JP2015137656A - 制振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】片持梁状の従来構造の制振装置において、その制振効果が一層高められた、改良された構造の制振装置を提供する。
【解決手段】長手板状とされたばね部材14の一方側が振動体12に固定される基部28とされている一方、該ばね部材14の他方側がマス取付部30とされており、該マス取付部30に対してマス部材16が固定されていると共に、該マス取付部30から突出して該振動体12に当接される減衰体18が設けられている制振装置10において、下式に示される条件を何れも備えている。
2≦W/(X+H/2)≦6
0.8≦H/X≦2.5
W=マス部材16の幅寸法
X=マス部材16の取付面から減衰体18の振動体12への当接面までの高さ寸法
H=マス部材16の高さ寸法
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば建築物の床などに取り付けられて衝撃に伴う音や振動を低減するために用いられる制振装置に関するものである。
従来から、住宅などの建築物において、床の衝撃音などが問題になる場合がある。特に、複数階建ての集合住宅などでは、上階での歩行や飛び跳ね等に伴う床面への衝撃入力による音や振動が階下の天井に伝搬され易く、階下の住人に不快感を与えるおそれがあった。
そこで、床の衝撃音を低減するための手段として、例えば、床の裏面に制振装置を取り付けることが提案されている。この制振装置は、例えば特開2010−230031号公報(特許文献1)に記載されているように、長手板状とされたばね部材の一端側が床などの振動体に取り付けられる一方、ばね部材の他端側にマス部材が取り付けられた片持梁状の構造とされている。
そして、制振装置の共振周波数が、制振対象である床の振動の周波数に合わせるようにチューニングされる。これにより、床に対して歩行や飛び跳ねなどによる衝撃力が及ぼされると、床の振動エネルギーが制振装置の振動エネルギーに変換されて制振効果が発揮され、衝撃音が低減されることとなる。
ところが、本発明者が検討したところ、制振装置の共振周波数を床の振動周波数に合わせるチューニングを高精度に施した場合でも、満足できる制振効果を得難い場合のあることが判った。
特開2010−230031号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題とするところは、特許文献1に示される如き片持梁状の従来構造の制振装置において、その制振効果が一層高められた、改良された構造の制振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
先ず、前述の如き従来構造の制振装置における問題点に鑑み、本発明者が多くの実験と検討を行った結果、従来構造を制振装置を装着した場合に、床材において本来制振すべき振動とは異なる周波数域で振動状態が悪化する場合があり、これが十分な制振効果を安定して得難いことの大きな原因の一つであることを把握した。そして、このような振動状態の悪化は、制振すべき振動とは異なる別モードの振動が制振装置に生ぜしめられることに因るとの知見を得るに至った。
すなわち、一般に、建築物の床材の振動は鉛直上下方向の振動モードを有することから、制振装置のばね部材は、床材に固定された基部から先端のマス取付部側に向って水平方向に延びるようにして装着される。その際、長手板状とされたばね部材は、曲げ変形される板厚方向が上下方向となるように、板面が水平方向に広がる状態で取り付けられることとなる。ところが、床材への振動荷重の入力位置は定まっておらず、荷重入力位置が支持点間の中央から外れると振動変位方向が鉛直上下方向から傾斜する。また、床材は二次元的に水平方向に広がって周囲を支えられていることから、複数方向の上下振動が重なって単純な上下方向の振動モードとならず、鉛直上下方向から傾斜した振動モードを生じ易いことが判った。
そして、このような傾斜方向の振動が、床材から制振装置に及ぼされると、ばね部材に対して単純な曲げ方向の振動変形だけでなく、捩り方向の振動変形が生ぜしめられることとなる。ばね部材は、捩り方向において本来の曲げ方向とは異なる固有振動数等の振動特性を有していることから、制振装置における捩り方向の共振作用などによって振動増幅されることがあり、それが床材に対して加振源となることにより床材の振動状態が悪化してしまうおそれがあったのである。
ここにおいて、本発明の第一の態様は、長手板状とされたばね部材の一方側が振動体に固定される基部とされている一方、該ばね部材の他方側がマス取付部とされており、該マス取付部に対してマス部材が固定されていると共に、該マス取付部から突出して該振動体に当接される減衰体が設けられている制振装置において、以下の(式1)及び(式2)に示される条件を何れも備えていることを、特徴とする。
2≦W/(X+H/2)≦6・・・(式1)
0.8≦H/X≦2.5 ・・・(式2)
ただし、Wはマス部材の幅寸法であり、Xはマス部材の取付面から減衰体の振動体への当接面までの高さ寸法であり、Hはマス部材の高さ寸法である。
このような第一の態様に従う構造とされた制振装置においては、上記(式1)を満たすことにより、ばね部材の弾性中心軸に直交する方向におけるマス部材の寸法となる幅寸法を、振動体に当接される減衰体の支持点を基準位置としたマス部材の重心の高さ寸法を参照値として考慮して適切に設定して、マス部材の揺動を伴うばね部材の捩り振動を抑えることができる。即ち、マス部材の幅寸法Wを、マス部材の重心の高さ寸法(X+H/2)に対して、2より小さく設定すると、マス部材自体の高さ寸法が幅寸法に比して大きくなり過ぎて幅方向に横揺れし易くなることに起因してばね部材の捩り振動が生じやすい傾向になる。一方、マス部材の幅寸法Wを、マス部材の重心の高さ寸法(X+H/2)に対して、6より大きく設定すると、マス部材自体の幅寸法が高さ寸法に比して大きくなり過ぎて幅方向の横揺れが生じた際の慣性力が大きくなることに起因してばね部材の捩り振動が収まり難く且つ大きくなりやすい傾向になる。しかも、2≦W/(X+H/2)≦6の範囲を逸脱すると、マス部材が、幅方向に比して高さ方向に大きくなり過ぎたり、反対に高さ方向に比して幅方向に大きくなり過ぎて、マス部材の配設用スペースが非効率的になってしまうという問題もある。
また、上記(式2)を満たすことにより、基準位置からマス部材の取付面までの高さ寸法(X)に対するマス部材自体の高さ寸法(H)を適切に設定することができ、上記(式1)と併せて、マス部材の揺動を伴うばね部材の捩り振動を一層効果的に抑えることができる。なお、基準位置からマス部材の取付面までの高さ寸法(X)は、実質的に減衰体の高さ寸法を略表すものと把握することができる。即ち、H/Xの値が0.8より小さくなると、マス部材の大きさに比して減衰体の高さ寸法が大きくなり過ぎて、ばね部材の捩り振動に対する減衰体による減衰効果を得難くなることに起因して、ばね部材の捩り振動が大きくなるおそれがある。一方、H/Xの値が2.5より大きくなると、減衰体の大きさに比してマス部材の高さ寸法が大きくなり過ぎて、減衰体の下方に位置するマス部材の首振り状の揺動に対して十分な減衰力が発揮され難くなることに起因して、ばね部材の捩り振動が大きくなるおそれがある。
従って、上記(式1)と(式2)の条件を併せて満たすことにより、長手板状のばね部材における捩り変形が抑えられることとなり、その結果、制振装置における捩りの振動モードのピークが抑えられる。これにより、意図しない捩りモードの振動増幅作用に起因して振動体の振動状態が低下してしまう不具合が効果的に抑制され得て、制振装置において本来目的とするばね部材の曲げ方向に及ぼされる上下方向振動に対する制振効果によって、振動部材に対する良好な制振性能が発揮されるのである。
なお、本態様においてより好適には、下式を併せて満足するように設定される。
1≦W/(X+H)≦5
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された制振装置であって、前記ばね部材において高さ方向に突出して長手方向に延びる補強リブが幅方向に離隔して複数形成されていると共に、該補強リブの高さ寸法が前記基部よりも前記マス取付部において小さくされているものである。
第二の態様によれば、例えば平板形状等のばね部材に比して、高さ方向に突出する補強リブによって捩り方向のばね剛性が効果的に増大され得る。それ故、ばね部材の捩り変形量を抑えたり、制振装置の捩り方向の固有振動数を問題にならない高周波数域にチューニングしたりすることで、制振装置における捩りモードの振動に起因する問題を一層効果的に防止することが可能になる。
特に、ばね部材の先端側に位置するマス取付部に装着されたマス部材の揺動を伴って生ぜしめられる捩り振動に際して、大きな曲げモーメントが作用する基部側の補強リブ高さを、先端側よりも大きくすることにより、不必要に補強リブを大形化することなく捩り振動を効率的に抑制することが可能になる。しかも、先端側の補強リブの大きさを抑えることで、ばね部材の曲げ方向のばね特性を要求される制振作用の周波数特性に応じてチューニングする際の自由度も有利に確保され得る。なお、基部側の補強リブ高さと先端側の補強リブ高さとの割合は、以下の第三の態様に示す要件を満たすことが望ましい。
本発明の第三の態様は、第二の態様に記載された制振装置であって、前記補強リブにおいて、前記基部側の最大の高さ寸法h0と前記マス取付部側の最小の高さ寸法h1とが下式に示される条件を備えているものである。
0.2≦h1/h0<1・・・(式3)
第三の態様によれば、ばね部材の基部における剛性を相対的に大きくすることができると共に、マス取付部における剛性を相対的に小さくできることから、床材とばね部材が強固に固定され得ると共に、ばね部材の振動変形も安定して実現され得る。
本発明の第四の態様は、第二又は第三の態様に記載された制振装置において、前記ばね部材が長手方向に延びる凹溝を有する溝形断面形状とされており、該凹溝の両側壁部によって前記補強リブが構成されているものである。
第四の態様によれば、補強リブを一体的に備えた構造のばね部材をプレス加工等で容易に且つ良好な生産性をもって製造することが可能になる。
本発明の第五の態様は、第四の態様に記載された制振装置において、前記凹溝の両側壁部が、該凹溝の開口側に向って次第に拡幅するように両外側へ傾斜していると共に、該両側壁部の開口側の端縁部から両側外方に向って広がるフランジ状部が形成されており、該フランジ状部に対して前記マス部材が載置されているものである。
第五の態様によれば、両側のフランジ状部によってマス部材を安定して支持せしめることができると共に、溝開口部に向って相互に拡開方向へ傾斜した凹溝の両側壁部により、ばね部材における断面二次モーメントを一層効果的に確保することが出来て、捩り変形の抑制効果の向上が図られ得る。
本発明の第六の態様は、第二〜第五の何れか一つの態様に記載された制振装置において、前記ばね部材における前記基部と前記マス取付部との間に連結部が設けられており、該基部と該マス取付部とにおいて前記補強リブが略一定の高さ寸法で長手方向に延びていると共に、該連結部において該補強リブの高さ寸法が長手方向に変化しているものである。
第六の態様によれば、基部とマス取付部との間に連結部を設けたことにより、例えば基部とマス取付部における補強リブの高さ寸法を略一定にして、振動部材へ固定される基部の剛性を安定して確保すると共に、マス取付部におけるマス部材の支持強度を安定して得ることが可能になる。
本態様における連結部では、例えば長手方向の中間部分に一つ以上の段差部を設けて該段差部の両側で補強リブの高さ寸法を長手方向に異ならせる他、補強リブの高さ寸法を長手方向で漸次に変化させて異ならせることも可能である。特に、補強リブの高さ寸法を次第に変化させる場合には、以下の第七の態様に示す要件を満たすことが望ましい。
本発明の第七の態様は、第六の態様に記載された制振装置において、前記連結部における前記補強リブの高さ方向の端縁部が、下式を満たす傾斜角度θで長手方向に傾斜しているものである。
0°<θ≦90°
なお、本態様において、ばね部材の長手方向における補強リブの傾斜角度θは、連結部の長さ方向で一定とされている他、長さ方向で部分的に又は段階的に或いは連続的に異ならされていても良い。
本発明の第八の態様は、第一〜第七の何れか一つの態様に記載された制振装置において、前記マス部材の重心位置が、前記基部よりも前記マス取付部側に設定されているものである。
第八の態様によれば、マス部材によるばね部材の変形阻害を回避しつつ、マス部材をその重心位置近くでばね部材に対して安定して固定することが可能になる。即ち、ばね部材がマス部材によって不必要に拘束されてしまうことを回避するためには、ばね部材において基部を先端側へ外れた位置へマス部材を固定することが必要になる。本態様に従えば、特別なブラケット等を必要とすることなく、ばね部材のマス部材による拘束を回避しつつ、マス部材を略重心位置においてばね部材に対して容易に固定することが可能になる。
本発明の第九の態様は、第一〜第八の何れか一つの態様に記載された制振装置において、前記ばね部材が長手方向に延びる凹溝を有する溝形断面形状とされており、該ばね部材の長手方向の中間部分において該凹溝の底壁部に傾斜が付されて該凹溝の深さ寸法が次第に変化せしめられている一方、該凹溝の開口端縁部が全体に亘って同一平面上に延びているものである。
第九の態様によれば、溝形とされたばね部材の底壁部側に傾斜が付されることにより、基部において該底壁部の外面を振動体に重ね合わせて固定することで装着できると共に、かかる装着状態下で、マス取付部と振動体との間に減衰体の配設スペースを効率的に確保することも可能になる。
また、凹溝の開口端縁部が全体に亘って同一平面上に延びていることから、かかる開口端縁部において、マス部材を安定して支持する支持面を容易に形成することも可能となる。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた制振装置においては、長手板状のばね部材における捩り変形が抑えられることにより、意図しない捩りモードの振動増幅作用に起因して振動体の振動状態が悪化してしまう不具合が防止される。その結果、本来目的とする振動に対する制振作用が効率的に発揮されることとなり、振動部材に対して一層優れた制振効果が達成される。
本発明の第一の実施形態としての制振装置の正面図。 図1に示す制振装置の平面図。 図1のIII−III断面図。 図3のIV−IV断面図。 図1に示す制振装置を構成するばね部材の基部の横断面図。 図1に示す制振装置を構成するばね部材のマス取付部の横断面図。 図1に示された構造の制振装置における周波数の振動特性を測定した具体例を参考例と併せて示すグラフ。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明に従う構造とされた制振装置の実施形態としての建築用のダイナミックダンパ10が示されている。なお、図1中の仮想線は、ダイナミックダンパ10が装着される振動体としての建築物の床材12を示す。また、以下の説明において、上下方向とは、特に説明がない限り、床材12の裏面への装着状態で略鉛直上下方向となる図1中の上下方向を言う。
本実施形態のダイナミックダンパ10は、図1〜4に示されているように、ばね部材としての板ばね14と、板ばね14に取り付けられるマス部材16および減衰体としての当接ゴム18とを、備えている。
板ばね14は、略水平方向に広がって図1中の左右方向にのびる長手板状を呈している。板ばね14は、鉄や鋼、アルミニウム合金等の金属で形成されることが望ましいが、合成樹脂等で形成しても良い。本実施形態の板ばね14は、金属製であって、平板形状の素板に打抜き加工とプレス加工を施すことによって形成されている。
また、板ばね14は、長手方向に延びる凹溝20が下方に向って開口する溝形横断面形状とされている。即ち、板ばね14の幅方向中央部分には、底壁部として上底部22が設けられていると共に、上底部22の幅方向両端縁部から下方に向って立ち上がる両側壁部24,24が形成されている。
換言すれば、板ばね14には、上方に突出して長手方向に延びる補強リブが一対形成されており、板ばね14の幅方向(図3中の左右方向)両側に所定距離を隔てて対向配置されている。本実施形態では、これらの補強リブの上端縁部が相互に接続されて凹溝20が形成されている。即ち、一対の補強リブが両側壁部24,24により構成されていると共に、両側壁部24,24の上端縁部が上底部22により接続されて凹溝20が構成されている。
そして、これら両側壁部24,24は、上底部22から溝開口側に向って次第に拡幅するように両外側へ傾斜角α(図5参照)で傾斜している。また、両側壁部24,24における溝開口側の端縁部には、凹溝20の外側に向って略水平方向に広がるフランジ状部26,26が形成されている。
なお、両側壁部24,24における溝開口側の端縁部は、全長に亘って同一平面上に延びている。それにより、両側壁部24,24の端縁部から広がるフランジ状部26,26は、その全体が同一平面上に広がっている。また、板ばね14の凹溝20の開口面は、一つの水平面をもって広がっていると共に、フランジ状部26,26は、板ばね14の長手方向の全長に亘って略一定の幅寸法で凹溝20の幅方向に広がっている。
さらに、板ばね14の凹溝20は、板ばね14の長手方向で深さ寸法が変化せしめられており、図1中の左側の深さ寸法に比して、右側の深さ寸法が小さくされている。従って、補強リブを構成する凹溝20の両側壁部24,24も、図1中の左側の高さ寸法に比して右側の高さ寸法が小さくされている。
特に本実施形態では、板ばね14の図1中の左側端部から所定長さに亘る領域が、図5に示されるような、最大の溝深さ寸法h0を有して一定横断面形状でのびる深溝形状の基部28とされている。一方、板ばね14の図1中の右側端部から所定長さに亘る領域が、図6に示されるような、最小の溝深さ寸法h1を有して一定横断面形状でのびる浅溝形状のマス取付部30とされている。なお、かかるh0およびh1は以下の数式を満たすことが好ましい。
0.2≦h1/h0<1・・・(式3)
さらに、板ばね14の長手方向において基部28とマス取付部30との間に挟まれて位置する中間部分は、基部28の溝深さ寸法h0からマス取付部30の溝深さ寸法h1にまで変化する深さ変化部を有する連結部32とされている。なお、本実施形態の連結部32は、その全長が深さ変化部とされており、長手方向の一方の端部から他方の端部に向って連続的して漸次に深さ寸法が変化せしめられている。即ち、板ばね14の基部28とマス取付部30においては、何れも、側壁部24,24の高さ寸法が板ばね14の長手方向の全長に亘って略一定とされていると共に、基部28とマス取付部30の中間に位置する連結部32では、高さ寸法が板ばね14の長手方向で変化するようにされている。
これにより、板ばね14の基部28の上底部22aが、最も鉛直方向上方に位置して略水平に広がる床材12への取付面とされている。また、板ばね14の連結部32の上底部22bが、傾斜して広がる傾斜面とされている。更にまた、板ばね14のマス取付部30の上底部22cが、基部28の上底部22aよりも鉛直方向下方に所定距離だけ下がった位置で略水平に広がる装着面とされている。
ここにおいて、基部28に対する連結部32の傾斜角θ(図1参照)は、0°<θ≦90°に設定されることが好ましい。換言すれば、連結部32における補強リブ24の端縁部が0°<θ≦90°の角度をもって板ばね14の長手方向に傾斜していることが好ましい。なお、θが90°とされる場合は、連結部32において鉛直方向の段差が設けられており、板ばね14の基部28とマス取付部30は段差を有する連結部32で連結される。
そして、板ばね14の基部28において、取付面22aが、建築物の床材12の下面に重ね合わされて、複数のボルト孔34に挿通される固定ボルトにより板ばね14が床材12に対して固定されるようになっている。このような装着状態下では、板ばね14のマス取付部30の装着面22cが、床材12から所定距離だけ離隔して対向位置せしめられるようになっている。
また、板ばね14のマス取付部30には、装着面22cに対して当接ゴム18が重ね合わされて、装着面22cから上方に向って突出する状態で固着されている。当接ゴム18は略円錐台形状とされており、大径側の基端面には略段付円柱形状とされた係止突起36が突設されている。そして、かかる当接ゴム18が大径側の基端面において装着面22cに重ね合わされると共に、係止突起36の大径頭部が、マス取付部30の上底部22cに設けられた係止孔38に挿通係止されることにより、板ばね14に対して当接ゴム18が固着されている。
そして、当接ゴム18の高さ寸法が、板ばね14における基部28の上底部22aとマス取付部30の上底部22cとの高さ寸法差よりも大きくされることで、ダイナミックダンパ10の装着状態下で当接ゴム18の先端面が所定の押圧力をもって床材12の下面に押し付けられるようになっている。
また一方、板ばね14のマス取付部30には、凹溝20の開口側からマス部材16が重ね合わされて、フランジ状部26,26に対して当接状態で固定されている。マス部材16は鉄等の比重の大きな金属により好適に形成され得て、本実施形態では円柱形状とされている。そして、マス取付部30のフランジ状部26,26にはボルト孔40,40が形成されており、これらのボルト孔40,40にボルトが挿通されることにより、マス取付部30に対してマス部材16が固定されている。
かくの如き構造とされたダイナミックダンパ10は、装着状態下において床材12の上面に加えられる歩行等に際しての衝撃振動が基部28に作用せしめられると、実質的に片持構造をもって支持されていることから、マス取付部30が上下に振動することとなる。即ち、マス部材16が板ばね14を介して床材12に弾性支持されており、板ばね14の弾性変形によってマス部材16が床材12に対して上下に相対変位可能とされている。そして、板ばね14と当接ゴム18をばね成分とすると共に、マス部材16の質量をマス成分とするマス−バネ共振系がダイナミックダンパ10によって構成されて、床材12に付加されている。
また、当接ゴム18が板ばね14と床材12の間に配設されて、床材12の裏面に当接されており、本実施形態では板ばね14と床材12の間で軸方向に圧縮されている。なお、当接ゴム18は、軸方向に圧縮されることなく床材12の裏面に接触(0タッチ)していても良いし、床材12の裏面に対して下方に離隔していても良い。
そして、上階で人が飛び跳ねる等して、床材12に上下方向の振動が入力されると、床材12の振動エネルギーがダイナミックダンパ10の振動エネルギーに変換されて吸収される。これにより、床材12の振動が低減されて、階下への振動エネルギーの伝搬が低減されることから、階下に伝搬される音が低減されるようになっている。なお、図中には示されていないが、一般的に、床材12に対して複数のダイナミックダンパ10が分散して取り付けられる。好適には、それら複数のダイナミックダンパ10におけるマス部材16の質量の総和が、床材12の質量に対して、5%〜20%程度とされることで、制振効果を有効に得ることができる。
ここにおいて、本実施形態の制振装置10では、各部位の寸法が下式で表される要件を満足するように設定されており、それによって、捩り方向の振動モードを小さく抑えて、上下方向となる片持梁構造の曲げ振動モードによる床材における上下振動に対する制振効果を効率的に発揮し得るようにされている。
2≦W/(X+H/2)≦6・・・(式1)
0.8≦H/X≦2.5 ・・・(式2)
ただし、Wはマス部材16の幅寸法(図2参照)であり、Xはマス部材16の取付面から当接ゴム18の床材12への当接面、要するに当接ゴム18の上面までの高さ寸法であり、Hはマス部材16の高さ寸法である(図1参照)。
すなわち、ダイナミックダンパ10におけるマス取付部30においては、マス部材16の重量に比して、当接ゴム18とマス取付部30の重量が十分に小さくされていることから、ダイナミックダンパ10におけるマス取付部30の高さ方向における重心位置は、当接ゴム18の床材12への当接面から(X+H/2)だけ下方に位置している。ここにおいて、上記(式1)のように、W/(X+H/2)の値が2以上、且つ6以下の範囲に設定されることにより、板ばね14が安定して上下方向に振動せしめられて、ダイナミックダンパ10の制振作用が効果的に発揮され得る。蓋し、マス部材16および当接ゴム18を含むマス取付部30は、全体として扁平形状とされているが、W/(X+H/2)が6より大きくなると、形状が扁平になり過ぎて、板ばね14が振動する際に上下方向以外の捩り振動が生じやすくなるおそれがあるからである。また一方、W/(X+H/2)が2より小さくなると、ダイナミックダンパ10におけるマス取付部30の高さ方向における重心位置に対して、マス取付部16の幅寸法Wが十分に確保できないことから、板ばね14が振動する際に上下方向以外の捩り振動が生じやすくなるおそれがあるからである。
また、上記(式2)のように、(H/X)の値が0.8以上、且つ2.5以下に設定されることにより、板ばね14が安定して上下方向に振動せしめられて、ダイナミックダンパ10の制振作用が効果的に発揮され得る。蓋し、(H/X)の値が0.8より小さいと、マス部材16における十分な質量の確保が困難となり、板ばね14が振動する際に上下方向以外の捩り振動が生じやすくなるおそれがあるからである。また一方、(H/X)の値が2.5より大きいと、マス部材30の質量が大きくなり過ぎることにより上下方向以外の捩り振動が生じやすくなって、板ばね14の安定した上下振動に影響を及ぼすおそれがあるからである。
このように上記(式1)および(式2)を満たすように数値を設定することにより、捩れモードでの振動が抑えられることから、本来目的とする鉛直上下方向の曲げモードでの振動状態の安定化が図られ得る。それ故、図7に示されているように、捩れモードの固有振動域でのゲインを低減させて、鉛直モード(曲げモード)でのゲインの増大を図ることが可能になり、本来の鉛直方向の床振動に対して、制振装置の捩れモードの共振等による阻害を抑えつつ、床材の振動に対して一層優れた制振効果を得ることが可能となるのである。なお、図7では、参考例として、上記(式1)の要件を満足しない制振装置の測定データを併せ示す。
また、上述の要件を満たすことによって捩り振動が有効に抑えられることは、図7に示す実測結果からも明らかである。なお、この実測では、本実施形態に示された構造のダイナミックダンパ10を用いており、マス部材16の質量は何れも3.5kgとした。また、板ばね14の他、マス部材16や当接ゴム18の材質は同じものを用いて、それらマス部材16、当接ゴム18、板ばね14の形状だけを変更した。なお、比較例として、要件を満たさない制振装置についても同様な測定を行った結果を、以下の[表1]に併せ示す。
なお、[表1]中においては、(式1),(式2),および(式3)の数値範囲を満たすものが太字で示されていると共に、捩れモードの加速度ゲインと鉛直モードの加速度ゲインとの比によって、制振効果を◎,○,△,×で評価した。即ち、鉛直モードの加速度ゲインが捩れモードの加速度ゲインの3倍より大きいものを非常に効果があるものとして◎で、2倍より大きく3倍以下のものを効果があるものとして○で、1倍より大きく2倍以下のものを僅かに効果があるものとして△で、1倍以下のものを効果がないものとして×で評価した。
上記[表1]に示されるように、(式1)および(式2)の数値範囲を両方満たす実施例1〜4のダイナミックダンパでは、捩れモードの加速度ゲインが小さく抑えられると共に、鉛直モードの加速度ゲインが比較的大きな数値とされることから、板ばね14の捩り振動が抑えられ、効果的に上下方向に振動して、安定した制振効果が得られるものと推測される。一方、(式1)および(式2)の少なくとも一方の数値範囲を満たさない比較例1〜6のダイナミックダンパでは、捩れモードの加速度ゲインが比較的大きな値とされるとともに、鉛直モードの加速度ゲインが小さな数値とされることから、捩り振動が生じやすく、効果的な制振作用が得られないものと推測される。
また、本実施形態のダイナミックダンパ10では、床材12に取り付けられる基部28の剛性を大きくすると共に、実質的に振動により弾性変形するマス取付部30の剛性を小さくすることが好適である。ここにおいて、本実施形態の板ばね14は同一の材質で一体形成されていることから、かかる剛性の差をそれぞれの溝深さ寸法で実現している。そして、基部28における溝深さ寸法h0とマス取付部30における溝深さ寸法h1は、前記(式3)を満たしていることが好ましい。蓋し、h1/h0が0.2より小さいと、基部28に比してマス取付部30が薄くなり過ぎることから、板ばね14がばねとしての機能を発揮し得ず、ダイナミックダンパ10の制振効果を得られないからである。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、連結部32は長さ方向全長に亘って連続的に深さ寸法が変化していたが、前述のようにθ=90°として、板ばねの長さ方向の中間部分に段差を設けることも可能である。また、板ばねの長さ方向において、これら連続的に深さ寸法が変化する部分と段差部分とが複数設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、板ばね14が溝型断面形状とされて補強リブとしての側壁部24,24が一体形成されていたが、板ばねとして平板形状を採用すると共に、別体で形成した縦板状の補強リブを溶着等で設けてもよい。
更にまた、前記実施形態の如き板ばね14の幅方向両側に離隔した補強リブ24,24に替えて、或いは加えて板ばねの幅方向中間部分を長手方向に延びる補強リブを採用しても良い。
さらに、マス部材や減衰体の具体的形状も限定されない。例えばマス部材として例示の円形ブロック形状の他、楕円形のブロック形状や矩形のブロック形状などの任意の形状が採用可能である。なお、マス部材において、重心位置は基部よりもマス取付側に位置していることが好適であり、これにより板ばねのばね機能が安定して発揮されて、ダイナミックダンパによる制振作用も効果的に得ることができる。
また、減衰体とマス部材の取付位置は、必ずしも同じにする必要はなく、ばね部材の長手方向で相互に異なる位置に減衰体とマス部材を装着することも可能である。更にまた、要求される特性に応じて、複数の減衰体や複数のマス部材も適宜に装着することができる。なお、マス部材を複数装着する場合には、マス部材の幅寸法Wとして、複数のマス部材の幅方向における両側の最外端間の距離を採用する一方、マス部材の高さ寸法Hとして、複数のマス部材の高さ方向における平均値を採用する。また、マス部材の重心位置は、幅方向において、ばね部材の弾性主軸を含む鉛直面上に位置するようにされる。
更にまた、建築物への装着状態も例示のものに限定されない。例えば、床材が傾斜している場合には、傾斜した床面に沿ってばね部材が延びるように傾斜して配設することも可能であるし、また、建築物の壁材の振動低減を目的とする場合には、ばね部材が鉛直に広がる壁材に沿って延びる状態で鉛直方向や垂直方向に配設され得る。尤も、本発明に係る制振装置は、前記実施形態の如き建築物に装着されるダイナミックダンパに限定されず、振動を抑制するための各種制振装置として採用され得る。
さらに、板ばねの表面にゴム弾性体を被着形成して、減衰性能を付加的に調節することも可能である。また、減衰体の内部に粘性流体を封入して流動抵抗による減衰効果を利用することも可能である。
更にまた、前記実施形態では、板ばね14は溝形断面形状とされて、長手方向において溝深さを異ならせることにより、板ばね14の長手方向における剛性を変化させていたが、板ばねの長手方向で幅寸法や板厚を異ならせることにより剛性を変化させてもよく、また、溝形断面形状である必要もない。
10:ダイナミックダンパ(制振装置)、12:床材(振動体)、14:板ばね(ばね部材)、16:マス部材、18:当接ゴム(減衰体)、20:凹溝、22:上底部(底壁部)、22a:上底部(取付面)、22b:上底部(傾斜面)、22c:上底部(装着面)、24:側壁部(補強リブ)、26:フランジ状部、28:基部、30:マス取付部、32:連結部

Claims (9)

  1. 長手板状とされたばね部材の一方側が振動体に固定される基部とされている一方、該ばね部材の他方側がマス取付部とされており、該マス取付部に対してマス部材が固定されていると共に、該マス取付部から突出して該振動体に当接される減衰体が設けられている制振装置において、
    下式に示される条件を何れも備えていることを特徴とする制振装置。
    2≦W/(X+H/2)≦6
    0.8≦H/X≦2.5
    W=マス部材の幅寸法
    X=マス部材の取付面から減衰体の振動体への当接面までの高さ寸法
    H=マス部材の高さ寸法
  2. 前記ばね部材において高さ方向に突出して長手方向に延びる補強リブが幅方向に離隔して複数形成されていると共に、該補強リブの高さ寸法が前記基部よりも前記マス取付部において小さくされている請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記補強リブにおいて、前記基部側の最大の高さ寸法h0と前記マス取付部側の最小の高さ寸法h1とが下式に示される条件を備えている請求項2に記載の制振装置。
    0.2≦h1/h0<1
  4. 前記ばね部材が長手方向に延びる凹溝を有する溝形断面形状とされており、該凹溝の両側壁部によって前記補強リブが構成されている請求項2又は3に記載の制振装置。
  5. 前記凹溝の両側壁部が、該凹溝の開口側に向って次第に拡幅するように両外側へ傾斜していると共に、該両側壁部の開口側の端縁部から両側外方に向って広がるフランジ状部が形成されており、該フランジ状部に対して前記マス部材が載置されている請求項4に記載の制振装置。
  6. 前記ばね部材における前記基部と前記マス取付部との間に連結部が設けられており、該基部と該マス取付部とにおいて前記補強リブが略一定の高さ寸法で長手方向に延びていると共に、該連結部において該補強リブの高さ寸法が長手方向に変化している請求項2〜5の何れか1項に記載の制振装置。
  7. 前記連結部における前記補強リブの高さ方向の端縁部が、下式を満たす傾斜角度θで長手方向に傾斜している請求項6に記載の制振装置。
    0°<θ≦90°
  8. 前記マス部材の重心位置が、前記基部よりも前記マス取付部側に設定されている請求項1〜7の何れか1項に記載の制振装置。
  9. 前記ばね部材が長手方向に延びる凹溝を有する溝形断面形状とされており、該ばね部材の長手方向の中間部分において該凹溝の底壁部に傾斜が付されて該凹溝の深さ寸法が次第に変化せしめられている一方、該凹溝の開口端縁部が全体に亘って同一平面上に延びている請求項1〜8の何れか1項に記載の制振装置。
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