JP2016019967A - 金属イオン捕集材 - Google Patents

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【課題】水溶液中の金属イオンを捕集でき、金属イオンによっては選択的に捕集できる地球環境に優しい金属イオン捕集材の提供。
【解決手段】金属イオン捕集材が天然繊維からなり、当該天然繊維の分子中に、3つの窒素原子及び2つのフェノール残基を1分子中に持つシッフ塩基型配位子または環状ポリエーテル構造を持つ環状配位子を有し、前記シッフ塩基型配位子および前記環状配位子は、前記天然繊維の分子中の反応性官能基に、架橋剤からなるグラフト鎖を介して導入されている金属イオン補集材。
【選択図】なし

Description

本発明は金属イオン捕集材に関するものである。
水溶液から金属イオンを捕集するには、主にアンバーライトなどのポリスチレン系材料が使用されている。しかしながら、ポリスチレンは化学合成品であり、地球温暖化や化石燃料の枯渇などを考えると、より地球環境に優しい天然材料などへの置き換えが望まれている。近年、天然繊維又は再生繊維の繊維分子中に、反応性二重結合とグリシジル基を分子中に有する架橋反応性化合物を介して、グリシジル基との反応性を有するアミノジカルボン酸、アミノカルボン酸、チオカルボン酸およびリン酸よりなる群から選択される少なくとも1種の金属キレート形成性化合物が結合されている金属キレート形成性繊維が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−248467号公報
特許文献1の金属キレート形成性繊維は、焼却処理が容易である等の利点を有するが、捕集可能な金属イオンの選択性についてはさらなる向上が望まれている。
本発明は、以上のとおりの背景から、金属イオンを捕集することができ、金属イオンによっては選択的に捕集することができる地球環境に優しい金属イオン捕集材を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明の金属イオン捕集材は、天然繊維からなることを特徴とする。
この金属イオン捕集材においては、前記天然繊維は、当該天然繊維に含まれるリグニン成分の一部が除去されている天然繊維であってよい。
また、この金属イオン捕集材においては、前記天然繊維の分子中の反応性官能基に、架橋剤からなるグラフト鎖が導入されていてもよい。
また、この金属イオン捕集材においては、前記天然繊維の分子中に、3つの窒素原子及び2つのフェノール残基を1分子中に持つシッフ塩基型配位子または環状ポリエーテル構造を持つ環状配位子を有していてもよい。
また、この金属イオン捕集材においては、前記シッフ塩基型配位子および前記環状配位子は、前記天然繊維の分子中の反応性官能基に、架橋剤からなるグラフト鎖を介して導入されていてもよい。
また、この金属イオン捕集材においては、前記シッフ塩基型配位子は、下記式(I)で表わされていてもよい。
(式中、R及びRは、各々同一又は別異に、水素原子、臭素原子、又は塩素原子を示す。)
また、この金属イオン捕集材においては、前記環状配位子は、下記式(II)で表わされていてもよい。
また、この金属イオン捕集材においては、前記架橋剤は、分子中にビニル基及びエポキシ基を有する化合物であってよい。
また、この金属イオン捕集材においては、前記天然繊維は、バナナ繊維であってよい。
本発明によれば、金属イオンを捕集することができ、金属イオンによっては選択的に捕集することができる地球環境に優しい金属イオン捕集材を提供することができる。
バナナ繊維−g−GMAの合成の概略図である。 (2,2’-iminobis[etane-2,1-diylnitrilo(E) methylidine]) bis phenol誘導体の合成の概略図である。 バナナ繊維−g−GMAにシッフ塩基型配位子が導入された捕集材の合成の概略図である。 捕集材3の金属イオンの吸着量を示したグラフである。 捕集材3の金属イオンの吸着量を示したグラフである。 捕集材1及び捕集材2の金属イオンの吸着量を示したグラフである。 捕集材4の金属イオンの吸着量を示したグラフである。 捕集材5の金属イオンの吸着量を示したグラフである。 捕集材3の金属イオン(希土類元素のイオン)の吸着量を示したグラフである。 N-(4-アミノフェニル)アザ-18-クラウン-6エーテルの合成の概略図である。 バナナ繊維−g−GMAに環状配位子が導入された捕集材の合成の概略図である。 捕集材2および捕集材6のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材7のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材8のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材1のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材2のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材9のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材10のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材11のセシウムイオンの吸着率を示したグラフである。 捕集材7のストロンチウムイオンの吸着率を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る金属イオン捕集材は、水溶液等の溶液中の金属イオンを捕集する捕集材である。この捕集材は、天然繊維からなる。ここで、天然繊維からなる捕集材とは、天然繊維のみからなるものであってもよいし、金属イオンとキレートを形成するキレート形成基が天然繊維の分子中の反応性官能基に直接結合されているものであってもよい。また、天然繊維の分子中の反応性官能基に架橋剤からなるグラフト鎖が導入されたものや、前記キレート形成基が天然繊維の分子中の反応性官能基に架橋剤からなるグラフト鎖を介して導入されたものであってもよい。
本実施形態に係る金属イオン捕集材に用いられる天然繊維としては、バナナ繊維、ケナフ繊維、竹繊維、さとうきび繊維、とうもろこし繊維、麻繊維等が挙げられる。なかでも金属選択性の観点からバナナ繊維を用いることが好ましい。
天然繊維は、通常、リグニン成分を有している。リグニン成分を除去せずに天然繊維を使用することができるが、リグニン成分の一部、例えば繊維の表面に含まれるリグニン成分を除去したものを使用するができる。リグニン成分を除去しない天然繊維を用いた金属イオン捕集材とリグニン成分の一部を除去した天然繊維を用いた金属イオン捕集材とでは、金属イオン捕集能について、理由は不明であるが異なる挙動を示す。例えば、リグニン成分の一部を除去した天然繊維を用いた金属イオン捕集材は、リグニン成分を除去しない天然繊維を用いた金属イオン捕集材と比べて、金属イオン捕集能が高い傾向にある。リグニン成分除去の処理コストや金属イオン捕集の用途に応じていずれの天然繊維を適宜選択して使用すればよい。
リグニン成分の除去は、1〜20wt%水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液中で天然繊維を所定時間浸漬すればよい。なお、天然繊維に含まれるリグニンの一部を除去するのは、リグニン成分を全て除去すると、捕集材としての強度が低下するためである。
天然繊維は、一般的には、分子中にヒドロキシル基やアミノ基等の反応性官能基を有している。天然繊維自体にこのような反応性官能基を有していない場合には酸化等の処理を施して分子中に反応性官能基を導入することができる。なお、反応性官能基としては、イミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基等の官能基であってもよい。
天然繊維の分子中に有する反応性官能基を利用してキレート形成基や架橋剤からなるグラフト鎖をこの反応性官能基に容易に導入することができる。
天然繊維の分子中の反応性官能基に導入されるグラフト鎖を形成する架橋剤としては、例えば、分子中にビニル基及びエポキシ基を有する化合物(例えば、エポキシ基を有するビニルモノマー等)を挙げることができる。具体例として、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル、2−ビニルオキシラン、(メタ)アクリル酸2−メチルオキシラニルメチル、イタコン酸ジグリシジル、ペンテン酸グリシジル、ヘキセン酸グリシジル、ヘプテン酸グリシジル等が挙げられる。
このような架橋剤を用いて天然繊維の分子中の反応性官能基にグラフト鎖を導入するには、例えば、後述する実施例のように、硝酸二アンモニウムセリウム塩、イオン交換水、硝酸、アセトン、及び架橋剤の混合溶液中に天然繊維を浸し、室温にて所定時間反応(グラフト重合反応)させてグラフト付加させればよい。
本実施形態に係る金属イオン捕集材は、天然繊維の分子中に、3つの窒素原子及び2つのフェノール残基を1分子中に持つシッフ塩基型配位子をキレート形成基として有していてもよい。シッフ塩基型配位子は、天然繊維の分子中の反応性官能基に直接結合されていてもよいし、天然繊維の分子中の反応性官能基に架橋剤からなるグラフト鎖を介して導入されていてもよい。シッフ塩基型配位子を天然繊維の分子中の反応性官能基に直接結合する場合には天然繊維の分子中の反応性官能基と反応させればよく、グラフト鎖を介して導入する場合には架橋剤の反応性官能基(例えばエポキシ基)と反応させればよい。
シッフ塩基型配位子としては、金属イオン捕集能や金属選択性の観点から、上記式(I)で表されるものが好適である。Rが水素原子、Rが臭素原子である式(I)で表されるシッフ塩基型配位子を用いた場合、Rが水素原子、Rが水素原子である式(I)で表されるシッフ塩基型配位子やRが水素原子、Rが塩素原子である式(I)で表されるシッフ塩基型配位子を用いた場合と比べて、金属イオン捕集材の金属吸着率が高くなる傾向にある。特にコバルトイオンについて高い吸着率を示す。
式(I)で表されるシッフ塩基型配位子は、例えば、サリチルアルデヒド類2等量とジエチレントリアミン1等量をエタノール溶媒下、室温で反応させ、次いで溶媒を減圧留去することで得ることができる。
また、本実施形態に係る金属イオン捕集材は、天然繊維の分子中に、環状ポリエーテル構造を持つ環状配位子をキレート形成基として有していてもよい。環状配位子は、天然繊維の分子中の反応性官能基に直接結合されていてもよいし、天然繊維の分子中の反応性官能基に架橋剤からなるグラフト鎖を介して導入されていてもよい。環状配位子を天然繊維の分子中の反応性官能基に直接結合する場合には天然繊維の分子中の反応性官能基と反応させればよく、グラフト鎖を介して導入する場合には架橋剤の反応性官能基(例えばエポキシ基)と反応させればよい。
環状配位子としては、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、チアクラウンエーテル、アザチアクラウンエーテルなどのクラウンエーテル類を有する化合物が挙げられる。金属イオン捕集能や金属選択性の観点から、環状配位子は、上記式(II)で表される化合物が好適である。
本実施形態に係る金属イオン捕集材は、天然繊維を使用しているので地球環境に優しい。これまで廃棄されてきた未利用の天然繊維を金属イオン捕集材の天然繊維として使用可能であるので、この観点からも地球環境に優しいといえる。本実施形態に係る金属イオン捕集材は、銅や亜鉛をはじめ、またツリウム、イッテルビウム、スカンジウム、イットリウム等のレアアース、さらにはセシウムやコバルト、ニッケル、リチウム、バナジウム、クロム、マンガン、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、ロジウム、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金等のレアメタルをも含めた各種金属のイオンを捕集できる。しかも、これら各種金属のイオンを選択的に捕集することもできる。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本発明が限定されることはない。
<捕集材1の製造>
バナナ繊維の表面に含まれるリグニン成分を除去するために、バナナ繊維を10〜20wt%水酸化ナトリウム水溶液中で2時間浸漬させた。浸漬後、イオン交換水を用いてpHが7になるまでバナナ繊維を洗浄した。その後70℃で1日乾燥させた。こうしてバナナ繊維に含まれるリグニン成分の一部が除去されたアルカリ処理バナナ繊維を得た。このアルカリ処理バナナ繊維を捕集材1とした。
<捕集材2の製造>
硝酸二アンモニウムセリウム塩0.5g、イオン交換水10mL、硝酸2g、アセトン10mL、メタクリル酸グリシジル(GMA)10gの混合溶液中に上記アルカリ処理バナナ繊維10gを浸し、密封した後、室温にて24時間反応させた。反応後、精製のためにイオン交換水、エタノールの順で洗浄した後、70℃で乾燥させてバナナ繊維−g−GMAを得た。このバナナ繊維−g−GMAを捕集材2とした。図1にバナナ繊維−g−GMAの合成の概略を示す。図1のアルカリ処理バナナ繊維を表す化学式中のn、バナナ繊維−g−GMAを表す化学式中のn及びmはそれぞれ、正の整数である。
<捕集材3の製造>
サリチルアルデヒド類2等量とジエチレントリアミン1等量をエタノール溶媒下、室温で反応させた。その後、溶媒を減圧留去し、目的物である(2,2’-iminobis[etane-2,1-diylnitrilo(E) methylidine]) bis phenol誘導体(上記式(I)で表されるシッフ塩基型配位子)を得た。図2に(2,2’-iminobis[etane-2,1-diylnitrilo(E) methylidine]) bis phenol誘導体の合成の概略を示す。
次いで、上記バナナ繊維−g−GMA10gに対して(2,2’-iminobis[etane-2,1-diylnitrilo(E) methylidine]) bis phenol誘導体5gを添加し、24時間反応させた。反応後、アセトン、エタノールにてバナナ繊維表面を洗浄し、乾燥機にて70℃で1日乾燥させ、捕集材3を得た。図3にバナナ繊維−g−GMAにシッフ塩基型配位子が導入された捕集材の合成の概略を示す。
<捕集材の金属イオン捕集能1>
水相を金属イオン(Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+)1.0×10−4mol/L、塩素酸ナトリウム1.0×10−1mol/L、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)1.0×10−2mol/L、酢酸1.0×10−2mol/L、酢酸ナトリウム1.0×10−2mol/Lに調整した。水相30cmに対して0.3gの上記捕集材1を遠心沈殿管に加えて5日間振とうさせた。5日後、捕集材1をろ過し、水相のpHを測定し、ICP−AESを用いて金属イオンの吸着量を測定した。pHを変えた水相の金属イオンの吸着量も同様にして測定した。
捕集材2及び捕集材3についても捕集材1と同様にして金属イオンの吸着量を測定した。さらにまた、捕集材3においてバナナ繊維に代えて市販のセルロースを用いた以外は捕集材3と同様にして製造した捕集材4、及び市販の捕集材5(アンバーライト)についても捕集材1と同様にして金属イオンの吸着量を測定した。
この結果を図4−図8に示す。図4−図8は各種金属イオンの吸着率と水相のpHの関係を示したグラフである。グラフの縦軸は金属イオンの吸着率を示し、横軸は水相のpHを示す。
図4及び図5は捕集材3の金属イオンの吸着量を示している。図4(a)は、図3に示すシッフ塩基型配位子(官能基Rが水素原子)が導入されている捕集材3についての結果である。図4(b)は、図3に示すシッフ塩基型配位子(官能基Rが塩素原子)が導入されている捕集材3についての結果である。図5は、図3に示すシッフ塩基型配位子(官能基Rが臭素原子)が導入されている捕集材3についての結果である。
図4及び図5の結果から、シッフ塩基型配位子(官能基Rが臭素原子)が導入されている捕集材3は、シッフ塩基型配位子(官能基Rが水素原子)が導入されている捕集材3やシッフ塩基型配位子(官能基Rが塩素原子)が導入されている捕集材3よりも金属イオンの吸着率が高く、特にコバルトイオンの吸着率が高いことが確認された。また、図4及び図5の結果は、捕集材3が金属イオンを選択的に捕集することができることを示している。
図6(a)は捕集材1の金属イオンの吸着量を示している。図6(b)は捕集材2の金属イオンの吸着量を示している。図6の結果は、シッフ塩基型配位子を有していなくても金属イオンを選択的に捕集することができることを示している。
また、アルカリ処理バナナ繊維の原料となるバナナ繊維(アルカリ処理前のバナナ繊維:リグニン成分を除去していないバナナ繊維)について捕集材1と同様にして金属イオンの吸着量を測定したところ、金属イオンを選択的に捕集することができることを確認した。
図7は捕集材4の金属イオンの吸着量を示している。図7の結果は、各種金属イオンの吸着率の挙動が図4や図5と異なっていることを示す。
図8は市販の捕集材5(アンバーライト)の金属イオンの吸着量を示している。図8の結果は、各種金属イオンが捕集材5に100%吸着されており、金属イオンの捕集について選択性がないことを示している。
<捕集材の金属イオン捕集能2>
水相を金属イオン(Yb2+、Tm2+)1.0×10−4mol/L、過塩素酸ナトリウム1.0×10−1mol/L、酢酸5.0×10−3mol/L、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)5.0×10−3mol/Lに調整した。水相30cmに対して0.3gの捕集材(シッフ塩基型配位子(官能基Rが臭素原子)が導入されている捕集材3)を遠心沈殿管に加えて5日間振とうさせた。5日後、捕集材3をろ過し、水相のpHを測定し、ICP−AESを用いて金属イオンの吸着量を測定した。pHを変えた水相の金属イオンの吸着量も同様にして測定した。
この結果を図9に示す。図9は各種金属イオンの吸着率と水相のpHの関係を示したグラフである。グラフの縦軸は金属イオンの吸着率を示し、横軸は水相のpHを示す。
図9の結果は、捕集材3がイッテルビウムイオン、ツリウムイオンを良好に捕集することができることを示している。この結果は、他の希土類元素のイオンについても良好に捕集できることを示唆するものである。
<捕集材6の製造>
THF(テトラヒドロフラン)が300ml入った二股フラスコに水素化ナトリウムを6.4g入れ、窒素雰囲気下で還流した。その後、N-フェニルジエタノールアミン14.5gとテトラエチレンアルコールジトシレート40.2gの混合溶液を5時間かけて滴下し、その後3時間還流した。冷却後、残留物をTHFで洗浄しながらろ過した。得られたTHFのろ液を減圧留去し、目的物を得た。得られた目的物に10mlのメタノールを加え、更に過塩素酸ナトリウム11.3gを15mlのメタノールに溶解した溶液を加え、10分間還流した。メタノールを減圧留去した後、酢酸エチルで再結晶し、12.2gのN-フェニルアザ-18-クラウン-6過塩素酸ナトリウム塩を得た。その後、塩化メチレン:水(1:1)溶液中で分解処理を行い、塩化メチレンを回収後、減圧留去して7.49gの N-フェニルアザ-18-クラウン-6を得た。
N-フェニルアザ-18-クラウン-6(3.39g)を5mlの温37%塩酸に溶解し、氷水で5℃まで冷却した。2mlの水に0.7gのNaNOを溶解した溶液をゆっくり加え、20分撹拌した。30mlの氷水と20mlの塩化メチレンを加えて撹拌した。次に飽和炭酸ナトリウムを入れると有機層が緑色になった。得られた有機相を減圧留去し、目的物であるN-(ニトロソフェニル)アザ-18-クラウン-6を得た。
N-(ニトロソフェニル)アザ-18-クラウン-6を3mlの37%塩酸に溶解し、塩化スズ1.85gを1.6mlの水に溶解した溶液を40℃で撹拌しながら加えた。20分撹拌した後、水を加え、さらに30分撹拌した。その後、40%の水酸化ナトリウムを加えると茶色い油状の物質が析出した。析出物を塩化メチレンで抽出し、溶媒を減圧蒸留し、N-(4-アミノフェニル)アザ-18-クラウン-6エーテル(上記式(II)で表される環状配位子)を得た。図10にN-(4-アミノフェニル)アザ-18-クラウン-6エーテルの合成の概略を示す。
N-(4-アミノフェニル)アザ-18-クラウン-6エーテルを溶解したアセトニトリル中に上記バナナ繊維−g−GMAを1.5g入れて、一日整置した。その後、アセトニトリルとアセトンで洗浄し、捕集材6を得た。図11にバナナ繊維−g−GMAに環状配位子が導入された捕集材の合成の概略を示す。
<捕集材の金属イオン捕集能3>
1.0×10−4Mのセシウム溶液30mlと0.3gの捕集材6を遠沈管に入れ、5日間振とうした。次いで、振とう実験で回収した溶液を10倍に薄め、原子吸光を用いて溶液中のセシウムイオンの定量を行った。この結果から捕集材6のセシウムイオンの吸着率を求めた。捕集材2についても捕集材6と同様にしてセシウムイオンの吸着率を求めた。
その結果を図12に示す。図12の結果は、捕集材2および捕集材6がセシウムイオンを捕集することができることを示している。また、この結果から、捕集材6のセシウムイオンの吸着能は捕集材2よりも良好であることが確認された。
<捕集材7〜11>
上記捕集材1におけるバナナ繊維を、リグニン成分を除去するアルカリ処理を行わずにそのまま使用し、これを捕集材7とした。
この捕集材7について、上記捕集材1からの捕集材2の製造と同様の処理を行い、バナナ繊維−g−GMAを得た。これを捕集材8とした。
捕集材9として天然繊維の麻を、捕集材10として市販の結晶セルロースを、捕集材11としてゼオライトを用いた。
<捕集材の金属イオン捕集能4>
セシウム濃度10〜1000ppbに調整した水相30cm中に各捕集材0.3gを入れ、1時間振とうした。その後、原子吸光光度計を用いて水相中の残存セシウム濃度を測定し、吸着率を求めた。
その結果を図13〜図19に示す。図13は捕集材7(アルカリ未処理バナナ繊維)、図14は捕集材8(アルカリ未処理バナナ繊維−g−GMA)、図15は捕集材1(アルカリ処理バナナ繊維)、図16は捕集材2(アルカリ処理バナナ繊維−g−GMA)、図17は捕集材9(麻)、図18は捕集材10(結晶セルロース)、図19は捕集材11(ゼオライト)の結果である。
<捕集材の金属イオン捕集能5>
ストロンチウム濃度25〜300ppbに調整した水相30cm中に捕集材7(アルカリ未処理バナナ繊維)0.3gを入れ、1時間振とうした。その後、原子吸光光度計を用いて水相中の残存ストロンチウム濃度を測定し、吸着率を求めた。
その結果を図20に示す。

Claims (9)

  1. 天然繊維からなることを特徴とする金属イオン捕集材。
  2. 前記天然繊維は、当該天然繊維に含まれるリグニン成分の一部が除去されている天然繊維であることを特徴とする請求項1に記載の金属イオン捕集材。
  3. 前記天然繊維の分子中の反応性官能基に、架橋剤からなるグラフト鎖が導入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の金属イオン捕集材。
  4. 前記天然繊維の分子中に、3つの窒素原子及び2つのフェノール残基を1分子中に持つシッフ塩基型配位子または環状ポリエーテル構造を持つ環状配位子を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の金属イオン捕集材。
  5. 前記シッフ塩基型配位子および前記環状配位子は、前記天然繊維の分子中の反応性官能基に、架橋剤からなるグラフト鎖を介して導入されていることを特徴とする請求項4に記載の金属イオン捕集材。
  6. 前記シッフ塩基型配位子は、下記式(I)で表わされることを特徴とする請求項4または5に記載の金属イオン捕集材。
    (式中、R及びRは、各々同一又は別異に、水素原子、臭素原子、又は塩素原子を示す。)
  7. 前記環状配位子は、下記式(II)で表わされることを特徴とする請求項4または5に記載の金属イオン捕集材。
  8. 前記架橋剤は、分子中にビニル基及びエポキシ基を有する化合物であることを特徴とする請求項3または5に記載の金属イオン捕集材。
  9. 前記天然繊維は、バナナ繊維であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の金属イオン捕集材。
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