JP2016108524A - 導電性樹脂組成物、導電性マスターバッチ、成形体およびその製造方法 - Google Patents

導電性樹脂組成物、導電性マスターバッチ、成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高い導電性および良好な外観の成形体を成形できる導電性樹脂組成物、ならびに成形体の提供を目的とする。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、カーボンブラック(C)とを含み、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部およびカーボンブラック(C)2〜10質量部とを含み、好ましくはカーボンナノチューブ(B)100質量部に対して、カーボンブラック(C)50〜400質量部を含む導電性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体。【選択図】 なし

Description

本発明は、成形後も高い導電性を示す導電性樹脂組成物、導電性マスターバッチ、成形体及びその製造方法に関する。
ICやLSIを用いた電子機器部品の包装材として、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を成形したトレイ、エンボスキャリアテープなどが知られている。トレイやエンボスキャリアテープの基材は、一般的に樹脂シート等の樹脂成形品が使用されている。樹脂成形品は、導電性が無いため表面抵抗値や体積抵抗率が高いため、帯電による電子部品の絶縁破壊やゴミの付着による電子部品の機能低下などの問題を引き起こすことがある。そのため、樹脂成形品自体にカーボンブラックのような導電性粒子を練り混むことで、帯電防止能や静電気拡散能を付与している。
さらに、自動車分野や電子部品分野では金属部分の代替として、樹脂成形品が使用されつつあり、カーボンブラックでは達成できない程度の導電性が求められている。
カーボンナノチューブは、その特性からエレクトロニクス(トランジスター素子、配線など)、エネルギー(燃料電池用電極材料、太陽光発電装置、ガス貯蔵など)、電子放出(フラットパネル装置など)、化学(吸着剤、触媒、センサーなど)、複合材料(導電性プラスチック、強化材料、難燃ナノコンポジットなど)など様々な分野での応用が期待されており、その中でも特に導電性用途への応用が特に期待されており、カーボンブラックでは達成できない、高導電な成型体が実現できる可能性を秘めている。しかし、カーボンナノチューブはアスペクト比が非常に大きく、複雑に絡み合った二次粒子の状態のものが多い。そのため樹脂成形品中に分散する難易度は非常に高い。
カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる技術としては、カーボンナノチューブをプラズマで処理することにより絡まりをほぐし樹脂へ分散させる方法が開示されている(特許文献1参照)。また、イオン性液体とカーボンナノチューブを主成分とし、導電性を発現させる技術(特許文献2参照)や、マトリックスポリマーと電子導電性繊維状充填剤とイオン性液体を成分とし、電子導電性繊維状充填剤の分散性に優れ、かつ、電気抵抗のばらつきが小さくする技術が開示されている(特許文献3参照)。
一方、カーボンナノチューブを配合した樹脂組成物は射出成形をした場合、樹脂中に十分にカーボンナノチューブが分散した場合でも、十分な導電性が発現し難いという問題がある。その理由として、特に射出成形等のような成形方法においては、成形体表面に樹脂の存在比率が高い層(スキン層)が形成されてしまうことが主な要因の一つと考えられている。スキン層の形成を低減するためには、成形体中のカーボンナノチューブ濃度を高める方法があるが、コストアップや加工難度が増大するという懸念があり、成形条件(金型温度の高温化、成形温度の高温化、射出速度の低速度化等)による問題解決が試みられているものの、成形サイクルの長期化、成形体表面光沢の消失、成形体の物性が劣化するなどの問題点が挙げられる。一方、2種の樹脂を含むポリマーアロイを海島構造もしくは共連続状態の連続層へカーボンナノチューブを選択的に配合することで、カーボンナノチューブが低濃度でも導電性を発現する技術が開示されている(特許文献4、5)。しかし、これらの方法ではポリマーアロイを形成する2種以上の樹脂が非相溶である必要性があるため成形体の物性低下が著しいという問題があった。
特開2003−306607号公報 特開2004−255481号公報 特開2005−220316号公報 特開2005−187811号公報 特開2010−024261号公報
本発明は、高い導電性および良好な外観の成形体を成形できる導電性樹脂組成物、ならびに成形体の提供を目的とする。
本発明の導電性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、カーボンブラック(C)とを含み、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部およびカーボンブラック(C)2〜15質量部を含む。
上記本発明によるとカーボンナノチューブとカーボンブラックをそれぞれ適量配合することで、一般に二次凝集しているカーボンナノチューブの表面を覆い、カーボンナノチューブ間に導電パスを形成する。これにより成形体は高い導電性が得られた上、良好な外観という予想外の効果が得られた。
本発明により高い導電性および良好な外観の成形体を成形できる導電性樹脂組成物、ならびに成形体を提供できる。
<導電性樹脂組成物>
本発明の導電性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、カーボンブラック(C)とを含み、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部およびカーボンブラック(C)2〜15質量部とを含む。
<熱可塑性樹脂(A)>
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)は、加熱溶融により成形可能な樹脂であれば特に制限されるものではない。熱可塑性樹脂(A)は、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂(A)は、単独または2種類以上を併用できる。
<カーボンナノチューブ(B)>
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、グラフェンシートを丸めて円筒状にしたような構造をしており、それが単層の場合は単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層の場合は多層カーボンナノチューブ(MWCNT)と呼ばれ、電子顕微鏡等で1本1本のカーボンナノチューブを確認することができる。カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ繊維同士で一次凝集して、絡み合ったり、バンドル状の一次凝集体を形成するが、一次凝集体が凝集して二次以上の凝集体を形成することもある。
カーボンナノチューブ(B)は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜8質量部含有することが重要であり、1〜8質量部がより好ましい。0.1質量部以上含有することにより、十分な導電性を発現することができ、また8質量部以下含有することにより、カーボンナノチューブの分散不良が生じ難くなり、押出時やフィルム成形時にカーボンナノチューブの未分散凝集塊による目詰まりの発生を低下させることができ、さらに成形体の外観を向上させる。
カーボンナノチューブ(B)は、平均直径は5〜30nm、かつ平均アスペクト比が100〜1000であることが好ましい。このような物性を持ったカーボンナノチューブは、成形体の導電性をより高いレベルにできる。
なお、ここでいう平均直径とは、電子顕微鏡観察より求めた個々のカーボンナノチューブの短軸長の数平均値を意味し、ここでいう平均アスペクト比とは、電子顕微鏡観察より求めた個々のカーボンナノチューブの短軸長と長軸長の数平均値の比であり、下記の式(1)により算出された値である。
式(1) 平均アスペクト比=長軸長の数平均値÷平均直径
カーボンナノチューブ(B)の嵩密度は、0.005〜0.05g/mLであることが好ましく、0.01〜0.03g/mLの範囲であることがより好ましい。上記範囲の嵩密度を有するカーボンナノチューブを使用した場合、熱可塑性樹脂(A)に対する分散性が良好となり、混練時の生産性に優れる。
カーボンナノチューブ(B)は、適度なバンドル構造を有するものが好ましい。ここで、バンドル構造とは、個々のカーボンナノチューブ繊維が一定方向に配向している構造を意味する。カーボンナノチューブは二次粒子で存在するのが一般的であり、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよく、ほぐれ易くカーボンナノチューブを直線状にしたバンドル構造を有するものもある。バンドル構造を有するカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ一本一本が絡み合ったものではなく、束状になっているものである。このため、絡み合った一次凝集体と比較して、カーボンナノチューブ繊維が一次凝集体から解れ易く、熱可塑性樹脂(A)への分散が容易である。
カーボンナノチューブ(B)は、単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブでも、これらが混在するものであっても良いが、コスト面および強度面から多層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、カーボンナノチューブの側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブを用いても構わない。
カーボンナノチューブ(B)は、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、化学気相成長法(CVD)、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。特にCVD法は、通常、400〜1000℃の高温下において、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸塩、珪藻土、アルミナシリカ、シリカチタニア、およびゼオライトなどの担体に鉄やニッケルなどの金属触媒を担持した触媒微粒子と、原料の炭素含有ガスとを接触させることにより、カーボンナノチューブを安価に、かつ大量に生産することができる方法であり、本発明に使用するカーボンナノチューブとしても好ましい。
<カーボンブラック(C)>
本発明に用いられるカーボンブラック(C)は、導電性を有する無定形炭素であり、油やガスを不完全燃焼させたり、 炭化水素を熱分解したりして、製造できる。本発明におけるカーボンブラック(C)の役割は、射出成形や押出成形後、成形体内部に取り込まれたカーボンナノチューブ(B)と表面との間に導電パスを形成することである。
カーボンナノチューブ(B)を配合した樹脂組成物は射出成形をした場合、樹脂中に十分にカーボンナノチューブ(B)が分散した場合でも、導電性が出にくいという問題があり、成形体表面に樹脂の存在比率が高い層(スキン層)が形成されてしまうことが要因と考えられている。樹脂が多い部分とカーボンナノチューブ(B)が比較的高濃度に存在する部分とでは、溶融時の粘度が異なるため、流動性の高い樹脂成分が成型時に先に押し出されることとなり、導電層が成形体表面の樹脂成分、すなわちスキン層に覆われて、成型物に絶縁体の被膜ができてしまう。
一方、カーボンブラック(C)は、カーボンナノチューブ(B)と比較して、一般的に比表面積や吸油量が低いため、カーボンナノチューブ(B)ほど溶融粘度が高くなりにくく、成形時にスキン層が形成されにくい。また、カーボンナノチューブ(B)との親和性も悪くないため、カーボンナノチューブ(B)が内部に取り込まれても、比較的表面に残っているカーボンブラック(C)と導電パスを形成できるため、本発明の導電性樹脂組成物を成形すると、その成形体は高い導電性を維持することができる。
カーボンブラック(C)としては、気体若しくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、及び、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラック等の各種のものを単独で、若しくは2種類以上併せて使用することができる。又、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
本発明の導電性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンブラック(C)が2〜15質量部であることが重要であり、更には、3〜10質量部含有されていることが好ましい。
2質量部以上含有することで、カーボンナノチューブ(B)と表面との間に十分な導電パスを形成することができ、成形時の導電性を向上させることができ、15質量部以下の含有量にすることで、分散状態がより良好となり、押出時やフィルム成形時にカーボンナノチューブの未分散凝集塊による目詰まりの発生をより抑制できる。
また、インフレーション成形の様な延伸倍率が、特に高い成形方法に本発明の導電性樹脂組成物を用いる場合、他の成形方法と比較して、カーボンブラック(C)の含有量を高くすることが好ましい。すなわち、延伸の過程で、溶融時の粘度が高いカーボンナノチューブ(B)が比較的高濃度に存在する部分は成形体内部に閉じ込められてしまい、成形体内におけるスキン層の割合が大きくなってしまう。この場合、カーボンブラック(C)の含有量は5〜15質量部であることが好ましい。
カーボンブラック(C)のDBP吸油量は、100mL/100g〜400mL/100gであることが好ましく、100mL/100g〜200mL/100gであることがより好ましい。DBP吸油量が、100mL/100g〜400mL/100gの範囲内であることで、カーボンブラック(C)の熱可塑性樹脂(A)に対する分散性をより向上できる。なおDBP吸油量とは、空隙容積を測定することでカーボンブラックのストラクチャーを間接的に定量化するもので、JIS K 6217−4に準拠して測定した数値である。尚、「DBP」とは、Dibutylphthalateの略称である。
又、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡等で測定された粒子20個を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、ニテロン#10、#200及び#300等の新日化カーボン社製ファーネスブラック;
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;
プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;
#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;
ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック、並びに、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の導電性樹脂組成物において、カーボンナノチューブ(B)100質量部に対して前記カーボンブラック(C)を50〜400質量部含むことが好ましく、更には、50〜200質量部含むことが好ましい。上記の範囲であればカーボンナノチューブの濃度に関わらず、カーボンブラックとの適切な導電パスを形成することができ、本発明の効果を適切に発現することができる。
本発明の導電性樹脂組成物には、必要に応じて耐酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤、結晶造核剤、樹脂充填材等を用いることができる。
本発明の導電性樹脂組成物の製造は、特に限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、カーボンブラック(C)、更に必要に応じて各種添加剤や着色剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー,ロールミル,スーパーミキサー,ヘンシェルミキサー,シュギミキサー,バーティカルグラニュレーター,ハイスピードミキサー,ファーマトリックス,ボールミル,スチールミル,サンドミル,振動ミル,アトライター,バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合や溶融混練分散し、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。
本発明では、溶融混錬に二軸押出機を用いるのが好ましい。
<導電性マスターバッチ>
本発明の導電性マスターバッチは、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部、およびカーボンブラック(C)2〜15質量部とを含む成形体を作成するための導電性マスターバッチであって、熱可塑性樹脂(A)100質量部と、カーボンナノチューブ(B)1〜16質量部と、カーボンブラック(C)3〜30質量部とを含む。
本発明の導電性樹脂組成物を形成するにあたって、カーボンナノチューブ(B)およびカーボンブラック(C)を比較的高濃度に含有し、成形時に熱可塑性樹脂(A)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、カーボンナノチューブ(B)およびカーボンブラック(C)の濃度が比較的低く、熱可塑性樹脂(A)で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良いが、添加コストや在庫コスト等を考えた時、高濃度化できる導電性マスターバッチが好ましい。また、導電性マスターバッチは、取り扱いが容易なペレット状が好ましい。
<成形体>
本発明の成形体は、導電性樹脂組成物、または導電性マスターバッチと、必要に応じてさらに希釈樹脂(熱可塑性樹脂(A))を配合し、通常50℃〜350℃に設定した成形機にて溶融混合後に成形体の形状を形成し冷却することで得ることができる。成形体の形状は、板状、棒状、繊維、チューブ、パイプ、ボトル、フィルムなどを得ることができる。
また、成形方法は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファー成形、T−ダイ成形やインフレーション成形のようなフィルム成形、カレンダー成形、紡糸等を用いることができる。
特に、本発明の成形体は、射出成形やブロー成形、T−ダイ成形やインフレーション成形、またはフィルム成形後の延伸工程といった、高速度での成形工程を行い作製すると、スキン層を軽減できるため、さらに高い導電性を発現することができる。
本発明の成形体を作製には、熱可塑性樹脂(A)100質量部と、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部と、カーボンブラック(C)0.1〜15質量部とを溶融混錬し、射出成形機を使用して射出成形することで、射出成形体を得ることができ、また、Tダイ成形またはインフレーション成形法によりフィルム状に成形することで、フィルム状の成形体を得ることができる。
本発明の成形体の用途としては、特に限定されるものではないが、半導体を搬送するトレーや半導体を梱包するのに用いられる保護材や袋、パーソナルコンピューター本体や内蔵される電子部品、外付けハードディスク、家電製品等等にも使用できる。
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。以下に、カーボンナノチューブの製造例について説明する。
(カーボンナノチューブ(B1)の製造例1)
酢酸コバルト・四水和物200g、酢酸マグネシウム・四水和物172g、アスコルビン酸125gをビーカーに秤取り、精製水を1000g加えて、完全に溶解するまで撹拌した。耐熱性容器に移し替え、電気オーブンを用いて、雰囲気温度170±5℃の温度で120分乾燥させ水分を蒸発させた後、乳鉢で粉砕して触媒(a)の前駆体を得た。得られた触媒(a)前駆体400gを耐熱容器に秤取り、マッフル炉にて、空気中500℃±5℃雰囲気下で30分焼成した後、乳鉢で粉砕して触媒(a)を得た。次いで、加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10リットルの横型反応管の中央部に、触媒(a)1.0gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。アルゴンガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気をアルゴンガスで置換し、横型反応管中の酸素濃度を1体積%以下とした。外部ヒーターにて加熱し、横型反応管の中心部が750℃まで加熱した。引き続き、水素を毎分0.1リットルで1分導入し触媒を活性化処理し、その後、アセチレンガスを毎分1リットルの速度で注入し、4時間反応させてカーボンナノチューブを製造した。反応終了後、反応管内のガスをアルゴンガスで置換し、100℃以下の温度で取り出し、カーボンナノチューブ集合体を得た。得られたカーボンナノチューブ集合体を80メッシュの金網で粉砕ろ過して、多層のカーボンナノチューブ(B1)を得た。
(カーボンナノチューブ(B2)の製造例2)
水酸化コバルト・四水和物72g、酢酸マグネシウム・四水和物172g、アスコルビン酸125gをビーカーに秤取り、精製水を1000g加えて、完全に溶解するまで撹拌した。耐熱性容器に移し替え、電気オーブンを用いて、雰囲気温度170±5℃の温度で120分乾燥させ水分を蒸発させた後、乳鉢で粉砕して触媒(c)の前駆体を得た。得られた触媒(c)前駆体400gを耐熱容器に秤取り、マッフル炉にて、空気中500℃±5℃雰囲気下で30分焼成した後、乳鉢で粉砕して触媒(c)を得た。次いで、加圧可能で、外部ヒーターで加熱可能な、内容積が10リットルの横型反応管の中央部に、触媒(c)1.0gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。アルゴンガスを注入しながら排気を行い、反応管内の空気をアルゴンガスで置換し、横型反応管中の酸素濃度を1体積%以下とした。外部ヒーターにて加熱し、横型反応管の中心部が750℃まで加熱した。引き続き、水素を導入し、毎分0.1リットルで1分導入し触媒を活性化処理し、その後アセチレンガスを毎分1リットルの速度で注入し、4時間反応させてカーボンナノチューブを製造した。反応終了後、反応管内のガスをアルゴンガスで置換し、100℃以下の温度で取り出し、カーボンナノチューブ集合体を得た。得られたカーボンナノチューブ集合体を80メッシュの金網で粉砕ろ過して、多層のカーボンナノチューブ(B2)を得た。
カーボンナノチューブ(B3)として、ナノシル社製の多層のカーボンナノチューブNC7000を用いた。以下に、カーボンナノチューブの体積抵抗率、嵩密度、構造、平均直径、平均アスペクト比の測定方法を示す。
(体積抵抗率)
粉体抵抗システムMCP−PD51(三菱化学アナリティック社製)を用いて体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。具体的にはカーボンナノチューブ粉末を1.2g量り取り、20kNの荷重時の値を体積抵抗率とした。
(嵩密度)
測定装置としてスコットボリュームメータ(筒井理化学器機社製)を用いて嵩密度を測定した。カーボンナノチューブ粉末を測定装置上部より直円筒容器に流し入れ、山盛りになったところですり切った一定容積の試料質量を測定した。この質量と容器容積の比から下記の式(3)に基づいて算出した。
式(3) 嵩密度(g/mL)=
(すり切った一定容積のカーボンナノチューブの質量(g))÷(容器容積(mL))
(平均直径)
走査型電子顕微鏡(日本電子(JEOL)社製、JSM−6700M))を用いて加速電圧5kVにてカーボンナノチューブを観察し、5万倍の画像(画素数1024×1280)を撮影した(図1a等)。次いで、撮影された画像にて任意のカーボンナノチューブ20個について、各々の短軸長を測定し、それら短軸長の数平均値をカーボンナノチューブの平均直径とした。
(平均アスペクト比)
上述した平均直径と同様にしてカーボンナノチューブの画像を撮影した。次いで、撮影された画像にて任意のカーボンナノチューブ20個について、各々の長軸長を測定し、それら長軸長の数平均値をカーボンナノチューブの平均長さとした。下記の式(4)により平均アスペクト比を算出した。
式(4) 平均アスペクト比=長軸長の数平均値÷平均直径
表1に、カーボンナノチューブ(B1)〜(B3)の体積抵抗率、嵩密度、構造、平均直径、平均アスペクト比を示す。
Figure 2016108524
実施例で使用した原料は、以下の通りである。
<熱可塑性樹脂(A)>
(A1)PET樹脂(エチレングリコール−テレフタル酸共重合体、MA−2101、ユニチカ社製)
(A2)PP樹脂(ポリプロピレン、F−704NT、プライムポリマー社製)
(A3)PE樹脂(低密度ポリエチレン、M2270、旭化成ケミカルズ社製)
<カーボンナノチューブ(B)>
(B1)製造例1のカーボンナノチューブ
(B2)製造例2のカーボンナノチューブ
(B3)NC7000(ナノシル社製)
<カーボンブラック(C)>
(C1)デンカブラック(アセチレンブラック粉、平均粒径35nm、DBP吸油量 150mL/100g、電気化学工業社製)
(C2)ニテロン♯10(ファーネスブラック粉、平均粒径40nm、DBP吸油量 128mL/100g、新日化カーボン社製)
[実施例1]
(導電性樹脂組成物1の製造)
PET樹脂(A1)97.5部およびカーボンナノチューブ(B1)0.5部、カーボンブラック(C1)2部をスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、25℃にて3分間撹拌して混合物を得た。次いで前記混合物を二軸押出し機(日本プラコン社製)に投入し、260℃で押し出し、ペレタイザーでカットすることで導電性樹脂組成物1を得た。
(成形体1の作成)
導電性樹脂組成物1を、射出成形機(東芝機械社製IS−100F型)を用いて射出成形を行い、縦30mm×横40mm×高さ3mmの直方体の成形体1を作成した。
<成形体の体積抵抗率>
抵抗率計「ロレスタGP」(ロレスタGP MCP−T610型抵抗率計、JIS−K7194準拠、4端子4探針法定電流印加方式、三菱化学アナリテック社製)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用い、成形体の体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
<成形体の外観評価>
成形体をビデオマイクロスコープ「VHX−900」(キーエンス社製)を用いて倍率500倍にて表面観察を行い、表面上の異物の数を計測し、下記の基準にて評価した。異物の数が少ないほど良好である。
○:5個未満(良好)
△:5個以上、10個未満(使用可能)
×:10個以上(使用不可)
[実施例2〜32][比較例1〜14]
(導電性樹脂組成物2〜46の製造)
導電性樹脂組成物1の熱可塑性樹脂、カーボンナノチューブ及びカーボンブラックを、表2および表3の原料と配合量に変更した以外は、導電性樹脂組成物1と同様な方法により、それぞれ導電性樹脂組成物2〜46を得た。尚、表2および表3中の数値は、質量部を表し、空欄は使用していないことを表す。
Figure 2016108524
Figure 2016108524
(成形体2〜46の製造)
導電性樹脂組成物1を導電性樹脂組成物2〜46にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、成形体を作成し、体積抵抗率の測定と外観評価を行った。評価結果を表4、表5に示す。
Figure 2016108524
Figure 2016108524
表4および表5の結果から実施例1〜32の成形体1〜32は、比較例1〜14の成形体33〜46よりも、低い体積抵抗率および良好な外観を示し、良好な結果が得られることが明らかとなった。
[実施例33]
(導電性マスターバッチ1の製造)
PET樹脂(A1)95部およびカーボンナノチューブ(B1)1部、カーボンブラック(C1)4部をスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、25℃にて3分間撹拌して混合物を得た。次いで前記混合物を二軸押出し機(日本プラコン社製)に投入し、260℃で押し出し、ペレタイザーでカットすることでペレット状の導電性マスターバッチ1を得た。
(成形体47の作成)
導電性マスターバッチ1 50部とPET樹脂(A1)50部をタンブリングした後、射出成形機(東芝機械社製IS−100F型)を用いて射出成形を行い、縦30mm×横40mm×高さ3mmの直方体の成形体47を作成した。その後、実施例1と同様に成形体の体積抵抗率と外観評価を行った。
[実施例34〜48][比較例15〜22]
(導電性マスターバッチ2〜14の製造)
導電性マスターバッチの熱可塑性樹脂、カーボンナノチューブ及びカーボンブラックを、表6および表7の原料と配合量に変更した以外は、導電性樹脂組成物1と同様な方法により、それぞれペレット状の導電性マスターバッチ2〜14を得た。尚、表6および表7中の数値は、質量部を表し、空欄は使用していないことを表す。
Figure 2016108524
Figure 2016108524
(成形体48〜70の製造)
導電性マスターバッチ1〜14と熱可塑性樹脂A1またはA2を表8〜表9の配合比の通りに変更した以外は、実施例33と同様にして、成形体を作成し、体積抵抗率の測定と外観評価を行った。評価結果を表8、表9に示す。
Figure 2016108524
Figure 2016108524
表8および表9の結果から実施例34〜48の成形体47〜62は、比較例15〜22の成形体63〜70よりも、低い体積抵抗率および良好な外観を示し、良好な結果が得られることが明らかとなった。
[実施例49]
<導電性フィルムの作成>
導電性樹脂組成物21を、T−ダイ押出機で200℃にて押出成形し、厚さ100μmの導電性フィルム1を作製した。
<導電性フィルムの延伸試験>
引張試験機(AGS−X引張試験システム、島津製作所社製)を用いて、引張試験を行った。180℃の環境下、前期伸縮性導電体フィルム1の試験片を50mm/分の速度で、引張前の試験片の膜厚(100μm)に対して、膜厚が半分(50μm)になるまで、長さ方向に試験片を延伸させた。
<導電体フィルムの表面抵抗率>
抵抗率計「ロレスタGP」(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用い、延伸前後の導電性フィルムの表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
[実施例50〜51]、[比較例23〜24]
導電性樹脂組成物を変更した以外は、実施例49と同様にして、導電性樹脂組成物22、26、40、44で導電性フィルム2〜5を作成し、延伸前後の表面抵抗率を測定した。評価結果を表10に示す。
Figure 2016108524
表10の結果から実施例49〜51の導電性フィルム1〜3は、比較例23〜24の導電性フィルム4〜5よりも、低い表面抵抗率を示し、延伸前後での表面抵抗値の変化率も小さく、良好な結果が得られることが明らかとなった。
[実施例52]
導電性マスターバッチ1 50部とPP樹脂(A2)50部をタンブリングした後、T−ダイ押出機で200℃にて押出成形し、厚さ100μmの導電性フィルム6を作成した。その後、実施例49と同様に延伸前後の導電性フィルム6の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
[実施例53〜54]、[比較例25]
導電性マスターバッチ6、7、12と熱可塑性樹脂A2を表11の配合比の通りに希釈し、実施例52と同様にして、導電性フィルム7〜9を作成し、延伸前後の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。評価結果を表11に示す。
Figure 2016108524
表11の結果から実施例52〜54の導電性フィルム6〜8は、CNTを用いていない比較例25の導電性フィルム9よりも、低い表面抵抗率を示し、延伸前後での表面抵抗値の変化率も小さく、良好な結果が得られることが明らかとなった。
[実施例101]
(導電性樹脂組成物101の製造)
LDPE樹脂(A3)93部およびカーボンナノチューブ(B1)2部、カーボンブラック(C1)5部をスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、25℃にて3分間撹拌して混合物を得た。次いで前記混合物を二軸押出し機(日本プラコン社製)に投入し、180℃で押し出し、ペレタイザーでカットすることで導電性樹脂組成物101を得た。
(インフレーション成形フィルムの作成)
導電性樹脂組成物101を、小型インフレーション成形機(サーモ・プラスティックス工業社製)を用いてインフレーション成形を行い、厚さ30μmの筒状のインフレーション成形フィルム1を作成した。
<インフレーション成形フィルムの表面抵抗率>
導電性フィルムの測定と同様に、抵抗率計「ロレスタGP」(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用い、インフレーション成形フィルムの表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
<インフレーション成形フィルムの外観評価>
成形体をビデオマイクロスコープ「VHX−900」を用いて倍率500倍にて表面観察を行い、表面上の異物の数を計測し、下記の基準にて評価した。異物の数が少ないほど良好である。
○:10個未満(良好)
△:10個以上、50個未満(使用可能)
×:50個以上(使用不能)
[実施例102〜112][比較例101〜106]
(導電性樹脂組成物102〜119の製造)
カーボンナノチューブ及びカーボンブラックを、表12および表13の原料と配合量に変更した以外は、導電性樹脂組成物101と同様な方法により、それぞれ導電性樹脂組成物102〜118を得た。尚、表12および表13中の数値は、質量部を表し、空欄は使用していないことを表す。
Figure 2016108524
Figure 2016108524

また、インフレーション成形フィルム1と同様に、導電性樹脂組成物102〜118を用いて、インフレーション成形フィルム2〜19を作成し、表面抵抗率測定と外観評価を行った。評価結果を表14に示す。
Figure 2016108524

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、カーボンブラック(C)とを含み、
    前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部およびカーボンブラック(C)2〜15質量部とを含む、導電性樹脂組成物。
  2. 前記カーボンナノチューブ(B)100質量部に対して、前記カーボンブラック(C)50〜400質量部を含む、請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記カーボンナノチューブ(B)の平均直径が5〜30nmかつ平均アスペクト比が100〜1000である、請求項1または2記載の導電性樹脂組成物。
  4. 前記カーボンブラック(C)のDBP吸油量が、100〜400mL/100gである、請求項1〜3いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)0.1〜8質量部およびカーボンブラック(C)2〜15質量部とを含む導電性樹脂組成物を含んでなる成形体を作成するための導電性マスターバッチであって、
    前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、カーボンナノチューブ(B)1〜16質量部および導電性カーボンブラック(C)3〜30質量部とを含む、導電性マスターバッチ。
  6. 請求項1〜4いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を成形してなる、成形体。
  7. 請求項1〜4いずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を溶融混錬し、射出成形機を使用して成形することで成形体を得る、成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜4いずれか1項記載の導電性樹脂組成物を溶融混錬し、Tダイ成形機またはインフレーション成形機を使用してフィルム状に成形し、成形体を得る、成形体の製造方法。
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