JP2016011392A - ガスバリア材、その製造方法、およびガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリア材、その製造方法、およびガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】優れた酸素バリア性と水蒸気バリア性を併せ持つガスバリア材、その製造方法、および該バリア材を用いて得られるガスバリアフィルムを提供する。
【解決手段】ナノ結晶セルロース(a1)およびカルボキシメチルセルロースナノファイバー(a2)からなる群より選択される少なくとも1種のナノセルロース類(A)、無機層状化合物(B)、水溶性高分子(C)、水性高分子用架橋剤(D)ならびにシランカップリング剤(E)を含み、前記Dがビスビニルスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、分子内にカルボキシル基を2つ以上有するヒドロキシカルボン酸、およびそれらの金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ前記Eが前記Aおよび前記Cのいずれか少なくとも一方とゾルゲル反応してなるガスバリア材。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア材、その製造方法、および該方法により得られるガスバリアフィルムに関する。
従来からの食品や医薬品の包装用途において、酸素や水蒸気等の浸入を妨げる目的でガスバリア性を有する包装材が使用されている。該包装材としては、ポリ塩化ビニリデンを主成分とする材料が長きに亘り用いられてきたが、近年の環境意識の高まりと共に、特に塩素を含む材料は敬遠される傾向にある。
一方、非塩素系のバリア性包装材の代表例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンビニルアルコール(EVA)などが挙げられる。また、天然物由来の素材であるセルロースナノファイバーを用いたガスバリアフィルムに関する報告もなされている。しかし、該非塩素系のバリア性包装材は、ポリマー骨格上に存在する水酸基同士の水素結合によって高い酸素バリア性を示す特徴があるが、高湿度条件下では水素結合が切断されやすくなり、水蒸気バリア性が大きく低下する。
プラスチックフィルムなどの基材にガスバリア性を付与する手段として、該プラスチックにシリカ、アルミナなどの無機材料を配合したり、該プラスチック上に該無機材料層を形成させることが知られている。例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法などを用いて、プラスチックフィルム上に該無機材料からなるガスバリア層を形成させる手段が採用されている。
しかし、これらの方法によって欠陥のない緻密な無機膜を得ることは必ずしも容易でなく、膜中に発生するクラックやピンホールを通じて酸素や水蒸気が透過してしまう。従って、高度のガスバリア性が要求される包装用途では、有機層(例えば、PVA、EVA、ナノセルロースなど)と無機層を交互に積層させることによって、ガスバリア性を向上させる試みがなされているが、得られるフィルムは、酸素バリア性は高いものの、依然として水蒸気バリア性は充分ではない。
また、前記有機素材の水蒸気バリア性を向上させる手段として、無機素材によるハイブリッド化が検討されている。例えば、非特許文献1では、PVAの存在下、金属アルコキシドをゾルゲル反応させてハイブリッド化することで、水蒸気バリア性を向上できるとの報告がある。また、特許文献1では、セルロースナノファイバーが分散した水性分散液にシランカップリング剤を配合させることにより、高湿度条件下においても優れたガスバリア性を発現できるとの報告がある。しかしながら、これらのガスバリアフィルムの水蒸気透過度は高度のバリア包装材料向けの要求水準に達していない。
特許文献2では、PVAに無機層状化合物であるクレイを配合することで、ガスバリア性を向上しうるとの報告がある。また、特許文献3では、無機層状化合物である合成スメクタイトを主成分としたガスバリアフィルムに関する発明が開示されている。これらの発明では、無機層状化合物を被膜中に配向させることで迂回効果が得られ、ガス分子の透過が妨げられることから、ガスバリア性の向上が期待される。しかしながら、PVAに無機層状化合物を単に配合しただけでは、酸素バリア性を向上できるが、無機層状化合物の層間に存在するナトリウムイオンが、PVAと同様に水を吸着しやすいため、水蒸気バリア性は向上しない。
国際公開2011/11836号 特開2013−248832号公報 特許第3855004号公報
蔵岡孝治ら・包装学会誌 第20巻(2011年6月号)第494〜500頁
本発明は、前記実情に鑑み、優れた酸素バリア性と水蒸気バリア性を併せ持つガスバリア材、その製造方法、および該方法により得られるガスバリアフィルムを提供すること目的とする。
すなわち本発明は、ナノ結晶セルロース(a1)およびカルボキシメチルセルロースナノファイバー(a2)からなる群より選択される少なくとも1種のナノセルロース類(A)、無機層状化合物(B)、水溶性高分子(C)、水性高分子用架橋剤(D)ならびにシランカップリング剤(E)を含み、前記Dがビスビニルスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、分子内にカルボキシル基を2つ以上有するヒドロキシカルボン酸、およびそれらの金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ前記Eが前記Aおよび前記Cのいずれか少なくとも一方とゾルゲル反応してなることを特徴とするガスバリア材に関する。また本発明は、前記(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を含む水分散液を基材上に塗工した後、加熱してゾルゲル反応を進行させることを特徴とするガスバリア材の製造方法に関する。更に本発明は、前記バリア材の製造方法により得られるガスバリアフィルムに関する。
本発明によれば、酸素や水蒸気に対し優れたバリア性を発現し、かつ基材への密着性にも優れたガスバリア材を提供でき、更には該バリア材を用いて得られるガスバリアフィルムを提供できる。
<ガスバリア材の構成成分>
本発明のガスバリア材は、ナノ結晶セルロース(a1)およびカルボキシメチルセルロースナノファイバー(a2)からなる群より選択される少なくとも1種のナノセルロース類(A)、無機層状化合物(B)、水溶性高分子(C)、水性高分子用架橋剤(D)ならびにシランカップリング剤(E)を含み、前記Dがビスビニルスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、分子内にカルボキシル基を2つ以上有するヒドロキシカルボン酸、およびそれらの金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ前記Eが前記Aおよび前記Cのいずれか少なくとも一方とゾルゲル反応してなる反応生成物(ハイブリッド化物)である。具体的には、以下の実施形態が挙げられる。
本発明のガスバリア材の構成成分を簡略表現するため、前記ナノ結晶セルロース(a1)を以下「a1成分」、前記カルボキシメチルセルロースナノファイバー(a2)を以下「a2成分」、前記ナノセルロース類(A)を以下「成分A」、前記無機層状化合物(B)を以下「成分B」、前記水溶性高分子(C)を(以下「成分C」、前記水性高分子用架橋剤(D)を以下「成分D」、前記シランカップリング剤(E)を以下「成分E」という。以下、各成分について説明する。
前記a1成分としては、格別限定されず、各種公知のものを適宜に選定して使用できる。a1成分の平均繊維幅は通常5〜50nm程度であり、好ましくは5〜30nmである。該成分の平均繊維長は通常100〜500nm程度であり、好ましくは100〜200nmである。また、該成分の結晶化度は、通常80〜100%程度であり、a1成分はセルロースI型の結晶構造を有することが好ましい。
a1成分を調製する方法としては、公知の各種方法を採用できる。例えば、前記セルロース繊維含有材料の水懸濁液又はスラリーを、硫酸、塩酸、臭化水素酸等による酸加水分解等の化学的手法が使用できる。必要に応じて、上記の解繊方法を組み合わせて処理してもよい。
前記a2成分は、繊維幅が3〜5nm程度のミクロフィブリルの集合体を解繊処理して得られるものである。a2成分の平均繊維幅は4〜100nm程度であり、好ましくは10〜30nmである。該成分の平均繊維長は1μm以上、好ましくは2μm以上である。a2成分は、カルボキシメチル基を有するため、セルロースナノファイバー間の凝集が抑えられ、均一な分散性が得られる点で、未変性セルロースナノファイバーより優れている。該カルボキシ基は、酸型、塩型のいずれでもよい。該カルボキシ基量(セルロースナノファイバー1g中に含まれるカルボキシ基のモル量)は、a2成分の水分散性、得られるフィルムの透明性および水蒸気バリア性を考慮して適宜に決定され、通常は1.0〜3.5mmol/gであるのが好ましい。該カルボキシ基量が1.0mmol/g未満であると、水に対する分散性が低下する傾向があり、また3.5mmol/g超であると結晶性が低下し、水蒸気バリア性が劣る傾向がある。
a2成分は、公知の製造方法により製造でき、例えば、セルロースナノファイバー前駆体に解繊処理を施してナノファイバー化する方法が挙げられる。セルロースナノファイバー前駆体としては、特に限定はされないが、例えば、酸化セルロースからなるものがナノファイバー化しやすいため好ましく使用できる。解繊処理は、ミキサー、高速ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、高速回転ミキサー、グラインダー磨砕、凍結粉砕、メディアミル、ボールミル等を用いて行うことができる。
なお、前記a1成分およびa2成分に用いるセルロース原料としては、セルロースを含むものであれば格別限定されず、例えば針葉樹や広葉樹などから得られる各種木材パルプ、ケナフ、バガス、ワラ、竹、綿、海藻などから得られる非木材パルプ、バクテリアセルロース、古紙パルプ、コットン、バロニアセルロース、ホヤセルロース等が挙げられる。また、市販されている各種セルロース粉末や微結晶セルロース粉末を使用できる。
前記B成分の使用により、得られるガスバリア材の基材密着性、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)を更に向上しうる。B成分としては、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、その種類、粒径、アスペクト比などは特に限定されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
B成分の具体例としては、合成スメクタイト、ヘクトライト、サポナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、マイカ、カオリナイト、タルクなどが挙げられる。B成分は、ガスバリア材形成用組成物に直接配合してもよく、また予め水等の水性媒体に分散させてから配合してもよい。ガスバリア材におけるB成分の含有量は、格別限定されないが、通常はA成分/B成分の使用割合(固形分重量換算)が、100/200〜100/5の範囲であり、好ましくは100/200〜100/20の範囲である。B成分の含有量が過小であると上記効果が充分に得らにくくなり、また過大であるとガスバリア材中での分散性が悪くなり、得られるガスバリア膜の透明性が低くなる傾向がある。
前記C成分の使用により、A成分とB成分の親和性を高めることができ、得られるガスバリア材の基材密着性や、ガスバリア性をさらに向上させることができる。C成分としては、カルボキシル基や水酸基に代表される極性基を有する水溶性高分子をいい、その種類、重合度などは特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択することができる。
C成分の具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、澱粉などが挙げられる。ガスバリア材におけるC成分の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜に決定できるが、通常はA成分/C成分の使用割合(固形分重量換算)が、100/200〜100/5の範囲であり、好ましくは100/200〜100/10の範囲である。C成分の含有量が過小または過大のいずれでも、ガスバリア性が悪くなる傾向がある。
前記D成分の使用により、得られるガスバリア材をより緻密なものとすることができ、得られるガスバリア材の基材密着性、ガスバリア性をさらに向上し得る。D成分としては、C成分中のカルボキシル基や水酸基に代表される極性基と架橋反応し得る官能基を有する化合物であれば、その種類は特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択することができる。
D成分の具体例としては、ビスビニルスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、分子内にカルボキシル基を2つ以上有するヒドロキシカルボン酸、およびそれらの金属塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。ビスビニルスルホン酸化合物の具体例としては、N,N’−エチレンビス[2−(ビニルスルホニル)アセトアミド]や、N,N’−トリメチレンビス[2−(ビニルスルホニル)アセトアミド]などが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、乳酸、グリセリン酸などが挙げられる。また、金属塩の具体例としては、ナトリウム塩、ジルコニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。ガスバリア材におけるD成分の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜に決定できるが、通常はA成分/D成分の使用割合(固形分重量換算)が、100/200〜100/5の範囲であり、好ましくは100/200〜100/10の範囲である。D成分の含有量が過小であるとガスバリア性が低くなり、また過大であってもガスバリア性が低くなる傾向がある。
ところで、金属アルコキシドのゾルゲル反応時に用いられる公知の酸触媒(塩酸、硫酸、酢酸など)は、それ自体がD成分のようにC成分との反応に関与しないため、得られる硬化物は、バリア材としての性能が劣る。
前記E成分は、三官能性の金属アルコキシドおよび四官能性の金属アルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種から選択される。該金属アルコキシドとしては、例えばケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンなどのアルコキシドが挙げられるが、膜の緻密さの観点から、ケイ素のアルコキシドが好ましく使用できる。E成分は、さらにアミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基などの反応性官能基を有するものであってもよい。該反応性官能基は、前記A成分の表面や基材表面に存在する官能基と相互作用または化学反応しうるため、一層高度のガスバリア性を付与することができる。
E成分の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシランが挙げられ、これらの中でも、反応性や入手容易性の点でテトラメトキシシランやテトラエトキシシランが好ましい。また、E成分であって反応性官能基を有するものとしては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。更に、E成分としては、これら化合物の加水分解部分縮合物を用いてもよい。なお、該加水分解部分縮合物は、例えば、前記化合物をメタノール等のアルコールに溶解し、その溶液に、塩酸等の酸の水溶液を添加し、加水分解させることにより調製できる。
ガスバリア材におけるE成分の含有率(シリカ換算重量)は、特に限定されず、その種類に応じて適宜に決定できるが、通常はA成分/D成分の使用割合(固形分重量換算)が、100/200〜100/5の範囲であり、好ましくは100/150〜100/5の範囲である。E成分の含有量が過小であるとガスバリア性が低くなり、また過大であるとガスバリア層に欠陥が生じやすくなる傾向がある。
<ガスバリア材形成用組成物>
本発明のガスバリア材は、前記の各構成成分からなるガスバリア材形成用組成物をゾルゲル反応させて得られるものである。以下、ガスバリア材形成用組成物の調製および該組成物を用いたガスバリア材の調製につき説明する。
ガスバリア材形成用組成物は、水性媒体(水、低級アルコールなど)に、攪拌しながら、前記各成分を一括または分割して添加し、混合して調製される。好ましくは、前記A成分をあらかじめ分散させた水性媒体に、前記B成分〜E成分を、前記の使用割合となるようそれぞれ所定量を添加し混合することにより調製される。該調製における温度は、格別限定されないが、通常は常温〜80℃程度である。過度の加熱を行うと、E成分の自己縮合が優先して進行するため、その後のガスバリア材の調製に際して所望のハイブリッド化が進行しにくくなる虞がある。
ガスバリア材形成用組成物には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成成分以外の他成分を適宜に配合してもよい。該他成分としては、特に限定されず、当該用途等に応じて、公知の添加剤の中から適宜に選択でき、具体的には、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤等が挙げられる。
<ガスバリア材の調製>
本発明のガスバリア材は、前記のようにして得られたガスバリア材形成用組成物を基材上に塗工し、ついで加熱乾燥させることにより製造することができる。ガスバリア材を用いた塗膜の形成方法は、特に限定されず、コーティング法、キャスト法等の公知の方法を適宜に選択採用できる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、エアナイフコート法、バーコート法、メイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スピンコート法等が挙げられる。
ガスバリア材形成用組成物の塗工量は格別限定されないが、通常は乾燥後の膜厚みが、0.1〜5μmとなるのが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。該厚さが3μm超であると屈曲性が劣る傾向があり、また0.1μm未満であると支持体(表面の凹凸)の影響を受け、ガスバリア性が低下する傾向がある。
塗膜の乾燥条件は、特に限定されないが、塗膜中のE成分と、A成分およびC成分とのゾルゲル反応(ハイブリッド化)が充分に進行する温度条件を選択するのが好ましい。該温度としては、通常は60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。また、乾燥時間は、通常は3分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。塗膜の乾燥方法としては、自然乾燥、送風乾燥、熱風乾燥、UV乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射、およびマイクロ波照射等の手段を用いることができる。
硬化塗膜のゾルゲル反応の進行については、該塗膜のIR測定を行って確認できる。すなわち、E成分のアルコキシ基および/または反応性官能基と、C成分の官能基ならびにD成分の官能基との脱アルコール反応により形成されるSi−O−C結合の特性吸収である940cm−1付近の赤外線吸収の有無から判断することができる。
<ガスバリアフィルムの製造>
本発明のガスバリアフィルムは、前記のガスバリア材を用いて得られるものであり、該ガスバリア材のみから構成される単層シートであってもよく、またその他の層を有する多層シートであってもよい。単層シートは、基材からガスバリア材層を剥離させることにより得られる。多層シートは、基材上の上記の単層シートを適宜に積層することにより作製でき、必要により接着剤を用いて積層してもよい。
なお、基材としては、特に限定されず、公知各種のものから用途に応じて適宜選択すればよい。該基材として、例えば、紙、板紙、生分解性プラスチック、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。
該基材は、表面にコロナ処理、アンカーコート処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面処理が施されていてもよい。また、前記基材の表面には、無機化合物からなる蒸着層が形成されていてもよい。基材の厚さは、当該シートの用途等に応じて適宜設定でき、通常は10〜200μmの範囲内であり、10〜125μmが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムが適用される用途としては、格別限定されず、比較的高度のガスバリア性が要求される各種用途、例えば各種食品や医薬品向けの包装材料などとして好適に使用できる。該包装の対象食品としては、例えば、乾燥食品、水物、ボイル・レトルト食品、サプリメント食品などが挙げられる。また該包装の対象医薬品としては、例えば、粉末、顆粒状、錠剤、輸液バックなどが挙げられる。また本発明のガスバリアフィルムは、ハードディスク、プリント基板、液晶ディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池などの電子部材の包装材料として、更には該電子部材用の封止フィルムとしても使用できる。
以下、参考例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1
<ガスバリア材形成用組成物(塗工液)の調製>
ナノ結晶セルロース(Alberta Innovates社製、商品名「cellulose nanocrystals」)またはカルボキシメチルセルロースナノファイバー(スギノマシン(株)製、商品名「BinFi-s TMa-10002」)と無機層状化合物、水溶性高分子を表1に示す配合にて混合し、ホモジナイザーを用いて15000 rpmの回転数で6分間処理したのち、超音波洗浄機にて6分間超音波を照射することで十分な分散性を有する固形分濃度2%の水/メタノール分散液を調製した。さらに、この分散液に、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMOS)とテトラメトキシシランを表1に示す処方で添加し、室温にて3時間攪拌することで塗工液を得た。
参考例2〜17
表2に示すように使用成分の種類または量を変更した他は参考例1と同様にして塗工液を調製した。
比較参考例1〜89
表3に示すように使用成分の種類または量を変更した他は参考例1と同様にして塗工液を調製した。
実施例1〜8
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、商品名「コスモシャインA4100」、水蒸気透過度:12.9g/m/日)を基材として用い、表1に示す処方で混合した前記塗工液を、該基材上に乾燥後の膜厚が1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布後、オーブンで乾燥させることで各バリア層を形成させた。バリア層を有するPETフィルムを用いて、以下のように水蒸気透過度、酸素透過度および基材密着性を評価した。これらの結果を表4に示す。
また、テフロンシート上に前記と同様にして塗布・乾燥させてバリア層(乾燥後の膜厚み:1μm)を形成させた後、バリア層をテフロンシートから剥離した。該バリア層につきIR測定し、940cm−1の赤外線吸収からゾルゲル反応が進行したことを確認した。
(水蒸気バリア性)
JIS Z0208に準拠し、バリア層を有するPETフィルムの水蒸気透過度(g/m/日)を、40℃、90%RHの雰囲気下でカップ法により測定した。
(酸素バリア性)
JIS K7126−2に準拠し、バリア層を有するPETフィルムの酸素透過度(mL/m/日)を、23℃、0%RHの雰囲気下で、MOCON法により測定した。なお、酸素バリア性については、酸素透過度が1.0を超えるものは×、酸素透過度が0.1より大きく0.9未満のものを△、0.1以下のものを○で表した。
(基材密着性)
JIS K5600−5−6に準拠し、ガスバリア膜の碁盤目試験により評価した。密着性が低いものを×、中程度であるものを△、良好なものを○で表した。
実施例9〜17
塗工液に含まれる無機層状化合物および水溶性高分子を表2に記載の材料へ変更した以外は、実施例1と同様にしてバリア層を有する各PETフィルムを得た。これらバリア膜を有するPETフィルムの水蒸気透過度、酸素透過度および基材密着性を表4に示す。また、各実施例のバリア膜につき、940cm−1の赤外線吸収からゾルゲル反応が進行したことを確認した。
比較例1〜9
塗工液の組成を表3に示す処方へ変更した以外は、実施例1と同様にしてバリア層を有する各PETフィルムを得た。これらバリア膜を有するPETフィルムの水蒸気透過度、酸素透過度および基材密着性を表4に示す。また、各比較例のバリア膜につき、940cm−1の赤外線吸収からゾルゲル反応が進行したことを確認した。
表1〜表3における省略記号は、それぞれ以下の意味である。
S1:ナノ結晶セルロース(Alberta Innovates社製、商品名「cellulose nanocrystal」)
S2:カルボキシメチルセルロースナノファイバー(スギノマシン(株)製、商品名「BinFi-s TMa-10002」)
S3:TEMPO酸化セルロースナノファイバー(第一工業製薬(株)製、商品名「レオクリスタ」)
B1:モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、商品名「クニピア−F」)
B2:膨潤性雲母(コープケミカル(株)製、商品名「ソマシフ」)
B3:合成スメクタイト(コープケミカル(株)製、商品名「ルーセンタイトSWN」)
B4:Li−モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、商品名「クニピアM」)
C1:PVA(和光純薬工業(株)製、重合度500)
C2:カルボキシメチルセルロース(ダイセル(株)製、商品名「CMC2200」)
D1:クエン酸(和光純薬工業(株)製)
D2:クエン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
D3:N,N−トリメチレンビス[2−(ビニルスルホニル)アセトアミド(富士フイルム(株)製、商品名「VS−C」)
D4:ポリアクリル酸(東亞合成(株)製、商品名「A−10SL」)
D’1:酢酸(キシダ化学(株)製)
D’2:硫酸(キシダ化学(株)製)
E1:3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBM−403」)
E2:テトラメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名「KBE−04」)
表1〜表4の結果より、本発明のガスバリア材(実施例1〜17)によれば、比較例1〜9に比べて、酸素や水蒸気に対する優れたバリア性を発現し、かつ基材への密着性にも優れることが明らかである。

Claims (12)

  1. ナノ結晶セルロース(a1)およびカルボキシメチルセルロースナノファイバー(a2)からなる群からより選択される少なくとも1種のナノセルロース類(A)、無機層状化合物(B)、水溶性高分子(C)、水性高分子用架橋剤(D)ならびにシランカップリング剤(E)を含み、前記Dがビスビニルスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、分子内にカルボキシル基を2つ以上有するヒドロキシカルボン酸、およびそれらの金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ前記Eが前記Aおよび前記Cのいずれか少なくとも一方とゾルゲル反応してなることを特徴とするガスバリア材。
  2. 前記(a1)の平均繊維幅が10〜50nmであり、かつ平均繊維長が100〜500nmである請求項1に記載のガスバリア材。
  3. 前記(a1)の結晶化度が、80〜100%である請求項1または2に記載のガスバリア材。
  4. 前記(a2)の平均繊維幅が4〜100nmであり、かつ平均繊維長が5μm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア材。
  5. 前記(B)が、合成スメクタイト、ヘクトライト、サポナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、マイカ、カオリナイト、およびタルクからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア材。
  6. 前記(C)が、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、および澱粉からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア材。
  7. 前記(E)が、三官能性の金属アルコキシドおよび四官能性の金属アルコキシドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア材。
  8. 前記(A)と(B)の使用割合(A/B)が、100/200〜100/5の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア材。
  9. 前記(A)と(C)の使用割合(A/C)が、100/200〜100/5の範囲である請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリア材。
  10. 前記(A)と(E)の使用割合(A/E)が、100/200〜100/5の範囲(但し、(E)はシリカ換算重量)である請求項1〜9のいずれかに記載のガスバリア材。
  11. 前記(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を含む水分散液を基材上に塗工した後、加熱してゾルゲル反応を進行させることを特徴とするガスバリア材の製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法により得られるガスバリアフィルム。
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