JP2014209403A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、記録再生装置側からは再生ヘッドの高感度化が進められており、近年、より感度の高い巨大磁気抵抗効果型再生ヘッド(GMRヘッド)が提案されている。
しかし、再生ヘッドが高感度になると、ノイズも高感度に検出されてしまう。磁気記録媒体側からノイズを低減するためには、上記と同様に微粒子磁性体の使用および磁性層表面の平滑化が有効である。しかし磁性層の表面平滑性を高めるほど、再生ヘッドと媒体が摺動する際の摩擦係数が増大し、走行耐久性は低下してしまう。
磁性層表面の突起については、前記した特許文献1〜5をはじめとして各種提案が行われている。これらの中で従来着目されていたのは、磁性層表面の突起の平均高さであった(例えば特許文献3、5参照)。しかし、突起の中には、様々な高さの突起が含まれ、平均高さを上回る突起や下回る突起が存在する。即ち、磁性層表面の突起高さには分布がある。本発明者は、上記のトレードオフを解決することが困難になってきている理由は、このような突起の高さ分布に着目せずに、突起の平均高さに着目していたためであると考えた。
そこで本発明者は更に検討を重ねる中で、様々な高さの突起の中で、磁気記録媒体とヘッドとの空間を決定付け電磁変換特性および摩擦特性に影響を与える突起や、媒体の摩耗性に影響を及ぼす突起は、ヘッドや摺動部材と主に接触する比較的高い突起であると考えるに至った。そして更に検討を重ねた結果、主に電磁変換特性および摩擦特性に影響する球状物質、主に媒体の摩耗性に影響を及ぼす非球状物質のそれぞれについて、それら物質により形成される突起の中で比較的高い突起高さと、それら物質により形成される突起の中で比較的高い突起の高さ差を規定することにより、ヘッド摩耗が少なく、電磁変換特性、摩擦特性、摩耗特性に優れる磁気記録媒体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
[1]非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
磁性層表面の原子間力顕微鏡で測定される高さ8nm以上の突起を、球状物質から形成される突起Aと、非球状物質から形成される突起Bと、に分類し、
突起Aの高さの平均値(平均高さ)に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるa、
突起Bの高さの平均値(平均高さ)に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるb、
aからbを引いた差分c、
を算出したとき、下記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体。
(1)13nm≦a≦25nm
(2)13nm≦b≦25nm
(3)0.0nm≦c≦10nm
[2]突起Aの単位面積当たりの個数から、突起Bの単位面積当たりの個数を引いた差分は、−0.1〜1.5個/μm2の範囲である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記球状物質は、その粒子径の平均値dおよび標準偏差sから算出される変動係数(s/d)×100が、20%未満の粒子である[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記球状物質は、無機酸化物粒子である[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[5]前記球状物質は、単分散粒子である[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[6]前記球状物質は、コロイド粒子である[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7]前記球状物質は、シリカコロイド粒子である[1]〜[6]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[8]前記非球状物質は、モース硬度8以上の非磁性粒子である[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[9]前記非球状物質は、アルミナである[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[10]前記磁性層は、フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物を含む[1]〜[9]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[11]前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、下記一般式(1)で表される[10]に記載の磁気記録媒体。
[12]前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体からなる群から選択される[10]または[11]に記載の磁気記録媒体。
(1)13nm≦a≦25nm
(2)13nm≦b≦25nm
(3)0.0nm≦c≦10nm
以下、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
これに対し非球状物質は、いわゆる研磨剤であって、ヘッドや摺動部材の付着物を除去するためには、真球度が低く形状に角を有するものほど好ましい。したがって本発明では、球状物質から形成される突起とともに、非球状物質から形成される突起を磁性層表面に設ける。
真球度とは、後述の平均粒子サイズの測定で得られる透過型電子顕微鏡写真を用いて、個々の粒子の最も長い径(長軸径)と最も短い径(短軸径)を求め、それを測定した粒子の平均値を求めて、以下の式によって計算された値を用いる。
真球度=(長軸径の平均値)/(短軸径の平均値)
なお球状物質の真球度は、上記の通り1.0〜1.3の範囲であり、突起分布のバラつき抑制、摩耗性の低減、ヘッドの長寿命化の観点からは、1.0〜1.2の範囲であることが好ましく、1.0〜1.1の範囲であることがより好ましい。上記の計算式では、粒子が真球(粒子写真上は真円)であれば、真球度は1.0となる。真球度1.0の球状物質が最も理想的な突起形成剤である。
本発明でいう突起とは、原子間力顕微鏡によって測定された、視野中の凸成分と凹成分の体積が等しくなる面を基準面として定め、その基準面から8nm以上の高さの突起と定義する。基準面から8nm以上と定義した理由は、8nmより低い部分は磁性層そのものの素地をピックアップしてしまうためである。あくまで、球状物質および非球状物質から形成される突起のみをピックアップするために、基準面から8nm以上というしきい値を設けた。一方、基準面からの高さが50nmを超える突起は、その磁気記録媒体の平均的な突起ではなく、イレギュラーな塵埃等の付着による可能性が高く、球状物質および非球状物質から形成される突起は、基準面からの高さが50nmを超える突起の中には、通常含まれない。したがって解析時には、50nm以下というしきい値を設けることとし、基準面から8〜50nmの高さの突起を解析することとする。
上記のように定義された突起を、球状物質由来のものと非球状物質由来のものとに分けるには、原子間力顕微鏡で測定した磁性面と全く同じ面について、何らかの方法で化学的な成分マップを得ることが必要となる。例えば、球状物質としてシリカコロイド粒子、非球状物質として酸化アルミニウム(α−アルミナ)を含む磁気記録媒体については、走査型電子顕微鏡(SEM)で成分マップを得ることができる。この際、原子間力顕微鏡で測定した磁性面と同一箇所をSEMで観察するために、原子間力顕微鏡を測定する際に、硬いカンチレバー(例えば、単結晶シリコン製のもの)で罫書きを入れる、等の工夫を行ってもよい。磁性面の化学的成分のマッピングは、上記のSEMに限らず、エネルギー分散型X線分光法(EDS : Energy Dispersive X−ray Spectrometry)、オージェ電子分光法(AES : Auger Electron Spectroscopy)などによっても可能である。もちろん、こうした化学的な成分マップが計測され、本発明が目的としている突起の区別ができるのであれば、上記の方法に限られるものではない。
13nm≦a≦25nm
を満たすものとする。条件(1)は、電磁変換特性と摩擦特性とをより良好にバランスさせる観点から、
15nm≦a≦23nm
であることが好ましく、
16nm≦a≦21nm
であることがより好ましい。
したがって本発明におけるbは、条件(2):
13nm≦a≦25nm
を満たすものとする。条件(2)は、摩耗特性とヘッド寿命をより良好にバランスさせる観点から、
14nm≦b≦20nm
であることが好ましく、
15nm≦b≦19nm
であることがより好ましい。
0.0nm≦c≦10nm
を満たすものとする。cが10nmを超えるほどになると、媒体自体の摩耗性が低下しデブリ除去能が低下するからである。一方、cがマイナスの値を取るということは、非球状物質から形成される突起Bが、球状物質から形成される突起Aと比べて相対的に高くなることを意味する。この場合、上記の摩耗量は著しく高くなり、ヘッド寿命を短命化させてしまう。したがって本発明では、cを上記条件(3)を満たす範囲に規定する。ヘッドの長寿命化と摩耗特性とをよりバランスさせる観点から、上記条件(3)は、
1.0nm≦c≦8.0nm
であることが好ましく、
1.5nm≦c≦7.0nm
であることがより好ましい。
磁気記録媒体の表面処理方法としては、走行するテープ表面(磁性面)同士を擦り合わせて表面処理を行う方法がある(特開2007−287310号公報参照)。磁気記録媒体の製造で採用されている従来の表面処理方法には、ブレード刃処理、研磨テープによる処理、ダイヤモンドホイールによる処理等がある。しかし、これら従来の方法は、表面処理によって消耗品が発生したり、処理部材が経時で変化して表面処理時にかかる仕事量が変化してしまう、等の課題があった。これに対し上記公報に開示されている表面処理方法は、表面処理時における消耗品が無く、かつ常にフレッシュな磁性面同士が擦り合わさるため、表面処理にかかる仕事量が一定になる、といったメリットがある。しかし、この磁性面同士を擦り合わせて行う表面処理方法は、摩耗特性が過度に高い磁気記録媒体を処理した場合に、磁性面にキズが入ってしまう。上記のAlFeSil摩耗量として、50μmを超えるものは、キズが入りやすい傾向にあることが判明している。これに対し本発明の磁気記録媒体は、50μm以下のAlFeSil摩耗量を実現することができるため、上記表面処理方法を適用することが可能である。
球状物質は、一般に突起形成剤として使用される物質を用いることができる。これらは、無機物質であっても有機物質であってもよい。摩擦特性の均一化の観点からは、球状物質の粒度分布は、分布中に複数のピークを有する多分散ではなく、単一ピークを示す単分散であることが好ましい。単分散粒子の入手容易性の点からは、球状物質は無機物質であることが好ましい。無機物質としては、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物を挙げることができ、無機酸化物であることが好ましい。無機酸化物としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、二酸化珪素、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタン、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを一種または二種以上組み合わせて使用することができる。単分散粒子の入手容易性の観点からは、二酸化珪素が好ましい。なお後述するように、球状物質としては、コロイド粒子を使用することが好ましい。コロイド粒子については、特開2011−48878号公報段落0023を参照できる。中でも、単分散のコロイド粒子の入手容易性の点からは、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。
以上説明した球状物質と併用される非球状物質は、前記の通り真球度が1.3を超えるものである。非球状物質の真球度は、例えば1.3超2.0以下の範囲である。非球状物質は、研磨剤としての機能を良好に発揮するためには、モース硬度8以上の非磁性物質であることが好ましい。モース硬度が7以下の物質は、ヘッドとの接触圧により変形することがあるためである。また、モース硬度の最大値は10であるため、非球状物質のモース硬度は最大で10となる。ヘッド磨耗を抑制する観点から、非球状物質のモース硬度は9以下であることが好ましい。これに対し前述の球状物質のモース硬度は、8以上であってもよく、7以下であってもよい。
突起密度とは、単位面積当たりの突起数である。前述のように、球状物質から形成される突起と、非球状物質から形成される突起の突起高さに関して算出されるa、b、cが、前記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体は、ヘッド摩耗を抑制しつつ、優れた電磁変換特性、摩擦特性、および摩耗性を示すことができる。これら諸特性を更に一層優れたものとするためには、両突起の突起密度の差分である「(球状物質から形成される突起の突起密度)−(非球状物質から形成される突起密度)」が、−0.1〜1.5個/μm2の範囲であることが好ましい。上記差分が−0.1個/μm2以上であれば、粗大な突起形成剤であるカーボンブラックを使用することなく、十分な摩擦特性を得ることができる。一方、1.5個/μm2以下であれば、電磁変換特性やエラーレートが良化する。上記の突起密度の差分は、好ましくは−0.1〜1.0個/μm2、さらに好ましくは0.0〜0.70個/μm2の範囲である。
以上説明したa、b、c、更に突起密度の差分は、使用する球状物質および非球状物質のサイズ、粒度分布、添加量、分散方法、磁性層・非磁性層の厚み、磁性層表面の表面処理方法等により、制御することができる。また、これらの制御方法の一つとしては、特開2010−231843号公報段落0026に記載のカレンダ条件の制御、非磁性層の形成方法、非磁性支持体の変形特性の調整、を挙げることもできる。表面処理方法としては、特開2010−231843号公報段落0029に記載の方法を採用することができる。また、特開平5−62174号公報のダイヤモンドホイールを用いる表面処理方法を採用することもできる。前記した理由からは、特開2007−287310号公報に記載されているように、走行するテープ表面(磁性面)同士を擦り合わせて表面処理を行う方法を用いることが好ましい。また、添加量については、先に記載した通りである。
また、特開2010−231843号段落0064に記載されているように、バックコート層を設けることもできる。
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。
本発明の磁気記録媒体の製造方法の詳細については、特開2010−231843号公報段落0065〜0069を参照できる。
磁性層形成用塗布液
(磁性体分散液)
バリウムフェライト磁性粉:100部
(Hc:175kA/m(2200Oe)、平均粒子サイズ:27nm)
オレイン酸:2部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):10部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):4部
メチルエチルケトン:150部
シクロヘキサノン:150部
α−アルミナ(比表面積19m2/g、真球度1.4):6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
2,3−ジヒドロキシナフタレン:0.6部
シクロヘキサノン:23部
コロイダルシリカ(平均粒子径120nm、変動係数=7%、真球度1.03):2部
メチルエチルケトン:8部
ステアリン酸:2部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:6部
メチルエチルケトン:110部
シクロヘキサノン:110部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):3部
ベンガラ(粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET比表面積:52m2/g):75部
カーボンブラック(平均一次粒子径16nm、DBP吸油量74cm3/100g):25部
リン酸トリフェニル:3部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):8部
メチルエチルケトン:370部
シクロヘキサノン:370部
ステアリン酸:1部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
カーボンブラック(平均一次粒子径40nm、DBP吸油量74cm3/100g):100部
銅フタロシアニン:0.3部
ニトロセルロース:25部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):60部
ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン500):4部
アルミナ粉末(比表面積17m2/gのα−アルミナ):1部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):15部
メチルエチルケトン:600部
トルエン:600部
研磨剤液(非球状物質(研磨剤)分散液)は、アルミナ:スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):2,3−ジヒドロキシナフタレン:シロクヘキサノン=100:10:10:380(質量比)の混合物として調製した後、粒径0.3mmのZrビーズとともに横型ビーズミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が80%になるように調整し、120分間ビーズミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散濾過装置を用いて、超音波分散濾過処理を施した。
磁性液、突起形成剤液(球状物質(突起形成剤)分散液)および研磨剤液と、その他の成分としての潤滑剤溶液、硬化剤をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で3パス処理した後に、1μmのフィルタで濾過して磁性層形成用塗布液を作製した。
潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)およびポリイソシアネートを除く、前記成分をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ブチル)およびポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施して非磁性層形成用塗布液を作製した。
ポリイソシアネートを除く、前記成分をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、ポリイソシアネートを添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌・混合処理を施し、バックコート層形成用塗布液を作製した。
熱処理後の非磁性層上に、乾燥後の厚さが0.07μmになるように磁性層形成用塗布液を塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダで速度40m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度100℃で表面平滑化処理を行った。その後、70℃dry環境で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ幅にスリットを行った。
(1)突起分布および突起密度の測定方法
まず、測定面に予めレーザーマーカーで罫書きをいれ、そこから一定距離(約100μm)離れた部分の原子間力顕微鏡(AFM)像を測定した。視野角は7μm角で行った。球状物質、非球状物質それぞれに由来する突起数が50個以上になるように一試料当たり3視野以上を測定した。このとき、同一箇所の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮りやすいように、カンチレバーを硬いもの(単結晶シリコン)に変えて、AFM上で罫書きを入れた。こうして測定したAFM画像から、基準面から8〜50nmの高さにある突起を全て抽出した。さらに、AFMを測定したところと同一箇所のSEM画像を測定し、SEM画像とAFM画像を比較し、上記で抽出した突起を、球状物質(実施例1ではコロイダルシリカ)、非球状物質(実施例1ではα−アルミナ)に切り分けた。視野角7μm角を3視野測定することにより、球状物質の突起が150個、非球状物質の突起が120個抽出された。球状物質から形成される突起数と非球状物質から形成される突起数とを、観察した視野面積で除することで突起密度とした。
突起高さについては、球状物質、非球状物質それぞれの突起が50個以上あることを確認して、平均高さおよび標準偏差を求めた。こうして、球状物質、非球状物質それぞれについて、a、bを求め、その差分cを求めた。
特開2007−287310号公報にて開示されている磁性層同士を擦り合わせる表面処理を行った際に、表面にキズが入っているかどうかを確認した。キズの有無は表面処理後、ハロゲンランプの下の反射光で肉眼観察を行うことで判定した。
<評価基準>
全くキズが入っていない:A
一部にキズが入っている:B
テープ全面にキズが入っている:C
上記(1)の突起分布を測定した部分とは違う部分を対象に、視野角40μm角の範囲の平均表面粗さRaを求めた。
前述の方法により、AlFeSil摩耗量を測定した。
ヘッドを固定した1/2吋リールテスターで測定した。ヘッド/テープ相対速度は4m/secとした。記録はMIGヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μm、リード幅1.0μmのGMRヘッドを用いた。線記録密度(270KFci)の信号を記録し、再生信号をシバソク社製のスペクトラムアナライザーで測定し、キャリア信号の出力と、スペクトル全帯域の積分ノイズとの比をS/N比とした。得られたS/N比を、以下の基準で判断した。
実施例1のS/N比を0dBとし、
実施例1のS/N比+2.0dB超:A
実施例1のS/N比0.5dB〜+2.0dB:B
実施例1のS/N比0.0dB〜+0.5dB未満:C
実施例1のS/N比0dB未満:D
AFMで40μm角で測定した時のRa=15nmの直径4mmのAlTiC製の丸棒にテープを180°ラップさせ、100gの荷重をかけて14mm/secの速度で45mm摺動させた。この時の100パス目の等速で摺動中の荷重をロードセルで検出し、以下の式:
摩擦係数=ln(測定値(g)/100(g))/π
に基づいて摩擦係数を算出し、下記基準で判断をした。
摩擦係数<0.25:A
0.25≦摩擦係数<0.30:B
0.30≦摩擦係数≦0.4:C
摩擦係数>0.4:D
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液の中に、2,3−シヒドロキシナフタレンを6部添加した以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例2における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、バリウムフェライト磁性粉を、Hcが191kA/m(2,400Oe)、平均粒子サイズ20nmのものに変えた以外は、実施例2と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例3における磁性層形成用塗布液において、球状物質(突起形成剤)を平均粒子径110nm、変動係数=8%、真球度1.04のコロイダルシリカに変えた以外は、実施例3と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例3において、非磁性層の厚みを0.13μmに変更した以外は、実施例3と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例3における磁性層形成用塗布液において、球状物質(突起形成剤)を平均粒子径150nm、変動係数=8%、真球度1.02のコロイダルシリカに変えた。さらに非磁性層の厚みを0.16μmとした。それら以外については、実施例3と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例6において、非磁性層の厚みを0.20μmにした以外は、実施例6と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例7における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を9部に変更した以外は、実施例7と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例4において、非磁性層の厚みを0.12μmに変更した以外は、実施例4と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例4における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を9部に変更した以外は、実施例4と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例5において、非磁性層形成用塗布液を以下の組成のものに変更した以外は、実施例5と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
非磁性層形成用塗布液B
カーボンブラック(平均一次粒子径16nm、DBP吸油量74cm3/100g):100部
銅フタロシアニン化合物(ルーブリゾール製Solsperse5000):0.3部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR−104):12部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−8401):8部
メチルエチルケトン:370部
シクロヘキサノン:370部
ステアリン酸:1部
ステアリン酸アミド:0.3部
ステアリン酸ブチル:2部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネートL):5部
実施例11における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を4部に変更した以外は、実施例11と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例5において、表面処理の方法を、特開平5−62174号公報に記載の磁性面の表面をダイヤモンドホイールによって処理する方法に変えた以外は、実施例5と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例6における磁性層形成用塗布液の非球状物質(研磨剤)分散液において、α−アルミナの添加量を7.5部、球状物質(突起形成剤)の添加量を1部に変更した以外は、実施例6と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤を、カーボンブラック液(平均一次粒子径80nm、変動係数=105%、真球度2.5)に変えた以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
カーボンブラック液は、攪拌機付きバッチ型超音波分散装置にて、攪拌回転数1500rpmで、30分処理して液化処理した。液化したカーボンブラック液を横型ビーズミル分散機により、粒径0.5mmのZrビーズを用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、6パスの分散処理を行った。その液をディゾルバー攪拌機で周速10m/秒で30分攪拌後、フロー式超音波分散機にて流量3kg/分で、3パス処理した。
比較例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤の添加量を0.5部に変えた以外は、比較例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤として、平均粒子径200nm、変動係数=26.5%、真球度1.3の粉末状球状シリカを用いた以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤として、平均粒子径40nm、変動係数=13%、真球度1.12のコロイダルシリカを用い、さらに非磁性層の厚みを0.2μmとした以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、非球状物質(研磨剤)分散液を以下のような組成にした以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
(非球状物質(研磨剤)分散液B)
α−アルミナ(比表面積16m2/g、真球度1.6):6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
シクロヘキサノン:23部
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤として平均粒子径200nm、変動係数=26.5%、真球度1.3の粉末状球状シリカを用い、さらに非球状物質(研磨剤)分散液を以下の組成のものに変更した以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
(非球状物質(研磨剤)分散液C)
α−アルミナ(比表面積12m2/g):6部
スルホン酸基含有ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製UR−4800):0.6部
シクロヘキサノン:23部
実施例1において、磁性体分散液をオープン型ニーダーにより混練・希釈処理後、この処理済の磁性体分散液にさらに研磨剤分散液Aを混合して、横型ビーズミル分散機により、粒径0.1mmのジルコニア(ZrO2)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、30パスの分散処理を行った。それ以外は、実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
実施例1における磁性層形成用塗布液の磁性体分散液において、突起形成剤としてのコロイダルシリカを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法で磁気記録媒体を得て、上記の評価方法によりその特性を評価した。
表3中で、電磁変換特性または摩擦特性の評価結果に「D」が含まれるものは、実用上十分な性能を有さないことを示す。実施例1〜14の磁気記録媒体は、平均面粗さが平滑にもかかわらず摩擦特性に優れ、さらに媒体耐久性およびヘッド寿命の指標である摩耗特性、電磁変換特性ともに優れている。
以上の結果から、本発明によれば、ヘッド摩耗の低減、ならびに電磁変換特性、摩擦特性および摩耗特性の向上が可能となることが確認できる。また、実施例では、磁性面同士を擦り合わせるという表面処理工程において、表面処理後に磁性面にキズが入らない(表面処理適性の評価結果が「A」)という、予想外の効果も得られた。
Claims (12)
- 非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
磁性層表面の原子間力顕微鏡で測定される高さ8nm以上の突起を、球状物質から形成される突起Aと、非球状物質から形成される突起Bと、に分類し、
突起Aの高さの平均値に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるa、
突起Bの高さの平均値に標準偏差σの3倍の値を足して算出されるb、
aからbを引いた差分c、
を算出したとき、下記条件(1)〜(3)を満たす磁気記録媒体。
(1)13nm≦a≦25nm
(2)13nm≦b≦25nm
(3)0.0nm≦c≦10nm - 突起Aの単位面積当たりの個数から、突起Bの単位面積当たりの個数を引いた差分は、−0.1〜1.5個/μm2の範囲である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記球状物質は、その粒子径の平均値dおよび標準偏差sから算出される変動係数(s/d)×100が、20%未満の粒子である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記球状物質は、無機酸化物粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記球状物質は、単分散粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記球状物質は、コロイド粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記球状物質は、シリカコロイド粒子である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記非球状物質は、モース硬度8以上の非磁性粒子である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記非球状物質は、アルミナである請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記フェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物は、ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体からなる群から選択される請求項10または11に記載の磁気記録媒体。
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