JP2015169242A - 振動低減装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】慣性マスの振動を抑制できる振動低減装置を提供する。【解決手段】エンジンと車体との間を連結するロッドと、ロッドに支持された慣性マスをロッド内で所定方向に往復動させるアクチュエータと、ロッドの振動を検出する振動検出手段と、アクチュエータを制御する制御手段とを備え、制御手段は、ロッドの振動に基づいて、ロッドの所定方向への変位の速度に比例した力を発生させるようアクチュエータを制御する第1制御モードと、振動検出手段を用いて慣性マスの振動を推定し、慣性マスの振動に基づいてアクチュエータを制御する第2制御モードとを切り替える。【選択図】 図1

Description

本発明は、振動低減装置に関するものである。
エンジンに取り付けられる第1ブッシュと、車体側に取り付けられる第2ブッシュと、これら一対のインシュレータを連結するトルクロッドと、このロッドに支持された慣性マスと、この慣性マスをロッドの軸方向に往復動させるアクチュエータと、このアクチュエータをロッドの軸方向変位の速度に比例した力を発生させるように制御する制御手段とを備えた振動低減装置において、エンジン回転速度がエンジン回転の基本次数の加振力周波数と慣性マスの共振周波数とが一致するエンジン回転速度の場合には、ゲインを低下させ、ロッドの軸方向変位の速度に対するアクチュエータが発生する力の割合を低下させる振動低減装置が開示されている(特許文献1)。
特開2012−57680号公報
しかしながら、例えば、トルクの大きいエンジンに上記の振動低減装置を適用した場合には、エンジン回転の基本次数の加振力周波数と慣性マスの共振周波数とが一致するときにアクチュエータの加振力を抑える制御だけでは、慣性マスの振動を十分に抑制できないという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、慣性マスの振動を抑制できる振動低減装置を提供することである。
本発明は、アクチュエータを制御する制御手段により、ロッドの振動に基づいて、ロッドの所定方向への変位の速度に比例した力を発生させるようアクチュエータを制御する第1制御モードと、慣性マスの振動を推定しつつ慣性マスの振動に基づいてアクチュエータを制御する第2制御モードとを切り替えることによって上記課題を解決する。
本発明は、エンジンの回転により慣性マスの振動が大きくなるような場合には、アクチュエータの加振力を発生する制御モードに切り替えることで、慣性マスの振動の減衰を増加させているため、慣性マスの振動を抑制できる。
本発明の実施形態に係る振動制御装置のブロック図である。 図1に示す振動制御装置において、周波数(Hz)に対する慣性マスの振動変位の特性をグラフである。 図1のトルクロッドの物理モデルを説明するための図である。 図1のコントローラの制御手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る振動制御装置において、コントローラの制御手順を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る振動制御装置において、コントローラの制御手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
本発明の実施形態に係る振動低減装置は、ロッドの振動を抑制するための装置である。振動低減装置は、図1に示すように、トルクロッド200、アクチュエータ10、加速度センサ21、及びコントローラ22を備えている。アクチュエータ10は、慣性マス11をトルクロッド200に対して相対的に移動させることで、トルクロッド200の振動を抑制する。
トルクロッド200は、車体とエンジンとの間に連結されるロッドであって、エンジンから車体への伝達する振動を低減する構造を有している。トルクロッド200は、ロッド軸部201と、ロッド端部202、203とを備えている。ロッド軸部201は、筒状に形成され、円筒状のロッド端部202の中心点から、円筒状のロッド端部203の中心点に向く方向を軸心とする。ロッド軸部201には、アクチュエータ10を取り付けるための空洞が形成されている。
ロッド端部202は、ロッド軸部201の一端に設けられている。ロッド端部202は筒状に形成されており、外筒202a、内筒202b、及び弾性体202cを備えている。外筒202a及び内筒202bは円筒状に形成されている。弾性体202cは、外筒202aと内筒202bの間に介在されている。弾性体202cは、例えば弾性ゴムで形成され、減衰性をもっている。内筒202bの筒状の孔が、ボルトの挿入孔となる。そして、ロッド端部202は、ボルトによりエンジンに取り付けられている。
ロッド端部203は、ロッド軸部201の他端に設けられている。ロッド端部203の基本構造は、ロット端部202と同様の構成であり、外筒203a、内筒203b、及び弾性体203cを備えている。ロッド端部203は、ボルトにより車体に取り付けられている。
アクチュエータ10がトルクロッド200に取り付けられた状態で、トルクロッド200は、エンジンと車体との間に取り付けられる。エンジンの振動は、主にロッド軸部201の軸心に沿って伝わる。このとき、アクチュエータ10は、慣性マス11をトルクロッド200に対して相対的に移動させる。相対的な移動方向は、ロッド軸部201の軸心に沿う方向である。これにより、トルクロッド200の振動が抑制される。
また、エンジンの曲げ、捩れの共振振動(以下、エンジン弾性共振振動とも称す)を効率よく抑制するために、トルクロッド200は、ロッド軸部201の軸心に沿う方向の共振周波数(以下、ロッド共振周波数とも称す)が設定されている。
エンジン弾性共振周波数は、エンジン弾性共振振動の共振周波数であり、一般的な車両用エンジンの場合には、280〜350Hz程度である。一方、ロッド共振周波数は、トルクロッド200の特性により決まる剛性共振周波数であり、ロッド軸部201及びロッド端部202、203の質量により決まる。また、ロッド共振周波数は弾性体202c、203cの特性にも依存する。
そのため、本例では、ロッド共振周波数がエンジン弾性共振周波数より低くなるように、弾性体202c、203cの特性と、ロッド軸部201及びロッド端部202、203の質量、剛性等を規定している。これにより、本例は、エンジントルクを支持するトルクロッド200において、ロッド軸部201の軸方向への振動を抑制でき、車室内の騒音を低減できる。
次に、アクチュエータ10の構成を説明する。アクチュエータ10は、慣性マス11と、板バネ12と、コア13と、コイル14と、磁石16と、シャフト17とを備えている。なお、アクチュエータ10の構成は、図1に示す構成に限らず、例えばボビンなどの他の構成も備えている。
慣性マス11は、アクチュエータ10のアウタ部材(可動子)に相当し、インナ部材に対して前後方向(スラスト方向:図1のy方向)に相対的に往復動するように、板バネ12を介してインナ部材に支持されている。慣性マスの移動方向は、シャフト17の軸方向(図1のy方向)と同一である。慣性マス11は、積層鋼板等を有している。
板バネ12は、磁石16と慣性マス11との間に、慣性マス11の移動軸方向と垂直方向(図1のx方向)に所定間隔をもち、それぞれ同一の軸心となるように配置され、インナ部材と慣性マス11とを連結している。
コア13、コイル14及び磁石16が、インナ部材に相当する。コア13は、インナコアとなる複数の板状の積層鋼板により構成されている。複数の積層鋼板の中心部には、シャフト17を挿入するための挿入孔が設けられている。コア13は図示しないボビンで覆われている。
コイル14は、ボビンを介してコア13に巻き付けられている。コイル14は、通電により磁界を発生させて、慣性マス11を往復動させるためのコイルである。コイル14は、シャフト17の中心軸(図y方向に沿う軸心)に対して対象となる位置に配置されている。また、コイル14のコイル面(図1のyz面)の中心線(x方向に沿う線)と、コイル14のコイル面(図1のyz面)の中心線(x方向に沿う線)は同一である。
磁石16は、慣性マス11に対して所定の間隔を空けつつ、ボビンに支持されている。シャフト17は、ロッド軸部11の筐体内に収容されたアクチュエータ10を、ロッド軸部11の筐体内で支持するための部材であって、筒状に形成されている。シャフト17は、コア13の挿入孔に挿入されつつ、接着剤等でコア11を固定している。またシャフト17の端部は、例えばボルト等でトルクロッド200に固定されている。
加速度センサ21は、ロッド軸部201の側面に取り付けられており、トルクロッド200の軸方向(ロッド軸部201の中心軸)の振動の加速度(軸方向変位の角度)を検出する。加速度センサ21は、トルクロッド200のピッチング振動に対して感度の低い位置であって、トルクロッド200の重心の付近に設けられている。これにより、ロッド軸方向への振動に対する振動の検出精度を高めることができる。
コントローラ22は、加速度センサ21で検出された加速度を用いて、所定の演算式により、トルクロッド200の軸方向への速度(軸方向変位の速度)を演算する。そして、コントローラ22は、演算したトルクロッド200の変位の速度に比例した力(加振力)を発生させる。
クランク角センサ23は、エンジン回転速度(エンジン回転数)を検出するためのセンサである。クランク角センサ23の検出値は、コントローラ22に出力される。なお、図1では、クランク角センサ23の検出値がコントローラ22に直接出力されるように記載されているが、実際には、クランク角センサ23の検出値はエンジンを制御するためのエンジンコントローラに出力される。そして、コントローラ22はCAN通信により、エンジンコントローラから検出値を取得する。
ここで、慣性マス11及びトルクロッド200の各共振周波数と、振動変位について説明する。
近年、エンジンのダウンサイズに伴い、V型6気筒エンジンで発生したトルクを、4気筒エンジンで発生させて、エンジンをペンデュラムで搭載する場合がある。そして、このようなエンジンでは、1気筒当たりに要求されるトルクも大きくなるため、エンジンの振動も大きくなる。本例は、車体とエンジンとの間にトルクロッド200を連結しつつ、上記のように、ロッド共振周波数をエンジン弾性共振周波数より低くしている。そのため、エンジン回転速度が、ロッド共振周波数に相当する回転速度よりも十分に高い場合には、トルクロッド200により車室内への騒音を低減できる。
一方、エンジン回転速度(4気筒エンジンでは、回転の2次の加振周波数)が、トルクロッド200の共振周波数(以下、ロッド共振周波数とも称す)と一致する場合には、トルクロッド200の共振に起因する振動が、車室内に伝わるおそれがある。特に、このような振動は、車両の加速時に、コモリ音として車室内に伝わる。そのため、本例では、エンジン回転速度が、コモリ音として伝わるような回転速度帯域内にある場合には、トルクロッド200の振動に基づいてアクチュエータ100で加振力を加えることで、ロッド軸部201の軸方向への振動を抑制している。
また、上記のとおり慣性マス11は、板バネ12の金属バネ等でトルクロッド200に支持されており、慣性マス11の共振周波数(以下、慣性マス共振周波数とも称す)は、ロッド共振周波数より低くなる、慣性マス共振周波数は、多くの場合、例えば25〜35Hz前後となる。4気筒エンジンで支配的な回転2次の加振力では、エンジン回転速度(2次)が例えば750rpmとなり、慣性マス共振周波数の帯域と一致する。言い換えると、4気筒エンジンのアイドル回転速度2次の振動周波数が、慣性マス共振周波数、又は、慣性マス共振周波数を含む帯域内で一致する。すなわち、エンジンの常用回転域の範囲内に、慣性マスの共振周波数が存在するため、特にアイドリング時には、慣性マス11の振動変位が大きくなる。
図2に、周波数(Hz)に対する慣性マス11の振動変位の特性をグラフで示す。図2に示すように、慣性マス11の振動変位は、慣性マス共振周波数(fa)で最も高くなる。ロッド共振周波数(fb)における振動変位も高くなっているが、共振周波数(fa)における振動変位と比べ、半分以下になっている。
さらに、近年のトルクロッドのコンパクト化の流れにより、アクチュエータ100を収容するロッド内の空間も狭くなり、アクチュエータ10自体も小さく設計されている。アクチュエータ10とトルクロッド200(アクチュエータ10を収容するロッドの収容部分の内壁)との間の隙間(クリアランス)が狭くなっている。そのため、図2に示すように、アイドリング時に、エンジン回転速度が慣性マス共振周波数と一致し、慣性マス11の軸方向への共振が顕著になった場合には、慣性マス11の振動変位が大きくなり、慣性マス11がトルクロッド20に衝突するおそれがある。そのため、本発明では、エンジン回転によりトルクロッド200の軸方向に入る加振周波数が、慣性マス共振周波数を含む低回転速度の領域内にある場合には、慣性マス11の振動に基づきアクチュエータ10を制御する。また、エンジン回転によりトルクロッド200の軸方向に入る加振周波数が、高回転速度の領域内にある場合には、トルクロッド200の振動に基づきアクチュエータ10を制御する。
以下、コントローラ22の具体的な制御について説明する。コントローラ22は、クランク角センサ23からエンジン回転速度を取得すると、エンジン回転速度と、制御モードを切り替えるための回転速度閾値とを比較する。制御モードには、ロッド振動制御モード及び慣性マス振動制御モードがある。ロッド振動制御モードでは、コントローラ22は、トルクロッド200の振動に基づいてトルクロッド200の軸方向(図1のy方向)への変位速度に比例した力を発生させるようにアクチュエータ10を制御する。また、慣性マス振動制御モードでは、コントローラ22は慣性マス11の振動に基づいてアクチュエータを制御する。
コントローラ22には、第1回転速度閾値及び第2回転速度閾値が、制御モードを切り替えるための回転速度閾値として、予め設定されている。第2回転速度閾値は、第1回転速度閾値より低い回転速度である。
第1回転速度閾値は、ロッド振動制御モードに切り替えるための閾値である。例えば4気筒エンジンにおいて、第1回転速度閾値は2000rpmに設定されている。第1回転速度閾値は、エンジンの回転によりトルクロッド200が共振するときのエンジンの回転速度を含んだ所定の帯域内に設定される。例えば4気筒エンジンでは、回転2次の加振力を発生させる周波数とトルクロッド共振周波数が一致するときに、エンジンの回転によりトルクロッド200が共振するとき、となる。そして所定の帯域は、例えば、アクチュエータ10に加振力を発生させない状態で、ロッド共振に起因するコモリ音が車室内に伝達するようなエンジンの回転速度の範囲で規定される。本例では、第1回転速度閾値は所定の帯域の下限値であって、コモリ音が車室内へのノイズに影響を及ぼさない周波数、言い換えると、コモリ音により生じる車室ノイズが十分に小さいと判断できる周波数に設定されている。
また、第2回転速度閾値は、エンジンの回転により慣性マス11が共振するときのエンジンの回転速度を含んだ所定の帯域内に設定される。例えば4気筒エンジンでは、回転2次の加振力を発生させる周波数と慣性マス共振周波数が一致するときに、エンジンの回転により慣性マス11が共振するとき、となる。第2回転速度閾値は、第1回転速度閾値より低く、例えば1000rpmに設定されている。所定の帯域は、例えば、図2に示す、周波数(fa)における振動変位の特性おいて、ピーク値を中心とした周波数の幅で表される。そして、第2回転速度閾値は、慣性マス共振周波数に対応するように設定され、慣性マス11の共振ピークの半値幅を規定する周波数(半値幅を規定する周波数のうち高い方の周波数)に対応するように設定され、又は、慣性マス11の経時的な共振周波数のずれを考慮して慣性マス共振周波数より高い周波数に対応するように設定されている。
コントローラ22は、エンジン回転速度が第1回転速度閾値以上である場合には、アクチュエータ10の制御モードをロッド振動制御モードに切り替える。また、コントローラ22は、エンジン回転速度が第2回転速度閾値以下である場合には、アクチュエータ10の制御モードを慣性マス振動制御モードに切り替える。コントローラ22は、エンジン回転速度が第1回転速度閾値未満であり第2回転速度閾値より高い場合には、アクチュエータ10で加振力を発生させないように、アクチュエータ10を制御する。クランク角センサ23で検出されるエンジン回転速度は、所定の周期で、コントローラ22に入力される。そして、コントローラ22は、エンジンの回転に応じて、上記の制御モードを切り替えつつ、アクチュエータ100を制御している。
ロッド振動制御モードが設定された場合には、コントローラ22は、加速度センサ21から入力される信号から、トルクロッド200の振動を検出する。このとき、コントローラ22は、加速度センサ21の入力信号に対して、ロッド共振周波数を含む周波数を通過させるように、フィルタリング処理を行う。
そして、コントローラ22は、加速度センサ21で検出した振動に対して、ロッド軸方向へのロッド振動速度に比例した力を逆向きにして、アクチュエータ10から発生させるように制御する。具体的には、加速度センサ21で検出されるロッド軸方向の加速度に対して、コントローラ22は、所定のゲインを乗算して、ゲインを乗算した後の値に対して、符号を逆向きにしつつ、アクチュエータ10のコイル14への出力電圧として出力する。アクチュエータ10において、コイル14は積分器として作用するため、ロッド軸方向への加速度は積分され、ロッド軸方向速度となる。アクチュエータ10で発生する力は、ロッド軸方向速度に比例し、向きは逆向きになる。これにより、コントローラ22は、制御対象であるトルクロッド200の減衰を増大させる速度フィードバック制御(ロッド振動速度に比例した制御)を行う。
慣性マス振動制御モードが設定された場合には、まずコントローラ22は、加速度センサ21で検出される検出値(加速度)から、慣性マス11の変位に関する値として、慣性マス11の変位の速度を演算する。本例は、慣性マス11に、振動を検出するセンサを取り付けていないため、トルクロッド200に設けられている加速度センサ21を用いて慣性マス11の振動を推定している。
以下、加速度センサ21の検出値と慣性マス11の変位の速度又は加速度との関係について、図3に示すトルクロッド200の物理モデルを用いて、説明する。図3は、トルクロッド200の物理モデルを示すダイアグラムである。図3において、kは板バネ12のロッド軸方向へのバネ係数(バネ要素)を示し、uはアクチュエータ内で発生する電磁力(電磁力要素)を示し、mは慣性マス11の質量(質量要素)を示し、cは減衰係数である。
トルクロッド200の変位をxとし、慣性マス11の変位をxとすると、トルクロッド200についての運動方程式より、以下の式(1)が導出される。
Figure 2015169242
なお、上記式で示すxの上部に示す1つの点は時間の1階微分を示し、2つの点は、時間の2階微分を示す。式(2)以下の式でも同様とする。
電磁力(u)は、コントローラ22の速度比例制御により、慣性マス11に対して減衰させるための、慣性マス11への加振力で表され、コントローラ22による速度比例制御のゲインをGとすると、以下の(2)式で表される。
Figure 2015169242
そして、式(1)に式(2)を代入することで、式(3)が導出される。
Figure 2015169242
慣性マス11の速度フィードバック制御を行っていない状態とすると、式(3)に含まれるゲイン(G)はゼロになるため、式(3)は式(4)となる。
Figure 2015169242
そして、式(4)の式から慣性マス11の変位(x)が以下の式(5)で表される。ただし、ωは角振動数を示す。
Figure 2015169242
ここで、係数(α)を式(6)のように置き換えると、慣性マス11の変位、慣性マス11の速度、及び慣性マス11の加速度は式(7)のようにそれぞれ表される。
Figure 2015169242
Figure 2015169242
式(7)により、慣性マス11の変位は、トルクロッド200の変位に比例係数αを乗ずることで演算できる。同様に、慣性マス11の速度はトルクロッド200の速度にαを乗ずることで演算でき、慣性マス11の加速度はトルクロッド200の加速度にαを乗ずることで演算できる。
さらに、慣性マス11の共振周波数では、式(6)で示した比例係数(α)が単純化できる。式(7)の加速度の式に、式(6)を代入すると、式(8)が導出される。
Figure 2015169242
エンジンの回転によりトルクロッド200に入力される振動の周波数のうち、回転2次の加振力(トルクロッド200の振動に起因する力)の周波数が、慣性マス共振周波数と一致した場合には、以下の式(9)が成り立つ。ただし、ωは、慣性マス11の共振時の角振動数を表す。
Figure 2015169242
さらに、角振動数ω、バネ係数k、及び質量mの関係式(式10)を用いて、式(8)は、式(11)で表される。
Figure 2015169242
Figure 2015169242
さらに、式(11)を展開すると、慣性マスの加速度は式(12)のように表される。
Figure 2015169242
ただし、ζは減衰比である。
ここで、トルクロッド200の変位(x)の振動を式(13)のように表すと、
Figure 2015169242
トルクロッド200の変位(x)の加速度は式(14)のように表される。
Figure 2015169242
そして、式(12)に式(14)を代入することで、式(15)が導出される。
Figure 2015169242
すなわち、式(15)で表されるように、慣性マス11の加速度は、トルクロッドの振動の変位により表すことができる。さらに、慣性マス11の共振時には、比例係数(α)は、上記の式(12)のように、減衰比の逆数(1/ζ)を含む関数であって、回転速度の要素を含まない実数で単純化できる。減衰比(ζ)は、ロッド共振時における、臨界減衰係数に対する減数係数を表しており、上記のc及びkを用いて表される。そして、c及びkの係数は、アクチュエータ10の設計時にパラメータで予め決まる。そのため、上記の比例係数は、予め決まっている減衰比(ζ)に応じて設定されることになる。
上記のように、慣性マス11の共振時の変位、速度、及び加速度は、加速度センサ21の検出値に基づいて推定できるため、コントローラ22は、加速度センサ21を用いて慣性マス11の振動を推定している。
そして、コントローラ22は、慣性マス振動制御モードにおいて、加速度センサ21の検出値から慣性マス11の軸方向への変位の速度を、上記の演算式を用いて、演算する。さらに、コントローラ22は、演算した慣性マス11の変位の速度に比例した力を発生させるように、コイル14の電圧を出力して、アクチュエータ10を制御する。これにより、コントローラ22は、制御対象を慣性マス11の減衰を増大させる速度フィードバック制御(慣性マス振動速度に比例した制御)を行う。
ロッド振動制御モード及び慣性マス振動制御モードのいずれの制御モードが設定されていない場合には、コントローラ22は、コイル14に電圧を出力せずに、アクチュエータ10を駆動させない。エンジン回転速度が第1回転速度閾値未満であり、かつ、第2回転速度閾値より高い場合には、エンジンの回転による振動は小さく、トルクロッド200の振動及び慣性マス11の振動も小さい。そのため、アクチュエータ10を駆動させないことで、アクチュエータ10の駆動電源における消費電力が抑制される。
次に、コントローラ22の制御フローを、図4を用いて説明する。図4はコントローラ22の制御手順を示すフローチャートである。なお、図4に示す制御フローは、エンジンの駆動中、所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS1にて、コントローラ22は、クランク角センサ23から入力される信号からエンジンの回転速度を検出する。ステップS2にて、コントローラ22は、検出したエンジン回転速度と第2回転速度閾値とを比較する。エンジン回転速度が第2回転速度閾値以下である場合には、ステップS3に進む。エンジン回転速度が第2回転速度閾値より高い場合にはステップS5に進む。
ステップS3にて、コントローラ22は、加速度センサ21の検出値から慣性マス11の軸方向への振動速度を演算する。ステップS4にて、コントローラ22は、演算した慣性マス11の振動速度に比例した力をアクチュエータ10で発生させるように、アクチュエータ10を制御し(慣性マス振動速度比例制御)、制御フローが終了する。
ステップS2に戻り、エンジン回転速度が第2回転速度閾値より高い場合には、コントローラ22は、検出したエンジン回転速度と第1回転速度閾値とを比較する。エンジン回転速度が第1回転速度閾値以上である場合には、ステップS6に進む。エンジン回転速度が第1回転速度閾値より低い場合には、アクチュエータ10は駆動されずに、本例の制御が終了する。
ステップS6にて、コントローラ22は、加速度センサ21の検出値に基づき、トルクロッド200の振動速度に比例した力をアクチュエータ10で発生させるように、アクチュエータ10を制御し(ロッド振動速度比例制御)、制御フローが終了する。
上記のように本発明は、加速度センサ21を用いて慣性マス11の振動を推定しつつ、ロッド振動制御モードと、慣性マス振動制御モードとを切り替える。これにより、慣性マスの共振振動が、エンジンの常用回転域内に存在する場合でも、慣性マスの共振振動を抑制し、車室内への振動の伝達を防止できる。その結果として、例えば、エンジンをペンデュラムで搭載した場合でも、エンジンのトルク発生によって、トルクロッド200に入る振動が車室内へ伝達することを抑制する。特に、本発明は、250〜800Hzといった加速時における騒音を低減でき、車室内の快適性を向上できる。
また、本発明は、エンジン回転速度が第1回転速度閾値以上である場合にはロッド振動制御モードに切り替え、エンジン回転速度が第2回転速度閾値以下である場合には慣性マス振動制御モードに切り替える。これにより、トルクロッド200の振動を抑制する制御に加えて、慣性マス11の振動を抑制する制御も行うことができる。その結果として、ロッドにおける異音の発生や、慣性マス11のロッドへの衝突による耐久性の低下を防ぐことができる。
また本例は、加速度センサ21の検出値から、慣性マス11の変位に関する値(慣性マス11の振動速度)を演算する。そして、本例は、演算結果に基づいて、慣性マス11の変位の速度に比例した力を発生させるようアクチュエータ10を制御する。これにより、慣性マスの変位を検出するためのセンサを新たに設ける必要がないため、コスト削減、及び、アクチュエータ10の小型化を実現できる。
また本例は、加速度センサ21の検出値に比例係数を乗ずることで、慣性マス11の変位に関する値を演算する。これにより、演算制御が簡素化できる。また、本例は、比例係数をアクチュエータ10の減衰比に応じて設定する。これにより、予め設計段階で決まっているアクチュエータ10の減衰特性とエンジン回転速度から、比例係数を定めることができる。
なお、本発明の変形例として、コントローラ22は、加速度センサ21の検出値から慣性マス11の変位を演算し、演算された慣性マス11の変位が所定の変位閾値以上である場合に、慣性マス振動制御モードに切り替えてもよい。上記の式(7)で示したように、慣性マス11の変位は、トルクロッド200の変位に対して、比例係数を乗じた単純な式で表される。そのため、コントローラ22は、加速度センサ21の検出値からトルクロッド200の変位を演算し、トルクロッド200の変位に対して比例係数を乗ずることで、慣性マス11の変位を演算する。
そして、慣性マス11とトルクロッド200との間のクリアランス(隙間)は、設計段階で予め決まっているため、所定の変位閾値は、クリアランスに対する慣性マスの変位で規定でき、言い換えると、慣性マス11がトルクロッド200に衝突しないようにする、慣性マス11の変位の上限値で規定できる。これにより、本発明は、変形例においても、慣性マス振動制御モードの範囲を、慣性マス11の変位で限定しつつ、慣性マス11の振動を抑制できる。
なお、本例では、トルクロッド200の振動を検出するセンサとして、加速度センサ21を用いたが、加速度センサに限らず、他の種類の振動センサを用いてもよい。
上記のコントローラ22が本発明の「制御手段」に相当し、クランク角センサ23が本発明の「回転速度検出手段」に相当し、加速度センサ21が本発明の「振動検出手段」に相当する。
《第2実施形態》
本発明の他の実施形態に係る振動電源装置について説明する。本例では上述した第2実施形態に対して、回転の2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致する場合に、慣性マス振動制御モードでアクチュエータ10を制御する点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、第1実施形態の記載を適宜、援用する。
図2に示すように、慣性マス11の振動変位は、慣性マス11の共振周波数(fa)で急峻なピーク値をとる。そのため、慣性マス振動制御によりアクチュエータ10を制御する加振周波数が、慣性マス共振周波数に限定されたとしても、慣性マス11の共振振動の抑制効果は十分に得られる。そして、例えば4気筒エンジンでは、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数と一致する場合に、慣性マス11の共振が生じるため、コントローラ22は、エンジンの回転により、回転2次の加振周波数と慣性マス共振周波数が一致した場合に、慣性マス振動性モードに切り替えて、アクチュエータ10を制御する。一方、回転2次の加振周波数と慣性マス共振周波数が一致しない場合には、コントローラ22は制御モードを慣性マス振動性モードに設定しない。
以下、図5を用いて、コントローラ22の制御フローを説明する。図5はコントローラ22の制御手順を示す。なお、ステップS11及びステップS12の制御フローは、第1実施形態に係るステップS1及びステップS2の制御フローとそれぞれ同様であり、ステップS14〜S17の制御フローは、第1実施形態に係るステップS3〜S6の制御フローと同じであるため、説明を省略する。
ステップS12において、エンジン回転速度が第2回転速度閾値以下である場合には、ステップS13にて、コントローラ22は、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致するか否かを判定する。具体的には、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致するときのエンジン回転速度が回転速度の閾値として設定され、この回転速度閾値と現在のエンジン回転速度とが一致するか否かを判断することで、コントローラ22はステップS13の制御フローを実行する。
そして、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致する場合には、ステップS13に進み、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致しない場合には、本例の制御フローが終了する。
なお、本発明の変形例として、ステップS12の制御フローが省略され、ステップS13の制御フローで、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致する場合にステップS14に進み、回転2次の加振周波数が慣性マス共振周波数に一致しない場合にステップS16に進むような制御フローとしてもよい。
《第3実施形態》
本発明の他の実施形態に係る振動電源装置について説明する。本例では上述した第1実施形態に対して、慣性マス11の変位に関する値として慣性マス11の加速度を演算している点、及び、演算した慣性マス11の変位の加速度に基づいてアクチュエータ10を制御している点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、第1実施形態の記載を適宜、援用する。
第1実施形態の式(7)で示したように、慣性マス11の加速度(軸方向変位の加速度)は、トルクロッド200の軸方向への変位の加速度に対して、比例係数を乗じた単純な式で表される。そのため、コントローラ22は加速度センサ21の検出値に対して比例係数を乗ずることで、慣性マス11の加速度を演算する。
次に、コントローラ22は、演算した加速度に対して所定のゲインを乗算しつつ、符号を逆向きにして、アクチュエータ10のコイル14への出力電圧として出力する。アクチュエータ10において、コイル14は積分器として作用する。そのため、加速度に比例する電圧がコイル14に印加されることで、慣性マス11の速度に比例した力が、アクチュエータ10で発生する。これにより、コントローラ22は、慣性マス振動制御モードにおいて、演算した慣性マス11の加速度に基づいて、アクチュエータ11を制御する。
以下、図6を用いて、コントローラ22の制御フローを説明する。図6はコントローラ22の制御手順を示す。なお、ステップS21、ステップS22、ステップS25、及びステップS26の制御フローは、第1実施形態に係るステップS1、ステップS2、ステップS5、及びステップS6の制御フローと同じであるため、説明を省略する。
ステップS23にて、コントローラ22は、加速度センサ21の検出値から慣性マス11の軸方向への振動加速度を演算する。ステップS4にて、コントローラ22は、演算した加速度に基づいて、慣性マス11の振動速度に比例した力をアクチュエータ10で発生させるように、アクチュエータ10を制御し(慣性マス振動速度比例制御)、制御フローが終了する。
上記のように、本例は、加速度センサ21の検出値から、慣性マス11の変位に関する値(慣性マス11の振動加速度)を演算する。そして、本例は、演算結果に基づいて、慣性マス11の速度に比例した力を発生させるようアクチュエータ10を制御する。これにより、慣性マスの変位を検出するためのセンサを新たに設ける必要がないため、コスト削減、及び、アクチュエータ10の小型化を実現できる。
10…アクチュエータ
11…慣性マス
12…板バネ
13…コア
14…コイル
16…磁石
21…加速度センサ
22…コントローラ
23…クランク角センサ

Claims (10)

  1. エンジンと車体との間を連結するロッドと、
    前記ロッドに支持された慣性マスを前記ロッド内で所定方向に往復動させるアクチュエータと、
    前記ロッドの振動を検出する振動検出手段と、
    前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記ロッドの振動に基づいて、前記ロッドの前記所定方向への変位の速度に比例した力を発生させるよう前記アクチュエータを制御する第1制御モードと、
    前記振動検出手段を用いて前記慣性マスの振動を推定し、前記慣性マスの振動に基づいて前記アクチュエータを制御する第2制御モードとを切り替える
    ことを特徴とする振動低減装置。
  2. 請求項1記載の振動低減装置において、
    前記エンジンの回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記回転速度検出手段により検出されたエンジン回転速度が所定の第1回転速度閾値以上である場合には、前記第1制御モードに切り替え、
    前記エンジン回転速度が所定の第2回転速度閾値以下である場合には前記第2制御モードに切り替え、
    前記第2回転速度閾値は前記第1回転速度閾値よりも低い回転速度である
    ことを特徴とする振動低減装置。
  3. 請求項2記載の振動低減装置において、
    前記第1回転速度閾値は、前記エンジンの回転により前記ロッドが共振するときの前記エンジンの回転速度を含んだ帯域内に設定され、
    前記第2回転速度閾値は前記エンジンの回転により前記慣性マスが共振するときの前記エンジンの回転速度を含んだ帯域内に設定されている
    ことを特徴とする振動低減装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記制御手段は、
    前記振動検出手段の検出値に基づいて前記アクチュエータを制御することで前記第1制御モードを実行し、
    前記振動検出手段の検出値から前記慣性マスの変位に関する値を演算し、前記値に基づいて前記慣性マスの前記所定方向への変位の速度に比例した力を発生させるよう前記アクチュエータを制御することで、前記第2制御モードを実行する
    ことを特徴とする振動低減装置。
  5. 請求項4に記載の振動低減装置において、
    前記制御手段は、
    前記振動検出手段の検出値から前記慣性マスの速度を、前記慣性マスの変位に関する値として演算する
    ことを特徴とする振動低減装置。
  6. 請求項4のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記制御手段は、
    前記振動検出手段の検出値から前記慣性マスの加速度を、前記慣性マスの変位に関する値として演算する
    ことを特徴とする振動低減装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記制御手段は、
    前記検出値に比例係数を乗ずることで、前記慣性マスの変位に関する値を演算する
    ことを特徴とする振動低減装置。
  8. 請求項7記載の振動低減装置において、
    前記比例係数は、前記アクチュエータの減衰比に応じて設定されている
    ことを特徴とする振動低減装置。
  9. 請求項4〜8のいずれか一項に記載の振動低減装置において、
    前記振動検出手段は、前記ロッドの重心の付近に設けられている
    ことを特徴とする振動低減装置。
  10. 請求項1に記載の振動低減装置において、
    前記ロッドの振動を検出する振動検出手段をさらに備え、
    前記制御手段は、
    前記振動検出手段の検出値から前記慣性マスの変位を演算し、演算された前記慣性マスの変位が所定の変位閾値以上である場合には前記第2制御モードに切り替え、
    前記所定の変位閾値は、前記慣性マスと前記ロッドとの間の隙間に対する前記慣性マスの変位の閾値である
    ことを特徴とする振動低減装置。
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