JP2014505698A - 新規抗原結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、発現の向上および生物物理学的性質の改善を示す、ヒト生殖系列VHドメインに由来する新規抗原結合タンパク質を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発現力価の向上および/または生物物理学的性質の改善を示す新規抗原結合タンパク質に関する。より詳細には、本発明は、発現の向上および凝集傾向の減少を示す、免疫グロブリン(抗体)単一可変ドメイン、特に、単離されたVHドメイン(ドメイン抗体/dAb)およびそのようなVHドメインを含んでなる融合タンパク質に関する。こうした抗原結合タンパク質は薬剤活性を有する可能性があり、疾病の治療または予防に役立つ可能性がある。本発明はまた、そのような抗原結合タンパク質の生物物理学的性質を改善するための方法に関する。
ドメイン抗体は、抗原に結合する既知の最小の抗体フラグメントであって、これは免疫グロブリンの重鎖もしくは軽鎖の堅固な可変領域(それぞれVHおよびVL)を含んでなる(総説として、たとえば、Holt et al. (2003) Trends in Biotechnology Vol.21, No.11 p. 484-490)。
ヒト抗体軽鎖および重鎖可変ドメイン抗体(VL およびVH dAb)、ラクダ科動物VHHドメイン抗体(ナノボディ)、およびサメの新規抗原受容体(V-NAR)など、特定の標的分子/抗原に結合する数多くのドメイン抗体が、免疫治療薬として開発されている(たとえば、Enever et al. Current Opinion in Biotechnology (2009); 20: 1-7を参照されたい)。免疫治療薬としてのドメイン抗体の開発は、一本鎖Fvの場合に確立されたのと同じアプローチに従ってなされ、標的結合ポリペプチドを選択するためのdAbファージディスプレイライブラリーのスクリーニングを含んでおり、続いて抗体の親和性(KD)を改善するために親和性成熟を行う。適当な方法はたとえば、WO 2005/118642に記載されている。
ドメイン抗体は、単量体もしくは多量体(特に二量体)の形で存在し、標的と結合することができるが、フォーマットおよびターゲティングアプローチのために他の分子と組み合わせて使用することもできる。このようなターゲティングアプローチには、同時に複数の標的と結合するために必要に応じて複数のドメインを有する、抗原結合構築物の作製が含まれる。たとえば、ドメインのうち1つがアルブミンのような血清タンパク質に結合している、複数ドメインを有する抗原結合構築物を作製することができる。血清アルブミンを結合したドメイン抗体(AlbudAb(商標名))はたとえば、WO05/118642に記載されており、それ自体でドメイン融合パートナーに、より長い血中半減期をもたらすことができる。単量体dAbは、標的のクロスリンクを防止することが有利であるような(たとえば、標的が受容体型チロシンキナーゼ、たとえばTNFR1、などの細胞表面受容体であるような)特定の標的もしくは適応に好ましいと考えられる。場合によっては、二量体または多量体としての結合は、細胞表面上の複数の受容体の受容体クロスリンクを引き起こす可能性があり、したがって受容体アゴニズムおよび有害な受容体シグナル伝達の生じる可能性が高まる。マルチドメイン抗原結合構築物に関する、ある特定のターゲティングアプローチについて、たとえば、上記のようにAlbudAbが血清アルブミンを結合している、dAb-AlbudAb(商標名)のような二重標的化分子を作製すべき場合には、単量体dAbを使用することが好ましいと考えられるが、それは、dAbの二量体化がたとえば高分子量のタンパク質凝集体の形成をもたらす可能性があるからである。
dAbは、たとえばdAb-Fc融合タンパク質の形で(たとえばWO2008/149150)、または抗体-dAb融合タンパク質として(たとえばWO2009/068649)、他の分子とコンジュゲートしていてもよい。dAb-Fc融合物のようなコンジュゲートdAbは、エフェクター機能、たとえばADCCまたはCDCが好ましい場合、有用であるかもしれない。
ラクダ科動物およびサメ単一可変ドメインがヒトにおいて免疫原性となる可能性が高いのに対して、完全にヒトのVHまたはVL dAbは免疫反応を引き起こす可能性は低く、治療用タンパク質として多大な可能性を有する。しかしながら、ヒトVH dAbは発現および製造に必ずしも最適とはいえない性質を示す可能性がある。こうした性質の一部は、通常VL鎖と面を接していた疎水性残基の露出に起因する可能性があり、溶解性および熱力学的安定性の低下につながる可能性があると考えられる。これに対して、ラクダ科由来の自律的な単一可変ドメイン(VHH)は溶解性が高いが、これは当初は界面にある4つの高度に保存された変異に起因していた(Muyldermans et al, Protein Eng., 1994:7 1129-35)。VhHドメインの延長されたCDRH3ループがこの疎水性界面領域と相互作用することも考えられる(Desmyter et al. Nat. Struct. Biol. (1996) 3:803-811)。
「ラクダ化」の工程によってヒトVH dAbの生物物理学的性質を改善する努力がなされてきて、ある程度は成功したが、ただしこの工程は、当該分子の免疫原性を高める可能性があり、さらに他に悪影響を及ぼす可能性がある。たとえば、DaviesおよびReichmann (FEBS Lett., 1994:339 285-290)は、ヒトVHドメインのラクダ化を報告しており、疎水性界面残基の代わりに3つの親水性残基を組み込むこと(G44E/L45R/W47G)は溶解性の向上をもたらすが、発現の大きな減少をもたらすことを指摘した。
Barthelemyら(JBC, 2008:6 3639-3654、およびWO2007/134050)は、ヒトVHドメインの軽鎖界面の分析を記載して、ヒトVHドメインのCDRH3は軽鎖界面と相互作用しないので、CDR3の多様性は構造的な要求によって制約されないと結論づけた。著者らは、親水性を向上させるために界面残基のさまざまな置換を提案している。Jespersら(J. Mol. Biol. 2004:337, 893-903)は、CDR1において、35位へのグリシン残基の導入によってヒトVH dAb (HEL4)の親水性の向上を観察し、この残基によって形成される空隙が疎水性Trp47側鎖を収容することができると結論づけた。Reiterら (J. Mol. Biol. 1999:290, 685-698)は、CDR3における残基のランダム化に基づく安定化VHライブラリーの作製を記載する。ライブラリーは、44位にリジン残基を含有するマウスモノクローナル抗体の天然フレームワークスキャフォールドに基づくものとした。
免疫グロブリン単一可変ドメインの生物物理学的性質を改善すること、安定性および発現を向上させること、ならびに凝集を少なくすることが望ましいと思われる。
WO 2005/118642 WO 05/118642 WO 2008/149150 WO 2009/068649 WO 2007/134050
Holt et al. (2003) Trends in Biotechnology Vol.21, No.11 p. 484-490 Enever et al. Current Opinion in Biotechnology (2009); 20: 1-7 Muyldermans et al, Protein Eng., 1994:7 1129-35 Desmyter et al. Nat. Struct. Biol. (1996) 3:803-811 DaviesおよびReichmann (FEBS Lett., 1994:339 285-290) Barthelemyら(JBC, 2008:6 3639-3654) J. Mol. Biol. 2004:337, 893-903 J. Mol. Biol. 1999:290, 685-698
本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメインの単量体状態を安定化させる、アミノ酸配列への置換が行われた、変異型免疫グロブリン単一重鎖可変ドメインアミノ酸配列(VH)を記載する。こうした変異型VHドメインは、下流部門の加工および製剤に大きな利点を提供する。さらにもっと驚くべきことには、これらの置換は発現力価の相当な向上ももたらすことができる。1つもしくは複数の置換は、親水性が高く、および/または凝集傾向の低い残基による、特定の位置の置換を必然的に含んでいる。特定の実施形態において、1つもしくは複数の置換は、第2のCDRもしくは超可変領域(Kabatによる)内で行われる。典型的には、1つもしくは複数の置換された残基は、第1のヒト生殖系列配列に由来するVHドメイン内の残基を、他のヒト生殖系列配列内に天然に存在する残基で置き換えている。したがって、ヒトへの投与に際して免疫原性反応のリスクを小さくすることができる。
ゆえに、本発明はVHドメイン抗体の生物物理学的性質および発現の改善に適用される。本発明はまた、発現および生物物理学的性質の改善を示すVHドメインおよびモノクローナル抗体のライブラリーのデザインにも適用され、望ましい特性を有するさらに多数の候補dAbを単離する方法を提供する。
本発明のVHドメインは、ヒトDP-47生殖系列またはDP-2生殖系列などの、ヒト生殖系列の配列に由来する。他のヒト生殖系列の配列を使用してもよい。特に、VHドメインは、ヒト生殖系列VHに由来し、その1つもしくは複数の残基、または1つもしくは複数のフレームワーク領域は、別のヒト生殖系列VH由来の対応する残基で置き換えられている。具体的には、本発明は、DP-47フレームワークVHドメイン抗体の単量体状態を安定化するいくつかの変異を記載する。
本発明の免疫グロブリン単一可変(VH)ドメインに対して行われる置換は、生物学的(細胞に基づく)発現系でのVHドメインの発現を向上させることができる。その改変は、VHドメインの生物物理学的性質を改善することができる。たとえば、その改変は、VHドメインの水溶性を高め、および/または、VHドメインの凝集傾向を低下させることができる。
したがって、第1の態様において、本発明は、ヒト生殖系列フレームワークを有するVHドメインを含んでなる親ポリペプチドの変異体を提供するが、その変異体は、アミノ酸56、57、58、59、および79位のうち少なくとも1つの置換により親ポリペプチドのVHドメインとは異なるVHドメインを含んでおり、この変異型ポリペプチドの前記の少なくとも1つのアミノ酸位置にあるアミノ酸は、置き換えられた親ポリペプチドのアミノ酸より親水性が高く、または凝集傾向が低い。
当然のことながら、1つもしくは複数の残基が、親水性の高い/疎水性の低い残基で置換される。疎水性を予想するための方法は、Biswas et al. (2003), Eisenberg (1984), Janin (1979), the hydropathy index of Kyte and Doolittle (1982), Rose et al. (1985), Rose and Wolfenden (1993), Wimley and White (1996)、ならびにWolfenden et al. (1981)に記載されている。アミノ酸の疎水性親水性指標は、Kyte Doolittle指標にしたがって示されるが、この指標の数字が大きい(プラスである)ほど、疎水性が高いことを示す。本発明のために、親水性はKyte/Doolittle疎水性親水性指標にしたがって評価される(図15を参照されたい)。
当然のことながら、1つもしくは複数の残基が、凝集傾向の低い残基で置換される。残基ごとに凝集を予測するためのアルゴリズムは、Chennamsetty et al. (2009), Conchillo-Sole et al. (2007), Fernandez-Escamilla et al (2004), Maurer-Stroh et al. (2010), Mendoza et al. (2010), Pawar et al (2005)、ならびにTrovato et al (2007)に記載されている。本発明のために、凝集傾向は、PawarらにしたがってpH 7にて評価される(図16を参照されたい)。
ある実施形態において、親ポリペプチドの1つもしくは複数の置換されたアミノ酸残基は、より親水性の高い残基で置換されている。ある実施形態において、親ポリペプチドの1つもしくは複数の置換されたアミノ酸残基は、凝集傾向の低い残基で置換されている。ある実施形態において、1つもしくは複数の置換されたアミノ酸残基は、高い親水性および低い凝集傾向を示す残基で置き換えられている。
免疫グロブリン分子内のCDRおよびフレームワーク(FR)領域の位置、およびその残基に適用できる番号付けシステムは、Kabatら(Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, U.S. Government Printing Office (1991))によって定義された。アミノ酸番号が示される本発明のあらゆる態様もしくは実施形態において、位置はKabatにしたがって割り当てられる。
変異体は、場合によってより大きいポリペプチドの一部として、VHドメインを含んでなる。当然のことながら、変異体は、ヒト生殖系列抗体遺伝子セグメントによりコードされるフレームワーク領域を有し、アミノ酸位置56、57、58、59、および79のうち少なくとも1つの置換を含んでいる。
ある実施形態において、変異体は改善された生物物理学的性質を示すが、これには、親ポリペプチドと比較した場合の発現の増加、または親ポリペプチドと比較した場合の安定性の向上、または親ポリペプチドと比較した場合の溶解性の向上が含まれる。ある実施形態において、変異体は、親ポリペプチドと比較して、発現の増加および安定性の向上を示す。
特定の実施形態において、変異型ポリペプチドは、規定の(すなわち同等もしくは同一の)条件下で、親ポリペプチドより少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400% または500% 大きい発現力価を有する。
ある実施形態において、変異体は、溶液中で実質的に単量体であり、すなわち、親ポリペプチドと比べて単量体状態で高い安定性を有する。ある実施形態において、規定の(すなわち同等もしくは同一の)条件(たとえばバッファー、温度、pH)下で、溶液中で単量体の形をとる変異体の割合は、溶液中で単量体の形をとる親ポリペプチドの割合より、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、または30% 多い。特定の実施形態において、変異型ポリペプチドは、規定の(すなわち同等もしくは同一の)条件(たとえばpHおよび温度)下で、親ポリペプチドより少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、または30% 少ない凝集傾向を示す。
ある実施形態において、変異型ポリペプチドは、アミノ酸56、57、58、59、および79位のそれぞれに置換を含んでいる。他の実施形態では、そのようなアミノ酸位置の任意の組み合わせ、または順列で、置換を行うことができる。
ある実施形態において、変異型ポリペプチドは、アミノ酸56、57、58、および59位のうち、少なくとも1つの置換を含み、さらに必要に応じてそれらのすべてを含有する。
具体的な実施形態において、変異型ポリペプチドは、56、58および59位;56、57および58位;57、58および59位;56および57位;56および58位;56および59位;57および58位;57および59位;58および59位;56位;57位;58位;または59位のそれぞれで置換を含有する。本発明の実施形態にしたがって、これらの置換のそれぞれは、必要に応じて79位の置換と組み合わせることができる。特定の実施形態において、アミノ酸56位に単一の置換がある。別の特定の実施形態において、単一置換は、アミノ酸58位にある。
特定の実施形態において、置換された残基は、アスパラギンもしくはリジン残基、特にアスパラギン残基で置き換えられる。
ある実施形態において、ヒト生殖系列フレームワークは、VH3サブグループから選択される。特定の実施形態において、ヒト生殖系列フレームワークはDP-47生殖系列フレームワーク(配列番号12)である。
ある実施形態において、変異型ポリペプチドの前記の少なくとも1つのアミノ酸位置にあるアミノ酸は、別のヒトVH生殖系列フレームワークの同等の位置にもともと存在するアミノ酸残基である。特定の実施形態において、別のヒトVH生殖系列フレームワークは、DP-2生殖系列配列(配列番号13)である。
特定の実施形態において、変異型ポリペプチドは、ヒトDP-47生殖系列フレームのフレームワーク領域を有するVHドメインを含有するが、その56および58位の少なくとも1つのアミノ酸は、より親水性の高いアミノ酸、および/または凝集傾向の低下を示すアミノ酸に置き換えられている。ある実施形態において、残基56および58の一方もしくは両方は、Ala、Thr、His、Gly、Ser、Gln、Arg、Lys、Asn、Glu、Pro、およびAsnからなる一群、より詳細にはLys、Asn、Glu、およびAspからなる一群、そしてさらにより具体的には、AsnもしくはLysからなる一群から選択された残基に置き換えられている。
ある実施形態において、より親水性の高い酸は、Kyte/Doolittleスケールに基づいて-0.7以下、-1.0以下、-2.0以下、-2.5以下、-3.5以下、-4.0以下、-4.5以下の疎水性を有するアミノ酸から選択される。本発明に有用な親水性のアミノ酸は特にアスパラギンおよびリジンである。
ある実施形態において、凝集傾向の低下を示す残基(1つもしくは複数)は、pH 7で、Pawarら(前記)にしたがって、-3.0以下、-4.0以下、-4.5以下、-5.0以下、-5.5以下、-6.5以下、-7.0以下、-7.5以下、-8.0以下、-8.5以下、-9.0以下、-9.5以下、-10.0以下、-10.5以下、-11.0以下、-11.5以下の凝集傾向を有する残基である。凝集傾向の小さい具体的なアミノ酸は、Ala、Gly、His、Ser、Gln、Asn、Asp、Lys、Glu、Arg、およびProである。本発明において有用なアミノ酸は特に、セリン、アスパラギン、およびリジンである。
具体的な実施形態において、56位のアミノ酸は、より親水性の高いアミノ酸に置き換えられており、それは場合によって、Ala、Thr、His、Gly、Ser、Gln、Arg、Lys、Asn、Glu、Pro、およびAsnであるが、より詳細にはLys、Asn、Glu、およびAspであり、さらにより具体的にはAsnである。
具体的な実施形態において、58位のアミノ酸は、より親水性の高いアミノ酸に置き換えられており、それは場合によって、Ala、Thr、His、Gly、Ser、Gln、Arg、Lys、Asn、Glu、Pro、およびAsnであるが、より詳細にはLys、Asn、Glu、およびAspであり、さらにより具体的にはAsnである。
したがって、ある実施形態において、残基56および58の一方または両方は、Asn (N)で置き換えられるが、特定の実施形態では、残基56がAsn (N)残基に置き換えられている。
ある実施形態において、変異型ポリペプチドは、配列番号3もしくは配列番号4のアミノ酸1-116、または配列番号3もしくは配列番号4の全長のアミノ酸配列を含有する。
別の態様において、本発明は、配列番号1のアミノ酸1-116、場合によっては配列番号1の全長、のアミノ酸配列を含んでなるVHドメインを提供するが、そのVHドメインの56、57、58、および59位の残基のうち少なくとも1つは、より親水性の高い残基に、または凝集傾向の低下を示す残基に、置き換えられている。
ある実施形態において、置換は56位および/または58位に関する。
ある実施形態において、VHドメインは、配列番号3もしくは配列番号4のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなる。
別の態様において、本発明は、配列番号3もしくは配列番号4のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなる、またはこれを有する、ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本発明は、配列番号3もしくは配列番号4のアミノ酸配列を含んでなる、またはこれを有する、ポリペプチドを提供する。
別の態様において、本発明は、ヒト生殖系列配列DP-47(配列番号12)によりコードされるフレームワークに対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するフレームワーク領域を含んでなる、VHドメインを提供するが、このVHドメインの56位はアスパラギン残基、またはリジン残基である。
別の態様において、本発明は、ヒト生殖系列配列DP-47(配列番号12)によりコードされるフレームワークに対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するフレームワーク領域を含んでなる、VHドメインを提供するが、このVHドメインの58位はアスパラギン残基、またはリジン残基である。
別の態様において、本発明は、ヒト生殖系列配列DP-47(配列番号12)によりコードされるフレームワークに対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するフレームワーク領域を含んでなる、VHドメインを提供するが、このVHドメインの56位および58位はアスパラギン残基である。
別の態様において、本発明は、ヒト生殖系列配列DP-47(配列番号12)によりコードされるフレームワークに対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するフレームワーク領域を含んでなる、VHドメインを提供するが、このVHドメインの57位はアスパラギン残基、またはリジン残基である。
別の態様において、本発明は、ヒト生殖系列配列DP-47(配列番号12)によりコードされるフレームワークに対して85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有するフレームワーク領域を含んでなる、VHドメインを提供するが、このVHドメインの59位はアスパラギン残基、またはリジン残基である。
本明細書に記載の本発明の他の実施形態において、上記の置換は、さらに41、43、および44位の置換と組み合わせることができる。
したがって、ある特定の実施形態において、本発明のVHドメインは、配列番号2、3、4、8、10、および11のいずれかのアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含有することができる。より具体的な実施形態において、VHドメインは、配列番号2、3、または4のいずれかのアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含有することができる。特定の実施形態において、VHドメインは、配列番号3のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなる。もう一つの特定の実施形態において、VHドメインは、配列番号4のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなる。
ある実施形態において、VHドメインは、配列番号2、3、4、8、10、もしくは11のいずれか1つのアミノ酸1-116のアミノ酸配列を有しており、さらに追加して抗体定常領域のドメインを含有してもよい。ある実施形態において、VHドメインは、配列番号2、3、もしくは4のいずれかのアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなり、さらに追加して抗体定常領域のドメインを含有する。特定の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号3または配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する。
別の態様において、本発明は、本発明の抗原結合VHドメインに結合したタンパク質スキャフォールドを含んでなる抗原結合構築物を提供する。この構築物は、別の抗原に対する追加の抗原結合部位、たとえば追加のエピトープ結合ドメイン、を含有することができる。ある実施形態において、抗原結合構築物は、2つ以上の抗原、たとえば2つの抗原、または3つの抗原、または4つの抗原に対する特異性を有する。
タンパク質スキャフォールドは、IgGまたはIgAスキャフォールドなどのIgスキャフォールドとすることができる。IgGスキャフォールドは、抗体のドメイン(すなわち、CH1、CH2、CH3、VH、VL)の一部またはすべてを含むことができる。本発明の抗原結合構築物は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、またはIgG4PEから選択されるIgGスキャフォールドを含有することができる。ある実施形態において、スキャフォールドはIgG1である。
ある実施形態において、スキャフォールドは、抗体のFc領域からなるか、もしくはそれを含んでなり、またはそれらの一部である。ある態様において、Fcドメインの一部は、本明細書に記載の任意のエフェクター作用、たとえばFc受容体結合活性、を有するFc領域の一部を含む。
別の態様において、本発明は、ヒト抗体定常領域のドメインに連結された、上記のVHドメインを含んでなるポリペプチドを提供する。特定の実施形態において、VHドメインは、Fcドメインとコンジュゲートしている。このフォーマットのドメイン抗体は、WO2008/149450に記載されている。
抗体定常領域のドメインは、抗体Fc領域とすることができる。本明細書で使用される"Fc"という用語は、IgG1由来のFc配列(配列番号14のFc領域など)を意味するために使用されてきたが、その配列は“THTCPPC” で始まり、“KR” で終わる。他のFc変異体が当技術分野で知られており、本出願の範囲内に含められる。そうした変異体は、配列番号14のFcアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100% 同一の配列を有すると考えられる。
また、抗体Fcドメインに連結された、抗-VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインを含んでなるポリペプチドも与えられ、前記ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を有する。
また、抗体Fcドメインに連結された、抗-VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインを含んでなるポリペプチドも与えられ、前記ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有する。
また、抗体Fcドメインに連結された、抗-VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインを含んでなるポリペプチドも与えられ、それは配列番号1のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100% 同一のアミノ酸配列を有するが、ただし抗-VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインは56位にアスパラギンを含んでなる。
さらに他の態様は、アミノ酸56、57、58、59、および79位のうち少なくとも1つが置換されている、本発明の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン領域を含んでなるライブラリーを提供する。標的抗原に結合する能力を有するVHドメインを含んでなるライブラリーであって、そのアミノ酸56、57、58、59、および79位のうち少なくとも1つは多様化されておらず、前記の少なくとも1つのアミノ酸位置は、Kyte/Doolittleスケールに基づいて-1.0未満の親水性を有する残基、またはpH 7で-2.12未満の凝集傾向(Pawarらによる)を有する残基から選択される。
言及することができるもう一つの態様は、アミノ酸56、57、58、59、および79位のうち少なくとも1つが多様化されていない、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン領域を含んでなるライブラリーを提供する。
ある実施形態において、アミノ酸56および58位のうち少なくとも1つは多様化されていない。この実施形態において、57、59、および79位は多様化されていてもよい。
ある実施形態において、56位はライブラリー内で多様化されていない。この実施形態では、56位はアスパラギンまたはリジン残基とすることができる。別の実施形態において、58位はライブラリー内で多様化されていない。この実施形態では、58位はアスパラギンまたはリジン残基とすることができる。
別の実施形態において、56および58位はいずれも多様化されておらず、独立して、アスパラギンおよびリジン残基から選択される。
別の実施形態において、56、57、58、および59位は多様化されておらず、この56位はアスパラギン、リジン、もしくはチロシンから選択され、57位はチロシンであり、58位はアスパラギン、リジン、もしくはチロシンから選択され、59位はアスパラギン、リジン、もしくはチロシンから選択される、特定の実施形態において、56、57、または59位は、アスパラギンおよびリジンから選択される。
ある実施形態において、ライブラリーはVH DP47ライブラリーである。
もう一つの態様は、本発明の変異型重鎖可変ドメイン領域を発現させるための、前記重鎖可変ドメインをコードする一連の核酸配列を含んでなるライブラリーを提供する。
また、本発明のポリペプチドもしくは免疫グロブリン重鎖単一可変ドメインをコードする核酸のライブラリーも提供される。
もう一つの態様において、本発明は本発明に基づくリストもしくはライブラリーを提供するが、前記ライブラリーはCDR領域内にさらに多様性を有するものである。CDR領域内の多様性は、適当な方法によって生じさせることができる。
別の態様において、本発明は、免疫グロブリン単一重鎖可変(VH)ドメインを含むポリペプチドを改変する方法を提供するが、その方法は、VHドメインの56、58、および59位の少なくとも1つのアミノ酸を、置換されたアミノ酸より親水性の高いアミノ酸で置き換えることを含む。
ある実施形態において、その方法は、ポリペプチドの発現力価および/または単量体としての安定性を高める。
別の態様において、本発明は、免疫グロブリン単一重鎖可変(VH)ドメインを含むポリペプチドの発現力価を高める方法を提供するが、その方法は、VHドメインの56、58、および59位の少なくとも1つのアミノ酸を、置換されたアミノ酸より親水性の高いアミノ酸で置き換えることを含む。
別の態様において、本発明は、免疫グロブリン単一重鎖可変(VH)ドメインを含むポリペプチドの、単量体としての安定性を高める方法を提供するが、その方法は、VHドメインの56、58、および59位の少なくとも1つのアミノ酸を、置換されたアミノ酸より親水性の高いアミノ酸で置き換えることを含む。
上記方法のある実施形態において、その方法は、56、58、および59位のうち1つもしくは複数の位置のアミノ酸残基を同定すること、1つもしくは複数の残基の親水性を評価すること、ならびに前記残基の1つもしくは複数を親水性の高い残基で置き換えることを含む。
本発明はまた、本発明のVHドメイン、ポリペプチド、もしくは抗原結合構築物をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明は、このようなポリヌクレオチドを含有する発現ベクター、ならびにそうした発現ベクターを含有する宿主細胞も提供する。
別の態様において、本発明は、本発明のVHドメインもしくはポリペプチドを作製する方法を提供するが、その方法は、VHドメインもしくはポリペプチドの発現をもたらす条件下で宿主細胞を培養することを含む。その方法はさらに、発現されたVHドメインもしくはポリペプチドの精製を含むこともある。ある実施形態において、宿主細胞は、CHO細胞などの哺乳類宿主細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は、大腸菌(E. coli)などの微生物宿主細胞である。
さらに他の態様において、本発明は、VEGFシグナル伝達に関連する疾患、たとえば、がん、および/または、糖尿病性黄斑浮腫、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞もしくは角膜血管新生などの眼疾患に罹患した患者を治療する方法を提供するが、その方法は、有効量の、本明細書に記載のVHドメイン、ポリペプチド、もしくは抗原結合構築物を投与することを含む。
「親」VEGF dAb-Fc分子(DOM15-26-593-Fc)および作製された変異体分子のアミノ酸配列。アミノ酸置換は、下線を付して太字フォントとする。配列番号1から11まで、および配列番号14の配列はそれぞれ、そのC末端にリジン(K)残基を有する。Fc領域のC末端リジンは、発現/翻訳後修飾の際に通常「切り詰められる」。したがって、当然のことながら、C末端リジン残基は、本発明の成熟VHドメインおよびポリペプチドには存在しない可能性がある。言い換えれば、配列番号1から11まで、および配列番号14の配列はいずれも、本明細書に記載のように、図に示されるのに反して残基SPGKではなくSPGで終わる可能性がある、配列番号14参照。 図1−1の続きである。 図1−1の続きである。 1回目の変異のためにバルク-トランスフェクションした集団の増殖曲線。ChK2細胞(人工染色体を保有するCHO-K1sv細胞)を、変異したラムダインテグラーゼをコードするプラスミドとともに、親DOM15-26-593-Fcまたは変異体分子をコードするプラスミドで、バルク-トランスフェクションした。安定なトランスフェクタントがバルクで選択され、500 ml unfed生産曲線に接種された。次の継代で2バッチが接種され、それぞれの分子について2連で接種された。データは、DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N 変異体について、親と比較して、7もしくは8日培養後にdAb-Fc融合収率の増加を示す。G44R、L5Q、およびL108T置換は、この段階で生産性に影響を及ぼさなかった。 1回目の変異のSCCに関するオーバーグロースアッセイ。バルク-トランスフェクションした親DOM15-26-593-Fcおよび変異型細胞株(Y56NおよびY58N、G44R、L5Q、ならびにL108T)を単一細胞クローニングした。その結果得られたクローンは、細胞株増殖特性の相違を説明するために、オーバーグロースアッセイを用いて、24ウェルプレートにスケールアップ後、生産性をアッセイした。DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N変異体のクローンの大部分は、親分子および残りの変異体型より高レベルのdAb-Fc融合体を発現することが認められた。 1回目の変異のSCCの増殖曲線。親DOM15-26-593-Fc分子および変異型を発現するクローン細胞株の、バッチおよび栄養バッチ増殖曲線中のdAb-Fc生産性。DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N変異体は、同等な条件下で親細胞株より2-2.7倍高い力価を有し、発現が大きく増加していた。残りの変異型細胞株からの発現は、親分子について達成されたレベルと同等もしくは低いレベルであった。 図5A-E:変異の生物物理学的性質への影響。CHO細胞で発現されるdAb-Fc変異体は、アガロースベースのプロテインAクロマトグラフィー樹脂を用いて捕捉され、リン酸バッファーpH 7で洗浄され、0.1M酢酸ナトリウムpH 3.5中に溶出された。溶出サンプルの1つはそのままpH 7.0に調整した(「フラッシュ」というラベルを付した)。残りの溶出液は、塩酸を用いてpH 3.0に調整し、次に水酸化ナトリウムを用いてpH 7.0まで漸増して調整し、0.5 pH単位ごとに分析用にサンプルを採取した。(A):プロテインA溶出液のpH調整によるタンパク質損失パーセント。(B):pH上昇時の濁度(pH 3-7にわたるA600測定)。(C):pH 3-7の範囲での凝集%を示すSEC-HPLCデータ解析。(D):示差走査熱量測定法(DSC)により測定されたTm。(E):結合データ(結合%およびBIACORE(登録商標)による親和性)。pH調整データは、DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N変異体のpH 7.0での溶解性の向上を示し、親DOM15-26-593-Fc分子の28-50%と比較して、対応する7-12%のタンパク質損失を示す(図1および2)。凝集レベルは、低pH(3-3.5)では、変異体と親の間でかなり異なる。Tm値は、示差走査熱量測定法で測定すると、親DOM15-26-593-Fcと変異型との間で区別できない。 図5−1の続きである。 図6A-B:2回目の変異体の増殖曲線。バルク-トランスフェクションおよびクローン細胞株は、1回目と同様に2回目の変異体を求めて作製され、生産性は、栄養バッチ増殖曲線で評価した(親を含めて、これらの細胞株からの発現は、1回目のクローンよりかなり低く、おそらくはトランスフェクション効率の低下の結果であることが観察された)。(A)はバルクトランスフェクションのデータを示し、(B)は各変異体のトップのクローン細胞株のデータを示す。56位もしくは58位のチロシン残基の変異はいずれも個別に、dAb-Fc収率を増加させることが判明し、DOM15-26-593-Fc Y58N変異体について、親分子と比べて2倍の生産性の増加が観察された。また、P41R & K43Q & G44R & Y56N & Y58N変異体については、クローンについてのみ、P41R & K43Q & G44R変異体については、バルクトランスフェクションについてのみ、生産性の増加が観察された。 図7A-C:2回目の変異の分子凝集/沈殿に及ぼす影響。捕捉および溶出は図5のように行った。(A):pH上昇時の濁度(pH 3-7にわたるA600測定)。(B) pH 3-7での可溶性タンパク質の損失。(C)凝集%および比活性。 図8A-C:親(WT)およびY56N変異体に関するSEC-HPLCデータ。dAb-Fc変異体は、透析またはpH調整して、pH 3.0から7.8の間の、下流の加工もしくは製剤に通常使用されるバッファーの範囲内となるようにした。(A)および(B) それぞれ25 mMクエン酸ナトリウムおよび30 mM酢酸ナトリウム中で、pH 3.0から4.5の間で、Y56N変異体およびWTに関する、SEC-HPLCによる凝集%の比較。(C) pH6.8から7.8へのpH上昇後の、Y56NおよびWTに関する、SEC-HPLCによる凝集%の比較。すべての状態で、テストしたY56Nは、WT分子と比べて、単量体%の増加を示し、それに対応して凝集%の減少を示した。 図9A-B:親(WT)およびY56N変異体のpH調整後のタンパク質回収パーセント。酢酸ナトリウム、pH 3.0-4.5、中のdAb-Fc変異体を、さまざまなバッファー中でpH 6.8-7.8に調整した。多くのサンプルでかなりの沈殿が観察された。可溶性タンパク質を単離し、回収パーセントを計算した。(A) pH3.0-4.5からpH6.8またはpH7.8までpHを上昇させた後の、WTとY56N変異体の回収率%比較。(B) NaOH、Tris、またはTris含有賦形剤を用いてpH 7.5にpH調整した後のY56NとWTの回収率%比較。いずれの場合も、Y56N変異体の回収率がWTより有意に高く、Y56Nはテストした条件下ですぐれた溶解性を示した。 図10:3回目の変異体に関する発現データおよび生物物理学的性質。3回目の変異型dAb-Fc分子を得るために、3セットのバルクトランスフェクションを行った(各分子について実施されたトランスフェクションのセット数については表の2列目を参照されたい)。その後ポリクローナルプールを作製し、生産性について親分子と比較して栄養バッチ増殖曲線で評価した。3列目で与えられるデータは、それぞれ別のセットのトランスフェクションから得られた平均力価について親と比較した増加%またはその範囲を表す。もっとも高発現のポリクローナルプールを次に単一細胞クローン化し、その結果得られたクローンの生産性を、24ウェルオーバーグロースアッセイを用いて(上記)、ならびに振盪フラスコ内で、栄養バッチ増殖曲線として評価した。親分子および変異体分子の生物物理学的性質を評価するために、捕捉および溶出は図5のように行い、プロテインA溶出液をpH 7に調整したことによるタンパク質損失%を示す。カラム溶出後の凝集レベルも比較する。56位もしくは58位のチロシン残基の、アスパラギン(上記)またはリジン残基のいずれかへの変異はいずれも、dAb-Fc収率を増加させ、分子の溶解性を向上させると判明した。生物物理学的性質の改善はY59N変異体についても観察され、凝集レベルの低下はT57K変異体について観察されたが、これらの分子のクローン株はどちらも親より低いレベルで発現された。 図11:3回目の変異体のpH3から7への調整による可溶性タンパク質の損失。捕捉および溶出は図5の通り。プロテインA溶出液のpH調整による可溶性タンパク質の損失%を示す。 図12A-C:3セットの変異型dAb-Fc分子に関するポリクローナルプールでの発現。さらに3つのdAb-Fc分子のために変異体を作製し、56または58位の残基をアスパラギンで置き換えた。バルクトランスフェクションおよびスケールアップの後、親および変異型分子のそれぞれについて、栄養バッチ振盪フラスコ内のポリクローナルプールで、生産性を評価した。テストしたいずれの分子についても、56位の残基のアスパラギンへの変異は、生産性の増加を示した。15-8および7r29分子については、58位のアミノ酸のアスパラギンへの変異は、やはり親と比べて発現レベルの増強を示した。 図12−1の続きである。図12Cを示す。 図13A-C:3セットの変異型dAb-Fc分子のSCCに関するオーバーグロースアッセイ。バルクトランスフェクションした親および変異型細胞株を単一細胞クローン化した。その結果得られたクローンを、上記のようにオーバーグロースアッセイを用いて24ウェルプレートで生産性について評価した。(A-C) 3つのdAb-Fc分子のすべてについて、X56NおよびY58N変異体は親株より高いレベルで発現することが判明した。 図14A-C:3セットの変異型dAb-Fc分子に関するpH3から7への調整による可溶性タンパク質の損失。捕捉および溶出は図5の通り。プロテインA溶出液のpH調整による可溶性タンパク質の損失%を示す。(A) 15-8野生型および2つの変異体 (B) 7r-29野生型および2つの変異体 (C) 21-23野生型および2つの変異体。 図14−1の続きである。図14Cを示す。 図15:アミノ酸の疎水性親水性指標。Kyte and Doolittle, J Mol Biol. 1982;157:105-132による評価に基づく。 図16:アミノ酸の凝集傾向。Pawar, A.P., Dubay, K.F., Zurdo, J., Chiti, F., Vendruscolo, M. and Dobson, C.M. (2005) Prediction of "aggregation-prone" and "aggregation-susceptible" regions in proteins associated with neurodegenerative diseases. J. Mol. Biol. 350:379-392に基づく。
発明の詳細な説明
特に指定のない限り、本明細書で使用される科学技術用語はすべて、(たとえば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術、および生化学の分野の)当業者に普通に理解されるのと同じ意味を有する。分子、遺伝、および生化学的方法(全般的には、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. およびAusubel et al., Short Protocols in Molecular Biology (1999) 4th Ed, John Wiley & Sons, Inc. を参照されたいが、これらは参考として本明細書に組み入れられる)および化学的方法に関する標準技術が使用される。
本明細書で使用される「免疫グロブリン」は、抗体分子の免疫グロブリンフォールドの特徴を保持する、ポリペプチドのファミリーを指し、それは2つのβシート、ならびに、通常、保存されたジスルフィド結合を含有する。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーは、in vivoで細胞性および非細胞性相互作用の多くの局面に関与しており、これには、免疫系における広範な役割(たとえば、抗体、T細胞受容体分子など)、細胞接着への関与(たとえば、ICAM分子)、および細胞内シグナル伝達(たとえば、PDGF受容体などの受容体分子)が含まれる。本発明は、結合ドメインを有するあらゆる免疫グロブリンスーパーファミリー分子に適用できる。ある実施形態において、本発明は抗体に関する。
本明細書で使用される「ドメイン」は、タンパク質の残りの部分とは独立してその三次構造を保持している、折り畳まれたタンパク質構造を表す。概して、ドメインは、タンパク質の個別の機能的性質の原因となるものであり、多くの場合、タンパク質の残りの部分および/またはドメインの機能を失うことなしに、他のタンパク質に添加、除去、もしくは移動することができる。単一抗体可変ドメイン、もしくは免疫グロブリン単一可変ドメインは、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含んでなる、折り畳まれたポリペプチドドメインを意味する。したがって、それには、完全な抗体可変ドメインおよび改変された可変ドメイン、たとえば1つもしくは複数のループが抗体可変ドメインに典型的でない配列で置き換えられたもの、または末端が切り詰められているか、あるいはNもしくはC末端延長部分を含む抗体可変ドメイン、ならびに全長ドメインの結合活性および特異性を少なくともある程度保持している、可変ドメインの折り畳まれたフラグメントが含まれる。
VH DP-47生殖系列配列は、"DP-47"とも表され、ヒトフレームワークVH3ファミリーに由来する免疫グロブリンドメインである。DP-47 VHは、IGHV3-23またはM99660としても知られるヒト生殖系列可変ドメインである。同様に、VH DP-2生殖系列配列は、"DP-2"とも表され、IGHV1-58またはM29809としても知られるヒト生殖系列可変ドメインである。さらに他のヒト生殖系列VH配列は、Tomlinson et al, J. Mol. Biol. (1992) 227 776-798に記載されており、その内容は全体を本明細書に組み入れる。
「免疫グロブリン単一可変ドメイン」という表現は、異なる、または他のV領域もしくはドメインとは独立して、抗原またはエピトープに特異的に結合する、抗体可変ドメイン(VH、VHH、VL)もしくは結合ドメインを表す。免疫グロブリン単一可変ドメインは、他の可変領域もしくは可変ドメインとともに一定のフォーマット(たとえば、ホモ-もしくはヘテロ-多量体)で存在しうるものであって、この他の領域もしくはドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメインによる抗原結合に必要ではない(すなわち、この免疫グロブリン単一可変ドメインは追加の可変ドメインとは無関係に抗原と結合する)。「ドメイン抗体」もしくは「dAb」は、その用語が本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」である。「単一抗体可変ドメイン」または「抗体単一可変ドメイン」は、その用語が本明細書で使用されると「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、ある実施形態において、ヒト抗体可変ドメインであるが、齧歯類(たとえば、WO 00/29004に記載、その内容は参考として本明細書に組み入れられる)、テンジクザメ、およびラクダ科VHH dAbなどの、他の種に由来する単一抗体可変ドメインも含める。ラクダ科VHHは、自然に軽鎖を欠いた重鎖抗体を生産するラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、およびグアナコを含む種に由来する、免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。ラクダ科VHHはヒト化することができる。それに対応して、ヒトVHをラクダ化することもできる。
抗体重鎖ドメインは、VHまたはVH、VHH、VHH、またはVHHで表される。免疫グロブリン重鎖単一可変ドメインに関する「変異体」は、天然に存在する生殖系列もしくは親免疫グロブリン重鎖のアミノ酸配列を含み、1つもしくは複数のアミノ酸が異なるものである。すなわち、「変異体」は、天然に存在する配列、もしくは変異体が由来する「親」配列と比較して、1つもしくは複数のアミノ酸の相違を含有する。当然のことながら、「親」配列は、天然に存在する免疫グロブリン重鎖単一可変ドメイン配列、生殖系列免疫グロブリン重鎖配列、または目的の抗原に結合することが確認されている免疫グロブリン重鎖単一可変ドメインのアミノ酸配列である。ある実施形態において、親配列は、それぞれWO2005093074およびWO04101790に記載の、4Gまたは6Gライブラリーのようなライブラリーから選択することができる。
「系統」は、同じ「親」クローンに由来する一連の免疫グロブリン単一可変ドメインを表す。たとえば、多数の変異体クローンを含む系統は、親もしくは出発の免疫グロブリン単一可変ドメインから、多様化、部位特異的変異誘発、エラープローンもしくはドープライブラリーの作製によって、作り出すことができる。当然のことながら、結合分子は親和性成熟の過程で生成される。免疫グロブリン軽鎖単一可変ドメインを特定するための適当なアッセイおよびスクリーニング法は、たとえば、WO2010/094723およびWO2010/094722に記載されている。「親」配列としては、DOM15-26-593 (dAb)、およびDOM15-26-593-Fc (dAb-Fc)などの免疫グロブリン単一可変ドメインが挙げられるが、これらはそれぞれWO2008/149147およびWO2008/149150に記載されている。これらの分子は、本明細書にも、配列番号1として記載されている(そのアミノ酸1-116はDOM15-26-593を表し、全配列はDOM15-26-593-Fcを表す)。当然ながら、前記変異体は、CDR配列内に変異を含んでいてもよく、そのような変異は抗原特異性の相違の一因となる。
ある実施形態において、親配列は、溶液状態(たとえば、SECおよび/またはSEC MALLS、またはAUCで測定される)、溶解性、および熱安定性(たとえば、DSCで測定される)などの生物物理学的性質のうち1つもしくはいくつかを改善するように、本発明にしたがって改変することができる。ある実施形態において、変異体は、免疫グロブリン重鎖単一可変ドメイン内の1つもしくは複数のアミノ酸位置にアミノ酸置換を有し、実質的に単量体である。「実質的に単量体である」とは、単一可変ドメインの主な形態が、溶液中で単量体であることを意味する。
溶液状態は、SEC(本明細書に記載)、SEC-MALLS、またはAUC(分析用超遠心)で測定することができる。当然ながら、本発明は(実質的に)純粋な単量体を提供する。ある実施形態において、変異型ポリペプチドは少なくとも70、75、80、85、90、95、98、99、99.5% 純粋、または100% 純粋な単量体である。当然のこととして、単量体状態がSECで測定される場合、変異型ポリペプチド濃度は5から10μMの範囲内とすることができる。
タンパク質の溶解性は、タンパク質表面の性質、およびその、周囲の溶媒との相互作用に依存する。親水性側鎖を有する露出残基は、水性/親水性バッファーとの好ましい相互作用により、溶解性を向上させることができる。溶解性の変化は、たとえばpH、バッファー条件、温度、もしくはタンパク質濃度の変更による、状態の変化に起因すると考えられる。
本明細書に記載のタンパク質の溶解性は、溶液状態に維持されることが可能なタンパク質の量を表す。タンパク質濃度が高くなると、溶液中で沈殿をもたらす可能性があり、それは、透明な溶液から、不透明な、または薄片/粉末を含有する溶液への変化を観察することによって視覚的に認識することができる。これは、溶液中の粒子によって散乱した光の量を測定する、600nmでの吸光度によって評価することができる。また、不溶性タンパク質を、たとえば、濾過もしくは遠心分離によって除去して、残りのタンパク質濃度を280nmでの吸光度によって測定してもよい。これを最初の状態の初濃度と比較することによって、タンパク質損失のパーセンテージ、または可溶性タンパク質のパーセンテージを計算することができる。
本明細書で使用される「抗体」は、自然に抗体を生産する任意の種に由来するか、または組換えDNA技術で作製されたかにかかわらず;たとえば、血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母、もしくは細菌のいずれから単離されたかにかかわらず、IgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgE、またはフラグメント(たとえば、Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、閉構造多重特異性抗体、ジスルフィド結合scFv、ダイアボディ)を表す。
本明細書に記載の「抗原」は、本発明の結合ドメインが結合する分子である。典型的には、抗原は抗体リガンドに結合し、in vivoで抗体応答を引き起こすことができる。抗原はたとえば、ポリペプチド、タンパク質、核酸、もしくは他の分子とすることができる。
本明細書で使用される「標的」という表現は、結合部位を有するポリペプチドドメインが結合することができる、生物学的分子(たとえば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物)を表す。標的は、たとえば、細胞内の標的(たとえば、細胞内タンパク質標的)、可溶性の標的(たとえば、分泌型)、または細胞表面の標的(たとえば、膜タンパク質、受容体タンパク質)とすることができる。当然のことながら、標的は疾病に関与する分子であって、前記標的の本発明の結合分子との結合が、前記疾病の改善もしくは治療に役立つ可能性のある、前記分子である。標的抗原は、ポリペプチド、タンパク質もしくは核酸であるか、またはその一部分とすることができるが、それらは天然に存在しても、合成であってもよい。この点に関して、本発明のリガンドは、標的抗原と結合して、アンタゴニスト、もしくはアゴニストとして機能することができる(たとえばEPO受容体アゴニスト)。当業者には当然のことながら、選択肢は多くさまざまである。それらは、たとえば、ヒトもしくは動物のタンパク質、サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素のコファクター、またはDNA結合タンパク質とすることができる。
ある実施形態において、標的は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFは分泌型でヘパリン結合性のホモ二量体糖タンパク質であって、その一次転写産物の選択的スプライシングに起因して、いくつかの亜型として存在する(Leung et al., 1989, Science 246: 1306)。VEGFは、炎症において重要なプロセスである血管漏出を引き起こす能力のため、血管血管透過性因子(VPF)としても知られている。
したがって、本発明のある態様は、患者においてVEGFシグナル伝達に関わる疾患を治療するための方法であって、その方法は以下のステップ:
a) VEGFシグナル伝達にかかわる疾患を有する患者を特定するステップ;
b) 本発明のVHドメイン、ポリペプチド、または抗原結合構築物を提供するステップ;ならびに
c) 本発明のVHドメイン、ポリペプチド、または抗原結合構築物を患者に投与するステップ;
を含んでなり、それによって患者のVEGFシグナル伝達関連疾患が治療される。
腫瘍形成、転移および再発を促す重要な病態生理学的過程が、腫瘍血管新生である。この過程は、腫瘍によって発現される血管新生因子、たとえばVEGFなどの生成によってもたらされ、それは、栄養物を腫瘍に送り届ける血管の形成を引き起こす。したがって、ある種のがんを治療する方法は、VEGFによってもたらされる腫瘍血管新生を阻害することであり、それによって腫瘍を栄養欠乏にすることである。アバスチン(ベバシズマブ;Genentech, Inc.)は、結腸直腸がんの治療用に認可された、ヒトVEGFと結合するヒト化抗体である。抗体2C3と称される抗体(ATCC寄託番号PTA 1595)は、VEGFと結合して、VEGFと上皮細胞増殖因子受容体2との結合を阻害すると報告されている。現在利用できる治療法によるVEGFの標的化は、すべての患者に有効というわけではなく、すべてのがんに有効なわけでもない。したがって、VEGFが関与するがんおよび他の病的状態、たとえば血管増殖性疾患(例としては、加齢黄斑変性(AMD))を標的とするために、改良された薬剤の必要性が存在する。
VEGFは、炎症性疾患および自己免疫疾患にも関与していた。たとえば、RA(関節リウマチ)患者の滑膜組織でのVEGFの同定は、PAの病理におけるVEGFの潜在的な役割を浮き彫りにした(Fava et al., 1994, J. Exp. Med. 180: 341: 346; Nagashima et al., 1995, J. Rheumatol. 22: 1624-1630)。RAの病理におけるVEGFの役割は、抗VEGF抗体がマウスのコラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルに投与された研究を受けて確実になった。これらの研究において、関節におけるVEGFの発現は疾病の誘導時に増加したが、抗VEGF抗血清の投与は、関節炎疾患の発症を阻止し、すでに罹患している疾患を改善した(Sone et al., 2001, Biochem. Biophys. Res. Comm. 281: 562-568; Lu et al., 2000, J. Immunol. 164: 5922-5927)。したがって、VEGFを標的とすることは、RAおよび他の疾患、たとえば炎症にかかわる疾患および/または自己免疫疾患、の治療にも有益となる可能性がある。
VEGFに高い親和性を有する免疫グロブリン単一可変ドメインが、とくにWO2008/149147に記載されているが、より詳細には、ドメイン抗体DOM15-26-593であって、これは配列番号1のアミノ酸1から116として本明細書に記載のポリペプチド配列を有する。DOM15-26-593は、抗体定常領域のドメインにコンジュゲートしたドメイン抗体の形でWO2008/149150に記載されている(その一例は配列番号1に完全に示される)。WO2008/149147およびWO2008/149150に記載の免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFが関与する疾患の治療もしくは予防に有用な候補である。本発明は、WO2008/149147およびWO2008/149150に記載のDOM15-26-593およびDOM15-26-593-Fc分子の変異体に関する。これらの変異体も、WO2008/149147およびWO2008/149150に記載の疾患のいずれかに治療上有効である可能性がある。より詳細には、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ならびにこれらを含んでなるポリペプチドおよび抗原結合構築物を医学分野で、たとえばがんおよび/または眼疾患、たとえば糖尿病性黄斑浮腫、滲出型AMD(加齢黄斑変性)、糖尿病性網膜症、RVO(網膜静脈閉塞)、もしくは角膜血管新生などの治療のために使用することができることが予想される。
ある実施形態において、本発明のVHドメイン、ポリペプチド、もしくは抗原結合構築物は、有効量を投与すると、VEGFシグナル伝達に関連した疾患を治療もしくは改善するのに有効である。概して、有効量は、約1 mg/kgから約10 mg/kg (たとえば、約1 mg/kg、約2 mg/kg、約3 mg/kg、約4 mg/kg、約5 mg/kg、約6 mg/kg、約7 mg/kg、約8 mg/kg、約9 mg/kg、または約10 mg/kg)である。
本明細書に記載の「エフェクター機能」という用語は、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)による反応、Fcを介した食作用、およびFcRn受容体による抗体リサイクリングのうち1つもしくは複数を指すためにある。IgG抗体について、ADCCおよびADCPを含めたエフェクター機能性は、重鎖定常領域と、免疫細胞の表面上に存在するFcγ受容体ファミリーとの相互作用によってもたらされる。ヒトにおいて、こうした受容体には、FcγRI (CD64), FcγRII (CD32) および FcγRIII (CD16)がある。抗原に結合した抗体とFc/Fcγ複合体形成の相互作用は、細胞傷害性、免疫細胞活性化、食作用、および炎症性サイトカインの放出などの、さまざまな影響を引き起こす。
抗体の定常領域と、さまざまなFc受容体(FcR)との間の相互作用は、抗体のエフェクター機能をもたらすと考えられる。有意な生物学的影響は、エフェクター機能性の結果といえるが、より詳細には、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、補体のfixation(補体依存性細胞傷害作用もしくはCDC)、および抗体の半減期/クリアランスのもたらす結果である。通常、エフェクター機能をもたらす能力は、抗原結合タンパク質の抗原への結合を必要とするが、必ずしもすべての抗原結合タンパク質がすべてのエフェクター機能をもたらすわけではない。
エフェクター機能は、たとえば、FcγRIIIのナチュラルキラー細胞への結合、またはFcγRIの単球/マクロファージへの結合を介した、ADCCエフェクター機能を測定するための方法を含む、いくつかの方法で測定することができる。たとえば、本発明の抗原結合タンパク質は、ナチュラルキラー細胞アッセイでADCCエフェクター機能を評価することができる。このようなアッセイの例は、Shields et al, 2001 The Journal of Biological Chemistry, Vol. 276, p6591-6604; Chappel et al, 1993 The Journal of Biological Chemistry, Vol 268, p25124-25131; Lazar et al, 2006 PNAS, 103; 4005-4010に見いだすことができる。CDC機能を測定するためのアッセイの例には、1995 J Imm Meth 184:29-38に記載のものがある。
ヒト定常領域のアイソタイプ、特にIgG4およびIgG2アイソタイプは、基本的に、a) 古典的経路による補体の活性化;ならびにb) 抗体依存性細胞傷害の機能を欠いている。求めるエフェクター特性に応じて、抗原結合タンパク質の重鎖定常領域にさまざまな改変を行うことができる。特定の変異を含有するIgG1定常領域は、Fc受容体との結合が低下しており、したがってADCCおよびCDCを抑制することが別個に記載されている(Duncan et al. Nature 1988, 332; 563-564; Lund et al. J. Immunol. 1991, 147; 2657-2662; Chappel et al. PNAS 1991, 88; 9036-9040; Burton and Woof, Adv. Immunol. 1992, 51;1-84; Morgan et al., Immunology 1995, 86; 319-324; Hezareh et al., J. Virol. 2001, 75 (24); 12161-12168)。
ある態様において、抗原結合構築物は、本発明のVHドメインに連結された、抗体のFc領域またはその一部を含んでなるか、またはそれらで構成されるか、または基本的にそれらからなる。
別の態様において、抗原結合構築物は、直接または間接的に(たとえば、リンカー配列を介して)、両末端で本発明のVHドメインに連結された、抗体のFc領域またはその一部分からなるか、または基本的にそれらからなる。このような抗原結合構築物は、Fc領域またはその一部分で隔てられた2つのVHドメインを含有することになる。「隔てられる」とは、エピトープ結合ドメインが互いに直接、連結されているのではなく、ある態様では、Fc領域または他の任意のスキャフォールド領域の両端(CおよびN末端)にあることを意味する。ある実施形態において、抗原結合構築物は、それぞれ2つのVHドメインと結合した2つのスキャフォールド領域を含んでなるものであって、たとえば各スキャフォールド領域はそのNおよびC末端で、直接、またはリンカーを介して間接的にVHドメインと結合している。
別の態様において、VHドメインは、Fc領域もしくはその一部分のC末端に、直接、またはリンカーを介して間接的に結合している。その構築物は、融合タンパク質として発現される可能性があり、あるいはスキャフォールドおよびVHドメインは、たとえば化学的結合などの他の手段で、当技術分野でよく知られている方法を用いて連結されることもある。
このようなリンカーは、リンカー"AS"または"GS"とすることができるが、WO2009/068649、WO2010/136482、PCT/EP2011/070868、またはUSSN61/512,138に記載のリンカーから選択されるものであってよく、これらの内容はその全体が本明細書に組み入れられる。
ある実施形態において、VHドメインのC末端はヒトFc領域にコンジュゲートされている。その場合必要に応じて、FcのN末端が可変ドメインのC末端に連結される(直接、連結されていてもよい)。
ある実施形態において、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインもしくはポリペプチドは、「二重特異性リガンド」の一部とすることができるが、この「二重特異性リガンド」は第1の抗原もしくはエピトープ結合部位(第1の免疫グロブリン単一可変ドメイン)および第2の抗原もしくはエピトープ結合部位(第2の免疫グロブリン単一可変ドメイン)を含んでなるリガンドを指しており、それらの結合部位もしくは可変ドメインは、単一特異性免疫グロブリンが通常は結合しない、2つの抗原(たとえば、異なる抗原、または同一抗原の2コピー)と、または同一抗原上の2つのエピトープと、結合する能力を有する。たとえば、2つのエピトープは、同一抗原上にあってもよいが、同一のエピトープではなく、または単一特異性リガンドが結合するほどには近接していない。ある実施形態において、本発明の二重特異性リガンドは、異なる特異性を有する結合部位もしくは可変ドメインからなるが、同じ特異性を有する相互補完的な可変ドメインペア(すなわちVH/VLペア)を含有しない(すなわち、一体となった結合部位を形成しない)。二重特異性リガンド、および二重特異性リガンドの調製に適した方法は、WO 2004/058821、WO 2004/003019、およびWO 03/002609に記載されている。
ある実施形態において、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを用いて、二重もしくは多重特異性組成物または融合ポリペプチド(本明細書では「抗原結合構築物」)を作製することができる。したがって、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを、より大きな構築物の中で使用することができる。適当な構築物には、抗SA免疫グロブリン単一可変ドメイン(dAb)と、モノクローナル抗体、合成医薬品(小分子、NCE)、タンパク質もしくはポリペプチドなどとの融合タンパク質がある。したがって、本発明の抗SA免疫グロブリン単一可変ドメインを用いて、多重特異性分子、たとえば、二重特異性分子、たとえばdAb-dAb(すなわち、一方が抗SA dAbである、2つ連結された免疫グロブリン単一可変ドメイン)、mAb-dAb、またはポリペプチド-dAb構築物などを構築することができる。これらの構築物において、抗SA dAb(AlbudAb(商標名))成分は、血清アルブミン(SA)と結合することによって半減期の延長をもたらす。これらの構築物の作製に適したmAb-dAbおよび方法は、たとえば、WO2009/068649に記載されている。
本発明の免疫グロブリン単一可変(VH)ドメインおよびこれらを含んでなるポリペプチドは、より大きな流体力学的サイズを有するように、たとえば、PEG基、血清アルブミン、トランスフェリン、トランスフェリン受容体もしくは少なくともそのトランスフェリン結合部分、抗体Fc領域を結合させることによって、または抗体ドメインとの結合によって、フォーマットすることができる。
本発明のVHドメインの流体力学的サイズは、当技術分野でよく知られている方法を用いて測定することができる。たとえば、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて、リガンドの流体力学的サイズを測定することができる。リガンドの流体力学的サイズを測定するのに適したゲル濾過マトリックス、たとえば架橋アガロースマトリックスなどは、よく知られており、容易に入手できる。
リガンドフォーマットのサイズ(たとえば、dAb単量体に結合したPEG部分のサイズ)は、求める用途に応じてさまざまとすることができる。たとえば、リガンドが血液循環から出て抹消組織に入ることを目的としている場合、リガンドの流体力学的サイズは、血流からの溢出を促進するように、小さく保たれることが望ましい。あるいはまた、リガンドをより長期間体循環の中にとどまらせることが望ましい場合、リガンドのサイズを、たとえばIg様タンパク質のようにフォーマットすることによって、大きくすることができる。
本発明のVHドメインは、抗血清アルブミンもしくは抗新生児Fc受容体抗体もしくは抗体フラグメント、たとえば、抗SAもしくは抗新生児Fc受容体dAb、Fab、Fab’ もしくはscFv、または抗SA Affibodyもしくは抗新生児Fc受容体Affibodyとコンジュゲートする、または結合させることができる。
WO04/003019およびWO2008/096158は、抗血清アルブミン(SA)結合部分、たとえば、抗SA免疫グロブリン単一可変ドメイン(dAb)を記載しており、これは治療上有用な半減期を有する。これらの文献は、単量体の抗SA dAb、ならびにそのようなdAbを含んでなる多重特異性リガンド、たとえば、抗SA dAb、および、TNFR1などの標的抗原と特異的に結合するdAbを含んでなるリガンドを記載する。2種以上の種に由来する血清アルブミンと特異的に結合する結合部分、たとえばヒト/マウス交差反応性抗SA dAbが記載されている。
WO05/118642およびWO2006/059106は、薬品の半減期を長くするために、抗SA結合部分、たとえば抗SA免疫グロブリン単一可変ドメインを薬物とコンジュゲートさせる、もしくは結合させるという構想を記載する。タンパク質、ペプチド、および新規化学物質(NCE)薬が公開および例示されている。WO2006/059106は、インスリン分泌促進薬、たとえばグルカゴン様ペプチド(GLP-1)などのインクレチンホルモン、の半減期を延長するためにこの構想の使用することを記載する。
Holt et al, “Anti-Serum albumin domain antibodies for extending the half-lives of short lived drugs”, Protein Engineering, Design & Selection, vol 21, no 5, pp283-288, 2008に言及しておく。
本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチド(単一可変ドメイン、融合タンパク質、ポリペプチド、二重特異性リガンド、および多重特異性リガンド)をコードする、単離された、および/または組換えの、核酸分子を提供する。
本発明はまた、本発明の組換え核酸分子を含有するベクターを提供する。ある実施形態において、ベクターは、本発明の組換え核酸に機能しうるように連結された、1つもしくは複数の発現調節エレメントもしくは配列を含有する、発現ベクターである。本発明はまた、本発明の組換え核酸分子もしくはベクターを含有する、組換え宿主細胞を提供する。適当なベクター(たとえばプラスミド、ファジミド)、発現調節エレメント、宿主細胞、ならびに本発明の組換え宿主細胞を作製するための方法は、当技術分野でよく知られており、実施例をさらに本明細書に記載する。
適当な発現ベクターは、いくつかの成分、たとえば、複製開始点、選択可能なマーカー遺伝子、1つもしくは複数の発現調節エレメント、たとえば転写調節因子(プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)および/または1つもしくは複数の翻訳シグナル、シグナル配列、またはリーダー配列などを含有することができる。発現調節エレメントおよびシグナル配列が存在する場合、ベクターまたは他の起源がこれを提供することができる。たとえば、抗体鎖をコードするクローン化された核酸の転写および/または翻訳調節配列を用いて、発現を指示することができる。
プロモーターは、望ましい宿主細胞での発現のために提供される。プロモーターは構成的であっても、誘導的であってもよい。たとえば、プロモーターは、抗体、抗体鎖もしくはその一部分をコードする核酸に機能しうるように連結され、その核酸の転写を指示する。原核生物(たとえば、大腸菌(E. coli)用のlac、tac、T3、T7プロモーター)および真核生物宿主に適したさまざまなプロモーター(たとえば、サルウイルス40初期もしくは後期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、アデノウイルス後期プロモーター)が利用できる。
さらに、発現ベクターは典型的には、ベクターを保持する宿主細胞を選択するための選択可能なマーカーを含んでなり、加えて、複製可能な発現ベクターの場合には、複製開始点を含有する。抗生物質耐性もしくは薬剤耐性を付与する産物をコードする遺伝子は、一般的な選択マーカーであって、原核生物(たとえば、ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)、テトラサイクリン耐性のためのTet遺伝子)および真核細胞(たとえば、ネオマイシン(G418もしくはジェネティシン)、gpt (ミコフェノール酸)、アンピシリン、またはハイグロマイシン耐性遺伝子)に使用することができる。ジヒドロ葉酸還元酵素マーカー遺伝子は、さまざまな宿主においてメトトレキサートによる選択を可能にする。宿主の栄養要求性マーカーの遺伝子産物をコードする遺伝子(たとえば、LEU2、URA3、HIS3)は、酵母の選択マーカーとして使用されることが多い。ウイルス(たとえばバキュロウイルス)もしくはファージベクター、ならびに宿主細胞のゲノムに組み込むことができる、たとえばレトロウイルスベクターなどのベクターの使用も考えられる。哺乳類細胞、および原核細胞(大腸菌)、昆虫細胞(ショウジョウバエ(Drosophila)Schnieder S2細胞、Sf9)、および酵母(P. methanolica、P. pastoris、S. cerevisiae)での発現に適した発現ベクターは当技術分野でよく知られている。
適当な宿主細胞は、たとえば大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtilis)および/または他の適当な細菌などの細菌細胞を含む原核細胞、;真核細胞、たとえば真菌もしくは酵母細胞(例、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、アスペルギルス属菌(Aspergillus sp.)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、アカパンカビ(Neurospora crassa))、または他の下等真核細胞、ならびに高等真核生物の細胞、たとえば昆虫(例、ショウジョウバエ属(Drosophila)Schnieder S2細胞、Sf9昆虫細胞 (WO 94/26087 (O’Connor))、哺乳動物(例、COS細胞、たとえばCOS-1 (ATCC寄託番号CRL-1650)およびCOS-7 (ATCC寄託番号CRL-1651)、CHO (たとえば、ATCC寄託番号CRL-9096、CHO DG44 (Urlaub, G. and Chasin, LA., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77(7):4216-4220 (1980)))、293 (ATCC寄託番号CRL-1573)、HeLa (ATCC寄託番号CCL-2)、CV1 (ATCC寄託番号CCL-70)、WOP (Dailey, L., et al., J. Virol., 54:739-749 (1985)、3T3、293T (Pear, W. S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90:8392-8396 (1993)、NSO細胞、SP2/0、HuT 78細胞など)、または植物(例、タバコ)由来の細胞とすることができる。(たとえば、Ausubel, F.M. et al., eds. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons Inc. (1993)を参照されたい。)ある実施形態において、宿主細胞は、単離された宿主細胞であり、多細胞生物(たとえば、植物または動物)の一部ではない。ある実施形態において、宿主細胞はヒト以外の宿主細胞である。 特定の実施形態において、宿主細胞はCHO細胞である。
ある実施形態において、本発明のポリペプチドもしくは免疫グロブリン単一可変ドメインは、適当な発現系、必要に応じて、CHO細胞に基づく発現系で発現された場合、分泌される。当然のことながら、本発明のアミノ酸置換は、発現の損失をもたらさない。当然のこととして、本発明のアミノ酸置換は発現の増加(すなわち力価の増加)をもたらす。
追加の発現系には無細胞系がある。さらに別の実施形態において、WO2006/018650およびWO2006/046042に記載のような無細胞発現系を用いて、可変ドメインの発現を達成することができる。
本発明の実施形態に適用することができる開示の詳細に関する、WO200708515、161ページ、24行から189ページ、10行に言及しておく。この開示は、それが本明細書の文中に明確に掲載されて、本発明の実施形態に関与するものであるかのごとく、また、下記の請求項に組み入れるべき内容に明確な裏付けを与えるために、参考として本明細書に組み入れられる。これには、「免疫グロブリンに基づくリガンドの調製」、「ライブラリーベクター系」、「ライブラリー構築」、「単一可変ドメインの組み合わせ」、「リガンドの性質検討」、「治療用および診断用の組成物および使用」について、ならびに「機能しうるように連結する」、「ナイーブな」、「予防」、「抑制」、「治療」、「治療上有効な用量」および「有効な」の定義について詳細を提供する、WO200708515、161ページ、24行〜189ページ、10行に示される内容が含まれる。
"CDR"は、抗原結合タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。これは、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には、3つの重鎖および3つの軽鎖CDR(もしくはCDR領域)がある。したがって、本明細書で使用される"CDR"は、3つすべての重鎖CDR、3つすべての軽鎖CDR、重鎖および軽鎖CDRのすべて、または少なくとも2つのCDRを表す。
本明細書を通じて、可変ドメイン配列および全長抗体配列のアミノ酸残基は、Kabatの番号付け規定にしたがって番号を付される。同様に、実施例で使用される“CDR”、“CDRL1”、“CDRL2”、“CDRL3”、“CDRH1”、“CDRH2”、“CDRH3”という用語は、Kabatの番号付け規定に従う。これ以上の情報については、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照されたい。
可変ドメイン配列および全長抗体配列におけるアミノ酸残基について、別の番号付け規定があることは、当業者には明白であろう。CDR配列に関する別の番号付け規定、たとえばChothia et al. (1989) Nature 342: 877-883に記載の規定も存在する。抗体の構造およびタンパク質フォールディングは、他の残基がCDR配列の一部とみなされることを意味し、ならびにそうであることは当業者には当然であると思われる。
当業者が利用できるCDR配列のための他の番号付け規定に、"AbM"(University of Bath)、および"contact"(University College London)法がある。Kabat、Chothia、AbM、およびcontact法のうち少なくとも2つを用いて、重複している最小限の領域を測定し「最小結合単位」を提供することができる。最小結合単位はCDRの小部分とすることができる。
下記の表1は、それぞれの番号付け規則を用いた、各CDRもしくは結合単位の定義を表す。表1ではKabatの番号付けスキームを用いて、可変ドメインアミノ酸配列に番号を付けている。CDR定義の一部は、使用される個々の公表文献によって、変動する可能性があることに留意すべきである。
Figure 2014505698
本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明されるものとする。これらの実施例の目的は、抗VEGF dAb-Fc構築物の生物物理学的性質を改善すること、ならびにそれによって下流の加工処理を軽減することである。ここに提示されるデータはdAb-Fcフォーマットに関するものであるが、これらの知見は異なるフォーマットでのネイキッドdAbまたはdAbに有効であるはずである。
方法:
SECおよびSEC MALLS(多角度光散乱検出器付きサイズ排除クロマトグラフィー)は、溶液中の巨大分子の特徴を明らかにするための非破壊的手法である。SECはタンパク質を分子の大きさで分離し、単量体状態と、二量体、三量体などの凝集した状態とを区分することができる。凝集体は、可逆的もしくは不可逆的であり、共有結合もしくは非共有結合で結びついており、特異的もしくは非特異的相互作用に関与する可能性がある。定義された凝集体は二量体、三量体などとすることができるが、それに限定されない。凝集のレベル、したがって単量体タンパク質%は、そのタンパク質のおかれた状態、たとえばpH、温度、バッファー、タンパク質濃度などに左右される可能性がある。分離後に、タンパク質が光を散乱する傾向を、多角度レーザー光散乱(MALLS)検出器(Wyatt, US)を用いて測定することができる。
示差走査熱量測定(DSC)は、サンプルおよび基準物の温度を上げるのに必要とされる熱量の差を温度の関数として測定する、熱分析の技術である。それは、タンパク質における広範な温度遷移を調べるために使用することができ、融解温度ならびに熱力学パラメーターの測定に有用である。
分析用超遠心(AUC):沈降平衡は溶液分子量を測定するための方法である(たとえば、Lebowitz et al. Protein Science (2002), 11:2067-2079に記載)。
抗VEGF VH dAbの表面露出および分析
VEGF dAb-Fc、DOM15-26-593-Fc(配列番号1)の溶解性を高め、それによって分子の凝集/沈殿する傾向を低下させる試みにおいて、VHドメイン残基は、表面露出および疎水性について評価された。
テンプレートとしてドメイン抗体1OHQ (Jespers et al. 上記)を使用して、Accelrys Discovery StudioでαVEGF dAb [DOM15-26-593]のホモロジーモデルを作製した。溶媒露出度は構造から計算され、配列全体を通じて、疎水性と併せてプロットされた。プロットおよび構造の分析から、凝集に関与する可能性のある溶媒露出疎水性残基として、Tyr56およびTyr58が同定された。さらに、凝集の可能性を配列全域にわたって計算し、溶媒露出度スコアとともに、両者を0から1までの間に標準化した後、結果の2つのスコアを平均するか、または掛け合わせることによって、両者を結び付けた。最終スコアを再び配列に対してプロットすることで、凝集しやすい可能性のある残基としてTyr56およびTyr58が同定されたが、Tyr56が特に顕著であった。これら2つの位置での他のアミノ酸の頻度を、ヒト生殖系列VH遺伝子、およびNCBI IgSeqデータベースから引き出されたすべてのヒトV領域配列の両者について算出した。天然に存在するモノクローナル抗体V領域に高レベルで見られる残基が同定され、それらの疎水性レベルを分析した。親水性残基アスパラギンは、セリン(約40%)に次いで56位で2番目によく見られる残基として同定され(約15%)、58位でもチロシン(約45%)に次いで2番目によく見られる残基として同定された(約22%)ので、観察された凝集を改善する可能性のある復帰突然変異に選択された。
DOM15-26-593 VH ドメイン(配列番号1)
Figure 2014505698
5位および108位(上記下線)のロイシン残基は、表面露出と同定されたので、可能性のある疎水性から親水性への変異の候補であった。さらに3つの疎水性残基が、ヒト生殖系列V領域内で同定された - 44位のグリシン残基およびCDR2の中の2つのチロシン残基(同様に上記で下線を付す)である。
親水性アミノ酸への下記の変異は、V領域において天然に存在するヒト生殖系列変異:L5Q、G44R、Y56N、Y58N、L108Tの分析後に選択された。残基56は第2のCDR領域内にあり、残基58も同様である(ある定義のもとで)ので、これらの残基の変異は、結合/特異性に影響を及ぼす可能性がある。
変異型dAb分子の作製
下記の変異型VH領域を(VH dAb-Fc分子の形で)、配列番号1(配列は図1に示す)のDOM15-26-593-Fc分子における部位特異的変異誘発によって作製した:
1.Y56N & Y58N (配列番号2)
2.L5Q (配列番号5)
3.G44R (配列番号6)
4.L108T (配列番号7)
親(配列番号1)および変異体構築物を、次に、CHROMOS ATVベクターにサブクローニングし(CHROMOS系の説明についてはLindenbaum et al, NAR, 32, e172, 2004を参照されたい)、プールされた(もしくはバルク)CHROMOSトランスフェクション、および次にその単一細胞クローンを、各プラスミドについて作製した。発現、結合、および凝集をそれぞれについて評価した、CHROMOS系は部位特異的組込み系であって、それによって、発現カセットは、宿主細胞内に存在する人工染色体上に部位特異的に組み込まれる。この系を使用することで、異なる分子の発現レベルを直接比較することが可能になるが、それは、ランダムなゲノムの組込に伴う「位置効果」のような影響がないためである。
変異型dAb分子の生物物理学的および機能的分析
配列番号2のDOM15-26-593-Fc Y56N&Y58N変異体(本明細書では「CDR2変異体」とも称される)は、驚くべきことに、発現が野生型より(2-3倍)増加していることが判明した(図2-4)。結合は少し影響を受けただけであり(図5E)、結合カイネティクス(BIACORE(登録商標)による)は、解離定数(Kd)が影響を受けることを示した。残りの変異体(G44R、L5QおよびL108T)は、親分子と同様の発現および結合を示した。
Y56N&Y58N変異体は、親と比較して凝集/沈殿する特性が低下していることが判ったが、L108T変異は、沈殿を増加させることが判明した(図5A-C)。残りの変異体L5QおよびG44Rはより親DOM15-26-593-Fc分子に近い挙動を示したが、G44R変異については生物物理学的性質にわずかな改善は認められた(図5C)。
変異体は、分子表面の親水性を向上させるようデザインされた。残基は、それらの疎水性およびそれらの表面露出度に基づいて変異が選択された。もっとも良好な変異は56位および58位での変異であって、チロシン残基はいずれの位置でもアスパラギン残基で置換された。これは、疎水性のチロシン残基を取り除き、極性の高いアスパラギン残基で置き換えることにより、分子表面の疎水性を低下させるはずである。
疎水性の低下は下流の加工(DSP)データによって支持されるが、そのデータでは、親分子(配列番号1)のYTYモチーフと比較して、DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N変異体分子(配列番号2)については、プロテインAカラムから溶出するためにカラム容積の減少が必要であった - 2倍の相違。このことは、疎水性パッチの露出に起因することが多い非特異的結合が、変異体分子において減少していることを示唆する。
pH 3からpH7まで少しずつ調整する際に、親分子で沈殿が観察された。同様の調整時に、DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N変異体では、観察された沈殿は少なく(pH 7にてWT 40%に対して約10%のタンパク質損失、図5A)、このことは、その分子の生物物理学的性質の向上を示唆する。これは、DOM15-26-593-Fc Y56N Y58N変異体について親と比較して、pHを上げたときのA600吸光度データによって支持される(図5B)。A600は溶液中の微粒子によって散乱する光をモニターするものであって、肉眼で見えない小型の粒子をとらえるだけでなく、目視による観察を定量化するのを助けることができる。さらに、可溶性タンパク質の減少は、pH上昇時に、沈殿およびA600値の増加と相関して観察されたが、それは沈殿がタンパク質で構成されることを示唆する。
SECデータは、どのpHでも(pH 3以外)、残存する可溶性タンパク質の大部分が単量体であって、二量体は少なくオリゴマーもわずかであることを示唆する(図5C)。DLSデータは、高次オリゴマーまたは凝集体について報告するが、それはpHの上昇時に大きなサイズの凝集体が増加することを示唆する(これらは大きすぎてSECカラムに入らない可能性があり、したがって、観測されないのであろう)。このことは、観察された沈殿が凝集の結果としてのものであることを示唆する。安定な二量体はこのプロセスにおいて中間体として形成されないようである。
異なる変異体(図5に示されるWT、CDR2およびL108T)の間で融解温度の低下が観察されないことは、表面の変異の組込みが、分子の立体構造上の折り畳みに影響を及ぼさないか、またはその立体構造の安定性を低下させないことを示唆する。発現レベルの増加は、立体構造の安定性の増加と相関することが多い。この場合は、発現の増加(図2-4)が、立体構造の安定性の増加に起因するとは考えられないので、その代わりに考えられる説明は、疎水性表面が少なくなった結果としての、細胞内の凝集した/ミスフォールドした分子種レベルの減少であるが、それはタンパク質の耐性がより高いことを意味する。
驚くべきことには、L108T変異体は、WTと比べて挙動の悪化を示した(図5A-C)。L5QはWTに非常に類似しており、G44Rはおそらく小さな改善を示した(図5CのSEC-HPLCデータを参照されたい)。
変異型dAb分子の第2のセットの作製
Y56NもしくはY58N置換は単独で、その分子が結合についてわずかに妥協することもなく、好ましい生物物理学的性質を保持するのに十分であるかどうかを判断するために、CDRH2内に存在する2つのチロシンアミノ酸を個別に置換することが決定された。G44R変異の影響を調べるために、さらに、この置換をY56N Y58N置換と組み合わせることも決定された。
それに加えて、本発明者らは、CDR2およびG44R(フレームワーク2にある)の2つの変異がヒト生殖系列VH DP-2配列に自然に存在すると判明したことを観察したが、親DOM15-26-593-Fcは、ヒト生殖系列DP-47配列に基づいている。2つの生殖系列中のフレームワーク2配列の解析は、41位および43位でさらに2つの相違を明らかにしたので、以下に下線を付す:
Figure 2014505698
DOM15-26-593-Fcのフレームワーク2をDP-2のそれに本質的に変更するために、G44R置換を、P41R(疎水性から親水性)およびK43Q(両方とも親水性)置換と組み合わせた。さらに、その結果得られた「フレームワーク2」変異体を、Y56N Y58N置換とも組み合わせた。
最終的に、コンピューターによる解析は(フレームワーク3内の)79位のチロシン残基を強調した。DP-2およびDP-47配列の両方で、このチロシンは保存されているが、他のヒト生殖系列VH配列では、バリンもしくはセリン残基がこの位置にある。Y79S置換を含有する6番目の変異体も作製され、このフレームワーク内の変異が分子の凝集/沈殿に影響を及ぼすかどうか確認した。
したがって、作製された6つの新たな変異体は下記の通りである;
1. Y56N (配列番号3)
2. Y58N (配列番号4)
3. G44R & Y56N & Y58N (配列番号8)
4. P41R & K43Q & G44R (配列番号9)
5. P41R & K43Q & G44R & Y56N & Y58N (配列番号10)
6. Y79S (配列番号11)
その結果得られたデータは、Y56NおよびY58N変異体がいずれも、親より高い発現を維持し(図6)、CDR2変異体が有する改善された生物物理学的性質を保持する(図7)ことを示したが、このdAb-Fc分子の場合、結合を完全に保持したのはY56N変異体だけであった。
精製された変異体のpH 7.0溶解度は、Y79Sを除いてすべての事例で得られた(図7B)。MS溶出液pH 4の結合ELISAデータは、Y56NおよびY79Sに関する100%の活性に対して、Y58N変異体、およびG44R & Y56N & Y58N変異体については60%の活性を示す(図7C)。したがって、Y56Nが、クロマトグラフィーおよびpH調整ステップの間、最小限の産物損失で、結合および溶解性の基準を満たすので、さらに検討するために選択された。
興味深いことに、Y79S変異体は、低pHで改善された性能を示したが、これはpH 7では低下した(図7)。Y56N及びY58NはP41R及びK43Q及びG44Rと組み合わせられたときにも、やはり改善された特性を示した(図7参照)。
野生型(WT)分子と比較したY56N変異体の生物物理学的性質
Y56N変異体および野生型(WT)分子を、下流の加工処理もしくは製剤の中で経験する可能性のある幅広いpH、バッファー、およびバッファー濃度条件の範囲にわたって、さらに性質検討した。
生物物理学的分析は、たとえばpH 3.0から4.5までのクエン酸もしくは酢酸バッファーのように、アフィニティカラムからの溶出時に経験する可能性のある低pHでサンプルについて実施した。2つの分子の間の主な相違は、SEC-HPLCデータに見られたが、それは、WTとくらべてY56N変異体に見られる凝集%の減少を、いずれも25mMクエン酸ナトリウムおよび30mM酢酸ナトリウムバッファー中で、測定したすべてのpHで示した(図8AおよびB)。酢酸ナトリウムバッファー中で、WTはpHに対して感受性を示し、凝集レベルはpHの上昇に伴って増加したが、そうしたことはY56N変異体については観察されなかった。
100mM酢酸ナトリウムバッファー中のサンプルであって、pH3もしくはpH4.5であるか、またはpH4.5をpH3に調整した後pH4.5に戻した(4.5→3→4.5と標記)前記サンプルを、次に、30mMリン酸ナトリウム、pH6、0.75Mショ糖バッファー中で透析し、3つの異なる塩濃度(0、0.1および0.2M NaCl)で評価した。Y56N変異体はWTと比較して、SEC-HPLCで凝集体含量の減少を示した(図8C)。NaClの影響は見られなかった。WT分子も、pH 3.0で断片化(約1%)の証拠を示した。Y56N変異体分子には断片化は見られなかった。
30mMリン酸ナトリウム、pH6、0.75Mショ糖中のサンプルを次に、希釈およびpH調整により、10mMリン酸ナトリウム、0.25Mショ糖、pH 6.8、または20mMリン酸ナトリウム、0.5Mショ糖、pH 7.8に調整し、続いてサンプルの濃度を約8mg/mlとした。サンプルを再度、さまざまなNaCl濃度(0、0.5、および1M NaCl)で分析した。2つの分子はいずれも、このステップで沈殿を示したが、それは低pH値では見られなかった。WTサンプルについてはすべて顕著で持続的な沈殿が観察され、それが、Y56N変異体と比較して非常に低い回収率につながった(図9A)。Y56N変異体分子の場合、沈殿はWTとくらべてそれほどひどくなく、Y56N変異体の20mMリン酸ナトリウム、pH7.8サンプルでは沈殿はまったく見られなかった。すべてのY56Nサンプルについて残存する可溶性物質は、DLSで、非常に大きな粒子(>70nm)の存在を示したWTとは異なり、凝集していなかった。可溶性物質のSEC-HPLC分析は、図8AおよびBに見られるように同様の傾向を示し、WTはY56Nと比べて凝集の増加を示した(図8C)。
酢酸ナトリウムpH4.5中のWTおよびY56Nのサンプルはどちらも、さまざまなバッファーを用いてpH7.5に調整した。pH調整時に、顕著で持続的な沈殿がWT分子について観察され、最大溶解度は<1mg/mlであった。Y56N変異体はWTより大いに改善された溶解性を示し、>85%という回収率の大きな増加をもたらした(図9B)。
要約すると、テストしたすべての条件で、Y56N変異体はWT分子より少ない凝集を示した。pH 6より上での溶解性は変異体に比べてWTでは非常に低かったので、全体として、WTは、分子にマイナスの影響を及ぼすpH変化に対して変異体より感受性が高い。
変異型dAb分子の第3のセットの作製
変異体の3番目のシリーズは、DOM15-26-593-Fc分子の生物物理学的性質に及ぼすアミノ酸変異の影響をさらに検討するためにデザインされた。
始めに、Y56NおよびY58N変異体の改善された発現プロフィールおよび生物物理学的性質が、疎水性残基から親水性残基への変異に起因することを確認するために、本発明者らは、これらの位置の両方にリジン残基を有する変異体をデザインした。Y58K変異体は、ヒト生殖系列VH領域内に自然に見られるものである。これらの位置にリジン残基を含有する変異体は、アスパラギン残基よりも好ましいかもしれないが、それはアスパラギン残基が脱アミド化する可能性があるためである。
加えて、発現に及ぼす追加的影響の可能性を検討するために、DP2フレームワーク置換(P41R & K43Q & G44R)およびY56N変異体を組み合わせた。
野生型と比べてY79S変異体の溶解性の増加が、pH 3-6の間で観察された(図7)が、分子はpH7で沈殿することが示された。したがって、親水性を高めた変異体Y79Kは、分子の溶解性に及ぼすその他の改善の可能性を検討するためにデザインされた。
さらに2つの変異体、T57KおよびY59Nも、野生型および変異型分子のバイオインフォマティクス解析にしたがってデザインされたが、凝集に関与する可能性がある残基として同定されている。最初の変異体は、ヒト生殖系列VH領域に自然に存在する。
したがって、作製されたこの第3シリーズの変異体分子は、下記の通りである:
1. Y56K (配列番号15)
2. Y58K (配列番号16)
3. P41R, K43Q, G44R, Y56N (配列番号17)
4. Y79K (配列番号18)
5. T57K (配列番号19)
6. Y59N (配列番号20)
Y56KおよびY58K変異体はいずれも親分子より高い発現を示し(図10)、その上いずれの分子も、親分子ならびにY56NおよびY58N変異体と比較して改善された生物物理学的性質を有することが判明した(図10-11)。P41R、K43Q、G44R、Y56N分子も、親分子と比べて、ポリクローナルプールで発現の増加を示したが、これはY56N変異体単独よりもかなり低かったので、この変異体はそれ以上分析しなかった(図10)。
Y59N変異体は、単一細胞クローニングの後、親と比べて発現レベルの減少を示した;この分子はpH 3-7の間で溶解性の改善を示したが、タンパク質損失の増加がpH 5で観察された(図10-11)。
Y79S変異体に関する前のデータは、親分子と比べて低pHでの溶解性の改善を示した(図8)。同じ残基のリジンへの変異(Y79K)は、発現レベルの改善を示さなかったが、凝集レベルの低下、およびpH 7での溶解性の改善を示した(図10)。
T57K変異体は発現の低下を示し、溶解性の改善は示さなかったが、凝集レベルの低下を示した(図10)。
そのほかに発現もしくは生物物理学的性質のいかなる改善も、テストした残りの変異体については観察されなかった(図10-11)。
3セットの56位および58位に変異を有する変異型dAb分子の作製
DOM15-26-593-Fc分子のY56NおよびY58N変異体について観察される、発現および生物物理学的性質の改善から、他のdAb-Fc構築物を推定できるかどうかを判断するために、これらの位置にアスパラギンへの変異を有する3セットの変異体分子を作製した。3つの親分子のうち2つは、56位に疎水性残基、グリシンおよびトリプトファンを有することが判明しているが、3番目はこの位置にアルギニンを含有する。3つの親分子はすべて58位にチロシン残基を有する。
したがって、親分子を含めて、3セットの変異体分子は下記の通りである:
1a.) 15-8 wt 2a.) 7r-29 wt 3a.) 21-23 wt
1b.) 15-8 R56N 2b.) 7r-29 W56N 3b.) 21-23 G56N
1c.) 15-8 Y58N 2c.) 7r-29 Y58N 3c.) 21-23 Y58N
DOM15-26-593-Fc分子および変異体に関して、3セットの分子はすべて、CHROMOS系を用いてバルクでトランスフェクトされ、生産性はポリクローナルプールとして振盪フラスコ内で評価された。その結果得られたdAb-Fc分子の生物物理学的性質もこの段階で評価した。最初の生産性選抜の後、ポリクローナルプールは単一細胞クローニングされ、24ウェルオーバーグロースアッセイにより発現レベルを比較した。
図12AおよびBに示すように、Y58N変異は、15-8および7r-29分子のポリクローナルプールでの発現を親分子より増加させた。3つのdAb-Fc分子のすべてについて、56位ののアミノ酸のアスパラギンへの変異は、親よりも発現を増加させることがわかった(図12 A-C)。しかしながら、21-23分子については、Y58N変異体は親と比べて発現の低下を示した(図12 C)。
単一細胞クローニング後、24ウェルオーバーグロースアッセイで、変異型dAb-Fc分子のすべてがそれぞれの親分子よりも高いレベルで発現することが判明した(図13 A-C)。
ポリクローナルプールから得られた材料の分析は、15-8分子について、2つの変異体がいずれも親と比べてpH 5-7の間で改善された溶解性を有すると判明したことを示した(図14A)。7r-29については、Y58N変異体分子も、このpH範囲で野生型と比べて改善された溶解性を示した;しかしながら、56位のトリプトファン残基のアスパラギンへの変異だけが、pH 5およびpH 7での溶解性を改善した(図14B)。最後に、21-23分子の2つの変異体は、pH 5で改善された溶解性を示すことが判明し、Y58N変異体もpH 7で溶解性の増加を示した(図14C)。
本明細書において、本発明は、明確で簡潔な明細書が書けるように、実施例に準拠して説明されている。実施形態を、本発明から離れることなくさまざまに組み合わせ、または分離することができることは、意図されており、当然のことである。
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Claims (29)

  1. ヒト生殖系列フレームワークを有するVHドメインを含んでなる親ポリペプチドの変異体であって、その変異体が、アミノ酸56、57、58、59、および79位のうち少なくとも1つの置換により親ポリペプチドのVHドメインとは異なるVHドメインを含んでおり、変異型ポリペプチドの前記の少なくとも1つのアミノ酸位置にあるアミノ酸は、置き換えられた親ポリペプチドのアミノ酸より親水性が高く、または凝集傾向が低い、前記変異体。
  2. 少なくとも1つのアミノ酸が、置換されたアミノ酸より親水性が高い、請求項1に記載の変異体。
  3. 少なくとも1つのアミノ酸が、置換されたアミノ酸より低い凝集傾向を有する、請求項1または2に記載の変異体。
  4. 変異体が親ペプチドと比較して、生物学的発現系において発現の増加を示す、請求項1、2、または3に記載の変異体。
  5. 置換が56、58、および79位のうち少なくとも1カ所である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の変異体。
  6. 置換がアミノ酸56、58、および59位のうち少なくとも1カ所である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の変異体。
  7. 置換がアミノ酸56および58位のうち少なくとも1カ所、または両方である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の変異体。
  8. 置換がアミノ酸56位である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の変異体。
  9. 前記の変異型ポリペプチドの少なくとも1つのアミノ酸位置にあるアミノ酸が、ヒトVH生殖系列配列の対応する位置にあるアミノ酸である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の変異体。
  10. ヒトVH生殖系列配列が、VH3サブグループから選択される、請求項9に記載の変異体。
  11. 親ポリペプチドがヒトDP-47生殖系列フレームワークを有し、前記の少なくとも1つのアミノ酸が、ヒトDP-2生殖系列配列の対応する位置にあるアミノ酸で置換されている、請求項9または10に記載の変異体。
  12. 配列番号3または配列番号4のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1〜11のいずれか1つに記載の変異体。
  13. 配列番号1のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなるVHドメインであって、そのVHドメインのY56、T57、Y58、Y59、およびY79位の残基のうち少なくとも1つが、親水性の高い残基、または凝集傾向の低い残基で置換されている、前記VHドメイン。
  14. 配列番号3または配列番号4のアミノ酸1-116のアミノ酸配列を含んでなる、請求項13に記載のVHドメイン。
  15. 請求項1〜12のいずれか1つに記載の変異体ポリペプチド、または請求項13もしくは14に記載のVHドメインに連結されたタンパク質スキャフォールドを含んでなる、抗原結合構築物。
  16. タンパク質スキャフォールドが、ヒト抗体定常領域の少なくとも1つのドメインを含んでなる、請求項15に記載の抗原結合構築物。
  17. タンパク質スキャフォールドがFcドメインを含んでなる、請求項16に記載の抗原結合構築物。
  18. 配列番号3または配列番号4のアミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチド。
  19. 請求項1〜11のいずれか1つに記載の変異体VHドメイン、または請求項15〜17のいずれか1つに記載の抗原結合構築物を含んでなるライブラリー。
  20. 標的抗原に結合する能力を有するVHドメインを含んでなるライブラリーであって、そのアミノ酸56、57、58、59、および79位のうち少なくとも1つは多様化されておらず、前記の少なくとも1つのアミノ酸位置は、Kyte/Doolittleスケールに基づいて-1.0未満の親水性を有する残基、またはpH 7で-2.12未満の凝集傾向(Pawarらによる)を有する残基から選択される、前記ライブラリー。
  21. 56位および58位のうち少なくとも一方は多様化されていない、請求項20に記載のライブラリー。
  22. 56位および58位のうち少なくとも一方がアスパラギンまたはリジン残基である、請求項20または21に記載のライブラリー。
  23. アミノ酸56位が多様化されていない、標的抗原に結合する能力を有するVHドメインを含んでなるライブラリー。
  24. 請求項19〜23のいずれか1つに記載のライブラリーから得られた、またはそれに由来する、VHドメイン抗体。
  25. ヒトVHドメインを含むポリペプチドを改変する方法であって、その方法が、VHドメインの56、57、58、59、および79位の少なくとも1つのアミノ酸を、置換されたアミノ酸より親水性の高いアミノ酸、または凝集傾向の低いアミノ酸で置き換えることを含む、前記方法。
  26. 前記の少なくとも1つの置換が、生物学的発現系におけるVHドメインの発現を増加させる、請求項25に記載の方法。
  27. 前記の少なくとも1つの置換が、VHドメインの生物物理学的性質を改善する、請求項25または26に記載の方法。
  28. 56、57、58、59、および79位のうち1つもしくは複数の位置のアミノ酸残基を同定するステップ、1つもしくは複数の残基の親水性を評価するステップ、ならびに前記残基の1つもしくは複数を親水性の高い残基で置き換えるステップを含む、請求項25、26、または27に記載の方法。
  29. 56、57、58、59、および79位のうち1つもしくは複数の位置のアミノ酸残基を同定するステップ、1つもしくは複数の残基の凝集する傾向を評価するステップ、ならびに前記残基の1つもしくは複数を凝集傾向の少ない残基で置き換えるステップを含む、請求項25、26、または27に記載の方法。
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