JP2014228432A - マイクロ流路の洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ流路の破損などが抑制された状態で、より容易に流路内を洗浄できるようにする。【解決手段】ステップS102の洗浄工程では、測定直後であり、分析対象の生体試料が含まれる測定溶液がマイクロ流路に充填されている。この状態のマイクロ流路の一端より洗浄液を導入し、マイクロ流路の他端より測定溶液を吸引して流路内の測定溶液を流路内より排出するとともに流路内を洗浄液で置換し、洗浄液で流路内を洗浄する。【選択図】 図1
Description
本発明は、生体試料の測定を行うマイクロ流路の洗浄方法に関する。
臨床医学的な知見を得るにおいて、患者の生体内のホルモンバランスや疾患マーカーの定量を行う生化学分析(測定)は、非常に有益な情報源となる。例えば、健康診断や入院前の診断、入院後のアフターケアなど、様々な状況において逐次に生化学分析が行われ、分析により得られた最新の情報を元に、詳細な病名判断や治療方針、投薬量の調製などが行われる。
近年、集積回路の作製で培われたマイクロ加工技術を利用し、微小な構造のマイクロ流路の作製が可能となった。マイクロ流路は、マイクロリットル,ナノリットル単位の微量な生体試料の定量分注,混合,分離,および化学反応の効率化に優れた機能を発揮する。このため、マイクロ流路は、様々な検出装置と組み合わせることにより、生体試料の採集量が多く検査ごとの侵襲性が問題視されていた生化学分析の利便化が期待されている。
生化学分析では、蛍光観察や吸光度、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance;SPR)やQCM(Quarts Crystal Microbalance)など、光学を利用した分析装置が多く用いられる。これらの分析装置でマイクロ流路を用いた測定を行う場合、検体ごとの測定誤差を無くし正確な測定値を得るためには、マイクロ流路の特に光学測定を行う部分は、常に均一に清潔な状態を維持することが重要となる。
生化学分析で生じる汚れは、主に非特異的なタンパク質または脂質の吸着に起因している。水溶性の低分子量のタンパク質汚れでは、水洗のみであっても半分程度除去される。しかしながら、特に未修飾の金属表面を有するマイクロ流路の場合、タンパク質の多くの残基の同時相互作用を一度に可能とするような分子量の大きなタンパク質や、不溶性に変化したタンパク質などは、水洗ではほぼ除去できない(非特許文献1参照)。
従来のマイクロ流路、もしくは生化学分析に使用するセルの主な洗浄方法としては、マイクロ流路チップごとアルカリ洗浄液などのタンパク質除去溶媒に浸す方法がある。また、通常の生化学分析で用いるセルの洗浄では、浸し洗浄では除去しきれない頑固な脂質汚れを除去するために、有機高分子を分解する強力な有機溶媒を使用することもある。
また物理的な洗浄方法として、粘着テープによる除去(特許文献1参照)がある。また、洗浄液の噴射、超音波洗浄などを組み合わせる洗浄方法(特許文献2参照)が挙げられる。ただし、超音波洗浄は細かい振動を流路に対して連続的に与えるため、ひびや傷が発生している場合や劣化している場合、流路を破損させる要因にもなる。このため、近年ではマイクロバブル発生装置を用いた洗浄方法も使用されている。
また、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(μTAS),ラボオンチップ(Lab on a Chip)の分野でよく用いられるポリジメチルシロキサン(PDMS)による流路や、金属面や帯電した表面が露出している部分を有する流路では、タンパク質が非特異吸着しやすい。このため、流路内部を生体適合性材料で修飾し、また、自己組織化膜(Self assembled monolayer:SAM)などで被覆することで吸着を低減させることも効果的とされている。
N.C. Nwokem et al., "Inhibition of Cell Adhesion and Protein Adsorption onto Biomaterial Titanium by Polyethylene glycol", New York Science Journal, vol.4 no.7, 2011.
しかしながら、上述したマイクロ流路の洗浄方法では,廃液の処理や洗浄機材の関係上、完全に比特異的な吸着を除去するためには、マイクロ流路を一度検出装置から取り外すことになる。さらに流路の形状によっては、生化学反応後に生じた汚れにより表面状態が変化し、導入口から排出口までの洗浄液の均一な展開が難しい可能性もある。また、強力な有機溶媒での洗浄の場合、溶解力が強すぎるために、主にPDMSなどの樹脂やプラスチックまたガラスなどで作製されるマイクロ流路自体に損傷を与える危険性が高くなり、同一流路を用いた繰り返しの測定は難しくなる。また,強力な有機溶媒を用いる場合、人体への安全性を考慮する必要があり取り扱いが容易ではない。一方、1測定ごとの使い捨て仕様とすると,現行の生化学分析を行うための様々なコストの上昇につながる。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、マイクロ流路の破損などが抑制された状態で、より容易に流路内を洗浄できるようにすることを目的とする。
本発明に係るマイクロ流路の洗浄方法は、分析対象の生体試料が含まれる測定溶液が充填されているマイクロ流路の一端より洗浄液を導入し、マイクロ流路の他端より測定溶液を吸引して流路内の測定溶液を流路内より排出するとともに流路内を洗浄液で置換し、洗浄液で流路内を洗浄する洗浄工程と、マイクロ流路の一端より水を導入し、マイクロ流路の他端より洗浄液を吸引して流路内の洗浄液を流路内より排出するとともに流路内を水で置換し、洗浄液を流路内より除去するリンス工程とを備える。
上記マイクロ流路の洗浄方法において、洗浄工程に続いて、マイクロ流路の他端より洗浄工程とは異なる吸引力で洗浄液を吸引して流路内を洗浄する追加洗浄工程を備えるようにしてもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、マイクロ流路の破損などが抑制された状態で、より容易に流路内を洗浄できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるマイクロ流路の洗浄方法を説明するフローチャートである。まず、測定を行い(ステップS101)、この直後に洗浄を行う(ステップS102)。ステップS102の洗浄工程では、測定直後であり、分析対象の生体試料が含まれる測定溶液がマイクロ流路に充填されている。この状態のマイクロ流路の一端より洗浄液を導入し、マイクロ流路の他端より測定溶液を吸引して流路内の測定溶液を流路内より排出するとともに流路内を洗浄液で置換し、洗浄液で流路内を洗浄する。
次に、ステップS103で、マイクロ流路の一端より水を導入し、マイクロ流路の他端より洗浄液を吸引して流路内の洗浄液を流路内より排出するとともに流路内を水で置換し、洗浄液を流路内より除去する(リンス工程)。
上述した実施の形態によれば、測定に引き続いて測定溶液の代わりに洗浄液をマイクロ流路に導入してマイクロ流路内を洗浄するようにしたので、まず、マイクロ流路が形成されている測定チップを、測定装置(検出装置)から取り外す必要がない。測定チップを取り外して洗浄を行う場合、測定チップの取り外しおよび洗浄後の測定チップの取り付けなどの作業が発生し、多くの時間を要することになる。これに対し、実施の形態によれば、取り外しや再度の取り付け作業が発生しないので、迅速な作業が行える。
また、取り外してから洗浄を行う場合、洗浄までの期間内に流路内が乾燥し、汚れがより強固に流路内壁面に付着し、汚れが除去しにくくなる場合が発生する。これに対し、実施の形態では、流路内を乾燥させることなく洗浄が行えるので、汚れの強固な付着などが抑制でき、より容易に洗浄が行えるようになる。
また、実施の形態では、マイクロ流路の洗浄において、マイクロ流路が形成されている測定チップ全体を洗浄液に浸漬する必要もない。測定チップ自体を洗浄液などに浸漬して洗浄する場合、マイクロ流路内の全域に洗浄液を展開させることは容易ではない。これに対し、実施の形態によれば、測定と同様に洗浄液をマイクロ流路内に導入するので、マイクロ流路内の全域に洗浄液を展開させることが容易に実現できる。
次に、実施の形態における洗浄方法を適用するマイクロ流路を備える測定チップについて、図2を用いて説明する。測定チップ200は、透明な基板201aと、基板201aの上に配置された流路基板201bとを備え、基板201aと流路基板201bとの間にマイクロ流路202が形成されている。測定チップ200は、測定装置211に取り付けられている。
また、マイクロ流路202の一端には導入口203が接続している。導入口203は、流路基板201bを貫通して形成されている。また、マイクロ流路202の他端には、排出口204が接続している。排出口204も、流路基板201bを貫通して形成されている。導入口203と排出口204とが、マイクロ流路202により連通している。
排出口204には、まず、配管205により廃液タンク206が接続している。また、廃液タンク206には、配管207により負圧ポンプ208が接続されている。廃液タンク206は、密閉可能とされており、負圧ポンプ208を動作させて吸引させることで、例えば、マイクロ流路202内の液体が、排出口204および配管205を経由して、廃液タンク206に収容されるようになる。
次に、上述した構成の測定チップ200におけるマイクロ流路202の洗浄について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態におけるマイクロ流路202の洗浄方法を説明するための説明図である。
まず、測定直後では、図3の(a)に示すように、マイクロ流路202の内部は、測定溶液301で満たされている。また、マイクロ流路202の内部には、タンパク質や脂質などによる汚れ302が残存している。
上述した測定直後の状態より、直ちにマイクロ流路202の一端より洗浄液303を導入し、マイクロ流路202の他端より測定溶液301を吸引してマイクロ流路202内の測定溶液301をマイクロ流路202内より排出するとともにマイクロ流路202内を洗浄液303で置換し、図3の(b)に示すように、マイクロ流路202内を洗浄液で充填する。
マイクロ流路202には、図2を用いて説明したように、一端に導入口203が接続し、他端に排出口204が接続している。また、排出口204には、配管205により廃液タンク206が接続し、廃液タンク206には、配管207により負圧ポンプ208が接続している。負圧ポンプ208を動作させて配管207を介して廃液タンク206内を吸引して負圧状態とすれば、マイクロ流路202内の測定溶液301は、排出口204,配管205を介して廃液タンク206内に吸引されていく。
吸引を継続すれば、充填されていた洗浄液303も、図3の(c)に示すように排出されていく。これらのことにより、洗浄液303でマイクロ流路202内を洗浄すれば、ほとんどの汚れ302が、洗浄液303とともにマイクロ流路202内より排出されて除去される。
また、続いて、マイクロ流路202の一端より洗浄液303を供給し、マイクロ流路202の他端より、上述した洗浄工程とは異なる吸引力で洗浄液303を吸引してマイクロ流路202内を洗浄する。例えば、より大きな吸引力(圧力)で洗浄液303を吸引する。この追加の洗浄工程により、1回目の洗浄工程でマイクロ流路202内に残存する汚れ302を除去する。吸引力を各々変化させて複数回の追加洗浄工程を行い、マイクロ流路202における洗浄液303の流れに強弱を付けてマイクロ流路202内の洗浄を行うようにしてもよい。
最後に、図3の(e)に示すように、マイクロ流路202の一端より水304を導入し、マイクロ流路202の他端より洗浄液303を吸引してマイクロ流路202内の洗浄液303をマイクロ流路202内より排出するとともにマイクロ流路202内を水304で置換し、洗浄液303をマイクロ流路202内より除去する。また、マイクロ流路202の他端より水304を吸引し、マイクロ流路202内を空の状態とする。これにより、マイクロ流路202内が清浄な状態で、マイクロ流路202を用いた次の測定(検査)が行えるようになる。
次に、実際に作製した測定チップを用い、上述した洗浄方法を実施(実験)した結果について説明する。
はじめに、作製した測定チップについて図4を用いて説明する。測定チップ400は、BK7ガラスを加工して形成した基板401aと、基板401aの上に配置された流路基板401bとを備える。流路基板401bは、ポリジメチルシロキサンより構成した板部材を加工することで形成し、深さ50μmの流路溝を形成している。この流路溝により、基板401aと流路基板401bとの間にマイクロ流路402が形成されている。
また、基板401aの表面のマイクロ流路402が配置される領域には、層厚50nm程度のAu層411を形成した。Au層411は、例えば、基板401aの表面にスパッタリング法などにより堆積した金膜を、よく知られたリフトオフ法などのパターニング技術によりパターニングすることで形成する。Au層411を形成してあるので、マイクロ流路402の下面(基板401a側)は、Au層411から構成されることになる。
また、流路基板401bを貫通する円筒形状の導入口403を形成し、マイクロ流路402の一端に接続させ、流路基板401bを貫通する円筒形状の排水溝404を形成し、マイクロ流路402の他端に接続させている。導入口403は直径3mmとし、排出口404は直径1.5mmと下。これにより、導入口403と排出口404とが、マイクロ流路402により連通した状態となる。
なお、Au層411を形成した基板401aおよび流路溝を形成した流路基板401bの各々の貼り合わせ面を、酸素ガスのプラズマ(反応イオン)の照射により活性化させた後、各々の貼り合わせ面を当接させて貼り合わせることで、両者を一体とした。プラズマの照射は、プラズマ処理装置の処理室内で実施する。プラズマは、出力70Wのマイクロ波により生成し、また、処理室内には酸素を100sccmで供給し、処理室内における酸素分圧は10Paとした。なお、sccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。また、プラズマの照射は、5秒程度実施した。
次に、上述したように作製した測定チップを用いた測定について説明する。この測定は、表面プラズモン共鳴測定により行う。測定においては、測定チップを表面プラズモン共鳴測定装置(Smart SPR SS−100;エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社製)に設置する。より詳しくは、測定プリズムに形成されている測定面上に、屈折率がBK7ガラスと等しいマッチングオイルを塗布し、この上に測定チップの基板裏面を配置する。また、測定装置の光軸上に、測定チップの測定領域が重なる状態に、測定チップを配置する。測定領域は、測定チップのマイクロ流路の部分である。
また、上述したように測定チップを配置した後、排出口にステンレスパイプからなる配管で廃液タンクを接続し、また、廃液タンクにステンレスパイプからなる配管で負圧ポンプ(MFCS−VAC,Fluigent社製)を接続した。これらの接続構成は、図2を用いて説明した構成と同様である。
上述した測定チップを用いた検査では、プロトロンビン時間の測定用の凝固試薬(10マイクロリットル)およびコントロール血漿(10マイクロリットル)を、連続的にマイクロ流路内に流し、凝固試薬とコントロール血漿との界面が、マイクロ流路内を移動する速度(流速)を測定する。また、1回の検査ごとに洗浄を行い、これを10回繰り返した。
実施した洗浄について説明する。マイクロ流路の一端より洗浄液を供給する状態で、マイクロ流路の他端より上述した血漿および凝固試薬を含む測定溶液を吸引し、マイクロ流路内の測定溶液をマイクロ流路内より排出するとともにマイクロ流路内を洗浄液で置換し、引き続き洗浄液を排出することで流路内を洗浄する。
ここで、洗浄液は、アルカリ洗剤を水に溶解したものを用いる。また、測定溶液の排出では、吸引圧力(負圧)を30000Paとし、洗浄液の排出では、吸引圧力を2000Paとした。この洗浄を第1洗浄条件とする。なお、洗浄の後、マイクロ流路の一端より水を導入し、マイクロ流路の他端より洗浄液を吸引して流路内の洗浄液を流路内より排出するとともに、流路内を水で置換して洗浄液を流路内より除去し、この後流路内より水を除去した。
また、第2洗浄条件として、マイクロ流路の一端より洗浄液(10マイクロリットル)を供給する状態で、マイクロ流路の他端より上述した血漿および凝固試薬を含む測定溶液を吸引し、マイクロ流路内の測定溶液をマイクロ流路内より排出するとともにマイクロ流路内を洗浄液で置換し、引き続き洗浄液を排出することで流路内を洗浄する。次いで、新たにマイクロ流路の一端より洗浄液を供給し、また、マイクロ流路内の洗浄液をマイクロ流路内より排出することで追加洗浄を行う。
この第2洗浄条件においても、洗浄液は、アルカリ洗剤を水に溶解したものを用いる。また、測定溶液の排出では、吸引圧力を10000Paとし、洗浄液の排出も、吸引圧力を10000Paとした。また、追加洗浄では、洗浄液の排出における吸引圧力を2000Paとした。なお、追加洗浄の後、マイクロ流路の一端より水を導入し、マイクロ流路の他端より洗浄液を吸引して流路内の洗浄液を流路内より排出するとともに、流路内を水で置換して洗浄液を流路内より除去し、この後流路内より水を除去した。
次に、流速の測定について説明する。流速の測定は、よく知られた表面プラズモン共鳴測定により行う。表面プラズモン共鳴測定においては、例えば、CCDイメージセンサのX方向の1ラインごとに屈折率を反映したデータが観測されている。このため、検出領域のマイクロ流路を、血漿と凝固試薬との接触領域が進行していくことにより発生する屈折率変化が、CCDイメージセンサのラインごとにどのタイミングで発生したかが記録される。このように、マイクロ流路内を流れる接触領域の時系列的な屈折率変化の測定の中で、屈折率変化の起こった時点(時刻)を読み取るようにすれば流速が得られる。
例えば、図5の(a)に示すように、CCDイメージセンサのYラインごとに記録されている屈折率変化の時間変化から、屈折率のステップ変化が起こった時刻を読み取る。図5の(b)に示すように、表面プラズモン共鳴角度に相当する最も光が吸収されたピクセル強度をカラープロファイルで表示することで、上述した読み取りの状態をより視覚的に表す。また、図5の(c)に示すように、上述した読み取りにおけるXラインごとの時間変化をカラープロファイルの変化で表すようにしてもよい。図5の(c)に示す矢印で示される傾きが、流速となる。Yラインのピクセルに対応するマイクロ流路上の実距離(約10μm)を代入して計算し、傾きである流速はμm/secの単位で記述される。なお、図5では、カラープロファイルをグレースケールで簡略化して示している。
次に、測定の結果について図6,図7を用いて説明する。図6は、測定の間の洗浄を第1洗浄条件で実施した場合の結果を示している。また、図7は、測定の間の洗浄を第2洗浄条件で実施した場合の結果を示している。
第1洗浄条件で洗浄を行うと、図6に示すように、測定を重ねると流速が減少し、また、測定回数の増加とともに、測定される流速の誤差が大きくなっている。これに対し、第2洗浄条件で洗浄を行うと、図7に示すように、測定を重ねても流速の減少はあまりみられず、また、測定される流速の誤差も大きくならない。図7に示す結果では、測定データの相対標準偏差は3.8%である。この結果より、第1洗浄条件に比較して第2洗浄条件の方がより高い洗浄効果が得られていることが分かる。
ここで、試料(血漿)とマイクロ流路壁面が触れ合う時間の経過に従ってタンパク質の非特異吸着は増加する。第1洗浄条件では、測定溶液の排出において、吸引圧力を30000Paと比較的高い圧力としている。このため、弱い結合でマイクロ流路内壁面に吸着していた汚れが、高い圧力により発生した摩擦により壁面に押し付けられる状態となり、より強く吸着する状態になったため、上述した結果になったものと考えられる。上記測定により発生する汚れの1つに、血漿と凝固試薬との混合により生化学的に発生した凝固現象で発生した凝固物質がある。この凝固物質の固着力が、第1洗浄条件では上述したことにより強まることが考えられ、結果として高い洗浄効果が得られなかったものと考えられる。
ただし、測定の間に洗浄を行わずに、複数回の測定を連続して行うと、2回目以降の測定では、測定される流速が非常に小さくなり、2回目以降は測定が不可能な状態となった。従って、第1洗浄条件であっても、測定の間に上述した洗浄を行うことで、マイクロ流路内の汚れが低減できていることが分かる。
以上に説明したように、本発明では、測定の直後に分析対象の生体試料が含まれる測定溶液が充填されている状態のマイクロ流路の一端より洗浄液を導入し、マイクロ流路の他端より測定溶液を吸引して流路内の測定溶液を流路内より排出するとともに流路内を洗浄液で置換し、洗浄液で流路内を洗浄するようにした。この結果、本発明によれば、マイクロ流路の破損などが抑制された状態で、より容易に流路内を洗浄できるようになる。
このようにした本発明は、臨床検査(生化学分析)において、多量サンプルの連続測定(繰り返しの測定)を、マイクロ流路内で行う際の洗浄手段として有効である。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、洗浄液は、セスキ炭酸ソーダ(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの水溶液などのアルカリ洗浄液であればよい。また、タンパク質分解酵素溶液でもよい。なお、洗浄液は、発泡が抑制されたものであるとよい。微細なマイクロ流路内では、一度気泡が混入すると、気泡を抜くために高圧力で加圧もしくは高い負圧でけん引する必要が生じ、除去に非常に手間のかかる問題となる。従って、洗浄液には、発泡が発現しやすい界面活性剤などが含まれない方がよい。
201a…基板、201b…流路基板、202…マイクロ流路、203…導入口、204…排出口、205…配管、206…廃液タンク、207…配管、208…負圧ポンプ、211…測定装置。
Claims (2)
- 分析対象の生体試料が含まれる測定溶液が充填されているマイクロ流路の一端より洗浄液を導入し、前記マイクロ流路の他端より前記測定溶液を吸引して前記流路内の前記測定溶液を前記流路内より排出するとともに前記流路内を前記洗浄液で置換し、前記洗浄液で前記流路内を洗浄する洗浄工程と、
マイクロ流路の一端より水を導入し、前記マイクロ流路の他端より前記洗浄液を吸引して前記流路内の前記洗浄液を前記流路内より排出するとともに前記流路内を前記水で置換し、前記洗浄液を前記流路内より除去するリンス工程と
を備えるマイクロ流路の洗浄方法。 - 請求項1記載のマイクロ流路の洗浄方法において、
前記洗浄工程に続いて、前記マイクロ流路の他端より前記洗浄工程とは異なる吸引力で前記洗浄液を吸引して前記流路内を洗浄する追加洗浄工程を備えることを特徴とするマイクロ流路の洗浄方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150630 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20151117 |