JP2016113382A - プロテオグリカン製造方法 - Google Patents

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【課題】不快臭がより低減されたプロテオグリカンの、より簡便且つ効率的な製造方法を提供すること。【解決手段】(a)魚類軟骨から梅酢でプロテオグリカンを抽出することを含む、プロテオグリカン製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、魚類軟骨を材料としたプロテオグリカン製造方法に関する。
プロテオグリカンは、動物の細胞外マトリックスを構成する高分子の一種である。プロテオグリカンは、保水性が高く、また、創傷治癒作用、抗炎症作用、細胞増殖促進作用等の多様な生理機能を有することが知られており、医薬品や実験試薬以外にも、化粧品や飲食品等の幅広い領域での利用が期待できる。このため、これらに利用可能なプロテオグリカンを、簡便かつ効率的に製造する方法の開発が求められている。
従来、プロテオグリカンの製造方法としては、サケ等の魚類の軟骨からグアニジン塩酸溶液で抽出する方法が報告されている(特許文献1)。しかし、この方法では、魚類の独特の不快臭(獣臭、魚臭)を取り除くためにクロロホルムやメタノール等を用いた脱脂工程が必要であり、また脱脂工程を行っても不快臭を完全に取り除くことは不可能であった。また、この方法に使用されるグアニジン塩酸、クロロホルム、メタノール等は人体に有害であるとされているので、この方法で得られたプロテオグリカンは化粧品や飲食品等への利用が制限されていた。
このような問題を解決する方法として、抽出溶媒として、酢酸を用いる方法が報告されている(特許文献2)。しかしながら、この方法で得られたプロテオグリカンには、酢酸に起因すると考えられる、不快臭を発するという問題があった(特許文献3)。
一方、梅酢は、畜産加工肉類、生魚介類、野菜等の長期保存液として昔から用いられており、人体への有害性は報告されていない。また、梅酢は、梅干しを製造する際に通常であれば廃棄されるので、安価に利用することができる。
特開2001−172296号公報 特開2002−069097号公報 特開2009−173702号公報
本発明は、不快臭がより低減されたプロテオグリカンの、より簡便且つ効率的な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を進めた結果、魚類軟骨から梅酢でプロテオグリカンを抽出できることを見出し、さらにこれにより上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1.(a)魚類軟骨から梅酢でプロテオグリカンを抽出することを含む、プロテオグリカン製造方法。
項2.さらに、(b)工程aで得られた抽出物から不溶物を除去することを含む、項1に記載の製造方法。
項3.さらに、(c)工程b後、アルコール沈殿によりプロテオグリカンを精製することを含む、項2に記載の製造方法。
項4.アルコール沈殿がエタノール沈殿である、項3に記載の製造方法。
項5.抽出温度が10〜40℃である、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6.梅酢のpHが1.5〜3.0である、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、梅酢を抽出溶媒として魚類軟骨からプロテオグリカンを抽出することにより、より簡便且つ効率的にプロテオグリカンを製造することができる。得られるプロテオグリカンは、原材料や抽出溶媒由来の不快臭(獣臭、魚臭、酢酸臭)がほとんど無く、無臭もしくは、梅の良好な香りがする。
また、本発明によれば、グアニジン塩酸、クロロホルム、メタノール等の人体に有害な物質を用いなくとも、古くから食品保存液等として用いられてきた梅酢によりプロテオグリカンを製造することができるので、得られるプロテオグリカンの人体に対する安全性はより高いと考えられる。
従来、プロテオグリカンを魚類軟骨から抽出する際には防腐剤が用いられていたが、本発明の製造方法においては、抽出溶媒として防腐作用があることが知られている梅酢を用いるので、抽出時に防腐剤を添加しなくともよい。
実施例1で得られたプロテオグリカンをセルロースアセテート膜電気泳動した結果を示す(試験例1)。 実施例1で得られたプロテオグリカンのHPLC結果を示す(試験例2)。
本発明は、(a)魚類軟骨から梅酢でプロテオグリカンを抽出すること(以下、「工程a」と示すこともある)を含む、プロテオグリカン製造方法に関する。
魚類軟骨は、魚類の軟骨である。魚類としては、特に限定されず、硬骨魚類、軟骨魚類等が広く挙げられる。硬骨魚類としては、例えばタラ、マグロ、サケ、マス等が挙げられ、軟骨魚類としては、例えばサメ、エイ等が挙げられる。また、軟骨としては、特に制限されないが、頭部軟骨、中でも鼻軟骨が好ましい。また、魚類が食品製品等へ加工される際に頭部は通常廃棄されることから、頭部軟骨の入手コストは安く、大量に安定供給され得るという利点もある。
魚類軟骨は、余分に付着した固形脂肪がある場合はそれが除去されていることが好ましい。また、魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、破砕されていることが好ましい。破砕する方法としては、特に限定されず、公知の破砕方法を採用することができる。
魚類軟骨は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
梅酢としては、特に制限されず、白梅酢、赤梅酢等が挙げられる。これらの中でも、プロテオグリカンへの着色を抑えるという観点からは、白梅酢が好ましい。白梅酢は、典型的には、梅干しの製造に際して、梅と食塩とを混合した後、上におもりを載せて数日間(1〜5日間)放置することにより得られる。梅酢のpHは、特に制限されないが、例えば1.0〜4.0、好ましくは1.5〜3.0、より好ましくは1.5〜2.5であることができる。
梅酢は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
プロテオグリカンの抽出は、公知の抽出方法に従って行うことができる。例えば、魚類軟骨と梅酢とを混合した後、(好ましくは撹拌しながら)放置することにより行うことができる。
魚類軟骨と梅酢との重量比は、特に制限されないが、魚類軟骨全体が梅酢に浸漬する程度の重量比であることが好ましい。重量比(魚類軟骨:梅酢)は、具体的には、例えば1:1〜1:50、好ましくは1:5〜1:35、より好ましくは1:10〜1:25であることができる。
抽出時間は、プロテオグリカンを抽出できる限り特に限定されない。抽出時間は、例えば3〜72時間、好ましくは8〜48時間、より好ましくは12〜36時間、よりさらに好ましくは18〜30時間であることができる。抽出時間の上限が上記時間であれば、抽出成分中のプロテオグリカンの割合をより高めることができる。
抽出温度は、プロテオグリカンを抽出できる限り特に限定されない。抽出温度は、例えば10〜40℃、好ましくは15〜30℃であることができる。
上記工程aによりプロテオグリカン含有抽出液が得られる。このプロテオグリカン含有抽出液をそのまま「プロテオグリカン」として利用することもできるし、以下の工程を経て得られたものを「プロテオグリカン」として利用することもできる。
本発明の製造方法においては、(b)工程aで得られた抽出物から不溶物(抽出残渣)を除去すること(以下、「工程b」と示すこともある)が好ましい。不溶物の除去方法としては特に限定されず、公知の方法、例えばろ過、遠心分離等を採用することができる。
本発明の製造方法においては、得られるプロテオグリカンの純度をより高めるために、上記工程a又は工程bの後に、精製を行ってもよい。精製方法としては、例えばアルコール沈殿、透析、カラム(好ましくは陰イオン交換カラム)クロマトグラフィー等が挙げられる。これらの中でも、より簡便であるという観点から、アルコール沈殿が好ましい。本発明の製造方法によれば、精製がアルコール沈殿のみであっても、高純度(例えばセルロースアセテート膜電気泳動の結果、プロテオグリカンとそれに由来するGAGのバンド以外が確認できない程度の純度)であり、且つ不快臭がより低減されたプロテオグリカンを製造することができる。よって、本発明の製造方法においては、(c)工程b後、アルコール沈殿によりプロテオグリカンを精製すること(以下、「工程c」と示すこともある)が好ましい。
アルコール沈殿は、公知の方法に従って行うことができる。典型的には、工程bを経て得られたプロテオグリカン含有抽出液を、その1〜5倍量(好ましくは2〜4倍量)のアルコールと混合した後、一定時間放置することにより沈殿を形成させ、その後、遠心分離して得られたペレットを回収することにより行われる。
アルコールは、プロテオグリカンを沈殿させることができる限り特に限定されない。アルコールとしては、例えばエタノール、イソプロパノール等が挙げられ、これらの中でも毒性がより低いという観点からはエタノールが好ましく挙げられる。アルコールは1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
アルコールには、塩が含まれていることが好ましい。塩としては、特に限定されず、アルコール沈殿に用いられる通常の塩、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。塩は1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。アルコール中の塩の濃度は、特に限定されず、アルコール沈殿において採用される通常の塩濃度、例えば塩化ナトリウムの場合はアルコールに対する飽和濃度であることができる。
沈殿を形成させるために放置する際の温度は、プロテオグリカンを沈殿させることができる限り特に限定されない。温度は、例えば−80℃〜室温程度、好ましくは0〜10℃程度であることができる。
沈殿を形成させるために放置する時間は、プロテオグリカンを沈殿させることができる限り特に限定されず、温度に応じて適宜設定される。時間は、温度が0〜10℃である場合であれば、例えば4〜24時間、好ましくは8〜16時間であることができる。
遠心力は、ペレットを形成させることができる限り特に限定されない。遠心力は、例えば700〜2500gであることができる。
本発明の製造方法においては、本発明の効果が損なわれない限り、上記した工程以外の工程を施してもよい。本発明の製造方法で得られるプロテオグリカンは、例えば、食品、化粧品、医薬品等の原材料として好ましく用いることができる。
本発明の製造方法により得られるプロテオグリカンは、その使用態様は特に制限されない。プロテオグリカンは、例えば上述したような効果を有するため、外用組成物又は経口組成物として用いるのが好適である。すなわち、本発明の製造方法により得られるプロテオグリカンを含む外用組成物又は経口組成物として用いることが好ましい。また、外用組成物又は経口組成物は、医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧組成物、食品組成物等として用いることができる。これらは、本発明の製造方法により得られるプロテオグリカンを用いて常法により製造することができる。特にこれらの組成物は、化粧品分野及び飲食品分野で好ましく用いることができる。
化粧品分野にて用いられる、本発明の製造方法により得られるプロテオグリカンを含む化粧品組成物(以下「本発明に係る化粧品組成物」と記載することがある)は、当該プロテオグリカンそのものであってもよいし、当該プロテオグリカンと化粧品用として許容される媒体、基剤、担体、添加剤や、その他化粧品用として許容される成分、材料を適宜配合して、常法に従って製造されるものであってもよい。具体的には、当該プロテオグリカンを含んで製造される乳液、化粧水、クリーム、美容液、ファンデーション、パック、日焼け止め等を挙げることができる。このような本発明に係る化粧品組成物は、炎症改善用又は抗老化用として好ましく用いることができ、より具体的には、例えば、日焼け予防用、日焼け手入れ用、保湿用及び抗皮膚老化用(例えば乾燥肌、肌荒れ、肌のシワ・たるみ等の予防又は改善用)として好ましく用いることができる。
飲食品(飲料及び食品)分野にて用いられる、本発明の製造方法により得られるプロテオグリカンを含む飲食品組成物(以下「本発明に係る飲食品組成物」と記載することがある)は、当該プロテオグリカンそのものであってもよいし、当該プロテオグリカンと、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料等が適宜配合されたものであってもよい。例えば、当該プロテオグリカンを含む、保湿用及び抗皮膚老化用(例えば乾燥肌、肌荒れ、肌のシワ・たるみ等の予防又は改善用)の加工食品、飲料、健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品等)、サプリメント、美容食品、病者用食品等が例示できる。さらに、このような本発明に係る飲食品組成物からなる保湿剤、抗皮膚老化剤も本発明に包含される。当該保湿剤、抗皮膚老化剤は、美容用や抗皮膚老化用(例えば乾燥肌、肌荒れ、肌のシワ・たるみ等の予防又は改善用)のドリンク剤、錠剤、タブレット剤、カプセル剤、顆粒剤、ゼリー剤、トローチ剤などの形態で供給され得る。
本発明に係る医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧品組成物、又は飲食品組成物においては、特に制限されるものではないが、これらの組成物に含まれる当該プロテオグリカン含有抽出物量は、例えば組成物全体に対し、通常0.001〜100質量%、好ましくは0.01〜95質量%である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1:梅酢の調製
和歌山県産の完熟した南高梅(3 kg)と食塩(360 g)とを混合し、よく揉んだ。これを瓶に詰め、上におもりを載せて、3日間冷所で静置した。静置後、梅を取り除いた後に得られた溶液を濾過し、630 mLの梅酢を得た。この梅酢のpHは2.1であった。
実施例1:梅酢を用いたプロテオグリカンの抽出
破砕された魚類軟骨(1g)と、参考例1で得られた梅酢(20mL)とを混合し、室温にて緩やかに撹拌しながら24時間放置した。得られた混合液をろ紙でろ過して、不溶成分を除去した。得られたろ液に、食塩が飽和量溶解したエタノール(食塩飽和エタノール)(60mL)を加えて混合した後、4℃にて12時間放置した。遠心分離(1300 g×10分間)した後、ペレット(白色)を回収した。白色沈殿をエタノール(20mL)で洗浄後、風乾して、8.7 mgのプロテオグリカンを得た。
比較例1:酢酸を用いたプロテオグリカンの抽出
梅酢に替えて4%酢酸水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の方法でプロテオグリカンを得た。
試験例1:プロテオグリカンの確認とグリコサミノグリカンの同定
実施例1で得られたプロテオグリカンを水に溶解させ、0.1%プロテオグリカン水溶液を調製し、そのうち(5μL)と、別途調製したスタンダード溶液(ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、又はコンドロイチン硫酸水溶液)を、泳動用緩衝液(0.1 Mギ酸−ピリジン緩衝液(pH 3.0))を予め浸透させたセルロースアセテート膜上にスポットした。次いでそのセルロースアセテート膜を泳動層にのせ1mA/cmにて15分間、電気泳動を行った。泳動後、セルロースアセテート膜をアルシアンブルー染色に供し、70%エタノールで脱色した後、染色バンドを目視で観察した。
結果を図1に示す。なお、図1中、染色バンドの輪郭は黒線で囲った。また、図1中、HPはヘパリンを示すバンドであり、ChSはコンドロイチン硫酸を示すバンドであり、HSはヘパラン硫酸を示すバンドであり、HAはヒアルロン酸を示すバンドである。図1に示されるように、プロテオグリカンは一番下の濃いバンド(*)として検出が確認された。またプロテオグリカンの上方に、コンドロイチン硫酸と同じ移動度のバンド(**)が確認されたことから、実施例1で得られたプロテオグリカン中のグリコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸であると推測された。
試験例2:プロテオグリカンの分子量の同定
実施例1で得られたプロテオグリカンを水に溶解させ、0.1%プロテオグリカン水溶液を調製し、このうち50μLを高速液体クロマトグラフィー分析に供した。分析条件は下記に示すとおりである。
検出器:示差屈折率計(RI)YRD-882midget(島村計器製作所)
カラム:TOSOH TSK-gel G5000PWXL
溶出液:0.2M-NaCl
流速:0.5ml/min
カラムtemp.:30℃
結果を図2に示す。図2中の数値は保持時間を示す。図2に示されるように、保持時間17.668分のところにプロテオグリカンのピークが観測され、その平均分子量は17万と算出された。なお、平均分子量は、プルランスタンダード(shodex社製、P-82)を用いて算出した。また、保持時間20分のところには、コンドロイチン硫酸のピークが観測された。
試験例3:プロテオグリカンの臭気試験
実施例1で得られたプロテオグリカン、及び比較例1で得られたプロテオグリカンについて、8名の評価者にその臭気を5段階(5:梅の香りがする、4:かすかな梅の香りがする、3:無臭である、2:かすかな不快臭がする、1:強い不快臭がする)で評価してもらった。結果を表1に示す。
表1に示されるように、比較例1で得られたプロテオグリカンは、評価者の半数近く(3/8)が不快臭がすると評価したのに対して、実施例1で得られたプロテオグリカンは、不快臭がすると評価した者は0人であり、評価者の半数近く(3/8)が梅の良好な香りがすると評価した。

Claims (6)

  1. (a)魚類軟骨から梅酢でプロテオグリカンを抽出すること
    を含む、プロテオグリカン製造方法。
  2. さらに、(b)工程aで得られた抽出物から不溶物を除去すること
    を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. さらに、(c)工程b後、アルコール沈殿によりプロテオグリカンを精製すること
    を含む、請求項2に記載の製造方法。
  4. アルコール沈殿がエタノール沈殿である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 抽出温度が10〜40℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 梅酢のpHが1.5〜3.0である、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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