JP2016020007A - 熱延鋼板の製造方法、熱延鋼板の製造装置 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法、熱延鋼板の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱間仕上圧延の後段に表層部が超硬合金からなる小径のワークロールを用いて高圧下圧延をするときでも、被圧延材先端部の噛み込み性を確保できる熱延鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】、熱間仕上げ圧延機列により仕上げ圧延をする工程を含む熱延鋼板の製造方法であって、熱間仕上げ圧延機列に備えられる圧延機のうち後段の圧延機の少なくとも1つの圧延機のワークロールは、その直径が600mm以下であるとともに、表面の弾性係数が300GPa以上である超硬合金を具備して形成され、ワークロールの表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下であり、ワークロールに外周を接触させるように配置されるバックアップロールは直径1350mm以上であり、ワークロールを具備する圧延機による圧下率を25%以上とし、ワークロールに潤滑剤を供給することなく圧延することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法、及び熱延鋼板の製造装置に関し、詳しくは高い圧下率で熱間圧延を行う熱延鋼板の製造方法、及び熱延鋼板の製造装置に関する。
自動車用や構造材用等として用いられる鋼材は、強度、加工性、靭性といった機械的特性に優れることが求められ、これらの機械的特性を総合的に高めるには、鋼材の組織を微細化することが有効である。そのため、微細な組織を有する鋼材を得るための方法が数多く模索されている。また、組織の微細化によれば、合金元素の添加量を削減しても優れた機械的性質を具備した高強度熱延鋼板を製造することが可能になる。
組織の微細化方法としては、熱間仕上げ圧延の特に後段において、高い圧下率で圧延(以下、「高圧下圧延」と記載することがある。)を行ってオーステナイト粒を微細化するとともに鋼板に圧延歪を蓄積させ、圧延後に得られるフェライト粒の微細化を図ることが知られている。
その一方で、高圧下圧延では圧延負荷が高くなるため、大きい耐荷重が必要になるなど、圧延機の設備仕様が大型化に向かうことから、設備費が増大してしまう。これを防ぐために、ワークロールを小径化することや潤滑により摩擦係数を低減することなどの対策がとられる。
非特許文献1には、高圧下圧延を行う際のワークロール径が小さいほど、及び潤滑を行って摩擦係数を下げるほど、圧延負荷が小さくなり、例えば最終スタンドのワークロール径を500mm〜600mm、圧延摩擦係数μを0.2以下とすれば、前述の高圧下圧延を実現できることが開示されている。また非特許文献1には、ワークロールを小径化をしても、ワークロールの面圧が高い圧延となるため焼き付きが問題となることや、表層が超硬合金からなるワークロールを用いれば焼き付きを軽減できることも示されている。
また小径化したワークロールを用いると、被圧延材との接触機会が増加するため、ワークロールの摩耗が進展しやすくなる。そのためワークロールを小径化しても、従来と同様のワークロールを用いた場合、その摩耗が過大となる問題がある。特許文献1には、熱間仕上圧延機のワークロールに対して圧延部表層が超硬合金からなるワークロールを用いると、従来のワークロールに比べて大幅に摩耗量を低減できることが開示されている。
特開2001−321804号公報
福島ら、「極短時間多パス圧延による超微細粒鋼の製造技術」、平成19年度塑性加工春季講演会講演論文集、P.49
しかしながら、非特許文献1や特許文献1に記載されるように、熱間仕上圧延の後段に表層部が超硬合金からなる小径のワークロールを用いた技術では、被圧延材先端部のワークロールへの噛み込み不良が発生し易くなり、操業トラブルが発生することがあった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、熱間仕上圧延の後段に表層部が超硬合金からなる小径のワークロールを用いて高圧下圧延をするときでも、被圧延材先端部の噛み込み性を確保できる熱延鋼板の製造方法および熱延鋼板の製造装置を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
請求項1に記載の発明は、熱間仕上げ圧延機列により仕上げ圧延をする工程を含む熱延鋼板の製造方法であって、熱間仕上げ圧延機列に備えられる圧延機のうち後段の圧延機の少なくとも1つの圧延機のワークロールは、その直径が600mm以下であるとともに、表面の弾性係数が300GPa以上である超硬合金を具備して形成され、ワークロールの表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下であり、ワークロールに外周を接触させるように配置されるバックアップロールは直径1350mm以上であり、ワークロールを具備する圧延機による圧下率を25%以上とし、ワークロールに潤滑剤を供給することなく圧延することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
ここで「後段」は、熱間仕上げ圧延機列に備えられる複数の圧延機のうち、半分より下流側の工程側に配置される圧延機を意味する。すなわち例えば7つの圧延機が配置されている場合には下流側の3つが後段である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法において、前記少なくとも1つの圧延機には仕上げ圧延機列の最終の圧延機が含まれることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、複数の圧延機を具備する熱間仕上げ圧延機列を有し、複数の圧延機は、被圧延材を圧延するワークロールと、ワークロールに外周を接触させるように配置される直径1350mm以上のバックアップロールと、を備え、複数の圧延機のうち後段の少なくとも1つの圧延機のワークロールは、外殻に超硬合金を具備して構成され、該ワークロールの表面の弾性係数が300GPa以上であり、その直径が600mm以下であるとともに、表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下である熱延鋼板の製造装置である。
本発明により、噛み込み性を確保して操業安定性を保持しつつ、仕上げ圧延機列の後段の圧延機で高い圧下率で圧延することができる。
1つの実施形態にかかる熱延鋼板の製造装置の一部を模式的に示した図である。 図1のうち、最終スタンド及びその周辺に注目して拡大した図である。
本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
図1は、1つの実施形態を説明する図で、熱延鋼板の製造装置10の一部を概略的に示した図である。図1では、鋼板1は紙面左(上流側、上工程側)から右(下流側、下工程側)の方向へと搬送されており、紙面上下が鉛直方向である。上流側(上工程側)から下流側(下工程側)への方向を通板方向と記載することがあり、これに直交する方向で、通板される鋼板の板幅の方向を板幅方向と記載することがある。また、図において見易さのため、繰り返しとなる符号の記載は省略することがある。
図2は、図1のうち、最終スタンド11g及びその周辺を拡大して示した図である。
図1に示すように、熱延鋼板の製造装置10は、熱間仕上げ圧延機列11、冷却装置20、搬送ロール12、およびピンチロール13を備えている。また図示及び説明は省略するが、熱間仕上げ圧延機列11より上流側には、加熱炉や粗圧延機列等が配置され、熱間仕上げ圧延機列11に入るための鋼板の条件を整えている。一方、ピンチロール13の下流側には他の冷却装置や巻き取り機が設けられ、鋼板コイルとして出荷するための各種設備が配置されている。
本実施形態における熱間仕上げ圧延機列11は、図1からわかるように7機のスタンド11a、…11f、11gが通板方向に沿って並列されている。ぞれぞれのスタンド11a、…11f、11gには圧延機が具備され、最終製品において必要とされる鋼板の厚さ、機械的性質、表面品質等の条件を満たすことができるように圧下率等の圧延条件が設定されている。
ここで、各スタンドの圧延機の圧下率は製造される鋼板が有するべき性能を満たすように設定されるが、製造装置10では、高圧下圧延を行ってオーステナイト粒を微細化するとともに鋼板に圧延歪を蓄積させ、圧延後に得られるフェライト粒の微細化を図る観点から、仕上げ圧延機列11のうち後段(本実施形態ではスタンド11e、11f、11g)の少なくとも1つの圧延機で圧下率が25%以上60%以下であることが好ましい。そして当該少なくとも1つの圧延機に最終スタンド11gの圧延機が含まれることがさらに好ましい。「圧下率」はある1つの圧延機に入る前の被圧延材の板厚をT、当該圧延機を出た後の被圧延材の板厚をtとしたとき、
{(T−t)/T}×100%
で表される。
最終スタンド11gの下流側で冷却装置20により冷却を行う場合、特に最終スタンド11gの圧下率が高いほど急冷中のフェライト変態が誘起される。ここで、圧下率が25%に満たない場合には、十分にフェライト変態されない場合がある。一方、圧下率が高すぎて60%より大きくなると、圧延中の発熱が大きくなり、冷却装置20による冷却の効果が得られなくなることがある。
各スタンドの圧延機は、実際に鋼板1を挟んで圧下する一対のワークロール11aw、11aw、…、11fw、11fw、11gw、11gwと、該ワークロールに外周同士を接するように配置された一対のバックアップロール11ab、11ab、…、11fb、11fb、11gb、11gbと、を有している。また、圧延機はワークロール及びバックアップロールを内側に含み、圧延機の外殻を形成し、ワークロールおよびバックアップロールを支持するハウジング11ah、…、11fh、11ghを備えている。ハウジングは対向して立設された2つの立設部(最終スタンド11gにおいては立設部11gr、図2参照)を有している。すなわち、ハウジングの2つの立設部は鋼板1(パスライン)、を板幅方向に挟むように立設されている。
本実施形態において、最終スタンド11gのワークロール11gwは、熱間圧延に通常用いられる鋼を基材とし、該基材の外周を、炭化タングステン(WC)を主成分とする超硬合金で覆うように形成したロールである。これによりワークロール11gwの外殻が超硬合金で構成され、その表面における弾性係数を300GPa以上にすることができ、ワークロールの表面扁平変形を抑制することが可能となる。超硬合金の被覆厚さは5mm〜20mmが好ましい。5mmより薄くなると扁平の抑制が不十分となる可能性が高くなる。また、20mmより厚くなるとワークロールを製造するコストが大きくなる。また、超硬合金は粉末成形、焼結等により製造されることが多く、特に大きなロール直径で厚さを大きくすると、破損し易くなる傾向にある。
超硬合金の種類は特に限定されることはなく、炭化タングステン(WC)を結合する結合材料としては例えばコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及びこれを含む各種合金を用いることができる。炭化タングステンと結合材料との割合は、超硬合金の質量に対して炭化タングステンが70質量%〜90質量%であることが好ましい。炭化タングステンの割合が小さくなると割れ難くなるが耐摩耗性が低下する傾向にある。一方炭化タングステンの割合が大きくなると耐摩耗性が向上するが、割れが発生しやすくなる傾向にある。
また、炭化タングステンの代わりに周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物のいずれかを用いてもよい。
最終スタンドで圧下率が25%以上となるような高圧下圧延を行った場合、通常の圧延に比べ、エッジドロップが少なくとも1.5倍程度大きくなることが想定される。エッジドロップが大きくなりすぎると鋼板の板幅方向端部の領域で鋼板の板厚精度を保証したJIS規格を外れてしまうことがある。これに対して本発明ではワークロールの弾性係数を300GPa以上にすることによりこのような板厚精度を確保し易くなる。
また、図2にD1で示した、超硬合金が用いられたワークロール11gwの直径は、600mm以下である。すなわち通常のワークロールの直径が700mm〜800mm程度であることを考慮すれば、その直径が小さい。これにより、高圧下圧延におけるワークロール11gwへの負荷を軽減することができる。すなわち、上記のように圧下率25%以上60%未満の高圧下圧延を通常の700mm〜800mmのロール直径のワークロールで行うと、被圧延材単位幅あたりの圧延荷重(線荷重)は30MN/mmより大きくなり、45MN/mmに達することもある。このような高い圧延荷重が作用した場合にはロール表面が変形し、それを起点にクラックが発生し、その結果ワークロールが破損する場合がある。これに対して、ワークロールの直径を600mm以下とすれば、線荷重は30MN/mm以下に抑えることができるため、ワークロールが破損する可能性を著しく低下させることができる。
一方、ワークロール直径を450mm未満とすると、上下のワークロールを駆動する際に、駆動系部品の強度が低下するため、十分にトルクを伝達することができず、高圧下圧延が困難になることがある。従って、ワークロールの直径は450mm以上であることが好ましい。
また、ワークロールの直径を小さくすることにより、超硬合金を用いる量を減らすこともでき、ワークロールの製造を容易とし、そのコストも抑えることが可能となる。
図2にL1で示した、ワークロール11gwの軸中心とハウジング立設部11grの下流側端面との距離は、ワークロール11gwの半径(D1/2)よりも大きいことが好ましい。従って、L1−(D1/2)に相当する部位には、冷却装置20の一部を配置することもできる。すなわち、ワークロールの直径を小さくすることにより、冷却装置20の一部をハウジング11ghの内側に挿入して配置するに際し、冷却装置20をワークロール11gwによる圧下点に近付けて配置することが可能となる。
さらに、ワークロール11gwの表面、すなわち、超硬合金の表面はRaで0.3μm〜2.0μmの範囲内の粗さとされている。ここで表面粗さのRaは算術平均粗さを意味し、JIS B 0601−2001の通りである。本発明者は超硬合金を用いた小径であるワークロールを用いて高圧下圧延を行う場合のワークロールの表面粗さをRa≧0.3μmとすることにより被圧延材の先端部の噛み込み不良を大幅に抑制できること、さらにRa≧0.5μmとすれば噛み込み不良がほぼ発生しないことを見出した。一方、Ra>2.0μmでは、噛み込み不良は発生しないが被圧延材の表面にワークロールの粗さに起因する凹凸が転写されて被圧延材の表面品質に悪影響を及ぼすことがわかった。
従来においては、表層部に超硬合金を用いたワークロールを研磨する手段として、表面粗さが小さくなるような小さい研磨に適したダイヤモンド砥石を使うことが多く、また、圧延加工中に摩耗が進行し難いことから、研磨肌の転写を抑制するために通常のワークロールよりも表面粗さを小さくしていた。すなわち、高圧下圧延を行うために超硬合金を有する直径が小さいワークロールを用いても、上記のよう細かな研磨で表面粗さが小さくされていることから被圧延材の先端部の噛み込み不良が生じ、操業の安定を図ることができなかった。しかしながらこのことは従来認識されていなかった。
これに対して本発明では上記のように従来とは異なり、超硬合金を用いるワークロールにおいて、その表面を所定の範囲内で粗くすることにより噛み込み不良を抑制し、操業の安定を図ることを可能とした。
従って、直径600mm以下であるとともに、その表面の弾性係数が300GPa以上である超硬合金を具備して形成されたワークロールを備える圧延機により、圧下率を25%以上として圧延して微細化した組織の鋼板を得る際には、このワークロールの表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下である必要があり、表面粗さがRaで0.5μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。
また、ワークロール表面の粗さを、噛み込み性を高めるために通常よりも大きめとした場合、従来の材質のワークロールでは、高い圧下率の圧延を行ったときには、圧延中の表面粗さが急激に増加し、被圧延材の表面品質に悪影響を及ぼすことがある。これに対し、超硬合金は耐摩耗性に優れることから、高い圧下率で圧延を行ったときでも、圧延中の表面粗さの変化が非常に小さい。従って、圧延中であってもワークロールの表面粗さが急激に増加しにくく、被圧延材の表面品質に悪影響を及ぼすことなく、インラインロール研磨等の特別なロール粗度維持作業を頻繁に行うことなく複数の圧延を安定して操業することが可能である。
バックアップロール11gbは、通常のもの、すなわちその直径が1200mm〜1650mm程度のロール適用することができる。ただし、ワークロール11gwの表面近傍の弾性係数を高めた場合には、ワークロールとバックアップロールとが接触する部分に作用するヘルツ圧が高くなる。ヘルツ圧を低減させる観点からバックアップロール直径は大きい方が有利であり、バックアップロールの直径は1350mm以上が好ましい。
冷却装置20、搬送ロール12、ピンチロール13は公知のものを用いることができる。
1つの実施形態にかかる熱延鋼板の製造方法では、例えば次のように熱延鋼板を製造する。ここでは例として上記製造装置10を用いた場合を説明するが、必ずしも製造装置10による必要はなく、他の装置によるものであってもよい。
加熱炉から抽出され、粗圧延機で所定の厚さにまで圧延された粗バーが、温度を制御されながら連続的に熱間仕上げ圧延機列11で所定の厚さに圧延される。熱間仕上げ圧延機列11の最終スタンド11gでは、ワークロール11gwのロール直径が600mm以下であるとともに、表面の弾性係数が300GPa以上である超硬合金を具備して形成され、このワークロールの表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下に研磨及び維持されている。そしてその時の圧下率は25%以上である。これにより十分なフェライト変態が可能となり、噛み込み性も確保される。また、圧下率は60%以下であることが好ましい。これにより冷却装置20による冷却の効果が十分に得られる。
本実施形態では研磨によりワークロールの表面粗さを維持、管理する例を挙げたが、表面粗さが所定の粗さとなるように維持、管理がされればその方法は特に限定されない。ここでは表面粗さを所定の範囲に維持、管理する方法として研磨が効率的であることから研磨を具体例として説明した。
このようにワークロールの直径が小さいことにより被圧延材との接触長を短くすることが可能となるとともに、表面の弾性係数が高いことにより荷重負荷時の扁平量を小さく抑えることができる。従って高圧下率による圧延が可能となり、鋼板の結晶粒微細化を行うことができる。そして、ワークロールの表面粗さを上記の範囲に規定することにより、高い圧下率であるにもかかわらず、被圧延材の先端部の噛み込み性を確保することが可能である。
従って、高圧下率の圧延により微細化した結晶粒を具備する鋼板を得る熱延鋼板の製造方法において、噛み込み性を確保し円滑に生産をすることができる。
また、ワークロール11gwの表面が高い弾性率を有する超硬合金であることにより、圧延時にワークロール11gwの扁平量を小さく抑えることができるので、高圧下圧延でもエッジドロップを低減させたり、鋼板の平坦度を確保することも可能となる。また、耐摩耗性に優れるので、高圧下圧延であっても従来と同程度の頻度でワークロールを交換すればよい。
さらに、炭化物を多く含む超硬合金を用いれば金属凝着を少なくすることができるので、潤滑剤を用いることなく無潤滑で圧延しても低い摩擦係数を確保することが可能となる。
従って、本発明によれば、潤滑剤を用いていないのでさらに噛み込み不良が防止され、安定した操業ができるとともに、圧延も無潤滑で行われるので、被圧延材の全長に亘って無潤滑で高圧下圧延を行うことができる。
熱間仕上げ圧延機列11を出た鋼板1は、冷却装置20により冷却され、ピンチロール13を経て下流側に搬送される。
以上のような工程を含む熱延鋼板の製造方法によれば、仕上げ圧延機列11の最終スタンド11gで高い圧下率で圧延することができ、ワークロール11gwを破損することなく、微細化した組織を有する鋼板を得ることができ、併せて、エッジドロップも低減させることができる。そしてこのような高圧下率であるにもかかわらず、噛み込み性に優れるため、製造の安定性を損なうことなく操業することが可能である。
以上説明した熱延鋼板の製造方法は、熱間仕上げ圧延機列11の最終スタンド11gのみについて高圧下圧延を適用した例であったが、これに限定されるものではなく、熱間仕上げ圧延機列の後段の少なくとも1つに上記した高圧下圧延を適用してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施例では、ワークロールの材質やワークロールの直径等を変更して圧延を行った。条件及びその結果を表1に示す。
「ロール外郭部材質」はワークロールの外郭部を形成している材料の材質である。「高合金グレン」は熱間仕上げ圧延機の後段にて従来から一般的に使用されているワークロールの材料であり、その弾性係数は200GPaであった。一方、「超硬合金」はワークロールの外郭部に、WCを80質量%含有する超硬合金を20mmの厚さで具備するものである。超硬合金の弾性係数は400GPaであった。
「表面粗さRa」は、JIS B 0601−2001によるワークロールの算術平均粗さを表し、触針式粗さ計を用いて、被圧延材の圧延の前にワークロールが被圧延材に接触する部分について複数箇所、周方向に走査して測定し、その平均をとった。
「潤滑」は被圧延材の噛み込み時に潤滑剤の有無を示したものである。
「先端部噛み込み」は、被圧延材の噛み込みが良好であった場合には「○」、噛み込みされなかった場合には「×」で表した。
「エッジドロップE75−15」は、圧延後の材料の板幅方向中央部の板厚(中央板厚)、および板幅方向端から15mm、75mm板幅方向に離れた位置の板厚(幅方向板厚)をそれぞれ計測して、中央板厚から幅方向板厚を引いた板厚偏差を算出し、上記15mmにおける幅方向板厚の板厚偏差から上記75mmにおける幅方向板厚の板厚偏差を引いた値である。
「ロール破損」は、被圧延材の噛み込みから圧延終了までの間にワークロールが破損したかについて表した。
「線荷重」は圧延荷重をロードセルにて計測し、板幅で除して求めた。
なお、「エッジドロップE75−15」、「ロール破損」、「線荷重」は、噛み込みができたものについての評価され、噛み込みができなかった場合には「−」で示した。
また、被圧延材は、Cを0.1質量%、Mnを1.0質量%を含有する板幅700mmの鋼材とし、圧延温度は850℃とした。
いずれも、25%以上という高い圧下率で圧延を試みたものである。
No.1ではロール直径が大きく、高合金グレンを用い、さらに無潤滑で圧延をしたことから、エッジドロップが大きく、ワークロールの破損もあった。
No.2では潤滑をしたため線荷重が低下し、破損はなかったが高圧下率で高合金グレンを用いたので、エッジドロップが大きかった。
No.3は、No.1に対してロール直径を小さくしたので線荷重が低下し、ロールの破損はなかったが、エッジドロップの低下は不十分であった。
No.4は、No.2に対してロール直径を小さくした例であるが、先端部を噛み込むことができなかった。
No.5は、ロール外郭部材質として超硬合金を用い、その表面粗さをRa=0.3μmとしたが、ロールの直径が大きかったため線荷重が大きく、ワークロールに破損が生じてしまった。
No.6は、No.5に対してロール直径を小さくしたものであり、先端部噛み込み、エッジドロップともに良好であり、ワークロールの破損もなかった。
No.7は、No.6に対して超硬合金の表面粗さをRa=0.2μmとし、圧下率を50%に上昇させたが、先端を噛み込むことができなかった。
No.8は、No.7に対して超硬合金の表面粗さをRa=0.3μmとしたところ、先端噛み込み、及びエッジドロップも良好であり、ロールの破損も生じなかった。
1 鋼板
10 製造装置
11 圧延機列
11g 最終スタンド
11gw 最終スタンドのワークロール
12 搬送ロール
13 ピンチロール
20 冷却装置

Claims (3)

  1. 熱間仕上げ圧延機列により仕上げ圧延をする工程を含む熱延鋼板の製造方法であって、
    前記熱間仕上げ圧延機列に備えられる圧延機のうち後段の圧延機の少なくとも1つの圧延機のワークロールは、その直径が600mm以下であるとともに、表面の弾性係数が300GPa以上である超硬合金を具備して形成され、前記ワークロールの表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下であり、
    前記ワークロールに外周を接触させるように配置されるバックアップロールは直径1350mm以上であり、
    前記ワークロールを具備する圧延機による圧下率を25%以上とし、前記ワークロールに潤滑剤を供給することなく圧延することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記少なくとも1つの圧延機には前記仕上げ圧延機列の最終の圧延機が含まれることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
  3. 複数の圧延機を具備する熱間仕上げ圧延機列を有し、
    前記複数の圧延機は、被圧延材を圧延するワークロールと、前記ワークロールに外周を接触させるように配置される直径1350mm以上のバックアップロールと、を備え、
    前記複数の圧延機のうち後段の少なくとも1つの圧延機のワークロールは、外殻に超硬合金を具備して構成され、該ワークロールの表面の弾性係数が300GPa以上であり、その直径が600mm以下であるとともに、表面粗さがRaで0.3μm以上2.0μm以下である熱延鋼板の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000334503A (ja) * 1999-05-20 2000-12-05 Danieli United A Division Of Danieli Corp 逆対称性クラウン可変ロールおよび操作方法
JP2005014044A (ja) * 2003-06-26 2005-01-20 Jfe Steel Kk 圧延機および圧延方法
JP2009214115A (ja) * 2008-03-07 2009-09-24 Jfe Steel Corp 仕上げ圧延機におけるクラウン・エッジドロップ制御圧延機および圧延方法

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