒化物半導体基板を更に備え、
    前記III族窒化物半導体基板は単結晶GaNであり、
    前記III族窒化物半導体層はn型単結晶のInGa1−VN(0≦V<X≦1)である、請求項1〜請求項22のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  24. 前記支持体の前記主面は、該支持体の前記窒化物半導体のc面を基準にして傾斜を成しており、
    前記傾斜の角度が50度以上80度以下、又は130度以上170度以下の範囲にあり、
    前記支持体の前記主面の前記窒化物半導体は、前記InGa1−XN領域には面内の方向に圧縮歪みを引き起こす、請求項1〜請求項23のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  25. 前記支持体の前記主面は、該支持体の前記窒化物半導体のc面を基準にして傾斜を成しており、
    前記傾斜の角度が63度以上80度以下である、請求項1〜請求項24のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  26. 前記III族窒化物半導体層はn型単結晶GaNである、請求項1〜請求項25のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  27. 前記支持体の前記窒化物半導体のc面と前記支持体の前記主面は0度より大きく50度未満、又は100度以上130度未満の範囲の角度を成しており、前記III族窒化物半導体層はInGa1−XN領域に前記主面の面内の方向に引っ張り歪みを与える、請求項1〜請求項23のいずれか一項に記載された窒化物半導体光触媒。
  28. 前記III族窒化物半導体層はInGa1−WN(0<X<W≦1)からなる、請求項1又は請求項2に記載された窒化物半導体光触媒。
  29. 前記支持体の前記主面は、前記窒化物半導体のc面を含み、
    前記III族窒化物半導体層はInGa1−XN領域に前記主面の面内の方向に引っ張り歪みを与える、請求項28に記載された窒化物半導体光触媒。
  30. 窒化物半導体光触媒であって、
    支持体の主面上に設けられ導電性を有するIII族窒化物半導体層と、
    量子井戸構造と、
    を備え、
    前記III族窒化物半導体層は、前記支持体と前記量子井戸構造との間に設けられ、
    前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、
    前記量子井戸構造は複数の井戸層及び障壁層を含み、
    前記井戸層はInGa1−YNを備え、
    前記井戸層のピエゾ分極は、前記量子井戸構造から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する、窒化物半導体光触媒。
  31. 前記障壁層の厚みは0.5nm以上3nm以下であり、
    内蔵電界は、前記量子井戸構造の一端及び他端にそれぞれ位置する第1最外井戸層の及び第2最外井戸層における価電子帯上端又は伝導帯下端のエネルギー差として規定される内部ポテンシャル差と前記第1最外井戸層と前記第2最外井戸層との距離との比として規定され、前記内蔵電界の向きは、前記III族窒化物半導体層から前記量子井戸構造への方向の成分を有する、請求項30に記載された窒化物半導体光触媒。
  32. 窒化物半導体電極であって、
    支持体の主面上に設けられたIII族窒化物半導体層と、
    前記III族窒化物半導体層に第1ヘテロ接合を成しており、前記支持体の前記主面上に設けられたInGa1−XN領域(0<X≦1)と、
    を備え、
    前記III族窒化物半導体層は前記支持体の前記主面と前記InGa1−XN領域との間に設けられ、
    前記支持体の前記主面は窒化物半導体からなり、
    前記InGa1−XN領域のピエゾ分極は、前記InGa1−XN領域から前記III族窒化物半導体層への方向の成分を有する、窒化物半導体電極。
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